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(株)東芝ほか1名による審決取消請求事件

独禁法3条後段
東京高等裁判所

平成15年(行ケ)第335号

判決

平成16年4月23日

東京都港区芝浦1丁目1番1号
原告株式会社東芝
同代表者代表執行役 岡村正
東京都港区芝5丁目7番1号
原告日本電気株式会社
同代表者代表取締役 金杉明信
上記両名訴訟代理人弁護士 西迫雄
同 柴田保幸
同 向井千杉
同 富田美栄子

東京都千代田区霞ケ関1丁目1番1号
被告公正取引委員会
同代表者委員長 竹島一彦
同指定代理人 坂本佳胤
同 山口敬之
同 徳力徹也
同 冨本美知子
同 伊藤憲二
同 喜多祐二
同 杉浦總一郎

平成15年(行ケ)第335号審決取消請求事件

判決

主文
1 被告が原告らに対する公正取引委員会平成10年(判)第28号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反事件について,平成15年6月27日付けでした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
主文と同旨
第2 事案の概要
1 原告株式会社東芝(以下「原告東芝」という。)及び原告日本電気株式会社(以下「原告日本電気」という。)は,平成7年ないし9年当時,我が国において,郵便番号自動読取区分機類のほとんどすべてを製造販売していた。被告は,原告らに対する公正取引委員会平成10年(判)第28号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反事件(以下「本件審判事件」という。)について,原告らは公共の利益に反して,郵政省(当時。現日本郵政公社。以下「郵政省」という。)が一般競争入札の方法により発注する郵便番号自動読取区分機類のうち,郵便物自動選別取りそろえ押印機,選別台付自動取りそろえ押印機,郵便物あて名自動読取区分機,新型区分機,新型区分機用情報入力装置,バーコード区分機(A型及びB型)及び区分機用連結部(以下これらを「区分機類」という。)の取引分野における競争を実質的に制限していたものであり,これは私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「法」という。)2条6項に規定する不当な取引制限に当たり,法3条に違反するとして,法54条2項に基づき,平成15年6月27日付けで排除措置を命じる審決(以下「本件審決」という。)をした。本件は,原告らが本件審決の違法を主張してその取消しを求めている事案である。
2 本件審判事件は,原告らに次の違反行為があるとして審判手続が開始されたものである。すなわち,原告らは,郵政省が平成7年4月1日から平成9年12月10日までの間に,一般競争入札の方法により発注する区分機類について,指名競争入札の方法により発注されてきたときと同様におおむね半分ずつを安定的に受注する等のため,入札執行前に同省の調達事務担当官等(以下「担当官等」という。)から情報の提示を受けた者を当該区分機類の物件を受注すべき者(受注予定者)とし,受注予定者のみが当該物件の入札に参加し,受注予定者以外の者は当該物件の入札には参加しないことにより,受注予定者が受注できるようにする旨の共通の認識の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,区分機類の取引分野における競争を実質的に制限していたとし,これは法2条6項に規定する不当な取引制限に該当し,法3条に違反する,というものである。
本件審判事件において,原告らは,郵政省による区分機類の発注については,一般競争入札の形式が採られているとはいえ,郵政省が事前に受注者を指定する指示(内示)に従って入札実施前に受注者が特定される実態にあり,原告らは内示によりその間の競争を行う余地がなかったのであるから,原告らの間には法の保護法益である競争関係は存在せず,また,競争関係が存在しない以上,原告らが入札談合に係る意思の連絡をする必要はなく,現に原告らの間には受注調整行為と目されるような意思の連絡はなかったから,違反行為は成立しないと主張した。
3 本件審決の要旨
本件審決は,原告らは,郵政省が区分機類を指名競争入札の方法により発注していた平成6年度当時,入札執行前に,担当官等から同省の購入計画に係る各社ごとに分けられた区分機類の機種別台数,配備先郵便局等に関する情報の提示をそれぞれ受け,自社が情報の提示を受けた区分機類の物件については入札に参加し,自社が情報の提示を受けていない区分機類の物件については入札を辞退して,郵政省が定める当該物件の予定価格にほぼ近い価格で受注するとともに,それぞれ同省の総発注額のおおむね半分ずつを受注していたこと,郵政省は,平成7年度から一般競争入札の方法により発注するものとしたが,原告らに対する情報の提示は継続され,原告らは,平成7年度ないし平成9年度の一般競争入札においても,自社に情報の提示のあった物件にのみ入札に参加し,自社に情報の提示のなかった物件の入札には参加せず,平成7年4月1日から平成9年5月16日までの間に,それぞれ郵政省の総発注額のおおむね半分ずつを受注したことなどの事実を認定した上,本件の一般競争入札に係る区分機類については,競争関係を認めることができ,原告らの間には,担当官等から情報の提示のあった者のみが当該物件の入札に参加し受注できるようにする旨の意思の連絡,すなわち共通の認識が形成されており,原告らは,この共通の認識に基づいて受注予定者を決定し,区分機類を受注していたものと認められるとした。