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東北地区の地方公共団体が発注するポリ塩化アルミニウムの製造販売業者に対する件

独禁法3条後段

平成28年(措)第1号

排除措置命令

平成28年(措)第1号
排 除 措 置 命 令 書

東京都中央区京橋一丁目1番1号
ラサ工業株式会社
同代表者 代表取締役 庄 司 宇 秀

兵庫県加古川市別府町緑町2番地
多木化学株式会社
同代表者 代表取締役 多 木 隆 元

長野県上伊那郡南箕輪村3685番地2
大明化学工業株式会社
同代表者 代表取締役 福 島 士 郎

さいたま市北区土呂町一丁目46番地2
エンテツ化工株式会社
同代表者 代表取締役 吉 田 友 久

山口県宇部市大字沖宇部5253番地
セントラル硝子株式会社
同代表者 代表取締役 皿 澤 修 一

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文,理由及び別紙1中の用語のうち,別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙2「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 ラサ工業株式会社,多木化学株式会社(以下「多木化学」という。),大明化学工業株式会社(以下「大明化学工業」という。),エンテツ化工株式会社(以下「エンテツ化工」という。)及びセントラル硝子株式会社の5社(以下「5社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会(エンテツ化工にあっては株主総会)において決議しなければならない。
(1) 東北地区における別紙1記載のポリ塩化アルミニウム(以下,別紙1記載のポリ塩化アルミニウムを「特定ポリ塩化アルミニウム」という。)について,5社及び水澤商事株式会社(以下「水澤商事」という。)の6社(以下「6社」という。)が,遅くとも平成23年3月10日以降共同して行っていた,供給すべき者(以下「供給予定者」という。)を決定し,供給予定者が供給できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムについて,供給予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に販売活動を行うこと。
2 5社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く4社,特定ポリ塩化アルミニウムを発注する東北地区の地方公共団体及び自社の取引先である東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムの販売業者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 5社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムについて,供給予定者を決定してはならない。
4 5社は,それぞれ,第1項及び第2項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 関連事実
(1)  名宛人等の概要
ア 5社は,それぞれ,肩書地に本店を置き,ポリ塩化アルミニウムを製造販売していた。
イ 名宛人以外の水澤商事は,東京都中央区日本橋小舟町6番3号に本店を置き,親会社であり,自社の製品の販売部門を有していない水澤化学工業株式会社から,ポリ塩化アルミニウムを全量仕入れて販売していた。
(2)  東北地区における地方公共団体のポリ塩化アルミニウムの発注方法等
ア 東北地区の地方公共団体は,浄水施設で使用されるポリ塩化アルミニウムについて,おおむね,契約期間を1年とし,一又は複数の浄水施設を納入先として定め,毎年度,入札等の方法により発注していた。
東北地区の地方公共団体は,浄水施設で使用されるポリ塩化アルミニウムの入札等の参加者に対し,契約期間中のポリ塩化アルミニウムの購入予定数量を示した上で1キログラム当たりの価格等を提示させ,最も低い価格を提示した者を受注者として,単価契約を締結していた。
イ 東北地区の地方公共団体は,受注者に対し,契約期間内において必要に応じて,浄水施設にポリ塩化アルミニウムを納入するよう指示(以下「納入指示」という。)していた。
ウ 6社は,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムの入札等において,自ら参加し,又は自社が供給するポリ塩化アルミニウムを取り扱う販売業者(以下「窓口商社」という。)を介して参加していた。
エ 6社は,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムの入札等に参加する窓口商社に対し,入札等で提示すべき価格を指示するなどし,当該窓口商社は,指示された価格を入札等で提示するなどしていた。
オ 6社は,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムの入札等において,自社又は自社の窓口商社が受注者となった場合,地方公共団体から納入指示を受ける都度,自ら製造した又は他の製造販売業者に製造委託等をしたポリ塩化アルミニウムを,自社又は製造委託先等の製造拠点又は出荷拠点から出荷し,直接,浄水施設に供給していた。
カ 6社は,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムの全てを供給していた。
また,多木化学及び大明化学工業の2社(以下「2社」という。)は,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムを,総発注件数の大部分において供給していた。
2 合意及び実施方法
6社は,遅くとも平成23年3月10日以降,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムについて,販売価格の低落防止を図るため
(1)ア 供給予定者を決定する
イ 供給予定者以外の者は,供給予定者が供給できるように協力する
旨の合意の下に
(2)ア(ア) 納入先浄水施設ごとに,毎年度
a 順番に該当する者を供給予定者とする
b 入札等の時点で当該納入先浄水施設に供給している者を供給予定者とする
(イ) 前記(ア)を原則としつつ,年度ごとに一定数量等の供給を希望する者に対しては,2社が,納入先浄水施設の購入予定数量等を勘案し,納入先浄水施設を指定して供給予定者とする
イ 供給予定者又は供給予定者の窓口商社が受注すべき価格は,供給予定者が自ら又は2社のいずれかから指示を受けて定める
ウ 供給予定者以外の者は,供給予定者から直接又は2社のいずれかを介して連絡を受けた価格以上の価格を,自ら提示する又は自社の窓口商社に指示して提示させる
などにより,供給予定者を決定し,供給予定者が供給できるようにしていた。
3 実施状況
 6社は,前記2により,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムのほとんど全てを供給していた。
4 前記2の行為の取りやめ
 平成26年4月8日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,前記2の合意に基づき供給予定者を決定し,供給予定者が供給できるようにする行為は取りやめられている。
第2 法令の適用
前記事実によれば,6社は,共同して,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムについて,供給予定者を決定し,供給予定者が供給できるようにすることにより,公共の利益に反して,東北地区における特定ポリ塩化アルミニウムの販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また,前記の違反行為は既になくなっているが,6社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり,5社については,違反行為が長期間にわたって行われていたこと,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,5社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
平成28年2月5日

公 正 取 引 委 員 会

委員長 杉  本  和  行

委 員 小 田 切  宏  之

委 員 幕  田  英  雄

委 員 山  本  和  史
別紙1

地方公共団体が入札等の方法により発注する,浄水施設で使用されるポリ塩化アルミニウムであって,受注者(受注者が販売業者である場合には,当該販売業者を介して入札等に参加したポリ塩化アルミニウムの製造販売業者(水澤商事株式会社を含む。))が自社又は製造委託先等の製造拠点又は出荷拠点から,直接,当該施設に供給するもの(特定の製造販売業者1社又は特定の一つの製品名を指定して発注されるものを除く。)



別紙2

番号 用語 定義
1 東北地区 青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県及び福島県の区域
2 地方公共団体 地方自治法(昭和22年法律第67号)第1条の3に規定するもの
3 入札等 一般競争入札,指名競争入札又は見積り合わせ
4 浄水施設 水道法(昭和32年法律第177号)第5条第1項第4号に規定する要件を備えた浄水施設及び工業用水道事業法(昭和33年法律第84号)第11条第1項第4号に規定する要件を備えた浄水施設
5 製造拠点 ポリ塩化アルミニウムを製造する施設
6 出荷拠点 ポリ塩化アルミニウムを貯蔵する施設
7 納入先浄水施設 入札等において納入先として定められた一又は複数の浄水施設

平成28年2月5日

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