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(株)ワールドに対する件

景品表示法第4条

平成17年(判)第4号

審判審決

神戸市中央区港島中町六丁目8番1
被審人 株式会社ワールド
同代表者  代表取締役 寺 井 秀 藏
同代理人  弁 護 士 田 中 克 郎
同           中 村 勝 彦
同           山 田 健 男
同           長 井 真 之
同復代理人 弁 護 士 伊 勢 智 子


公正取引委員会は,前記被審人に対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第35号)(以下「独占禁止法改正法」という。)附則第22条の規定によりなお従前の例によることとされる同法による改正前の不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)に基づく平成17年(判)第4号景品表示法違反審判事件について,独占禁止法改正法による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第51条の2及び公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号)による改正前の公正取引委員会の審査及び審判に関する規則(以下「規則」という。)第82条の規定により審判長審判官原啓一郎,審判官小林渉及び同佐藤郁美から提出された事件記録並びに規則第84条の規定により被審人から提出された異議の申立書及び規則第86条の規定により被審人から聴取した陳述に基づいて,同審判官らから提出された別紙審決案を調査し,次のとおり審決する。

主       文
被審人は,今後,輸入されたズボンを販売するに当たり,原産国がイタリア共和国でないのにイタリア共和国であるかのように示す表示を行うことにより,当該商品の原産国について一般消費者に誤認される表示をしてはならない。

理       由
1 当委員会の認定した事実,証拠,判断及び法令の適用は,別紙審決案の理由第1ないし第4と同一であるから,これを引用する。
2 よって,被審人に対し,独占禁止法第54条第2項,景品表示法第7条第1項及び第2項並びに規則第87条第1項の規定により,主文のとおり審決する

平成19年12月4日

公正取引委員会
委員長 竹島 一彦
委 員 山田 昭雄
委 員 濱崎 恭生
委 員 後藤  晃
委 員 神垣 清水

別紙

平成17年(判)第4号
審   決   案

神戸市中央区港島中町六丁目8番1
被審人 株式会社ワールド
同代表者  代表取締役 寺 井 秀 藏
同代理人  弁 護 士 田 中 克 郎
同           中 村 勝 彦
同           山 田 健 男
同           長 井 真 之
同復代理人 弁 護 士 伊 勢 智 子

上記被審人に対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第35号。以下「改正法」という。)附則第22条の規定によりなお従前の例によることとされる同法による改正前の不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)に基づく平成17年(判)第4号景品表示法違反審判事件について,公正取引委員会から改正法による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第51条の2及び公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号)による改正前の公正取引委員会の審査及び審判に関する規則(以下「規則」という。)第31条第1項の規定により担当審判官に指定された本職らは,審判の結果,次のとおり審決することが適当であると考え,規則第82条及び第83条の規定により本審決案を作成する。

主       文
被審人は,今後,輸入されたズボンを販売するに当たり,原産国がイタリア共和国でないのにイタリア共和国であるかのように示す表示を行うことにより,当該商品の原産国について一般消費者に誤認される表示をしてはならない。