そして,本件審決は,原告らは,担当官等からの情報の提示を前提に,共同して,上記の区分機類について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,その取引分野における競争を実質的に制限していたものであり,これは法2条6項に規定する不当な取引制限に当たり,法3条に違反するものと判断した(以下,被告の認定判断に係る原告らの上記行為を「本件違反行為」という。)。
そして,本件審決は,本件について被告が平成9年12月10日,法の規定に基づき審査を開始したところ,担当官等が情報の提示等を行わなくなったこと等により,原告らは同日以降,上記の共通の認識に基づき受注予定者を決定し受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめているとし,違反行為が終了していることを認めた上で,法54条2項に基づき,原告らに対し排除措置,すなわち上記の区分機類につき受注予定者を決定し受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認しなければならないこと及びこれに基づいて採った措置を速やかに被告に報告しなければならないこと(以下「本件排除措置」という。)を命じた。
4 争点
原告らは本件審決が違法であるとして取消しを求めるが,その主張の要旨は,次のとおりである。すなわち,①本件審決の審決書(以下「本件審決書」という。)は,本件排除措置を命じた理由の記載を欠いており,審決書の記載要件を定めた法57条に違反する,②法54条2項は,違反行為が既になくなっていると認める場合において,「特に必要があると認めるとき」に排除措置を命ずることができるとしているところ,本件にはこの要件が存在しない,③原告らの間に競争関係及び意思の連絡があったとする判断は,いずれも実質的証拠を欠くものである,④本件審決は,私人である原告らと,国及び郵政省の職員を社会的地位に基づき不当に差別するものであり,憲法14条1項(法の下における平等)に違反するというのであり,上記各主張の当否が本件の争点である。
5 争点に関する当事者双方の主張
(1)法57条違反の主張について(争点(1))
(原告ら)
法57条は,審決書には,「公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用」を示さなければならないと規定しているところ,その趣旨は,行政庁の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに,当該行政処分の理由を処分を受ける当事者に知らせることによって,不服申立ての便宜を与えるところにあると解すべきである。そして,法54条2項によれば,違反行為が既になくなっている場合については,「特に必要があると認めるとき」にのみ排除措置を命じることができるのであるから,上記の要件に関する事実関係の存在は,法57条の「認定した事実」に該当し,被告は審決書にこれを明示しなければならないが,本件審決書はその記載を欠いているから,本件審決は法57条に違反する。
(被告)
本件審決は,法54条2項を適用するに当たって,被告の認定した事実を詳細に記載しており,原告らが法54条2項を適用する基礎となった事実関係を了知し得ることは明らかである。したがって,本件審決は,法57条に違反するものではない。
(2)法54条2項違反の主張について(争点(2))
(原告ら)
法54条2項は,違反行為が既になくなっている場合には,「特に必要があると認めるとき」にのみ排除措置を命ずることができると規定しているから,違反行為が一応中止されているが,一定の競争制限的状態ないし競争秩序の回復の不十分な状態が違反行為の結果として残存している場合に限り,被告は,その状態を除去し,違反行為を排除したといい得る措置(排除措置)を命ずることができると解すべきである。
本件審決の認定した違反行為(本件違反行為)は,担当官等による内示(情報の提示)の存在を不可欠の前提とし,これに依拠するものであるところ,郵政省がこの情報の提示を行わなくなったことにより,今後,「内示に従う」という行為をとることは起こり得ないのであるから,原告らが今後違反行為を行うことがあり得ないことは明らかであり,また,競争秩序の回復の不十分な状態が本件違反行為の結果として残存しているものでもない。
したがって,本件審決は,法54条2項の「特に必要があると認めるとき」の要件がないのに排除措置を命じたものであって,法54条2項に違反する。
(被告)
