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VVFケーブルの製造業者及び販売業者に対する件

独禁法3条後段

平成23年(措)第7号

排除措置命令

平成23年(措)第7号
排除措置命令書

東京都港区三田一丁目4番28号
矢崎総業株式会社
同代表者 代表取締役 矢崎 信二

大阪府柏原市本郷五丁目5番48号
富士電線工業株式会社
同代表者 代表取締役 永野 隆彦

堺市美原区木材通四丁目10番2号
弥栄電線株式会社
同代表者 代表取締役 岡 晃弘

大阪府八尾市曙町一丁目7番地
協和電線工業株式会社
同代表者 代表取締役 岡田 永信

名古屋市熱田区八番二丁目17番9号
愛知電線株式会社
同代表者 代表取締役 前田 将行

大阪市東淀川区小松三丁目20番46号
カワイ電線株式会社
同代表者 代表取締役 小池 一志

東京都板橋区宮本町45番4号
菅波電線株式会社
同代表者 代表取締役 菅波 一雄

大阪市北区堂島浜二丁目1番9号
協和電線株式会社
同代表者 代表取締役 石橋 久和

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。

主文
1 矢崎総業株式会社(以下「矢崎総業」という。),富士電線工業株式会社(以下「富士電線工業」という。),弥栄電線株式会社(以下「弥栄電線」という。),協和電線工業株式会社(以下「協和電線工業」という。),愛知電線株式会社(以下「愛知電線」という。),カワイ電線株式会社(以下「カワイ電線」という。),菅波電線株式会社(以下「菅波電線」という。)及び協和電線株式会社(以下「協和電線」という。)の8社(以下「8社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会(菅波電線にあっては株主総会)において決議しなければならない。
(1) 販売業者に対して販売される別紙記載の製品(以下「特定VVFケーブル」という。)について,遅くとも平成18年6月1日までに8社並びに住電日立ケーブル株式会社(以下「住電日立ケーブル」という。),古河エレコム株式会社(以下「古河エレコム」という。)及び昭和電線ケーブルシステム株式会社(以下「昭和電線ケーブルシステム」という。)の3社(以下「3社」という。)の11社(以下「11社」という。)が共同して行った,11社の販売価格(矢崎総業が矢崎総業北海道販売株式会社(以下「矢崎総業北海道販売」という。),矢崎総業四国販売株式会社(以下「矢崎総業四国販売」という。)及び有限会社沖縄矢崎販売(以下「沖縄矢崎販売」という。)の3社(以下「矢崎総業子会社3社」という。)を通じて販売する場合にあっては矢崎総業子会社3社の販売価格,富士電線工業にあっては富士電線販賣株式会社(以下「富士電線販賣」という。)の販売価格,カワイ電線にあってはカワイ電線商事株式会社(以下「カワイ電線商事」という。)の販売価格をいう。以下同じ。)を決定していく旨の合意が消滅している旨(協和電線にあっては当該合意に基づく行為を取りやめている旨)を確認すること
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定VVFケーブルの販売価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(3) 今後,相互に,又は他の事業者と,特定VVFケーブルの販売価格の改定に関して情報交換を行わない旨
(4) 平成18年6月1日以降,協和電線にあっては平成21年2月6日まで,3社にあっては同年6月2日まで,8社のうち協和電線を除く7社(以下「7社」という。)にあっては同年12月17日までの間に,各社が使用していた,特定VVFケーブルのうち一般品(シースが灰色無地のものをいう。以下同じ。)の販売価格が銅建値(日鉱金属株式会社(平成22年7月1日以降はJX日鉱日石金属株式会社)が公表している電気銅(電解精製等により銅成分99.99パーセント以上に精製した銅製品をいう。以下同じ。)1トン当たりの価格をいう。以下同じ。)ごとに品目別に記載された表(以下「価格表」という。)を破棄する旨