理       由
第1 事実及び証拠
1 被審人等の概要
(1) 被審人は,肩書地に本店を置き,もと「株式会社ハーバーホールディングスアルファ」との商号であったが,衣料品の小売業等を営む事業者である別法人である株式会社ワールド(以下「旧ワールド」という。)を吸収合併し,平成18年4月1日頭書の商号に変更した。
(2) 八木通商株式会社(以下「八木通商」という。)は,大阪市中央区今橋三丁目2番1号に本店を置き,衣料品の輸入卸売業等を営む事業者である。
(3) ジー・ティー・アー モーダ社(以下「GTA社」という。)は,イタリア共和国(以下「イタリア」という。)に所在する衣料品の製造業者である。
((1)ないし(3)につき,争いがない。)
2 違反行為
(1) 被審人(前記1(1)の吸収合併前においては旧ワールドを指す。以下同じ。)は,八木通商が輸入したGTA社製のズボンを購入して,平成12年2月ころから平成16年7月ころまでの間,被審人の小売店舗において一般消費者向けに販売した(被審人が購入・販売したこれらのズボンを,以下「本件商品」という。)。(争いがない。)
被審人が前記期間に販売した本件商品の数は約2,200着であった。(査第11号証)
本件商品には,被審人の社名とともに日本語で「イタリア製」と記載された品質表示タッグ(以下「本件品質表示タッグ」という。)及び被審人の社名とともに日本語で「イタリア製」と記載された下げ札(以下「本件下げ札」という。)が取り付けられており(本件品質表示タッグ及び本件下げ札の例は,別紙のとおりである。),これらは原産国がイタリアである旨の表示と認められる。(査第3号証)
しかし,本件商品は,実際にはルーマニアで縫製されたものであると認められる。(査第4号証,第8号証,第10号証)「商品の原産国に関する不当な表示」(昭和48年公正取引委員会告示第34号。以下「原産国告示」という。)において,原産国とは,その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国をいうとされているところ,外衣については縫製が前記の「実質的変更をもたらす行為」に当たると解されるから,本件商品の原産国はルーマニアと認められるものであった。(後記「第3 審判官の判断」1項において認定する。)
(2) 前記表示については,本件商品の原産国がイタリアである旨の八木通商の説明に基づき,被審人においてその内容を決定したものであった。(後記「第3 審判官の判断」2項において認定する。)
第2 本件の争点及び双方の主張
1 本件の争点
① 本件商品の原産国がルーマニアか否か(争点①)
② 被審人は景品表示法上の表示を行った者(表示の主体)に該当するか否か(争点②)
③ 措置の必要性の有無(争点③)
④ 裁量権の濫用・逸脱の有無(争点④)
2 争点①(本件商品の原産国)について
(1) 審査官の主張
本件商品は外衣に該当するところ,外衣については,「『商品の原産国に関する不当な表示』の原産国の定義に関する運用細則」(昭和48年事務局長通達第14号。以下「原産国細則」という。)において,「縫製」が原産国告示にいう「実質的な変更をもたらす行為」と定められている。これは,ズボンを含む外衣については,生産工程において「縫製」が最も大きな外形的変更をもたらす行為であり,かつ,「縫製」は,外衣の品質にも大きな影響を与える行為だからである。また,一般消費者も,外衣について,縫製された国を原産国と認識しており,また,その商品選択に当たり,縫製された国に関心を有している。これらのことから,外衣については,原産国細則において,「縫製」が「実質的な変更をもたらす行為」と定められたのである。
そして,本件商品の縫製がルーマニア国内で行われたことは,査第4号証,第8号証及び第10号証により明らかである。
したがって,本件商品の原産国はルーマニアである。
(2) 被審人の主張
外衣についての「実質的な変更をもたらす行為」を「縫製」であるとする原産国細則は,行政運用上の解釈にすぎず,審査官は,本件商品の縫製が「外衣について実質的な変更をもたらす行為」といえる根拠を,本件商品の工程及び縫製場所を具体的に特定した上で,本件商品の縫製部分のどの部分がルーマニアで行われたのか,あるいは少なくとも縫製のうちのどの部分がイタリア以外で行われたのかという点について,主張・立証する必要があるのに,これをしていない。
また,審査官が証拠として提出する査第4号証中のインボイス(送り状)は,八木通商が被審人以外の会社に納品した商品に係るものである上に,作成者たるGTA社の自己申告に基づくものであり,その表記が何を根拠としているのか,また,正しい表記なのかについて何ら保証すべきものがない。
査第8号証及び第10号証は,八木通商の行った原産国の調査について,具体的な方法を明らかにしておらず,これらの供述調書における,八木通商の調査によって原産国がルーマニアであることが判明したとの記載をもって,本件商品の原産国がルーマニアであることの証拠とすることはできない。
3 争点②(表示の主体)について
(1) 審査官の主張
