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富士電線工業(㈱)に対する件

独禁法66条2項(独禁法3条後段,独禁法7条の2)

平成23年(判)第84号及び第86号

審判請求棄却審決(排除措置命令及び課徴金納付命令に係る審判請求棄却審決)

大阪府柏原市本郷五丁目5番48号
被審人 富士電線工業株式会社
同代表者 代表取締役 永 野 隆 彦
同代理人 弁 護 士 長 澤 哲 也
同          福 冨 友 美

公正取引委員会は,上記被審人に対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第100号)附則第2条の規定によりなお従前の例によることとされる同法による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)(以下「独占禁止法」という。)に基づく排除措置命令審判事件及び課徴金納付命令審判事件について,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う公正取引委員会関係規則の整備に関する規則(平成27年公正取引委員会規則第2号)による廃止前の公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号)(以下「規則」という。)第73条の規定により審判長審判官伊藤繁,審判官西川康一及び審判官數間薫から提出された事件記録に基づいて,同審判官らから提出された別紙審決案を調査し,次のとおり審決する。

主       文
被審人の各審判請求をいずれも棄却する。

理       由
1 当委員会の認定した事実,証拠,判断及び法令の適用は,いずれも別紙審決案の理由第1ないし第7と同一であるから,これらを引用する。
2 よって,被審人に対し,独占禁止法第66条第2項及び規則第78条第1項の規定により,主文のとおり審決する。

平成27年5月22日

公 正 取 引 委 員 会
委員長  杉  本  和  行
委 員  小 田 切  宏  之
委 員  幕  田  英  雄
委 員  山  﨑     恒
委 員  山  本  和  史

平成23年(判)第84号及び第86号

審   決   案

大阪府柏原市本郷五丁目5番48号
被審人 富士電線工業株式会社
同代表者 代表取締役 永 野 隆 彦
同代理人 弁 護 士 長 澤 哲 也
同          福 冨 友 美

上記被審人に対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)に基づく排除措置命令審判事件及び課徴金納付命令審判事件について,公正取引委員会から独占禁止法第56条第1項及び公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号。以下「規則」という。)第12条第1項の規定に基づき担当審判官に指定された本職らは,審判の結果,次のとおり審決することが適当であると考え,規則第73条及び第74条の規定に基づいて本審決案を作成する。