2 8社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く7社及び3社に通知するとともに,自社の取引先である特定VVFケーブルの販売業者(矢崎総業にあっては矢崎総業子会社3社の取引先である特定VVFケーブルの販売業者を含み,富士電線工業にあっては富士電線販賣の取引先である特定VVFケーブルの販売業者を,カワイ電線にあってはカワイ電線商事の取引先である特定VVFケーブルの販売業者をいう。)に周知し,かつ,自社の従業員(矢崎総業にあっては矢崎総業子会社3社の従業員を,富士電線工業にあっては富士電線販賣の従業員を,カワイ電線にあってはカワイ電線商事の従業員を,それぞれ含む。)に周知徹底しなければならない。これらの通知,周知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 8社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定VVFケーブルの販売価格を決定してはならない。
4 8社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,特定VVFケーブルの販売価格の改定に関して情報交換を行ってはならない。
5 8社は,価格表を破棄しなければならない。
6 8社は,それぞれ,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理由
第1 事実
1(1)ア(ア) 矢崎総業は,肩書地に本店を置き,特定VVFケーブルの製造業を営む者である。
(イ) 矢崎総業は,その議決権の全てを有する子会社として矢崎総業北海道販売を,その議決権の9割を有する子会社として矢崎総業四国販売及び沖縄矢崎販売を有しているところ,これら矢崎総業子会社3社は,特定VVFケーブルについて,矢崎総業の定めた事業方針に従い,矢崎総業の指示の下,それぞれ,北海道地区,四国地区及び沖縄地区において特定VVFケーブルの販売事業を行っている。
イ(ア) 富士電線工業は,肩書地に本店を置き,特定VVFケーブルの製造業を営む者である。
(イ) 富士電線工業は,自社が製造する特定VVFケーブルを,全ての役員を自社の役員が兼任している富士電線販賣に販売しているところ,富士電線販賣は,富士電線工業との協議により策定された販売計画に従って,特定VVFケーブルの販売事業を行っている。
ウ 弥栄電線,協和電線工業,愛知電線及び菅波電線は,それぞれ,肩書地に本店を置き,特定VVFケーブルの製造業を営む者である。
エ(ア) カワイ電線は,肩書地に本店を置き,特定VVFケーブルの製造業を営む者である。
(イ) カワイ電線は,その議決権の全てを有する子会社としてカワイ電線商事を有しているところ,カワイ電線商事は,カワイ電線との協議により策定された販売計画に従って,特定VVFケーブルの販売事業を行っている。
オ 協和電線は,肩書地に本店を置き,特定VVFケーブルの販売業を営む者である。
カ 名宛人以外の住電日立ケーブルは,東京都台東区東上野六丁目9番3号に本店を置き,特定VVFケーブルの販売業を営む者である。
キ 名宛人以外の古河エレコムは,東京都千代田区内神田二丁目16番8号に本店を置き,特定VVFケーブルの販売業を営む者である。
ク 名宛人以外の昭和電線ケーブルシステムは,東京都港区虎ノ門一丁目1番18号に本店を置き,特定VVFケーブルの製造業を営む者である。
(2)ア(ア) 11社から矢崎総業,富士電線工業及びカワイ電線の3社を除いた8社は,それぞれ,特定VVFケーブルを販売業者に対して直接販売していた。
(イ) 矢崎総業は,特定VVFケーブルを販売業者に対して直接販売するほか,北海道地区,四国地区及び沖縄地区においては,矢崎総業子会社3社を通じて販売業者に対して販売していた。
(ウ) 富士電線工業は富士電線販賣を通じて,カワイ電線はカワイ電線商事を通じて,それぞれ,特定VVFケーブルを販売業者に対して販売していた。
(エ) 特定VVFケーブルの販売業者には,電気資材を総合的に取り扱う販売業者(以下「電材店」という。)と電線を専門的に取り扱う販売業者(以下「専業店」という。)があり,専業店は主として電材店に対して販売していた。
イ 別紙記載の製品(以下「VVFケーブル」という。)は,その製造原価の大部分を電気銅の購入費用が占めているため,その販売価格は,銅建値の変動に大きく左右されるところ,11社は,それぞれ,銅建値等を踏まえて,特定VVFケーブルの販売価格を決定していた。
また,VVFケーブルには,一般品及び特殊品(一般品以外のものをいう。以下同じ。)があるところ,特殊品の販売価格は,一般品の販売価格に,その加工に要する費用を上乗せして決定されていた。
(3) 平成18年6月から平成21年12月までの期間を通じて,7社の特定VVFケーブルの販売金額の合計は,我が国における特定VVFケーブルの総販売金額の大部分を占めており,11社から協和電線を除いた10社の特定VVFケーブルの販売金額の合計は,我が国における特定VVFケーブルの総販売金額のほとんど全てを占めていた。