景品表示法の目的は,商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止することにより,公正な競争を確保し,もって一般消費者の利益を保護すること(同法第1条)であり,事業者が不当な表示等により顧客を誘引することを防止することにある。すなわち,事業者は,自己の商品又は役務を供給するに際し,一般消費者を誘引するために,自己の供給する商品若しくは役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について,一般消費者に示す様々な表示を作成するところ,景品表示法は,これらの表示が不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認められる場合に,規制の対象としているのであるから,実際に一般消費者に表示が示される小売の段階での規制が第一に想定されている。
このような観点から,景品表示法第4条における表示をした者とは,「表示の作成に関与し,当該表示を自ら又は第三者を通じて一般消費者に示した事業者」と解され,「作成に関与」とは,自ら積極的に表示を作成する形での関与のみならず,他の者の表示内容に関する説明を受容してその内容どおりの表示を作成することや,表示の作成を白紙委任的に他の事業者に任せることを含むと解される。
本件において,被審人は,八木通商との間で本件商品の取引を開始するに当たり,八木通商に対し,品質表示タッグ及び下げ札に「イタリア製」と表示することを含めその記載内容を指示して発注し,自ら販売する商品についての表示の作成に関与し,前記指示のとおり「イタリア製」の表示のある本件品質表示タッグ及び本件下げ札が取り付けられた本件商品の納品を受けて,これを一般消費者に販売していたのであり,被審人が本件商品に係る不当表示の主体であることは明らかである。
(2) 被審人の主張
ア 一般に,事業者が自己の商品などに表示する場合には,①当該表示について内容を決定し,②決定された表示を作成し,③作成された表示を一般消費者に示すという過程を経るが,景品表示法は,同法第4条第1項各号に示されるとおり,商品・役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあるものを規制するというように,表示の内容を規制するものであるから,規制される主体についても,表示の内容を決定した主体を規制すると解するのが同法の規制趣旨・体系に合致するものである。
公正取引委員会は,審査段階において,表示の主体の意味を「表示の内容を決定した者」であると説明していたにもかかわらず,審判において突如として「表示の作成に関与した者」との主張をしているのであり,審査官主張に根拠がないことはこの点からも明らかである。
イ 表示の内容の決定過程について,複数の事業者が関係する場合には,表示の内容の決定を複数の事業者が共同して行ったことを主張・立証することが必要と解すべきであるが,本件では,この主張・立証がなされていない。
なお,公正取引委員会は,平成18年5月15日,株式会社ユナイテッドアローズに対して,表示主体の定義について,「表示の内容の決定に『関与』した者」というように「関与」を要件とする審決を行っているが,この「関与」という文言はその限界が極めてあいまいであり,どのような関与であれば表示の主体として規制されるのか全く不明であって事業者の予測可能性に欠け,また,「関与」は極めて広範な行為を含むものであるから,定義上,単に情報提供行為を行っただけの者を排除することができず,「関与」という要件を使うことによって,一つの表示に複数の主体が関わった場合において,すべての者に対する処分を単純に正当化されてしまう。しかるに,景品表示法は事業者の事業活動を制限し,その違反に対しては排除命令が行われ,その結果が公表されるという極めて重い制裁等が予定されており,その構成要件が明確に定められなければ,憲法第31条の手続保障に反するのであるから,景品表示法の「表示をした」との文言の解釈に「関与」という要件を入れて解釈することは失当である。
ウ 被審人は,八木通商が原産国表示を付けた本件商品を購入したにすぎず,原産国表示を「イタリア製」とすることを八木通商と話し合ったこともなく,原産国表示の内容について決定したり関与したりしたことは一切あり得ない。本件商品についてのイタリア製との表示は,正に,八木通商がその内容を決定し,東京吉岡株式会社に対してその作成を依頼したものであり,被審人は,そのような表示の付された本件商品を購入して,八木通商が決定した表示内容を消費者に伝達したにすぎない。さらに,本件では,既に八木通商と被審人との間で売買の取引条件として原産国があらかじめ決まっていたのであるから,仮に,被審人が八木通商に対して,本件品質表示タッグや本件下げ札の作成を委託したとしても,原産国表示の内容の決定をゆだねたのでも,内容を指示したのでもない。
前記のとおり,被審人は本件品質表示タッグ及び本件下げ札の表示の内容の決定や作成に関与していないのであるから,被審人は本件において表示の主体たり得ない。
なお,一般に景品表示法違反の成立には,故意・過失は必要としないとされているが,表示の主体の認定において「関与」という要件を入れることによって,非常に広範に表示の主体の該当性を認定するのであれば,過失という主観的要件が景品表示法違反の解釈において必要とすべきであるが,本件では,この点の主張・立証がなされていない。
