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軸受製造販売業者に対する件

独禁法3条後段

平成25年(措)第6号

排除措置命令

平成25年(措)第6号
排 除 措 置 命 令 書
大阪市西区京町堀一丁目3番17号
NTN株式会社
同代表者 代表取締役 髙 木 重 義
東京都品川区大崎一丁目6番3号
日本精工株式会社
同代表者 代表執行役 大 塚 紀 男
富山市不二越本町一丁目1番1号
株式会社不二越
同代表者 代表取締役 本 間 博 夫
公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。

主 文
1 NTN株式会社(以下「NTN」という。),日本精工株式会社(以下「日本精工」という。)及び株式会社不二越(以下「不二越」という。)の3社(以下「3社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 3社及び株式会社ジェイテクト(以下「ジェイテクト」という。)の4社(以下「4社」という。)が共同して行った,以下の合意が消滅している旨を確認すること
ア 平成22年7月1日以降に納入する別紙の番号1記載の軸受(以下「産業機械用軸受」という。)の販売価格を,同年6月時点における4社の販売価格から,一般軸受につき8パーセントを,大型軸受につき10パーセントを,それぞれ引き上げることを需要者等に申し入れるなどして,軸受の原材料である鋼材の仕入価格の値上がり分を産業機械用軸受の販売価格に転嫁することを目途に引き上げること,並びに,具体的な販売価格引上げ交渉に当たっては,販売地区及び主要な需要者ごとに4社が連絡,協議しながら行うことの合意
イ 平成22年7月1日以降に納入する別紙の番号2記載の軸受(以下「自動車用軸受」という。)の販売価格を,同年6月時点における4社の販売価格から,軸受の原材料である鋼材の投入重量1キログラム当たり20円を目途に引き上げることの合意
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(3) 今後,相互に,又は他の事業者と,産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売価格の改定に関して情報交換を行わない旨
2 3社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く2社,ジェイテクト,自社の販売子会社,自社の産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売代理店(代理店契約を締結していない販売業者を含む。以下同じ。)及び自社又は自社の販売子会社若しくは自社の産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売代理店が販売価格を交渉する産業機械用軸受又は自動車用軸受の需要者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 3社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売価格を決定してはならない。
4 3社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,産業機械用軸受又は自動車用軸受の販売価格の改定に関して情報交換を行ってはならない。
5 3社は,今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前2項の行為をすることのないようにするために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 自社の従業員に対する,自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底
(2) 産業機械用軸受及び自動車用軸受の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての,産業機械用軸受及び自動車用軸受の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
6 3社は,それぞれ,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
理 由
第1 事実
1 (1) ア NTN及び日本精工の2社は,それぞれ,肩書地に本店を置き,産業機械用軸受及び自動車用軸受を製造し,自ら又は販売代理店を通じて販売していた。
イ 不二越は,肩書地に本店を置き,産業機械用軸受及び自動車用軸受を製造し,自ら又は自社の販売子会社若しくは販売代理店を通じて販売していた。
ウ 名宛人以外のジェイテクトは,大阪市中央区南船場三丁目5番8号に本店を置き,産業機械用軸受及び自動車用軸受を製造し,自ら又は自社の販売子会社若しくは販売代理店を通じて販売していた。 なお,ジェイテクトは,光洋精工株式会社が平成18年1月1日に現商号に変更したものである。
(2) 4社は,それぞれ,産業機械用軸受又は自動車用軸受の需要者向け販売価格について,直接需要者と交渉し,又は自社の販売子会社若しくは販売代理店に需要者と交渉させて定め,自社の販売子会社又は販売代理店を通じて需要者に販売する場合には,需要者向け販売価格から自社の販売子会社又は販売代理店の口銭を差し引いたものを自らの販売価格としていた。