主     文
被審人の各審判請求をいずれも棄却する。

理     由
第1 審判請求の趣旨
1 平成23年(判)第84号審判事件
平成23年(措)第7号排除措置命令の全部の取消しを求める。
2 平成23年(判)第86号審判事件
平成23年(納)第93号課徴金納付命令の全部の取消しを求める。
第2 事案の概要(当事者間に争いのない事実及び公知の事実)
1 排除措置命令(平成23年(措)第7号)
公正取引委員会は,被審人が,矢崎総業株式会社(以下「矢崎総業」という。),弥栄電線株式会社(以下「弥栄電線」という。),協和電線工業株式会社,愛知電線株式会社(以下「愛知電線」という。),カワイ電線株式会社(以下「カワイ電線」という。),菅波電線株式会社(以下「菅波電線」という。)及び協和電線株式会社(以下「協和電線」という。)の7社(以下「7社」という。)並びに住電日立ケーブル株式会社,古河エレコム株式会社及び昭和電線ケーブルシステム株式会社(以下「昭和電線ケーブルシステム」という。)の3社(以下「3社」といい,7社と3社を合わせて「10社」という。)と共同して,販売業者に対して販売される別紙記載の製品(以下,600ボルトビニル絶縁ビニルシースケーブル平形を「VVFケーブル」といい,そのうち別紙記載の製品を「別紙VVFケーブル」といい,販売業者に対して販売される別紙VVFケーブルを「特定VVFケーブル」という。)の販売価格(矢崎総業が矢崎総業北海道販売株式会社,矢崎総業四国販売株式会社及び有限会社沖縄矢崎販売の3社〔以下「矢崎総業子会社3社」という。〕を通じて販売する場合にあっては矢崎総業子会社3社の販売価格,カワイ電線にあってはカワイ電線商事株式会社〔以下「カワイ電線商事」という。〕の販売価格,被審人にあっては富士電線販賣株式会社〔以下「富士電線販賣」という。〕の販売価格をいう。以下,被審人から富士電線販賣への販売価格であることを断る場合を除き同じ。)を決定していく旨を合意することにより(本件では10社との間でこの合意を行った事業者が被審人か富士電線販賣かについては争いがあるが,以下においては,被審人又は富士電線販賣と10社との間のこの合意を「本件合意」といい,本件合意を行った11社を「11社」という。),公共の利益に反して,我が国における特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,これは,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,同法第3条の規定に違反するものであるとして,平成23年7月22日,被審人及び7社に対し,排除措置を命じた(平成23年(措)第7号。以下,この処分を「本件排除措置命令」という。)。この排除措置命令書の謄本は,同月25日,被審人に対して送達された。
これに対して,被審人は,平成23年9月20日,本件排除措置命令の全部の取消しを求めて審判請求をした。
2 課徴金納付命令(平成23年(納)第93号)
公正取引委員会は,本件排除措置命令に係る違反行為(以下「本件違反行為」という。)は独占禁止法第7条の2第1項第1号に規定する商品の対価に係るものであるとして,平成23年7月22日,被審人に対し,16億1718万円の課徴金の納付を命じた(平成23年(納)第93号。以下,この処分を「本件課徴金納付命令」という。)。この課徴金納付命令書の謄本は,同月25日,被審人に対して送達された。
これに対して,被審人は,平成23年9月20日,本件課徴金納付命令の全部の取消しを求めて審判請求をした。
第3 前提となる事実(各項末尾に括弧書きで証拠を掲記した事実は当該証拠から認定される事実であり,その余の事実は当事者間に争いのない事実又は公知の事実である。)
1 被審人の概要
(1) 被審人は,昭和30年2月に設立され,肩書地に本店を置き,VVFケーブルの製造業を営んでいた者である。
(2) 被審人の株主構成は,被審人監査役永野千恵子が約34.22パーセント,被審人代表取締役社長永野隆彦が約17.24パーセント,被審人代表取締役副社長永野章秀が約14.46パーセント,株式会社フジクラが約9.33パーセント,大永産業株式会社が約8.76パーセント,因幡電機産業株式会社(以下「因幡電機」という。)が約4.15パーセントであったところ,被審人のオーナー一族(上記株主のうち永野姓の者をいう。以下同じ。)の出資比率は約65.92パーセントであった。
(3) 被審人の関連会社である富士電線販賣,富士電精工株式会社及び富士電器工業株式会社において業務を行っていた従業員は,全員被審人から出向していた。
(4) 被審人は,富士電線販賣に対し,製造したVVFケーブルの全てを販売していた。(査第2号証,第14号証,第17号証)
2 富士電線販賣の概要
(1) 富士電線販賣は,昭和48年9月に被審人の販売部門を分離して設立され,登記上の本店所在地は大阪府八尾市にあるものの,実際の本店機能を営む事業所の所在地は,被審人の本店所在地と同所にあり,VVFケーブルの販売事業を行っていた。
(2) 富士電線販賣の株式のうち,被審人は約9.15パーセントを保有していた。その余の株主構成は,被審人監査役永野千恵子が約46.62パーセント,被審人代表取締役社長永野隆彦が約19.37パーセント,被審人代表取締役副社長永野章秀が約17.08パーセント,社員持株会が約7.78パーセントであり,被審人のオーナー一族の合計出資比率は約83.07パーセントであった。
また,富士電線販賣の代表取締役社長は,被審人の代表取締役社長が兼任し,富士電線販賣のその他の役員も被審人の役員が兼任していた。(査第11号証,第12号証,第15号証)
(3) 富士電線販賣では独自に従業員を採用しておらず,同社の従業員は,全て被審人からの出向者であった。また,富士電線販賣の従業員は,被審人の就業規則及び賃金規則の適用を受け,被審人が富士電線販賣の従業員の解雇権を有し,給与の振込手続を行っていた。
なお,富士電線販賣の従業員の給与は,同社が自ら負担していた。(審第1号証の1ないし4)
(4) 富士電線販賣には経理及び財務の業務を担当する部門が存在せず,被審人の経理部が無償で富士電線販賣の経理及び財務の業務を行っていた。
(5) 富士電線販賣は,その販売するVVFケーブルの全てを被審人から購入し,これを販売業者に対して販売していた。(査第1号証,第16号証,第17号証)
3 VVFケーブルの概要等
(1) VVFケーブルは,導体(銅線)をビニルで絶縁被覆し,被覆した導体を数本まとめ,それを再度ビニルシースで被覆した平型のケーブルであり,主にビル,家屋等の建物に設置されるブレーカーから建物内部のコンセント等までの屋内配線として使用されている。(査第1号証,第2号証)
(2) VVFケーブルは,線心数及び導体径(導体の数を「線心数」といい,導体の直径を「導体径」という。)により,次のように分類される。
なお,⑨のVVFケーブルは,需要が極めて少なく,ほとんど製造されていない。
(査第1号証,第2号証)
① 線心数が2本で導体径が1.6ミリメートルのもの(別紙の1記載のもので,「イチロクニシン」と称されている。以下「イチロクニシン」という。)
② 線心数が2本で導体径が2.0ミリメートルのもの(別紙の2記載のもので,「ニミリニシン」と称されている。以下「ニミリニシン」という。)
③ 線心数が2本で導体径が2.6ミリメートルのもの(別紙の3記載のもので,「ニロクニシン」と称されている。以下「ニロクニシン」という。)
④ 線心数が3本で導体径が1.6ミリメートルのもの(別紙の4記載のもので,「イチロクサンシン」と称されている。以下「イチロクサンシン」という。)
⑤ 線心数が3本で導体径が2.0ミリメートルのもの(別紙の5記載のもので,「ニミリサンシン」と称されている。以下「ニミリサンシン」という。)
⑥ 線心数が3本で導体径が2.6ミリメートルのもの(別紙の6記載のもので,「ニロクサンシン」と称されている。以下「ニロクサンシン」という。)
⑦ 線心数が4本で導体径が1.6ミリメートルのもの(別紙の7記載のもので,「イチロクヨンシン」と称されている。以下「イチロクヨンシン」という。)
⑧ 線心数が4本で導体径が2.0ミリメートルのもの(別紙の8記載のもので,「ニミリヨンシン」と称されている。以下「ニミリヨンシン」という。)
⑨ 線心数が4本で導体径が2.6ミリメートルのもの(「ニロクヨンシン」と称されている。)
(3) VVFケーブルには,一般品(シースが灰色無地のものをいう。以下同じ。)及び特殊品(一般品以外のものをいう。以下同じ。)がある。一般品が標準的な製品であり,そのバリエーションとして特殊品があるところ,特殊品には,①シースを灰色以外の色に着色したもの,②絶縁被覆を緑色に着色してその導体をアースとして使用するもの,③シースにライン等をプリントして電子レンジ等高圧電化製品用の200ボルト回路に使用するもの等がある。(査第1号証,第2号証)
(4) 10社から矢崎総業及びカワイ電線を除いた8社は直接,矢崎総業は直接又は矢崎総業子会社3社を通じて,カワイ電線はカワイ電線商事を通じて,それぞれVVFケーブルを販売業者に対して販売していた。(査第4号証ないし第6号証)
また,前記1(4)及び2(5)のとおり,被審人は,富士電線販賣に対し,製造したVVFケーブルの全てを販売し,富士電線販賣は,その販売するVVFケーブルの全てを被審人から購入し,これを販売業者に販売していた。
(5) 販売業者には,「電材店」と称される電線,照明器具等の電気資材を総合的に取り扱う販売業者及び「専業店」と称される電線を専門的に取り扱う販売業者があり,専業店は購入したVVFケーブルを,更に主として電材店に対して販売している。(査第2号証)
(6) VVFケーブルは,その製造原価の大部分を電気銅(電解精製等により銅成分99.99パーセント以上に精製した銅製品をいう。以下同じ。)の購入費用が占めているため,その販売価格は,銅建値(日鉱金属株式会社〔平成22年7月1日以降はJX日鉱日石金属株式会社〕が公表している電気銅1トン当たりの価格をいう。以下同じ。)の変動に大きく左右されるところ,11社は,それぞれ,銅建値等を踏まえてVVFケーブルの販売価格を決定していた。
なお,11社は,VVFケーブルの専業店に対する販売価格については,専業店が電材店に販売する経費を見込んで,電材店よりも一般的に低く設定していた。
また,11社は,特殊品の基本的な原材料は一般品と同一であるため,特殊品の販売価格については,一般品の販売価格に,シースを灰色以外の色に着色するなど,その加工に要する費用を上乗せして決定していた。
(査第1号証ないし第3号証)
4 本件合意の成立等
(1) 営業部長級の者による会合について
11社は,かねてから,各社の営業部長級の者による会合を開催するなどしていた。
上記会合には,東京で開催される11社のうち愛知電線,弥栄電線及び協和電線を除いた8社の営業部長級の者による会合(以下「東のVVF部会」という。),大阪で開催される11社のうち菅波電線及び昭和電線ケーブルシステムを除いた9社の営業部長級の者による会合(以下「西のVVF部会」という。),名古屋で開催される東のVVF部会及び西のVVF部会の出席者による会合(以下「東西合同部会」という。)があり,東西の各VVF部会はそれぞれおおむね月に1回,東西合同部会は年に2回開催されていた。
西のVVF部会は,西日本電線工業協同組合(以下「西協組」という。)の品種別部会の一つであるVVF部会(以下「西協組のVVF部会」という。)の場を利用して行われていたところ,当該部会の構成員には正部会員と賛助部会員の区別があり,西協組の組合員は正部会員として,社団法人日本電線工業会(以下「日本電線工業会」という。)の会員である事業者は賛助部会員として当該部会への加入が認められていた。被審人は,西協組の組合員であるため,西協組のVVF部会の正部会員であったが,富士電線販賣は,西協組の組合員でも日本電線工業会の会員でもないため,西協組のVVF部会の正部会員でも賛助部会員でもなかった。
東西の各VVF部会においては,特定VVFケーブルの販売価格を話合いにより設定し,東西合同部会において東西の各VVF部会で設定された販売価格を調整するなどして,統一的な販売価格を設定することが図られていた。
また,一般品の品目ごとの価格をあらかじめ定めた「バンド表」又は「バンド帯」等と称される価格表が作成されており,イチロクニシンの販売価格を決定すれば,その価格表上のライン(価格表において,イチロクニシンのある単価を基準とした際に,自動的に定まる他の7品目を含めた前記3(2)の①から⑧までの8品目の価格帯をいう。以下同じ。)により,自動的に他の品目の販売価格が定まるようになっていたことから,東西の各VVF部会においては,イチロクニシンの目標となる販売価格を話合いにより決定し,統一的な販売価格を決定することが図られていた。
(2) 本件合意に至る経緯及び本件合意の成立
東西の各VVF部会においては,平成18年に入ってからの銅建値の急騰を受けて,特定VVFケーブルの販売価格の引上げを議論し,急激な銅建値の価格変動に対応できる新たな価格表を作成することが検討されていたところ,同年5月16日,東西合同部会が開催された。
同部会において特定VVFケーブルの販売価格を引き上げるための方策について,各社が意見を出し合い,話し合った結果,同部会の出席者は,
ア 銅建値が100万円のときの電材店に対する一般品の1メートル当たりのイチロクニシンの販売価格を50円,ニミリニシンの販売価格を93円,ニロクニシンの販売価格を169円,イチロクサンシンの販売価格を95円,ニミリサンシンの販売価格を145円,ニロクサンシンの販売価格を222円,イチロクヨンシンの販売価格はイチロクニシンの2.5倍の125円,ニミリヨンシンの販売価格はニミリニシンの約2.5倍の233円とすること
