公正取引委員会審決等データベース

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㈱山陽マルナカに対する件

独禁法66条2項及び3項(独禁法19条・独禁法20条の6)

平成23年(判)第82号及び第83号

排除措置命令を変更し,課徴金納付命令の一部を取り消す審決

岡山市南区平福一丁目305番地の2
被審人 株式会社山陽マルナカ
同代表者 代表取締役 《 氏 名 》
同代理人 弁護士 長澤哲也
同復代理人 弁護士 酒匂景範
同 吉 村 幸 祐
同 小 田 勇 一

公正取引委員会は,上記被審人に対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第100号)附則第2条の規定によりなお従前の例によることとされる同法による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)(以下「独占禁止法」という。)に基づく排除措置命令審判事件及び課徴金納付命令審判事件について,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う公正取引委員会関係規則の整備に関する規則(平成27年公正取引委員会規則第2号)による廃止前の公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号)(以下「規則」という。)第73条の規定により審判官酒井紀子から提出された事件記録,規則第75条の規定により被審人から提出された異議申立書並びに独占禁止法第63条及び規則第77条の規定により被審人から聴取した陳述に基づいて,同審判官から提出された審決案を調査し,次のとおり審決する。
 なお,以下の用語のうち,別紙「用語定義一覧表」の「用語」欄に掲げるものの定義は,同「定義」欄に記載のとおりである。

主文
1 平成23年6月22日付けの排除措置命令(平成23年(措)第5号)を別紙1のとおり変更する。
2 平成23年6月22日付けの課徴金納付命令(平成23年(納)第87号)のうち,1億7839万円を超えて納付を命じた部分を取り消す。
3 被審人のその余の審判請求をいずれも棄却する。
理由
第1 審判請求の趣旨
1 平成23年(判)第82号審判事件
平成23年(措)第5号排除措置命令の全部の取消しを求める。
2 平成23年(判)第83号審判事件
平成23年(納)第87号課徴金納付命令の全部の取消しを求める。
第2 事案の概要(当事者間に争いのない事実及び公知の事実)
1 公正取引委員会は,被審人が,遅くとも平成19年1月から平成22年5月18日までの間,自己の取引上の地位が特定納入業者に優越していることを利用して,特定納入業者に対し,正常な商慣習に照らして不当に,①新規開店,全面改装,棚替え等に際し,特定納入業者の従業員等を派遣させ,②新規開店又は自社が主催する催事等の実施に際し,金銭を提供させ,③食品課商品のうち,被審人が独自に定めた販売期限を経過したものを返品し,④食品課商品のうち季節商品の販売時期の終了等に伴う商品の入替えを理由として割引販売を行うこととしたもの及び食品課商品又は日配品課商品のうち全面改装に伴う在庫整理を理由として割引販売を行うこととしたものについて,取引の対価の額を減じ,⑤クリスマスケーキ等のクリスマス関連商品を購入させていたものであって,以上の行為は独占禁止法第2条第9項第5号(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律〔平成21年法律第51号。以下「改正法」という。〕の施行日である平成22年1月1日前においては平成21年公正取引委員会告示第18号による改正前の不公正な取引方法〔昭和57年公正取引委員会告示第15号〕〔以下「旧一般指定」という。〕第14項)に該当し,独占禁止法第19条に違反するものであり,かつ,特に排除措置を命ずる必要があるとして,平成23年6月22日,被審人に対し,排除措置を命じた(平成23年(措)第5号。以下「本件排除措置命令」といい,同命令において認定された違反行為を「本件違反行為」という。)。
本件排除措置命令の命令書(以下「本件排除措置命令書」という。)の謄本は,平成23年6月23日,被審人に対して送達された。
2 公正取引員会は,平成23年6月22日,被審人に対し,本件違反行為は独占禁止法第20条の6にいう「継続してするもの」であり,同条の規定により,本件違反行為をした日から本件違反行為がなくなる日までの期間は平成19年5月19日から平成22年5月18日までの3年間となるとした上で,本件違反行為のうち改正法の施行日である同年1月1日以後に係るものについて,特定納入業者165社それぞれとの間における購入額を前提に,2億2216万円の課徴金の納付を命じた(平成23年(納)第87号。以下「本件課徴金納付命令」といい,本件排除措置命令と併せて「本件各命令」という。)。
本件課徴金納付命令の命令書(以下「本件課徴金納付命令書」という。)の謄本は,平成23年6月23日,被審人に対して送達された。
3 被審人は,平成23年8月17日,本件各命令の全部の取消しを求める審判請求をした。
第3 前提となる事実(各項末尾に括弧書きで証拠を掲記した事実は当該証拠から認定される事実であり,その余の事実は当事者間に争いのない事実又は公知の事実である。なお,証拠の表記については,「第」及び「号証」を略し,単に「査○」,「審○」と記載する。)
1 被審人及び株式会社マルナカの概要
(1) 被審人の概要
被審人は,肩書地に本店を置き,資本金の額は2500万円であり,岡山県,大阪府,兵庫県及び広島県の区域に,総合スーパーマーケット(以下「総合スーパー」という。)又は食品スーパーマーケット(以下「食品スーパー」という。)である「マルナカ」と称する店舗を出店し,食品,日用雑貨品,衣料品等の小売業を営む者である。
平成22年5月末時点における被審人の店舗の数は,岡山県に55店舗,大阪府に8店舗,兵庫県に6店舗及び広島県に2店舗であり,毎年店舗数を増加させていた。
被審人の年間総売上高は,平成20年3月期から平成22年3月期までの各年度において,いずれも1200億円台で推移しており,平成22年度において,岡山県の区域に本店を置く各種商品小売業に係る事業者(百貨店及び総合スーパーを含む。)の中で第1位であった。(査2,査20)
また,被審人は,岡山県内の食品スーパーの中で最大手の事業者であり,平成19年度から平成21年度までの各年度における食品販売高は,岡山県の食品スーパー市場において,いずれも第1位であり,そのシェアはいずれも19パーセント前後であって,第2位の事業者(シェアはいずれも10パーセント前後)を大きく上回っていた。(査18の1ないし査18の3)
さらに,被審人は,平成20年における岡山県の区域内の売場面積及び店舗数において,同県に店舗を有する小売業者の中でいずれも第1位であった。(査257)
(2) 株式会社マルナカの概要
株式会社マルナカ(以下「四国マルナカ」という。)は,高松市に本店を置く小売業者である。
平成23年10月当時は,当時の被審人の代表取締役である《A1》(以下「被審人の《A1》社長」という。)及び当時同人が株式の全てを保有していた株式会社マルナカホールディングスが,四国マルナカの株式の約77パーセントを保有していた。
2 被審人と納入業者との取引
(1) 被審人の仕入業務担当部門並びに商品部長及び仕入担当者の権限
被審人は,自社の店舗で販売する商品の仕入業務を統括する部門として商品部を置き,同部の下に,取扱商品群ごとに仕入業務を担当する部門として,食品課,日配品課,酒販課,パン課,日用品課及び雑貨課等を置いていた(以下,商品部の各課等をまとめて「商品部の各部門」ということがある。)。
商品部長は,被審人の仕入業務全般の事実上の責任者として,上記各課の仕入担当者に対し仕入業務全般について指示する立場にあった。
仕入担当者は,被審人における仕入業務の担当者として,納入業者と直接商談を行い,仕入価格を始めとする取引条件を決定していた。
(査4ないし査14)
(2) 被審人の商品の仕入れ
被審人は,自社の店舗で販売する商品のほとんど全てを,買取取引の方法により納入業者から仕入れていた。
そして,買取取引の方法で仕入れを行うに当たっては,仕入担当者が,納入業者との間で商談を行い,事前に商品の仕入価格等の取引条件を決定していた。
(査5,査9,査11,査12,査15ないし査17,査23,査24の1ないし査24の165,査25,査32,査44,査203,査205ないし査210,査221)
(3) 納入業者の概要
被審人の取引先である納入業者は,食品,日用雑貨品,衣料品等の製造業者又は卸売業者であり,その多くが岡山県又はその周辺の区域に本店又は支店等を置いて事業を行っていた。(査15)
3 被審人に対する過去の勧告審決
被審人は,平成16年4月15日,公正取引委員会から勧告審決(平成16年(勧)第3号)を受けた(以下「平成16年審決」という。)。
平成16年審決では,①被審人が,取引上の地位が被審人に対し劣っている納入業者に対し,(ⅰ)百貨店業における特定の不公正な取引方法(昭和29年公正取引委員会告示第7号〔平成17年公正取引委員会告示第11号による廃止前のもの〕。以下「百貨店特殊指定」という。)第2項各号及び第1項各号に掲げる場合に該当しないにもかかわらず,購入した後に商品の納入価格を値引きさせ,又は商品を返品し,(ⅱ)百貨店特殊指定第6項ただし書に規定する場合に該当しないにもかかわらず,自己の販売業務のためにその従業員等を派遣させて使用していたことが,百貨店特殊指定第1項,第2項及び第6項に該当し,②被審人が,自己の取引上の地位が納入業者に対し優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,納入業者に対し,(ⅰ)納入取引に係る商品以外の紳士服等を購入させ,(ⅱ)自社の棚卸し作業のためにその従業員等を派遣させることにより経済上の利益を提供させていたことが,旧一般指定第14項第1号及び第2号に該当するとして,上記①及び②の行為はいずれも当時の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第19条に違反するものとされた。
(査46)
4 納入業者165社による被審人に対する金銭及び労務の提供等
(1) 納入業者165社の概要
本件違反行為(なお,本件違反行為の成否については,後記第6の1で判断する。)の相手方は,納入業者のうち別紙2記載の165社(以下,自然人を含めて「165社」といい,同様に自然人を含むときも「○社」と表示する。また,法人各社の名称については,「株式会社」又は「有限会社」を省略して表示する。)である。
165社は,食品,日用雑貨品,衣料品等の製造業者又は卸売業者であり,被審人に対し,被審人が販売する商品を納入していた。
(査15,査24の1ないし査24の165)
(2) 納入業者による従業員等の派遣
165社のうち別紙3の「独占禁止法第2条第9項第5号に該当する行為の詳細」欄(以下「本件各行為欄」という。)の「従業員等の派遣」欄の「延べ店舗数」,「延べ人数」等の項に記載のある146社(以下「146社」という。)は,平成19年1月から平成22年5月までの間に被審人が実施した新規開店,全面改装,棚替え,被審人の営業店舗における協賛セール,朝市等に際し,被審人の要請を受けて,自社の従業員等を当該店舗に派遣し,商品の移動(倉庫等から売場への移動,売場から他の売場や倉庫等への移動及び商品棚間の商品の移動等をいう。以下同じ。),商品の陳列,商品の補充,接客等の作業を行った(以下「本件従業員等派遣」という。)。
146社が本件従業員等派遣を行った延べ店舗数及び延べ人数は,別紙3の本件各行為欄の「従業員等の派遣」欄記載のとおりである。
(査121)
(3) 納入業者による金銭の提供
ア 新規開店に係る金銭の提供
被審人は,新規に店舗を開店する際には,当該店舗におけるオープンセール期間中,消費者が店舗を見つけるための目印になるようにアドバルーンを設置していた。
被審人は,新規開店の際,納入業者に対し,金銭の提供を要請しており,提供された金員を上記アドバルーンの費用及び消費者に配布する粗品等の費用に当てていた。
(査60ないし査64,査138ないし査140)
イ 被審人が主催した将棋大会に係る金銭の提供
被審人は,平成19年から平成22年までの間,毎年1回,岡山県内の小学生以下の児童を招待して,マルナカ杯こども将棋大会(以下「将棋大会」という。)を開催していた。
被審人は,将棋大会の開催に際し,納入業者に対し,同大会のパンフレットに掲載される広告枠の販売という名目で,金銭の提供を要請しており,提供された金員を将棋大会の必要経費に当てていた。
(査65ないし査68,査87,査138,査140)
ウ 被審人が主催したテニス大会に係る金銭の提供
被審人は,平成18年以前から,毎年1回,マルナカ杯オープンレディーステニストーナメント(以下「テニス大会」という。)を開催しており,平成19年から平成22年までの間にも,毎年1回,テニス大会を開催した。
被審人は,テニス大会の開催に際し,納入業者に対し,テニス大会のパンフレットに掲載される広告枠の販売という名目で,金銭の提供を要請しており,提供された金員をテニス大会の必要経費に当てていた。
(査138,査140,査188)
エ 被審人が平成19年に協賛した美術展に係る金銭の提供
被審人は,平成19年に岡山県立美術館で開催された《美術展1》(以下「《美術展1》」という。)に,主催者である《会社名略》(以下「《会社名略》」という。)の要請を受けて協賛した。
被審人は,《美術展1》の開催に際し,懸賞を実施して,その当選者に《美術展1》のチケットを無料で配布した。
被審人は,《美術展1》の開催に際し,納入業者に対し,《新聞名略》の紙面で《美術展1》を紹介する際における当該紙面の下の広告枠の販売という名目で,金銭の提供を要請しており,提供された金員を上記チケットの購入費用に当てていた。
(査69,査119,査138,査140,査197)
オ 被審人が平成20年に協賛した美術展に係る金銭の提供
被審人は,平成20年に岡山県立美術館で開催された《美術展2》(以下「《美術展2》」という。)に,主催者である《会社名略》の要請を受けて協賛した。
被審人は,《美術展2》の開催に際し,懸賞を実施して,その当選者に《美術展2》のチケットを無料で配布した。
被審人は,《美術展2》の開催に際し,納入業者に対し,《新聞名略》の紙面で《美術展2》を紹介する際における当該紙面の下の広告枠の販売という名目で,金銭の提供を要請しており,提供された金員を上記チケットの購入費用に当てていた。
(査70,査138,査197)
カ 納入業者による金銭の提供
165社のうち別紙3の本件各行為欄の「金銭の提供」欄の「回数」,「金額(千円)」等の項に記載のある131社(以下「131社」という。)は,平成19年4月から平成22年4月までの間に被審人が実施した新規開店,被審人が主催した将棋大会及びテニス大会並びに被審人が協賛した《美術展1》及び《美術展2》に際し,被審人の要請を受けて,金銭を提供した(以下,これらの金銭を総称して「本件金銭」といい,本件金銭の提供を総称して「本件金銭の提供」という。)。
131社が本件金銭の提供を行った回数及び金額は,別紙3の本件各行為欄の「金銭の提供」欄記載のとおりである。
(査138)
(4) 買取取引で仕入れた商品の返品
被審人は,買取取引で仕入れた食品課商品について,製造業者が定める賞味期限の1か月前等をもって自社独自の販売期限と定めており(以下「被審人の定めた販売期限」という。),被審人の定めた販売期限を経過した商品を同商品の納入業者に返品することとしていた。
被審人は,165社のうち別紙3の本件各行為欄の「返品」欄の「延べ店舗数」,「点数」等の項に記載のある10社(以下「10社」という。)に対し,取引に係る商品を受領した後,平成21年10月11日頃から平成22年5月2日頃までの間に,被審人の定めた販売期限を経過した商品を当該取引の相手方に引き取らせていた(以下「本件返品」という。なお,本件返品がいずれも被審人の定めた販売期限の経過を理由とするものであるか否かについては,後記第6の1で判断する。)。
10社が本件返品を受けた延べ店舗数及び点数は,別紙3の本件各行為欄の「返品」欄記載のとおりである。
(査5,査23,査25,査32,査35,査198,査199,査201,査202の1ないし査202の10,査203ないし査210)
(5) 割引販売をした際の納入業者に対する買掛債務の減額
ア 通常価格の半額での割引販売をした際の減額
被審人は,食品課商品について,季節商品の販売時期の終了及び売れ行き不振等による商品の入替えを行う際に,通常価格の半額での割引販売(以下「半額処分」という。)を行っており,半額処分を行った場合には,当該食品課商品の納入業者に対する買掛債務から当該食品課商品の仕入価格の半額を減額していた(以下「半額処分に伴う減額」という。)。
イ 一時的な閉店に先立つ割引販売の際の減額
被審人は,全面改装のために行われる一時的な閉店に先立ち,在庫商品の割引販売(以下「売り尽くしセール」という。)を行っていた。
被審人は,食品課商品又は日配品課商品を売り尽くしセールの対象とした場合には,売り尽くしセールにおいて割引した額の総額等を基に計算した金額を「拡販協力金」として,売り尽くしセールの対象となった商品の納入業者に対する買掛債務から減じていた(以下「売り尽くしセールに伴う減額」という。)。
ウ 納入業者に対する買掛債務の減額
被審人は,165社のうち別紙3の本件各行為欄の「半額処分に伴う減額」欄及び「売り尽くしセールに伴う減額」欄の「延べ店舗数」,「金額(千円)」等の項に記載のある23社(以下「23社」という。)に対し,平成21年3月頃から平成22年5月18日までの間に,半額処分に伴う減額又は売り尽くしセールに伴う減額を行うことにより,被審人の納入業者に対する買掛債務の額を減じていた(以下,これらを総称して「本件減額」という。)。
23社が本件減額を受け入れた延べ店舗数及び点数は,別紙3の本件各行為欄の「半額処分に伴う減額」欄及び「売り尽くしセールに伴う減額」欄記載のとおりである。
(査17,査25,査32,査35,査44,査75,査81,査82,査86,査203ないし査205,査207ないし査219,査220の1ないし査220の11,査221ないし査229,査266)
(6) 納入業者によるクリスマス関連商品の購入
165社のうち別紙3の本件各行為欄の「クリスマス関連商品の購入要請」欄の「点数」等の項に記載のある17社(以下「17社」という。)は,平成21年12月に,被審人の要請を受けて,被審人の販売するクリスマスケーキ等のクリスマス関連商品(以下「本件商品」という。)を購入した(以下「本件商品の購入」という。また,被審人が,本件従業員等派遣及び本件金銭の提供を受けたこと,本件返品及び本件減額をしたこと並びに本件商品を17社に販売したことを総称して,以下「本件各行為」という。)。
17社の本件商品の購入点数は,別紙3の本件各行為欄の「クリスマス関連商品の購入要請」欄記載のとおりである。
(査232)
5 公正取引委員会による立入検査
公正取引委員会は,平成22年5月18日,本件について,独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行った。
被審人は,平成22年5月19日以降,本件違反行為を行っていない。
6 被審人の165社からの購入額
改正法の施行日である平成22年1月1日から同年5月18日までの間における被審人の165社それぞれとの間における購入額を,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令(昭和52年政令第317号。以下「独占禁止法施行令」という。)第30条第2項の規定に基づき算定すると,別紙2の「購入額」欄記載のとおりとなる。
第4 争点
1 本件各行為は,被審人が,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に行ったものか(争点1)
2 本件各行為は,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用に該当するか(争点2)
3 本件における違反行為期間(独占禁止法第20条の6にいう「当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間」をいう。以下同じ。)(争点3)
4 本件各命令の適法性(争点4)
第5 争点に係る双方の主張
1 争点1(本件各行為は,被審人が,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に行ったものか)について
(1) 審査官の主張
ア 被審人の取引上の地位が165社に優越していたこと
(ア) 優越的地位の濫用規制の趣旨
自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,取引の相手方(以下,単に「相手方」ということもある。)に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは,相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに,相手方はその競争者との関係において競争上不利となる一方で,行為者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれがある。
このように,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは,公正な競争を阻害するおそれがあることから,独占禁止法は,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,独占禁止法第2条第9項第5号イないしハのいずれかに該当する行為をすること(以下「優越的地位の濫用」ともいう。)を,不公正な取引方法の一態様として規制の対象としている(独占禁止法第19条及び第2条第9項第5号)。
(イ) 優越的地位の判断の枠組み
a  取引の一方の当事者(以下「甲」という。)が他方の当事者(以下「乙」という。)に対し,取引上の地位が優越しているというためには,甲が乙との関係で相対的に優越的地位にあれば足りる。
また,甲が乙に対して優越的地位にあるとは,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すために,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合を意味すると解すべきである(優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方〔以下「ガイドライン」という。〕第2の1)。
b  「乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来す」場合とは,乙にとって不利益な要求であっても受け入れざるを得ないほど甲と取引することの重要性及び必要性がある場合である。
