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東京電力㈱が本店等において発注する架空送電工事の工事業者に対する件

独禁法3条後段

平成25年(措)第11号

排除措置命令

平成25年(措)第11号
排 除 措 置 命 令 書

名宛人 別表の名宛人目録記載のとおり

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文,理由及び別紙1中の用語のうち,別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙2「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 別表の名宛人目録記載の8社(以下「8社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 別紙1記載の東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が発注する架空送電工事(以下「東京電力本店等発注の特定架空送電工事」という。)について,8社が,遅くとも平成24年1月31日以降共同して行っていた,受注すべき者又は共同企業体(以下「受注予定者」という。)を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,東京電力が発注する架空送電工事について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと
2 8社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く7社及び東京電力に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 8社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,東京電力が発注する架空送電工事について,受注予定者を決定してはならない。
4 8社は,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 自社の工事の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定及び自社の従業員に対する周知徹底(別表の番号3ないし7記載の5社にあっては当該行動指針の自社の従業員に対する周知徹底)
(2) 東京電力が発注する架空送電工事の受注に関する独占禁止法の遵守についての,当該工事の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
5 8社は,それぞれ,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 (1) 8社は,それぞれ,別表の「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き,建設業法(昭和24年法律第100号)の規定に基づき国土交通大臣又は東京都知事から建設業の許可を受け,東京電力が発注する架空送電工事を請け負う者である。
(2) ア 東京電力は,同社から工事を請け負うことを希望する者に対して,登録審査等を行い,希望する工事の種類ごとに取引先として登録している(以下,登録された取引先を「登録業者」という。)。8社は,「架空」に分類される工事の登録業者である。
また,東京電力は,「架空」に分類される工事の登録業者が共同企業体として架空送電工事を請け負うことを希望する場合には,事前にこれを承認することとしており,8社のうち,古河電気工業株式会社及び住友電気工業株式会社の2社は,当該2社に8社以外の1社を加えた3社で構成されるTEC経常共同企業体の構成員として東京電力から架空送電工事を請け負っている(以下,8社のうち古河電気工業株式会社及び住友電気工業株式会社の2社を除く6社並びにTEC経常共同企業体の7名を「7名」という。)。
イ 東京電力は,かねてから,登録業者及び登録業者で構成される共同企業体(以下「登録業者等」という。)に対して,予報,競争見積等の方法により,架空送電工事を発注しており,予報の方法にあっては,競争によらずに予報先を選定し,競争見積等の方法にあっては,工事の施工を希望する者を募集せずに,見積り合わせ等の参加者を選定していた。
なお,東京電力は,平成24年1月12日までは,本店において競争見積の方法により架空送電工事を発注することはなかった。
ウ 東京電力は,東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故による賠償金の支払等のため,経営合理化を実施し,徹底したコスト削減を実現することが求められていることから,その一環として,遅くとも平成24年1月13日までに,おおむね次のとおり,架空送電工事の発注方法を変更することとした。
(ア) 予報について,工事の施工を希望する者を募集し,募集に応じる者に価格低減率を提示させ,競争により予報先を選定する。
(イ) 競争見積等について,工事の施工を希望する者を募集し,募集に応じた者の中から見積り合わせ等の参加者を選定する。
エ 東京電力は,前記ウのとおり発注方法を変更し,遅くとも平成24年1月13日から同年11月26日までの間,東京電力本店等発注の特定架空送電工事について,次のとおり,予報又は競争見積の方法により発注していた。
(ア) 予報の方法にあっては
a 登録業者等の中から,過去の施工実績,施工能力等を勘案して7名を選定し,その中から,工事の施工を希望する者を募集し,募集に応じる者に,当該工事について価格低減率を提示させ,最も高い価格低減率を提示した者を予報先として選定していた。
b 当該予報先との間で工事内容に関する協議を行い,その者に見積価格を提示させ,当該見積価格,当該価格低減率等を踏まえて算出した価格を基に価格交渉を行った上で,その者に当該工事を発注していた。
(イ) 競争見積の方法にあっては
a 登録業者等の中から,過去の施工実績,施工能力等を勘案して7名を選定し,その中から,工事の施工を希望する者を募集し,募集に応じた者の中から見積り合わせの参加者を選定し,当該工事について見積価格を提示させ,最も低い見積価格を提示した者(単価契約の場合にあっては,当該工事について,見積単価に概算数量を乗じて算出した価格の合計額を提示させ,最も低い合計額を提示した者)を発注予定先としていた。ただし,一部の工事については,工事の施工を希望する者を募集せずに見積り合わせの参加者を選定していた。
b 当該発注予定先との間で,当該見積価格等を踏まえて算出した価格を基に価格交渉を行った上で,その者に当該工事を発注していた。
2 8社は,前記1(2)ウの発注方法の変更を契機として,各社の営業責任者級の者らによる会合を開催するなどして,受注調整の方法等について話合いを行ってきたところ,遅くとも平成24年1月31日以降,東京電力本店等発注の特定架空送電工事について,受注価格の低落防止等を図るため
(1) ア 受注予定者を決定する
イ 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
(2) ア 過去の受注実績,各事業者の受注の希望状況等を勘案して,話合いにより受注予定者を決定する
イ 予報の方法により発注されるものにあっては,受注予定者が提示する価格低減率は,受注予定者(受注予定者が共同企業体である場合にあってはその代表者)が定めて株式会社TLCに連絡し,受注予定者以外の者は,同社から指定された価格低減率を提示する
ウ 競争見積の方法により発注されるものにあっては,受注予定者が提示する見積価格は,受注予定者(受注予定者が共同企業体である場合にあってはその代表者)が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者が定めた見積価格よりも高い見積価格を提示する
などにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
3 7名は,前記2により,東京電力本店等発注の特定架空送電工事の全てを受注していた。
4 平成24年11月27日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,8社は,前記2の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
第2 法令の適用
前記事実によれば,8社は,共同して,東京電力本店等発注の特定架空送電工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,東京電力本店等発注の特定架空送電工事の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。このため,8社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,8社については,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,8社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成25年12月20日