イ 銅建値が3万円変動するごとに一般品の1メートル当たりのイチロクニシンの販売価格を1円変動させること
ウ 一般品の1メートル当たりのイチロクニシンの販売価格が1円変動するときに,他の品目の販売価格を変動させる幅を,ニミリニシンは2円,ニロクニシンは3円,イチロクサンシンは2円,ニミリサンシンは3円,ニロクサンシンは4円,イチロクヨンシンは2円又は3円,ニミリヨンシンは5円とすること
を内容とし,特定VVFケーブルのうち一般品の販売価格を銅建値及び品目ごとに記載した表(以下「3万バンド表」という。)を使用して特定VVFケーブルの各品目の販売価格を設定していくことを取り決めた。
もっとも,同部会の出席者は,銅建値の急騰を理由としても,急激に特定VVFケーブルの販売価格を引き上げることは困難であるため,段階的に販売価格を引き上げることとし,同日取り決めた3万バンド表を使用して,同日から電材店に対する一般品の販売価格をイチロクニシンの販売価格が45円のラインの価格,同月22日以降の販売から同48円のラインの価格,同年6月1日以降の販売から同50円のラインの価格とすることを取り決めた。
また,専業店に対する販売価格は,決定した電材店に対するイチロクニシンの販売価格から1円から2円程度差し引いた販売価格のラインの価格とすること,特殊品の販売価格は,決定した一般品の販売価格に各社の製造費用分を上乗せした販売価格とすることとされた。
これらの内容は,当日欠席した弥栄電線及び菅波電線にも同年5月中に伝達され,両社は,その頃,それぞれこれを了承した。
このようにして,11社は,本件合意を成立させた。
(査第2号証,第4号証,第66号証,第75号証,第78号証,第79号証)
5 前記4(2)の西のVVF部会及び東西合同部会には,被審人の取締役営業本部本部長(平成21年2月から取締役販売部統括部長)である落合茂(以下「落合」という。)が出席し,前記4(2)の東のVVF部会には,落合の部下で,被審人の取締役営業本部東日本販売部部長である赤木浩二(以下「赤木」という。)が出席して,その内容を落合に報告していた。(査第1号証,第2号証,第11号証,第17号証。なお,落合及び赤木が被審人又は富士電線販賣のいずれの業務として出席していたかについては争いがあり,この点は後に判断する。)
6 協和電線は,平成21年2月6日以降,3社は,同年6月2日以降,それぞれ本件合意に基づく行為を取りやめている。
また,同年12月17日,本件について公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,11社から協和電線及び3社を除いた各社は,本件合意に基づく行為を取りやめている。
7 平成18年6月から平成21年12月までの期間を通じて,11社の特定VVFケーブルの販売金額(被審人又は富士電線販賣にあっては富士電線販賣の販売金額,矢崎総業が矢崎総業子会社3社を通じて販売する場合にあっては矢崎総業子会社3社の販売金額,カワイ電線にあってはカワイ電線商事の販売金額をいう。以下,後記第6の1(1)ウ(ア)c記載の「販売金額」を除き同じ。)の合計は,我が国における特定VVFケーブルの総販売金額のほとんど全てを占めており,また,上記期間を通じて,11社から協和電線及び3社を除いた各社の特定VVFケーブルの販売金額の合計は,我が国における特定VVFケーブルの総販売金額の大部分を占めていた。(査第7号証)
8 審査官が本件違反行為の実行期間であると主張している平成18年12月17日から平成21年12月16日までの期間における被審人の富士電線販賣に対する別紙VVFケーブルの売上額は,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令(昭和52年政令第317号。以下「独占禁止法施行令」という。)第5条第1項の規定に基づき算定すると404億2954万2986円である。
9 被審人は,前記8の期間を通じ,資本金の額が3億円以下の会社であり,電線の製造業を主たる事業として営んでいた者である。
第4 本件の争点
1 被審人は本件違反行為の主体か否か(争点1)
2 被審人に「当該商品」(独占禁止法第7条の2第1項)の売上額が存在するか否か(争点2)
第5 争点についての双方の主張
1 争点1(被審人は本件違反行為の主体か否か)について
(1) 審査官の主張
被審人は,富士電線販賣を通じて,VVFケーブルを販売業者に対して販売していた(以下,販売業者に対してVVFケーブルを販売する事業を「本件販売事業」という。)ところ,落合らが被審人の業務として東西合同部会等の会合に出席し,本件合意が形成されるに至ったのであるから,被審人が本件違反行為の主体であることは明らかである。
具体的には,以下のとおりである。
ア 被審人は,富士電線販賣を通じて本件販売事業を行っていたこと
以下の事実からすると,富士電線販賣は被審人の言わば手足として本件販売事業を行っていたものであり,被審人が富士電線販賣を通じて本件販売事業を行っていたことは明らかである。
(ア) 富士電線販賣には被審人の意向に反して自由かつ自主的に事業活動を行う余地がなかったこと
被審人と富士電線販賣とは,本店機能を有する事務所を同一にしていたばかりでなく,被審人の代表取締役社長が富士電線販賣の代表取締役社長を兼任していたことを始めとして,被審人の役員が富士電線販賣の全ての役員を兼ね,また,富士電線販賣の従業員も全て被審人からの出向者であったほか,富士電線販賣の株式においても被審人及び被審人のオーナー一族の合計出資比率は9割強にも上り,その余の株式についても上記の出向者によって構成される社員持株会が全て保有するという関係にあった。
また,被審人は,被審人において製造したVVFケーブルの全てを富士電線販賣に販売し,かつ,富士電線販賣も,被審人以外からVVFケーブルを購入することもなかった。その上,本来,独立した法人間で経理及び財務の業務委託を無償で行うことはおよそ不自然であるにもかかわらず,被審人において富士電線販賣の経理及び財務の業務が対価を得ることなく行われていた。
このように,被審人と富士電線販賣は,人的関係,資本関係及び取引関係等のあらゆる面において緊密なつながりを持っており,実質的に富士電線販賣は被審人に従属する立場であったと認められる。そのため,富士電線販賣には,被審人の意向に反して自由かつ自主的に事業活動を行う余地などおよそ存在しなかった。
(イ) 被審人が本件販売事業に関する意思決定を行っていたこと
被審人は,販売業務を所掌する販売部を置き,販売部における具体的な販売手順等を決めており,実際にも,被審人の事業年度ごと及び月ごとに販売計画を定めて,当該計画を遂行するための方針について,社内会議を開催して,本件販売事業の検討を行っていた。
被審人の代表取締役社長は,社内会議において,VVFケーブルの販売価格や販売量といった販売方針について具体的な指示をしており,また,取引先の選定等,本件販売事業における重要事項についての決裁権限を有していた。
このように,被審人は,自ら本件販売事業に関する意思決定を行っていた。
(ウ) 被審人が本件販売事業を行う主体は被審人であることを対外的に示すなどしていたこと
仮に,被審人が本件販売事業を行っていないのであれば,被審人が販売主体として対外的に示されることはあり得ない。しかし,被審人の代表取締役社長らは,販売業者と取引しているのは被審人であるとして振る舞っていたほか,被審人が本件販売事業に用いられる施設を建設して被審人の名称を表記するなどして,被審人が販売業者及び同業他社等第三者に対して,本件販売事業を行う主体は被審人であるとして示していた。
(エ) まとめ
以上のことからすれば,被審人が本件販売事業を行っていたのであり,富士電線販賣は,被審人が策定した販売計画を含む経営計画及び被審人の社内会議において示された方針に全て従っており,これに反して,自由かつ自主的に本件販売事業を行うことはできなかった。
したがって,被審人が富士電線販賣を通じて本件販売事業を行っていたことは明らかである。富士電線販賣は,被審人において策定された販売計画を含む経営計画及び被審人の社内会議において示された方針に従って,言わば被審人の手足として本件販売事業を行っていたにすぎない。
イ 落合が被審人の業務として西のVVF部会及び東西合同部会に出席し,東のVVF部会の内容について報告を受けていたこと
(ア) 落合の職務内容
落合は,昭和45年に被審人に入社し,昭和49年に被審人の販売部に配属された後,平成15年2月1日に被審人の取締役西日本販売部部長に,平成18年2月1日に被審人の取締役営業本部本部長に,平成21年2月1日に被審人の取締役販売部統括部長になった。また,被審人の取締役営業本部本部長に就任して以降は,被審人の販売計画,価格政策等の営業全般に関する業務を統括する最高責任者として販売業務を指揮していた。
(イ) 営業部長級の者による会合への出席
西のVVF部会は西協組のVVF部会の場を利用して行われていたところ,被審人は,西協組のVVF部会の正部会員でありその会費を負担していたが,富士電線販賣は,西協組のVVF部会の正部会員でも賛助部会員でもなかった。
このような事実からすれば,落合は,被審人の業務として西のVVF部会及び東西合同部会に出席していたといえる。
また,東のVVF部会には,落合の部下で,被審人の取締役営業本部東日本販売部部長である赤木が出席しており,落合は,被審人の業務として,赤木から東のVVF部会の内容について報告を受けていたといえる。
ウ 被審人が本件合意の主体であること
以上のとおり,被審人は,販売業務を所掌する販売部を置き,富士電線販賣を通じてVVFケーブルを販売業者に対して販売していたこと,落合は,被審人の営業本部本部長ないし販売部統括部長として,被審人の販売計画,価格政策等の営業全般に関する業務を統括する最高責任者として販売業務を指揮する立場にあったこと,被審人は西協組のVVF部会の構成員であったが,富士電線販賣は西協組のVVF部会の構成員ではなかったことからすれば,落合らが被審人の業務として東西合同部会等の会合に出席し,本件合意が形成されるに至ったことは明らかである。
したがって,本件合意を行ったのは被審人と認められるから,本件違反行為の主体は被審人である。
(2) 被審人の主張
以下のとおり,被審人は本件違反行為の主体ではない。
ア 富士電線販賣が本件販売事業を行っていたこと
(ア) 事業活動に伴う人件費及び経費は,当該事業活動を行っている者が負担するのが通常であるが,富士電線販賣は,同社の従業員の給与及び本件販売事業に係る経費を負担していた(なお,落合は,被審人の役員であったが,被審人から役員報酬は受け取っていなかった。)。
(イ) また,富士電線販賣は,被審人からVVFケーブルを仕入れていたところ,販売業者に対し,VVFケーブルをその仕入価格に自社の諸経費を乗せた以上の価格で販売できれば利益を得られる一方で,それを販売できなければ当然在庫を抱えることになり,また,販売できたとしても,仕入価格に自社の諸経費を加えた価格以下でしか販売できなければ,その分の損失を被っていた。このように,本件販売事業の収益を収受し,リスクを負担していたのは,富士電線販賣であり,被審人ではない。
富士電線販賣は,このようなリスクを負っているからこそ,そのリスクを回避しつつ,いかに利益を上げるかという観点から,自らの判断で販売業者に対するVVFケーブルの販売活動を行っていた。すなわち,富士電線販賣は,VVFケーブルを被審人から買い取り,かつ,その仕入価格を事後的に変更することはできなかったところ,富士電線販賣は,原材料価格,特に銅建値の変動の状況から予想される翌月のVVFケーブルの仕入価格,得意先の状況,競合他社の状況等を考慮し,継続的に利益を上げていくため,月初めや毎週月曜日の早朝ミーティングにおける東西の販売部部長の指示や,落合又は東西各販売部部長の随時の指示を通じ,自らの判断で販売業者に対する価格改定を行い,販売活動を行っていた。
(ウ) したがって,本件販売事業を行っていたのが富士電線販賣であることは明らかである。
イ 落合らは富士電線販賣の業務として東西合同部会等の会合に出席したこと
前記アのとおり,本件販売事業を行っていたのは富士電線販賣であり,また,落合らが東西合同部会等の会合に出席するための交通費等の費用は富士電線販賣の経費として処理されていたところ,交通費等の経費はそれに係る業務を行った当事者において負担するのが通常であるから,落合らは,被審人ではなく,富士電線販賣の業務として東西合同部会等の会合に出席したものである。
ウ したがって,本件合意の主体は,富士電線販賣であって,被審人ではないから,被審人は,本件違反行為の主体ではない。
エ なお,審査官は,被審人が富士電線販賣を手足として本件販売事業を行っていたと主張する。
しかし,製造機能と販売機能を分離独立し,グループ会社内で別々の会社がそれを担う事例は枚挙にいとまがなく,その場合,人的関係,資本関係及び取引関係に関連性が生じるのは当然である。
また,グループ会社として,富士電線販賣が被審人からその製造する製品を購入し,それを販売していた以上,両社の事業運営に連携性が生じるのは当たり前であり,グループ会社相互の関連性や事業活動の連携性が認められることをもって,一方の会社が他方の会社から独立して事業運営を行っていないという評価は当てはまらない。