そして,乙にとって,甲との取引が重要であればあるほど,甲と取引することの必要性も必然的に高まることとなり,重要性と必要性は不可分の要素として,甲と取引する必要があることは,乙にとって甲との取引が重要であることを意味するといえる。
したがって,重要性と必要性は,個別に判断されるべきではなく,結局,甲と取引することの必要性が認められれば足りるというべきである。
c  甲と取引することの必要性の判断は,ガイドライン第2の2に列挙されている,「乙の甲に対する取引依存度」,「甲の市場における地位」,「乙にとっての取引先変更の可能性」及び「その他甲と取引することの必要性を示す具体的事実」の具体的な記載内容を総合的に考慮して行うことになる。
d  また,優越的地位の濫用として規制の対象となる行為は,私人による自由な創意工夫の発揮や効率的な資源配分に資さない行為であって,通常の企業行動からすれば受け入れる合理性のないような行為である。
したがって,甲が通常の企業行動からすれば受け入れる合理性のないような要請等を行い,これを乙が受け入れている事実が存在する場合には,甲の優越的地位は,乙にとって甲と取引することの必要性が高い状況が存在することにより認められると解すべきである。
e  以上のとおり,乙にとって甲と取引することの必要性が高い状況が認められるか否かは,甲が正常な商慣習に照らして不当に行った独占禁止法第2条第9項第5号イないしハに該当する行為(以下「濫用行為」という。)の内容(乙が受け入れた甲の要請等の内容の不合理さ)の程度を踏まえ,甲と取引することの必要性を示す事実(前記c)を総合的に考慮して判断される。
(ウ) 本件への当てはめ
a  被審人が165社に対し優越的地位にあったか否かを判断するに当たっては,被審人が当該納入業者に対して行った濫用行為の程度を踏まえ,以下の各要素に係る具体的事実を総合的に考慮して判断することとなる。
① 被審人が,岡山県を中心とした区域において,総合スーパー又は食品スーパーとして有力な地位にあったこと
② 当該納入業者が,被審人との取引に係る売上高の増加を期待していたこと
③ 当該納入業者が,被審人を主な取引先としていた,又は自社の事業所と被審人との取引関係を重視していたこと
④ 当該納入業者にとって,被審人に代わる取引先を見つけることが困難であったこと
⑤ その他,当該納入業者にとって,被審人と取引することの必要性が高かったこと
⑥ 当該納入業者にとって,被審人と取引を継続することが必要であったこと
b  なお,被審人は,納入業者が見積書を提出する際に,被審人への商品の納入価格を四国マルナカの価格水準まで下げるよう要請したり,商談の際に四国マルナカを引き合いに出して,被審人と四国マルナカの2社に納入させる前提で納入業者と価格交渉を行ったりしていた。そのため,四国マルナカとも取引がある納入業者は,被審人からの要請を断った場合には四国マルナカとの取引に悪影響が及ぶことなどを恐れて,被審人からの従業員派遣等の要請に応じていた。
したがって,前記a⑤の考慮要素に関しては,四国マルナカとの取引状況から被審人と取引を行うことの必要性が高い状況にあったことも,被審人と取引することの必要性を示す事実であるといえる。
c  前記a②ないし⑥の各考慮要素に関し,165社について,別紙3の「被審人との取引状況等」欄記載のとおりの事実が認められる。
これらの事実及び前記a①の考慮要素に係る事実と,後記イの被審人による本件各行為の内容を総合的に考慮すれば,被審人の取引上の地位は165社全てに対し優越していたものと認められる。
イ 本件各行為が濫用行為に該当すること
(ア) 判断の枠組み
濫用行為とは,行為者が相手方から,公正な競争秩序が維持されていれば得られないであろう利益を,独占禁止法第2条第9項第5号イないしハのような態様で得ることにより,相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに,行為者がその競争者との関係において競争上有利となる一方,相手方がその競争者との関係において競争上不利となり,もって,公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれを生じさせる行為と解される。
また,公正な競争秩序とは,公正な競争秩序にかなう経済合理性に基づく判断により取引が行われること,すなわち,価格・品質・サービスを中心とした競争により,良質廉価な商品・役務を提供して顧客を獲得するとの観点から,各取引主体が,その自由かつ自主的な判断により,より魅力的で有利な取引先や取引条件を選択しようとすることである。
したがって,「公正な競争秩序が維持されていれば得られないであろう利益」とは,公正な競争秩序にかなう経済合理性に基づく判断により取引が行われていれば得られないであろう利益であり,「自由かつ自主的な判断」とは,公正な競争秩序にかなう経済合理性に基づく判断そのものと解するのが相当であって,濫用行為に該当するか否かは,公正な競争秩序の下で通常の企業行動からすれば応じる経済合理性のない要請等を行うことにより行為者が利益を得たか否かにより判断される。
そして,濫用行為に該当するか否かがこのようにして判断される以上,その判断に際しては,自由かつ自主的な判断で応じたか否かという相手方の認識のみならず,要請等の目的・動機・内容,要請等に応じさせた経緯・態様,要請等に応じたことにより相手方が受ける直接の利益又は不利益の程度等の諸事情を考慮する必要がある。
(イ) 本件各行為について
次のとおり,本件各行為は濫用行為に該当する。
a  本件従業員等派遣
(a) 本件従業員等派遣を受けることが濫用行為に該当すること
本件従業員等派遣に当たっては,納入業者との取引関係に影響を及ぼす被審人の仕入担当者が,納入業者の営業担当者に対し,新規開店,全面改装,棚替え等に際し,商品の移動,商品の陳列,商品の補充,接客等の作業をさせるために従業員等を派遣することを要請し,納入業者は,同要請に応じて自社の従業員等を派遣していた。
かかる行為は,本来被審人が自ら行うべき単純な作業を,あらかじめ派遣に係る条件の合意もせず,派遣に必要な費用も支払わずに,納入業者に行わせていたものであり,納入業者が従業員等を派遣することにより得られる利益はなかった。
したがって,かかる行為は,納入業者にあらかじめ計算できない不利益を与えるものであり,納入業者がその自由な意思により従業員等を派遣していたとは到底考えられず,納入業者は,被審人との取引を継続して行う立場上,従業員等の派遣を余儀なくされていたものである。
(b) 被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市に際して行われた従業員等の派遣
被審人は,後記⑵イ(イ)a(a)のとおり,被審人が納入業者から従業員等の派遣を受けた行為のうち,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市に際して行われたものは本件排除措置命令において認定された濫用行為に該当しない旨主張する。
しかし,本件排除措置命令書には,「新規開店,全面改装,棚替え等に際し」と記載されており,本件違反行為の対象とする従業員等の派遣の範囲を「新規開店,全面改装,棚替え」に際して行われたものに限定するものではない。
したがって,被審人が本件従業員等派遣を受けた行為のうち,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市に際して行われたものも,本件排除措置命令書において認定された濫用行為に該当する。
b  本件金銭の提供
本件金銭の提供に当たっては,納入業者との取引関係に影響を及ぼす被審人の仕入担当者が,納入業者の営業担当者に対し,算出根拠を示さず,かつ,場合によっては一方的に,本件金銭の提供を要請し,納入業者は,同要請に応じて金銭を提供していた。
かかる行為は,本来被審人が自ら負担すべき費用を納入業者に転嫁し,場合によっては,発生する費用以上の金額を納入業者に提供させていたものである。
したがって,かかる行為は,納入業者にあらかじめ計算できない不利益を与えるものであり,納入業者がその自由な意思により金銭を提供していたとは到底考えられず,納入業者は,被審人との取引を継続して行う立場上,同金銭の支払を余儀なくされていたものである。
c  本件返品
本件返品は,被審人が,被審人の定めた販売期限を経過したという自己の都合により,あらかじめ納入業者と返品条件について合意することもなく,一方的に行ったものであり,返品によって生じる費用も被審人は負担しなかった。
したがって,かかる行為は,納入業者にあらかじめ計算できない不利益を与えるものであり,納入業者がその自由な意思により本件返品を受忍していたとは到底考えられず,納入業者は,被審人との取引を継続して行う立場上,本件返品の受入れを余儀なくされていたものである。
d  本件減額
本件減額は,被審人が,本来自ら負担すべきものである半額処分及び売り尽くしセールによる利益の減少に相当する金額を,あらかじめ納入業者と合意することなく一方的に,納入業者に対する買掛債務から事後的に減額したものである。
したがって,かかる行為は,納入業者にあらかじめ計算できない不利益を与えるものであり,納入業者がその自由な意思により本件減額に応じていたとは到底考えられず,納入業者は,被審人との取引を継続して行う立場上,本件減額の受入れを余儀なくされていたものである。
e  本件商品の購入
本件商品の購入は,納入業者の事業遂行上必要なものではなかった。また,本件商品の購入に当たっては,納入業者との取引関係に影響を及ぼす被審人の仕入担当者が,納入業者の営業担当者に対し,直接かつ一方的に,本件商品の購入を「強制です」と明言し,又は購入予定数量を割り振って要請していた。
したがって,かかる行為は,納入業者にあらかじめ計算できない不利益を与えるものであり,納入業者がその自由な意思により本件商品を購入していたとは到底考えられず,納入業者は,被審人との取引を継続して行う立場上,本件商品の購入を余儀なくされていたものである。
(2) 被審人の主張
ア 被審人の取引上の地位は165社に優越していないこと
(ア) 優越的地位の濫用規制の位置付け
私人間の法律関係には私的自治の原則が妥当することから,取引当事者間の契約による法律関係は,基本的に取引当事者の自由に委ねられるべきであり,国家は一般的にこれに干渉するべきではない。
優越的地位の濫用は,直接に競争秩序に影響を及ぼすものではなく,相手方の自由かつ自主的な判断を阻害し,相手方に著しい不利益を与え,自由競争の基盤を侵害するものである点に当該行為の悪質性が認められるものであるが,取引当事者間の取引の公正は,基本的には,民法を中心とした民事法や契約の解釈・適用を通じて確保されるべきであることから,優越的地位の濫用規制により行政機関が取引事業者の営業活動の自由及び財産権に対して介入することは最小限度にとどめるべきである。
仮に,優越的地位の濫用規制が広く適用されれば,私的自治に対する行政機関による不当な介入が正当化される危険があり,私人による自由な創意工夫の発揮が委縮し,効率的な資源配分が阻害されるおそれがある。
(イ) 優越的地位の判断の枠組み
a  基本的考え方
「自己の取引上の地位が取引の相手方に優越していること」,すなわち,甲が乙に対し優越的地位にあるとの要件について,ガイドラインは,「乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合」であるとの解釈を示している(第2の1)。
「乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来す」とは,乙にとって甲以外に取引先を選択することが困難であるなど,乙の競争機能が侵害されている状態にあることを言い換えたものといえ,優越的地位の要件の本質的要素を表したものである。
なお,乙にとって取引先変更困難性が認められる場合であっても,甲に対する取引依存度が小さいなど,甲との取引の継続が困難となることで乙に与える事業経営上の支障が大きくないときには,乙としては,甲との取引を打ち切って当該事業から撤退するという選択肢がある。そのため,甲との取引の継続が困難となることによって乙に与える事業経営上の支障が大きくない場合には,乙の競争機能は侵害されず,甲が優越的地位にあるとは認められない。
他方,「甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合」とは,単に,濫用行為が優越的地位を利用して行われたものであること,すなわち,優越的地位と濫用行為の因果関係を示したものにすぎない。仮に,上記部分の存在をもって優越的地位も認められるとするならば,優越的地位を利用することが濫用行為とは別の要件として定められた意義が没却される。
b  取引先変更困難性
乙にとって取引先を甲以外の事業者に変更することが困難であるか否かは,優越的地位の判断における最も基本的な要素であり,要件となるべきものである。仮に,乙の甲に対する取引依存度が高くても,取引先選択の自由が確保されており,代替的な取引先に容易に転換することが可能な場合には,甲との取引を失うことによる経営に与える影響を軽減できるため,甲が乙に対して優越的地位にあるとは認められない。
もっとも,取引先変更困難性の認定において,「取引先を変更することは困難である」旨の相手方の認識(主観)に依拠しすぎることは,ビジネス上の願望と法的判断が混同される危険があるため,できる限り客観的に判断されるべきであり,取引依存度が重要な考慮要素となる。他方,現に取引関係にある当事者が,「取引先を変更することは困難ではない」旨認識している場合には,そのような混同の懸念はなく,取引依存度の如何にかかわらず,優越的地位の不存在を認定できる。
c  取引依存関係
乙の甲に対する取引依存度が大きい場合には,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすい。
問題は,どの程度の取引依存度に達していれば取引の打切りが相手方の事業経営上大きな支障を来すと認められるかであるが,東京証券取引所や大阪証券取引所の自主規程においては,投資家の判断に重要な影響を与えるものとして,「前事業年度における売上高又は仕入高が売上高の総額又は仕入高の総額の100分の10以上である取引先」との取引停止が,適時開示の対象とされている。これに鑑みれば,優越的地位の認定においても,事業者の事業経営に重大な影響を生じさせる取引依存度は,少なくとも10パーセント以上と考えるべきである。
また,乙は,甲との取引が打ち切られたとしても,甲との現状の取引量の一部を他の取引先との取引拡大及び新規取引先の開拓等によって補うことが可能である場合は,甲との取引量の全てが失われるわけではなく,乙の事業経営に与える支障の程度は,その一部となる。具体的には,乙の取引依存度に取引額を補うことのできない割合を乗じることで,乙の事業経営に与える影響の程度を示すことができる。当該数値が10パーセントを超えない場合は,乙の事業経営に大きな支障は生じないはずである。
d  行為者による取引打切りを想定し難い場合
甲が乙から特定の商品群に属する多くの商品を購入しており,当該商品群における乙に対する取引依存度が高い場合には,甲にとって,乙との取引の継続が困難になれば,当該商品群の売場の形成が困難になる。
また,当該商品群における乙に対する取引依存度が低い場合であっても,乙から供給を受ける商品が当該商品の属する商品群の売場の構成に重要な商品(ブランド力のある商品,消費者が通常検討対象とする商品等)である場合には,甲にとって,乙との取引の継続が困難になれば,当該商品群の品ぞろえに支障を来し,売場の形成が困難になる。
そのため,このような場合には,甲が乙との取引を打ち切ることは合理的に想定し難く,甲との取引の継続が困難となることにより乙の事業経営上大きな支障を来すという事態は起こり得ないことから,甲が乙に対して優越的地位にあるとは認められない。
e  価格等の取引条件の交渉が対等になされている場合
価格等の取引条件の交渉は,甲と乙との関係において本質的に最も重要なものである。
したがって,甲と乙との間で価格等の取引条件の交渉が対等になされている場合には,甲は,乙の意思を抑圧して搾取的行為をなし得る立場にはなく,優越的地位は認められない。このような場合には,仮に甲が乙に対して自己のコストを転嫁する行為を行ったとしても,当該コストの転嫁に応じた適切な価格設定がなされているはずである。
(ウ) 本件への当てはめ
a  取引先変更困難性が認められない場合
(a) 公正取引委員会からの報告命令(査24各号及び査260各号)(以下「公正取引委員会の報告命令」という。)における,被審人との取引を継続できず,被審人に代わる他の取引先を見つける必要が生じた場合の状況に関する照会(設問「2⑺」)に対し,「被審人に代わる取引先を見つけること又は他の取引先との取引を増やすことで被審人との取引停止に伴う損失を補うことは容易である」旨回答した納入業者については,取引先変更困難性を認定することはできない。
(b) また,被審人からの照会(審6各号)(以下「被審人アンケート」という。)に対し,被審人からの取引停止の予告が取引停止の6か月前に行われた場合に「被審人との取引額を完全に補える」と回答した納入業者についても,取引先変更困難性を認定することはできない。
b  取引依存度が低い場合
(a) 被審人に対する取引依存度が10パーセント未満の納入業者は,仮に被審人との取引を失ったとしても,その事業経営上大きな支障を来すものではない。
(b) また,被審人に対する取引依存度が10パーセントを超えている納入業者でも,被審人アンケートにおいて,被審人からの取引停止の予告が取引停止の6か月前に行われた場合に「被審人との取引額を補えない」と回答した,取引額の割合に取引依存度を乗じた数値が10パーセントを超えない者については,仮に被審人との取引を失ったとしても,その事業経営上大きな支障を来すものではない。
c  被審人による取引打切りが想定し難い場合
《納入業者(4〔別紙2の会社番号欄記載の番号。以下,納入業者の名称の後に括弧書きで付した番号は,いずれも同欄記載のものである。〕)》,《納入業者(5)》,《納入業者(7)》,《納入業者(24)》,《納入業者(25)》,《納入業者(26)》,《納入業者(33)》,《納入業者(35)》,《納入業者(44)》,《納入業者(52)》,《納入業者(72)》,《納入業者(137)》,《納入業者(139)》及び《納入業者(142)》は,被審人に販売する商品の中に,ブランド力のある商品や消費者が通常検討対象とする商品等を多く含んでおり,これらの商品は,当該商品の属する商品群の売場の構成に重要なものであった。
したがって,被審人にとって,これらの納入業者との取引の継続が困難となれば,被審人の店舗における上記商品の属する商品群の売場の形成が困難となるものであり,被審人が取引を打ち切ることは合理的に想定し難いといえる。
d  価格等の取引条件の交渉が対等になされている場合
公正取引委員会の報告命令における,被審人との間における納入価格に関する交渉についての照会(設問2(8))に対し,「被審人との間において納入価格に関し対等に交渉できる」と回答した,又はそれと同旨の回答をした納入業者は,被審人がこれらの者の意思を抑圧して搾取的行為をなし得る立場にはなかったものである。
e  小括
別紙4の「優越的地位なし」欄に「○」を付した納入業者は,前記aないしdの各場合の一つ又は複数に該当する者である。
したがって,少なくともこれらの納入業者については,被審人が優越的地位にあるとは認められない。
イ 本件各行為は濫用行為に該当しないこと
(ア) 濫用行為の判断基準
a  基本的な考え方
前記ア(ア)のとおり,優越的地位の濫用を規制する趣旨は,取引先選択の自由が確保されておらず,競争原理が働かないことを利用して,相手方の自由かつ自主的な判断を阻害し,相手方に著しい不利益を与えることを防ぐ点にある。
かかる趣旨からすると,濫用行為とは,少なくとも,相手方の自由かつ自主的な判断を阻害する行為でなければならず,仮に,客観的にみて相手方にとって不利益な行為であっても,相手方が自由かつ自主的に応じている場合には,濫用行為とはならない。
b  相手方が被る不利益の程度等
(a) 相手方が著しい不利益を被る必要があること
前記ア(ア)のとおり,私的自治の下で,取引条件等の取引関係は基本的に当事者間の交渉に委ねられるべきであり,優越的地位の濫用規制の解釈は厳格になされるべきである。
したがって,濫用行為により相手方が被る不利益の程度は,著しいと評価できるもの,すなわち,経済合理性から乖離した過大なものでなければならず,相手方に与えた不利益の程度が軽微である場合は濫用行為に該当しない。
(b) 当該行為により相手方が利益を得る場合
当該行為により,相手方が不利益を受けるとしても,その見返りとなる利益を得ることが合理的に見込まれる場合には,当該不利益は合理的な範囲内にとどまり,当該行為は濫用行為に該当しない。
また,この利益は,相手方が直接の利益を得られる場合に限らない。相手方にとって,金銭換算し得ないものも含め,将来の実現可能な具体的利益を期待して当該行為を受け入れることや,過去の具体的利益へのお礼として当該行為を受け入れることは,取引実態から見て正常な商慣習に照らし不当なものでない限り,相手方に著しい不利益を与えるものとは認められず,濫用行為に該当しないと解すべきである。
(イ) 本件への当てはめ
a  本件従業員等派遣
(a) 被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市のために納入業者が従業員等を派遣した場合
本件排除措置命令書において,濫用行為とされる従業員等の派遣要請は,「新規開店,全面改装,棚替え等」に際しなされるものに限定されているところ,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市は,「新規開店,全面改装,棚替え等」に該当するものではない。
したがって,本件従業員等派遣のうち,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市のために従業員等の派遣を受けた行為は,本件排除措置命令書に記載された濫用行為に該当しない。
(b) 本件従業員等派遣を行ったことに合理的な理由がある場合
以下のⅰないしⅷの理由に基づき本件従業員等派遣を行った納入業者は,自社の従業員等を派遣することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づき行ったものであって,これによる著しい不利益も被っていない。
したがって,被審人がこれらの納入業者から従業員等派遣を受けた行為は,濫用行為に該当しない。
i  魅力的な売場作りなどのため
被審人アンケートの「問2.3」において選択肢a「自社商品の有利な位置への陳列や魅力的な売り場作り(POPの設置等)につながり得ると考えたため。」を選択した納入業者並びに《納入業者(3)》及び《納入業者(35)》は,小売業者の店舗において自社商品を有利な位置に陳列したり,POPの設置等を通じて魅力的な売場作りを行いたいと考え,自社商品の売上げが増加することを期待したりして,従業員等を派遣していた。
ii  新店・改装オープンによる自社商品の売上げ拡大のため
