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㈱ディー・エヌ・エーに対する件

独禁法19条(一般指定14項)

平成23年(措)第4号

排除措置命令

平成23年(措)第4号
排 除 措 置 命 令 書

東京都渋谷区代々木四丁目30番3号   
株式会社ディー・エヌ・エー      
同代表者 代表取締役 南 場 智 子

公正取引委員会は,上記の者に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第20条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文及び理由中の用語のうち,別紙「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 株式会社ディー・エヌ・エー(以下「ディー・エヌ・エー」という。)は,次の事項を取締役会において決議しなければならない。
(1) ソーシャルゲーム提供事業者のうちディー・エヌ・エーが選定した者に対し,グリー株式会社(以下「グリー」という。)の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービス(以下「GREE」という。)を通じてソーシャルゲームを提供した場合に当該ソーシャルゲーム提供事業者がディー・エヌ・エーの運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービス(以下「モバゲータウン」という。)を通じて提供するソーシャルゲームのリンクをモバゲータウンのウェブサイトに掲載しないようにすることにより,GREEを通じてソーシャルゲームを提供しないようにさせていた行為を行っていない旨を確認すること
(2) 今後,ソーシャルゲーム提供事業者に対し,他の事業者の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを通じてソーシャルゲームを提供した場合には当該ソーシャルゲーム提供事業者がモバゲータウンを通じて提供するソーシャルゲームのリンクをモバゲータウンのウェブサイトに掲載しないようにすることにより,他の事業者の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを通じてソーシャルゲームを提供しないようにさせる行為を行わない旨
2 ディー・エヌ・エーは,前項に基づいて採った措置を,モバゲータウンを通じてソーシャルゲームを提供している事業者及びグリーに通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 ディー・エヌ・エーは,今後,ソーシャルゲーム提供事業者に対し,他の事業者の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを通じてソーシャルゲームを提供した場合には当該ソーシャルゲーム提供事業者がモバゲータウンを通じて提供するソーシャルゲームのリンクをモバゲータウンのウェブサイトに掲載しないようにすることにより,他の事業者の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを通じてソーシャルゲームを提供しないようにさせる行為を行ってはならない。
4 ディー・エヌ・エーは,今後,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前項の行為をすることのないようにするために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 自社の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスに係るソーシャルゲーム提供事業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定
(2) 自社の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスに係るソーシャルゲーム提供事業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての,役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査
5 ディー・エヌ・エーは,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第2 事実
1 (1) ディー・エヌ・エーは,肩書地に本店を置き,我が国において携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを登録ユーザーに提供する事業を営む者である。
(2) ア ディー・エヌ・エーは,平成18年2月頃から,モバゲータウンを登録ユーザーに提供している。
イ ディー・エヌ・エーは,従前からモバゲータウンを通じて自らソーシャルゲームを提供していたところ,オープン化により,ソーシャルゲーム提供事業者との間で,モバゲータウンを通じたソーシャルゲームの提供に伴う手数料(登録ユーザーが当該ソーシャルゲームにおいてアイテムを購入するなどにより発生する売上げに係るもの)等を収受する旨の契約を締結した上で,平成22年1月頃,当該ソーシャルゲーム提供事業者にモバゲータウンを通じてソーシャルゲームの提供を開始させている。
ウ モバゲータウンの登録ユーザーは,モバゲータウンのウェブサイトにおける「ゲーム」のトップページ等に掲載されたリンクを選択することなどにより,各ソーシャルゲームのウェブサイトにアクセスし,当該ウェブサイトからソーシャルゲームの提供を受けていた。
モバゲータウンのウェブサイトにおける「ゲーム」のトップページ等に掲載されるリンクは,「注目のゲーム」,「イチオシゲーム」,「新着ゲーム」等に区分され,ソーシャルゲーム提供事業者等が提供するソーシャルゲームのウェブサイトに至るものとなっており,登録ユーザーを当該ウェブサイトに誘引する重要な経路となっていた。
(3) ア グリーは,我が国において携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを提供する事業を営む者であるところ,平成17年6月頃から, GREEを登録ユーザーに提供している。
イ グリーは,従前からGREEを通じて自らソーシャルゲームを提供していたところ,ディー・エヌ・エーと同様に,オープン化により,ソーシャルゲーム提供事業者との間で,GREEを通じたソーシャルゲームの提供に伴う手数料等を収受する旨の契約を締結した上で,平成22年6月頃,当該ソーシャルゲーム提供事業者にGREEを通じてソーシャルゲームの提供を開始させている。
また,これに続き,グリーは,複数のソーシャルゲーム提供事業者にGREEを通じて一斉に同年8月10日にソーシャルゲームを提供させること(以下「第二次リリース」という。)を予定していた。