さらに,被審人が製造するVVFケーブルが1つのブランドとして認知されていたことから,当該製品や施設の紹介に当たって,被審人名を表示したからといって,被審人が取引先に対する本件販売事業を行っていたことにもならない。
したがって,被審人が富士電線販賣を手足として本件販売事業を行っていたとはいえない。
オ また,審査官は,西協組のVVF部会の構成員が被審人であったことを,落合が被審人の業務として西のVVF部会及び東西合同部会に出席していたことの間接事実として主張するが,被審人が西協組のVVF部会に加入したのは富士電線販賣が設立される以前であり,富士電線販賣が設立された後,西協組のVVF部会の賛助部会員として重ねて加入するメリットはないことから,西協組のVVF部会にはそのまま被審人名義で加入していたにすぎないのであり,こうした経緯も踏まえれば,西協組のVVF部会に被審人が加盟していたからといって,落合らが被審人の業務として西協組のVVF部会の場を利用して行われていた西のVVF部会に出席していたと推認することは論理の飛躍がある。    
2 争点2(被審人に「当該商品」の売上額が存在するか否か)について
(1) 審査官の主張
以下のとおり,被審人には特定VVFケーブルの売上額が存在する。
ア 違反行為の対象商品の範疇に属する商品については,当該行為を行った事業者又は事業者団体が明示的又は黙示的に当該行為の対象からあえて除外したこと,あるいは,これと同視し得る合理的な理由によって定型的に当該行為による拘束から除外されていることを示す特段の事情がない限り,独占禁止法第7条の2第1項にいう「当該商品」に該当する(公正取引委員会平成11年11月10日審決・公正取引委員会審決集第46巻119頁〔東京無線タクシー協同組合に対する件〕)。
イ 本件合意の対象となった商品は特定VVFケーブルであるところ,被審人が富士電線販賣を通じて販売業者に対して販売した別紙VVFケーブルが本件違反行為の対象商品である特定VVFケーブルに該当することは明らかであり,課徴金の算定対象とされる「当該商品」に該当する。
これに加えて,被審人から富士電線販賣に対する販売価格と富士電線販賣から販売業者に対する販売価格とは,一方の価格引上げが他方の価格にも連動するという点において相互に関連するものであり,富士電線販賣から販売業者への販売価格の拘束の効果は,被審人から富士電線販賣に対する販売価格にも及ぶものである。そのことも踏まえれば,被審人が富士電線販賣を通じて販売業者に対して販売した別紙VVFケーブルは,本件違反行為の対象商品の範疇に属する商品であって,かつ,その違反行為による拘束を受けた商品であるといえ,課徴金の算定対象とされる「当該商品」に該当することは,より一層明らかである。
したがって,被審人には「当該商品」の売上額がある。
ウ なお,被審人は,本件排除措置命令において,本件違反行為の対象商品は別紙VVFケーブルのうち取引段階が「販売業者に対して販売される」ものに限定されているから,被審人には「当該商品」の売上額が存在しないと主張するが,本件排除措置命令において,本件違反行為の対象商品について「販売業者に対して販売される」との限定を付しているのは,本件違反行為の対象商品を別紙VVFケーブルのうち販売業者(つまり電材店又は専業店)を経由して流通するものに限定する趣旨であり,別紙VVFケーブルのうち取引段階が「販売業者に対して販売される」ものに限定する趣旨ではないから,被審人の上記主張は失当である。
エ(ア) また,被審人は,仮に被審人が違反行為者であったとしても,富士電線販賣もまた違反行為者であるところ,本件違反行為の対象商品である販売業者に対して販売される別紙VVFケーブルに該当するのは富士電線販賣が販売業者に対し販売する別紙VVFケーブルであり,違反行為者である被審人と富士電線販賣との間の取引に係る別紙VVFケーブルはこれに該当しないから,被審人には「当該商品」の売上額がないと主張する。
(イ) しかし,以下のとおり,富士電線販賣は本件の違反行為者でないから,前記(ア)の被審人の主張は前提を欠き,失当である。
a 本件販売事業に関する意思決定を行っていたのは被審人である一方,富士電線販賣には被審人の意向に反して自由かつ自主的に事業活動を行う余地はなく,富士電線販賣は,言わば被審人の手足として本件販売事業を行うにすぎなかった。
また,富士電線販賣は西協組のVVF部会の正部会員でも賛助部会員でもなかったのであるから,西協組のVVF部会の場を利用して行われた西のVVF部会に出席していた落合は,被審人の業務として出席していたのであり,本件合意が形成された東西合同部会にも,被審人の業務として出席していたことは明らかである。
したがって,富士電線販賣は,本件合意に関し,「意思の連絡」の主体とはなり得ない。
b 富士電線販賣は,本件合意とは無関係に,被審人の意向に反して自由かつ自主的に事業活動を行うことができないという制約を受けており,被審人から本件合意の内容に沿った特定VVFケーブルの販売行為に関する方針を示された場合には,それに従わざるを得なかったのである。このように,特定VVFケーブルの販売行為について富士電線販賣が受けていた拘束は,被審人が受けていた本件合意による拘束が,被審人を通じて間接的に及んでいたものにすぎない。
したがって,富士電線販賣は,他の違反行為者との間で,「相互にその事業活動を拘束」していたとは認められない。
c 以上のとおり,富士電線販賣は,不当な取引制限の要件を満たしていないから,本件の違反行為者となることはない。
(ウ) また,そもそも,被審人に課徴金の算定対象とされる「当該商品」の売上額が存在する以上,独占禁止法第7条の2第1項により,被審人には課徴金の納付が命じられなければならず,この結論は,被審人のみが違反行為者であるか,被審人及び富士電線販賣の双方が違反行為者であるかによって異なるものではない。
(2) 被審人の主張
以下のとおり,被審人が本件違反行為の主体であるとした場合であっても,被審人には「当該商品」の売上額が存在しないから,被審人に対して課徴金を課すことはできない。
ア 本件排除措置命令において,違反行為の対象商品は別紙VVFケーブルのうち取引段階が「販売業者に対して販売される」ものに限定されており,このように取引段階を限定された別紙VVFケーブルに被審人から富士電線販賣に対して販売される別紙VVFケーブルは含まれないから,被審人には「当該商品」の売上額が存在しない。
なお,審査官は,被審人から富士電線販賣に対する販売価格と富士電線販賣から販売業者に対する販売価格が相互に連動していることから,販売業者に対する販売価格への拘束の効果が被審人から富士電線販賣に対する販売価格にも及ぶとして,被審人が富士電線販賣に対して販売する別紙VVFケーブルも「当該商品」に含まれると主張する。
しかし,被審人から富士電線販賣に対する販売価格と富士電線販賣から販売業者に対する販売価格が連動していることを示す証拠はなく,せいぜい両価格が無関係に決定されるものではないことを示す証拠があるにとどまる。
したがって,被審人の富士電線販賣に対する別紙VVFケーブルの販売につき,販売業者に対する販売と同視できるだけの特段の事情は存在せず,被審人には販売業者に対して販売する別紙VVFケーブル,すなわち特定VVFケーブルの売上額が存在しないから,被審人には「当該商品」の売上額が存在しない。
イ 本件合意を実行するためには,富士電線販賣の存在が不可欠であり,かつ,  富士電線販賣の従業員が本件合意が形成された会合に出席していたことは争いがない。特に本件では,本件合意を形成していた落合らは,法的には被審人及び富士電線販賣の両社の従業員であり,労務の対価である給与を負担していたのは富士電線販賣であったから,同人らの業務は富士電線販賣の業務として考えるのが自然である。したがって,仮に被審人が違反行為者であったとしても,同時に富士電線販賣もまた本件合意の主体として違反行為者であったと考えざるを得ない。
そして,その場合,本件違反行為の対象商品は販売業者に対して販売する別紙VVFケーブルであるところ,これに該当するのは富士電線販賣が販売業者に対して販売する別紙VVFケーブルであり,違反行為者間の取引,すなわち被審人と富士電線販賣との間の取引に係る別紙VVFケーブルはこれに該当しない(平成7年(納)第79号・公正取引委員会審決集第41巻388頁〔大型カラー映像装置の製造業者及び販売業者に対する件〕参照)から,被審人には「当該商品」の売上額がない。
第6 審判官の判断
1 争点1(被審人は本件違反行為の主体か否か)について
(1) 認定事実
前記第3の事実及び証拠(各項末尾に括弧書きで掲記)によれば,以下の事実が認められる。
ア 被審人と富士電線販賣との間の資本関係,人的関係,取引関係等
富士電線販賣の実際の本店機能を営む事業所の所在地が被審人の本店所在地と同所にあったこと,富士電線販賣の株式は,被審人が約9.15パーセントを保有し,被審人のオーナー一族が約83.07パーセントを保有し,その余を社員持株会(後記のとおり,富士電線販賣の従業員は全て被審人からの出向者であった。)が保有していたこと,富士電線販賣の代表取締役社長は,被審人の代表取締役社長が兼任し,富士電線販賣のその他の役員も被審人の役員が兼任していたこと,富士電線販賣では独自に従業員を採用しておらず,富士電線販賣の従業員は全て被審人からの出向者であったこと,富士電線販賣の従業員は被審人の就業規則及び賃金規則の適用を受けることとされており,被審人が富士電線販賣の従業員の解雇権を有し,被審人が富士電線販賣の従業員の給与の振込手続を行っていたこと,被審人はその製造したVVFケーブルの全てを富士電線販賣に販売しており,富士電線販賣もその販売するVVFケーブルの全てを被審人から購入してこれを販売業者に販売していたことは,前記第3の1(4)及び同2のとおりである。
イ 被審人の販売部
(ア) 被審人の組織においては,VVFケーブルの製造等の業務を分掌する製造部のほかに,VVFケーブルの販売等の業務を分掌する販売部(西日本販売部,東日本販売部)が存在していた。被審人の販売部に所属する従業員は,全員,被審人に在籍したまま富士電線販賣に出向し,出向先の富士電線販賣においても被審人における役職と同様の役職に就いていた。
(イ) 被審人は,販売部に関し,「業務分掌規程(販売部)」(査第9号証)及び「販売管理規程(販売部)」(査第64号証)を制定していた。
「業務分掌規程(販売部)」においては,販売部の業務として「製品の担当地域における販売(代理店,問屋向販売)並びにこれに関連する見積,受注契約等の業務」が挙げられており,販売業者に対する販売については,被審人の販売部の業務とされていた。
また,「販売管理規程(販売部)」においては,被審人の販売部の営業活動が販売形態により在庫品販売と受注生産品販売に区分され,同部において,在庫品販売においては,業務課が生産手配を行うこと,営業担当者が価格表を作成し,部長の確認を得た後,必要に応じて得意先に提出すること,業務課が契約内容の確認,受注票及び配達原票の発行並びに納品書の送付を行うこと,流通サービス担当者が配達原票に基づき得意先に納品することとされており,受注生産品販売においては,営業担当者が得意先より要求事項を確認した後,業務課に見積り依頼を行い,業務課が見積原案を作成し,部長の承認を得た後見積りをし,その際必要があれば見積書を作成すること,見積書に基づいて得意先と交渉を行い決定する価格は,再度部長の決裁を得なければならないこと,発注数量及び納期の変更があった際には,直ちに変更内容を確認し,部長の承認を得た後,生産部門に送ること,営業担当者が受注票を発行すること,業務課が受注票受領後,製作依頼伝票を発行し,生産部門に生産を依頼すること,業務課が配達原票の発行及び納品書の送付を行い,流通サービス担当者が配達原票のデータに基づき得意先に納品することとされていた。さらに,「販売管理規程(販売部)」においては,被審人の販売部は,営業活動に付随して,苦情処理,請求書確認及び発送,マーケティング及び市場調査,年度計画及び月次計画の作成等の業務を行うこととされていた。
(ウ) このように,被審人は,その社内に販売業者へのVVFケーブルの販売を担当する組織を置き,また,販売業者へのVVFケーブルの販売に関する社内規程を設けていた。
(エ) なお,「販売管理規程(販売部)」においては,「在庫品販売の手順」の「生産手配」の箇所において,「販売部業務課は,毎月25日頃に過去の出荷データや営業担当からの得意先情報並びに翌月の販売計画に基づき出荷量を予測した後,適正在庫を維持する為の生産手配を製造部生産管理課へ生産依頼を用いて行う。生産依頼提出後に,増量や新規手配の必要が生じた場合には,製作依頼伝票を用いて,追加の生産手配を行う。」と,適正在庫を維持するための規定が置かれていた。
(査第1号証,第8号証ないし第13号証,第17号証,第64号証)
ウ 経営計画の策定及び社内会議の開催
被審人は,以下のとおり,社内規程に基づきVVFケーブルの販売計画を含む年度経営計画及び長期経営計画を策定し,年度経営計画を踏まえて月ごとに各部門の月次計画を策定し,これらの経営計画を遂行するための社内会議(月次計画会議,経営会議及び幹部会議)を開催していた。
(ア) 経営計画の策定
a 年度経営計画
被審人は,社内規程に基づき,年度ごとに被審人の販売部を含む各部門における部門計画を取りまとめた年度経営計画を策定していた。被審人の各部門長は,年度経営計画の策定に当たり,代表取締役社長の示した年度基本目標,年度方針及び部門方針を踏まえて,自部門における業務計画を作成することとされており,年度経営計画は,幹部会議において代表取締役社長から「必ず実行してもらいたい」,「立てた計画は100%達成するか,悪くても±5%の範囲内におさめていくべき」と述べられるなど,各部門の事業活動を拘束する具体的な計画として設定されていた。(査第20号証ないし第22号証,第101号証)