4 争点③(措置の必要性)について
(1) 審査官の主張
ア 誤認排除
景品表示法は,同法の目的を効果的に達成するために,公正取引委員会に対して同法第4条の違反行為に対する排除命令に関し広範な裁量権を付与しており,排除命令を行う際に,どのような内容を命じるかについても公正取引委員会に広い裁量が認められている。また,排除命令において命じる公示は,一般消費者に対し,事実と異なる表示の存在及び当該事業者が誤認される表示を行っていたことを広く知らせ,一般消費者の誤認を排除することを目的としたものであり,不当表示によって受ける一般消費者の認識には表示主体についての認識も含まれるところ,被審人が行った新聞掲載の社告,自社ウェブサイト及び店頭POPによる告知の文面は,自らが誤認される表示を行ったことが明確にされておらず,その内容は前記目的に照らし不十分である。また,自社ウェブサイトは閲覧者の意思によりアクセスされるもので,店頭POPも,繰り返し被審人の店頭に足を運んだ者の目にしか触れないものであり,これらは告知方法としても不十分である。
イ 再発防止
また,被審人が実施したとされる社員研修は,販売業者として自らが誤認される表示を行っていたとの明確な認識の下で行われたものではなく,また,取引業者に対する「原産国・混率等確認書」提出要請についても,取引先に対して原産国の表示責任の負担を求めることを主眼にした内容であり,自社の一般消費者に対する直接の販売業者としての立場を踏まえてその責任を明確に認めて再発防止策を講じたと評価することはできない。
(2) 被審人の主張
ア 誤認排除
(ア) 一般消費者は,誤った原産国表示に接した場合,その表示の内容どおりの商品であると誤認する可能性があるが,新聞社告によって,誤った原産国表示と当該表示が付された商品が明らかとなれば,当該商品についての一般消費者の誤認は排除されるのであり,一般消費者の誤認の排除と表示の主体がだれかということとは論理的に関係しない。
仮に,公正取引委員会において,政策上の必要性から,違反行為の主体を対外的に明らかにする必要があると判断したとしても,その場合,違反行為を認定して,自ら新聞公表し,あるいは自らのウェブサイトに掲載すればその目的は達せられるのであり,既に新聞社告が行われいったん生じた誤認が排除された一般消費者に対して更なる公告を求める必要性は全くない。
(イ) 被審人は,日刊新聞紙3紙の全国版,自社ウェブサイトにおいて,「仕入先である八木通商株式会社からの情報に基づきイタリア国生産の製品として表示しておりましたが,このほど同社から実際にはルーマニア国生産の製品であった旨の連絡を受けました。」と記載しており,「イタリア国生産の製品として表示し」と自ら表示内容を提示しているものであるから,審査官の主張を前提としても,被審人の公告は必要かつ十分な内容であり,審査官の主張は失当である。
(ウ) また,被審人は,新聞社告において,違反行為の対象が紳士及び婦人衣料品であることを明らかにした上で,販売者,商品名及び販売期間を記載して特定しており,また製品番号をウェブサイトあるいは被審人への問い合わせで確認できるとしているのであるから,商品の特定としても十分である。
(エ) さらに,被審人は前記公告のほかに,店頭POPにおける社告を行っている。
(オ) 以上からすれば,被審人に対して,更に誤認排除の措置を命ずる必要はない。
イ 再発防止
被審人は,本件発覚後,輸入製品を取り扱う担当者ほぼ全員を対象に,社員研修を平成16年10月22日から,本件に係る排除命令が出された直後である同年11月26日までの間実施し,また,全社通達及び役員会においても,原産国誤表示問題の再発防止対応についての周知徹底を行い,さらに,取引先に対しても,「原産国・混率等確認書」の提出を求めて,再発防止に努めているのであり,再発防止のための措置を命じる必要性は全くない。
なお,審査官は,取引業者に対する「原産国・混率等確認書」提出要請について,取引先に対して原産国の表示責任の負担を求めることを主眼にした内容であり,自社の一般消費者に対する直接の販売業者としての立場を踏まえてその責任を明確に認めて再発防止策を講じたと評価することができないと主張する。しかし,被審人は,取引先に対して,原産国の表示について不十分な調査に基づいて決定されることがないよう,取引先に対して原産国についての正確な情報を獲得することの重要性を十分に認識させ,表示する原産国について責任を取らせる態度を示すことにより,一般消費者に販売する商品の販売者としての責任を果たそうとしており,かつ,社団法人日本アパレル産業協会取引改革委員会原産国表示検討ワーキンググループの委員として原産国表示マニュアルの作成も行っており,業界の取組の中心となって再発防止策にも取り組んでおり,これらの措置は,再発防止策として十分である。
5 争点④(裁量権の濫用・逸脱の有無)について
(1) 審査官の主張