2 11社は,かねてから,各社の営業部長級の者による会合を開催するなどして,特定VVFケーブルの販売価格等に関し情報交換を行ってきたところ,平成18年頃以降銅建値が急騰したことから,遅くとも平成18年6月1日までに,特定VVFケーブルについて,11社の販売価格の引上げ又は維持を図るため
(1) 一般品の販売価格については
ア 電材店に対する販売価格は,銅建値等を勘案して話合いにより線心数が2本で導体径が1.6ミリメートルのもの(以下「イチロクニシン」という。)の販売価格を定め,これ以外の品目の販売価格は,イチロクニシンの販売価格に連動させることにより決定する
イ 専業店に対する販売価格は,前記アで定まる電材店に対する販売価格に連動させることにより決定する
(2) 特殊品の販売価格については,前記(1)で定まる一般品の販売価格に,その加工に要する費用を上乗せすることにより決定する
こととし,品目別に11社の販売価格を決定していく旨合意した。
3(1) 11社は,前記2の合意に基づき,各社の営業部長級の者による会合を開催して銅建値等を勘案して話合いにより電材店に対する一般品のイチロクニシンの販売価格を定めるとともに,特定VVFケーブルのうち一般品の販売価格が銅建値ごとに品目別に記載された表を作成又は改定するなどして,特定VVFケーブルの11社の販売価格をおおむね引き上げ又は維持していた。
(2) 11社は,前記2の合意の実効を確保するため,各社の営業部長級の者による会合を開催するなどし,前記2の合意に基づき定めた販売価格に係る各社の状況等について継続的に情報交換を行うなどしていた。
4(1) 協和電線は,平成21年2月6日,各社の営業部長級の者による会合において,今後会合に参加しない旨を表明し,同日以降,前記2の合意に基づく行為を取りやめている。
(2) 3社は,平成21年6月2日,公正取引委員会が,平成22年(措)第11号ないし同第14号により措置を命じた事件において,昭和電線ケーブルシステム並びに住電日立ケーブル及び古河エレコムの関連会社等の光ファイバケーブル製品及び同関連製品の製造販売業者の営業所等に独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,前記2の合意に基づく行為を取りやめている。
(3) 平成21年12月17日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,7社は,前記2の合意に基づく行為を取りやめている。このため,同日以降,同合意は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば,11社は,共同して,特定VVFケーブルの11社の販売価格を決定していく旨を合意することにより,公共の利益に反して,我が国における特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。このため,11社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,違反行為が長期間にわたって行われていたこと,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,8社については,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,8社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成23年7月22日

公正取引委員会

委員長 竹島 一彦

委 員 後藤 晃

委 員 神垣 清水

委 員 濵田 道代

委 員 細川 清

別紙

600ボルトビニル絶縁ビニルシースケーブル平形のうち,次に掲げる品目
1 線心数が2本で導体径が1.6ミリメートルのもの
2 線心数が2本で導体径が2.0ミリメートルのもの
3 線心数が2本で導体径が2.6ミリメートルのもの
4 線心数が3本で導体径が1.6ミリメートルのもの
5 線心数が3本で導体径が2.0ミリメートルのもの
6 線心数が3本で導体径が2.6ミリメートルのもの
7 線心数が4本で導体径が1.6ミリメートルのもの
8 線心数が4本で導体径が2.0ミリメートルのもの

平成23年7月22日

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