被審人アンケートの「問2.3」において選択肢g「新規開店・店舗改装により,自社商品の売上げが拡大する可能性があると考えたため。」を選択した納入業者は,新店・改装オープンによって自社商品の売上げが拡大する可能性があると考え,従業員等を派遣していた。
する商品の価格や品質以外の付加的なサービスの提供となるなど,今後の被審人との取引に有利に働く可能性があると考えていた。
(c) 競合他社との競争上不利にならないようにするため
被審人アンケートの「問7.2」において選択肢b「当社の競合他社がクリスマス関連商品を購入していたので,仮に当社が当該商品を購入しないと,山陽マルナカとの取引において競合他社に有利に働くおそれがあると考えたため。」を選択した納入業者及び公正取引委員会の報告命令の設問「7(4)」において選択肢オ「他の納入業者も同様の要請を受け,要請に応じていることから,当社のみ断ることができなかったため」のみを選択した納入業者は,前記a(b)ⅶの納入業者と同様に,本件商品を購入することにより他の納入業者との競争に勝ち抜こうとしていた。
(d) 許容範囲の負担であったため
被審人アンケートの「問7.2」において選択肢c「クリスマス関連商品を購入することは,取引上の社交儀礼,お付き合い又は取引関係上の貸し借りとして,許容できる範囲の負担であると考えたため。」又は選択肢d「山陽マルナカとの日頃の取引額・利益等を考慮すると,クリスマス関連商品の購入に伴う負担は軽微であったため。」を選択した納入業者は,前記a(b)ⅷの納入業者と同様に,負担の程度や取引上の利益とのバランスを考慮して,許容できる範囲の負担と考えて,本件商品を購入していた。
f  小括
以上のとおり,被審人が前記a及びb記載の納入業者から本件従業員等派遣及び本件金銭の提供を受けたこと,並びに被審人が前記c,d及びe記載の納入業者に対して本件返品,本件減額及び本件商品の販売をしたことは,いずれも濫用行為に該当しない。
したがって,少なくとも,別紙4の「濫用行為なし」欄に「○」を付した納入業者については,被審人が濫用行為をしたとは認められない。
2 争点2(本件各行為は,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用に該当するか)について
(1) 審査官の主張
優越的地位の濫用規制の趣旨は,前記1⒧ア(ア)のとおりである。このような優越的地位の濫用の本質に鑑みれば,独占禁止法第2条第9項第5号に該当する社会的事実が複数みられるとしても,競争阻害効果が同一である限りにおいて,独占禁止法上は一つの優越的地位の濫用として規制されるべきである。
本件では,いずれの納入業者についても,被審人の取引上の地位が優越していたことを基礎付ける事情に差異はない。また,被審人は,本件違反行為と類似の行為について平成16年審決を受けた後も,被審人の役員等の指示の下で,それまでと同様に,本来であれば自ら負担すべき費用等を納入業者に提供させ,自社の利益を確保することなどを目的として,組織的かつ計画的に,本件各行為をしていた。
これらの事情からすると,被審人が本件各行為のいずれをするかによって,納入業者の自由かつ自主的な判断による取引が阻害されるおそれや,納入業者がその競争者との関係において競争上不利となるおそれ,被審人がその競争者との関係において競争上有利となるおそれに差異がなかったことは明らかであり,本件各行為による競争阻害効果は同一である。
したがって,本件各行為は,一つの優越的地位の濫用,すなわち独占禁止法第19条の規定に違反する行為として規制されるべきものであり,濫用行為の類型ごと又は相手方ごとの行為がそれぞれ同条の規定に違反する行為となるものではない。
(2) 被審人の主張
優越的地位の濫用規制の位置付けは,前記1⑵ア(ア)のとおりである。
このように,優越的地位の濫用規制は,本来的に1対1の当事者間の取引関係において,相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害することを規制したものであるから,濫用行為はその相手方ごとに考えるべきである。
また,本件各行為は,それぞれ相手方に要請する行為の内容を異にする,社会的事実として別個の行為である。現に,改正法の施行前までは,公正取引委員会における法運用でも,濫用行為の種類ごとに,それぞれの行為がいずれも独占禁止法第19条の規定に違反するものとされていた。
したがって,個々の相手方に対する優越的地位を利用してなされた,要請内容を異にする個々の行為が,それぞれ独占禁止法第19条の規定に違反する行為に該当すると解すべきである。
3 争点3(本件における違反行為期間)について
(1) 審査官の主張
独占禁止法第20条の6は,「第19条の規定に違反する行為(第2条第9項第5号に該当するものであつて,継続してするものに限る。)をしたときは,…当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間…における,当該行為の相手方との間における…売上額」を課徴金の計算の基礎とする旨規定しており,「当該行為」とは,その直前の「第19条の規定に違反する行為」を意味することは明らかである。
また,前記2⒧のとおり,本件各行為は,一つの優越的地位の濫用,すなわち独占禁止法第19条の規定に違反する行為である。
そして,被審人は,本件各行為を,遅くとも平成19年1月以降,平成22年5月18日までの間,継続して行っていた。
したがって,本件における違反行為期間は,独占禁止法第20条の6の規定により,平成19年5月19日から平成22年5月18日までの3年間となる。
(2) 被審人の主張
ア 濫用行為の類型ごと及び相手方ごとに一つの優越的地位の濫用となること
前記2⑵のとおり,優越的地位の濫用規制の趣旨からは,個々の相手方に対する優越的地位を利用してなされた,要請内容を異にする個々の行為が,それぞれ独占禁止法第20条の6にいう「第19条の規定に違反する行為」に該当すると解すべきである。
したがって,独占禁止法第20条の6にいう「当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間」は,違反行為の相手方,すなわち特定納入業者ごとに判断されなければならない。
イ 優越的地位の濫用は,改正法の施行後に継続してなされたものである必要があること
独占禁止法第20条の6が適用されるのは,改正法が施行された平成22年1月1日以後に係るものであり(改正法附則第5条),同条にいう「継続してするもの」についても,同日以後において継続性が認められることが必要である。
したがって,平成22年1月1日以後に1回しか本件各行為(ただし,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市のための従業員等派遣は,本件違反行為に含まれないため〔前記1⑵イ(イ)a(a)〕,これを除く。)の相手方となっていない納入業者(別紙4の「全1回のみ」欄又は「セール応援を除き1回のみ」欄に「○」印を付した納入業者)については,同日以後に被審人が違反行為を「継続してするもの」とは認められない。
4 争点4(本件各命令の適法性)について
(1) 本件排除措置命令書における理由の記載に不備はないか
ア 審査官の主張
独占禁止法第49条第1項において,排除措置命令書に「公正取引委員会の認定した事実」を付記すべきと定めるのは,排除措置命令が,その名宛人に対して当該命令の主文に従った排除措置の履行義務を課すなど,被審人の営業活動の自由等を制限するものであることに鑑み,公正取引委員会の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,排除措置命令の理由を名宛人に知らせることにより,その不服申立てに便宜を与えるためのものと解される。
このような排除措置命令の性質及び理由付記を命じた趣旨・目的に鑑みれば,排除措置命令書に記載すべき「公正取引委員会の認定した事実」とは,違反行為に関する認定事実のほか,いかなる事実関係に基づき排除措置が命じられたのかを,名宛人においてその記載自体から了知し得るものでなければならず,かつ,それで足りる。
本件排除措置命令書では,「第1 事実」において,特定納入業者に該当するか否かの考慮要素が示され,かつ,被審人が具体的にいかなる態様の行為をどの程度行ったかも記載されている。
したがって,いずれの特定納入業者にいかなる行為を行ったかは,被審人にとって自明であり,被審人において,自己のいかなる行為が独占禁止法第2条第9項第5号に該当する行為であるとの評価を受けたかを知ることができ,本件排除措置命令に対する不服申立てを行うかどうか検討するのに十分な情報の提供を受けている。
よって,本件排除措置命令書における理由の記載に不備はない。
イ 被審人の主張
排除措置命令書に係る理由付記は,排除措置命令の名宛人の不服申立てに便宜を与えるだけでなく,公正取引委員会の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するものであるから,排除措置命令書に記載すべき「公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用」とは,違反行為に関する認定事実のほか,いかなる事実関係に基づき,いかなる法規を適用して排除措置が命じられたのかを,排除措置命令の名宛人においてその記載自体から了知し得るものでなければならない。また,排除措置命令の名宛人がその理由を推知できるか否かにかかわらず,第三者においてもその記載自体からその処分理由が明らかとなるものでなければならない。
優越的地位とは,二当事者間の取引上の依存関係等に基づく取引上の地位の格差を意味し,相手方ごとに個別に判断されるものである。
したがって,少なくとも,排除措置命令の名宛人の取引上の地位が優越している相手方が誰であるのかを特定した上で,当該相手方との関係で,排除措置命令の名宛人の取引上の地位がいかなる事情により優越しているのか,当該相手方に対しいかなる濫用行為が行われたのかについて,排除措置命令の名宛人及び第三者が具体的に知り得る程度に特定して摘示しなければならない。
本件排除措置命令書では,相手方ごとに濫用行為が記載されていない上,濫用行為の相手方すら具体的に特定されておらず,濫用行為の相手方及び濫用行為が抽象的かつ概括的に認定されているにとどまる。
そのため,被審人と取引関係のある多数の納入業者のうち,いずれの納入業者に対していかなる行為をしたことが本件違反行為とされているのかについて,本件排除措置命令の名宛人以外の第三者はもちろんのこと,名宛人である被審人においてすら,当該記載内容自体から明らかであるとはいえない。
(2) 本件排除措置命令における法令の適用に誤りはないか
ア 審査官の主張
被審人は,平成19年1月以降,平成22年5月18日にその行為を取りやめるまで,一連かつ一体の違反行為を行っていた。
そこで,公正取引委員会は,上記違反行為のうち,平成22年1月1日以降の行為については,独占禁止法第2条第9項第5号を適用すべきであることから同号を適用し,同日前の行為については,改正法附則第2条第2項の規定により,同法による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)(以下「改正法による改正前の独占禁止法」という。)第2条第9項第5号が適用されるため,旧一般指定第14項を適用した。
また,公正取引委員会は,旧一般指定及び大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法(平成17年公正取引委員会告示第11号。以下「大規模小売業告示」という。)のいずれの要件も満たし得る場合において,結果として,従来,旧一般指定よりも大規模小売業告示を優先的に適用してきたが,旧一般指定の適用を否定してきたものではない。旧一般指定と大規模小売業告示は,その規制による法律効果が同じであり,双方の要件を具備する場合に一方の適用を排斥する法的根拠も理由もない。
本件における被審人の行為は,独占禁止法第2条第9項第5号及び旧一般指定第14項の要件を具備しており,平成22年1月1日の改正法施行前後を問わず継続して行われていた,一連かつ一体の行為と評価すべきものであるから,同日前の行為に旧一般指定第14項を適用することは,法令の適用としての妥当性を欠くことにはならない。
さらに,本件排除措置命令書の理由「第1 事実」において,具体的にいかなる態様の行為をどの程度行ったかが類型ごとに詳細に記載され,独占禁止法第2条第9項第5号又は旧一般指定第14項に該当するとの記載もあることからすれば,上記第5号のイないしハのいずれか及び上記第14項のいずれの号に該当するのかが摘示されていなくとも,被審人において,いかなる事実関係に基づき,いかなる法規を適用して排除措置が命じられたのかを了知し得る。
したがって,本件排除措置命令における法令の適用に誤りはない。
イ 被審人の主張
旧一般指定と大規模小売業告示とは,一般法と特別法の関係にある。したがって,平成22年1月1日前の行為であり,かつ,大規模小売業告示の要件を満たす行為について,旧一般指定の適用はなく,このような行為に旧一般指定を適用した本件排除措置命令の法令の適用は違法であり,本件排除措置命令書における法令の適用の摘示も,同様に誤りである。
さらに,本件排除措置命令書においては,独占禁止法第2条第9項第5号及び旧一般指定第14項に該当すると摘示するにとどまり,上記第5号のイないしハのいずれに該当するのか及び上記第14項の第1号ないし第5号のいずれに該当するのかを摘示していない。改正法の施行日前に出された排除措置命令においては,旧一般指定第14項のいずれの号に該当するかを摘示していたことに照らせば,本件排除措置命令書の「法令の適用」の記載には不備がある。
以上のとおり,本件排除措置命令における法令の適用には誤りがある。
(3) 本件排除措置命令の主文第2項は適法か
ア 審査官の主張
排除措置命令は,違反行為の排除及び当該違反行為によってもたらされた公正で自由な競争秩序の侵害状態を回復し整備することを目的とする行政処分である。
そのため,違反行為そのものについて排除措置を命じ得るだけではなく,これと同種又は類似の違反行為の行われるおそれがあり,上記目的を達するために現にその必要性のある限り,将来の違反行為を防止するためにも相当の措置を命じ得る。
被審人は,本件違反行為と類似の行為について平成16年審決を受けていることに加え,その後,遅くとも平成19年1月以降3年以上にわたり,広く納入業者全般を対象として本件違反行為を行っていたことがうかがわれ,行為の対象を特定の納入業者に限定していた様子は特にみられないこと,本件排除措置命令の効力が生じた時点においても岡山県を中心とした区域において総合スーパー又は食品スーパーとして有力な小売業者であったことからすれば,本件違反行為の対象となった特定納入業者以外の納入業者に対しても本件違反行為と同種又は類似の違反行為の行われるおそれがあることは明白である。
したがって,被審人による将来の違反行為を防止するためには,本件違反行為の対象となった特定納入業者のみならず他の納入業者に対しても,本件排除措置命令の主文第1項に基づいて採った措置を通知させることが必要かつ相当である。
イ 被審人の主張
本件排除措置命令の主文第2項は,同第1項に基づいて採った措置を被審人の全納入業者に対して通知するよう命じるものである。
しかし,被審人の納入業者のうち,被審人の取引上の地位が優越していない納入業者に対しては,仮に,被審人が本件違反行為と同一又は社会通念上同一性があると考え得る行為を行ったとしても,独占禁止法第2条第9項第5号に違反する余地はない。
したがって,本件排除措置命令の主文第2項は,独占禁止法第7条第2項本文にいう「当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置」の範囲を逸脱している。
(4) 本件課徴金納付命令書における理由の記載に不備はないか
ア 審査官の主張
(ア) 独占禁止法第50条第1項において,課徴金納付命令書に,納付すべき課徴金の「計算の基礎」及び「課徴金に係る違反行為」を記載しなければならないと定めているのは,課徴金納付命令が,その名宛人に対して課徴金の納付義務を課すなどの不利益を生じさせるものであるため,公正取引委員会の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,課徴金の算出根拠を同命令の名宛人に知らせることで,その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。
したがって,「課徴金に係る違反行為」とは,当該違反行為が「継続してするもの」(独占禁止法第20条の6)であることを要求する点を除けば,排除措置命令書に記載される「公正取引委員会の認定した事実」(独占禁止法第49条第1項)と同程度の事実の記載で足り,「計算の基礎」とは,当該課徴金額の算定方法が明らかとなる程度の記載で足りる。
(イ) 本件課徴金納付命令書においては,「課徴金に係る違反行為」が,本件排除措置命令書を引用して記載されている。また,本件排除措置命令書の記載自体から,本件違反行為が「継続してするもの」であったことは明らかである。
したがって,被審人は,上記記載を手掛かりに,本件課徴金納付命令に不服を申し立てるか否かを検討することが可能である。
(ウ) 優越的地位の濫用に係る課徴金額の具体的な算定方法は,独占禁止法第20条の6に定められている。
したがって,課徴金納付命令書においても,同条にいう「当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間」及び「当該行為の相手方との間における…売上額(…当該行為の相手方が複数ある場合は当該行為のそれぞれの相手方との間における政令で定める方法により算定した売上額又は購入額の合計額とする。)」を記載するべきであり,かつ,それで足りる。
当該行為の相手方が複数である場合は,当該行為のそれぞれの相手方との間における購入額の「合計額」を記載すれば足りるのであって,その内訳を記載することを独占禁止法が要請しているとは解し得ない。
本件課徴金納付命令書には,本件違反行為をした日から本件違反行為がなくなる日までの期間が平成19年5月19日から平成22年5月18日までの3年間であること,本件違反行為に係る課徴金の対象となる納入業者の数が165であること,及び当該165の納入業者との間における被審人の購入額の合計額が222億1605万4358円であることが記載されていることから,独占禁止法が要請する事実が全て記載されているといえる。
(エ) ましてや,公正取引委員会は,被審人に対し,平成23年6月1日に本件違反行為に係る課徴金納付命令書の案を,また,同月23日に本件課徴金納付命令書の謄本をそれぞれ送達した際に,いずれにおいても,被審人と当該165社との間における購入額の合計額の内訳を記載した「課徴金算定対象事業者一覧表」を同封した上で送達しており,被審人の不服申立ての便宜や処分の公正さの担保に,法令の規定以上に手厚く配慮している。
(オ) 以上のとおり,本件課徴金納付命令書における理由の記載に不備はなく,また,同命令書送達の際には不服申立ての便宜や処分の公正さの担保に配慮している。
イ 被審人の主張
課徴金納付命令書に係る理由付記の趣旨に鑑みれば,同命令書に記載すべき「課徴金に係る違反行為」及び納付すべき課徴金の「計算の基礎」とは,違反行為及び課徴金の計算に関する認定事実のほか,いかなる事実関係に基づき,いかなる法規を適用して課徴金の納付が命じられたのかを,課徴金納付命令の名宛人及び第三者においてその記載自体から了知し得るものでなければならない。
優越的地位の濫用は,前記2⑵のとおり,相手方ごとに成立するものであるから,複数の濫用行為を一つの課徴金納付命令書に記載するとしても,相手方を特定した上で,相手方ごとに課徴金の額の計算過程を記載すべきである。
本件課徴金納付命令書は,かかる記載を欠いており,不備がある。
また,公正取引委員会は,被審人に対し,課徴金納付命令書案や課徴金納付命令書を送達する際,165社の具体的名称及び当該各社との間における購入額を記載した「課徴金算定対象事業者一覧表」を同封しているが,それによって本件課徴金納付命令書の理由付記の不備の違法が治癒されるものではない。
第6 当委員会の判断
1 争点1(本件各行為は,被審人が,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に行ったものか)について
(1) 優越的地位の濫用規制の趣旨
独占禁止法第19条において,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に同法第2条第9項第5号(改正法施行日前においては旧一般指定第14項〔第1号ないし第4号〕)に該当する行為をすることが不公正な取引方法の一つとして規制されているのは,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは,相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに,相手方はその競争者との関係において競争上不利となる一方で,行為者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれがあり,このような行為は公正な競争を阻害するおそれ(公正競争阻害性)があるといえるからである(ガイドライン第1の1参照)。
公正競争阻害性については,①行為者が多数の相手方に対して組織的に不利益を与えているか,②特定の相手方に対してしか不利益を与えていないときであっても,その不利益の程度が強い又はその行為を放置すれば他に波及するおそれがあるかなど問題となる不利益の程度,行為の広がり等を考慮して判断することになる(ガイドライン第1の1参照)。
(2) 優越的地位の濫用の判断基準
前記⒧のような優越的地位の濫用規制の趣旨に照らせば,甲が乙に対し,取引上の地位が優越しているというためには,甲が市場支配的な地位又はそれに準ずる絶対的に優越した地位にある必要はなく,乙との関係で相対的に優越した地位にあれば足りると解される。また,甲が乙に対して優越した地位にあるとは,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合をいうと解される(ガイドライン第2の1参照)。
この判断に当たって,乙の甲に対する取引依存度が大きい場合には,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすく(ガイドライン第2の2⑴参照),甲の市場におけるシェアが大きい場合又はその順位が高い場合には,甲と取引することで乙の取引数量や取引額の増加が期待でき,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすく(同⑵参照),乙が他の事業者との取引を開始若しくは拡大することが困難である場合又は甲との取引に関連して多額の投資を行っている場合には,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすく(同⑶参照),また,甲との取引の額が大きい,甲の事業規模が拡大している,甲と取引することで乙の取り扱う商品又は役務の信用が向上する,又は甲の事業規模が乙のそれよりも著しく大きい場合には,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすいものといえる(同⑷参照)。