法54条2項の「特に必要があると認めるとき」に当たるかどうかの判断は,被告の裁量に委ねられているところ,被告は,違反行為が再び行われることを防止し,競争秩序の回復を確実にするという法54条2項の趣旨にかんがみ,違反行為の態様,期間,違反行為が終了した状況及び当該違反行為の対象となった商品又は役務の市場の状況等,当該違反行為にかかわる諸事情を総合考慮し,違反行為が再び行われるおそれがあるなど,競争秩序の回復を確実にするため排除措置を命ずる必要があると判断した場合にこれを命じているものである。
原告らが本件違反行為に先立つ相当以前から同様の受注調整行為を長期間にわたって恒常的に行ってきたこと,原告らが受注調整行為を取りやめたのは,被告の立入検査等の外部的要因に基づくもので,原告らの自発的な意思によるものではないこと,区分機類の市場は,株式会社日立製作所(以下「日立」という。)が参入したとはいえ,いまだ原告ら及び日立の3社による寡占市場であることなどに照らすと,区分機類の市場において,本件違反行為による競争制限の効果が完全に解消されたものと認めることはできず,原告らが再び同様の受注調整を行うおそれは十分にある。
したがって,本件においては,違反行為が再び行われることを防止し,競争秩序の回復を確実にする必要があるから,排除措置を命じた本件審決は法54条2項に違反するものではない。
(3)競争関係の存在に関する実質的証拠の欠缺の主張について(争点(3))
(原告ら)
競争の実質的制限の存否は,原告らによる競争制限の有無との関連において,実態として,内示により入札手続前に受注者が特定されたといえる状況にあったかどうかによって判断すべきである。郵便事業は国の独占事業であって,郵政省は,区分機類の独占的買主である上,国の機関でもあるから,区分機類について絶対的な市場支配力を有していた。郵政省はこの市場支配力を基礎として,入札前に受注予定者を特定しており,原告らは郵政省の内示(被告のいう「情報の提示」という。)に従わざるを得ない状況に置かれていた。
そして,郵政省は一般競争入札の導入の前後を通じて,配備先郵便局への単年度内における完納要求,保守体制の確保の必要性,郵便局舎の構造による物理的制約,現場における同一の操作性の要求などのため,原告らに対して内示を行い,特定の郵便局に設置する区分機類の受注予定者を原告らのいずれかに特定して,当該内示において受注予定者とされなかった原告が当該区分機類の入札に参加することを実質的に制限していたのであり,その結果,当該区分機類について競争が行われる余地はなかった。
したがって,原告らの間に競争関係は存在せず,この点に関する本件審決の認定は実質的証拠を欠くものである。
(被告)
原告らの見解によれば,国又は地方公共団体等の発注機関側の職員が,受注者である民間企業側の入札談合に関与し,契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名する場合,その多くが法の禁止する入札談合に当たらないことになるが,法がそのように考えていないことは,入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律(平成14年法律第101号)が,このような官側の関与行為を「入札談合等関与行為」と定義し(2条5項),「入札談合等」を法3条又は法8条1項に違反する行為と定義していること(同条4項)から明らかである。また,法の保護法益である競争がないとして法の適用が排除されるのは,参加事業者の責めに帰すことができない当該市場の客観的な状況により,参加事業者の自由な意思決定の余地が排除され,相互に他を排して取引の機会を得ようとする競争がおよそ期待できないような例外的な場合に限られるのであり,本件のように,制度として一般競争入札が導入されている場合に,入札参加者に競争関係がないということは,ほとんど考えることができない。
本件において,情報の提示等の一連の手続は,郵政省と原告らの相互依存的関係の中で形成され,その設定・維持については原告らが主体的な役割を担っていたのであるから,その手続を捉えて,法にいう競争がないというのは本末転倒である。また,仮に郵政省の一方的な指示によって原告らの間の競争が制限されていたとしても,行政指導に従って違反行為を行った事業者の違法性が阻却されるためには,行政指導が適法であることを要するところ,郵政省による情報の提示等の一連の手続は適法性の要件を満たしていないことが明らかであり,その指示に従った原告らの行為について違法性が阻却される余地はない。
以上のとおり,原告らは競争関係にあったものであり,本件審決の判断に実質的証拠に欠けるところはない。
(4)意思の連絡の存在に関する実質的証拠の欠缺の主張について(争点(4))
(原告)
上記(3)のとおり,原告らの間に競争関係はなく,仮にこれを肯定するとしても,原告らは,各自に与えられた郵政省の内示に従うことしか考えておらず,相互に競争が可能であるとは認識していなかったのであるから,他の原告の行為を容認する必要も余地もなかった。したがって,原告らに意思の連絡はなく,この点に関する本件審決の認定は実質的証拠を欠くものである。
