公正取引委員会審決等データベース

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㈱セブン-イレブン・ジャパンに対する件

独禁法19条(一般指定14項4号)

平成21年(措)第8号

排除措置命令

東京都千代田区二番町8番地8
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
代表取締役 井阪 隆一

公正取引委員会は,上記の者に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第20条第1項の規定に基づき,次のとおり命令する。

主文
1 株式会社セブン-イレブン・ジャパンは,見切り販売(株式会社セブン-イレブン・ジャパンが加盟者(株式会社セブン-イレブン・ジャパンのフランチャイズ・チェーンに加盟する事業者をいう。以下主文において同じ。)の経営するコンビニエンスストアで販売することを推奨する商品のうちデイリー商品(品質が劣化しやすい食品及び飲料であって,原則として毎日店舗に納品されるものをいう。以下主文において同じ。)に係る別紙1記載の行為をいう。以下主文において同じ。)を行おうとし,又は行っている加盟者に対し,見切り販売の取りやめを余儀なくさせ,もって,加盟者が自らの合理的な経営判断に基づいて廃棄に係るデイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせている行為を取りやめなければならない。
2 株式会社セブン-イレブン・ジャパンは,前項の行為を取りやめる旨及び今後,前項の行為と同様の行為を行わない旨を,取締役会において決議しなければならない。
3 株式会社セブン-イレブン・ジャパンは,前2項に基づいて採った措置を加盟者に周知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの周知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
4 株式会社セブン-イレブン・ジャパンは,今後,第1項の行為と同様の行為を行ってはならない。
5 株式会社セブン-イレブン・ジャパンは,今後,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。これらの措置の内容については,第1項の行為と同様の行為を行うことのないようにするために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 加盟者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定
(2) 加盟者が行う見切り販売の方法等についての加盟者向け及び従業員向けの資料の作成
(3) 加盟者との取引に関する独占禁止法の遵守についての,役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査
6(1) 株式会社セブン-イレブン・ジャパンは,第1項から第3項まで及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
(2) 株式会社セブン-イレブン・ジャパンは,前項の(3)に基づいて講じた措置の実施内容を,今後3年間,毎年,公正取引委員会に報告しなければならない。

