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(株)ラルズに対する件

独禁法19条(2条9項5号) 

平成25年(措)第9号

排除措置命令

平成25年(措)第9号
排 除 措 置 命 令 書

札幌市中央区南十三条西十一丁目2番32号
株式会社ラルズ
同代表者 代表取締役 守 屋 澄 夫

公正取引委員会は,上記の者に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第20条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文及び理由中の用語のうち,別紙「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 株式会社ラルズ(以下「ラルズ」という。)は,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 遅くとも平成21年4月20日以降,自社と継続的な取引関係にある納入業者のうち別表記載の者(以下「特定納入業者」という。)に対して行っていた次の行為を取りやめていることを確認すること
ア 新規開店又は改装開店に際し,特定納入業者のうち53名に対し,これらを実施する店舗において,当該特定納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品の陳列,補充,撤去等の作業を行わせるため,あらかじめ当該特定納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく,派遣のために通常必要な費用のほとんど全てを負担せずに,当該特定納入業者の従業員等を派遣させていた行為
イ (ア) 新規開店又は改装開店の際に実施するオープンセールに際し,特定納入業者のうち54名に対し,当該セールの「協賛金」の名目で,あらかじめ算出根拠,使途等について明確に説明することなく,当該特定納入業者が得る販売促進効果等の利益を勘案せずに,一方的に決定した額の金銭又は仕入部門ごとに設定した算出方法により算出した額の金銭を提供させていた行為
(イ) 「創業祭」と称するセールに際し,特定納入業者のうち86名に対し,当該セールのためには一部しか充当しないにもかかわらず,当該セールの「協賛金」の名目で,あらかじめ算出根拠,使途等について明確に説明することなく,当該特定納入業者が得る販売促進効果等の利益を勘案せずに,当該特定納入業者からの6か月間の仕入金額に0.45パーセントの料率を乗じて算出した額等の金銭を,さらに,平成23年においては,当該特定納入業者の大部分に対し,創業50周年であることを理由に,前記料率を一方的に0.50パーセントとして算出した額又は前記料率により算出した額に一方的に決定した額を加えた額等の金銭を,それぞれ提供させていた行為
ウ 「紳士服特別販売会」と称するセールにおけるスーツ及びその関連商品(以下「スーツ等」という。)の販売に際し,仕入担当者から,特定納入業者のうち18名に対し,特定納入業者ごとに購入すべき数量を示して購入を要請する又は購入の要請を受けたにもかかわらず購入をしていない特定納入業者等に対しては重ねて購入を要請することなどにより,スーツ等を購入させていた行為
(2) 今後,前記(1)の行為と同様の行為を行わないこと
2 ラルズは,前項に基づいて採った措置を,納入業者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 ラルズは,今後,第1項(1)の行為と同様の行為を行ってはならない。
4 ラルズは,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定
(2) 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての,役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査
5(1) ラルズは,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
(2) ラルズは,前項(2)に基づいて講じた措置の実施内容を,今後3年間,毎年,公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 (1)  ラルズは,肩書地に本店を置き,北海道の区域において,「ビッグハウス」,「ラルズマート」,「スーパーアークス」,「ラルズストア」,「ホームストア」,「ラルズプラザ」,「ファミリープラザ」又は「フレッティ」と称する店舗を運営し,食料品,日用雑貨品,衣料品等の小売業を営む者である。
(2)  ラルズは,自社の店舗で販売する商品のほとんど全てを納入業者から買取りの方法で仕入れており,仕入担当者が,納入業者との間で商談を行い,事前に当該商品の仕入価格等の取引条件を決定していた。納入業者は,食料品,日用雑貨品,衣料品等の製造業者又は卸売業者であり,その多くが北海道の区域に本店又は支店等の事業所を置いて事業を行っていた。