被審人の年度経営計画のうち販売部部門計画及び経理部部門計画は,以下のとおりである。
(a) 販売部部門計画
被審人の販売部は,販売部部門計画(平成18年度ないし平成20年度の年度経営計画においては営業本部部門計画をいう。以下同じ。),西日本販売部部門計画,東日本販売部部門計画を策定していた。
被審人の販売部部門計画には,当該年度の売上高,販売銅量及び粗利のそれぞれの実績と見込みに加え,翌年度の販売計画も示されており,翌年度のVVFケーブル等に係る月別の販売銅量及び売上金額の計画だけでなく,月別の粗利の計画,さらには,経費を差し引いた被審人の販売部の利益の計画も示されていた。また,西日本販売部部門計画及び東日本販売部部門計画には,東西各販売部及び東西各販売部内の販売課ごとのVVFケーブル等の製品別の年間販売銅量及び売上金額に係る計画等並びに当該計画を達成するための部署ごとの具体的な実施計画等が記載されていた。
これらの販売計画のタイムスケジュールは,全て被審人の事業年度である2月1日から翌年1月31日までで計画されていた(これに対し,富士電線販賣の事業年度は,9月1日から翌年8月31日までであった。)。
(査第16号証,第23号証ないし第36号証)
(b) 経理部部門計画
被審人の経理部が作成している部門計画には,富士電線販賣の分を含めて債権管理(売掛金の回収等),経費管理等に関する事項が記載されており,被審人の経理部が富士電線販賣の債権管理(売掛金の回収等),経費管理等を行っていた。(査第37号証ないし第41号証)
b 長期経営計画
被審人は,平成20年3月17日,平成20年度から平成24年度までの中期経営計画を策定していたところ,同計画において,中期数値目標として,販売部の売上目標,銅量目標を策定し,事業別中期戦略のうち市販事業として,VVFケーブル等製品別に目標シェア,目標銅量を策定し,部門別中期実行計画として,被審人の販売部を東日本販売部と西日本販売部に分けて,それぞれの実行計画を策定していた。(査第42号証)
c 月次計画
被審人の販売部は,原則毎月25日頃に開催される月次計画会議に当たり,当月の実績見込み,翌月の販売計画案,翌月の生産要求案に係る資料を準備することとされていた。そして,被審人の販売部は,翌月の販売計画案として,「月次計数計画」と称する計画(以下「販売部月次計数計画」という。)を策定していたが,販売部月次計数計画は,VVFケーブルの翌月の販売銅量,販売金額,粗利及びトン当たりの単価についての具体的な数値を含むものとなっていた。(査第43号証,第102号証,審第11号証)
(イ) 社内会議の開催
a 月次計画会議
月次計画会議は,原則毎月25日頃に,月次の生産・販売計画作成のために行われる会議であり,販売部からは販売統括部長,西日本販売部部長,東日本販売部部長,業務課長が構成員として当該会議に出席していた。
月次計画会議では,各部門の当月計画に対する実績見込みとその反省,翌月計画の参考にすべき情報交換として,原材料動向,需要動向,価格動向,同業他社の動向が話し合われ,販売計画,生産計画等各部門の翌月計画の審議・検討がなされていた。販売部の関係では,販売部月次計数計画についての審議・検討も行われていた。
月次計画会議における検討を経て作成した月次計画案は,翌週に開催される経営会議で提議し,被審人の代表取締役社長の決裁を得ることとされており,承認後の計画書は関係部長に配布されていた。
(査第11号証,第17号証,第43号証,審第11号証)
b 経営会議
経営会議は,原則毎週月曜日の午後1時頃に,会社の基本方針に基づいて全般的業務執行方針,経営計画及び重要な業務の実施に関し協議し決定するために行われる会議であり,被審人に在籍し,常勤する部長以上及びその代理の職位にある者が構成員として出席していた。
経営会議では,月次計画の進捗状況の確認,今後の生産計画や販売目標の設定,必要に応じて被審人の代表取締役社長から発言又は指示が行われていた。
また,月末の経営会議では,月次計画会議において作成された翌月の販売計画等の月次計画案について審議が行われていた。
(査第11号証,第17号証,第43号証,第44号証)
c 幹部会議
幹部会議は,原則毎月第1月曜日の午後5時頃に,被審人の各部門の主任級以上の者が出席し,部長級の者が前月の業績と当月の計画を報告し,主任等がその報告に対して質疑をするというものであった。(査第11号証,第17号証)
d 議事録
経営会議及び幹部会議の議事録は,全て被審人の企画管理部又は総務部の名義で作成されていた。(査第45号証ないし第55号証,第95号証,第103号証ないし第106号証,第108号証ないし第110号証,第112号証ないし第119号証,第122号証,第129号証,第130号証)
エ 被審人の代表取締役社長による販売部に対する指示
被審人の代表取締役社長は,経営会議や幹部会議等の社内会議において,被審人の販売部に対し,平成18年における銅建値の高騰に関して,シェアよりも値上げを優先するように指示をしたり,平成19年4月の銅価格上昇に関して,販売業者への価格転嫁を行って値上げを徹底するように指示したり,平成20年3月に販売業者へのVVFケーブルの販売進捗状況が良くない中で値上げを優先するか,販売量を優先するか思案しているとの報告に対し,販売量を優先すべきとの指示をしたり,平成20年5月における販売業者へのVVFケーブルの販売進捗状況が良くないことを受け,販売状況が苦しい中でも販売業者に対し最低1円はVVFケーブルの値上げをするように指示したりするなど,VVFケーブルの販売業者への販売価格や販売量について,具体的な指示を行っていた。(査第45号証,第46号証,第48号証ないし第52号証,第54号証,第103号証ないし第105号証,第108号証,第109号証)
オ 被審人の社内会議等において製造及び販売が事業方針として一体的に検討されていたこと
前記ウ(イ)aのとおり,月次計画会議では,各部門の当月計画に対する実績見込みとその反省,翌月計画の参考にすべき情報交換として,原材料動向,需要動向,価格動向,同業他社の動向が話し合われ,販売計画,生産計画等各部門の翌月計画の審議・検討が行われていた。
また,被審人の代表取締役社長は,経営会議や幹部会議等の社内会議において,VVFケーブルに関して,材料価格の高騰に応じた値上げが厳しい状況に鑑み,被審人の資材部に対し材料の仕入れにおけるコストダウンを図るよう指示し,被審人の販売部に対し値上げを指示したり,被審人の製造部,販売部及び資材部に対し,連携を取りながら,被審人の資材部が仕入れる銅の価格に応じて,被審人の製造部の生産量と被審人の販売部の販売業者への販売量を調整することを指示したり,被審人の製造部に対し,製造量とのバランスで販売量が少なければ,被審人の販売部に対して販売業者への販売量を増やすように働きかけるよう指示したり,経費の削減を指示したりしていた。
さらに,被審人の製造部は,被審人の販売部に対し,販売業者へのより一層の積極的な販売を促したり,一方で,被審人の販売部は,被審人の製造部に対し,販売業者への販売状況を理由に,被審人の製造部の出勤日を変更することを提案したり,減産の要望を行ったりするなどし,これを受けて,被審人の製造部が月次の生産計画の変更を行うこともあった。
このように,被審人の社内会議等では,製造部,販売部,資材部,経理部など被審人の各部門を跨いで,製造事業と販売事業とをそれぞれ切り分けせずに,一体的に事業の検討がなされていた。
(査第11号証,第17号証,第47号証,第55号証,第95号証ないし第100号証,第106号証,第108号証,第110号証ないし第122号証,審第9号証の3)
カ 被審人の代表取締役社長による決裁
被審人の「稟議決裁手続規程」において,被審人の代表取締役社長は,販売取引先の選定,取引限度枠増額申請等について決裁権を有することとされていた。そして,実際にも,新規取引先の選定,取引先に対するリベートの供与,取引条件の変更及びそれに伴う現金歩引き,取引限度枠の増額等VVFケーブルの販売に係る主要な事項についての稟議書が,被審人の代表取締役社長に伺いを立てるために被審人内で回覧されており,被審人の代表取締役社長は,被審人の経理部長等の承認を経た上で,これらの稟議書の決裁を行っていた。(査第56号証ないし第63号証)
キ 富士電線販賣の経理及び財務
前記第3の2(4)のとおり,富士電線販賣には経理及び財務の業務を担当する部門が存在せず,被審人の経理部が無償で富士電線販賣の経理及び財務の業務を行っていた。
ク 販売業者らに対する振る舞い等
(ア) 因幡電機大阪親協会の会員が被審人となっていたこと
因幡電機は,被審人の製造に係るVVFケーブルを購入しているVVFケーブルの販売業者であるが,因幡電機の「重点販売を志向する優秀な仕入先」を会員とする「因幡電機大阪親協会」と称する会が結成されていた。そして,被審人は,同会の会員となっている一方で,因幡電機の形式上の取引相手である富士電線販賣は,同会の会員となっていなかった。
また,同会の名簿及び役員リストにおいて,被審人の代表取締役社長永野隆彦は,富士電線販賣ではなく被審人の代表取締役社長として,落合は,富士電線販賣ではなく被審人の販売部取締役統括部長又は取締役営業本部本部長として,それぞれ記載されていた。
(査第127号証,第128号証)
(イ) 落合の名刺
落合は,被審人の販売部統括部長など,被審人における営業全般に関する業務を統括する最高責任者であることを示す肩書きを記載した名刺を有しており,自己の都合に応じて,同名刺と富士電線販賣における肩書を記載した名刺を使い分けていた。(落合茂参考人審尋速記録)
(ウ) ウェブサイトにおける対外的表示
被審人のウェブサイトには,「流通・サービスにおける品質保証」との表題の下に,「流通・サービス面における当社の特長は,何と言っても製品の在庫量の多さと,その商品を確実にお客様の元へお届けする配送システム,さらにはこれらの情報に関するキメ細かなサービスです。お客様からの『今すぐ欲しい』という声に対して,在庫の有無を即座に回答できる[在庫管理システム],その日の内に出荷できる[配送システム],お客様の手元に間違いなく届くように,出荷した製品を追跡する[商品追跡システム]等の態勢を整え,お客様に満足して頂けるようにサービス向上に取り組んでおります。」などの本件販売事業に関する記載が設けられていた。(査第137号証)
(エ) 物流センターの施設名称の表記,建設に係る経緯等
VVFケーブルの在庫管理業務や販売業者への出荷業務といった販売業務は,被審人の物流センターと称する施設又は被審人の流通サービスセンターと称する施設において行われていた。そして,物流センターの正面には「富士電線工業株式會社物流サービスセンター」,流通サービスセンターの正面には「富士電線工業株式會社流通サービスセンター」と被審人の名称が表示されていた。
物流センターは,被審人の販売部における在庫管理業務や出荷業務といった販売業務に用いるために被審人が建設した施設であり,その所有権は被審人が有していた。
(査第24号証ないし第26号証,第134号証ないし第136号証,落合茂参考人審尋速記録)
ケ 落合の職務内容
落合は,被審人において,平成18年2月1日から取締役営業本部本部長として,平成21年2月1日から取締役販売部統括部長として,被審人の販売計画,価格政策等の営業全般に関する業務を統括する最高責任者として販売業務を指揮する立場にあった。(査第17号証,落合茂参考人審尋速記録)
コ 前記第3の4のとおり,11社は,東西の各VVF部会及び東西合同部会を開催するなどして本件合意を形成したものであるが,同5のとおり,その西のVVF部会及び東西合同部会には落合が出席し,東のVVF部会には落合の部下である赤木が出席して,その内容を落合に報告していた。
(2) 被審人が富士電線販賣を通じて本件販売事業を行っていたこと
ア 前記(1)の認定事実によれば,富士電線販賣と被審人との直接の資本関係は僅かであるものの,被審人及び被審人のオーナー一族が保有する富士電線販賣の株式の合計は富士電線販賣の株式総数の9割強にも上り,富士電線販賣のその余の株式についても被審人からの出向者によって構成される社員持株会が全て保有していたこと,富士電線販賣の代表取締役社長は被審人の代表取締役社長が兼任し,富士電線販賣のその他の役員も被審人の役員が兼任していたこと,富士電線販賣の従業員は,全て被審人からの出向者であり,被審人の就業規則及び賃金規則の適用を受け,被審人がその解雇権を有し,被審人がその給与の振込手続を行っていたこと,被審人はその製造したVVFケーブルの全てを富士電線販賣に販売しており,富士電線販賣もその販売するVVFケーブルの全てを被審人から購入してこれを販売業者に販売していたことが認められ,このように被審人と富士電線販賣は資本関係,人的関係及び取引関係等において極めて密接なつながりを持っていたことからすれば,富士電線販賣は,被審人との間において,その意向に反して自由かつ自主的な事業活動を行う関係になかったものと認められる。