理由
第1 事実
1(1) 株式会社セブン-イレブン・ジャパン(以下「セブン-イレブン・ジャパン」という。)は,肩書地に本店を置き,我が国において,「セブン-イレブン」という統一的な商標等の下に,別紙2記載の事業(以下「コンビニエンスストアに係るフランチャイズ事業」という。)を営む者である。
(2)ア セブン-イレブン・ジャパンが自ら経営するコンビニエンスストア(以下「直営店」という。)及びセブン-イレブン・ジャパンのフランチャイズ・チェーンに加盟する事業者(以下「加盟者」という。)が経営するコンビニエンスストア(以下「加盟店」という。)は,一部の地域を除く全国に所在している。平成20年2月29日現在における店舗数は,直営店が約800店,加盟店が約1万1200店の合計約1万2000店であり,平成19年3月1日から平成20年2月29日までの1年間における売上額は,直営店が約1500億円,加盟店が約2兆4200億円の合計約2兆5700億円であるところ,セブン-イレブン・ジャパンは,店舗数及び売上額のいずれについても,我が国においてコンビニエンスストアに係るフランチャイズ事業を営む者の中で最大手の事業者である。これに対し,加盟者は,ほとんどすべてが中小の小売業者である。
イ(ア) セブン-イレブン・ジャパンは,加盟者との間で,加盟者が使用することができる商標等に関する統制,加盟店の経営に関する指導及び援助の内容等について規定する加盟店基本契約と称する契約(当該契約に附随する契約を含む。以下「加盟店基本契約」という。)を締結している。加盟店基本契約の形態には,加盟者が自ら用意した店舗で経営を行うAタイプと称するもの(以下「Aタイプ」という。)及びセブン-イレブン・ジャパンが用意した店舗で加盟者が経営を行うCタイプと称するもの(以下「Cタイプ」という。)がある。
(イ) 加盟店基本契約においては,契約期間は15年間とされ,当該契約期間の満了までに,加盟者とセブン-イレブン・ジャパンの間で,契約期間の延長又は契約の更新について合意することができなければ,加盟店基本契約は終了することとされている。加盟店基本契約においては,加盟店基本契約の形態がAタイプの加盟者にあっては,加盟店基本契約の終了後少なくとも1年間は,コンビニエンスストアに係るフランチャイズ事業を営むセブン-イレブン・ジャパン以外の事業者のフランチャイズ・チェーンに加盟することができず,加盟店基本契約の形態がCタイプの加盟者にあっては,加盟店基本契約の終了後直ちに,店舗をセブン-イレブン・ジャパンに返還することとされている。
ウ セブン-イレブン・ジャパンは,加盟店基本契約に基づき,加盟店で販売することを推奨する商品(以下「推奨商品」という。)及びその仕入先を加盟者に提示している。加盟者が当該仕入先から推奨商品を仕入れる場合はセブン-イレブン・ジャパンのシステムを用いて発注,仕入れ,代金決済等の手続を簡便に行うことができるなどの理由により,加盟店で販売される商品のほとんどすべては推奨商品となっている。
エ セブン-イレブン・ジャパンは,加盟店が所在する地区にオペレーション・フィールド・カウンセラーと称する経営相談員(以下「OFC」という。)を配置し,加盟店基本契約に基づき,OFCを通じて,加盟者に対し,加盟店の経営に関する指導,援助等を行っているところ,加盟者は,それらの内容に従って経営を行っている。
オ 前記アからエまでの事情等により,加盟者にとっては,セブン-イレブン・ジャパンとの取引を継続することができなくなれば事業経営上大きな支障を来すこととなり,このため,加盟者は,セブン-イレブン・ジャパンからの要請に従わざるを得ない立場にある。したがって,セブン-イレブン・ジャパンの取引上の地位は,加盟者に対し優越している。
(3)ア 加盟店基本契約においては,加盟者は,加盟店で販売する商品の販売価格を自らの判断で決定することとされ,商品の販売価格を決定したとき及び決定した販売価格を変更しようとするときは,セブン-イレブン・ジャパンに対し,その旨を通知することとされている。
イ セブン-イレブン・ジャパンは,加盟店基本契約に基づき,推奨商品についての標準的な販売価格(以下「推奨価格」という。)を定めてこれを加盟者に提示しているところ,ほとんどすべての加盟者は,推奨価格を加盟店で販売する商品の販売価格としている。
ウ セブン-イレブン・ジャパンは,推奨商品のうちデイリー商品(品質が劣化しやすい食品及び飲料であって,原則として毎日店舗に納品されるものをいう。以下同じ。)について,メーカー等が定める消費期限又は賞味期限より前に,独自の基準により販売期限を定めているところ,加盟店基本契約等により,加盟者は,当該販売期限を経過したデイリー商品についてはすべて廃棄することとされている。
エ 加盟店で廃棄された商品の原価相当額については,加盟店基本契約に基づき,その全額を加盟者が負担することとされているところ,セブン-イレブン・ジャパンは,セブン-イレブン・ジャパンがコンビニエンスストアに係るフランチャイズ事業における対価として加盟者から収受しているセブン-イレブン・チャージと称するロイヤルティ(以下「ロイヤルティ」という。)の額について,加盟店基本契約に基づき,加盟店で販売された商品の売上額から当該商品の原価相当額を差し引いた額(以下「売上総利益」という。)に一定の率を乗じて算定することとし,ロイヤルティの額が加盟店で廃棄された商品の原価相当額の多寡に左右されない方式を採用している。
オ 加盟者が得る実質的な利益は,売上総利益からロイヤルティの額及び加盟店で廃棄された商品の原価相当額を含む営業費を差し引いたものとなっているところ,平成19年3月1日から平成20年2月29日までの1年間に,加盟店のうち無作為に抽出した約1,100店において廃棄された商品の原価相当額の平均は約530万円となっている。
2(1) セブン-イレブン・ジャパンは,かねてから,デイリー商品は推奨価格で販売されるべきとの考え方について,OFCを始めとする従業員に対し周知徹底を図ってきているところ,前記1(3)エのとおり,加盟店で廃棄された商品の原価相当額の全額が加盟者の負担となる仕組みの下で
ア OFCは,加盟者がデイリー商品に係る別紙1記載の行為(以下「見切り販売」という。)を行おうとしていることを知ったときは,当該加盟者に対し,見切り販売を行わないようにさせる
イ OFCは,加盟者が見切り販売を行ったことを知ったときは,当該加盟者に対し,見切り販売を再び行わないようにさせる
ウ 加盟者が前記ア又はイにもかかわらず見切り販売を取りやめないときは,OFCの上司に当たるディストリクト・マネジャーと称する従業員らは,当該加盟者に対し,加盟店基本契約の解除等の不利益な取扱いをする旨を示唆するなどして,見切り販売を行わないよう又は再び行わないようにさせる
など,見切り販売を行おうとし,又は行っている加盟者に対し,見切り販売の取りやめを余儀なくさせている。
(2) 前記(1)の行為によって,セブン-イレブン・ジャパンは,加盟者が自らの合理的な経営判断に基づいて廃棄に係るデイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせている。
第2 法令の適用
前記事実によれば,セブン-イレブン・ジャパンは,自己の取引上の地位が加盟者に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,取引の実施について加盟者に不利益を与えているものであり,これは,不公正な取引方法(昭和57年公正取引委員会告示第15号)の第14項第4号に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するものである。
よって,セブン-イレブン・ジャパンに対し,独占禁止法第20条第1項の規定に基づき,主文のとおり命令する。

平成21年6月22日

委員長 竹島一彦
委員 濱崎恭生
委員 後藤晃
委員 神垣清水
委員 濵田道代

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