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愛知電線(株)に対する件

独禁法66条2項(独禁法7条の2)

平成23年(判)第87号

審判請求棄却審決(課徴金の納付を命ずる審決)

名古屋市熱田区八番二丁目17番9号
被審人 愛知電線株式会社
同代表者 代表取締役 前 田 将 行
同代理人 弁 護 士 那 須 國 宏
同          岩 﨑 友 就
同          﨑 田 祥 子
同          安 田 昂 央
上記被審人代理人岩﨑友就復代理人
           神 田 輝 生

公正取引委員会は,上記被審人に対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)に基づく課徴金納付命令審判事件について,公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号。以下「規則」という。)第73条の規定により審判長審判官後藤健,審判官真渕博及び審判官山田健男から提出された事件記録並びに規則第75条の規定により被審人から提出された異議の申立書及び規則第77条の規定により被審人から聴取した陳述に基づいて,同審判官らから提出された別紙審決案を調査し,次のとおり審決する。

主       文
被審人の各審判請求をいずれも棄却する。

理       由
1 当委員会の認定した事実,証拠,判断及び法令の適用は,いずれも別紙審決案の理由第1ないし第7と同一であるから,これらを引用する。
2 よって,被審人に対し,独占禁止法第66条第2項及び規則第78条第1項の規定により,主文のとおり審決する。

平成25年2月4日

公 正 取 引 委 員 会
委員長代理委員  濵  田  道  代
委     員  小 田 切  宏  之
委     員  幕  田  英  雄

平成23年(判)第87号

審   決   案

名古屋市熱田区八番二丁目17番9号
被審人 愛知電線株式会社
同代表者 代表取締役 前 田 将 行
同代理人 弁 護 士 那 須 國 宏
同          岩 﨑 友 就
同          﨑 田 祥 子
同          安 田 昂 央

上記被審人に対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)に基づく課徴金納付命令審判事件について,公正取引委員会から独占禁止法第56条第1項及び公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号。以下「規則」という。)第12条第1項の規定に基づき担当審判官に指定された本職らは,審判の結果,次のとおり審決することが適当であると考え,規則第73条及び第74条の規定に基づいて本審決案を作成する。

