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㈱ヤマダ電機に対する件

独禁法19条(大規模小売業告示7項)

平成20年(措)第16号

排除措置命令

 

群馬県前橋市日吉町四丁目40番地の11
株式会社ヤマダ電機
代表取締役 山田 昇

公正取引委員会は,上記の者に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第20条第1項及び第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。

主文
1 株式会社ヤマダ電機は,次の(1)の行為を取りやめるとともに,次の(2)の事項を取締役会において決議しなければならない。
(1) 遅くとも平成17年11月以降,店舗(別表記載の8社の店舗を含む。以下主文において同じ。)の新規オープン及び改装オープンに際し,自社と継続的な取引関係にある家電製品等(テレビ,冷蔵庫,パーソナルコンピュータ,デジタルカメラ,家庭用ゲームソフト等をいう。以下主文において同じ。)の納入業者であって,その取引上の地位が自社に対して劣っているものに対し,当該納入業者の納入に係る商品であるか否かを問わず当該店舗における商品の陳列,商品の補充,接客等の作業を行わせるために,あらかじめ当該納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく,かつ,派遣のために通常必要な費用を自社が負担することなく,当該納入業者の従業員等を派遣させている行為
(2) (1)の行為を取りやめる旨及び今後,(1)と同様の行為を行わない旨
2 株式会社ヤマダ電機は,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 遅くとも平成17年11月以降,パーソナルコンピュータ及びデジタルカメラの納入業者であって,その取引上の地位が自社に対して劣っているものに対し,あらかじめ当該納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく,かつ,派遣のために通常必要な費用を自社が負担することなく,当該納入業者から購入した商品のうち,店舗における展示のために使用したもの及び顧客から返品されたものを「展示処分品」と称して販売するために必要な設定の初期化等の作業のために,当該納入業者の従業員等を派遣させていた行為を取りやめている旨を確認すること
(2) 今後,(1)の行為と同様の行為を行わない旨
3 株式会社ヤマダ電機は,第1項に基づいて採った措置を自社と継続的な取引関係にある家電製品等の納入業者に,前項に基づいて採った措置を自社と継続的な取引関係にあるパーソナルコンピュータ及びデジタルカメラの納入業者に,通知するとともに,前2項に基づいて採った措置を自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,当委員会の承認を受けなければならない。
4 株式会社ヤマダ電機は,今後,第1項(1)及び第2項(1)の行為と同様の行為を行ってはならない。
5 株式会社ヤマダ電機は,今後,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,第1項(1)及び第2項(1)の行為と同様の行為を行うことのないようにするために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,当委員会の承認を受けなければならない。
(1) 納入業者との取引に関係する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定
(2) 納入業者との取引に関係する独占禁止法の遵守についての,役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査
6(1) 株式会社ヤマダ電機は,第1項から第3項まで及び前項に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告しなければならない。
(2) 株式会社ヤマダ電機は,前項(2)に基づいて講じた措置の実施内容を,今後3年間,毎年,当委員会に報告しなければならない。

