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自動車運送業務を行う船舶運航事業者に対する件

独禁法3条後段

平成26年(措)第6号

排除措置命令

平成26年(措)第6号
排 除 措 置 命 令 書

東京都千代田区丸の内二丁目3番2号
日本郵船株式会社
同代表者 代表取締役 工 藤 泰 三

東京都千代田区内幸町二丁目1番1号
川崎汽船株式会社
同代表者 代表取締役 朝 倉 次 郎

ノルウェー リュサカー ストランドヴエイエン12
ワレニウス・ウィルヘルムセン・ロジスティックス・エーエス
同代表者 クリストファー・ジョセフ・コナー

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文及び理由中の用語のうち,別紙「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 日本郵船株式会社(以下「日本郵船」という。),川崎汽船株式会社(以下「川崎汽船」という。)及びワレニウス・ウィルヘルムセン・ロジスティックス・エーエスの3社(以下「3社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会等の業務執行の決定機関において決議しなければならない。
(1) 北米航路における特定自動車運送業務について,遅くとも平成20年1月中旬頃以降,3社及び株式会社商船三井(以下「商船三井」という。)の4社(以下「4社」という。)が共同して行っていた,安値により他社の取引を相互に奪わず,荷主ごとに,運賃を引き上げ又は維持する旨の合意が消滅していることを確認すること
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,北米航路における特定自動車運送業務について,取引の相手方を制限する行為及び荷主ごとに運賃を引き上げ又は維持する行為を行わず,各社がそれぞれ自主的に取引の相手方及び運賃を決めること
(3) 今後,相互に,又は他の事業者と,北米航路における特定自動車運送業務について,個々の荷主に対する運賃又は運賃を構成する「ベースレート」と称する基本運賃若しくは各種料金に係る情報交換を行わないこと
2  3社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く2社に通知するとともに,北米航路における特定自動車運送業務の荷主に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 3社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,北米航路における特定自動車運送業務について,取引の相手方を制限する行為及び荷主ごとに運賃を引き上げ又は維持する行為を行ってはならない。
4 3社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,北米航路における特定自動車運送業務について,個々の荷主に対する運賃又は運賃を構成する「ベースレート」と称する基本運賃若しくは各種料金に係る情報交換を行ってはならない。
5 3社は,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前2項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 自社の従業員に対する,北米航路における特定自動車運送業務に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底
(2) 北米航路における特定自動車運送業務に関する独占禁止法の遵守についての,当該業務に関わる役員及び営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
6 3社は,それぞれ,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 (1) ア 3社は,それぞれ,肩書地に本店又は本社を置き,海上運送法(昭和24年法律第187号)第2条第2項に規定する船舶運航事業を営む者である。
イ 名宛人以外の商船三井は,東京都港区虎ノ門二丁目1番1号に本店を置き,海上運送法第2条第2項に規定する船舶運航事業を営む者である。
(2) 4社は,それぞれ,北米航路において,特定自動車運送業務を行っていた。
(3) 日本郵船,川崎汽船及び商船三井は,海上運送法第29条の2第1項の規定に基づきあらかじめ国土交通大臣に届け出て,北米航路のうち我が国の港とメキシコの港との間の航路における運賃に関する事項を内容とする協定を締結していたが,当該協定で定めた荷主一律の運賃を,特定自動車運送業務において,実際には,個々の荷主に対して適用していなかった。
(4) 4社は,それぞれ,北米航路における特定自動車運送業務の運賃を改定する場合には,荷主に対して見積運賃を提示するなどした上で,運賃交渉を行い,荷主ごとに,自らの運賃を取り決めていた。
(5) 北米航路における特定自動車運送業務について,ほとんどの荷主は,4社のうち1社又は複数社と取引していた。
(6) 4社の北米航路における特定自動車運送業務に係る貨物量の合計は,北米航路における特定自動車運送業務の総貨物量のほとんど全てを占めていた。
2 4社は,かねてから,北米航路における特定自動車運送業務について,相互の協調関係の下,荷主との取引に関して情報交換を行ってきたところ,遅くとも平成20年1月中旬頃以降,北米航路における特定自動車運送業務について,既存の取引の維持及び運賃の低落防止を図るため,安値により他社の取引を相互に奪わず,荷主ごとに,運賃を引き上げ又は維持する旨の合意の下に
(1) 荷主ごとに,当該荷主と取引のある複数社間で,運賃交渉に際し,現行運賃からの引上げ率等若しくは現行運賃の維持又は当該荷主に提示する見積運賃を決定する
(2) 荷主ごとに,当該荷主と取引のない者は,当該荷主と取引のある者よりも高値の見積運賃を提示すること等によって,取引のある者が引き続き当該荷主と取引できるように協力する
などしていた。
3 4社は,前記2により,北米航路における特定自動車運送業務について,おおむね,安値により他社の取引を相互に奪わず,荷主ごとに,運賃を引き上げ又は維持していた。
4 平成24年9月6日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,前記2の合意に基づく行為は取りやめられている。このため,同日以降,同合意は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば,4社は,共同して,北米航路における特定自動車運送業務について,安値により他社の取引を相互に奪わず,荷主ごとに,運賃を引き上げ又は維持する旨を合意することにより,公共の利益に反して,北米航路における特定自動車運送業務の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。このため,4社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,3社については,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,3社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成26年3月18日

公 正 取 引 委 員 会

委員長 杉  本  和  行

委 員 濵  田  道  代

委 員 小 田 切  宏  之

委 員 幕  田  英  雄

委 員 山  﨑     恒


別紙

番号 用語 定義
1 北米航路 我が国の港とアメリカ合衆国(プエルトリコを含む。),カナダ及びメキシコの港との間の航路
2 自動車 道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第9号に規定する「原動機を用い,かつ,レール又は架線によらないで運転する車であって,原動機付自転車,自転車及び身体障害用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの以外のもの」のうち,同法第3条に規定する大型特殊自動車,大型自動二輪車,普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除くもの
3 自動車専用船 貨物である自動車を海上運送するための船舶であって,専門の運転手が当該自動車を運転して積み降ろすRoll on/Roll off方式を採用した,「PCC(Pure Car Carrier)」,「PCTC(Pure Car and Truck Carrier)」等と呼ばれるもの
4 自動車運送業務 自動車専用船を用いて行う自動車(新車に限る。)の海上運送業務
5 荷主 自動車運送業務の荷送人である自動車メーカー又は商社であって,運賃を支払う者
6 特定自動車運送業務 自動車運送業務のうち,我が国に所在する荷主を需要者とし,我が国の港で荷積みし,外国の港に荷揚げするもの(特定の荷主が,専ら又は優先的に,自らが出資する特定の船舶運航事業者と行う取引に係る当該業務を除く。)
7 運賃 自動車運送業務の対価としての,「ベースレート」と称する基本運賃及び各種料金から構成される,1立方メートル又は立方フィート当たりの単価

平成26年3月18日

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