主       文
 被審人の各審判請求をいずれも棄却する。

理       由
第1 審判請求の趣旨
1 主位的請求
平成23年(納)第96号課徴金納付命令の取消しを求める。
2 予備的請求
平成23年(納)第96号課徴金納付命令のうち,2億2887万円を超えて納付を命じた部分の取消しを求める。
第2 事案の概要(当事者間に争いのない事実及び公知の事実)
1 公正取引委員会は,被審人が,他の事業者と共同して,販売業者に対して販売される別紙記載の製品(以下「特定VVFケーブル」という。)の販売価格を決定していく旨を合意することにより(以下,この合意を「本件合意」という。),公共の利益に反して,我が国における特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限していたものであり,これは独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,同法第3条の規定に違反するものであるとして,平成23年7月22日,被審人を含む8社に対し,排除措置を命じた(平成23年(措)第7号。以下「本件排除措置命令」という。)。排除措置命令書の謄本は,同月25日,被審人に送達された。
2 公正取引委員会は,本件排除措置命令に係る違反行為(以下「本件違反行為」という。)は独占禁止法第7条の2第1項第1号に規定する商品の対価に係るものであるとして,平成23年7月22日,被審人に対し,3億2696万円の課徴金の納付を命じた(平成23年(納)第96号。以下「本件課徴金納付命令」という。)。課徴金納付命令書の謄本は,同月25日,被審人に送達された。
3 被審人は,平成23年9月15日,本件合意自体不存在であり,少なくとも本件合意に被審人は関与していないなどとして本件排除措置命令について,また,本件違反行為について行われた立入検査は適正手続に反するなどとして本件課徴金納付命令について,それぞれ,全部の取消しを求めて審判請求を行い,審判手続が開始された。被審人は,平成24年2月28日,本件排除措置命令に係る審判請求を取り下げたため,独占禁止法第52条第5項の規定により本件排除措置命令は確定した。
第3 前提となる事実等(末尾に括弧書きで証拠を掲記した事実は当該証拠から認定される事実であり,その余の事実は当事者間に争いのない事実又は公知の事実である。)
1 被審人について
(1) 被審人は,特定VVFケーブルの製造業等を営む者である。
(2) 被審人は,本件違反行為の実行期間(平成18年12月17日から平成21年12月16日までの3年間)を通じて,資本金の額が3億円以下の会社であって,電線の製造業を主たる事業として営んでいた者である。したがって,被審人は,独占禁止法第7条の2第5項第1号に該当する事業者である。
(3) 前記実行期間における特定VVFケーブルに係る被審人の売上額は,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令(昭和52年政令第317号)第5条第1項の規定に基づき算定すると,81億7413万5853円である。
2 立入検査から本件排除措置命令に至る経緯
(1) 公正取引委員会は,平成21年12月17日,独占禁止法第47条第2項の規定に基づいて同条第1項第4号の規定により,矢崎総業株式会社(以下「矢崎総業」という。),住電日立ケーブル株式会社,古河エレコム株式会社及び昭和電線ケーブルシステム株式会社の計4社(以下「矢崎総業ら4社」という。)の営業所等に立入検査を行った(以下,この時の立入検査を「一次立入検査」という。)。(査第93号証ないし第96号証)
この立入検査の際に審査官が各事業者に対して交付した「被疑事実等の告知書」(公正取引委員会の審査に関する規則〔平成17年公正取引委員会規則第5号〕第20条参照)には,「事件名」として「平成21年(査)第11号 建設・電販向け電線・ケーブルの製造販売業者らに対する件」,「法の規定に違反する被疑事実の要旨」として「建設・電販向け電線・ケーブルの製造販売業者らは,共同して,電線・ケーブルの販売価格の引上げ又は維持を行っている疑いがある。」,「関係法条」として「独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)」とそれぞれ記載されていた。(査第97号証ないし第100号証)
(2) 公正取引委員会は,平成22年4月13日,独占禁止法第47条第2項の規定に基づいて同条第1項第4号の規定により,被審人のほか,富士電線工業株式会社,弥栄電線株式会社,協和電線工業株式会社,カワイ電線株式会社,菅波電線株式会社及び協和電線株式会社の計7社(以下「被審人ら7社」という。)の営業所等に立入検査を行った(以下,この時の立入検査を「二次立入検査」という。)。この立入検査の際に審査官が各事業者に対して交付した「被疑事実等の告知書」には,「事件名」,「法の規定に違反する被疑事実の要旨」等として,一次立入検査の際に交付された「被疑事実等の告知書」と同一のものが記載されていた(両立入検査の際にそれぞれ交付された「被疑事実等の告知書」の内容は同一であるので,以下,交付された「被疑事実等の告知書」を「本件告知書」といい,そこに記載された「事件名」及び「法の規定に違反する被疑事実の要旨」をそれぞれ「本件事件名」及び「本件被疑事実」という。)。(査第108号証ないし第115号証)