これに加え,前記(1)の認定事実によれば,被審人は,その社内に販売業者へのVVFケーブルの販売を担当する組織を置き,また,販売業者へのVVFケーブルの販売に関する社内規程を設けていたこと,月次計画会議,経営会議及び幹部会議といった被審人の社内会議において,販売業者へのVVFケーブルの販売に関して検討がなされ,被審人の代表取締役社長からの具体的な指示が行われていたこと,富士電線販賣の従業員は,全て被審人の販売部からの出向者であり,これらの者が被審人の販売部の一員として,被審人の年度経営計画等の経営計画の策定に関与していたほか,被審人の社内会議に出席し,被審人の代表取締役社長から販売業者へのVVFケーブルの販売に関して直接指示を受けていたこと,同社内会議には常に製造部や経理部といった被審人の各事業部門の従業員も出席しており,VVFケーブルの製造事業及び販売事業を切り分けることなく,一体的に事業の検討がなされていたこと,被審人の代表取締役社長が販売業者へのVVFケーブルの販売に係る主要な事項について決裁権限を有していたこと,富士電線販賣は独立の法人格を有していながら,経理及び財務の業務を担当する部門を設けておらず,被審人が無償で富士電線販賣の経理及び財務の業務を行っていたことが認められるのであり,しかも,前記(1)の認定事実のとおり,被審人は,製造したVVFケーブルの全てを富士電線販賣に販売しており,富士電線販賣も,その販売するVVFケーブルの全てを被審人から購入しこれを販売業者に販売していたことに鑑みれば,富士電線販賣は,法形式上は被審人とは別個の法人格を有しているものの,実態としては被審人の販売部とほぼ同一組織であったということができる。
さらに,前記(1)の認定事実によれば,被審人の代表取締役社長らは,販売業者に対しVVFケーブルを販売しているのは被審人であるとして振る舞っていたほか,被審人が本件販売事業に用いられる施設を建設し,被審人の名称を表記するなどし,被審人が販売業者及び同業他社ら第三者に対し,本件販売事業を行う主体が被審人であることを示していたことが認められるのであり,このことは,被審人自身も,自らが実質的には本件販売事業を行っていたと認識していたことを推認させる。
以上によれば,被審人は,富士電線販賣を通じて,自ら本件販売事業を行っていたものであり,他方,富士電線販賣は,被審人の指示や管理を受けずに独自に事業方針を定めたり,被審人の定めた事業方針や指示に反して販売業務を行ったりすることはなく,被審人において策定された経営計画及び被審人の社内会議において示された方針に従ってVVFケーブルを販売していたものであり,言わば被審人の手足にすぎなかったと認めるのが相当である。
イ 被審人の主張について
(ア) 被審人は,富士電線販賣の設立経緯から,富士電線グループにおいて富士電線販賣が被審人の販売部と呼称されていたにすぎず,被審人には販売部は存在しなかったと主張する。
しかしながら,被審人の「業務分掌規程(全般)」(査第8号証)には販売部が記載され,実際,販売部の分掌業務について規定された「業務分掌規程(販売部)」(査第9号証)も存在し,また,販売部における販売管理業務等について規定された「販売管理規程(販売部)」(査第64号証)も存在していた。また,被審人の組織図(査第13号証。この組織図には「社長」という役職の者は一人しか記載されていないことから,この組織図は富士電線販賣を含む富士電線グループのものでなく,被審人のものであると認められる。)には販売部たる部署が明確に記載されていた。
したがって,被審人には販売部が存在していたと認められるから,被審人の上記主張は採用できない。
(イ) 被審人は,販売部部門計画等の作成は富士電線販賣の業務として行われたものであると主張する。
しかしながら,被審人の社内規程において,販売部部門計画等は被審人の販売部が作成すべきものと規定されていたところである(査第20号証)。
また,販売部部門計画等が被審人の名義で策定されていたことは査第26号証ないし第36号証のそれぞれの表紙の記載から明らかであるところ,富士電線販賣が販売部部門計画等を自らの業務として策定したにもかかわらず,これらを被審人の名義としなければならない合理的な理由は見当たらない。
さらに,販売部部門計画等の計画期間は,富士電線販賣ではなく,被審人の事業年度にそろえられていたところ,仮に富士電線販賣が被審人から独立して販売業務を行っていたのであれば,被審人と同一の企業グループに属していたからといって,自社の中心事業に関する重要な計画まで,自社の事業年度と異なる他社の事業年度にそろえたとは考え難い。
したがって,販売部部門計画等の策定は,富士電線販賣ではなく,被審人の販売部が業務として行ったものと認めるのが相当であるから,被審人の上記主張は採用できない。
(ウ) 被審人は,月次計画会議,経営会議及び幹部会議は,被審人社内の会議ではなく富士電線グループの会議であり,これらの会議に出席していた販売部も,被審人の組織ではなく富士電線販賣のことであるとし,これらの会議の議事録の作成名義が被審人になっていたのは,被審人において富士電線グループのものを一括して作成していたからであり,また,各種社内規程が被審人の名義になっているのは,平成10年のISO規格の認証取得の際に被審人の名義で一括して整備したためであると主張する。
しかし,各種の社内規程については,例えば「販売管理規程(販売部)」の制定が昭和56年である(査第64号証)ところ,昭和56年の制定時から被審人の名義であったのであるから,平成10年のISO規格の認証取得の際に被審人の名義で一括して整備したとの被審人の主張は事実に反するし,議事録については,その作成名義だけでなく,その記載内容に,相手方の部署の従業員の出勤日にまで注文を付けるといった,同じ会社の者同士でなければ行わないようなやり取りをしていることを示すものがあること(査第119号証)などから見ても,被審人の議事録であることが認められる。これらの会議に関する社内規程や議事録からすれば,これらの会議は,富士電線グループではなく,被審人社内の会議であり,これらの会議の構成員である「販売部」とは,富士電線販賣ではなく,被審人の販売部のことを指すと認めるのが相当である。
なお,幹部会議については,月次計画会議及び経営会議と異なり,被審人が定めた社内規程は存在しないが,経営会議と同様に議事録は被審人が作成していたし,中心となる議題が月次計画会議及び経営会議と共通している以上,幹部会議のみをあえて被審人の社内会議ではなかったと解する理由はない。
以上のとおり,月次計画会議,経営会議及び幹部会議は,被審人の社内会議であったと認められるから,被審人の上記主張は採用できない。
(エ) 被審人は,経営会議が富士電線グループの会議であったことを前提に,経営会議において,被審人の代表取締役社長がVVFケーブルの販売価格や販売方針について行った発言は,同人が兼任する富士電線販賣の代表取締役社長として発言したものであり,このことは,稟議決裁手続規程上,販売業者に対するVVFケーブルの販売価格や販売量の決裁権が被審人になく,富士電線販賣にあったことから明らかであると主張する。
しかし,前記(ウ)のとおり,月次計画会議,経営会議及び幹部会議が被審人の社内会議であったと認められるところ,このような被審人の社内会議において,VVFケーブル等の販売業務に関する重要な意思決定が行われていたことを踏まえれば,被審人の代表取締役社長が,経営会議において,VVFケーブルの販売価格や販売方針について行った発言を,あえて富士電線販賣の代表取締役社長として行ったものであると解釈すべき理由はない。
したがって,被審人の上記主張は採用できない。
(オ) 被審人は,VVFケーブルの販売に係る主要な事項の決裁に関して,被審人内で稟議書が回覧されていたのは,その可否について被審人の代表取締役社長に伺いを立てるためではなく,富士電線販賣は被審人に対して経理業務を委託していたため,経理業務に関連する事項について経理部を有する被審人にも稟議書を回覧していたにすぎないと主張する。
しかし,稟議書を回覧する趣旨が,被審人が主張するようなものであれば,回覧先は経理業務の委託相手である被審人の経理部のみで十分であるし,決裁権者は富士電線販賣の者となると考えられるところ,実際には,稟議決裁手続規程に基づき,稟議書を被審人の経理部に回覧するにとどまらず,被審人の代表取締役社長が決裁権者となっていた(査第56号証ないし第62号証)。また,被審人の経理部長が,取引先に対する現金歩引きについての稟議書を回覧された際に「得意先の強力な要請であり,やむを得ない 現金歩引1.5%は痛いが」とか,リベートの提供についての稟議書を回覧された際に「妥当と思う(ライバル対抗するため)」といった,単なる経理業務の委託先が述べるとは考え難い,経理処理の観点を超えた観点からの意見を述べているのである(査第57号証,第61号証)から,被審人内で稟議書が回覧されていた趣旨が,その可否について被審人の代表取締役社長に伺いを立てるためではなかったとすることはできない。
したがって,被審人の上記主張は採用できない。
(カ) 被審人は,被審人のウェブサイトにおいて本件販売事業に関する記載がされたウェブページが設けられていたことや,本件販売事業が被審人の名称を付した施設で行われていたことについて,被審人が製造するVVFケーブルが一つのブランドとして認知されていたことから,当該商品や施設の紹介に当たって被審人名を表示したからといって,被審人が本件販売事業を行っていたことにはならないと主張する。
しかし,仮に,被審人の名称がVVFケーブルのブランドを示すものであったとしても,本件販売事業の主体が富士電線販賣であることを秘匿し,被審人が本件販売事業の主体であるという虚偽の事実を対外的に示すまでの必要があったとは考えられない。
したがって,被審人の上記主張は採用できない。
(キ) 被審人は,富士電線販賣の従業員の給与及び本件販売事業に係る経費を負担していたのは富士電線販賣であり,本件販売事業の収益を収受し,リスクを負担していたのも富士電線販賣であるから,本件販売事業を行っていたのは富士電線販賣であると主張する。
しかし,まず,従業員の給与や経費の負担という点であるが,前記アのとおり,被審人の販売部と富士電線販賣とがほぼ同一組織の実態を有していることからすれば,被審人が,本来は被審人が負担すべき給与や経費について,被審人から製品を購入しこれを販売業者に販売して収益を上げる形になっている富士電線販賣に負担させていたことも十分に考えられ,実際,被審人と富士電線販賣との間の資本関係,人的関係及び取引関係等を考慮すると,被審人が富士電線販賣にそのような負担をさせることは容易であるから,富士電線販賣が同社の従業員の給与や経費を負担していたからといって,被審人が富士電線販賣を通じて本件販売事業を行っていたとの認定は妨げられない。
また,富士電線販賣が本件販売事業の収益を収受し,リスクを負担していたとする点であるが,リスクの負担についていえば,前記(1)ウ(ア)a(b)のとおり,被審人の経理部が富士電線販賣の債権管理(売掛金の回収等),経費管理等を行っており,また,同オのとおり,被審人の代表取締役社長が社内会議においてVVFケーブルの販売部の販売業者への販売量に応じて製造部の生産量を調整することを指示していたように,被審人において在庫管理のための方策が検討され,また,同イのとおり,被審人の「販売管理規程(販売部)」には適正在庫を維持するための生産手配の規定が置かれるなど,被審人において,VVFケーブルの余剰在庫のリスクを管理していたのであって,形式的に富士電線販賣が本件販売事業に係るリスクを負担していたとしても,そのリスクは被審人が管理していたのであり,また,利益の収受についていえば,形式的に富士電線販賣がVVFケーブルの販売による利益を収受していたとしても,同オのとおり,被審人がVVFケーブルの製造事業と販売事業を切り分けることなく一体的に事業の検討をしており,それにより富士電線販賣がVVFケーブルの販売による利益が得られる状況が生じていたにすぎないから,富士電線販賣が本件販売事業の収益を収受し,リスクを負担していたとする点は,被審人が富士電線販賣を通じて本件販売事業を行っていたとの認定を妨げるものではない。
したがって,被審人の上記主張は採用できない。
(3) 被審人が本件違反行為の主体であること
ア(ア) 前記(1)及び(2)のとおり,被審人は,販売業務を所掌する販売部を置き,富士電線販賣を通じてVVFケーブルを販売業者に対して販売していたことが認められる。さらに,富士電線販賣の従業員は全て被審人からの出向者であること(前記(1)ア),被審人の「業務分掌規程(販売部)」には,販売部の業務として,販売価格の設定が不可欠である受注契約が挙げられ,被審人の「販売管理規程(販売部)」において,在庫品販売を行う際には,被審人の販売部の営業担当者が作成した販売業者への価格表について,被審人の販売部の部長の確認を受けるように定められており,受注生産品販売を行う際にも,被審人の販売部業務課が作成した見積り原案について被審人の販売部の部長の承認を受け,販売業者と価格の交渉を行う場合には再度被審人の販売部の部長の決裁を得なければならないとされていたこと(同イ),販売業者との取引条件の変更に伴う現金歩引きやリベートの供与といったVVFケーブルの販売価格に密接に関連する事項について,被審人の経理部長等が承認し,被審人の代表取締役社長が決裁していたこと(同カ),被審人がVVFケーブルの製造のみならず,販売についても一体的に検討してその事業方針を定めており,その過程において,被審人の代表取締役社長が販売業者へのVVFケーブルの販売価格や販売方針についての指示を繰り返し行っていたこと(同エ及びオ)からすれば, 販売業者に対する具体的な特定VVFケーブルの販売価格を設定していたのも被審人であったと認めるのが相当である。