なお,甲が乙に対して,取引上の地位が優越しているかどうかは,上記の事情を総合的に考慮して判断するので,大企業と中小企業との取引だけでなく,大企業同士,中小企業同士の取引においても,取引の一方当事者が他方当事者に対し,取引上の地位が優越していると認められる場合がある(ガイドライン第2の2(注7)参照)。また,事業全体の経営に大きな支障を来せば,通常,「事業経営上大きな支障を来す」こととなるが,特定の事業部門や営業拠点など特定の事業の経営のみに大きな支障を来す場合であっても,当該特定の事業が当該事業者の経営全体の中で相対的に重要なものである場合などには,「事業経営上大きな支障を来す」ことがあり得る(「『優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方』〔原案〕に対する意見の概要とこれに対する考え方」〔平成22年11月30日公正取引委員会〕9頁参照)。
また,独占禁止法第2条第9項第5号イないしハが規定する①継続して取引する相手方に対して当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させる行為,②継続して取引する相手方に対して自己のために金銭,役務その他の経済上の利益の提供をさせる行為,③取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒む行為,④取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせる行為,⑤取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせる行為,⑥取引の相手方に対して取引の対価の額を減じる行為,⑦上記③ないし⑥のほか,取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し,若しくは変更し,又は取引を実施する行為(以下,①ないし⑦を「不利益行為」という。)を甲が行い,乙がこれを受け入れている事実が認められる場合,これを受け入れるに至った経緯や態様によっては,それ自体,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合にあったことをうかがわせる重要な要素となり得るものというべきである。なぜなら,取引関係にある当事者間の取引を巡る具体的な経緯や態様には,当事者間の相対的な力関係が如実に反映されるからである。
したがって,甲が乙に対して優越した地位にあるといえるか否かについては,①乙の甲に対する取引依存度,②甲の市場における地位,③乙にとっての取引先変更の可能性,④その他甲と取引することの必要性,重要性を示す具体的事実のほか,乙が甲による不利益行為を受け入れている事実が認められる場合,これを受け入れるに至った経緯や態様等を総合的に考慮して,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合であるかを判断するのが相当である。
そして,甲が乙に対して優越的な地位にあると認められる場合には,甲が乙に不利益行為を行えば,通常は,甲は自己の取引上の地位が乙に対して優越していることを利用してこれを行ったものと認められ(ガイドライン第2の3),このような場合,乙は自由かつ自主的な判断に基づいて不利益行為を受け入れたとはいえず,甲は正常な商慣習に照らして不当に独占禁止法第2条第9項第5号所定の行為を行っていたものと認めるのが相当である。
以下,被審人の取引上の地位が165社に対して優越しているか,本件各行為が不利益行為に該当するかについて検討し,被審人が165社に対して取引上の地位が優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に本件各行為を行ったものであるか否かを判断する。
(3) 被審人の取引上の地位が165社に対して優越しているか否か
ア 被審人の市場における地位
前記第3の1⑴のとおり,被審人の年間総売上高は,平成20年3    月期から平成22年3月期までの各年度において,いずれも1200億円台で推移しており,岡山県の区域に本店を置く各種商品小売業に係る事業者の中で第1位であった。
また,被審人は,岡山県内の食品スーパーの中で,平成19年度から平成21年度までの各年度における食品販売高のシェアの19パーセント前後を占める最大手の事業者であり,平成20年における同県の区域内の売場面積及び店舗数も,同県に店舗を有する小売業者のうち第1位で,年間売上高,シェア,売場面積及び店舗数のいずれにおいても第2位の事業者を大きく上回っていた。
さらに,証拠(査294,査390,査391)によれば,平成19年から平成22年頃にかけて,被審人は,年に2店舗程度のペースで新規店舗を開設するなど,事業を急速に拡大する勢いを見せており,消費者に人気のある小売業者であったことが認められる。
これらの事実によれば,被審人は,岡山県の区域内において食料品等の小売業を営む事業者として有力な地位にあったと認められる。
そうすると,岡山県を営業区域とする食料品等の製造業者及び卸売業者は,被審人と継続的に取引を行うことで,被審人を通じて,同県の区域内の消費者に幅広く自社の取扱商品を供給することができ,同区域内において多額かつ安定した売上高を見込むことができることになるから,一般的にいえば,被審人と取引することの必要性及び重要性は高いと評価することができる。
イ 被審人と165社の関係
     165社の事業規模及び事業内容,被審人に対する売上高,被審人に対する取引依存度,取引先に対する取引依存度における被審人の順位等は,別紙5の各1項記載のとおりであり,また,被審人との取引に係る取引先変更可能性や,その他被審人との取引の必要性,重要性に関する具体的事実に関し,165社による公正取引委員会の報告命令に対する回答内容等は,別紙5の各2項及び3項記載のとおりである。
これらを踏まえて,被審人の取引上の地位が165社に対して優越していたか否かについて,以下,判断する。
(ア) 以下に記載の32社(以下「32社」ということがある。)について
《納入業者(13)》,《納入業者(18)》,
《納入業者(20)》,《納入業者(21)》,
《納入業者(22)》,《納入業者(49)》,
《納入業者(58)》,《納入業者(60)》,
《納入業者(62)》,《納入業者(69)》,
《納入業者(77)》,《納入業者(81)》,
《納入業者(83)》,《納入業者(116)》,
《納入業者(118)》,《納入業者(119)》,
《納入業者(120)》,《納入業者(121)》,
《納入業者(122)》,《納入業者(126)》,
《納入業者(128)》,《納入業者(129)》,
《納入業者(130)》,《納入業者(131)》,
《納入業者(132)》,《納入業者(136)》,
《納入業者(148)》,《納入業者(149)》,
《納入業者(150)》,
《納入業者(159)》,《納入業者(162)》,
《納入業者(164)》
a  前記32社についての認定
前記32社については,前記アの事実に加え,別紙5記載の各事実,とりわけ,32社の被審人に対する取引依存度が大きいこと等の事実を考慮すれば,32社にとって,被審人との取引の継続が困難になることは事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれる。
また,32社は,別紙5にそれぞれ摘示したとおり,公正取引委員会の報告命令における「被審人との取引を継続できず,被審人に代わる取引先を見つける必要が生じた場合の状況」についての設問(設問「2⑺」。以下「取引先変更可能性の設問」という。)に対し,「被審人に代わる取引先を見つけること又は他の取引先との取引を増やすことで被審人との取引停止に伴う損失を補うことは困難である」との回答(以下「取引先変更困難との回答」という。)をし,被審人との取引を継続することの必要性についての設問(設問「2⑹」。以下「取引継続必要性の設問」という。)に対し,これを肯定する回答をしている(あるいはこれらと同等の供述をしている。ただし,《納入業者〔132〕》については後記bのとおりである。)。この点,上記に考慮した事実からすれば,32社には被審人との取引の維持・継続を重要視するに足りる客観的状況が認められるものといえ,上記の回答内容等はこれら客観的状況に沿うものといえる。
そして,32社については,後記⑷アないしエに認定する被審人による不利益行為を受け入れていた事実が認められる。これら不利益行為は,同⑸に詳述するとおり,被審人によるいわゆるバイイングパワーが発揮されやすい取引上の関係を背景とし,不特定多数の納入業者に対して,長期間にわたり,被審人の利益を確保することなどを目的として,役員等の指示の下,組織的かつ計画的に一連のものとして行われたものであるところ,32社がこれら不利益行為を受け入れるに至った上記のような経緯や態様は,それ自体,被審人が32社に対してその意に反するような要請等を行っても,これが甘受され得る力関係にあったことを示すものである(後記(イ)ないし(エ)に掲記の納入業者においても同じ。)。このことからすれば,32社は,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあったことがうかがわれる。
以上を総合的に考慮すれば,32社は,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあり,被審人の取引上の地位は32社に対して優越していたものと認められる。
b  前記認定の補足説明
32社のうち《納入業者(132)》については,別紙5記載のとおり,被審人との取引に係る取引先変更可能性やその他被審人との取引の必要性,重要性に関する具体的事実に関する認識が明らかではない。
しかし,別紙5掲記の証拠(査15〔左欄番号7,562及び1615の「取引額 第57期」欄〕,査27の5)を総合すれば,《納入業者(132)》の被審人に対する取引依存度は50パーセントを下回らないと認められることからすれば,上記の認識が明らかでないことは,同社に関する前記aの認定を左右するものではない。
(イ) 以下に記載の28社(以下「28社」ということがある。)について
《納入業者(9)》,《納入業者(10)》,
《納入業者(11)》,《納入業者(16)》,
《納入業者(37)》,《納入業者(44)》,
《納入業者(47)》,《納入業者(50)》,
《納入業者(53)》,《納入業者(54)》,
《納入業者(61)》,《納入業者(63)》,
《納入業者(65)》,《納入業者(68)》,
《納入業者(70)》,《納入業者(80)》,
《納入業者(91)》,《納入業者(100)》,
《納入業者(104)》,《納入業者(109)》,
《納入業者(114)》,《納入業者(127)》,
《納入業者(135)》,《納入業者(147)》,
《納入業者(157)》,《納入業者(158)》,
《納入業者(163)》,《納入業者(165)》
a  前記28社についての認定
前記28社については,前記アの事実に加え,別紙5記載の各事実,とりわけ,28社の取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高いこと等の事実を考慮すれば,28社にとって,被審人との取引の継続が困難になることは事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれる。
すなわち,納入業者にとっては,それぞれの取引先に対する売上高を常に一定水準に維持できるという保証はないところ,前記アの状況に照らし,被審人は,納入業者にとって安定的な取引を期待できる取引先ということができる。このような被審人に対して,取引先別の取引依存度の順位が高いということ(端的に,取引先別の売上高の順位が高いと言い換えてもよい。)は,当該納入業者にとって,被審人は,数ある取引先の中でも比較的高水準の売上高を安定的に確保できる取引先であって,継続的な事業戦略上,重視すべき有力な取引先の一つということができる。このような納入業者にしてみれば,被審人との取引の継続が困難となることは,取引依存度が大きい取引先を失った場合のように直ちに事業経営上大きな支障を来すということはないとしても,取引チャネルの選択や販売戦略の再構築といった事業方針の転換を迫られるなど,その後の事業経営に大きな支障を来す要因となり得るものである。
したがって,前記(ア)の32社のように被審人に対する取引依存度が絶対的に大きいとまではいえなくとも,取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高いこと等が認められる28社については,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれるということができる。
また,28社は,別紙5にそれぞれ摘示したとおり,公正取引委員会の報告命令における取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答をし,取引継続必要性の設問に対し,これを肯定する回答をしている(あるいはこれらと同等の供述をしている。)。この点,上記に考慮した事実からすれば,28社には被審人との取引の維持・継続を重要視するに足りる客観的状況が認められるものといえ,上記の回答内容等はこれら客観的状況に沿うものといえる。
そして,28社についても,後記⑷アないしエに認定する被審人による不利益行為を受け入れていた事実が認められるところ,同⑸のとおり,28社がこれら不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様からすれば,28社は,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあったことがうかがわれる。
以上を総合的に考慮すれば,28社は,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあり,被審人の取引上の地位は28社に対して優越していたものと認められる。
なお,28社のうち多くの者は,後記(ウ)又は(エ)の観点からも,被審人の取引上の地位が優越していると認められる。
b  前記認定の補足説明
被審人は,《納入業者(44)》につき,同社は被審人に対してブランド力のある商品や消費者が通常検討対象とする商品等を多く販売する納入業者であり,これらの商品が当該商品の属する商品群の売場の構成に重要なものであることから,被審人がこれら納入業者との取引を打ち切ることは想定し難く,被審人の優越的地位は認められない旨主張する(前記第5の1⑵ア(ウ)c)。
しかし,確かに《納入業者(44)》が被審人に販売する商品に相応のブランド力があることは否定できないところ(審32ないし審34),仮に,そのことからこれら商品が被審人の売場の構成に重要なものであり,被審人が同社との取引を安易に打ち切ることは想定し難い面があったとしても,このことのみをもって,直ちに同社に対する被審人の優越的な地位が否定されるものではない。
すなわち,全国的に消費者に対する知名度が高く,いわゆるブランド力があるといわれる商品を販売する納入業者にとっては,当該商品のナショナルブランドを維持する上で,全国に販路を網羅することが重要なのであって,通常,当該商品の行き届かない空白地帯が生じることのないような事業戦略をとるため(査296,査390,査392),被審人のように特定の地域において消費者に人気が高く,当該地域で第1位の売上高を誇る小売業者は,極めて重要な取引相手ということができる(査25)。このことからすれば,かかる納入業者側においても,被審人のようないわば小売業者としてブランド力のある取引相手に対し,その取引を打ち切ることは想定し難いのであって,納入業者がブランド力のある商品や消費者に人気のある商品を小売業者に販売していることのみをもって,直ちにこれら納入業者に対する小売業者の優越的な地位が否定されるものではない。
そして,《納入業者(44)》については,被審人が岡山県の区域内において食料品等の小売業を営む事業者として有力な地位にあったこと(前記ア)に加え,別紙5記載のとおり,取引先に対する取引依存度における被審人の順位が約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位と極めて高く,被審人に対する売上高に係る取引のほとんどを扱う《略》営業所の被審人に対する取引依存度が10パーセント前後あることなどからすれば,《納入業者(44)》が販売する商品に相応のブランド力があることは,これをもって同社に関する前記aの認定を左右するものではない。
したがって,被審人の《納入業者(44)》に関する上記主張は採用することができない。
(ウ) 以下に記載の51社(以下「51社」ということがある。)について
《納入業者(1)》,《納入業者(5)》,
《納入業者(6)》,《納入業者(12)》,
《納入業者(15)》,《納入業者(17)》,
《納入業者(23)》,《納入業者(27)》,
《納入業者(28)》,《納入業者(29)》,
《納入業者(30)》,《納入業者(31)》,
《納入業者(34)》,《納入業者(36)》,
《納入業者(38)》,《納入業者(39)》,
《納入業者(43)》,《納入業者(45)》,
《納入業者(46)》,《納入業者(48)》,
《納入業者(51)》,《納入業者(56)》,
《納入業者(59)》,《納入業者(66)》,
《納入業者(67)》,《納入業者(73)》,
《納入業者(74)》,《納入業者(76)》,
《納入業者(79)》,《納入業者(89)》,
《納入業者(97)》,《納入業者(99)》,
《納入業者(101)》,《納入業者(102)》,
《納入業者(112)》,《納入業者(123)》,
《納入業者(124)》,《納入業者(133)》,
《納入業者(138)》,《納入業者(140)》,
《納入業者(141)》,《納入業者(142)》,
《納入業者(143)》,《納入業者(144)》,
《納入業者(151)》,《納入業者(152)》,
《納入業者(153)》,《納入業者(154)》,
《納入業者(155)》,《納入業者(160)》,
《納入業者(161)》
a  前記51社についての認定
前記51社については,前記(ア)又は(イ)と同等の状況にはないとしても,前記アの事実に加え,別紙5記載の各事実,とりわけ,51社において被審人との取引を主に担当している営業拠点(岡山県を営業区域とする支社,支店,営業所,事業所等のほか,総合スーパーや食品スーパーを所管する営業部門)の被審人に対する取引依存度が大きいこと,あるいは,同営業拠点の取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高いこと等の事実を考慮すれば,51社にとっては,被審人との取引の継続が困難となれば,当該営業拠点の収益の大幅な落込みが予想され,岡山県の区域内における事業方針の修正を余儀なくされるなど,全社的にみてもその後の事業経営に大きな支障を来すことが看取できる。これらのことからすれば,51社のうちには,事業規模が相対的に大きい者や,全社的にみれば被審人に対する取引依存度が小さい者があることを考慮しても,なお51社にとって,被審人との取引の継続が困難になることは事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれる。
また,51社は,別紙5にそれぞれ摘示したとおり,公正取引委員会の報告命令における取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答をし,取引継続必要性の設問に対し,これを肯定する回答をしている(あるいはこれらと同等の供述をしている。)。この点,被審人との取引の継続や被審人からの各種要請等の受入れを判断するのは,通常,被審人との取引を主に担当している営業拠点において,日常的に被審人と密接な関係を築いている当該取引の担当者であるところ,上記に考慮した各事実からすれば,51社には,当該営業拠点や当該担当者が被審人との取引の維持・継続を重要視するに足りる客観的状況が認められるものといえ,上記の回答内容等はこれら客観的状況に沿うものといえる。
そして,51社についても,後記⑷アないしエに認定する被審人による不利益行為を受け入れていた事実が認められるところ,同⑸のとおり,51社がこれら不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様からすれば,51社は,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあったことがうかがわれる。
以上を総合的に考慮すれば,51社は,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあり,被審人の取引上の地位は51社に対して優越していたものと認められる。
なお,51社のうちには,後記(エ)の観点からも,被審人の取引上の地位が優越していると認められる者がある。
b  前記認定の補足説明
(a) 営業拠点について
被審人は,審決案に対する異議申立書において,例えば《納入業者(1)》につき,同社《略》支店が同社の経営全体の中で相対的に重要であることは何ら認定されていないから,取引先変更困難性は同社全体で検討されるべきであるなどと主張する。
しかし,一般に営業拠点の設置や統廃合は,事業戦略上の重要事項であるところ,殊に,食品スーパーなど地場の消費者を顧客とする小売業者に対し,多くの商品を販売する納入業者にとっては,地域の情報を収集してきめ細やかな営業活動を行うためにも,営業拠点の配置や構成は極めて重要な問題であると考えられる。
この点,《納入業者(1)》等においても,岡山県の区域を営業エリアに含む営業拠点が経営全体の中で相対的に重要であることや,そのことなどから,被審人との取引の継続が困難となると全社的な事業経営上大きな支障を来すことがうかがわれるのであって(査40,査294,査311,査339,査341,査394),これらの納入業者にとっての取引先変更困難性を,常に全社的な観点から検討しなければならないというものではない。
すなわち,岡山県の区域において第1位の売上高を誇る小売業者である被審人に対し,多くの商品を販売している《納入業者(1)》の《略》支店は,別紙5記載の同支店の事業規模等に照らしても,同社の経営全体の中で相対的に重要な営業拠点であることは優に認められ,また,被審人との取引の継続が困難となることは,営業拠点である《略》支店に係る特定の事業に大きな支障を来すものであるから,同社全体にとっても,事業経営上大きな支障を来すものであることがうかがわれる。
その他,51社のうちに,各営業拠点の重要性に疑いを持つべき事情は何らうかがわれない。
したがって,この点に関する被審人の主張は採用できない。
(b) 《納入業者(5)》について
被審人は,《納入業者(5)》につき,同社は被審人アンケートの「問1.8」において,被審人からの取引停止の予告が取引停止の6か月前に行われた場合に,全社的にみれば被審人との取引額を「完全に補える」と回答しており(審6の4),このような納入業者に取引先変更困難性を認定することはできず,被審人が優越的地位にあるとは認められないと主張する(前記第5の1⑵ア(ウ)a(b))。