(被告)
区分機類の市場構造,原告らが長年の慣行に従い本件違反行為をすることは容易であったこと,一般競争入札の導入に際し,原告らの担当者はこれに反対し,情報の提示の継続を要請するなどの行動をとっていたこと,原告らは一般競争入札の導入後も,自社に情報の提示があった物件についてのみ入札に参加するという一致した行動をとっていたことなどの事情を総合すれば,原告らに意思の連絡があったことは優に推認することができ,本件審決の判断に実質的証拠に欠けるところはない。
(5)憲法14条1項違反の主張について(争点(5))
(原告ら)
被告は,国に対して排除措置を命ずることなく,また担当官等に対して刑事告発の措置をとることもなく,郵政省の内示に従って入札した原告らに対してのみ排除措置を命ずる決定をしたものであるから,本件審決は,私人である原告らと国又は国家公務員である郵政省の職員とを社会的地位に基づいて不当に差別したものであり,本件審決は,憲法14条1項の定める法の下における平等の原則に違反する。
(被告)
被告は,本件違反行為の性質,本件における具体的な事実・証拠関係,その背景となった経済状態,排除措置により競争市場に与える効果等の諸般の事情を総合的に勘案して,原告らに対しては排除措置を命じ,郵政省に対しては,再発防止の徹底を文書で要請するに止めたのであり,社会的地位に基づき異なる取扱いをしたものではない。
第3 判断
1 争点(1)及び(2)について
(1)法57条は,審決書には,「公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用」を示さなければならないと規定して,審決書の記載要件を定めている。この規定は,行政手続法14条が,行政庁が不利益処分をする場合には,その名あて人に対し,同時に,当該不利益処分の理由を示さなければならないと定め,行政処分(不利益処分)につき理由の付記を要求しているのと同様,公正取引委員会の審決が被審人の営業活動の自由等を制限するものであることにかんがみ,その判断の慎重と公正妥当を担保して恣意を抑制するとともに,審決の理由を被審人に知らせることにより,その不服申立てに便宜を与えるためのものであると解される。前記のとおり,本件審決は,原告らの行為が法3条に違反するとして,原告らに対し,法54条2項を適用して排除措置を命じたものであるが,審決書に上記の記載が必要とされる趣旨にかんがみれば,本件審決書に記載すべき理由(被告の認定した事実及び法令の適用)としては,違反行為に関する認定事実のほか,いかなる事実関係に基づき,いかなる法規を適用して排除措置が命じられたのかを,被審人においてその記載自体から了知し得るものでなければならず,単に排除措置の根拠規定を示すだけでは,それによって当該規定の適用の基礎となった事実関係を当然に知り得るような場合を別として,法57条の要求する審決書の記載として十分でないといわなければならない(最高裁判所昭和49年4月25日第一小法廷判決・民集28巻3号405頁,同昭和60年1月22目第三小法廷判決・民集39巻1号1頁等参照)。
(2)ところで,法54条2項は,公正取引委員会は,審判手続を経た後,違反行為が既になくなっていると認める場合において,「特に必要があると認めるとき」は,審決をもって,被審人に対し,法7条2項に規定する措置,すなわち当該違反行為が既になくなっている旨の周知措置その他当該違反行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命じなければならないと規定している。これは,審決の時点では既に違反行為がなくなっているが,当該違反行為が将来繰り返されるおそれがある場合や,当該違反行為の結果が残存しており,競争秩序の回復が不十分である場合などには,なお違反行為の排除を命ずる必要があることから,上記のような場合を「特に必要があると認めるとき」として,排除措置を命ずべきものとしたものと解される。
前記のとおり,本件審決書の引用する審決案第4の3は,原告らは平成9年12月10日以降,担当官等が情報の提示を行わなくなったこと等により,共通の認識に基づき受注予定者を決定し受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめているとし,違反行為の終了を認定した上,法54条2項を適用して本件排除措置を命じたものであるから,審決の時点では,違反行為は既になくなっているが,同項にいう「特に必要があると認めるとき」に当たるとして本件排除措置を命じたものと解される。しかしながら,本件審決書(引用に係る審決案を含む。以下同じ)は,法令の適用として,本件排除措置の根拠規定(法54条2項)を記載するのみで,その適用の基礎となった事実関係,すなわち上記の「特に必要があると認めるとき」の要件の認定判断については,何ら明示的に記載するところがない。
