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鋼球の製造業者に対する件

独禁法3条後段

平成26年(措)第14号

排除措置命令

平成26年(措)第14号
排 除 措 置 命 令 書

奈良県葛城市尺土19番地
株式会社ツバキ・ナカシマ
同代表者 代表執行役 山 田 賢 司

 公正取引委員会は,上記の者に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。

主    文
1 株式会社ツバキ・ナカシマ(以下「ツバキ・ナカシマ」という。)は,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 鋼材を原材料とする玉(遊技球を除く。以下「鋼球」という。)について,遅くとも平成22年10月7日以降,ツバキ・ナカシマ及び株式会社天辻鋼球製作所(以下「天辻鋼球製作所」という。)の2社(以下「2社」という。)が共同して行っていた,販売価格を引き上げ又は維持する旨の合意が消滅していることを確認すること。
(2) 今後,他の事業者と共同して,鋼球の販売価格を決定せず,自主的に決めること。
(3) 今後,他の事業者と,鋼球の原材料である鋼材の仕入価格の変動状況又は鋼球の販売価格に関する情報交換を行わないこと。
2 ツバキ・ナカシマは,前項に基づいて採った措置を,天辻鋼球製作所に通知するとともに,自社の鋼球の需要者及び自社の鋼球の取引先である販売代理店等に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 ツバキ・ナカシマは,今後,他の事業者と共同して,鋼球の販売価格を決定してはならない。
4 ツバキ・ナカシマは,今後,他の事業者と,鋼球の原材料である鋼材の仕入価格の変動状況又は鋼球の販売価格に関する情報交換を行ってはならない。
5 ツバキ・ナカシマは,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前2項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成及び自社の従業員に対する周知徹底
(2) 鋼球の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての,鋼球の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
6 ツバキ・ナカシマは,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1(1)ア ツバキ・ナカシマは,肩書地に本店を置き,鋼球を,需要者及び販売代理店等(以下「需要者等」という。)に対して,直接販売していた。
イ 名宛人以外の天辻鋼球製作所は,大阪府門真市上野口町1番1号に本店を置き,鋼球を,需要者等に対して,直接又は販売子会社を通じて販売していた。
(2)ア ツバキ・ナカシマは,直接需要者等と交渉して,鋼球の販売価格を定めていた。
イ 天辻鋼球製作所は,直接鋼球を販売する場合には,直接需要者等と交渉するなどして,その販売価格を定めていた。
 また,天辻鋼球製作所は,販売子会社を通じて鋼球を販売する場合には,需要者等への販売価格に係る交渉方針を販売子会社に指示し,当該方針に沿って需要者等との交渉を行わせて販売子会社の需要者等への販売価格を定めさせた上,自らの販売子会社への販売価格をこれと同額とし,販売子会社には別途口銭を支払っていた。
(3)ア 2社は,それぞれ,おおむね半期ごとに改定される鋼材の仕入価格の変動状況を理由として鋼球の販売価格を改定する場合には,鋼球の販売価格について需要者等と価格交渉を行っていた。
イ 2社は,それぞれ,主要な需要者等から鋼材の仕入価格の変動状況を理由としない鋼球の販売価格の引下げ要請(以下「コストダウン要請」という。)を受けた場合には,鋼球の販売価格について当該需要者等と価格交渉を行っていた。
(4) 2社の鋼球の販売金額の合計は,我が国における鋼球の総販売金額のほとんどを占めていた。
2 2社は,かねてから,鋼球の原材料である鋼材の仕入価格の変動状況及び鋼球の販売価格に関して情報交換を行っていたところ,遅くとも平成22年10月7日以降,鋼球の販売価格の低落を防止し自社の利益の確保を図るため,共同して販売価格を引き上げ又は維持する旨の合意の下に
(1) 鋼材の仕入価格の変動状況について情報交換を行い,鋼球の販売価格の改定方針を決定した上,需要者等に提示する現行の鋼球の販売価格からの改定率等を決定する
(2) 主要な需要者等からのコストダウン要請の状況について情報交換を行い,当該需要者等に提示する現行の鋼球の販売価格からの改定率等を決定する
などしていた。
3(1) 2社は,前記2の合意の実効を確保するため,需要者等との鋼球の販売価格の交渉状況について情報交換を行い,需要者等との交渉に当たり提示する内容を調整し,需要者等との交渉結果を報告し合っていた。
(2) 2社は,前記2により,鋼球の販売価格を引き上げ又は維持するなどしていた。
4 天辻鋼球製作所は,平成25年4月2日までに,課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第7号)第1条第1項の規定に基づき,公正取引委員会に対して様式第1号による報告書を提出するとともに,鋼球に係る自社の営業担当者に対して前記2の行為を行わない旨の指示を行ったところ,同日以降,前記2の合意に基づく行為は取りやめられている。このため,同日以降,同合意は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
 前記事実によれば,2社は,共同して,鋼球の販売価格を引き上げ又は維持する旨を合意することにより,公共の利益に反して,我が国における鋼球の販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。このため,2社は,いずれも独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,違反行為が長期間にわたって行われていたこと,違反行為の取りやめが自発的なものではないこと等の諸事情を総合的に勘案すれば,ツバキ・ナカシマについては,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
 よって,ツバキ・ナカシマに対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成26年9月9日

公 正 取 引 委 員 会

委員長 杉  本  和  行

委 員 小田切  宏  之

委 員 幕  田  英  雄

委 員 山  﨑     恒

委 員 山  本  和  史

平成26年9月9日

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