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エアセパレートガスの製造業者及び販売業者に対する件

独禁法3条後段

平成23年(措)第3号

排除措置命令

平成23年(措)第3号
排除措置命令書

東京都品川区小山一丁目3番26号
大陽日酸株式会社
同代表者 代表取締役 川口 恭史

東京都港区芝浦三丁目4番1号グランパークタワー
日本エア・リキード株式会社
同代表者 代表執行役 フランソワ・ジャコウ

札幌市中央区北三条西一丁目2番地
エア・ウォーター株式会社
同代表者 代表取締役 青木  弘

大阪市中央区本町三丁目6番4号
岩谷産業株式会社
同代表者 代表取締役 牧野 明次

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。

主文
1 大陽日酸株式会社(以下「大陽日酸」という。),日本エア・リキード株式会社(以下「日本エア・リキード」という。),エア・ウォーター株式会社(以下「エア・ウォーター」という。)及び岩谷産業株式会社(以下「岩谷産業」という。)の4社(以下「4社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 別紙記載のエアセパレートガス(以下「特定エアセパレートガス」という。)について,遅くとも平成20年1月23日までに4社が共同して行った販売価格を引き上げる旨の合意が消滅している旨を確認すること
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定エアセパレートガスの販売価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(3) 今後,相互に,又は他の事業者と,特定エアセパレートガスの販売価格の改定に関して情報交換を行わない旨
2 4社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く3社に通知するとともに,自社の取引先である特定エアセパレートガスの製造業者及び販売業者(当該3社を除く。)並びに需要者に周知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知,周知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 4社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定エアセパレートガスの販売価格を決定してはならない。
4 4社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,特定エアセパレートガスの販売価格の改定に関して情報交換を行ってはならない。
5 4社は,今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前2項の行為をすることのないようにするために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 自社の従業員に対する,自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底(岩谷産業にあっては改定及び周知徹底)
(2) 特定エアセパレートガスの販売活動に関する独占禁止法の遵守についての,特定エアセパレートガスの営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
6 4社は,それぞれ,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理由
第1 事実
1(1) ア 大陽日酸,日本エア・リキード及びエア・ウォーターは,それぞれ,肩書 地に本店を置き,特定エアセパレートガスの製造業を営む者である。
なお,日本エア・リキードは,平成19年9月1日に,東京都江東区東雲一丁目9番1号に本店を置いていたジャパン・エア・ガシズ株式会社(以下「ジャパン・エア・ガシズ」という。)を吸収合併したものである。
イ 岩谷産業は,肩書地に本店を置き,特定エアセパレートガスの販売業を営む者である。
(2) 大陽日酸,エア・ウォーター及び岩谷産業は,それぞれ,自社を除く特定エアセパレートガスの製造業者若しくは販売業者又は化学製品製造業者,食料品製造業者,鉄鋼・非鉄金属製造業者等の需要者(以下,これらの特定エアセパレートガスの製造業者及び販売業者並びに化学製品製造業者,食料品製造業者,鉄鋼・非鉄金属製造業者等の需要者を「顧客」という。)に対し,特定エアセパレートガスを販売していた。
また,ジャパン・エア・ガシズは平成19年8月31日まで,日本エア・リキードは平成19年9月1日から,それぞれ,顧客に対し,特定エアセパレートガスを販売していた。
(3) 特定エアセパレートガスは空気の圧縮,冷却等の製造過程において大量の電力を要するため,その製造に要する費用は,電力費用が大きな比率を占めていた。また,特定エアセパレートガスの販売には,タンクローリーの燃料費等の輸送に要する費用が掛かっていた。
(4) 4社による特定エアセパレートガスの販売金額の合計は,我が国における特定エアセパレートガスの総販売金額の大部分を占めていた。
2(1) 大陽日酸,エア・ウォーター,岩谷産業及びジャパン・エア・ガシズは,かねてから,特定エアセパレートガスに関し,安値による価格提示によって他社の顧客を奪わないという方針の下に営業活動を行うなど,協調的な関係を維持してきた。
(2) 平成17年秋頃から平成19年秋頃にかけて,原油価格の上昇により特定エアセパレートガスの製造に要する電力費用及び輸送に要する費用が上昇し続けていたことから,ジャパン・エア・ガシズを吸収合併した日本エア・リキードを含む4社は,平成19年10月頃以降,2社間又は3社間で個別に部長級の者らによる面談を実施して特定エアセパレートガスの販売価格等について情報交換を行い,これらの情報交換を踏まえ,同年12月18日に東京都港区所在の大陽日酸新橋ビル内の会議室において,また,平成20年1月23日に大阪市中央区所在のエア・ウォーター大阪本社ビルの応接室において,それぞれ4社の部長級の者による会合を開催して特定エアセパレートガスの販売価格の引上げについて話し合い,遅くとも平成20年1月23日までに,特定エアセパレートガスの販売価格について,同年4月1日出荷分から,現行価格より10パーセントを目安に引き上げることを合意した。
3(1) 4社は,前記2(2)の合意の実効を確保するため,4社の部長級の者による会合等を行い
ア 特定エアセパレートガスの販売価格の引上げの交渉状況等について情報交換を行うとともに
イ 平成20年秋頃以降,需要者からの特定エアセパレートガスの販売価格の引下げ要請が見込まれたことから,当該要請に対する防御の方策として,特定エアセパレートガスの販売価格を平成21年1月から引き上げる旨打ち出すことを確認し
ウ 平成21年1月以降,需要者からの特定エアセパレートガスの販売価格の引下げ要請への対応について情報交換を行う
などしていた。
(2) 4社は,前記2(2)の合意に基づき,それぞれ,顧客に対し,特定エアセパレートガスの販売価格を引き上げる旨の申入れを行い,特定エアセパレートガスの販売価格を引き上げていた。
4 平成22年1月19日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,4社は,同日以降,特定エアセパレートガスの販売価格についての情報交換を行っていない。このため,同日以降,前記2(2)の合意は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば,4社は,共同して,特定エアセパレートガスの販売価格を引き上げる旨を合意することにより,公共の利益に反して,我が国における特定エアセパレートガスの販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,これは,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものであり,4社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,4社については,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,4社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成23年5月26日

公正取引委員会

委員長 竹  島  一  彦

委 員 後  藤     晃

委 員  神  垣  清  水

委 員  濵  田  道  代

委 員 細  川     清

別紙
 
 エアセパレートガス(空気から製造される酸素,窒素及びアルゴンをいう。)のうち,タンクローリーによる輸送によって供給するもの(医療に用いられるものとして販売するものを除く。)

平成23年5月26日

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