もっとも,上記の「特に必要があると認めるとき」との要件に該当する具体的事実関係は,それ自体として明示的に記載されることは必ずしも必要ではなく,審決書で認定された違反行為の内容等から違反行為が繰り返されるおそれが明らかにうかがわれる場合など,審決書の記載内容全体から判断して,当該規定の適用の基礎となった事実関係を当然に知り得るような場合には,法57条が要求する審決書の記載要件を具備したものということができるから,以下には,本件審決書の記載から,法54条2項の適用の基礎となった事実関係を当然に知り得るかどうかを検討する。
(3)本件審決の認定判断の要旨は,前記第2の3に記載のとおりであり,本件審決書に記載された被告の認定した事実の概要は,別紙のとおりである。すなわち,本件審決は,原告らは,郵政省が区分機類を指名競争入札の方法により発注していた当時から,担当官等から購入計画に係る各社ごとに分けられた区分機類の機種別台数,配備先郵便局等に関する情報の提示をそれぞれ受け,自社が情報の提示を受けた区分機類の物件については入札に参加し,自社が情報の提示を受けていない区分機類の物件については入札を辞退することを繰り返し,その結果,郵政省が定める当該物件の予定価格にほぼ近い価格で受注するとともに,それぞれ総発注額のおおむね半分ずつを受注していたこと,郵政省は,平成7年度から一般競争入札の方法により発注するものとしたが,原告らに対する情報の提示は従前と同様に継続され,原告らは上記と同様の方法により,平成7年4月1日から平成9年5月16日までの間に,総発注額のおおむね半分ずつを受注したことなどの事実を認定した上,原告らの間には,担当官等から情報の提示があった者のみが当該物件の入札に参加し受注できるようにする旨の意思の連絡,すなわち共通の認識が形成され,原告らは,この共通の認識に基づいて受注予定者を決定し,区分機類を受注していたのであって,郵政省が発注する区分機類の取引分野における競争を実質的に制限していたものであるとした。
そして,本件審決(理由欄3)が述べるように,本件違反行為は「担当官等からの情報の提示を前提」とするものであり,上記のような本件違反行為の態様に照らせば,本件違反行為は,担当官等からの情報の提示がなければ成立し得ないものと考えられる。
一方,本件審決は,被告は平成9年12月10日,原告らに立入検査を行い,その後は,担当官等は情報の提示を行わなくなったと認定し(別紙(11)ア参照),原告らは同日以降,担当官等が情報の提示を行わなくなったこと等により,上記の共通の認識に基づき受注予定者を決定し受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを認定した(前記第2の3参照)が,法54条2項を適用し,原告らに対して本件排除措置を命じた。これは,前記のような同項の規定の趣旨に照らして考えれば,被告は,本件違反行為は既になくなっているが,これと同様の行為が将来繰り返されるおそれがある,あるいは本件違反行為の結果が残存しており,競争秩序の回復が不十分であると判断したことなどによるものと解される。
しかしながら,本件違反行為と同様の行為が将来繰り返されるおそれについては,上記のとおり,本件違反行為は担当官等からの情報の提示がなければ成立し得ないと考えられるところ,担当官等は情報の提示を行わなくなったと認定されているのであるから,なお情報の提示が行われるおそれがあるというのであればともかく,そうでない以上これと同様の行為が将来繰り返されるおそれはないといわざるを得ない。そして,担当官等から本件違反行為におけるような情報の提示が今後も行われるおそれがあることについては,何ら認定されていない。なお,入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律(平成14年法律第101号。平成15年1月6日施行)は,国,地方公共団体又は特定法人の職員が事業者の入札談合等に関与する行為を厳しく規制している。
また,本件違反行為の結果が残存し,競争秩序の回復が十分でないという点については,担当官等からの情報の提示が行われなくなった以上,その後の入札において本件のような違反行為が行われる余地はないと考えられるのみならず,本件審決においては,平成10年2月27日の区分機類の入札から日立が参入し,競争環境が相当変化したことなどが認定されている(別紙(11)参照)のであって,被告の認定した事実から上記の点が当然に認められるものということはできない。
その他,審決書において被告の認定した事実を仔細に検討しても,被告が原告らに対して本件排除措置を命じた理由,すなわち法54条2項にいう「特に必要があると認めるとき」の要件については,それを認めるべき事実関係を当然に知り得るということはできない。
