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福井県経済農業協同組合連合会に対する件

独禁法3条前段

平成27年(措)第2号

排除措置命令

平成27年(措)第2号
排 除 措 置 命 令 書

福井市大手三丁目2番18号
 福井県経済農業協同組合連合会
  同代表者 代表理事 香 川 哲 夫

 公正取引委員会は,上記の者に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
 なお,主文,理由及び別紙1中の用語のうち,別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙2「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 福井県経済農業協同組合連合会(以下「福井県経済連」という。)は,次の事項を,経営管理委員会において決議しなければならない。
(1) 別紙1記載の工事(以下「特定共乾施設工事」という。)について,施主代行業務を提供する者(以下「施主代行者」という。)として,平成23年9月頃以降行っていた,受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を指定するとともに,受注予定者が受注できるように,入札参加者に入札すべき価格を指示し,当該価格で入札させる行為を行っていないことを確認すること。
(2) 今後,穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等について,前記(1)の行為と同様の行為を行わないこと。
2 福井県経済連は,前項に基づいて採った措置を,会員の農業協同組合(以下「農協」という。)及び特定共乾施設工事の入札参加者等に通知し,かつ,自らの職員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 福井県経済連は,今後,穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等について,第1項(1)の行為と同様の行為を行ってはならない。
4 福井県経済連は,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等の入札等に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成及び自らの職員に対する周知徹底
(2) 穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等の入札等に関する独占禁止法の遵守についての,自らの職員に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
5 福井県経済連は,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1(1)ア 福井県経済連は,肩書地に主たる事務所を置き,昭和23年8月3日に農業協同組合法(昭和22年法律第132号)に基づき,それぞれ設立された福井県販売農業協同組合連合会及び福井県購買農業協同組合連合会が合併し,昭和27年1月5日に設立された福井県販売購買農業協同組合連合会が,昭和43年5月16日に名称変更したものである。
イ 福井県経済連の会員は,福井県に所在する全ての農協のほか,信用事業,共済事業又は厚生事業をそれぞれ行う農業協同組合連合会等で構成されており,会員数は,平成25年3月末日現在,合計18名であり,このうち農協が12名である。
ウ 福井県経済連は,会員である農協等から委託を受けて,穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等に係る施主代行業務を提供する事業その他の経済事業等を行う者である。
(2) 穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の建設等に当たっては,その施主である農協等の多くが,当該施設の建設等に係る専門的知識を有していないなどの理由により,かねてから,施主が,施主代行者を選定し,施主代行業務の提供を受けて,当該施設の建設等を行う方法が採られてきており,施主代行者は,その報酬として,管理料(工事ごとに決められた料率を当該工事代金に乗じる等の方法により算出した金額)を収受している。
 なお,穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等の多くは補助事業により発注されているところ,当該工事の施主代行者に支払われる管理料が助成対象となる場合には,平成18年度以降,原則として,一般競争入札の方法により施主代行者が選定されている。
(3)ア 福井県は,同県が生産を振興する「福井米」の評価向上を目的として,米の食味検査に基づいた区分集荷・販売等を実施することとし,これに必要な体制の整備を行うため,平成23年度ないし平成25年度の3か年を事業実施期間とする,「おいしい福井米生産体制整備事業」(平成24年3月31日以前にあっては「おいしい福井米づくり事業」。以下同じ。)と称する同県農林水産部所管の補助事業を実施していた。
イ 前記アの補助事業の助成対象には,農協が施主となり発注する,食味検査のための機器の導入に伴う荷受集計システムの改修工事,荷受ラインの増設工事,乾燥施設の改修工事等の穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等があり(ただし,建設工事については助成対象とならない。),これらはいずれも,現在稼働している穀物の乾燥・調製・貯蔵施設に係る工事であった。
ウ 福井県は,農林水産部所管の補助事業について,平成22年3月15日付け「福井県農林水産部所管補助事業における施行方法、契約方法について」と題する福井県農林水産部長の通知において,農協が施主となる場合には,原則として,3者以上の施工業者が参加する指名競争入札により契約を行わなければならないと定め,その旨を農協に指導している。
(4)ア 福井県に所在する農協のうち,特定共乾施設工事を発注した農協は,別表1記載の11農協(以下「11農協」という。)であり,これらが発注した特定共乾施設工事は57件である。
イ 11農協は,特定共乾施設工事の発注に当たり,一般競争入札等の方法により,施主代行者を選定していたところ,当該入札の参加者が福井県経済連のみであったことなどから,特定共乾施設工事の全てにおいて,福井県経済連は施主代行者であった。
ウ(ア) 11農協は,特定共乾施設工事57件のうち15件を除くものについて,前記(3)ウに基づき,3者以上の施工業者が参加する指名競争入札の方法により発注しており,それぞれ,施主代行者である福井県経済連から助言を受けて,福井県内において現在稼働している穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の建設等又は保守点検等の実績を有する者(以下,当該施設において,当該実績を有する者を,それぞれの施設の「既設業者」という。)のうち別表2記載の6社の中から当該入札の参加者を指名していた。
 なお,特定共乾施設工事のうち前記15件については,入札等の方法によらずに,当該施設の既設業者に発注していた。
(イ) 11農協は,それぞれ,指名競争入札の方法により発注する場合,入札回数を2回以内と定め,予定価格の制限の範囲内の最も低い価格で入札した者を受注者とし,当該価格を契約価格と決定していた。ただし,2回目の入札によっても予定価格の制限の範囲内の価格で入札する者がいなかった場合には,最も低い価格で入札した者との間で当該価格を基に価格交渉を行った上で,契約価格を決定し,その者を受注者としていた。
2 福井県経済連は,平成23年9月頃以降,特定共乾施設工事について,施主代行者として,工事の円滑な施工,管理料の確実な収受等を図るため,次の方法等により,受注予定者を指定するとともに,受注予定者が受注できるように,入札参加者に入札すべき価格を指示し,当該価格で入札させていた。
(1) 当該施設の既設業者を受注予定者と決定する。
(2) 受注予定者に対し,「ネット価格」と称する受注希望価格を確認し,当該価格を踏まえて,受注予定者の入札すべき価格を決定し,受注予定者に当該価格で入札するように指示する。
(3) 受注予定者の入札すべき価格を踏まえて,他の入札参加者の1回目及び2回目の入札すべき価格を決定し,他の入札参加者に当該価格で入札するように指示する。
3 福井県経済連の前記2の行為により,指名競争入札の方法により発注された全ての特定共乾施設工事について,福井県経済連から指定された受注予定者が受注していた。
4 平成25年5月21日,「おいしい福井米生産体制整備事業」により発注される全ての工事の入札が終了したことから,翌日以降,福井県経済連の前記2の行為は行われていないと認められる。