しかし,取引先変更困難性とは,被審人との取引額を補えるか否かという事情のみからではなく,被審人と取引することによって得られる自社及び自社商品の信用や,岡山県の区域内の店舗数が小売業者の中で第1位である被審人と取引することにより,自社の商品を同県を含めた全国に流通させるという納入業者の営業政策や期待といった事情に加え,被審人との取引を主に担当している営業拠点が存する場合には,前記(a)のとおり,当該営業拠点における事情も踏まえて判断されるものであるから,納入業者が,被審人との取引額を全社的な観点から「完全に補える」と回答したからといって,直ちに取引先変更困難性が認められないとはいえない。
そして,《納入業者(5)》については,被審人が岡山県の区域内において食料品等の小売業を営む事業者として有力な地位にあったこと(前記ア)に加え,別紙5記載のとおり,被審人に対する売上高が年間《金額》円前後と大きいこと,その約50パーセントに当たる取引を扱っている同社の《略》支店の被審人に対する取引依存度が8パーセント前後あること,同支店の取引先に対する取引依存度における被審人の順位が約《取引先数》社又は約《取引先数》社中上位第2位又は第3位と極めて高いこと,同社において同支店の営業区域を含む中国地方の5県を管轄する《略》部の《略》課の営業担当者が,被審人に代わる取引先を新たに見つけることは容易ではなく,被審人は重要な取引先である旨供述していることなどからすれば,《納入業者(5)》の《略》支店は,同社の経営全体の中で相対的に重要であることが認められ,同支店と被審人との取引の継続が困難となると同社全体の事業経営上大きな支障を来すことがうかがわれる。だとすれば,同社が被審人アンケートにおいて,全社的な観点から被審人との取引額を「完全に補える」と回答していること(審6の4)は,同社に関する前記aの認定を左右するものではない。
敷衍すると,《納入業者(5)》の上記営業担当者は,後記⑷ア(イ)a(b)ⅳに認定するとおり,かつて,被審人からの従業員派遣の要請を断ったところ,仕入担当者から激しく罵倒されたため,被審人からの従業員派遣要請は断れないものだと思い知らされ,以降これに応じてきた旨を赤裸々に供述している(査25)。このことからしても,同社において日常的に被審人と密接な関係を築いている上記営業担当者が,被審人との取引の維持・継続を重要視していることは明らかであり,同社にとっては,被審人との取引の継続が困難になることが,同社全体の事業経営上大きな支障を来すため,同社の《略》支店に対して被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあったことが顕著にうかがえる。
したがって,被審人の《納入業者(5)》に関する上記主張は採用することができない。
なお,被審人は,《納入業者(5)》についても,同社は被審人に対してブランド力のある商品や消費者が通常検討対象とする商品等を多く販売する納入業者であり,被審人がこれら納入業者との取引を打ち切ることは想定し難く,被審人の優越的地位は認められないと主張するところ(前記第5の1⑵ア(ウ)c),確かに同社が被審人に販売する商品に相応のブランド力があることは否定できないものの(審33),ブランド力のある商品や消費者に人気のある商品を販売していることのみをもって,直ちにこれら納入業者に対する被審人の優越的な地位が否定されるものでないことは,前記(イ)bに述べたとおりである。
(c) 《納入業者(27)》について
《納入業者(27)》については,同社《略》部の被審人に対する取引依存度が極めて小さいものと見受けられる。
しかし,別紙5記載のとおり,《納入業者(27)》《略》部の営業区域は近畿地方,中国地方のみならず北陸地方を含む広範にわたるところ,それにもかかわらず,取引先に対する取引依存度における被審人の順位は低いものではない(《取引先数》社中上位第40位)。これに加えて,同社《略》部の課長は,被審人は「取引先の中での順位は全国及び《略》部担当地域のいずれにおいても上位5パーセントに入っており,特に岡山の中では5本の指に入ります。」と供述し(査396),また,同《略》部《略》課長の供述には「《略》営業所」との表現が見受けられるところ(査397。なお,これらの供述からは,同社《略》部は複数の営業拠点を統括する部署であり,営業拠点として《略》営業所が存在するものと推認できる。),両名がいずれも,被審人との取引の重要性について,全社的な影響や自社の営業方針と絡めて詳細に供述していること等からすれば,被審人との取引を主に担当している同社の営業拠点においては,被審人との取引の継続が困難となれば,岡山県の区域内における事業方針の修正を余儀なくされるなど,全社的にみてもその後の事業経営に大きな支障を来すことは十分にうかがわれる。
したがって,《納入業者(27)》《略》部の被審人に対する取引依存度が小さいことは,同社に関する前記aの認定を左右するものではない。
(d) 《納入業者(142)》について
被審人は,《納入業者(142)》についても,同社は被審人に対してブランド力のある商品や消費者が通常検討対象とする商品等を多く販売する納入業者であり,被審人がこれら納入業者との取引を打ち切ることは想定し難く,被審人の優越的地位は認められないと主張する(前記第5の1⑵ア(ウ)c)。
しかし,確かに《納入業者(142)》が被審人に販売する商品に相応のブランド力があることは否定できないものの(審35),ブランド力のある商品や消費者に人気のある商品を販売していることのみをもって,直ちにこれら納入業者に対する被審人の優越的な地位が否定されるものでないことは,前記(イ)bに述べたとおりである。そして,別紙5記載のとおり,同社《略》営業所における被審人に対する取引依存度は約13パーセント又は約17パーセントにも及び,極めて大きいことからすれば,同社の商品に相応のブランド力があることに鑑みても,同営業所において被審人との取引の継続が困難となれば,岡山県の区域内における同社の事業方針の修正を余儀なくされるなど,全社的にもその後の事業経営に大きな支障を来すことが十分にうかがわれる。
したがって,被審人の《納入業者(142)》に関する上記主張は採用できず,同社の商品に相応のブランド力があることは,前記aの認定を左右するものではない。
(e) 《納入業者(143)》について
《納入業者(143)》は,被審人アンケートの「問1.8」(被審人からの取引停止の予告が取引停止の6か月前に行われた場合に,被審人との取引額をどのくらい補うことができたと考えるかとの設問)に対し,「8割以上10割未満」補うことができると回答し,また,被審人アンケートの「問1.10」(被審人との取引において振り替えることが難しいと考えた取引額を失った場合に,貴社全体の事業経営に影響を生じさせる程度のものかとの設問)に対し,影響がない旨回答している(審6の102)。
しかし,被審人アンケートに対する上記の回答は,《納入業者(143)》本社において全社的な観点から回答されたものであるところ,別紙5記載のとおり,同社の取引先に対する取引依存度における被審人の順位が全社的にみても高い(約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中上位第5位又は第6位)のみならず,同社《略》本部においては極めて高く(近畿地区において約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中上位第1位ないし第3位,岡山県において《取引先数》社ないし《取引先数》社中上位第1位),さらに,同《略》本部の岡山県における取引に限定してみれば,被審人に対する取引依存度が約23.5パーセントないし26.6パーセントにも及ぶことが認められる(査24の143)。
これらの事情を総合的に考慮すると,《納入業者(143)》にとって,被審人との取引の継続が困難となれば,たとえ全社的な観点から被審人との取引額を補うことができたとしても,岡山県の区域内における事業方針の修正を余儀なくされるなど,全社的にもその後の事業経営に大きな支障を来すことは十分にうかがわれる。
したがって,別紙5記載の《納入業者(143)》と被審人との取引(殊に同社《略》本部における取引)における客観的状況に照らせば,被審人アンケートに対する上記の回答は,これをもって同社に関する前記aの認定を左右するものではない。
(f) 《納入業者(1)》,《納入業者(15)》,《納入業者(23)》,《納入業者(67)》及び《納入業者(123)》について
《納入業者(1)》,《納入業者(15)》,《納入業者(23)》,《納入業者(67)》及び《納入業者(123)》の5社については,被審人アンケートの「問1.8」(被審人からの取引停止の予告が取引停止の6か月前に行われた場合に,被審人との取引額をどのくらい補うことができたと考えるかとの設問)に対し,「2割未満」,「2割以上4割未満」,「4割以上6割未満」,又は「6割以上8割未満」などと回答し,また,被審人アンケートの「問1.10」(被審人との取引において振り替えることが難しいと考えた取引額を失った場合に,貴社全体の事業経営に影響を生じさせる程度のものかとの設問)に対し,影響がない旨回答している(審6の1,審6の10,審6の18,審6の45,審6の88)。
しかし,前記aに考慮した岡山県を営業区域に含む各営業拠点において,被審人に対する取引依存度が高いこと(特に《納入業者〔1〕》,《納入業者〔15〕》,《納入業者〔67〕》の各営業拠点の被審人に対する取引依存度は極めて高い。)に加え,取引先に対する取引依存度における被審人の順位が全社的にみても極めて高いことや,被審人に対する売上高が大きいこと(特に《納入業者〔1〕》,《納入業者〔23〕》,《納入業者〔67〕》,《納入業者〔123〕》の各営業拠点における被審人に対する売上高は多額である。)等の事実を併せて考慮すれば,上記5社にとって,被審人との取引の継続が困難となれば,岡山県の区域内における事業方針の修正を余儀なくされるなど,全社的にみてもその後の事業経営に大きな支障を来すことは十分にうかがわれる。
これに対し,被審人アンケートに対する上記5社の回答は,営業拠点の担当者が回答しているものもあるが,上記アンケートの設問に対応して5社の全社的な観点から回答されたものであるところ,別紙5記載の各営業拠点における客観的状況に照らせば,これをもって上記5社に関する前記aの認定を覆すものとはいえない。
むしろ,《納入業者(1)》の《略》支店《略》課長(査39,査40),《納入業者(67)》の《略》支店《略》課の従業員(査32),同社《略》支店の《略》課長(査31)や取締役支店長(査327),《納入業者(123)》の《略》支社《略》部長(査313)の各供述,《納入業者(15)》の《略》営業所長による公正取引委員会の報告命令に対する回答内容(査24の15)は,それぞれの営業拠点の客観的状況に沿うものであり,この点に鑑みても上記5社に関する前記aの認定が左右されるものではない。
(エ) 以下に記載の16社(以下「16社」ということがある。)について
《納入業者(55)》,《納入業者(57)》,
《納入業者(82)》,《納入業者(94)》,
《納入業者(95)》,《納入業者(96)》,
《納入業者(98)》,《納入業者(103)》,
《納入業者(106)》,《納入業者(107)》,
《納入業者(108)》,《納入業者(110)》,
《納入業者(113)》,《納入業者(115)》,
《納入業者(117)》,《納入業者(156)》
上記16社については,前記(ア)ないし(ウ)と同等の状況にはないとしても,前記アの事実に加え,別紙5記載の各事実,とりわけ,資本金額,年間総売上高,掲記の各証拠から認められる従業員数などに照らして16社の事業規模が極めて小さいと認められること等の事実を考慮すれば,被審人に対する取引依存度が小さいことを勘案しても,なお16社にとって,被審人との取引の継続が困難になることは事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれる。
すなわち,納入業者の多くは被審人よりも事業規模が小さいところ(前記(ア)ないし(ウ)に挙げた納入業者のうちにも事業規模が比較的小さい事業者は多数存在する。),殊に,16社のうちには,年間総売上高が被審人の年間総売上高(1200億円台で推移)と比較して極めて少額である者や,営業区域が被審人の営業区域内に限定されているとみられる者もあり,被審人の事業規模が16社のそれより著しく大きい場合に当たると認められる(ガイドライン第2の2(4))。これら小規模な納入業者にとってみれば,被審人との取引に代えて,新たな取引先と取引を開始し,あるいは既存の取引先との取引を拡大することは,必ずしも容易なことではない。なぜなら,納入業者の事業規模が小さければ,新たな取引の開始につながる,商品の需要や売れ筋等に関して入手できる情報も限定されると考えられるからである。他方で,これら小規模な納入業者が既に取引を行っている被審人は,前記アのとおり,岡山県の区域内において小売業を営む事業者として,その事業が拡大基調にあり,今後の取引の拡大を期待できる取引先であり,これら納入業者自らの事業活動の拡大や安定的な継続のためには,被審人との取引が必要かつ重要であると認められる。このような小規模な納入業者にしてみれば,被審人との取引の継続が困難となることは,直ちに資金繰りの悪化を招きかねず,その取引依存度が小さかったとしても,早急な事業方針の転換を迫られるなど事業経営に大きな支障を来す要因となり得るものである。
したがって,事業規模が極めて小さいこと等が認められる16社についても,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれるということができる。
また,別紙5にそれぞれ摘示した,被審人との取引に係る取引先変更可能性や取引の必要性,重要性に関する16社の公正取引委員会の報告命令に対する回答内容等は,上記に考慮した客観的状況に沿うものといえる。
そして,16社についても,後記⑷アないしエに認定する被審人による不利益行為を受け入れていた事実が認められるところ,同⑸のとおり,16社がこれら不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様からすれば,16社は,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあったことがうかがわれる。
以上を総合的に考慮すれば,16社は,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあり,被審人の取引上の地位は16社に対して優越していたものと認められる。
(オ) 以下に記載の38社(以下「38社」ということがある。)について
《納入業者(2)》,《納入業者(3)》,
《納入業者(4)》,《納入業者(7)》,
《納入業者(8)》,《納入業者(14)》,
《納入業者(19)》,《納入業者(24)》,
《納入業者(25)》,《納入業者(26)》,
《納入業者(32)》,《納入業者(33)》,
《納入業者(35)》,《納入業者(40)》,
《納入業者(41)》,《納入業者(42)》,
《納入業者(52)》,《納入業者(64)》,
《納入業者(71)》,《納入業者(72)》,
《納入業者(75)》,《納入業者(78)》,
《納入業者(84)》,《納入業者(85)》,
《納入業者(86)》,
《納入業者(87)》,《納入業者(88)》,
《納入業者(90)》,《納入業者(92)》,
《納入業者(93)》,《納入業者(105)》,
《納入業者(111)》,《納入業者(125)》,
《納入業者(134)》,《納入業者(137)》,
《納入業者(139)》,《納入業者(145)》,
《納入業者(146)》
a  前記38社についての認定
     前記38社については,別紙5に認定した事実をみても,前記(ア)ないし(エ)と同等の状況にあるとは認められない(《納入業者〔75〕》については取引依存度を含め被審人との取引状況の詳細が不明である。)。
確かに,38社のうちには,前記(ウ)と同等の状況にあるかに見受けられる納入業者もあるが,それら納入業者は,いずれも被審人に対する全社的な取引依存度が極めて小さい上に,後記bのとおり,例えば,被審人アンケートの「問1.8」に対し,被審人との取引額を「完全に補える」と回答しているなど,被審人の取引上の地位が優越していたとはいえないことを示す相応の事情も認められる。
これらの事情を総合的に考慮すれば,前記アの事実を勘案しても,38社にとって,被審人との取引の継続が困難になることが直ちに事業経営上大きな支障を来すものとは認められない。
また,後記⑸のような被審人による不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様を勘案しても,38社については,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すために,被審人が著しく不利益な要請等を行ってもこれを受け入れざるを得ないような場合にあったとまではなお断ずることはできない。
その他,被審人が38社に対して優越的な地位にあったと認めるに足りる的確な証拠はない。
b  前記認定の補足説明
(a) 《納入業者(3)》について
《納入業者(3)》については,別紙5記載のとおり,被審人に対する年間売上高が巨額であること(約《金額》円ないし約《金額》円。同社《略》支社に限ってみても約《金額》円ないし約《金額》円)や,同社《略》支社の《略》支店の《略》が,同支店における被審人に対する取引依存度が約10パーセントである旨供述していること(査44)が認められる。
他方で,別紙5記載のとおり,《納入業者(3)》の被審人に対する全社的な取引依存度は極めて小さい上に,同社は被審人アンケートの「問1.8」に対し,被審人との取引額を「完全に補える」と回答しているところ(審6の2),当該回答の作成者である同社《略》部長《B1》は,参考人審尋において,同社の26の営業拠点の半分ほどでは,それぞれ毎年《金額》から《金額》円前後の取引の喪失や獲得があること,被審人との取引額を《略》支店のみでカバーすることができなくとも,《略》支社や全国でカバーすることが可能であること,同社はこれまで年間《金額》円ぐらいの取引を失ったとしても前年ベースまでカバーすることができていたこと,さらには,後記⑷に認定するような被審人の不利益行為に係る要請に関し,自社にPR効果などのメリットがないときや中長期的に採算が取れない負担などには応じていないことなどを明確に陳述している(《B1》参考人審尋速記録。ただし,このような納入業者の認識にかかわらず,被審人による本件各行為が「不利益行為」に当たることは後記⑷イ(イ)c(a),同ウ(イ)a(c)ⅱ等に説示するとおりである。以下同じ。)。
また,上記《略》支店の《略》の供述(査44)によれば,同支店が被審人からの上記不利益行為を受け入れていたことは明らかであるが,被審人との取引上の関係を憂慮し,あるいは被審人からの強引な要請を受けてやむを得ずにこれに応じていたといった,上記《略》部長の陳述を覆すほどの事情はうかがえない。
これらの事情を総合的に考慮すると,確かに,《納入業者(3)》《略》支社の《略》支店に関わる事実(殊に,同支店の《略》の供述によれば被審人に対する取引依存度が約10パーセントであるとうかがわれることや,被審人による不利益行為を受け入れていたこと)に着目すれば,仮に被審人との取引の継続が困難となれば,同支店の事業活動にある程度の支障を来すであろうことは認めることができるものの,それ故に同社全体の事業経営に大きな支障を来すとか,そのために被審人が著しく不利益な要請等を行っても,同社がこれを受け入れざるを得ないような場合にあったとまでは断ずることができない。
したがって,《納入業者(3)》については,被審人の取引上の地位が優越していたことをうかがわせる事情は多々存在するものの,前記aのとおりこれを認定するにはなお足りないというべきである。
(b) 《納入業者(4)》,《納入業者(52)》及び《納入業者(139)》について
《納入業者(4)》,《納入業者(52)》及び《納入業者(139)》については,別紙5記載のとおり,岡山県を営業区域に含む各営業拠点において,取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高い(各営業拠点における被審人に対する取引依存度もあながち小さくはない。)ことが認められる。
他方で,別紙5記載のとおり,上記3社の事業規模は極めて大きく,被審人に対する全社的な取引依存度は極めて小さい(《納入業者〔52〕》の被審人に対する全社的な取引依存度は明らかではないが,極めて小さいものと推認できる。)上に,上記3社が被審人に対して販売する商品に相応のブランド力があることは否定できず(審33ないし審35),また,被審人アンケートの「問1.8」に対して被審人との取引額を「完全に補える」又は「8割以上10割未満」補うことができる旨回答していること(審6の3,審6の38,審6の98)などの事情も認められる。
これらの事情を総合的に考慮すると,上記のようなブランド力に関する事実や,被審人との取引額を「完全に補える」などといった回答から,直ちに被審人の優越的な地位が否定されるものではないとしても,上記3社の営業拠点において,取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高いとの事実をもって,上記3社に対する被審人の取引上の地位が優越しているとまでは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠もない。
さらに,《納入業者(139)》について補足すると,別紙5記載のとおり,同社《略》部(被審人に対する取引依存度は約4.1又は4.3パーセント)の営業区域は四国4県を含んだものであり,同《略》部《略》営業所の営業区域についてみれば,被審人に対する取引依存度は更に大きくなるものと見受けられること,同営業所の所長が被審人に代わる取引先を見つけることが困難である趣旨の供述をしていること(査297)が認められる。しかし,同供述によれば同営業所が後記⑷に認定するような被審人からの不利益行為を受け入れていたことは明らかであるが,同所長が「それは強要されたものではありません。」と供述していることなどからすれば,被審人との取引上の関係を憂慮し,同営業所,ひいては同社がこれを受け入れざるを得ないような場合にあったとまでは断ずることができない。
したがって,《納入業者(4)》,《納入業者(52)》及び《納入業者(139)》についても,被審人の取引上の地位が優越していたことをうかがわせる事情は多々存在するものの,前記aのとおりこれを認定するにはなお足りないというべきである。
(c) 《納入業者(14)》について
《納入業者(14)》についても,別紙5記載のとおり,岡山県を営業区域に含む同社《略》支店において,取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高い(同支店における被審人に対する取引依存度もあながち小さくはない。)ことが認められる。
