公正取引委員会審決等データベース

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四国ロードサービス(株)ほか3社に対する件

独禁法3条後段

平成14年(勧)第19号

勧告審決

高松市中新町12番地1
四国ロードサービス株式会社
同代表者 代表取締役 文野 結紀

広島市東区光町一丁目7番11号
株式会社山陽メンテック
同代表者 代表取締役 都田  稔

岡山市田町一丁目3番1号
株式会社ショウテクノ
同代表者 代表取締役 田原 賢二

岡山県津山市河辺841番地の12
東中国道路メンテナンス株式会社
同代表者 代表取締役 千田 正義

公正取引委員会は,平成14年11月12日,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第48条第2項の規定に基づき勧告を行ったところ,上記の者らがこれを応諾したので,同条第4項の規定に基づき,次のとおり当該勧告と同趣旨の審決をする。

主文
1 四国ロードサービス株式会社,株式会社山陽メンテック,株式会社ショウテクノ及び東中国道路メンテナンス株式会社の4社は,平成9年6月ころ以降行っていた,日本道路公団四国支社が公募型指名競争入札の方法により発注する道路保全土木工事について,四国ロードサービス株式会社が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認しなければならない。
2 前記4社は,次の事項を日本道路公団四国支社に通知しなければならない。この通知の方法については,あらかじめ,当委員会の承認を受けなければならない。
(1) 前項に基づいて採った措置
(2) 今後,共同して,日本道路公団四国支社が公募型指名競争入札の方法により発注する前記工事について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
3 前記4社は,今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,日本道路公団四国支社が競争入札の方法により発注する前記工事について,受注予定者を決定してはならない。
4 前記4社は,前3項に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告しなければならない。

事実
当委員会が認定した事実は,次のとおりである。
1(1) 四国ロードサービス株式会社(以下「四国ロードサービス」という。),株式会社山陽メンテック(以下「山陽メンテック」という。),株式会社ショウテクノ(岡山ロードメンテナンス株式会社が平成11年4月1日に商号を変更したもの。以下「ショウテクノ」という。)及び東中国道路メンテナンス株式会社(以下「東中国道路メンテナンス」という。)は,それぞれ,肩書地に本店を置き,建設業法の規定に基づき,四国ロードサービスにおいては香川県知事の許可を,山陽メンテックにおいては広島県知事の許可を,ショウテクノ及び東中国道路メンテナンスにおいては岡山県知事の許可を受け,四国地区又は中国地区において土木工事等の建設業を営む者である。
(2) 日本道路公団四国支社(平成8年6月30日までは同公団高松建設局。以下「四国支社」という。)は,平成9年度以降,順次,道路保全土木工事(交通規制,交通事故復旧・補修工事,清掃作業,雪氷対策作業,緊急作業及び植栽作業の各業務を年間を通じて総合的に実施する業務をいう。以下「保全工事」という。)を公募型指名競争入札の方法により発注しており,公募型指名競争入札に当たっては,四国支社が保全工事の競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者を対象に,公募の条件を示して入札の参加希望者を募り,当該参加希望者に施工計画等の技術資料を提出させ,これら技術資料の審査を行った上で,審査基準を満たしている者の中から指名競争入札の参加者を指名している。
なお,四国支社は,保全工事を公募型指名競争入札の方法により発注した場合,原則として,その次年度及び次々年度の当該保全工事を随意契約の方法により当初年度の契約業者に発注している。
2(1)ア 四国ロードサービスは,四国支社が平成8年度までに随意契約の方法により発注した保全工事のすべてを受注していたことなどから,四国支社が,平成9年度以降,順次,保全工事を公募型指名競争入札の方法により発注することとなっても,自社が四国支社発注の保全工事のすべてを受注したいとの強い希望を有していたところ,遅くとも平成9年2月ころまでに,四国支社においても公募型指名競争入札が導入され,当該公募型指名競争入札の実施においては複数の参加者が必要である等の情報を得た。
イ 四国ロードサービスは,四国支社発注の保全工事が公募型指名競争入札の方法により発注されると,自社が受注することができなくなるおそれがあることから,自社が四国支社発注の保全工事のすべてを確実に受注できるようにするための方策を講ずることとし,また,公募型指名競争入札の際には自社が受注することを前提とした上で複数の入札参加者を確保するため,中国地区において保全工事の受注実績を有する山陽メンテック,ショウテクノ,東中国道路メンテナンス等に対し,四国支社が発注する保全工事の公募型指名競争入札に応募し,入札の参加者としての指名を受けるよう依頼した。
ウ 山陽メンテック,ショウテクノ及び東中国道路メンテナンス(以下「中国地区3社」という。)は,当該依頼に応じれば,四国ロードサービスは日本道路公団中国支社が公募型指名競争入札の方法により発注する保全工事の入札に参加しないと考え,平成9年5月ころまでに四国ロードサービスからの当該依頼に応じることとした。
(2) 日本道路公団が発注する保全工事の施工業者の大部分が加入していた日本道路管理協会維持管理部会の会員であった施工業者の間においては,かねてから,会合等において,競争入札制度の導入後の保全工事の受注のための方策が検討され,保全工事については競争入札制度の導入後も,その工事の性質等から,当該保全工事を既に施工している者が継続して受注することが望ましい旨の認識が醸成されていたところ,四国ロードサービス及び中国地区3社の4社(以下「4社」という。)は,前記(1)の入札参加の依頼の連絡等を通じて,遅くとも平成9年6月ころまでに,日本道路公団が発注する保全工事についてはその受注実績を尊重し,受注実績を有する事業者が引き続き受注することが望ましい旨認識し,平成9年6月ころ以降,四国支社が公募型指名競争入札の方法により発注する保全工事について,既に当該保全工事を施工している者が確実に受注できるようにする等のため
ア 当該工事は四国ロードサービスが受注する
イ 中国地区3社は,四国支社から入札の参加の指名を受けた場合には,四国ロードサービスが受注できるように協力する
旨の合意に基づき,四国ロードサービスが中国地区3社にその入札すべき価格を連絡するとともに,その他の指名業者の協力を得るなどして,四国ロードサービスが受注できるようにしていた。
3 四国ロードサービスは,前記2(2)により,四国支社が公募型指名競争入札の方法により発注する保全工事の大部分を受注していた。
4 平成13年12月13日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,4社は,四国支社が平成14年度以降公募型指名競争入札の方法により発注する保全工事について,前記2(2)の合意に基づき四国ロードサービスが受注できるようにする行為を取りやめている。

法令の適用
上記の事実に法令を適用した結果は,次のとおりである。
4社は,共同して,四国支社が公募型指名競争入札の方法により発注する保全工事について,四国ロードサービスが受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,四国支社が公募型指名競争入札の方法により発注する保全工事の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,これは,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
よって,主文のとおり審決する。

平成14年12月4日

委員長  竹島一彦
委員  本間忠良
委員  小林惇
委員  柴田愛子
委員  三谷紘

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