(4)被告は,法54条2項の「特に必要があると認めるとき」とは,当該違反行為と全く同一の行為態様での違反行為が行われるおそれがある場合はもちろん,当該違反者が,競争秩序の維持・回復を阻害する同様の違反行為を今後行うおそれがある場合を広く含むと解すべきであり,かつ,排除措置を命ずる必要があるか,いかなる排除措置を命ずるかについては,競争政策について専門的知見を有する被告の広い裁量に委ねられていると主張し,原告らは本件違反行為に先立つ相当以前から同様の受注調整行為を長期間にわたって恒常的に行ってきたこと,原告らが受注調整行為を取りやめたのは,被告の立入検査等の外部的要因に基づくもので,原告らの自発的な意思に基づくものではないこと,区分機類の市場は,日立が参入したとはいえ,いまだ3社による寡占市場であることなどに照らすと,区分機類の市場において,本件違反行為による競争制限の効果が完全に解消されたものと認めることはできず,原告らが再び同様の受注調整行為を行うおそれは十分にある旨主張する。
たしかに,既に行われた違反行為を排除するとともに,当該取引分野における競争を制限する違反行為が再び行われることを防止し,当該取引分野における競争秩序の維持・回復を確実にすることを目的とする排除制度の趣旨からすれば,当該違反行為と全く同一の行為態様の違反行為を防止するだけでは,排除措置の目的を達成できないことは明らかであるから,排除措置を命ずることができる場合を,当該違反行為と全く同一の行為態様での違反行為が行われるおそれがある場合に限定するのは,厳格に過ぎるということができる。しかし,法54条2項(法7条2項)により命ずることができる措置は,当該違反行為が排除されたことを確保するために必要な措置に限られることは,法の文言上明らかであるから,これを当該違反行為を離れて,およそ競争秩序の維持・回復を阻害する行為が排除されたことを確保するために必要な措置と解することはできない。したがって,上記規定により排除措置を命ずることできるのは,当該違反行為と同一ないし社会通念上同一性があると考え得る行為が行われるおそれがある場合に限定されると解するのが相当である。
ところで,本件で問題とされた違反行為は,前記のとおり,郵政省の行う区分機類の一般競争入札について,担当官等から情報の提示を受けることを前提に,原告らが,自社に情報の提示を受けた物件についてのみ入札し,情報の提示を受けない物件には入札しないという意思を連絡した上,それに従って行動するという受注調整行為をしたというものである。したがって,本件において排除措置を執ることが許されるのは,郵政省の行う区分機類及びそれに類する機器類の一般競争入札において,原告らが今後も受注調整行為を行うおそれがある場合ということになる。
そうすると,上記の本件違反行為の内容から明らかなように,本件では,担当官等から情報の提示を受けることが違反行為の重要な前提条件となっているのであるから,情報の提示がされなくなった場合でも,なお原告らが郵政省の行う上記の一般競争入札について受注調整を行うおそれが存在するとすることは,原告らの受注調整行為が長期間にわたって行われてきたこと,原告らが受注調整行為を取りやめたのは原告らの自発的意思に基づくものでないこと,区分機類の市場はいまだ寡占市場であること等の,被告の主張する諸事情があるとしても,認め難いといわなければならない。被告の裁量は,「特に必要があると認めるとき」という要件の存在が認められるときに,排除措置を執るか否か及びその内容について認められるのであって,この要件が存在しないときにまで,排除措置を命ずることが許されることにはならない。
(5)以上のとおりであって,本件審決書の記載(被告の認定した事実)からは,被告が原告らに対して本件排除措置を命じた理由,すなわち法54条2項の適用の基礎となった事実関係を当然に知り得るものということができないのみならず,上記の検討に照らせば,被告の認定した事実からは,同条2項にいう「特に必要があると認めるとき」の要件を認めることもできないといわざるを得ない。そうすると,本件審決は,法57条及び法54条2項に違反するものであるから,法82条2号により,取消しを免れない。
2 したがって,その余の争点について判断するまでもなく,原告らの請求は理由があるので認容することとし,主文のとおり判決する。

平成16年4月23日

東京高等裁判所第3特別部
裁判長裁判官 今井功
裁判官 大内俊身
裁判官 小川浩
裁判官 大野和明
裁判官 上田卓哉

(別紙)
被告の認定した事実の概要
(1)原告らは,平成9年12月ころまでの間,我が国において,区分機類のほとんどすべてを製造販売していた。なお,区分機類には,郵便物処理上の郵便物の搬送方向が左から右に流れる右流れ型,右から左に流れる左流れ型があり,原告東芝が右流れ型の,原告日本電気が左流れ型のそれぞれ大部分を製造販売していた。
(2)郵政省における郵便業務の機械化計画及び実施等に関する事務については,昭和62年7月ころから平成6年7月ころまでは郵務局施設課システム企画室が,それ以降は機械情報システム課が担当している。
郵政省は,区分機類を,昭和43年度から昭和61年度までは随意契約により,昭和62年度から平成6年度までは指名競争入札の方法により,また,平成7年度以降は一般競争入札の方法により発注しているところ,原告らは,それぞれ平成7年度以降,郵政省の一般競争入札に係る区分機類の競争参加資格者として登録されている。
