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段ボール用でん粉の製造販売業者に対する件

独禁法3条後段

平成25年(措)第10号

排除措置命令

平成25年(措)第10号
排 除 措 置 命 令 書

東京都中央区八丁堀二丁目26番9号
王子コーンスターチ株式会社
同代表者 代表取締役 小 林 重 幸

東京都中央区明石町8番1号
株式会社J-オイルミルズ
同代表者 代表取締役 楳 田 純 和

愛知県知多郡美浜町大字河和字上前田18番地
加藤化学株式会社
同代表者 代表取締役 加 藤 栄 一
 
三重県鈴鹿市長太栄町五丁目5番1号
敷島スターチ株式会社
同代表者 代表取締役 小 川 敏 郎

奈良県橿原市雲梯町594番地
三和澱粉工業株式会社
同代表者 代表取締役 伊 藤   歩

鹿児島市南栄三丁目20番地
日本澱粉工業株式会社
同代表者 代表取締役 本 坊 治 國

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文及び理由中の用語のうち,別紙「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 王子コーンスターチ株式会社(以下「王子コーンスターチ」という。),株式会社J-オイルミルズ(以下「Jオイルミルズ」という。),加藤化学株式会社(以下「加藤化学」という。),敷島スターチ株式会社,三和澱粉工業株式会社及び日本澱粉工業株式会社の6社(以下「6社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 段ボール用でん粉について,遅くとも平成22年11月5日までに,6社並びに日本食品化工株式会社(以下「日本食品化工」という。)及び日本コーンスターチ株式会社(以下「日本コーンスターチ」という。)の2社(以下「2社」という。)の8社(以下「8社」という。)が共同して行った,とうもろこしのシカゴ相場の上昇に応じて,需要者渡し価格を引き上げる旨の合意(加藤化学にあっては,同月8日頃に参加したもの)が消滅していることを確認すること
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,段ボール用でん粉の需要者渡し価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決めること
(3) 今後,相互に,又は他の事業者と,段ボール用でん粉の需要者渡し価格の改定に関して情報交換を行わないこと
2 6社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く5社及び2社に通知するとともに,自社の段ボール用でん粉の需要者及び自社の段ボール用でん粉の取引先である商社に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 6社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,段ボール用でん粉の需要者渡し価格を決定してはならない。
4 6社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,段ボール用でん粉の需要者渡し価格の改定に関して情報交換を行ってはならない。
5 6社は,それぞれ,第1項及び第2項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1(1)ア 6社は,それぞれ,肩書地に本店を置き,段ボール用でん粉の製造販売業を営む者である。
イ 名宛人以外の日本食品化工は,東京都千代田区丸の内一丁目6番5号に本店を置き,段ボール用でん粉の製造販売業を営む者である。
ウ 名宛人以外の日本コーンスターチは,東京都港区赤坂一丁目11番44号に本店を置き,段ボール用でん粉の製造販売業を営む者である。
(2) ア 8社は,それぞれ,段ボール用でん粉を,直接又は商社を通じて段ボールの製造業者に対して販売していた。
イ 段ボールの製造業者のうち,レンゴー株式会社及び王子コンテナー株式会社は,最大手の製造業者とされており,両社に段ボール用でん粉を販売する者のうち,レンゴー株式会社に対しては日本コーンスターチが平成23年2月末頃まで,王子コンテナー株式会社に対してはその関連会社である王子コーンスターチが,それぞれ最も多くの段ボール用でん粉を販売していた。
ウ 8社は,それぞれ,段ボール用でん粉の需要者渡し価格について,直接又は商社を通じて需要者と交渉して定め,商社を通じて需要者に販売する場合には,需要者渡し価格から当該商社の口銭を差し引いたものを自らの販売価格とするなどしていた。
