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独禁法3条後段
平成17年(勧)第18号
大阪市中央区久太郎町三丁目6番8号
東洋アルミニウム株式会社
代表取締役 今 須 聖 雄
東京都港区芝二丁目3番3号
三菱アルミニウム株式会社
代表取締役 野 副 明 邑
大阪市淀川区西中島四丁目1番1号
日本製箔株式会社
代表取締役 重 村 郁 雄
千葉市稲毛区六方町260番地
サン・アルミニウム工業株式会社
代表取締役 田 宮 進
東京都千代田区内神田一丁目9番13号
住軽アルミ箔株式会社
代表取締役 田 中 日出樹
横浜市西区北幸二丁目6番1号
東海アルミ箔株式会社
代表取締役 水 野 昭
公正取引委員会は,平成17年11月11日,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第48条第2項の規定に基づき勧告を行ったところ,上記の者らがこれを応諾したので,同条第4項の規定に基づき,次のとおり当該勧告と同趣旨の審決をする。
主文
1 東洋アルミニウム株式会社,三菱アルミニウム株式会社,日本製箔株式会社,サン・アルミニウム工業株式会社,住軽アルミ箔株式会社及び東海アルミ箔株式会社の6社は,プレーン箔(日本工業規格の「JIS H4160 アルミニウム及びアルミニウム合金はく」に準ずるアルミニウム箔(アルミニウム圧延材を厚さ0.2ミリメートル以下に圧延したもの)であって,印刷,着色,ラミネート等の加工を施していないもの(電解コンデンサに用いられるもの及びアルミホイルを除く。)をいう。以下同じ。)について,平成14年7月26日ころ,平成15年10月23日ころ及び平成16年11月18日ころに前記6社が共同して行った需要者渡し価格の引上げの各決定が平成17年2月8日以降,事実上消滅している旨を確認することを取締役会において決議しなければならない。
2 前記6社は,それぞれ,次の(1)及び(2)の事項を,自社を除く5社に通知するとともに,プレーン箔の取引先販売業者及び需要者に周知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。この通知,周知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,当委員会の承認を受けなければならない。
(1) 前項に基づいて採った措置
(2) 今後,共同して,プレーン箔の需要者渡し価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
3 前記6社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,プレーン箔の販売価格を決定してはならない。
4 前記6社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,プレーン箔の販売価格の改定及び需要者ごとの納期の設定について情報交換を行ってはならない。
5 前記6社は,今後,それぞれ,新規に需要者とプレーン箔の取引を開始するに当たって,当該需要者と既に取引している者の了解を得るようにする行為を行ってはならない。
6 前記6社は,今後,それぞれ,前記第3項ないし第5項の行為をすることのないよう,次の(1)及び(2)の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,あらかじめ,当委員会の承認を受けなければならない。
(1) 独占禁止法の遵守に関する行動指針の作成又は改定
(2) 営業担当者に対する独占禁止法に関する研修及び法務担当者による定期的な監査
7 前記6社は,前記第1項,第2項及び第6項に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告しなければならない。
事実
当委員会が認定した事実は,次のとおりである。
1(1) 東洋アルミニウム株式会社,三菱アルミニウム株式会社,日本製箔株式会社,サン・アルミニウム工業株式会社,住軽アルミ箔株式会社及び東海アルミ箔株式会社の6社(以下「6社」という。)は,それぞれ,肩書地に本店を置き,プレーン箔の製造販売業を営む者である。
なお,東洋アルミニウム株式会社は,平成14年10月1日付けで,日本軽金属株式会社のプレーン箔の製造部門を吸収分割により承継したものである。
(2) 6社のプレーン箔の販売金額の合計は,我が国におけるプレーン箔の総販売金額のほとんどを占めている。
(3)ア 6社は,それぞれ,プレーン箔を直接又は販売業者を通じて需要者に販売している。
イ 6社は,プレーン箔を販売業者を通じて需要者に販売する場合には,販売するプレーン箔の需要者ごとの仕様等の条件及び需要者渡し価格について,直接又は販売業者を通じて需要者と交渉して定め,需要者渡し価格から当該販売業者の口銭等を差し引いたものを自らの販売価格とし,あるいは,需要者渡し価格を自らの販売価格として,販売業者には別途口銭等を支払う方法等によって需要者に販売している。