公 正 取 引 委 員 会

委員長 杉  本  和  行

委 員 濵  田  道  代

委 員 小 田 切  宏  之

委 員 幕  田  英  雄

委 員 山  﨑     恒


別紙1

東京電力が,本店又は支店において,7名(別表の番号1ないし4,6及び8記載の6社並びに別表の番号5及び7記載の2社に別表記載の8社以外の1社を加えた3社で構成されるTEC経常共同企業体の7名をいう。)のみを対象に,予報(価格低減率の提示による競争によって予報先を選定するものに限る。)又は競争見積の方法により発注する架空送電工事(東京電力において当該工事の実施について引き当てられた予算額が100万円以下の工事を除き,KDDI株式会社と共同で発注する工事を含む。)

別紙2

番号 用語 定義
1 架空送電工事 架空の送電設備の建設工事(架空の送電設備に係る附帯設備の工事を含み,当該建設工事以外の工事が併せて発注されるものを含む。)
2 予報 東京電力が,契約に先立ち特定の事業者に対して,工事概要等を示し,将来,当該工事を発注する予定である旨の意思をあらかじめ通知すること
3 競争見積 東京電力が,複数の事業者を選定して実施する見積り合わせ
4 価格低減率 東京電力が定める査定価格から減額が可能な程度を百分率で示すもの
5 単価契約 東京電力が,一定期間に発注する特定の種類の工事について,概算数量を示した上で,単位当たりの価格のみを発注前に契約すること


別表 名宛人目録
番号 本店の所在地 事業者 代表者
1 東京都荒川区東尾久三丁目27番7号 株式会社TLC 代表取締役 大西   斉
2 東京都千代田区神田美土代町9番地3 株式会社TCパワーライン 代表取締役 秋山   宏
3 東京都中央区築地一丁目3番7号 中央送電工事株式会社 代表取締役 牧野  和之
4 東京都新宿区神楽坂六丁目42番地 株式会社システック・エンジニアリング 代表取締役 岡田 九二男
5 大阪市中央区北浜四丁目5番33号 住友電気工業株式会社 代表取締役 松本  正義
6 東京都台東区池之端一丁目2番23号 日本電設工業株式会社 代表取締役 江川 健太郎
7 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 古河電気工業株式会社 代表取締役 柴田  光義
8 名古屋市中区栄四丁目6番25号 川北電気工業株式会社 代表取締役 大津  正己

平成25年12月20日

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