(3) 被審人の代表者は,二次立入検査の当日に,課徴金減免制度に基づく申請(課徴金減免申請)を行うために,公正取引委員会事務総局審査局の課徴金減免管理官に対して電話で事前相談を行った。それに対して,公正取引委員会の担当職員は,独占禁止法第7条の2第12項第1号及び課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第7号)第5条に規定する20日間の期限を既に経過しているとして,申請は受け付けられない旨の回答を行った。
被審人の代表者は,立入検査の当日に事前相談を行ったにもかかわらず20日間の期限を過ぎているとの回答に疑問を抱いたものの,そのような回答である以上仕方がないと思い,課徴金減免申請を行わなかった。その後,平成23年6月頃,被審人の代表者は,公正取引委員会から本件排除措置命令に係る命令書(案)の送付を受け,本件違反行為についての立入検査が平成21年12月17日に行われていたことを知った。
(審第2号証)
(4) 公正取引委員会は,平成22年11月18日,電気工事業者又は販売業者に対して販売される3品種(電気設備に関する技術基準を定める省令〔平成9年通商産業省令第52号。以下「省令」という。〕第1条第6号に規定する電線〔省令第2条第1項第3号に規定する特別高圧の電気の伝送に使用されるものを除く。〕のうち,CV〔架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルをいう。以下同じ。〕,CVV〔制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブルをいう。以下同じ。〕及びIV〔ビニル絶縁電線をいう。以下同じ。〕並びにこれらの派生品〔CV,CVV及びIVについて用途・目的等に応じてその素材を変更し,又は加工を施すなどしたものをいう。ただし,分岐付きケーブルを除く。〕であって,電気工事業者及び販売業者以外の者から見積り依頼を受けた販売業者に対して販売されるものを除く。以下「3品種」という。)の製造業者及び販売業者に対し,排除措置命令及び課徴金納付命令を行った(公正取引委員会平成22年11月18日排除措置命令・公正取引委員会審決集第57巻第2分冊45頁,公正取引委員会平成22年11月18日課徴金納付命令・公正取引委員会審決集第57巻第2分冊98頁)。
これらの命令において違反行為者として特定された事業者の中には,一次立入検査を受けた矢崎総業ら4社はいずれも含まれていたが,二次立入検査を受けた被審人ら7社はいずれも含まれていなかった。
(5) 公正取引委員会は,前記第2の1及び2のとおり,平成23年7月22日,本件排除措置命令及び本件課徴金納付命令を行った。
本件排除措置命令等において違反行為者として特定された事業者は,一次立入検査を受けた矢崎総業ら4社と二次立入検査を受けた被審人ら7社を合わせた11社であった(ただし,本件排除措置命令の名宛人とされているのは,一次立入検査を受けた矢崎総業と二次立入検査を受けた被審人ら7社の計8社である。)。
第4 本件の争点
1 被審人の課徴金減免申請に係る事前相談に対し,期限を経過しているとしてこれを不可とした公正取引委員会の対応は,違法・不当なものであり,適正手続の保障を定めた憲法第31条に違反するか。(争点1)
2 被審人の課徴金減免申請に係る事前相談に対し,期限を経過しているとしてこれを不可とした公正取引委員会の対応は,違法・不当なものであり,それにより課徴金減免申請の機会を逸した被審人には,実質的にみて,独占禁止法第7条の2第12項に基づく課徴金減免申請の効果が認められるべきか。(争点2)
第5 争点についての双方の主張
1 争点1について
(1) 被審人の主張
ア  被審人が二次立入検査の際に交付を受けた本件告知書には,前記第3の2(1)及び(2)のとおり,本件事件名及び本件被疑事実が記載されているが,その記載が抽象的であって,特定VVFケーブルの取引を対象としたものかどうかが明確ではない。したがって,本件告知書に基づいて行われた立入検査は,一次立入検査も二次立入検査も,独占禁止法第7条の2第12項に基づく課徴金減免申請の認められる期間の起算日としての立入検査にはなり得ない。
イ  一次立入検査は,建設用電線のうち3品種の取引について行われたものであって,特定VVFケーブルの取引を対象としたものではない。このことは,審査官自身,一次立入検査が3品種の取引を対象としたものである旨を録取した供述調書を作成することにより自認していることから明らかである。
ウ  前記ア及びイにもかかわらず,被審人の課徴金減免申請に係る事前相談に対して,調査開始日から20日間を経過しているとして,課徴金減免申請を不可とした公正取引委員会の対応は違法・不当であり,適正手続の保障を定めた憲法第31条に違反する。したがって,本件課徴金納付命令は取り消されるべきである。