そして,前記(1)の認定事実のとおり,落合は,被審人の取締役営業本部本部長として被審人の販売計画,価格政策等の営業全般に関する業務を統括する最高責任者として販売業務を指揮する立場にあり,西のVVF部会及び東西合同部会に自ら出席し,東のVVF部会には落合の部下である赤木に出席させて,その内容を報告させていたところ,前段落記載の事実に加え,前記第3の4(1)のとおり,西のVVF部会は,西協組のVVF部会の場を利用して行われており,被審人は西協組のVVF部会の正部会員であるのに対し,富士電線販賣は,西協組のVVF部会の正部会員でも賛助部会員でもなかったことを併せ考えれば,落合らが被審人の業務として東西合同部会等の会合に出席し,本件合意が形成されるに至ったと認められる。
したがって,本件合意の主体は被審人であると認められる。
(イ) そして,本件合意により,11社の事業活動が事実上拘束される結果となることは明らかであるから,本件合意は,独占禁止法第2条第6項の「その事業活動を拘束し」の要件を充足する。
また,本件合意の成立により,11社の間に,本件合意の内容に基づいた行動をとることを互いに認識し認容して歩調を合わせるという意思の連絡が形成されたものといえるから,本件合意は,同項の「共同して・・・相互に」の要件も充足する。
さらに,前記第3の7のとおり,我が国における特定VVFケーブルの総販売金額のほとんどを占めていた11社が本件合意をしたものであり,これにより,11社がその意思で我が国における特定VVFケーブルの取引分野における販売価格をある程度自由に左右することができる状態がもたらされたことが認められるから,本件合意は,同項の「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」の要件を充足する。
(ウ) したがって,被審人は本件合意の主体であり,かつ,被審人の行為は独占禁止法第2条第6項の要件を満たすから,被審人は本件違反行為の主体であると認められる。
イ 被審人の主張について
(ア) 被審人は,被審人が本件違反行為の主体といえるためには,まず,①被審人自らが,他の違反行為者らの事業活動を拘束しているという認識を有していることが必要であるが,本件において他の違反行為者らの事業活動を拘束していると認識していたのは被審人ではなく富士電線販賣である,さらに,被審人が本件違反行為の主体といえるためには,上記①に加え,②他の違反行為者らからその事業活動を拘束しているのが被審人であると認識されている必要もあるが,他の違反行為者らは被審人でなく富士電線販賣の事業活動を拘束していると認識していたと主張する。
しかし,前記ア(ア)のとおり,落合らが東西合同部会等に被審人の業務として出席していたと認められるから,被審人の上記主張のうち①については理由がない。
また,独占禁止法第2条第6項の要件である「共同して」に該当するためには,複数の事業者が対価を引き上げるに当たって,「意思の連絡」があったと認められることが必要であるが,ここでいう「意思の連絡」については,事業者間相互で拘束し合うことを明示して合意することまでは必要でなく,相互に他の事業者の対価の引上げ行為を認識して,暗黙のうちに認容することで足りると解され(東京高等裁判所平成7年9月25日判決・公正取引委員会審決集第42巻393頁〔東芝ケミカル株式会社による審決取消請求事件〕参照),また,このような意思を有する事業者の範囲を具体的かつ明確に認識することまでは要しないと解される(東京高等裁判所平成20年4月4日判決・公正取引委員会審決集第55巻791頁〔株式会社サカタのタネほか14名による審決取消請求事件〕参照)ところ,他の違反行為者が具体的に誰の事業活動を拘束していたと認識していたかは「意思の連絡」の成否に影響するものではない。実際の不当な取引制限の事件に即してみても,ある違反行為者が属する企業グループの法人構成や当該企業グループ内の各法人間における役割分担等について,他の違反行為者が正確な理解をしていないことは当然あり得ることであるが,そのことにより,当該ある違反行為者が違反行為の主体とならないということはできないから,被審人の上記主張のうち②についても理由がない。
(イ)a 被審人は,本件審判手続に提出されている平成19年4月頃の値上げの申入れの状況をみると,被審人の社内会議等により特定VVFケーブルの販売に関する被審人の社内計画が策定される前に,富士電線販賣が,同社内部の販売会議や早朝ミーティング等に基づいて販売業者に対して値上げの申入れをしたり,被審人の社内計画を超える値上げの申入れをしたりしており,そのことからすれば,本件で拘束の対象となった特定VVFケーブルの販売価格を設定する行為を行っていたのは被審人ではなく富士電線販賣であるから,被審人が本件合意をしたとしても,「相互にその事業活動を拘束する」ということはできないし,特定VVFケーブルの販売分野における競争が実質的に制限されたということもできず,被審人が本件違反行為の主体とは認められないと主張する。 
b しかしながら,前記ア(ア)のとおり,販売業者に対する特定VVFケーブルの販売価格を設定していたのは被審人であって,富士電線販賣ではない。
c 確かに,被審人の販売部ないし富士電線販賣がVVFケーブルの販売活動を行う以上,何らかの内部の会議等による意思決定があったことが推測されるが,それが,被審人の販売部のものではなく,富士電線販賣のものであることを示す的確な証拠はなく(例えば,審第15号証の販売会議の議事録にも,当該販売会議が被審人の販売部の販売会議ではなく富士電線販賣の販売会議であることをうかがわせるものはなく,むしろ,当該議事録の用紙には富士電線販賣ではなく被審人の商号が印刷されている。),むしろ,前記ア(ア)の各事実からすれば,上記意思決定は被審人の販売部の会議等によるものであったと認められる。
d また,確かに,販売業者に対する値上げの申入れは富士電線販賣名義でなされていたことが認められ(審第4号証ないし第6号証,第19号証,第20号証,第28号証ないし第39号証〔各枝番を含む。〕),さらに,平成19年4月頃に,月次計画案(販売部月次計数計画を含む。)が審議される被審人の経営会議に先立って富士電線販賣から販売業者に対して値上げの申入れがなされたり,販売部月次計数計画に掲げられた平均価格比を上回る値上げの申入れがなされたりしたことが認められる(査第45号証,第102号証,第103号証,審第19号証,第20号証,第28号証ないし第35号証,第39号証〔各枝番を含む。〕)。
しかしながら,前者については,前記ア(ア)の各事実からすれば,あくまで被審人が販売業者に対する具体的な特定VVFケーブルの販売価格を設定しており,その設定に基づいて富士電線販賣名義で値上げの申入れがなされていたにすぎないと認めるのが相当であるから,販売業者に対する値上げの申入れが富士電線販賣名義でなされていたからといって,被審人が販売業者に対する具体的な特定VVFケーブルの販売価格の設定を行っていたとの認定が妨げられるものではない。
また,後者については,次のとおりである。
まず,平成19年3月30日から同年4月2日にかけて販売業者に対し3件の値上げの申入れがなされており(審第28号証,第29号証の1,第30号証に係るもの。なお,値上げの申入れの件数は,被審人が提出した証拠の範囲で認定したものである。以下同じ。),そのうち1件(審第29号証の1に係るもの)は,同日の午後1時から午後2時30分にかけて開催された経営会議において,被審人の販売部からVVFケーブルの販売価格を5パーセント値上げすることの報告があり,販売部月次計数計画を含む月次計画案が承認された後に,当該販売部月次計数計画に沿って値上げの申入れがなされており,他方,残りの2件(審第28号証,第30号証に係るもの)は,上記経営会議に先立ちなされたものであるが,いずれも,被審人の販売部が策定し,月次計画会議での審議・検討を経た販売部月次計数計画に沿った値上げの申入れとなっており,しかも,その販売部月次計数計画は直ちに上記経営会議で承認されている(査第45号証,第102号証,審第28号証,第29号証の1,第30号証。なお,審第29号証の1の値上げの申入書にはVVFケーブルの値上げ前の価格が記載されていないが,審第28号証による値上げの申入れと審第30号証による値上げの申入れは,いずれも値上げ前の価格と値上げ後の価格が同一であること,担当部署が異なるとはいえ審第29号証の1による値上げの申入れと審第30号証による値上げの申入れとでは相手方が同一の販売業者である上,値上げ後の販売価格も同一であるから,値上げ前の価格も同一であると推測される。また,上記経営会議に関する議事録として査第45号証及び審第9号証の8が提出されているが,査第45号証の議事録は,その体裁に特に不自然な点はなく,むしろ,末尾に当該文書が被審人の経営会議の議事録であり秘密扱いすべき旨を示すゴム印が押印されており,正式な議事録の体裁を備えているのに対し,審第9号証の8の議事録は,開催時間が手書きで記載されていて不自然であるから,査第45号証が真正な議事録であると認められる。)。
次に,平成19年4月9日から同月13日にかけて販売業者に対して7件の値上げの申入れがなされている(うち1件〔審第33号証に係るもの〕は一旦行われた値上げの申入れの変更の申入れである。審第19号証の1及び2,第29号証の2,第31号証ないし第34号証)が,同月9日開催の経営会議において,被審人の西日本販売部部長が「これから利益率を上げて,月末6%を目指す。」と報告し,被審人の代表取締役社長が銅の価格が上昇した旨の報告を受けて「上がった分は値上げしていくこと。」と指示を出していること(審第9号証の5)からすると,上記の7件の値上げの申入れは,これらの報告及び指示に表れた被審人の事業方針に基づくものと認められる。
さらに,平成19年4月16日から同月18日にかけて販売業者に対して4件の値上げの申入れがなされている(審第19号証の3及び4,第35号証,第39号証)が,同月16日開催の経営会議において,被審人の西日本販売部部長が「粗利率が4.6%なのでピッチを上げて値上げして行く。」と報告し,被審人の東日本販売部部長が「ジャンボ以外は値上げを重点にして行く。」と報告していること(審第9号証の6)からすると,上記の4件の値上げの申入れは,これらの報告に表れた被審人の事業方針に基づくものと認められる。
また,平成19年4月23日に販売業者に対し同年5月1日以降の分について3件の値上げの申入れがなされており(審第20号証の1ないし3),そのうちの2件(審第20号証の1及び2に係るもの)は同年4月23日午後1時から午後2時20分にかけて開催された経営会議の前に申入れがなされ,残る1件(審第20号証の3に係るもの)は上記経営会議の後に申入れがなされているが,上記経営会議において被審人の西日本販売部部長が「来月出荷するものがきちんと値上げ出来ているように,今月動く。」と報告していること(審第9号証の7)からすると,上記の3件の値上げの申入れは,その報告に表れた被審人の事業方針に基づくものと認められる。もっとも,上記経営会議に先立ちなされた2件の値上げの申入れは被審人の西日本販売部部長が上記経営会議で上記方針を報告する前になされたものではあるが,その方針は既に被審人の西日本販売部の方針となっており,かつ,その直後に開催された上記経営会議で報告されている(審第9号証の7)。
したがって,平成19年4月頃に行われた販売業者に対する値上げの申入れは,基本的に経営会議で承認された月次計画中の販売部月次計数計画や経営会議に表れた被審人の値上げの事業方針に従って行われており,例外的に経営会議に先立って行われたものはあるが,それらも,被審人の販売部が策定し月次計画会議での審議・検討を経た販売部月次計数計画や被審人の販売部が立てた方針に従って行われ,かつ,それぞれ,その後直ちに被審人の経営会議において承認又は報告されているのであるから,販売業者に対する値上げの申入れは,販売部月次計数計画や社内会議に表れた被審人の事業方針に沿っていたということができる。
よって,月次計画案(販売部月次計数計画を含む。)が審議される被審人の経営会議に先立って,販売業者に対して値上げの申入れがなされたり,販売部月次計数計画に掲げられた平均価格比を上回る値上げの申入れがなされたりしたからといって,被審人が販売業者に対する具体的な特定VVFケーブルの販売価格の設定を行っていたとの認定が妨げられるものではない。
e 以上のとおり,販売業者に対する特定VVFケーブルの販売価格を設定していたのは富士電線販賣ではなく被審人であると認められるのであって,これを覆すに足りる証拠はない。
f また,本件で拘束の対象となった特定VVFケーブルの販売業者に対する具体的な販売価格を設定していたのは被審人であり,被審人が本件合意をしたことにより,「相互にその事業活動を拘束」し,特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限したことは,前記ア(ア)及び(イ)のとおりである。
なお,念のため述べると,仮に富士電線販賣が販売業者に対する特定VVFケーブルの具体的な販売価格を設定していたとしても,以下のとおり,被審人が本件合意をすることにより「相互にその事業活動を拘束」し,特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限したと認めることに支障はない。