しかし,別紙5記載のとおり,《納入業者(14)》の被審人に対する全社的な取引依存度は極めて小さい上に,同社が被審人アンケートの「問1.8」に対し,被審人との取引額を「完全に補える」と回答していること(審6の9)などを考慮すれば,同社《略》支店において,取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高いとの事実をもって,同社に対する被審人の取引上の地位が優越しているとまでは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠もない。
確かに,《納入業者(14)》《略》支店の担当課長の供述の一端には,被審人は「売上額で約7割を占めており,一番大きな取引先です。」と述べた部分(査37)も見受けられるが,これは同人自身が担当する取引先である被審人の重要性を強調する文脈で述べられたものにすぎず,同支店の被審人に対する取引依存度と捉えるには客観性に欠け,同社による公正取引委員会の報告命令における回答内容(別紙5の第14記載の1項)を超える事実を認定するには不十分である。
したがって,《納入業者(14)》についても,前記aのとおり被審人の取引上の地位が優越していたものとは認められない。
(d) 《納入業者(35)》について
《納入業者(35)》については,別紙5記載のとおり,同社《略》支店(被審人に対する取引依存度は約4.9ないし約6.3パーセント)の営業区域は四国地方を含んだものであるにもかかわらず,同支店の取引先に対する取引依存度における被審人の順位は高く(約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中上位第3位又は第4位),岡山県と広島県の一部を営業区域とする同支店《略》課(《C1》参考人審尋速記録)の取引についてみれば,被審人に対する取引依存度も更に大きくなるものと見受けられる。
他方で,別紙5記載のとおり,《納入業者(35)》の被審人に対する全社的な取引依存度は極めて小さい上に,同社《略》支店の次長《C1》は,参考人審尋において,被審人アンケートの「問1.8」に対し,被審人との取引額を補うことができる割合を「2割未満」と回答しているが(審6の27),それは岡山に限定しての回答であり,全社的には「完全に補える」ものであること,後記⑷に認定するような被審人の不利益行為に係る要請に対し,直近の売上につながるなどのメリットを感じない場合には断る場合があったことなどを明確に陳述している。
また,《納入業者(35)》が被審人に対して販売する商品に,中国地方を中心に相応のブランド力があることも否定できない(審32ないし審34,《C1》参考人審尋速記録)。
これらの事情を総合的に考慮すると,上記のようなブランド力に関する事実や,被審人との取引額を完全に補えるといった上記の陳述から,直ちに被審人の優越的な地位が否定されるものではないとしても,《納入業者(35)》《略》支店において,取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高いとの事実をもって,同社に対する被審人の取引上の地位が優越しているとまでは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠もない。
したがって,《納入業者(35)》についても,前記aのとおり被審人の取引上の地位が優越していたものとは認められない。
ウ その他の被審人の主張について
被審人は,別紙4の「優越的地位なし」欄に○を付した納入業者については,取引先変更困難性が認められない場合,被審人に対する取引依存度が低い場合,被審人による取引打切りが想定し難い場合,又は価格等の取引条件の交渉が対等になされている場合の少なくとも一つに該当することから,被審人が優越的地位にあるとは認められない旨主張する(前記第5の1⑵ア(ウ))。
しかし,前記イ(ア)ないし(エ)記載の合計127社(以下「127社」という。)については,同(イ)及び(ウ)の各bに説示したほか,以下の(ア)及び(イ)のとおり,被審人の主張を採用することはできない。
(ア) 取引依存関係に関する主張について
被審人は,独自の基準や独自の計算方法を基に,被審人に対する取引依存度が10パーセント未満の者や,被審人アンケートにおいて,被審人からの取引停止の予告が取引停止の6か月前に行われた場合に「被審人との取引額を補えない」と回答した額の被審人との取引額全体に対する割合に取引依存度を乗じた数値(被審人に対する取引額のうち取引先の変更等により補うことが困難であるとする取引額の割合)が10パーセントを超えない者については,仮に被審人との取引を失ったとしても,その事業経営上大きな支障を来すものではなく,被審人が優越的地位にあるとは認められない旨主張する(前記第5の1⑵ア(ウ)b)。
しかし,事業経営上大きな支障となるか否かは,取引依存度や取引先の変更等により補うことが可能な取引額のみによって定量的に決せられるものではない。
そして,本件においては,前記ア及びイ(ア)ないし(エ)のとおり,被審人が岡山県の区域内において食料品等の小売業を営む事業者として有力な地位にあったこと,127社の被審人に対する取引依存度(被審人との取引を主に担当している営業拠点の取引依存度を含む。)が大きいことや,取引先に対する取引依存度(上記営業拠点の取引依存度を含む。)における被審人の順位が高いこと,納入業者の事業規模が小さいこと,さらには,127社が後記⑷に認定する被審人の不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様などの諸事情を総合的に考慮すれば,127社のいずれについても,審査官の主張する違反行為期間中,被審人の地位が127社に対して優越していたことが認められるものである。
したがって,被審人の主張は採用できない。
(イ) 納入価格に関し被審人と対等に交渉できる場合に関する主張について
被審人は,公正取引委員会の報告命令に対し,「被審人との間において納入価格に関し対等に交渉できる」と回答した,又はそれと同旨の回答をした納入業者は,被審人がこれらの者の意思を抑圧して搾取的行為をなし得る立場にはなかったものであり,被審人の優越的地位は認められない旨主張する(前記第5の1⑵ア(ウ)d)。
しかし,127社のうちで上記のような回答をした納入業者についてみれば,別紙5記載のとおり,その全ての納入業者が取引先変更可能性の設問に対しては取引先変更困難との回答(あるいはこれと同等の供述)をしており(別紙5の各2項に掲記の各証拠),現に後記⑷に認定する被審人の不利益行為を受け入れていたのであるから,納入価格に関し被審人と真に対等に交渉できていたとはにわかに措信し難い。このことからすれば,納入価格に関し被審人と対等に交渉できるとの回答のみから,127社にとって,被審人との取引の継続が困難となっても事業経営上大きな支障とならないものと断ずることはできない。
そして,本件においては,前記ア及びイ(ア)ないし(エ)のとおり,被審人が岡山県の区域内において食料品等の小売業を営む事業者として有力な地位にあったこと,127社の被審人に対する取引依存度(被審人との取引を主に担当している営業拠点の取引依存度を含む。)が大きいことや,取引先に対する取引依存度(上記営業拠点の取引依存度を含む。)における被審人の順位が高いこと,納入業者の事業規模が小さいこと,さらには,127社が後記⑷に認定する被審人の不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様などの諸事情を総合的に考慮すれば,127社のいずれについても,審査官の主張する違反行為期間中,被審人の地位が127社に対して優越していたことが認められるものである。
したがって,被審人の主張は採用できない。
エ 小括
     以上のとおり,前記イ(ア)ないし(エ)記載の127社にとっては,審査官の主張する違反行為期間中,被審人との取引の継続が困難となることが事業経営上大きな支障を来すため,被審人が127社にとって著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあったものというのが相当であり,被審人の取引上の地位が127社に対して優越していたことが認められる。
これに対し,前記イ(オ)に記載の38社に対しては,被審人の取引上の地位が優越していたことを認めるに足りる証拠はない。
(4) 本件各行為は不利益行為に当たるか
次に,被審人による本件各行為が前記⑵に述べた不利益行為に該当するかについて判断する。
ア 本件従業員等派遣
(ア) 従業員等の派遣を受ける行為が不利益行為となる場合
本件における被審人と納入業者との間の取引は買取取引であるが,このような取引についてみれば,売主は,買主に商品を引き渡すことにより取引契約上の義務を履行したこととなるところ,買主が小売業者である場合に,買主の新規店舗の開設,既存店舗の改装及びこれらの店舗での開店セール等の際に,買取取引で仕入れた商品を他の陳列棚から移動させ,又は新たに若しくは補充として店舗の陳列棚へ並べる作業や,接客するという作業などは,買主が消費者に商品を販売するための準備作業又は消費者に対する販売作業そのものであり,本来買主が行うべき役務であって,売主が自社の従業員等を派遣して上記のような作業に当たらせること(以下「新規店舗開設等作業のための従業員等派遣」という。)は,売主としては当該従業員等による労務をその派遣の期間逸失するものであることに加えて,交通費などの派遣に必要となる費用が発生した場合には,当該費用を負担することになることから,売主にとって通常は何ら合理性のないことであり,そのような行為は,原則として不利益行為に当たることになる。
もっとも,新規店舗開設等作業のための従業員等派遣については,例外的に,①従業員等の業務内容,労働時間及び派遣期間等の派遣の条件について,あらかじめ相手方と合意し,かつ,派遣される従業員等の人件費,交通費及び宿泊費等の派遣のために通常必要な費用を買主が負担する場合,②従業員等が自社の納入商品のみの販売業務に従事するものなどであって,従業員等の派遣による相手方の負担が従業員等の派遣を通じて相手方が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲内のものであり,相手方の同意の上で行われる場合は,不利益行為には当たらないと解される。
以上のとおり,相手方に従業員等を派遣させて新規店舗開設等作業に当たらせる行為については,上記①及び②の例外と認められるべき場合(以下「従業員等派遣例外事由」という。)はあるものの,通常は相手方にとって何ら合理性のないことであるから,従業員等派遣例外事由に当たるなどの特段の事情がない限り,不利益行為に当たると認めるのが相当である。
(イ) 本件に係る判断
a  認定事実
証拠によれば,被審人が納入業者に従業員等の派遣を要請した経緯及び納入業者の従業員等が従事していた作業の内容等について,以下の事実が認められる。
(a) 被審人の《A1》社長は,平成16年4月5日に開催された被審人のバイヤー会議(毎週1回,代表取締役が招集し,役員クラス以下バイヤー等の仕入担当者全員が出席して,役員からバイヤー等に対して営業上の指示事項等が伝達される会議)において,平成16年審決の事案に関して公正取引委員会の勧告を受けたことを踏まえ,従業員等の派遣要請については,従前のように被審人から個々の納入業者に直接要請するのではなく,窓口となる納入業者に対して要請し,その納入業者において他の納入業者の取りまとめをしてもらうこと,要請に当たり電子メールなどの文書を残さないことなどを指示した。
上記指示を受け,商品部の各部門においては,取引額が大きく被審人との付き合いも長い《納入業者(1)》等の納入業者に対し,店舗オープン等に係る日程を連絡し,これらの納入業者から他の納入業者に従業員等の派遣要請の連絡をしてもらうこととし,本件従業員等派遣を受けていた。
(査26,査47の2,査73ないし査79)
(b) i 被審人は,本件従業員等派遣を要請するに際し,派遣先の店舗及び集合時間等を連絡するにとどまり,作業の具体的な内容,労働時間,派遣期間,派遣のために通常必要な費用を被審人が負担するのか否か等の派遣の条件については伝えておらず,これらの条件について納入業者との間であらかじめ合意をしていなかった。また,被審人は,納入業者から本件従業員等派遣を受けるに当たり,当該納入業者から購入する商品を増やす等の見返りを約束するものではなかった。
ii  本件従業員等派遣により被審人の店舗に派遣された納入業者の従業員等は,被審人の店舗の新規開店,全面改装,棚替え,協賛セール及び朝市等に際し,被審人の指示に従い,被審人が買取取引で仕入れた商品を他の陳列棚から移動させ,又は新たに若しくは補充として店舗の陳列棚へ並べる作業や,接客するという作業などを専ら行った。また,上記作業は,自社が被審人に納入した商品と他の納入業者が被審人に納入した商品の区別なく行われた。これらの作業は,特別な技術又は能力を必要とするものではなく,被審人の従業員等でも行うことが可能なものであった。
iii 被審人は,本件従業員等派遣を受けた際,納入業者に対し,派遣のために通常必要な費用を負担しなかった。
iv  146社のうちには,被審人からの本件従業員等派遣の要請を断ったところ,被審人の仕入担当者から激しく罵倒されたため,本件従業員等派遣の要請は断れないものだと思い知らされ,以降これに応じてきた者もいた。
(査5,査6,査8ないし査14,査16,査23,査25,査26,査28ないし査30,査34,査35,査38,査39,査42,査86,査104ないし査109,査111ないし査114,査116,査118,査119,査121,査268ないし査270,査272,査279,査280,査282,査284,査286,査287,査289,査291ないし査294,査298ないし査300,査303,査305,査309ないし査317,査321,査325,査327,査330,査332ないし査334,査337ないし査341,査343ないし査346,査349,査355,査357,査359,査360)
b  不利益行為の該当性
前記a(b)ⅱで認定した本件従業員等派遣に応じた従業員等の作業内容によれば,本件従業員等派遣は,新規店舗開設等作業のための従業員等派遣であると認められる。
また,前記a(b)ⅰのとおり,被審人は,従業員等の業務内容等の派遣の条件について,あらかじめ146社と合意しておらず,かつ,同ⅲのとおり,派遣される従業員等の人件費等の派遣のために通常必要な費用を負担していなかったものであり,従業員等派遣例外事由の①には該当しない。
さらに,前記a(b)ⅱのとおり,被審人の要請により派遣された納入業者の従業員等が行う作業は,接客を含め当該納入業者が被審人に納入する商品と他の納入業者が被審人に納入する商品とで区別なく行われたものであって,同ⅰのとおり,被審人は,納入業者から本件従業員等派遣を受けるに当たり,当該納入業者から購入する商品を増やす等の見返りを約束するものではなかったものであり,従業員等派遣例外事由の②には該当しない。
以上のとおり,従業員等派遣例外事由には該当せず,その他の特段の事情も認められないことから,本件従業員等派遣は,不利益行為に当たると認められる。
c  被審人の主張について
被審人は,前記第5の1⑵イのとおり,本件従業員等派遣を始め本件各行為が濫用行為に該当しない理由を主張するところ,本件各行為が不利益行為に当たらなければ,被審人が自己の取引上の地位が165社に対して優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に独占禁止法第2条第9項第5号所定の行為を行っていたものと判断されることもないことから(前記⑵),以下では,かかる理由によって本件各行為が不利益行為に当たらないことになるかについて判断する(後記イ(イ)c,ウ(イ)a(c)及び同b(c)並びにエ(イ)cにおいて同じ。)。
(a) 被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市が「新規開店,全面改装,棚替え等」に該当しないとの主張について
被審人は,本件排除措置命令書において濫用行為とされる従業員等の派遣要請は「新規開店,全面改装,棚替え等」に際しなされるものに限定されているところ,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市は「新規開店,全面改装,棚替え等」に該当しないから,そのために従業員等の派遣を受けた行為は本件排除措置命令書において認定された濫用行為に該当しないと主張する(前記第5の1⑵イ(イ)a(a))。
しかし,本件排除措置命令書には,「新規開店,全面改装,棚替え等に際し」と記載されており,本件違反行為の対象とする従業員等の派遣の範囲を「新規開店,全面改装,棚替え」に際して行われたものに限定するものではない。
また,本件従業員等派遣に関し,納入業者の従業員等が従事していた作業の内容等については,前記a(b)ⅱのとおりであり,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市に際し行われた従業員等の派遣においても,新規開店,全面改装及び棚替えに際し行われた従業員等の派遣と同様の取扱いがなされていたところ,かかる内容は,本件排除措置命令書に記載された「新規開店,全面改装,棚替え等」に際してなされた従業員等派遣の内容と同様である。
したがって,被審人が本件従業員等派遣を受けた行為のうち,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市に際し行われたものも,本件排除措置命令書において認定された不利益行為に該当するものといえ,被審人の主張は採用できない。
(b) 従業員等を派遣したことに合理的な理由があるとの主張について(前記第5の1⑵イ(イ)a(b))
i  魅力的な売場作りなどのためとの主張について
被審人は,小売業者の店舗において自社商品を有利な位置に陳列したり,POPの設置等を通じて魅力的な売場作りを行ったりしたいと考え,自社商品の売上げが増加することを期待して従業員等を派遣していた納入業者については,自社の従業員等を派遣することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)a(b)ⅰ)。
しかし,前記a(b)ⅱのとおり,納入業者の従業員等は,商品の陳列に当たり,自社商品を自由に配置できたわけではなく,あらかじめ被審人が定めた商品陳列のレイアウトに沿って商品を配置するなど,被審人の指示に従って作業を行っていたにすぎない。また,被審人の定めたレイアウトに沿って実際に商品を配置してみたところ空きスペースが生じた場合等に,陳列作業に当たっていた納入業者の商品を配置してもらえることもあったが,そのようなケースはまれであった。(査268,査325,査333)
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
ii  新店・改装オープンによる自社商品の売上げ拡大のためとの主張について
被審人は,新店・改装オープンによって自社商品の売上げが拡大する可能性があると考えて従業員等を派遣していた納入業者については,自社の従業員等を派遣することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)a(b)ⅱ)。
しかし,新店・改装オープンによって納入業者の商品の売上げが拡大する可能性があるとしても,それは店舗の新規・改装オープン自体やそれらに伴うセールに集客効果があるためであり,納入業者が本件従業員等派遣に応じたことによるものではなく,被審人の従業員等が本件従業員等派遣における作業と同様の作業を行ったとしてもその可能性に変わりがない。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
iii 様々な情報を入手するためとの主張について
被審人は,競合他社商品の陳列・配列方法,消費者のニーズ,被審人の販売方針等の情報を直接把握することができ,営業上のヒントを得る機会となると考えて従業員等を派遣していた納入業者については,自社の従業員等を派遣することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)a(b)ⅲ)。
しかし,例えば,競合他社商品の陳列・配列方法といった情報は,納入業者が営業訪問等の通常の業務において被審人の店舗に赴いた際に売場を見学することなどにより容易に把握することが可能であるなど,競合他社商品の陳列・配列方法,消費者のニーズ,被審人の販売方針等の情報は本件従業員等派遣に応じないと得られない情報であるとは認められない。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
iv  仕入担当者との商談の機会を確保するためとの主張について
被審人は,商品の陳列の状況等を見ながら自社の新商品の提案ができるなど,被審人の仕入担当者との商談の機会を確保できる可能性があると考えて従業員等を派遣していた納入業者については,自社の従業員等を派遣することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)a(b)ⅳ)。
しかし,被審人と納入業者は,継続的取引関係にあることから,商談の機会は,商談そのものを目的としてあらかじめアポイントメントを取り,被審人の本社を訪問するなどすれば確保できるものであり,本件従業員等派遣に応じなければ得られないものではなかった。また,上記作業の合間等に,作業に立ち会っている仕入担当者と商談をする機会を得られる可能性はあったが,その可能性は不確実なものであった。(査277,査315,査335)
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
v  被審人と円滑,良好な取引関係を構築し,被審人に付加的なサービスを提供することで取引上有利になるためとの主張及び競合他社との競争上不利にならないようにするためとの主張について
被審人は,①円滑,良好な取引関係の構築につながり,被審人との今後の取引において有利に働く可能性がある,②被審人に対する商品の価格や品質以外の付加的なサービスの提供となるなど,今後の被審人との取引に有利に働く可能性がある,③従業員等を派遣することにより他の納入業者との競争に勝ち抜こうと考え,自社の従業員等を派遣した納入業者については,自社の従業員等を派遣することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)a(b)ⅴないしⅶ)。
しかし,前記a(b)ⅰのとおり,被審人は,本件従業員等派遣を受けるに当たり,納入業者に対して見返りを約束していたものではなかったことから,納入業者が本件従業員等派遣に応じることで,被審人との円滑,良好な取引関係の構築につながったり,今後の被審人との取引又は他の納入業者との競争に有利に働いたりする可能性があると考えていたとしても,これは納入業者の一方的かつ漠然とした期待にすぎず,取引上有利になる又は競合他社との競争上不利にならないということに結び付くものではなかった。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