(3) 4社の産業機械用軸受の販売金額の合計と自動車用軸受の販売金額の合計は,我が国における産業機械用軸受の総販売金額と自動車用軸受の総販売金額のそれぞれ大部分を占めていた。
2 (1) 4社は,平成16年頃から平成20年頃にかけて,軸受の原材料である鋼材の仕入価格の値上がり分を軸受の販売価格に転嫁するため,本社営業責任者級の者による会合,本社営業部長級の者による会合,販売地区ごとの支社・支店の長等による会合,需要者ごとの営業担当者による会合を必要に応じて開催することなどを通じて,軸受の値上げの方針や需要者ごとの値上げ要請の内容等について情報交換を行っていた。
また,4社は,平成22年に入り,鋼材の仕入価格の値上がりが見込まれたことから,同年3月頃以降,軸受の値上げの方向性について情報交換を開始した。
(2) 4社は,平成22年5月下旬頃から同年8月下旬頃までの間,東京都港区芝公園三丁目5番8号所在の機械振興会館等において,産業機械用軸受の販売価格を4社が共同して引き上げること等について,本社営業責任者級の者による会合,本社営業部長級の者による会合,販売地区ごとの支社・支店の長等による会合を開催するなどして協議を重ね,同年7月1日以降に納入する産業機械用軸受の販売価格を,同年6月時点における4社の販売価格から,一般軸受につき8パーセントを,大型軸受につき10パーセントを,それぞれ引き上げることを需要者等に申し入れるなどして,軸受の原材料である鋼材の仕入価格の値上がり分を産業機械用軸受の販売価格に転嫁することを目途に引き上げること,並びに,具体的な販売価格引上げ交渉に当たっては,販売地区及び主要な需要者ごとに4社が連絡,協議しながら行うことを合意した。
(3) 4社は,平成22年7月上旬頃から同月下旬頃までの間,自動車用軸受の販売価格を4社が共同して引き上げること等について,日本精工の本社営業責任者級の者がNTN,不二越及びジェイテクトの本社営業責任者級の者に電話をかけるなどして協議を重ね,同年7月1日以降に納入する自動車用軸受の販売価格を,同年6月時点における4社の販売価格から,軸受の原材料である鋼材の投入重量1キログラム当たり20円を目途に引き上げることを合意した。
3 (1) 4社は,前記2(2)及び(3)の合意の実効を確保するため,本社営業責任者級及び本社営業部長級の者が連絡を取り合うほか,産業機械用軸受について,販売地区及び主要な需要者ごとに営業担当者による会合を開催するなどし,また,自動車用軸受について,主要な需要者ごとに営業担当者による会合を開催するなどし,値上げの進捗状況等について継続的に情報交換を行っていた。
(2) 4社は,前記2(2)及び(3)の合意に基づき,需要者等に対して産業機械用軸受及び自動車用軸受の販売価格を引き上げる旨の申入れを行うなどして,産業機械用軸受については,おおむね鋼材の仕入価格の値上がり分に見合う値上げを達成し,自動車用軸受については,おおむね前記2(3)の合意内容に沿った値上げ幅で需要者と妥結していた。
4 平成23年7月26日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第102条第1項の規定に基づく臨検及び捜索を行ったところ,同日以降,前記3(1)の行為は行われていない。このため,同日以降,前記2(2)及び(3)の合意は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば,4社は,共同して,産業機械用軸受の販売価格を引き上げることを合意することにより,公共の利益に反して,我が国における産業機械用軸受の販売分野における競争を実質的に制限し,また,前記事実によれば,4社は,共同して,自動車用軸受の販売価格を引き上げることを合意することにより,公共の利益に反して,我が国における自動車用軸受の販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,これらの行為は,それぞれ,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。このため,4社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,違反行為が組織的に行われていたこと,違反行為の取りやめが自発的なものではないこと等の諸事情を総合的に勘案すれば,3社については,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,3社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。

平成25年3月29日
公 正 取 引 委 員 会
委員長 杉 本 和 行
委 員 濵 田 道 代
委 員 小田切 宏 之
委 員 幕 田 英 雄

別紙
1 軸受の製造販売業者又はその販売子会社若しくは販売代理店(代理店契約を締結していない販売業者を含む。以下同じ。)が自動車及び自動車部品の製造販売業者等の需要者を除く需要者との間で交渉の上販売価格を決定する玉軸受及びころ軸受(ミニチュア軸受及び小径軸受を除く。)
2 軸受の製造販売業者又はその販売子会社若しくは販売代理店が自動車又は自動車部品の製造販売業者等の需要者との間で交渉の上販売価格を決定する玉軸受及びころ軸受(ミニチュア軸受及び小径軸受を除く。)

平成25年3月29日

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