(a) 不当な取引制限は,事業者が他の事業者と共同して「相互にその事業活動を拘束する」ことを要件としているところ,ここでいう事業活動の拘束は,その内容が行為者全てに同一である必要はなく,行為者それぞれの事業活動を制約するものであって,カルテルの目的の達成に向けられたものであれば足りると解される(東京高等裁判所平成5年12月14日判決・高等裁判所刑事判例集第46巻第3号322頁〔トッパン・ムーア株式会社ほか3名に対する独占禁止法違反被告事件〕参照)。したがって,本件違反行為についても,拘束の対象となる事業活動を,個々の販売業者に対する特定VVFケーブルの具体的な販売価格の設定に限定する必要はなく,特定VVFケーブルの販売価格の引上げ又は維持を図るという本件合意の目的の達成に向けられた事業活動であれば足りるというべきであって,被審人がこのような事業活動の制約を相互拘束の一端として引き受けることで,競争を実質的に制限し得る立場にある者であれば,本件違反行為の主体と認めることに支障はない。
そして,富士電線販賣は,被審人において策定された販売部月次計数計画等の経営計画及び被審人の社内会議において示された方針に従ってVVFケーブルの販売を行っていたのであり,被審人は,本件合意に沿って,これらの経営計画の策定や社内会議における方針の提示を行うという意味で,本件合意の目的の達成に向けられた事業活動の制約を相互拘束の一端として引き受けていたといえる。
他方,前記(2)アのとおり,富士電線販賣は,被審人との間で,資本関係,人的関係及び取引関係等において極めて密接なつながりを持っているため,被審人の意向に反して自由かつ自主的な事業活動を行う関係になく,また,法形式上は被審人と別個の法人格を有しているものの,実態としては被審人の販売部とほぼ同一の組織であることから,被審人の指示や管理を受けずに独自に事業方針を定めたり,被審人の定めた事業方針や指示に反して販売業務を行ったりすることはできなかったこと,実際にも,富士電線販賣の個々の販売業者に対する具体的な販売価格の設定は,前記dで述べたとおり,販売部月次計数計画や社内会議に表れた被審人の値上げの事業方針に沿っていたことからすれば,富士電線販賣は,被審人の販売部月次計数計画や社内会議に表れた被審人の事業方針に基づいて販売価格を設定し,販売活動をしていたといえるから,被審人が受けていた上記の事業活動の制約は,富士電線販賣から販売業者への特定VVFケーブルの販売価格にも及んでおり,被審人は,上記のような事業活動の制約を相互拘束の一端として引き受けることで,特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限し得る立場にあったといえる。
(b) したがって,本件においては,仮に富士電線販賣が個々の販売業者に対する具体的な販売価格の設定を行っていたとしても,被審人が本件合意をすることにより「相互にその事業活動を拘束」し,特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限したと認めることに支障はない。
g よって,被審人の前記aの主張は理由がない。
2 争点2(被審人に「当該商品」の売上額が存在するか否か)について
(1) 「当該商品」について
独占禁止法第7条の2第1項にいう「当該商品」とは,違反行為である相互拘束の対象である商品,すなわち,違反行為の対象商品の範疇に属する商品であって,違反行為である相互拘束を受けたものをいうと解すべきであり,また,違反行為の対象商品の範疇に属する商品については,一定の商品につき,違反行為を行った事業者又は事業者団体が,明示的又は黙示的に当該違反行為の対象から除外するなど当該商品が違反行為である相互拘束から除外されていることを示す特段の事情が認められない限り,違反行為による拘束が及んでいるものとして「当該商品」に該当すると解される(前記公正取引委員会平成11年11月10日審決,東京高等裁判所平成22年11月26日判決・公正取引委員会審決集第57巻第2分冊194頁〔出光興産株式会社による審決取消請求事件〕参照)。
(2) 被審人について「当該商品」の売上額が存在するか否かについて
前記1のとおり,被審人は本件違反行為を行っていたこと,被審人は富士電線販賣を通じて特定VVFケーブルの販売事業を行っていたことが認められる。そして,本件違反行為の対象商品である特定VVFケーブルは「販売業者に対して販売される」別紙VVFケーブルであるところ,被審人が富士電線販賣を通じて販売業者に販売した別紙VVFケーブルは特定VVFケーブルに該当するものである。
したがって,被審人が富士電線販賣を通じて販売業者に販売した別紙VVFケーブルは,本件違反行為の対象商品の範疇に属する商品であって,かつ,本件違反行為による拘束が及んだ商品であるから,被審人には「当該商品」の売上額が存在すると認められる。
なお,被審人は,富士電線販賣を通じて販売業者に特定VVFケーブルを販売していたものであるが,特定VVFケーブルの直接の販売先は富士電線販賣であるから,被審人の「当該商品」の売上額は,被審人から富士電線販賣への特定VVFケーブルの売上額となる。
(3) 被審人の主張について
ア 被審人は,①本件排除措置命令において,本件違反行為の対象商品は別紙VVFケーブルのうち取引段階が「販売業者に対して販売される」ものに限定されており,このように取引段階を限定された商品に被審人から富士電線販賣に対して販売される商品は含まれないから,被審人には「当該商品」の売上額が存在しない,②仮に被審人が違反行為者であったとしても,富士電線販賣もまた違反行為者であるところ,本件違反行為の対象商品である販売業者に対して販売される別紙VVFケーブルに該当するのは富士電線販賣が販売業者に対し販売する別紙VVFケーブルであり,違反行為者である被審人と富士電線販賣との間の取引に係る別紙VVFケーブルはこれに該当しないから,被審人には「当該商品」の売上額がないと主張する。
イ しかしながら,前記①の主張については,本件排除措置命令が「販売業者に対して販売される」としている趣旨が別紙VVFケーブルのうち販売業者を経由して流通するものを指していることは,本件合意の内容及び本件排除措置命令が被審人のように販売業者と直接取引していない事業者に対しても行われていることから明らかである。
したがって,被審人の前記①の主張は前提を欠き,採用できない。
ウ また,前記②の主張については,次のとおりである。
富士電線販賣が違反行為者であると認められるためには,富士電線販賣と他の違反行為者との間に,特定VVFケーブルの販売価格の引上げについての「意思の連絡」があったことが認められることが必要であるところ,本件においては,前記1のとおり,被審人が富士電線販賣を通じて特定VVFケーブルの販売事業を行っており,富士電線販賣は被審人の手足にすぎなかったものであり,落合らも被審人の業務として東西合同部会等に出席していたことが認められるから,10社との間で「意思の連絡」があったのは被審人であって,富士電線販賣ではない。
また,富士電線販賣が違反行為者であると認められるためには,本件合意により,他の事業者と共同して「相互にその事業活動を拘束」していたと認められる必要があるところ,富士電線販賣は,確かに,特定VVFケーブルの販売に際して,販売業者に対して自由な価格で販売できないという拘束を受けていたようにもみえるが,これは,前記1(3)ア(ア)のとおり,販売業者への特定VVFケーブルの販売価格について,被審人が設定している(又は,前記1(3)イ(イ)dのとおり,少なくとも富士電線販賣は被審人の販売部月次計数計画や社内会議に表れた被審人の事業方針に基づいて特定VVFケーブルの販売価格を設定している)ことによるものであり,本件合意によるものであるとはいえない。すなわち,富士電線販賣が受けていたようにもみえる拘束は,被審人が本件合意により受けていた拘束が間接的に及んでいたものにすぎないのであるから,富士電線販賣は,本件合意により自ら他の事業者との間で「相互にその事業活動を拘束」していたとはいえない。
このように,富士電線販賣は,10社との間で「意思の連絡」があったとも「相互にその事業活動を拘束」したともいえず,富士電線販賣は,不当な取引制限の要件を満たしていないから,違反行為者とは認められない。
したがって,被審人の前記②の主張も採用できない。
これに対し,被審人は,本件違反行為を実行するために富士電線販賣の存在が不可欠であること,落合らが,法的には被審人と富士電線販賣の両社の従業員であるものの,労務の対価である給与の支給を富士電線販賣から受けており,富士電線販賣の業務として本件合意が形成された会合に出席していたと考えられることから,仮に被審人が本件違反行為者であるならば,富士電線販賣も違反行為者であると主張する。
しかし,富士電線販賣が違反行為者であるか否かは,同社の行為が不当な取引制限の要件に該当するか否かで判断されるのであって,これは,被審人が本件違反行為を行うに当たって富士電線販賣の存在が不可欠であったか否かとは無関係である。また,富士電線販賣が落合らの給与を負担していたものの,同人らが被審人の業務として東西合同部会等に出席したと認められることは前記1(3)ア(ア)のとおりである。したがって,被審人の上記主張は採用できない。
3 結論
(1) 本件排除措置命令について
被審人は,前記1のとおり,他の事業者と共同して,特定VVFケーブルの販売価格を決定していく旨を合意することにより,公共の利益に反して,我が国における特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限していたものであるから,これは独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,同法第3条の規定に違反するものと認められる。
また,被審人の違反行為は既に消滅しているものの,違反行為が長期間にわたって行われていたこと,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること(前記第3の6)等の諸事情を総合的に勘案すれば,被審人については,特に排除措置を命ずる必要がある(独占禁止法第7条第2項)と認められる。
したがって,本件排除措置命令は適法であるから,本件排除措置命令に対する被審人の審判請求は理由がない。
(2) 本件課徴金納付命令について
ア 前記(1)の違反行為が独占禁止法第7条の2第1項第1号に規定する商品の対価に係るものであることは本件合意の内容から明らかである。
イ 課徴金の計算の基礎となる事実
(ア) 被審人は,特定VVFケーブルの製造業を営んでいた者である。(争いがない。)
(イ) 本件合意は,遅くとも平成18年6月1日までに成立し,しかも直ちに特定VVFケーブルの販売価格を引き上げることを内容とするものであること(前記第3の4(2))からすれば,遅くとも同年12月16日以前には,被審人が前記(1)の違反行為の実行としての事業活動を行っていたと認められる。また,被審人は,平成21年12月17日以降本件合意に基づく行為を取りやめており(前記第3の6),同月16日にその実行としての事業活動はなくなっているものと認められる。したがって,被審人については本件違反行為の実行としての事業活動を行った日から本件違反行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間が3年を超えるため,独占禁止法第7条の2第1項の規定により,実行期間は,平成18年12月17日から平成21年12月16日までの3年間となる。
(ウ) 被審人は,富士電線販賣に対し,製造した別紙VVFケーブルの全てを販売しているところ,これらの別紙VVFケーブルは全て販売業者に対して販売されるものであり,また,前記(イ)の実行期間における被審人の富士電線販賣に対する別紙VVFケーブルの売上額を独占禁止法施行令第5条第1項の規定に基づき算定すると404億2954万2986円となることは,前記第3の1(4),2(5)及び8のとおりであるから,同項の規定に基づき算定した上記実行期間における特定VVFケーブルに係る被審人の売上額は上記金額である。
(エ) 被審人は,前記(イ)の実行期間を通じ,資本金の額が3億円以下の会社であって,電線の製造業を主たる事業として営んでいた者である(争いがない。)から,独占禁止法第7条の2第5項第1号に該当する事業者である。
ウ 以上によれば,被審人が国庫に納付すべき課徴金の額は,独占禁止法第7条の2第1項及び第5項の規定により,前記イ(ウ)の404億2954万2986円に100分の4を乗じて得た額から,同条第23項の規定により1万円未満を切り捨てて算出された16億1718万円である。
エ したがって,被審人に対してこれと同額の課徴金の納付を命じた本件課徴金納付命令は適法であるから,本件課徴金納付命令に対する被審人の審判請求は理由がない。
第7 法令の適用
以上によれば,被審人の本件排除措置命令及び本件課徴金納付命令に対する各審判請求は,いずれも理由がないから,独占禁止法第66条第2項の規定により,主文のとおり審決することが相当であると判断する。

平成27年3月4日

公正取引委員会事務総局

審判長審判官 伊 藤   繁

審判官 西 川 康 一

審判官 數 間   薫

別紙

600ボルトビニル絶縁ビニルシースケーブル平形のうち,次に掲げる品目
1 線心数が2本で導体径が1.6ミリメートルのもの
2 線心数が2本で導体径が2.0ミリメートルのもの
3 線心数が2本で導体径が2.6ミリメートルのもの
4 線心数が3本で導体径が1.6ミリメートルのもの
5 線心数が3本で導体径が2.0ミリメートルのもの
6 線心数が3本で導体径が2.6ミリメートルのもの
7 線心数が4本で導体径が1.6ミリメートルのもの
8 線心数が4本で導体径が2.0ミリメートルのもの

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