(2) 審査官の主張
ア  一次立入検査及び二次立入検査は,前記第3の2(1)及び(2)のとおり,いずれも,本件被疑事実について,本件合意の当事者を含む建設・電販向け電線・ケーブルの製造販売業者に対して行われており,各立入検査において留置された留置物をみても,本件合意に係る事実の調査のために行われたものであることは明らかである。そして,独占禁止法第7条の2における「調査開始日」が違反行為に係る事件ごとに判断されることを踏まえれば,本件における調査開始日は,一次立入検査が行われた平成21年12月17日となる。
イ  公正取引委員会が一次立入検査において調査の対象としたのは本件被疑事実についてであり,その後の審査の結果,最終的に3品種と特定VVFケーブルそれぞれに関して排除措置命令等を行ったが,調査開始の段階においては,当然,それらの違反行為の全容が解明されているわけでもなく,一次立入検査は,端的に「建設・電販向け電線・ケーブル」について価格カルテルの疑いが存在したため,行ったものである。
また,供述調書は,公正取引委員会の職員が,事件関係人又は参考人が任意に供述した場合において,必要があると認めるときに,これを録取して作成するものであって,供述人の供述した内容を録取したものにすぎず,審査官の認識を記載するものではないから,前記(1)イの被審人の主張は失当である。
ウ  前記ア及びイのとおりであるから,被審人の課徴金減免申請に係る事前相談に対して,調査開始日から20日間を経過しているとして,課徴金減免申請を不可とした公正取引委員会の対応に何ら違法・不当な点はない。
2 争点2について
(1) 被審人の主張
前記1(1)ウに掲げる公正取引委員会の違法・不当な対応により課徴金減免申請の機会を逸した被審人には,実質的にみて,独占禁止法第7条の2第12項に基づく課徴金減免申請の効果が認められるべきであり,同条項によって減額されるべきであった課徴金相当額の範囲で,すなわち,2億2887万円を超えて納付を命じた部分について,本件課徴金納付命令は取り消されるべきである。
(2) 審査官の主張
前記1(2)ウのとおり,被審人の課徴金減免申請に係る事前相談に対して,調査開始日から20日間を経過しているとして,課徴金減免申請を不可とした公正取引委員会の対応に何ら違法・不当な点はない。
また,被審人は有効な課徴金減免申請を行っておらず,被審人に課徴金減免申請の効果が認められる余地はない。調査開始日以後の課徴金減免申請には,「調査開始日から20日を経過した日まで」という要件に加えて,「公正取引委員会が把握していない事実に係る報告及び資料の提出」等の要件を備える必要があるが,被審人がこれらの要件を満たした申請を行ったという事実はない。さらに,被審人は,「実質的にみて」課徴金減免申請の効果が認められるべきと主張するが,法的根拠を欠くものである。
第6 審判官の判断
1 争点1について
(1) 被審人は,本件告知書の本件事件名及び本件被疑事実の記載が抽象的であり,特定VVFケーブルの取引を対象としたものかどうかが明確ではないから,本件告知書に基づいて行われた一次立入検査及び二次立入検査は,いずれも独占禁止法第7条の2第12項に基づく課徴金減免申請の認められる期間の起算日としての立入検査にはなり得ないと主張する。
前記第3の2のとおり,本件告知書には,本件事件名として「平成21年(査)第11号 建設・電販向け電線・ケーブルの製造販売業者らに対する件」,本件被疑事実として「建設・電販向け電線・ケーブルの製造販売業者らは,共同して,電線・ケーブルの販売価格の引上げ又は維持を行っている疑いがある。」と記載されており,「建設・電販向け電線・ケーブル」が,多種多様な電線・ケーブル(審第1号証)の全部なのか,そのうちの特定の一部なのかは不明である。
しかし,特定VVFケーブルが「電線・ケーブル」に含まれることは文言上明らかであるし,証拠(査第2号証ないし第4号証,第6号証ないし第8号証)によれば,被審人は特定VVFケーブル等を製造して,電設資材全般を扱う問屋を中心に販売していたものであって,被審人が「建設・電販向け電線・ケーブルの製造販売業者ら」に該当することも容易に認められるから,「電線・ケーブル」と記載されている本件被疑事実が特定VVFケーブルについてのカルテルである本件違反行為を含むこともまた明らかである。
そして,証拠(査第101号証ないし第104号証,第116号証)によれば,一次立入検査の際に矢崎総業ら4社から留置された留置物及び二次立入検査の際に被審人から留置された留置物の双方の中に本件合意に関する文書が含まれていたことが認められ,前記第3のとおり,一次立入検査を受けた矢崎総業ら4社と二次立入検査を受けた被審人ら7社は,いずれも本件排除措置命令において本件合意の当事者とされているから,一次立入検査と二次立入検査は,いずれも,本件違反行為について実施されたものであることが認められる。