理由
第1 事実
1(1)ア 株式会社ヤマダ電機(以下「ヤマダ電機」という。)は,肩書地に本店を置き,テレビ,冷蔵庫,パーソナルコンピュータ,デジタルカメラ,家庭用ゲームソフト等(以下「家電製品等」という。)の小売業を営む者である。ヤマダ電機の平成19年4月から平成20年3月までの売上高は約1兆7300億円であり,100億円以上である。また,ヤマダ電機は,平成20年3月末日現在,352店舗の小売店舗を展開しているところ,これらの小売店舗のうち,54店舗は,東京都の特別区の存する区域又は政令指定都市の区域内に所在し,かつ,その店舗面積が3,000平方メートル以上の店舗であり,また,245店舗は,政令指定都市以外の市及び町村の区域内に所在し,かつ,その店舗面積が1,500平方メートル以上の店舗である。
イ ヤマダ電機は,その議決権の過半数を有する子会社として,別表の「本店の所在地」欄記載の地にそれぞれ本店を置く8社(以下「子会社8社」という。)を有し,子会社8社の店舗として,平成20年3月末日現在,家電製品等を販売する小売店舗を合計54店舗展開している。
(2) ヤマダ電機は,我が国における家電製品等の小売業者の中で最大手の業者であり,さらに,他の家電製品等の小売業者を子会社等とすることにより,これら子会社等も含めたその小売業者としての規模を拡大している。
(3)ア ヤマダ電機と継続的な取引関係にある家電製品等の納入業者(以下「納入業者」という。)は,約370社であり,ヤマダ電機の仕入担当者は,納入業者との間で,自社の店舗において販売する商品について商談を行い,納入価格等の取引条件を決定している。
イ ヤマダ電機は,子会社8社の店舗において販売される商品,その販売価格,その納入者等を決定し,当該商品のすべてについて,ヤマダ電機の仕入担当者が納入業者との間で商談を行い,納入価格等の取引条件を決定し,ヤマダ電機が仕入れている。
(4) 納入業者にとって,ヤマダ電機は重要な取引先であり,納入業者の多くは,ヤマダ電機との納入取引の継続を強く望んでいる状況にある。このため,納入業者の多くは,ヤマダ電機との納入取引を継続する上で,納入する商品の品質,納入価格等の取引条件とは別に,ヤマダ電機からの種々の要請に従わざるを得ない立場にあり,その取引上の地位はヤマダ電機に対して劣っている。
2 ヤマダ電機は,遅くとも平成17年11月以降,店舗(子会社8社の店舗を含む。以下同じ。)の新規オープン及び改装オープンに際し,納入業者に対し,当該納入業者の納入に係る商品であるか否かを問わず,当該店舗における商品の陳列,商品の補充,接客等の作業(以下「オープン作業」という。)を行わせることとし,あらかじめ当該納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく,オープン作業を行わせるためにその従業員等の派遣を受けることを必要とする店舗,日時等を連絡し,その従業員等を派遣するよう要請している。
これらの要請を受けた納入業者の多くは,ヤマダ電機との納入取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,その従業員等を派遣しており,ヤマダ電機は,当該派遣のために通常必要な費用を負担していない。
例えば,ヤマダ電機は,平成17年11月から平成19年5月までの間に,延べ361店舗の新規オープン及び改装オープンに際し,オープン作業を行わせるため,納入業者約250社に対し,延べ約16万6000人の従業員等を派遣させ,使用している。
3(1) ヤマダ電機は,遅くとも平成17年11月以降,パーソナルコンピュータ及びデジタルカメラの納入業者に対し,当該納入業者から購入した商品のうち,店舗における展示のために使用したもの及び顧客から返品されたものを「展示処分品」と称して販売するために必要な設定の初期化等の作業(以下「リカバリー作業」という。)を行わせることとし,あらかじめ当該納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく,リカバリー作業を行わせるためにその従業員等の派遣を受けることを必要とする作業場所,日時等を連絡し,その従業員等を派遣するよう要請していた。
これらの要請を受けた納入業者の多くは,ヤマダ電機との納入取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,その従業員等を派遣しており,ヤマダ電機は,当該派遣のために通常必要な費用を負担していなかった。
(2) 平成19年5月10日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,ヤマダ電機は,同年11月ころ以降,前記(1)の納入業者にその従業員等を派遣させる行為を取りやめている。
第2 法令の適用
前記第1の1の事実によれば,ヤマダ電機は,大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法(平成17年公正取引委員会告示第11号。以下「大規模小売業告示」という。)の備考第1項に規定する「大規模小売業者」に該当するところ
1 前記第1の1及び2の事実によれば,その取引上の地位が自己に対して劣っている納入業者に対し,大規模小売業告示の第7項各号に掲げる場合に該当しないにもかかわらず,自己の業務に従事させるため,納入業者の従業員等を派遣させているものであり,これは,大規模小売業告示の第7項に該当し
2 前記第1の1及び3の事実によれば,その取引上の地位が自己に対して劣っている納入業者に対し,大規模小売業告示の第7項各号に掲げる場合に該当しないにもかかわらず,自己の業務に従事させるため,納入業者の従業員等を派遣させていたものであり,これは,大規模小売業告示の第7項に該当し
いずれも独占禁止法第19条の規定に違反するものである。また,前記第1の3については,違反行為の取りやめが当委員会の審査開始を契機としたものであること等の事情を勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,ヤマダ電機に対し,独占禁止法第20条第1項及び第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。


別表
本店の所在地 事業者名

群馬県前橋市日吉町四丁目40番地11
株式会社沖縄ヤマダ電機

群馬県前橋市日吉町四丁目40番地の11
株式会社関西ヤマダ電機

群馬県前橋市日吉町四丁目40番地の11
株式会社ダイクマ

群馬県前橋市日吉町四丁目40番地11
株式会社中四国テックランド

群馬県前橋市日吉町四丁目40番地11
株式会社テックサイト

群馬県前橋市日吉町四丁目40番地の11
株式会社東海テックランド

群馬県前橋市日吉町四丁目40番地の11
株式会社東九州テックランド

鹿児島市新栄町13番8号
南九州ヤマダ電機株式会社

平成20年06月30日

委員長 竹島一彦
委員 山田昭雄
委員 濱崎恭生
委員 後藤晃
委員 神垣清水

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