ア 景品表示法は,同法の目的を効果的に達成するために,公正取引委員会に対して同法第4条の違反行為に対する排除命令に関し広範な裁量権を付与しているところ,当該行政処分が平等原則に違背する違法なものとなるのは,公正取引委員会が,処分の相手方である事業者以外の違反行為をした事業者に対しては行政処分をする意思がなく,処分の相手方である事業者に対してのみ,差別的意図をもって当該行政処分をしたような場合などに限られるものと解すべきである(東京高等裁判所平成8年3月29日判決・公正取引委員会審決集第42巻457頁,以下,「東京もち判決」という。)。
イ 公正取引委員会は,排除命令の措置を採るに当たっては,単に違反事業者の対象商品の販売数量だけではなく,違反事業者の規模,違反行為の地域,違反内容の程度等から,一般消費者の誤認の程度や市場に与える影響等を総合的に考慮して合理的な判断を行っている。
被審人は,「ドレステリア」,「アンタイトル」など一般に広く認知された多数のブランドを有し,さらに直営店を経営するなどして衣料品の企画・製造・販売事業を行っていて,平成16年3月期で2268億1400万円もの売上げを上げており,同種の事業を行う事業者の中でも,消費者や市場に与える影響の大きい有数の事業者である。また,平成12年春夏シーズン物から平成16年春夏シーズン物までの長期にわたり,合計約2,200着もの大量の本件商品を販売していたものであり,景品表示法の趣旨・目的を効果的に達成するために,本件排除命令には十分な合理性がある。
(2) 被審人の主張
以下のとおり,本件に係る行政処分は,憲法上の平等原則に違反し,他事考慮に基づくものであり,比例原則にも違反することから,公正取引委員会の裁量権を逸脱・濫用した違法な行政処分となるものである。
ア 平等原則違反
本件においては,被審人らと同じようなイタリア製との表示がされたGTA社製のズボンを販売した業者は被審人らを含めて40社ほど存在し,さらに,八木通商から1,691着購入した会社及び1,384着を購入した会社が存在しているにもかかわらず,公正取引委員会は,被審人及び4社を除き,これらの会社に対してほとんど調査も行っておらず,また,被審人の本件商品の販売数が約2,200着であることを勘案すると,被審人らに対してのみ差別的意図をもって行政処分を行ったということが容易に推認され,平等原則違反は明白である。
審査官は,排除命令を行うか否かについて,販売数量の多寡だけではなく諸要素を総合的に考慮して判断している旨主張するが,本件の調査に当たった公正取引委員会の担当官牛田旨保(以下「牛田担当官」という。)の発言内容からも,公正取引委員会が排除命令に当たって販売数量を最大の考慮要素としていたことは明白である。
イ 他事考慮
牛田担当官の審査段階における被審人の廣瀬雄人(以下「被審人の廣瀬」という。)ら及び八木通商に対する発言からすれば,排除命令前に,被審人が八木通商から本件商品がルーマニア製であるとの連絡を受けた旨社告として全国紙3紙に掲載したことを契機として,当初予定していなかった被審人に対する排除命令を行ったことが明らかである。また,このことは,査第8号証及び第10号証の八木通商の担当者の各供述調書に,株式会社ビームス,株式会社ベイクルーズ及び株式会社トゥモローランドについての供述があるのに対して被審人についての供述がないことや,被審人の本件商品の販売数量と前記3社の本件商品の販売数量との間に大きな差異があること等からも裏付けられる。
よって,本件に係る行政処分は他事考慮に基づくものであり,また,平等原則違反でもある。
ウ 比例原則違反
本件では,被審人の行った新聞社告により誤認排除に十分な措置が採られていて,もはやその必要性がないにもかかわらず,再度公告を命じることは比例原則にも違反する。
エ 手続違背
本件は,公正取引委員会に証拠が偏在しているにもかかわらず,本件の手続において,審査官,審判官,公正取引委員会が一体となって,裁量権の濫用・逸脱の裏付けとなる証拠の開示に不当に応じないという態度がとられていたが,かかる態度は憲法第31条が保障する適正手続に反するものである。
第3 審判官の判断
1 争点①(本件商品の原産国)について
(1) ア 査第4号証(インボイスの翻訳に係る審査官の報告書),第8号証(八木通商東京本店ブランド事業部長中本修の供述調書)及び第10号証(同社東京本店ブランド事業部マネージャー中尾浩規の供述調書)によれば,本件商品と同種のズボンに係るインボイスには,当該商品の原産国がルーマニアである旨が記載されていること,平成16年6月21日に公正取引委員会の調査があった後に,八木通商は,従前取引関係にあった本件商品の販売元であるピー・エム・ジー社からGTA社製のズボンはすべてルーマニアで製造されている旨の連絡を受けたこと,八木通商は,同年8月23日に東京本店ブランド事業部長の中本修においてGTA社の社長に直接国際電話で確認する等して調査したところ,GTA社は,イタリアのパドバの本社近くに工房を有しているが,そこでは見本品を製造しているだけで,本件商品の製造は全く行っておらず,本件商品を含む同種のズボンは,八木通商が取扱いを開始した平成12年の春夏物以降のすべての商品について,その全工程にわたってルーマニア国内で製造されていることが判明したことが認められるのであるから,本件商品はルーマニアで縫製されたものであると認定することができる。