(3) 8社の段ボール用でん粉の販売数量の合計は,我が国における段ボール用でん粉の総販売数量のほとんど全てを占めていた。
2 (1) 8社は,かねてから,段ボール用でん粉の需要者渡し価格等に関し情報交換等を行ってきており,平成18年夏頃以降,段ボール用でん粉の原料であるとうもろこしのシカゴ相場が上昇したこと等から,同年秋以降,各社の営業部長級の者らによる会合を開催するなどして,繰り返し段ボール用でん粉の需要者渡し価格の引上げの額,実施時期等を話し合うほか,段ボールの製造業者との間の交渉状況等について情報交換するなどしてきたところ,8社のうち加藤化学を除く7社は,平成22年夏頃以降,とうもろこしのシカゴ相場が上昇したこと等に伴い,遅くとも同年11月5日までに,東京都千代田区内神田所在のカラオケボックスにおいて各社の営業部長級の者らが話し合うなどして,段ボール用でん粉について,今後,とうもろこしのシカゴ相場の上昇に応じて,需要者渡し価格の引上げを共同して行っていく旨合意した。
(2) 加藤化学は,平成22年11月8日頃,前記(1)の合意に参加した。
3 8社は,前記2(1)の合意に基づき,次のとおりの段ボール用でん粉の需要者渡し価格の引上げに関する具体的な実施方法に係る決定に沿って,相互に情報交換を行うなどした上で,それぞれ需要者に対して,直接又は商社を通じて段ボール用でん粉の需要者渡し価格を引き上げる旨の申入れを行うなどして,段ボール用でん粉の需要者渡し価格を引き上げていた。
(1) 平成22年11月5日頃,東京都千代田区内神田所在のカラオケボックスにおいて,8社のうち加藤化学及びJオイルミルズを除く6社の営業部長級の者らが話し合うなどして行った,遅くとも平成23年1月1日納入分から,需要者渡し価格を現行価格から1キログラム当たり10円以上引き上げる旨の決定。
(2) 平成23年2月28日頃,東京都中央区所在の王子コーンスターチの本社において,王子コーンスターチの営業部長級の者が,日本コーンスターチの営業部長級の者と話し合って行った,同年4月1日納入分から,需要者渡し価格を現行価格から1キログラム当たり8円以上引き上げる旨の決定。
(3) 平成23年6月上旬頃,王子コーンスターチの営業部長級の者が行った,同年7月1日納入分から,需要者渡し価格を現行価格から1キログラム当たり7円以上引き上げる旨の決定。
4 8社は,前記2(1)の合意の実効を確保するため,前記3の各決定に基づく8社の段ボール用でん粉の需要者渡し価格の引上げの交渉状況等について,相互に情報交換を行っていた。
5 平成24年1月31日,公正取引委員会が,平成25年(措)第7号により措置を命じた事件において,8社のうちJオイルミルズを除く7社(以下「7社」という。)の営業所等に独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,7社の大部分が当該検査を受けた部署は段ボール用でん粉の製造販売に係る事業も所管していたことなどから,8社は,同日以降,情報交換を取りやめるなどしている。このため,同日以降,前記2(1)の合意は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば,8社は,共同して,とうもろこしのシカゴ相場の上昇に応じて,段ボール用でん粉の需要者渡し価格を引き上げる旨を合意することにより,公共の利益に反して,我が国における段ボール用でん粉の販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。このため,8社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,6社については,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,6社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成25年7月11日

公 正 取 引 委 員 会

委員長  杉  本  和  行

委 員  濵  田  道  代

委 員  小 田 切  宏  之

委 員  幕  田  英  雄

委 員  山  﨑     恒

別紙
番号 用語 定義
1 段ボール用でん粉 コーンスターチ又は化工でん粉(コーンスターチ又はコーンスターチの製造工程における中間品を物理的又は化学的方法により変性させたでん粉及びコーンスターチに当該でん粉等を配合したものをいう。)であって,段ボールの製造工程においてライナと中しんとの接着に用いられるものとして販売されるもの
2 シカゴ相場 シカゴ商品取引所における先物価格

平成25年7月11日

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