ウ 6社は,一部の需要者との間で,プレーン箔の原料であるアルミニウム地金に係る相場の一定期間の平均価格に連動させてプレーン箔の需要者渡し価格を設定する旨の契約を締結している(以下このような価格の設定方法を「NSPルール」という。)。
2(1) 6社は,かねてから,6社の営業担当の役員級の者による会合(以下「常務会」という。),営業担当の部長級の者による会合(以下「部長会」という。)及び営業担当の課長級の者による会合(以下これらの会合を「6社の会合」という。)を開催し,プレーン箔の販売価格等について情報交換を行ってきた。
なお,6社は,かねてから,新規に需要者とプレーン箔の取引を開始する場合には,6社の中で当該需要者と既に取引している者の了解を得るようにしてきた。
(2) 6社は,プレーン箔の販売価格の下落傾向に対処するため,6社の会合において遅くとも平成14年6月ころから同価格の引上げについて検討を行っていたところ,平成14年7月26日ころ,東京都港区所在の島嶼会館の会議室で開催した常務会において,平成14年10月出荷分から,プレーン箔の需要者渡し価格を,現行価格から1キログラム当たり50円を目途に引き上げることを決定した。
(3) 6社は,前記(2)の決定に基づくプレーン箔の需要者渡し価格の引上げが十分には達成されていない状況等にかんがみ,平成15年10月23日ころ,東京都中央区所在の社団法人日本アルミニウム協会の会議室で開催した常務会において,プレーン箔の販売価格引上げの具体的な幅,時期等について検討し,平成16年4月出荷分から,プレーン箔の需要者渡し価格を,現行価格から1キログラム当たり40円を目途に引き上げることを決定した。
(4) その後,6社は,需要者又は販売業者に対し,前記(2)及び(3)の決定に基づくプレーン箔の需要者渡し価格の引上げ交渉を続け,同価格の引上げを図ってきたところ,アルミニウム地金の価格が急騰したこと等から,平成16年11月18日ころ,東京都港区所在の東京浜松町海員会館の会議室で開催した常務会と部長会の合同会議において,プレーン箔の販売価格引上げの具体的な幅,時期等について検討し
ア NSPルールによる契約を締結している需要者に対しては,NSPルールの適用を徹底することにより実質的にプレーン箔の需要者渡し価格を引き上げること
イ NSPルールによる契約を締結していない需要者に対しては,平成17年2月出荷分から,プレーン箔の需要者渡し価格を,現行価格から1キログラム当たり30円を目途に引き上げること
ウ NSPルールによる契約を締結していない需要者であって,前記イのプレーン箔の需要者渡し価格の引上げに応じない需要者に対しては,NSPルールによる契約を締結することにより実質的に同価格を引き上げること
を決定した。
(5) 6社は,前記(2),(3)及び(4)の決定に基づき,それぞれプレーン箔の需要者渡し価格の引上げに関する社内指示等を行い,需要者又は販売業者に対し,同価格を引き上げる旨の申入れを行い,同価格の引上げ交渉を行うとともに,同決定に基づく同価格の引上げを実現するため,6社の会合等を頻繁に開催して需要者又は販売業者との同価格の引上げ交渉等の状況について相互に報告し合うほか,6社の間で相互に連絡し合うなどして
ア プレーン箔の需要者渡し価格の引上げ交渉の結果,あらかじめ定めた特定の需要者に係る6社のシェアに増減があった場合,シェアを増やした事業者がシェアを減らした事業者からシェア変動分に対応するプレーン箔を購入する「補てん」と称する措置
イ プレーン箔の需要者渡し価格の引上げに応じない需要者に対する納期を意図的に遅延させる措置
を講じ,おおむね,同価格を引き上げていた。
3 平成17年2月8日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,6社は,同日以降,前記2の各決定に基づくプレーン箔の需要者渡し価格の引上げを実現するためにそれまで頻繁に開催していた6社の会合を取りやめていること等から,前記2の各決定は事実上消滅しているものと認められる。
法令の適用
上記の事実に法令を適用した結果は,次のとおりである。
6社は,共同して,プレーン箔の需要者渡し価格の引上げを決定することにより,公共の利益に反して,我が国におけるプレーン箔の販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,これは,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
よって,主文のとおり審決する。
平成17年12月12日
委員長 竹島一彦
委員 柴田愛子
委員 三谷紘
委員 山田昭雄
委員 濱崎恭生