ⅵ     許容範囲の負担であったためとの主張について
被審人は,従業員等を派遣することについて,負担の程度や取引上の利益とのバランスから許容できる範囲内と考えていた納入業者については,自社の従業員等を派遣することにつき合理的な理由があり,納入業者に著しい不利益を与えるものではなく,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)a(b)ⅷ)。
しかし,仮に,納入業者が,本件従業員等派遣に応じることについて許容できる範囲の負担と考えていたとしても,前記(ア)のとおり,自社の従業員等を派遣して新規店舗開設等作業に当たらせる行為は,売主は当該従業員等による労務をその派遣の期間逸失するものであることに加えて,交通費などの派遣に必要となる費用が発生した場合には,当該費用を負担することになることから,売主にとっては通常は何ら合理性のないことであり,従業員等派遣例外事由に当たるなど特段の事情が認められない限り,不利益行為に当たると認められる。
したがって,被審人の主張は採用できない。
イ 本件金銭の提供
(ア) 金銭の提供を受ける行為が不利益行為となる場合
本件における被審人と納入業者との間の取引は買取取引であるが,このような取引についてみれば,売主は,買主に商品を引き渡すことにより取引契約上の義務を履行したこととなるところ,契約等に別段の定めがなく,協賛金等の名目で売主が買主のために本来提供する必要のない金銭を提供することは,提供した金銭がそのまま売主の損失となることから,売主にとって通常は何ら合理性のないことであり,そのような行為は,原則として不利益行為に当たる。
もっとも,例外的に,協賛金等の名目で提供した金銭について,その負担額,算出根拠及び使途等について,あらかじめ事業者が相手方に対して明らかにし,かつ,当該金銭の提供による相手方の負担が,その提供を通じて相手方が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲内のものであり,相手方の同意の上で行われる場合は,不利益行為には当たらないと解される。
以上のとおり,事業者が相手方から本来提供する必要のない金銭の提供を受ける行為については,上記の例外と認められるべき場合(以下「金銭提供例外事由」という。)はあるものの,通常は相手方にとって何ら合理性のないことであるから,金銭提供例外事由に当たるなどの特段の事情がない限り,不利益行為に当たると認めるのが相当である。
(イ) 本件に係る判断
a  認定事実
証拠によれば,被審人が納入業者に対して本件金銭の提供を要請した経緯及び本件金銭の使途等について,以下の事実が認められる。
(a) 被審人の営業本部販売促進課の業務
被審人の営業本部販売促進課(以下「販売促進課」という。)は,チラシ及びポスターの作成,店内ポップなどの装飾関係の作成,野球教室等の消費者向けのイベントの企画・運営,並びに新規開店の際に納入業者に対して金銭の提供を依頼する業務等を行っていた。(査139)
(b) 新規開店に係る金銭の提供
被審人は,新規に店舗を開店する際には,当該店舗におけるオープンセール期間中,消費者が店舗を見つけるための目印になるようにアドバルーンを設置しており,納入業者に対し,協賛金という名目でその費用の負担を求めることとしていた。さらに,消費者に先着順で配布する粗品等の費用についても,同様にその費用の負担を求めることとしていた。
販売促進課の課長である《A2》(以下「販売促進課の《A2》課長」又は単に「《A2》課長」という。)は,上記金銭について,商品部の各部門に目標額を設定し,被審人のバイヤー会議やスーパーバイザー会議(毎週1回,バイヤー会議終了後に,営業本部商品部長以下,商品部の各部門の長及びバイヤー等の仕入担当者全員が出席する会議)等において,商品部の各部門に対し,それぞれが担当する納入業者に上記金額を少しずつ振り分けて,各納入業者に金銭の提供を要請するよう指示していた。なお,《A2》課長が上記のとおり設定した目標額は,特に根拠のある計算に基づいて算出されたものではなく,同課長が自身の感覚でおおまかに定めたものであった。
上記指示を受け,商品部の各部門においては,当該部門と取引のある納入業者に対し,特段算出根拠を明らかにすることなく,金銭の提供を要請した。また,被審人は,納入業者から金銭の提供を受けるに当たり,特段見返りを約束するものではなかった。
被審人は,納入業者から提供された金銭により,上記アドバルーン及び消費者に配布する粗品等の費用のほとんどを賄った。また,納入業者が金銭を提供した場合,新規オープンセールの間,その事業者名が協賛企業として当該店舗の入口に掲示されることとなっていたが,被審人に金銭を提供したことを他の取引先に知られたくないこと等を理由に,上記掲示を希望しない納入業者も存在した。
(査3,査8,査9,査13,査16,査25,査29,査31,査33,査38,査42,査60ないし査64,査80,査116,査118,査138ないし査160,査260の137,査266,査273,査283,査293,査304)
(c) 将棋大会に係る金銭の提供
被審人は,平成19年に,被審人の創業20周年に伴う販売促進イベントの一環として,岡山県内の小学生以下の児童を招待して,「第1回マルナカ杯こども将棋大会」を開催することとした。
販売促進課の《A2》課長は,上記大会の必要経費及びその捻出方法を検討した結果,同大会のパンフレットに掲載される広告枠の販売という名目で,納入業者に金銭の提供を依頼し,必要経費を捻出することとした。
そこで,《A2》課長は,こども将棋大会の必要経費(同大会の共催者である《会社名略》に支払う特別協賛費〔ゲスト棋士への謝礼金,会場費用,将棋盤等の備品代〕,大会の成績優秀者に贈る賞品の代金,大会ホームページの制作費用及び大会パンフレットの制作費用)を積算し,その金額(350万円)を商品部の各部門に目標販売金額として割り振りし,被審人のスーパーバイザー会議等において,商品部の各部門に対し,上記金額を小口(5万円,10万円又は20万円)に分けて,同大会のパンフレットに掲載される広告枠の販売の名目で,それぞれが担当する納入業者に金銭の提供を要請するよう指示した。なお,《A2》課長が上記のとおり設定した商品部の各部門の目標販売金額は,同課長が特段の根拠なくおおまかに割り振ったものであった。
上記指示を受け,商品部の各部門においては,当該部門と取引のある納入業者に対し,特段算出根拠を明らかにすることなく,金銭の提供を要請した。また,被審人は,納入業者から金銭の提供を受けるに当たり,特段見返りを約束するものではなかった。
販売促進課は,平成20年ないし平成22年に開催した将棋大会についても,上記第1回大会と同様に,同課において定めた金額(各大会とも600万円)を商品部の各部門に目標販売金額を定めて割り振り,被審人のスーパーバイザー会議等において,商品部の各部門に対し,それぞれが担当する納入業者に上記金額を振り分けて,各大会のパンフレットに掲載される広告枠の販売の名目で金銭の提供を要請するよう指示していた。
被審人は,納入業者から提供された金銭により,平成19年には,将棋大会の必要経費のほとんどを賄い,平成20年ないし平成22年には,将棋大会の必要経費の全てを賄った上に,十数万円ないし百数十万円の余剰金を得た。また,金銭を提供した納入業者の中には,前記(b)と同様の理由により広告の掲載を希望しない者も存在した。
(査8,査9,査13,査16,査29ないし査31,査33,査34,査36,査38,査42,査65ないし査68,査80,査87,査109,査116,査118,査119,査138,査140,査141,査160ないし査172,査186,査266,査280,査304,査336)
(d) テニス大会に係る金銭の提供
被審人は,平成18年以前から,毎年1回,テニス大会を開催していた。被審人は,同大会の開催に当たり,納入業者に対し,同大会のパンフレットに掲載される広告枠の販売という名目で金銭(1社当たり3万円又は5万円)の提供を要請し,金銭の提供を受けていた。
被審人は,平成19年ないし平成22年においても,毎年1回,テニス大会を開催した。販売促進課の《A2》課長は,これらの大会を開催するに当たり,商品部の各部門に対し,前年のテニス大会で金銭を提供した納入業者名及び金額を伝え,テニス大会のパンフレットに掲載される広告枠の販売という名目で,それぞれが担当する納入業者から金銭を提供してもらうよう指示していた。
上記指示を受け,商品部の各部門においては,前年の大会の際に自部門が要請の窓口となって提供を受けた金額を下回らないように,自部門と取引のある納入業者に対し,特段算出根拠を明らかにすることなく,金銭の提供を要請した。また,被審人は,納入業者から金銭の提供を受けるに当たり,特段見返りを約束するものではなかった。
被審人は,上記のような方法で,納入業者から毎回約110万円の金銭の提供を受けていたほか,被審人と納入業者らとの親睦団体である山陽マルナカ会から毎回50万円の金銭の提供を受けており,これらの金銭によりテニス大会の必要経費(1回当たり約140万円ないし約180万円)のほとんどを賄った。また,金銭を提供した納入業者の中には,前記(b)と同様の理由により広告の掲載を希望しない者も存在した。
(査29,査33,査105,査109,査118,査138,査140,査173ないし査185,査187,査188,査380)
(e) 《美術展1》に係る金銭の提供
被審人は,平成19年に,被審人の創業20周年に伴う特別企画として,《会社名略》等が主催する《美術展1》に協賛することとした。また,被審人は,《美術展1》の開催に際し,懸賞を実施して,その当選者に《美術展1》のチケット7000枚(1枚当たり1000円。以下「《美術展1》懸賞用チケット」という。)を無料で配布することにした。
販売促進課の《A2》課長は,《美術展1》懸賞用チケットの購入費用については,《新聞名略》の紙面で《美術展1》を紹介する際における当該紙面の下の広告枠の販売という名目で,納入業者に金銭の提供を求めることとした。
そこで,《A2》課長は,商品部の各部門の目標額を設定し,被審人のスーパーバイザー会議等において,商品部の各部門に対し,上記広告枠の販売という名目で,それぞれが担当する納入業者から金銭を提供してもらうよう指示した。なお,《A2》課長が上記のとおり設定した目標額は,同課長が特段の根拠なく自身の感覚で定めたものであった。
上記指示を受け,商品部の各部門においては,当該部門と取引のある納入業者に対し,特段算出根拠を明らかにすることなく,金銭の提供を要請した。また,被審人は,納入業者から金銭の提供を受けるに当たり,特段見返りを約束するものではなかった。
被審人は,納入業者から提供された金銭により,《美術展1》懸賞用チケットの購入代金の全額を賄った。また,金銭を提供した納入業者の中には,前記(b)と同様の理由により広告の掲載を希望しない者も存在した。
(査69,査119,査138,査140,査160,査189,査191ないし査193,査197)
(f) 《美術展2》に係る金銭の提供
被審人は,平成20年に,《会社名略》等が主催する《美術展2》に協賛することとした。また,被審人は,《美術展2》の開催に際し,懸賞を実施して,その当選者に《美術展2》のチケット2400枚(1枚当たり800円。以下「《美術展2》懸賞用チケット」という。)を無料で配布することにした。
販売促進課の《A2》課長は,《美術展2》懸賞用チケットの購入費用についても,前記(e)と同様に,広告枠の販売という名目で納入業者に金銭の提供を求めることとし,商品部の各部門の目標額を設定し,被審人のスーパーバイザー会議等において,商品部の各部門に対し,それぞれが担当する納入業者から金銭を提供してもらうよう指示した。なお,《A2》課長が上記のとおり設定した目標額は,前記(e)と同様に,同課長が特段の根拠なく定めたものであった。
上記指示を受け,商品部の各部門においては,当該部門と取引のある納入業者に対し,特段算出根拠を明らかにすることなく,金銭の提供を要請した。また,被審人は,納入業者から金銭の提供を受けるに当たり,特段見返りを約束するものではなかった。
被審人は,納入業者から提供された金銭により,《美術展2》懸賞用チケットの購入代金の全額を賄った。また,金銭を提供した納入業者の中には,前記(b)と同様の理由により広告の掲載を希望しない者も存在した。
(査70,査138,査160,査190,査194ないし査197)
b  本件金銭の提供を受ける行為が不利益行為に該当すること
前記aのとおり,本件金銭の提供について,被審人と131社との間における契約等に別段の定めはなく,本件金銭の提供は,被審人のバイヤー会議やスーパーバイザー会議等において指示を受けた商品部の各部門における仕入担当者が,各自の担当する131社の担当者に対し,新規開店の際のアドバルーン代,被審人の主催する将棋大会等の費用や消費者に配布する《美術展1》懸賞用チケット等の費用に当てるために協賛金や広告枠の販売という名目で金銭の提供を要請し,金銭の提供を受けていたものであり,131社にとっては,本来提供する必要のないものである。
そして,被審人は,本件金銭の算出根拠及び使途等について,あらかじめ131社に対して明らかにしておらず,かつ,納入する商品の販売促進につながるなど,本件金銭の提供を通じて131社が得ることとなる直接の利益も認められないことから,金銭提供例外事由に該当するとは認められない。
以上のとおり,金銭提供例外事由には該当せず,その他の特段の事情も認められないことから,本件金銭の提供は,不利益行為に当たると認められる。
c  被審人の主張について(前記第5の1⑵イ(イ)b)
(a) 自社及び自社商品の宣伝広告のためとの主張について
被審人は,金銭の提供により自社のロゴ・商品の広告が掲載されるなど,自社や自社商品の宣伝広告になり得ると考え,本件金銭を提供していた納入業者については,本件金銭を提供することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)b(a))。
しかし,本件金銭の提供を要請した経緯及び本件金銭の使途等は前記aで認定したとおりであり,以下のとおり,被審人の主張する合理的な理由はいずれも認められない。
まず,被審人が本件金銭の提供を要請したのは,アドバルーン代,自社の主催する将棋大会等や消費者に配布する《美術展1》懸賞用チケット等の費用を賄うためであり,提供を受けた金銭も専ら上記経費に当てられており,提供を受けた金銭が上記経費を超える場合もあった。
また,被審人が各納入業者に要請した金額の算出根拠は曖昧であり,上記広告等による当該納入業者の納入商品の売上増加や知名度向上等の効果を計算して算出されたものではなく,被審人は,本件金銭の提供を要請する際,納入業者に対してその算出根拠を明らかにすることもなかった。
さらに,本件金銭を提供した納入業者は,特に希望しない場合を除き,原則として,自社の事業者名が協賛企業としてオープンセール期間中当該店舗の入口に掲示されたり,将棋大会等のパンフレットや《新聞名略》に当該納入業者の広告が掲載されたりしていたことがあったとしても,被審人が本件金銭の提供を要請した経緯,本件金銭の算定根拠及び使途,並びに本件金銭の提供を要請する際の納入業者に対する説明内容等は,前記aのとおりであり,納入業者及び納入業者の商品の宣伝広告を直接の目的とはしていなかった。現に,本件金銭の提供に応じた納入業者の中には,被審人に金銭を提供したことを他の取引先に知られたくないこと等を理由に事業者名の掲示や広告の掲載を希望しない者も存在した。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
(b) 社会貢献及び地域貢献のためとの主張並びに被審人が主催するイベントに関心があったためとの主張について
被審人は,社会貢献や地域貢献になると考えて金銭を提供し,被審人が主催するイベントに関心があったことから金銭を提供した納入業者については,本件金銭を提供することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)b(f)及び(g))。
しかし,前記aのとおり,被審人が本件金銭の提供を要請した経緯,本件金銭の算定根拠及び使途,並びに本件金銭の提供を要請する際の納入業者に対する説明内容等によれば,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
(c) 被審人の店舗における商品売上げの増加のため等の主張について
被審人は,被審人の店舗における商品売上げの増加のため,被審人と円滑,良好な取引関係を構築するため,被審人に付加的なサービスを提供するため,及び,競合他社との競争上不利にならないようにするため,本件金銭を提供した納入業者については,本件金銭を提供することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものである旨主張する(前記第5の1⑵イ(イ)b(b),(c),(d),(e))。
しかし,前記aのとおり,被審人は,本件金銭の提供を受けるに当たり,納入業者に対して特段見返りを約束していたものでなかったことから,納入業者が本件金銭の提供の要請に応じることで,被審人との円滑,良好な取引関係の構築につながったり,今後の被審人との取引又は他の納入業者との競争に有利に働いたりするとはいえず,納入業者がその可能性があると考えたとしても,それは納入業者の一方的かつ漠然とした期待にすぎず,本件金銭の提供に応じた納入業者が取引上有利になる,又は,競合他社との競争上不利にならないということに結び付くものではなかった。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
(d) 許容範囲の負担であったためとの主張について
被審人は,負担の程度や取引上の利益とのバランスを考慮して,許容できる範囲の負担と考えて本件金銭を提供した納入業者については,本件金銭を提供することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれを行ったものである旨主張する(前記第5の1⑵イ(イ)b(h))。
しかし,仮に,納入業者が,被審人に本件金銭を提供することについて許容できる範囲の負担と考えていたとしても,前記(ア)のとおり,事業者が相手方から本来提供する必要のない金銭の提供を受けることは,通常,相手方にとって何ら合理性のないことであり,金銭提供例外事由等の特段の事情が認められない限り,不利益行為に当たると認められることから,被審人の主張は採用できない。
ウ 本件返品及び本件減額
(ア) 返品及び減額が不利益行為に当たる場合
本件における被審人と納入業者との間の取引は買取取引であるが,このような取引についてみれば,売主の責めに帰すべき事由がない場合の商品の返品及び代金の減額は,一旦締結した売買契約を反故にしたり,売主に対して,売れ残りリスクや値引き販売による売上額の減少など買主が負うべき不利益を転嫁したりする行為であることから,売主にとって通常は何ら合理性のないことであり,そのような行為は,原則として不利益行為に当たると解される。
もっとも,返品に関しては,例外的に,①商品の購入に当たって,相手方との合意により返品の条件を明確に定め,その条件に従って返品する場合,②あらかじめ相手方の同意を得て,かつ,商品の返品によって相手方に通常生ずべき損失を自己が負担する場合,③相手方から商品の返品を受けたい旨の申出があり,かつ,相手方が当該商品を処分することが相手方の直接の利益となる場合は,不利益行為には当たらないと解される(ただし,上記①については,返品が相手方の得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担となり,相手方に不利益を与えることとなる場合には,不利益行為に当たる。)。
また,減額に関しても,例外的に,①対価を減額するための要請が対価に係る交渉の一環として行われ,その額が需給関係を反映したものであると認められる場合,②相手方から値引き販売の原資とするための減額の申出があり,かつ,当該値引き販売を実施して当該商品が処分されることが相手方の直接の利益となる場合は,不利益行為には当たらないと解される。
以上のとおり,買取取引において,売主である相手方の責めに帰すべき事由がない場合の商品の返品及び減額については,上記の例外と認められるべき場合(以下,前者を「返品例外事由」,後者を「減額例外事由」といい,両者を総称して「返品減額例外事由」という。)はあるものの,通常は相手方にとって何ら合理性のないことであるから,返品減額例外事由に当たるなどの特段の事情がない限り,不利益行為に当たると認めるのが相当である。
(イ) 本件に係る判断
a  本件返品について
(a) 10社中《納入業者(72)》を除く9社(以下「9社」という。)に対する返品
i  証拠(査5,査23,査25,査32,査35,査44,査86,査198,査199,査201,査202の1ないし査202の9,査203ないし査210)によれば,被審人が被審人の定めた販売期限を経過した商品を納入業者に返品するようになった経緯及び返品する際の方法等について,以下の事実が認められる。
(i) 被審人は,基本的に全ての商品を買取取引で仕入れていたが,自社の利益を維持するために,商品部の各部門において独自の販売期限を定め,同期限を経過した商品については納入業者に返品することとしていた。
(ii) 食品課では,商品管理基準マニュアルを作成し,製造業者が定める賞味期限の1か月前等を被審人独自の販売期限と定め,一部の商品を除き,この期限を経過した商品は売場から撤去し,納入業者に返品するものとしていた。
食品課は,各店舗に対し,被審人の定めた販売期限を経過した商品は上記マニュアルに沿って納入業者に返品するよう指示していた。
(iii) 本件返品のうち9社に対する返品(以下「9社に対する返品」という。ただし,一部の店舗で行われた返品については,被審人の定めた販売期限の経過を理由とする返品のほかに,商品の破れ,へこみ,潰れ等を理由とする返品が含まれているので〔査202の1,査202の4ないし査202の6,査202の8,査202の9〕,これらの返品は除く。)は,別紙3の本件各行為欄の「返品」欄の「延べ店舗数」の項に記載の店舗において,被審人が買取取引で仕入れた食品課商品について,被審人の定めた販売期限の経過を理由に行われた。
(iv) 被審人は,9社に対する返品に当たり,事前に納入業者に連絡することなく一方的に当該商品を引き取らせ,当該商品の引取りや廃棄のために必要な費用も負担しなかった。
また,被審人は,9社から上記商品を仕入れるに当たり,被審人の定めた販売期限を経過した場合には返品する旨を合意していたものではなく,9社に対する返品に当たり,特段見返りを約束するものでもなかった。
ii  このように,9社に対する返品は,被審人の定めた販売期限を経過したことを理由とするものであって,売主の責めに帰すべき事由のない返品である。
そして,9社に対する返品については,返品例外事由には該当せず,その他の特段の事情も認められないことから,9社に対する返品は,不利益行為に当たると認められる。
(b) 《納入業者(72)》に対する返品