第2 法令の適用
 前記事実によれば,福井県経済連は,特定共乾施設工事について,受注予定者を指定するとともに,受注予定者が受注できるように,入札参加者に入札すべき価格を指示し,当該価格で入札させることによって,これらの事業者の事業活動を支配することにより,公共の利益に反して,特定共乾施設工事の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第5項に規定する私的独占に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。このため,福井県経済連は,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また,違反行為が自主的に取りやめられたものではないこと等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
 よって,福井県経済連に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成27年1月16日

公 正 取 引 委 員 会

委員長 杉  本  和  行

委 員 小田切  宏  之

委 員 幕  田  英  雄

委 員 山  﨑     恒

委 員 山  本  和  史

別紙1

 福井県に所在する農業協同組合が,同県が実施する「おいしい福井米生産体制整備事業」(平成24年3月31日以前にあっては「おいしい福井米づくり事業」)と称する補助事業により発注した穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の製造請負工事等(当該工事と同時に発注された前記補助事業によらない製造請負工事及び建設工事を含む。)

別紙2

番号 用語 定義
1 穀物の乾燥・調製・貯蔵施設 穀物を乾燥,調製若しくは貯蔵する設備のいずれか又は複数を有する施設
2 製造請負工事等 施工業者が,一定の性能等を有する機械,設備,装備等の工場製作,現場での組立て,据付け,調整等を一括して請け負って完成させる製造請負工事並びに当該工事及び建設工事が併せて発注される工事
3 施主代行業務 施主が,施行管理能力を有する者に委託する,基本設計の作成,実施設計書の作成又は検討,工事の施行(当該工事の施工業者決定のための入札等参加者の選定についての助言,入札等の執行の補助等の業務を含む。),施工管理等の業務

別表1 特定共乾施設工事の発注者
番号 名称
1 福井市農業協同組合
2 福井市南部農業協同組合
3 吉田郡農業協同組合
4 花咲ふくい農業協同組合
5 春江農業協同組合
6 テラル越前農業協同組合
7 福井丹南農業協同組合
8 越前丹生農業協同組合
9 越前たけふ農業協同組合
10 敦賀美方農業協同組合
(平成23年12月31日以前にあっては敦賀市農業協同組合及び三方五湖農業協同組合)
11 若狭農業協同組合

別表2 穀物の乾燥・調製・貯蔵施設の施工業者
番号 事業者 本店の所在地
1 日本車輌製造株式会社 名古屋市熱田区三本松町1番1号
2 井関農機株式会社 松山市馬木町700番地
3 株式会社福井近畿クボタ
(平成23年9月30日以前にあっては株式会社福井クボタ) 福井市開発四丁目209番地
4 クボタアグリサービス株式会社
(平成24年8月31日以前にあっては株式会社クボタ) 兵庫県尼崎市浜一丁目1番1号
5 ヤンマーグリーンシステム株式会社 大阪市北区鶴野町1番9号
6 株式会社サタケ 東京都千代田区外神田四丁目7番2号

平成27年1月16日

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