(3)ア ラルズの事業年度は毎年3月1日から始まり翌年2月末日に終わるところ,平成21年2月期から平成24年2月期までの各事業年度におけるラルズの売上高は1000億円を超えて推移しており,これら各事業年度における売上高は年々増加していた。また,これら各事業年度におけるラルズの売上高は,食料品等の小売業を営む事業者の北海道の区域内における売上高の順位において,いずれも,第3位であった。
イ 特定納入業者の中には,平成21年4月20日から平成24年3月13日までの間において,当該特定納入業者の総売上高に占めるラルズに対する売上高の割合が高い又はラルズに対する売上高が大きい者が存在していた。
ウ 特定納入業者の中には,前記イの期間において,他の事業者との取引を開始又は拡大することにより,ラルズに対する売上高と同額又はそれ以上の額の売上高を確保することが困難な者が存在していた。
エ 特定納入業者の中には,前記イの期間において,ラルズと取引がある自社の支店等の事業所が自社にとって重要な拠点であって,当該事業所の売上高に占めるラルズに対する売上高の割合が高い者が存在していた。
オ 特定納入業者は,前記イの期間において,前記アからエまでの事情等により,ラルズとの取引の継続が困難になれば事業経営上大きな支障を来すこととなり,このため,ラルズとの取引を継続する上で,ラルズからの不利益な要請を受け入れざるを得ないような立場にあり,その取引上の地位はラルズに対して劣っていた。
2 ラルズは,遅くとも平成21年4月20日以降,特定納入業者に対して,次の行為を行っていた。
(1)  新規開店又は改装開店に際し,特定納入業者の過半に対し,これらを実施する店舗において,当該特定納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品の陳列,補充,撤去等の作業を行わせるため,あらかじめ当該特定納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく,仕入担当者から,直接又は他の納入業者を通じて,これらの作業を行う店舗,日時等を連絡し,その従業員等を派遣するよう要請していた。
この要請を受けた特定納入業者は,ラルズとの取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,その従業員等を派遣していた。また,ラルズは,当該派遣のために通常必要な費用のほとんど全てを負担していなかった。
この行為によって,ラルズは,特定納入業者のうち53名に対して,平成21年4月20日から平成24年3月13日までの間に新規開店又は改装開店を実施した15店舗に,少なくとも延べ1,800人の従業員等を派遣させて使用していた。
なお,ラルズは,特定納入業者に従業員等の派遣を要請する際,特定納入業者に対し,「店舗応援のお願い」と題する要請文書及び特定納入業者が当該要請に対する派遣の可否を回答するための「応援回答書」と題する文書を配布していたが,「店舗応援のお願い」と題する要請文書については,作業を行う期間等の派遣の条件を明示していなかった場合が多く,また,「応援回答書」と題する文書については,特定納入業者が当該派遣を行った日以降に当該文書により当該派遣に応じる旨の回答の提出を受けていた場合が多いなどの事実からすれば,これらの文書をもって特定納入業者との間であらかじめ派遣の条件について合意したとは認められない。さらに,ラルズは,これらの文書を配布する際,特定納入業者に対し,派遣に係る費用の請求をラルズに行うための「請求書」と題する文書を配布していたが,当該費用を請求することは特定納入業者にとってラルズとの取引を継続する上で困難であろうと認識しており,実際にも,ほとんど全ての場合において,特定納入業者はラルズに当該費用の請求を行っていなかった。
(2) ア 新規開店又は改装開店の際に実施するオープンセールに際し,仕入担当者から,特定納入業者の過半に対し,当該セールの「協賛金」の名目で,あらかじめ算出根拠,使途等について明確に説明することなく,当該特定納入業者が得る販売促進効果等の利益を勘案せずに,一方的に決定した額の金銭又は仕入部門ごとに設定した算出方法により算出した額の金銭の提供を要請していた。
この要請を受けた特定納入業者は,ラルズとの取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,金銭を提供していた。
この行為によって,ラルズは,特定納入業者のうち54名に対して,平成21年4月20日から平成24年3月13日までの間に,新規開店又は改装開店の際に実施するオープンセールに際し,少なくとも総額7600万円に相当する金銭を提供させていた。