(4) ディー・エヌ・エーは,ソーシャルゲームに係る売上額(携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを提供する事業を営む者が,ソーシャルゲーム提供事業者から収受する当該携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを通じたソーシャルゲームの提供に伴う手数料及び自らが提供するソーシャルゲームに係る売上額の合計額をいう。以下同じ。)において平成22年1月以降第1位の地位を占めており,また,オープン化についてグリーに先行したことなどから,多くのソーシャルゲーム提供事業者にとって,ディー・エヌ・エーは重要な取引先となっていた。
また,グリーは,ソーシャルゲームに係る売上額において同月以降ディー・エヌ・エーに次いで第2位の地位にある。
2 (1) ディー・エヌ・エーは,平成22年7月頃,モバゲータウンにおける売上額が多いなど,ソーシャルゲームの提供において有力な事業者であると判断して選定したソーシャルゲーム提供事業者(以下「特定ソーシャルゲーム提供事業者」という。)に対して,GREEを通じて新たにソーシャルゲームを提供しないことを要請していくこととし,特定ソーシャルゲーム提供事業者がGREEを通じて新たにソーシャルゲームを提供した場合には,当該特定ソーシャルゲーム提供事業者がモバゲータウンを通じて提供するソーシャルゲームのリンクをモバゲータウンのウェブサイトに掲載しないこととした。
これらの特定ソーシャルゲーム提供事業者のモバゲータウン及びGREEにおけるそれぞれの平成22年7月の売上額は,ソーシャルゲーム提供事業者のモバゲータウン及びGREEにおける同月の売上額のそれぞれ大部分を占めていた。
(2) ア ディー・エヌ・エーは,平成22年7月下旬以降,特定ソーシャルゲーム提供事業者に対し,今後,GREEを通じて新たにソーシャルゲームを提供しないこととした場合にはソーシャルゲームの開発又は提供について支援を行うことに加えて,前記(1)の方針に従い,同年8月10日頃以降にGREEを通じて新たにソーシャルゲームを提供した場合には,当該特定ソーシャルゲーム提供事業者がモバゲータウンを通じて提供するソーシャルゲームのリンクをモバゲータウンのウェブサイトに掲載しないこととする旨を伝えるなどした。
イ 前記アの要請を受けた特定ソーシャルゲーム提供事業者の少なくとも過半は,第二次リリース以降,ディー・エヌ・エーが許可したソーシャルゲームを除き,GREEを通じて新たにソーシャルゲームを提供することはしなかった。
その中には,GREEを通じて新たにソーシャルゲームを提供するためにソーシャルゲームを開発していたところ,自社のソーシャルゲームのリンクがモバゲータウンのウェブサイトに掲載されなくなることを避けるため,GREEを通じて新たにソーシャルゲームを提供することを断念した特定ソーシャルゲーム提供事業者もいた。
(3) ディー・エヌ・エーは,平成22年8月10日頃以降,前記(2)アの要請に反してGREEを通じて新たにソーシャルゲームを提供している特定ソーシャルゲーム提供事業者を発見した場合には,当該特定ソーシャルゲーム提供事業者がモバゲータウンを通じて提供しているソーシャルゲームのリンクを,モバゲータウンのウェブサイトにおける「イチオシゲーム」,「新着ゲーム」,「カテゴリ検索」等に掲載しない措置を採っており,当該措置を受けてGREEを通じて当該ソーシャルゲームを提供することを中止した者については,当該措置を取りやめていた。
3 ディー・エヌ・エーの前記2の行為により,グリーは,第二次リリース以降,前記2(2)アの要請を受けた特定ソーシャルゲーム提供事業者の少なくとも過半について,GREEを通じて新たにソーシャルゲームを提供させることが困難となっていた。
4 平成22年12月8日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同月15日にディー・エヌ・エーは多くのソーシャルゲーム提供事業者が参加する会合で前記2(3)の措置を取りやめる方針を示し,同日頃以降,前記2(3)の措置を取りやめていることから,ディー・エヌ・エーが特定ソーシャルゲーム提供事業者に対し,GREEを通じてソーシャルゲームを提供した場合に当該特定ソーシャルゲーム提供事業者がモバゲータウンを通じて提供するソーシャルゲームのリンクをモバゲータウンのウェブサイトに掲載しないようにすることにより,GREEを通じてソーシャルゲームを提供しないようにさせていた行為は行われていないと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば,ディー・エヌ・エーは,自社と国内において競争関係にあるグリーと特定ソーシャルゲーム提供事業者とのソーシャルゲームに係る取引を不当に妨害していたものであって,この行為は,不公正な取引方法(昭和57年公正取引委員会告示第15号)の第14項に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するものである。このため,ディー・エヌ・エーは,独占禁止法第20条第2項において準用する独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,違反行為が行われなくなったことが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,ディー・エヌ・エーに対し,独占禁止法第20条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成23年6月9日

公 正 取 引 委 員 会

委員長 竹  島  一  彦

委 員 後  藤     晃

委 員 神  垣  清  水

委 員 濵  田  道  代

委 員 細  川     清

別紙

番号 用語 定義
1 携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービス 会員として登録した者間の交流のための通信機能を備え,ゲーム等のアプリケーションソフトにおいても,当該機能を利用することが可能な携帯電話向けウェブサイトを提供するサービス
2 登録ユーザー 携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスの利用のため会員として登録した者
3 ソーシャルゲーム 携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを通じてその登録ユーザーに提供されるゲームであって,登録ユーザー間の交流のための通信機能を利用することが可能なもの
4 ソーシャルゲーム提供事業者 ソーシャルゲームを提供する事業者(株式会社ディー・エヌ・エー及びグリー株式会社を除く。)
5 オープン化 携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを提供する事業者が,「API」と称するプログラムに係る情報をソーシャルゲーム提供事業者に公開し,自社の携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを通じてソーシャルゲーム提供事業者にソーシャルゲームを提供させるようにすること






平成23年6月9日

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