イ これに対して,被審人は,査第4号証中のインボイスは,八木通商が被審人以外の他社に対して納品した商品に係るものである上に,作成者たるGTA社の自己申告に基づくものであり,その表記が何を根拠としているのか,また正しい表記なのかについて何ら保証するものではないと主張する。しかし,本件商品が前記インボイスに係るズボンと別の場所で縫製されたことや,前記インボイスに虚偽の記載がされていることは考えにくい上,前記アの八木通商による調査結果にも照らすと,査第4号証は本件商品の縫製がルーマニアで行われたことの根拠に十分なり得るものである。
また,その他の被審人の証拠に係る主張はいずれも,本件商品の縫製国がルーマニアであることの認定を左右するものではない。
(2) そして,原産国細則は,縫製が外衣についての「実質的な変更をもたらす行為」と定めているところ,被審人の従業員である新田豊(以下「被審人の新田」という。)も,同人の参考人審訊において,最終縫製をした場所が原産地であると理解している旨述べており,一般消費者の認識も同様のものであると認められる。そうすると,外衣については,原産国細則が定めているとおり,縫製が「実質的な変更をもたらす行為」に当たると解すべきである。
(3) よって,本件商品の原産国はルーマニアであると認められる。
2 争点②(表示の主体)について
(1) 景品表示法は,不当な表示による顧客の誘引を防止するため,事業者に自己の供給する商品等の取引について一定の不当な表示をすることを禁止し(同法第4条第1項),公正取引委員会は,これに違反する行為を行った事業者に対し,その行為の差止め又はその行為が再び行われることを防止するために必要な事項等を命ずることができるとしており(同法第6条第1項),このような規制の趣旨に照らせば,当該不当な表示についてその内容の決定に関与した事業者は,その規制の対象となる事業者に当たるものと解すべきであり,そして,この場合の「決定に関与」とは,自ら又は他の者と共同して積極的に当該表示の内容を決定した場合のみならず,他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた場合や,他の者にその決定をゆだねた場合も含まれるものと解すべきである。この場合において,当該表示が同法第4条第1項に規定する不当な表示であることについて,当該決定関与者に故意又は過失があることを要しない。
(2) これを本件についてみると,被審人の新田の供述調書である査第11号証によれば,被審人は,自社の店舗で衣料品の小売業を営んでいるところ,平成11年に本件商品の購入を始めるに当たり,八木通商の説明に基づき本件商品がイタリア製であると認識し,その認識の下に原産国につきイタリア製である旨記載した本件品質表示タッグ及び本件下げ札の作成並びに取付けを八木通商に委託し,八木通商がこれに応じてこれらを作成し,本件商品に取り付けたこと,並びに,被審人は,その後平成16年までの間,累次にわたり本件商品を購入し,前記と同様の方法により前記の表示を付した本件商品を継続して販売したことを認めることができる。
以上からすると,被審人は,他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた場合に該当し,本件品質表示タッグ及び本件下げ札の表示内容の決定に関与した者に該当することは明らかである。
(3) これに対し,被審人は,本件品質表示タッグ及び本件下げ札は,八木通商が作成したものであって,通常の売買と同様に原産地表示が卸売(輸入販売)会社で付されていたものを購入したにすぎないと主張し,被審人の新田も,同人の参考人審訊においてこれに沿う供述をする。しかしながら,査第11号証によれば,八木通商が本件商品を輸入した際には日本語による表示物は一切取り付けられておらず,被審人が本件商品を販売するに際して,被審人が販売者であることを示す商号とともに,「イタリア製」と表示された本件品質表示タッグ及び本件下げ札を本件商品に取り付けて販売していたことが認められるのであり,さらに,被審人の新田は,参考人審訊において,八木通商の取引の契約内容として本件品質表示タッグと本件下げ札を付けて納品することとなっていた旨供述していることからすれば,被審人と八木通商間の本件商品に関する取引は,本件品質表示タッグ及び本件下げ札の作成の委託とこれらが付された本件商品の売買を内容とする取引であったと認められるのであって,被審人の前記主張は採用できない。
また, 被審人は,仮に被審人が八木通商に対して,本件品質表示タッグや本件下げ札の作成を委託したとしても,本件商品の売買の取引条件として原産国があらかじめ決まっていたのであるから,被審人は表示の内容の決定には関与していなかった旨主張し,また,被審人の新田は,同人の陳述書(審第3号証)及び参考人審訊において,査第11号証で本件品質表示タッグ及び本件下げ札の作成の委託の際に用いられたと供述するオーダーシートはあくまでも被審人から八木通商に対する確認書にすぎず,八木通商に対して本件品質表示タッグ及び本件下げ札の表示内容についての指示を行うという性格の文書ではなかった旨供述する。しかしながら,前記供述を考慮に入れても,被審人は,オーダーシートにおける確認によって本件品質表示タッグ及び本件下げ札に「イタリア製」との表示がされることを認識した上で,これらの作成を委託したものであることは明らかであって,被審人の前記主張及びこれに沿う前記各証拠をもって,前記(2)の認定を覆すことはできない。