イ 毎年,9月頃から11月頃に実施する「創業祭」と称するセールに際し,仕入担当者から,特定納入業者のほとんど全てに対し,当該セールのためには一部しか充当しないにもかかわらず,当該セールの「協賛金」の名目で,あらかじめ算出根拠,使途等について明確に説明することなく,当該特定納入業者が得る販売促進効果等の利益を勘案せずに,当該特定納入業者からの6か月間の仕入金額に0.45パーセントの料率を乗じて算出した額等の金銭を提供するよう要請していた。さらに,平成23年においては,仕入担当者等から,当該特定納入業者の大部分に対し,創業50周年であることを理由に,前記料率を一方的に0.50パーセントとして算出した額又は前記料率により算出した額に一方的に決定した額を加えた額等の金銭を提供するよう要請していた。
この要請を受けた特定納入業者は,ラルズとの取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,金銭を提供していた。
この行為によって,ラルズは,特定納入業者のうち86名に対して,平成21年4月20日から平成24年3月13日までの間に,「創業祭」と称するセールに際し,少なくとも総額3億3000万円に相当する金銭を提供させていた。
(3)  毎年,3月頃及び9月頃に実施する「紳士服特別販売会」と称するセールにおけるスーツ等の販売に際し,あらかじめ仕入部門ごとに納入業者等に対する販売目標を設定した上で,仕入担当者から,特定納入業者の一部に対し,当該販売目標を達成するために
ア 特定納入業者ごとに購入すべき数量を示して購入を要請する
イ 当該販売目標に対する達成状況及び既に購入した特定納入業者の名称等を記載した一覧表を定期的に作成するなどし,これらに基づき,購入の要請を受けたにもかかわらず購入をしていない特定納入業者等に対しては,重ねて購入を要請する
ことなどにより,スーツ等を購入するよう要請していた。
この要請を受けた特定納入業者は,ラルズとの取引を継続して行う立場上,その要請に応じることを余儀なくされ,スーツ等を購入していた。
この行為によって,ラルズは,特定納入業者のうち18名に対して,平成21年4月20日から平成24年3月13日までの間に,少なくとも総額190万円に相当するスーツ等を購入させていた。
3 本件について,公正取引委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,ラルズは,平成24年3月14日以降,前記2の行為を取りやめている。
第2 法令の適用
前記事実によれば,ラルズは,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,継続して取引する相手方に対して,当該取引に係る商品以外の商品を購入させ,自己のために金銭,役務その他の経済上の利益を提供させていたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第9項第5号イ及びロ(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成21年法律第51号)の施行日である平成22年1月1日前においては平成21年公正取引委員会告示第18号による改正前の不公正な取引方法(昭和57年公正取引委員会告示第15号)の第14項第1号及び第2号)に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するものである。このため,ラルズは,独占禁止法第20条第2項において準用する独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,違反行為が長期間にわたって行われていたこと,違反行為の取りやめが公正取引委員会の審査開始を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,ラルズに対し,独占禁止法第20条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成25年7月3日

公 正 取 引 委 員 会

委員長  杉  本  和  行

委 員  濵  田  道  代

委 員  小 田 切  宏  之

委 員  幕  田  英  雄

委 員  山  﨑     恒

【別表については添付省略】

別紙
番号 用語 定義
1 納入業者  株式会社ラルズ(以下「ラルズ」という。)が自ら販売する商品を,ラルズに直接販売して納入する事業者
2 新規開店  ラルズが,新たに店舗を設置して,当該店舗の営業を開始すること
3 改装開店  ラルズが,自社の既存の店舗について,一時的に営業を取りやめて,売場の移動,売場面積の拡縮,設備の改修その他の改装を実施した上で,当該店舗の営業を再開すること
4 仕入担当者  ラルズの店舗で販売する商品及びその販売方針の決定並びに納入業者との間で商品の仕入れに係る商談等の業務を行うラルズの従業員

平成25年7月3日

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