上記のとおり,一次立入検査は本件違反行為についての調査であるといえるから,一次立入検査の日が独占禁止法第7条の2第12項にいう「当該違反行為に係る事件についての調査開始日」に該当する。そして,前記のとおり,「電線・ケーブル」と記載されている本件被疑事実が特定VVFケーブルについてのカルテルである本件違反行為を含むことは明らかであるから,本件告知書の本件事件名及び本件被疑事実の記載が抽象的であり,特定VVFケーブルの取引を対象としたものかどうかが明確ではないことを理由とする被審人の主張は理由がない。
(2) 被審人は,一次立入検査は,建設用電線のうち3品種の取引について行われたものであって,特定VVFケーブルの取引を対象としたものではなく,したがって,一次立入検査をもって本件違反行為についての調査ということはできないと主張する。
そして,前記第3の2(4)のとおり,公正取引委員会は,平成22年11月18日,3品種についてのカルテルを理由に3品種の製造販売業者に対して排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。3品種は「電線・ケーブル」に含まれるから,本件被疑事実が3品種についてのカルテルを含むことも明らかであり,一次立入検査は3品種についてのカルテルに関して実施されたものといえる。
しかし,前記(1)のとおり,本件被疑事実は,特定VVFケーブルについてのカルテルである本件違反行為を含むものであり,一次立入検査は本件違反行為及び3品種についてのカルテルの双方について実施されたということができるのであって,一次立入検査が3品種について実施されたからといって,本件違反行為について実施されなかったとはいえない。
供述調書(査第84号証ないし第86号証)中には,3品種の製造販売業者に対して一次立入検査が行われ,いずれVVFケーブルに関しても公正取引委員会の立入検査が実施されるのではないかとの危惧を抱いた旨述べる部分が存在するが,これらの供述は,一次立入検査を受けなかった本件違反行為者の担当者が述べているにすぎない上,一次立入検査が3品種に限って行われたとの趣旨を述べるものとは解されないから,これらの供述は,本件違反行為も含めて一次立入検査の対象であったとの上記認定を左右するに足りない。
(3) 以上によれば,本件における独占禁止法第7条の2第12項の「調査開始日」は,一次立入検査が行われた平成21年12月17日と認められる。そうすると,二次立入検査が行われた平成22年4月13日の被審人代表者による課徴金減免申請に係る事前相談に対して,調査開始日から既に20日間を経過していることを理由に本件に係る課徴金減免申請を受け付けられないとした公正取引委員会の担当職員の対応に何ら違法・不当な点はないから,それが適正手続の保障を定めた憲法第31条に違反するとの被審人の主張は失当である。
2 争点2について
前記1のとおり,平成22年4月13日の被審人の代表者による課徴金減免申請に係る事前相談に対して,調査開始日から既に20日間を経過していることを理由に本件に係る課徴金減免申請を受け付けられないとした公正取引委員会の担当職員の対応に何ら違法・不当な点はないから,この点を理由に独占禁止法第7条の2第12項に基づく課徴金減免申請の効果が認められるべきであるとする被審人の主張は理由がない。
なお,前記第3の2(3)のとおり,被審人は,課徴金減免申請に係る事前相談に対する公正取引委員会の担当職員の対応を受けて,課徴金減免申請を行わなかったのであるから,公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行ったことを要件として課徴金減免申請の効果を認める独占禁止法第7条の2第12項を適用する余地はなく,この点からも被審人の主張は理由がない。
3 被審人が納付すべき課徴金の額
被審人が国庫に納付すべき課徴金の額は,独占禁止法第7条の2第1項及び第5項の規定により,被審人の売上額81億7413万5853円(前記第3の1(3)参照)に100分の4を乗じて得た額から,同条第23項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて算出された3億2696万円である。
第7 法令の適用
以上によれば,被審人に対し,原処分のとおり課徴金の納付を命ずるべきであり,被審人の本件課徴金納付命令に対する各審判請求はいずれも理由がないから,独占禁止法第66条第2項の規定により,主文のとおり審決することが相当であると判断する。

平成24年11月1日

公正取引委員会事務総局

審判長審判官  後 藤   健

審判官  真 渕   博

審判官  山 田 健 男


別紙

600ボルトビニル絶縁ビニルシースケーブル平形のうち,次に掲げる品目
1 線心数が2本で導体径が1.6ミリメートルのもの
2 線心数が2本で導体径が2.0ミリメートルのもの
3 線心数が2本で導体径が2.6ミリメートルのもの
4 線心数が3本で導体径が1.6ミリメートルのもの
5 線心数が3本で導体径が2.0ミリメートルのもの
6 線心数が3本で導体径が2.6ミリメートルのもの
7 線心数が4本で導体径が1.6ミリメートルのもの
8 線心数が4本で導体径が2.0ミリメートルのもの

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