(3)原告らの製造する区分機類の性能・品質は,平成6年度ないし平成9年度当時には,流れ型の点を除いては大差はなかった。また,その開発の経緯から,平成6年度ないし平成9年度の郵政省の発注につき,原告東芝は,主に右流れ型の区分機類を製造納入し,原告日本電気は,主に左流れ型の区分機類を製造納入してきたが,原告東芝が左流れ型の区分機類の入札に参加して落札・受注したり(平成8年度に2物件,平成9年度に1物件),原告日本電気が右流れ型の区分機類の入札に参加して落札・受注した(平成9年度に2物件)こともあった。
(4)郵政省における平成6年ごろから平成9年ごろまでの区分機類の配備状況をみると,北海道郵政局,信越郵政局,北陸郵政局,九州郵政局及び沖縄郵政管理事務所管内の郵便局には原告東芝製のもののみが配備され,東北郵政局及び四国郵政局管内の郵便局には原告日本電気製のもののみが配備されていた。そして,原告らは,自らの区分機類が配備されていない郵政局管内においては,原則として営業活動は行っていなかった。それ以外の関東郵政局,東京郵政局,東海郵政局,近畿郵政局及び中国郵政局管内の郵便局には原告らの双方が製造したものが配備されていたが,この場合に,一度ある郵便局に一方の原告の区分機類が納入されると,その後はその郵便局については原則として,当該原告の区分機類が配備されてきていた。原告らは,それぞれ区分機類の保守業務を行う子会社を持っているが,それらの保守拠点はそれぞれが納入している郵政局管内にのみ置かれていた。
(5)平成6年度以前の区分機類の発注における情報の提示及び原告らの対応等
ア 原告らは,指名競争入札当時,かねてから,入札執行前に,担当官等から郵政省の購入計画に係る各社ごとに分けられた区分機類の機種別台数,配備先郵便局等に関する情報の提示をそれぞれ受けており,原告らは,それぞれ,情報の提示を受けた区分機類について,郵政省が自社に発注する意向を有していると認識していた。この情報の提示は,担当官等及び原告らの担当者の間では,一般に「内示」と呼ばれていた。
イ 原告らは,それぞれ,入札の官報公示及び仕様書と情報の提示を受けた区分機類とを照合した上で,自社が情報の提示を受けた区分機類の物件については入札に参加し,自社が情報の提示を受けていない区分機類の物件については入札を辞退した。
なお,郵政省の指名競争入札の方法による区分機類の発注において,原告らのうち担当官等から情報の提示を受けた者のみが入札に参加し,情報の提示を受けなかった者は入札を辞退するという行為は相当以前から行われていた。
ウ 受注の状況
(ア)原告らは,それぞれ,情報の提示を受けた区分機類の物件のすべてについて,情報の提示を受けた者のみが入札に参加し,落札するまで入札を繰り返すことなどにより,郵政省が定める当該物件の予定価格にほぼ近い価格で受注していた。
(イ)郵政省が平成6年度に発注した区分機類について,原告らは,それぞれ同省の総発注額のおおむね半分ずつを受注した。
なお,郵政省が指名競争入札の方法により発注する区分機類について,昭和62年度から平成5年度までについてみると,この期間を平均すれば,原告らは,それぞれ同省の総発注額のおおむね半分ずつを受注していた(もっとも,年度ごとにばらつきはみられる。)。
(6)原告らは,平成6年春ころから,担当官等から,平成7年度以降,区分機類を一般競争入札の方法により発注する方針を示されてきた。
(7)平成6年9月2日,郵政省において,郵政省側の発案により課長勉強会と称する会合が開催され,機械情報システム課の課長(以下「担当課長」という。)及び担当係長らのほか,原告らの担当者が出席した。この会合において,価格の低廉化を図る方策及び一般競争入札の導入について検討が行われた。
郵政省側が同会合において,今の流れでは一般競争入札にせざるを得ないと説明したところ,原告ら側の出席者からは一般競争入札の導入に消極的な意見が述べられた。
(8)情報の提示の継続の伝達
ア 平成7年1月上旬ころ,機械情報システム課において,平成7年度の区分機類の購入に関し,配備計画どおりに平成7年度の区分機類が納入されないと困るので,生産確認という意味で従前と同様原告らに情報の提示を継続することが決定された。
イ 平成7年1月26日,郵政省において,担当係長らと原告らの担当者が出席して打合せ会が開催された。同係長らは,平成7年度は,区分機類の発注方法を一般競争入札とするが,情報の提示は継続して行う旨の意向を伝えた。
この説明に対して,原告ら側の出席者から特段の発言はされなかった。
(9)平成7年度ないし平成9年度の区分機類の発注における情報の提示,納入日程の調整及び発注状況は,おおむね次のとおりであった。
ア 平成7,8年度について
(ア)当該年度の開始前である2月ころ,担当課長及び担当係長が,原告らの担当者に対し,各原告に対する区分機類の機種及び台数の購入計画を口頭で説明し,区分機類の機種別台数,口数別台数,配備先郵便局等が記載された文書を用意して,原告らの担当者に持ち帰らせた。
(イ)これに引き続き,原告らの担当者は,担当官等との間で,情報の提示を受けた物件について,各配備先郵便局への納入日程の調整を行った。
(ウ)原告らは,担当係長の了承を得て,当該年度の4月ころから,地方郵政局を経由して情報の提示のされた配備先郵便局の担当官と打合せを行うなどしたが,これらの打合せ等には,原告らのうち情報の提示のあった者のみが出席した。