3 争点③(措置の必要性)について
(1) はじめに
不当表示行為が認められる場合の措置としては,景品表示法第6条第1項に照らし,一般に,当該行為を取りやめること(差止め),当該行為によって生じた一般消費者の誤認を排除すること(誤認排除)及び被審人における同様の行為の再発を防止すること(再発防止)が考えられるところ,本件において不当表示行為はなくなっているので,誤認排除及び再発防止の観点から,措置を命じることの必要性を検討する。
(2) 本件判明後の被審人の行動
査第5号証及び第6号証並びに審第5号証,第7号証,第11号証ないし第15号証及び被審人の新田の参考人審訊における供述によれば,本件商品がルーマニア製であることが被審人に判明した後における被審人の行動については,以下のアないしオのとおりであると認められる。
ア 被審人は,平成16年9月10日付けの読売新聞,朝日新聞及び毎日新聞に「お知らせ」と題し,「弊社が八木通商株式会社より仕入れ,弊社店舗『ドレステリア』『アナトリエ』『ネクストドア』で販売いたしました一部の商品の原産国表示に誤りがあったことが判明いたしました。該当商品は,イタリア国GTA MODA社製造による紳士及び婦人衣料品であり,仕入先である八木通商株式会社からの情報に基づきイタリア国生産の製品として表示しておりましたが,このほど同社から実際にはルーマニア国生産の製品であった旨並びにそのことに関し謝罪する旨の連絡を受けました。」と記載し,該当商品を回収の上料金を返金することを掲載した。
イ 平成16年9月9日以降,被審人が開設しているウェブサイトに,「お知らせ」と題し,前記アと同様の内容の告示を行った。
ウ 被審人は,平成16年9月10日から平成17年3月10日までの間,本件商品取扱店舗のレジカウンター上に,「弊社が八木通商株式会社より仕入れ,販売をいたしました下記商品の原産国表示に誤りがあることが判明いたしました。」旨記載し,対象商品の商品名,ブランド名,販売期間,ブランドネーム等を掲載したA4判の大きさの店頭POPを設置した。
エ 被審人は,平成16年10月22日から同年11月26日までの間,被審人の社員439名を対象に,原産国表示のみをテーマとしたセミナーを実施した。さらに,平成16年12月15日に開催された役員会において再発防止対策等が説明された。
オ 被審人は平成17年3月に,海外インポートブランドの取引先254社に対して,被審人の発注ごとに「原産国・混率等確認書」を提出すること及び「原産国表示責任者 ○○商事」などの記載をした下げ札を取り付けることを要請した。
(3) 誤認排除について
ア 前記(2)アないしウを総合的に判断すると,これらの被審人による措置をもって,本件商品に係る不当表示に対する一般消費者の誤認は排除されたものと認めるのが相当である。
イ これに対して,審査官は,不当表示によって受ける一般消費者の認識には表示主体についての認識も含まれるところ,被審人が行った新聞掲載の社告,自社ウェブサイト及び店頭POPによる告知の文面では,自らが誤認される表示を行ったことが明確にされておらず,一般消費者の誤認を排除するには十分ではないと主張する。
しかし,前記(2)アの新聞社告の文面をみると,「仕入先である八木通商株式会社からの情報に基づきイタリア国生産の製品として表示しておりましたが」との部分には,主語が明示的には記載されていないものの,続く「このほど同社から実際にはルーマニア国生産の製品であった旨並びにそのことに関し謝罪する旨の連絡を受けました。」との部分と合わせて読めば,原産国表示は被審人が行ったものであることが一般消費者に十分読み取れるものと認められるから,前記社告は,審査官が主張するように,自らが誤認される表示を行ったことが明確にされていないが故に,一般消費者の誤認を排除できない公示であるということはできない。
(4) 再発防止について
ア 前記2(1)で述べたように,不当表示を行ったか否かの認定においては違反者に故意又は過失があることを要しないが,再発防止のための措置を講じる必要性の有無を検討するに当たっては,被審人が本件商品が真にイタリア製であるか否かを確認するために必要な注意を払っていたか否かの点も考慮すべきであり,この場合における原産国確認のために必要な注意の内容としては,輸入業者を経由するという取引の実態にかんがみると,自ら当該商品の製造場所を現認することまで要するものではないが,輸入業者に対して,どの国の製品であるかと漫然と尋ねるのでは不十分であって,当該商品の実質的変更行為として何がどこで行われたかをただし,疑わしい場合にはその根拠を求める必要があるというべきである。
本件において,被審人は,本件商品の取引を開始する前に,八木通商の担当者から,本件商品がイタリア製であることを聞いたにすぎず,その後においても,原産国がどこであるかについては,八木通商に確認したことはなかったものと認められる(査第11号証)のであるから,被審人が本件商品の原産国に係る不当表示を防止するため必要な注意をしていたものと評価することはできない。
