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東京電力㈱が発注する地中送電ケーブル工事の工事業者に対する件

独禁法3条後段

平成25年(措)第15号

排除措置命令

平成25年(措)第15号
排 除 措 置 命 令 書

東京都港区芝浦四丁目8番33号
 株式会社関電工
  同代表者 代表取締役 水 江   博

大阪市西区阿波座二丁目1番4号
 住友電設株式会社
  同代表者 代表取締役 磯 部 正 人

東京都港区三田三丁目13番16号
 株式会社パワーアンドコムテック
  同代表者 代表取締役 五 條 芳 壽

川崎市川崎区小田栄二丁目1番1号
 株式会社エステック
  同代表者 代表取締役 荻 野 正 夫

東京都江東区木場一丁目5番1号
 株式会社フジクラエンジニアリング
  同代表者 代表取締役 井 上 利 一

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文,理由及び別紙1中の用語のうち,別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙2「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 株式会社関電工(以下「関電工」という。),住友電設株式会社,株式会社パワーアンドコムテック(以下「パワーアンドコムテック」という。),株式会社エステック及び株式会社フジクラエンジニアリングの5社(以下「5社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 別紙1記載の東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が発注する地中送電ケーブル工事(以下「東京電力発注の特定地中送電ケーブル工事」という。)について,5社及び菱星システム株式会社(以下「菱星システム」という。)の6社(以下「6社」という。)が,遅くとも平成24年2月3日以降(パワーアンドコムテックにあっては遅くとも平成24年5月8日以降)共同して行っていた,受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,東京電力が発注する地中送電ケーブル工事について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと
2 5社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く4社及び東京電力に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 5社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,東京電力が発注する地中送電ケーブル工事について,受注予定者を決定してはならない。
4 5社は,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 自社の工事の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の自社の従業員に対する周知徹底(関電工にあっては当該行動指針の作成及び自社の従業員に対する周知徹底)
(2) 東京電力が発注する地中送電ケーブル工事の受注に関する独占禁止法の遵守についての,当該工事の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
5 5社は,それぞれ,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 (1) ア 5社は,それぞれ,肩書地に本店を置き,建設業法(昭和24年法律第100号)の規定に基づき国土交通大臣又は東京都知事若しくは神奈川県知事から建設業の許可を受け,東京電力が発注する地中送電ケーブル工事を請け負う者である。
イ 名宛人以外の菱星システムは,兵庫県尼崎市東向島西之町8番地に本店を置き,建設業法の規定に基づき国土交通大臣から建設業の許可を受け,東京電力が発注する地中送電ケーブル工事を請け負う者である。
ウ 名宛人以外の富士古河E&C株式会社(以下「富士古河E&C」という。)は,川崎市幸区堀川町580番地に本店を置き,建設業法の規定に基づき国土交通大臣から建設業の許可を受け,東京電力が発注する地中送電ケーブル工事を請け負う者である。
(2) ア 東京電力は,同社から工事を請け負うことを希望する者に対して,登録審査等を行い,希望する工事の種類ごとに取引先として登録している(以下,登録された取引先を「登録業者」という。)。6社及び富士古河E&Cの7社(以下「7社」という。)は,「地中」に分類される「ケーブル」工事の登録業者である。
イ 東京電力は,かねてから,登録業者に対して,主として,予報の方法により,地中送電ケーブル工事を発注しており,競争によらずに予報先を選定していた。
ウ 東京電力は,東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故による賠償金の支払等のため,経営合理化を実施し,徹底したコスト削減を実現することが求められていることから,その一環として,遅くとも平成24年1月20日までに,地中送電ケーブル工事の発注方法を変更することとし,予報については,工事の施工を希望する者を募集し,募集に応じる者に価格低減率を提示させ,競争により予報先を選定することとした。また,予報の方法による発注ができない場合等には,競争見積の方法による発注を行うこととした。
エ 東京電力は,前記ウのとおり発注方法を変更するなどし,遅くとも平成24年1月20日から平成25年3月12日までの間,東京電力発注の特定地中送電ケーブル工事について,次のとおり,予報又は競争見積の方法により発注していた。
(ア) 予報の方法にあっては
a 登録業者の中から,過去の施工実績,施工能力等を勘案して7社を選定し,その中から,工事の施工を希望する者を募集し,募集に応じる者に,当該工事について価格低減率を提示させ,最も高い価格低減率を提示した者を予報先として選定していた。
b 当該予報先との間で工事内容に関する協議を行い,その者に見積価格を提示させ,当該見積価格,当該価格低減率等を踏まえて算出した価格を基に価格交渉を行った上で,その者に当該工事を発注していた。
(イ) 競争見積の方法にあっては
a 7社の中から,見積り合わせの参加者を選定し,当該工事について見積価格を提示させ,最も低い見積価格を提示した者を発注予定先としていた。
b 当該発注予定先との間で,当該見積価格等を踏まえて算出した価格を基に価格交渉を行った上で,その者に当該工事を発注していた。
2 (1) 平成24年1月頃,関電工は,前記1(2)ウの発注方法の変更を受けて,6社のうち自社及びパワーアンドコムテックを除く4社(以下「4社」という。)に対し,会合の開催を呼び掛け,呼び掛けに応じて当該会合に参加した4社との間で,受注調整の開始及びその方法等について話合いを行った。
(2) 6社は,遅くとも平成24年2月3日以降(パワーアンドコムテックにあっては平成24年5月8日以降),東京電力発注の特定地中送電ケーブル工事について,受注価格の低落防止等を図るため
ア (ア) 受注予定者を決定する
(イ) 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
イ (ア) 受注を希望する者が1社のときは,その者を受注予定者とする
(イ) 受注を希望する者が複数社のときは,当該工事の施工場所,過去の受注実績等を勘案して,話合いにより受注予定者を決定する
(ウ) 予報の方法により発注されるものにあっては,受注予定者が提示する価格低減率は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者が定めた価格低減率よりも低い価格低減率を提示する
(エ) 競争見積の方法により発注されるものにあっては,受注予定者が提示する見積価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者が定めた見積価格よりも高い見積価格を提示する
などにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
3 6社は,前記2(2)により,東京電力発注の特定地中送電ケーブル工事の大部分を受注していた。
4 平成25年3月13日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,前記2(2)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為は取りやめられている。
第2 法令の適用
前記事実によれば,6社は,共同して,東京電力発注の特定地中送電ケーブル工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,東京電力発注の特定地中送電ケーブル工事の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。このため,6社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,5社については,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,5社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成25年12月20日

公 正 取 引 委 員 会

委員長 杉  本  和  行

委 員 濵  田  道  代

委 員 小 田 切  宏  之

委 員 幕  田  英  雄

委 員 山  﨑     恒


別紙1

東京電力が予報(価格低減率の提示による競争によって予報先を選定するものに限る。)又は競争見積の方法により発注する地中送電ケーブル工事

別紙2

番号用語 定義
1 地中送電ケーブル工事 66,000ボルトの電気の伝送に使用される地中の送電設備の電線の新設,引替え及び除却の工事
2 予報 東京電力が,契約に先立ち特定の事業者に対して,工事概要等を示し,将来,当該工事を発注する予定である旨の意思をあらかじめ通知すること
3 競争見積 東京電力が,複数の事業者を選定して実施する見積り合わせ
4 価格低減率 東京電力が定める査定価格から減額が可能な程度を百分率で示すもの

平成25年12月20日

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