(エ)入札が官報公示された後,原告らの担当者は,官報公示と情報の提示のあった物件との同一性を確認した上で,大臣官房財務部契約課から仕様書の交付を受けた。仕様書には,区分機類の流れ型の別,既設の選別押印機又は台付押印機と連結できる機能を有することなどが記載され,原則として,右流れ型には原告東芝の予備部品リストが,左流れ型には原告日本電気の予備部品リストが添付されていた。
(オ)原告らの担当者は,仕様書を受け取った後,情報の提示を受けた物件につき下見積書を作成して,契約課に提出した。契約課の担当官は,原告らの担当者に,物件ごとの価格の提示を求め,予算額とのすり合わせの作業を行った。
(カ)平成7年度の区分機類の入札は7月に,平成8年度のそれは8月(試行機の入札は平成9年1月)に行われ,原告らは,自社に情報の提示のあった物件のみ入札に参加し,自社に情報の提示のなかった物件の入札には参加しなかった。
(キ)入札後,原告らは,それぞれ,受注した物件について,機械情報システム課との間で定められた上記(イ)の納入日程に従って納入しでおり,このため,発注に係る官報公示に基づく契約上の納入期限よりも短期間で納入される物件もあった。
イ 平成9年度について
郵政省の平成9年度における区分機類の一般競争入札の方法による発注は,その時期は異なるが,その基本的な手順は,上記アと同様であった。
(10)平成7年度から平成9年度までの受注状況及び落札金額
原告らは,郵政省が平成7年4月1日から平成9年5月16日までの間に,一般競争入札の方法により発注した区分機類の物件71物件中の70件を受注し,それぞれが同省の総発注額のおおむね半分ずつを受注した。この間の落札率(落札金額を予定価格で除したパーセント)は,すべての物件について平成7年度は99.9パーセントを,平成8年度は99.8パーセントを,平成9年度は99.5パーセントを超えていた。
(11)被告の立入検査及び日立の参入後の状況
ア 被告は,平成9年12月10日,原告らに立入検査を行い,その後は担当官等は原告らに情報の提示を行わなくなり,納入日程の調整は入札後に行われるようになり,契約室が価格のやり取りをすることもなくなり,官報公示において入札日から初回の納入期限までの期間を短期間に設定することもなくなった。原告らも郵政省との接触を控えるようになった。また,平成10年2月27日の区分機類の入札から日立が参入し,日立が参加した物件は少なくとも2社の競争となった.これらのことから,競争環境が相当変化した。
日立は当初右流れ型の区分機類に参入し,原告東芝との競札となった。平成10年2月27日の入札では2物件が原告東芝,日立の競札となったが,これらの物件の落札率は約96.5パーセント,94.1パーセントと,これまでよりも下がった。平成10年6月9日の入札からは原告東芝が左流れ型の区分機類に本格的に参入し,原告日本電気と競札するようになった。同日に,原告東芝,日立が競札になった13物件の落札率は約77.1パーセントから約99.5パーセントまでに,原告ら2社が競札になった10物件の落札率は約75.2パーセントから約95.5パーセントまでにと更に下がった。平成11年3月19日の入札からは日立が左流れ型の区分機類に参入し,原告日本電気が右流れ型の区分機類に本格的に参入したことから,すべての物件について原告ら及び日立の3社あるいは原告ら2社の競札となった。同日に3社が競札となった11物件の落札率は約40.5パーセントから約84.4パーセントまでに,原告ら2社が競札となった8物件の落札率は,約65.5パ一セントから約98.5パーセントまでにと一層下落した。なお,価格が平成9年度の新型区分機1台当たり2億4000万円台から,平成12年度には5000万円台まで落札価格が低下したものもある。
また,原告日本電気の区分機類の保守業務を行う子会社は,平成11年度以降,保守拠点を北海道,北陸及び信越に新たに設け,納入した物件の保守に対応できるようにしており,原告日本電気は,平成11年度の一般競争入札では,これまで配備実績のなかった北海道郵政局管内の郵便局の物件について入札に参加し,落札・受注した。
イ 日立が,平成10年4月9日付け文書で,郵政省に対し,原告東芝製及び原告日本電気製の選別押印機等との接続に関する技術情報の開示を求めたところ,機械情報システム課はこれに応じて,同年5月8日付け文書で技術情報を開示し,日立は,その開示を受けて技術的に接続が可能であることを確認して,同年6月9日の区分機類の一般競争入札に参加した。
また,郵政省が平成11年3月19日に一般競争入札の方法により発注した区分機類について,原告日本電気は,原告東芝製の選別押印機との接続を条件とする新型区分機の入札に参加し,落札・受注し,納入した。また,日立も,同入札において,原告東芝製の選別押印機との接続を条件とする新型区分機の物件の入札に参加し,落札・受注した。
以上

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