これによれば,被審人に対しては,将来,本件と同様の違反行為が行われることのないようにするために必要な事項を命じる必要がある。
イ したがって,被審人に対し,今後再び同様の行為を行うことがないようにするため,主文掲記のとおり,今後の不作為を命ずることが必要である。しかしながら,被審人は,違反行為の発覚後,再発防止に向けて,前記(2)エ及びオのとおり,社員に対する研修等を実施し,さらに,取引先に対する要請もしているのである。これらにかんがみると,被審人においては,再発防止のため当面具体的に講ずべき措置に関しては,一応十分なものを講じていると評価することができるから,再発防止のための社内的措置を改めて命じる必要はないものというべきである。
4 争点④(裁量権の濫用・逸脱)について
(1) 景品表示法は,同法の趣旨・目的を効果的に達成するために,公正取引委員会に対し,当該不当な表示行為の実態に即応して規制権限を行使することができるように,排除措置を命じるについても,また,いかなる内容の措置を採るか等についても,広範な裁量権を付与している。景品表示法上の違反行為者に対する行政処分が平等原則に違背する違法なものとなるのは,公正取引委員会が,処分の相手方である事業者以外の違反行為をした事業者に対しては行政処分をする意思がなく,処分の相手方である事業者に対してのみ,差別的意図をもって当該行政処分をしたような場合に限られるものと解される(東京もち判決)。
しかるに,景品表示法に違反する特定の表示を行っている事業者が多数あると考えられる場合に,公正取引委員会が前記の裁量権を行使して,違反行為の規模,市場に与える影響,措置の実効性等を考慮して,一部の違反行為者にのみ措置を命じることがあることは当然であり,違反行為者の一部のみに措置を命じたことが,直ちに,平等原則違反となるものではない。
しかも,被審人は平成12年2月ころから平成16年7月ころまでの長期にわたり,約2,200着の本件商品を仕入れて販売している。また,被審人は,年間2300億円もの売上げのあるアパレル企業であって,一般消費者に著名である。これらの事実を考慮すれば,被審人の本件違反行為の及ぼした影響は軽微とはいえず,排除措置を命じることが不当であるとは到底いえない。
(2) ところで,被審人は,本件の調査に当たった牛田担当官の審査段階における被審人らに対する発言等からすれば,排除命令前に,被審人が前記3(2)アの新聞社告を行ったために,当初予定していなかった被審人に対する排除命令を行ったものであることは明らかであり,動機の違法(他事考慮)があり,また差別的な意図をもった処分であるから,平等原則にも違反すると主張する。
しかしながら,被審人の主張する牛田担当官の被審人の廣瀬に対する発言の内容を前提としても,被審人が新聞社告を行ったことが本件における排除命令の根拠となったものと認定することはできない(牛田担当官の発言が公正取引委員会の判断に直結するものではない。)上に,本件では,前記のとおり,被審人に対する排除命令についての合理的な理由が認められるのであるから,被審人主張の各事実は,本件排除命令の合理性を失わしめる事実には当たらない。また,被審人は本件行政処分が比例原則に違反することを認めるに足りる具体的主張を何ら行っていない。
なお,被審人は,証拠の開示に関する審査官,審判官等の対応を理由に,憲法第31条違反についても主張するが,本審判手続が独占禁止法等の関係法令の規定に基づいて行われていることは明らかであるし,行政機関である公正取引委員会は,独占禁止法等の法令の合憲性を判断する権限を有しないから,その点については,判断の限りではない。
(3) 以上より,審決をもって被審人に措置を命じることは裁量権の濫用・逸脱には当たるものとはいえない。
第4 法令の適用
以上によれば,平成12年2月ころから平成16年7月ころまでの間に被審人が行った,本件商品の原産国がルーマニアであるにもかかわらず,あたかも,原産国がイタリアであるかのように示した表示は,原産国告示第2項第1号に該当する表示であって,これは,不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律(平成15年法律第45号)附則第2条の規定により,同法附則第1条ただし書に規定する施行の日(平成15年11月23日)前に係る表示についてなお従前の例によることとされる同法による改正前の景品表示法第4条第3号の規定に,また,同施行の日以後に係る表示について適用することとされる景品表示法第4条第1項第3号の規定にそれぞれ違反するものである。
よって,被審人に対し,独占禁止法第54条第2項並びに景品表示法第7条第1項及び第2項の規定により,主文のとおり審決することが相当であると判断する。

平成19年9月14日

公正取引委員会事務総局

審判長審判官  原 啓 一 郎

審判官  小 林   渉

審判官  佐 藤 郁 美

※別紙は省略。

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