審査官は,本件返品のうち《納入業者(72)》に対するものは,平成21年12月8日に被審人のりんくう店から返品された9点及び平成22年4月27日に被審人の平島店から返品された2点であると主張する。また,上記各返品に係る被審人作成の返品伝票には,「賞味期限間近」及び「販売期限切れの為」と記載されており(査202の10),上記各返品を受けた当時,《納入業者(72)》において被審人の食品課に対する営業の担当に就いていた《D1》(以下「《D1》」という。)は,審査官に対し,被審人から賞味期限切れ間近という理由で商品を返品されたことがある旨供述している(査360)。
他方,《納入業者(72)》は,被審人アンケートに対し,同社は被審人の定めた販売期限の経過を理由とする返品を受けたことはないと回答し(審6の49),同回答に関して被審人代理人弁護士から照会を受けた際には,同社の《略》部門の《略》である《D2》が,《D1》に確認した上でのことである旨断った上で,上記返品は,被審人の定めた販売期限の経過を理由とするものではなく,メーカーの定めた賞味期限が切れたもの又は賞味期限間近のために賞味期限切れとなることが容易に想定されたものについて,賞味期限切れの商品が消費者に販売されることを防ぐために,同社において返品を受け入れたものであると回答している(審21の1,審21の2)。また,同社において,上記返品を受けた理由について,あえて虚偽の回答をしなければならない理由は考えにくい。
そうすると,審査官の提出する上記証拠(査202の10,査360)をもって,上記各返品が被審人の定めた販売期限の経過を理由とするものであると認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はないから,《納入業者(72)》に対する返品は不利益行為に当たるとは認められない。
(c) 被審人の主張について(前記第5の1⑵イ(イ)c)
i  返品を前提とする取引であったためとの主張について
被審人は,《納入業者(3)》は,返品の可能性を暗黙に是認して取引していたものであり,同社と被審人との取引は返品を前提とするものであり,本件返品に応じることにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれに応じたものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)c(a))。
しかし,被審人は,《納入業者(3)》を含め9社から上記商品を仕入れるに当たり,被審人の定めた販売期限を経過した場合には返品する旨を合意していたものではなく,また,被審人の宇野店店長であり,平成20年6月から平成22年2月まで食品課長を務めていた《A3》が,納入業者と価格交渉をする際には基本的に返品や値引きはないという前提で価格提示をしてもらっていた旨供述し(査203),9社に含まれる《納入業者(1)》及び《納入業者(6)》の《略》担当者もそれぞれ同様の供述をしている(査207,査209)。
したがって,被審人は,《納入業者(3)》と被審人との取引について返品を前提としていたとは認められないことから,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
ii  被審人に商品を納入できることを期待したためとの主張について
被審人は,《納入業者(3)》は,返品を受け入れることによって発生する損失を被審人とのその後の取引によってカバーできるという見込みを持っていたものであり,本件返品に応じることにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれに応じたものである旨主張する(前記第5の1⑵イ(イ)c(c))。
しかし,前記(a)ⅰ(ⅳ)のとおり,被審人は,本件返品をするに当たり,納入業者に対して見返りを約束していたものではなく,仮に,《納入業者(3)》が上記のように考えていたとしても,それは同社の一方的かつ漠然とした期待にすぎず,本件返品に応じることによって直接得られることとなるものではない。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
iii 競合他社との競争上不利にならないためとの主張について
被審人は,競合他社との競争上不利にならないようにするために本件返品に応じた納入業者については,本件返品に応じることに合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれに応じたものである旨主張する(前記第5の1⑵イ(イ)c(d))。
しかし,被審人は,前記(a)のとおり,本件返品をするに当たり,納入業者に対して見返りを約束していたものではなかったことから,返品に応じなかったとしても競争上不利となるとはいえず,仮に,納入業者の一部が上記のように考えて本件返品に応じていたとしても,それは納入業者の一方的かつ漠然とした期待にすぎず,本件返品に応じることにより直接得られることとなるものではない。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
iv  納入業者の負担が軽微であるためとの主張について
被審人は,10社が本件返品に応じた商品の価格は,取引金額と比較しても極めて僅かであり,本件返品は納入業者に著しい不利益を与えるものではなかったとして,本件返品をしたことは濫用行為に該当しないと主張する(前記第5の1⑵イ(イ)c(e))。
しかし,前記(ア)のとおり,買取取引において,売主の責めに帰すべき事由がない場合の商品の返品は,売主にとって通常は何ら合理性のないことであるから,返品例外事由など特段の事情が認められない限り,本件返品に応じた商品の価格の多寡にかかわらず,不利益行為に当たるものであり,被審人の主張は採用できない。
b  本件減額について
(a) 認定事実
証拠(査17,査24の1ないし査24の6,査24の9,査24の10,査24の12,査24の13,査24の18,査24の35,査24の37,査24の44,査24の48ないし査24の52,査24の62,査24の65,査24の67,査25,査32,査35,査44,査53の2,査54,査75,査81,査82,査86,査203ないし査205,査207ないし査210,査214ないし査219,査220の1ないし査220の11,査221,査225ないし査231,査266)によれば,被審人が本件減額を行った経緯及び減額をする際の方法等について,以下の事実が認められる。
i  被審人は,基本的に全ての商品を買取取引で仕入れていたが,半額処分や売り尽くしセールを行った際に商品を割引販売した場合でも自社の利益を維持できるようにするために,割引した金額に相当する金額等を当該商品の納入業者に対する買掛債務から事後に減じることとしていた。
ii  平成16年8月31日に開催された被審人のバイヤー会議において,平成16年審決を受けたこと踏まえ,売り尽くしセールに伴う減額については,従前のように値引伝票を発行するのではなく,「拡販協力金に関する覚書」と題する覚書を納入業者と取り交わし,納入業者に対して同セールにおける値引きの原資の負担を求めるという方針が示された。
上記方針を受け,商品部の各部門においては,売り尽くしセール終了後に,「拡販協力金に関する覚書」と題する覚書を作成し,対象となる納入業者に交付していたが,拡販協力金の額は,従前と同様に,同セールにおいて割引した金額に相当する金額等を基に算定していた。
iii 本件減額の対象となった商品に係る被審人と23社との取引は,いずれも買取取引であった。
被審人は,本件減額をするに当たり,納入業者に対して事前に連絡することなく,半額処分に伴う減額については一方的に値引伝票を送付する方法により,売り尽くしセールに伴う減額については同セール終了後に「拡販協力金に関する覚書」と題する覚書を作成してその支払を求める方法により,各減額を行った。
また,被審人は,23社から上記商品を仕入れるに当たり,当該商品が半額処分や売り尽くしセールの対象となった場合は事後に買掛債務を減額する旨を合意していたものではなく,本件減額に当たり,特段見返りを約束するものでもなかった。
(b) 本件減額は不利益行為に該当すること
半額処分に伴う減額は,被審人が,買取取引で仕入れた食品課商品の入替えを行う際に半額処分を行った場合(前記第3の4⑸ア),又は売り尽くしセールに伴う減額は,被審人が,同セールの際に買取取引で仕入れた食品課商品又は日配品課商品を割引販売した場合(同イ)に行われたものであって,いずれも売主である納入業者の責めに帰すべき事由のないものである。
そして,本件減額については,減額例外事由に該当せず,その他の特段の事情も認められないことから,本件減額は,不利益行為に当たると認められる。
(c) 被審人の主張について(前記第5の1⑵イ(イ)d)
i  自社商品を新たに納入するためとの主張及び自社商品の販売促進のためとの主張について
被審人は,季節商品の販売時期の終了,売行き不振等による商品の入替えは自社商品の新たな納入につながる側面がある,又は当該店舗の全面改装を行うことが自社商品の販売の促進につながる側面があると考えて減額に応じた納入業者については,本件減額に応じることにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれに応じたものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)d(a)ⅰ及び(b)ⅰ)。
しかし,前記(a)ⅲのとおり,被審人は,本件減額をするに当たり,納入業者に対して見返りを約束していたものではなく,仮に,納入業者の一部が上記のように考えていたとしても,それは納入業者の一方的かつ漠然とした期待にすぎず,本件減額に応じることによって直接得られることとなるものではない。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
ii  減額相当額を仕入先等に転嫁できたためとの主張について
被審人は,仕入先等に減額相当額を転嫁できた納入業者については,本件減額に応じても何ら経済上の不利益が発生しておらず,自由かつ自主的な判断に基づき本件減額に応じていたものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)d(a)ⅱ及び(b)ⅱ)。
しかし,仮に,納入業者の一部が減額相当額を仕入先等に転嫁できたと考えていたとしても,また,実際に減額相当額を仕入先等に転嫁できていたとしても,被審人が本件減額をした行為自体がなかったことにはならない。
したがって,被審人の主張は採用できない。
iii 納入業者の負担が軽微である等の主張について
被審人は,本件減額のうち半額処分に伴うものについては,納入業者の負担額は,取引金額と比較しても極めて僅かであり,納入業者に著しい不利益を与えるものではなく,また,売り尽くしセールに伴うものについて,負担の程度や取引上の利益とのバランスを考慮して,許容できる範囲の負担であったために同セールに伴う減額に応じた納入業者については,本件減額に応じることにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれに応じたものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)d(a)ⅲ及び(b)ⅳ)。
しかし,前記(ア)のとおり,買取取引において,売主の責めに帰すべき事由がない場合の減額は,売主にとって通常は何ら合理性のないことであるから,減額例外事由など特段の事情が認められない限り,その負担額の多寡にかかわらず,不利益行為に当たると認められる。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
iv  競合他社との競争上不利にならないようにするためとの主張について
被審人は,競合他社との競争上不利にならないようにするため,減額に応じていた納入業者については,本件減額に応じたことにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断に基づきこれに応じたものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)d(b)ⅲ)。
しかし,前記(a)ⅲのとおり,被審人は,本件減額に応じた納入業者に対して見返りを約束していたものではなかったことから,仮に,納入業者の一部が上記のように考えていたとしても,それは納入業者の一方的かつ漠然とした期待にすぎず,本件減額に応じることによって直接得られることとなるものではない。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
エ 本件商品の購入
(ア) 取引に係る商品又は役務以外の商品の購入要請が不利益行為に当たる場合
ある事業者と継続的な取引関係にある相手方が,自己の事業遂行上必要としない,又は,その購入を希望していないにもかかわらず,当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務(以下「不必要商品等」という。)をその事業者から購入することは,当該相手方にとって通常は何ら合理性のないことである。
したがって,事業者が,継続的な取引関係にある相手方に対し,不必要商品等の購入を要請し,これを相手方に販売する行為は,原則として不利益行為に当たることとなる。
もっとも,例外的に,相手方に対し特定の仕様を指示して商品の製造又は役務の提供を発注する際に,当該商品又は役務の内容を均質にするため又はその改善を図るため必要があるなど合理的な必要性から,当該相手方に対して当該商品の製造に必要な原材料や当該役務の提供に必要な設備を購入させる場合は,不利益行為には当たらないと解される。
以上のとおり,不必要商品等の販売については,上記の例外と認められるべき場合(以下「商品購入要請例外事由」という。)はあるものの,通常は相手方にとって何ら合理性のないことであるから,商品購入要請例外事由に当たるなどの特段の事情がない限り,不利益行為に当たると認めるのが相当である。
(イ) 本件に係る判断
a  認定事実
証拠(査9,査85,査160,査236,査240,査241,査243)によれば,17社が被審人の要請を受けて本件商品を購入するに至る経緯については,以下のとおりであると認められる。
(a) 被審人の営業本部商品部パン課(以下「パン課」という。)は,以前から,クリスマスシーズンに本件商品を一般消費者向けに販売しており,被審人の各店舗に対し,前年実績を基にしたケーキ等の販売目標台数を設定して,売上げの増加に取り組ませていた。
パン課は,平成21年のクリスマスシーズンにおいては,商品部の各部門に対しても本件商品の販売ノルマを設定し,各部門において担当する納入業者に購入を勧めるなどして売上げの増加に取り組ませることとし,同年11月頃に開かれた被審人のスーパーバイザー会議において,商品部副部長から商品部の各部門の長に対し,上記方針を伝えた。
また,後日,パン課から商品部の各部門に対し,納入業者に本件商品を購入してもらう際には,注文用紙に購入を要請した担当部署名を記入してもらうこと,その記入がないと当該部署の販売ノルマの達成台数としてカウントされない旨を伝えた。
(b) その後,パン課から本件商品200個の販売ノルマを課された被審人の日配品課では,同ノルマを達成するため,平成21年12月3日に開催された日配品課と納入業者が参加する忘年会において,出席した納入業者の担当者に対し,本件商品の注文用紙を配布し,同課の課長が「一人最低3個は買ってください。これは強制ですから,今日ここで注文してから帰ってください。」旨発言するなどして,本件商品の購入を要請した。
(c) また,パン課から本件商品150個の販売ノルマを課された被審人の酒販課では,同ノルマを達成するため,平成21年11月18日頃,同課が仕入業務を担当する納入業者ごとに購入数を割り振って,同課の仕入担当者から納入業者の担当者に対して本件商品の購入を要請し,同年12月14日には,上記要請をした数の本件商品をいまだ購入していなかった納入業者の担当者に対し,上記商品の購入を催促した。
(d) 17社は,被審人の日配品課又は酒販課から前記(b)及び(c)のとおり本件商品を購入するよう要請を受けたため,これに応じ本件商品を購入した。
これにより,被審人の日配品課及び酒販課は,パン課から課された前記販売ノルマを達成することができた。また,被審人は,17社に本件商品を販売するに当たり,特段見返りを約束するものではなかった。
b  本件商品を販売する行為は不利益行為に該当すること
前記aのとおり,本件商品は,クリスマスシーズンに一般消費者向けに販売されるものであり,被審人と17社との取引に係る商品ではなく,17社の事業遂行上必要としないものであることは明らかであり,また,被審人は,販売ノルマを設定するなど組織的かつ計画的に17社に対し,本件商品の購入を要請したものであり,前記a(b)のとおり,日配品課の課長は,同課が仕入業務を担当する納入業者の担当者に対して,クリスマスケーキ等である本件商品を一人最低3個購入するよう要請し,前記a(c)のとおり,酒販課の仕入担当者は,同課が仕入業務を担当する納入業者の担当者に対して,繰り返し本件商品の購入を要請するなどした結果,17社が本件商品を購入したことからすれば,17社は自発的に本件商品の購入を希望していたものとは認められず,本件商品は,17社にとって不必要商品等であった。
そして,被審人が本件商品を17社に販売する行為については,商品購入要請例外事由には該当せず,その他の特段の事情も認められないことから,不利益行為に該当するものと認められる。
c  被審人の主張について(前記第5の1⑵イ(イ)e)
(a) 積極的な消費目的のためとの主張について
被審人は,クリスマス関連商品は季節ものであり,いずれにせよどこかの店で購入しようと思っていた,又は,有名ホテルのクリスマスケーキがあるなど本件商品の内容が魅力的であったために本件商品を購入した納入業者については,本件商品を購入することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断によりこれを購入したものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)e(a))。
しかし,仮に,上記のような理由で本件商品を購入した納入業者がいるとしても,被審人が販売ノルマを設定するなど組織的かつ計画的に17社に対し本件商品の購入を要請した,クリスマスケーキ等である本件商品を忘年会の席で一人最低3個購入するよう要請した,本件商品の購入を繰り返し要請したなどの事実は,自由かつ自主的な判断により購入したこととは相容れないものである。
したがって,被審人の主張は採用できない。
(b) 競争上不利とならないようにするため等の主張について
被審人は,被審人に付加的なサービスを提供するためや,競合他社との競争上不利にならないようにするために本件商品を購入した納入業者については,本件商品を購入することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断によりこれを購入したものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)e(b)及び(c))。
しかし,小売業者である被審人と納入業者との取引において,納入業者による本件商品の購入が被審人に対する付加的なサービスに当たるとは考えられず,また,前記a⒟のとおり,被審人は,本件商品を購入することに対して,見返りを約束するものでなかったことから,本件商品を購入しないことによって納入業者が競争上不利になるとはいえず,仮に,納入業者の一部が上記の理由により本件商品を購入したとしても,それは,納入業者の一方的かつ漠然とした期待にすぎず,本件商品の購入の要請に応じることによって直接得られることとなるものではない。
したがって,被審人が主張する合理的な理由があったとはいえず,被審人の主張は採用できない。
(c) 許容範囲の負担であったためとの主張について
被審人は,許容できる範囲の負担であったために本件商品を購入した納入業者については,本件商品を購入することにつき合理的な理由があり,自由かつ自主的な判断によりこれを購入したものであると主張する(前記第5の1⑵イ(イ)e(d))。
しかし,仮に,納入業者が,本件商品を購入したことについて許容できる範囲の負担と考えていたとしても,前記(ア)のとおり,不必要商品等の購入は,通常,売主である相手方にとって何ら合理性のないことであり,商品購入要請例外事由などの特段の事情が認められない限り,不利益行為に当たると認められる。
したがって,被審人の主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおり,本件各行為(《納入業者〔72〕》に対する返品を除く。)は,いずれも不利益行為に該当するものと認められる。
なお,被審人は,ほかにも本件各行為が濫用行為に該当しない理由を縷々主張するが,いずれも従業員等派遣例外事由等の特段の事情に該当するものとは認められず,かかる主張は採用できない。
(5) 165社が不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様等
ア 前記⑷に認定した不利益行為(すなわち,《納入業者〔72〕》に対する返品を除く本件各行為)を165社が受け入れるに至った経緯や態様についてみれば,次のようにいうことができる。
まず,被審人は,消費者に販売するために商品を納入業者から購入する大規模な小売業者であり,他方で165社は,自ら製造しあるいは自ら仕入れた商品を,被審人に販売する納入業者であって,165社に対する前記⑷認定の不利益行為は,このような被審人によるいわゆるバイイングパワーが発揮されやすい取引上の関係(「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」の運用基準〔平成17年6月29日公正取引委員会事務総長通達第9号〕「はじめに」の1参照)を背景としたものである。
このような背景の下,前記⑷認定の不利益行為は,同ア(イ)a,同イ(イ)a,同ウ(イ)a(a)ⅰ及びb(a)並びに同エ(イ)aのとおり,165社という多数の取引の相手方に対して,遅くとも平成19年1月から平成22年5月18日までの長期間にわたり,被審人の利益を確保することなどを目的として,役員等の指示の下,組織的かつ計画的に一連のものとして行われたものである。このことは,殊に次のような事実からも明らかである。すなわち,被審人は,
① 被審人の《A1》社長の指示により,被審人の仕入担当者自らが個々の納入業者に直接要請するのではなく,被審人と関係の深い納入業者を介して多数の納入業者から本件従業員等派遣を受けており,これら納入業者のうちには,かつてこの要請を断ったところ,被審人の仕入担当者から激しく罵倒されたため,断れないものだと思い知らされ,以降これに応じていた者もいた(前記⑷ア(イ)a)。
② テニス大会や将棋大会といった毎年恒例のイベントにあっては定期的に,新規開店や美術展といったスポット的なイベントにあってはその都度慣例的に,本件金銭の提供を受けていた(同イ(イ)a)。
③ いずれも事前に連絡することなく,一方的に,本件返品に係る商品を納入業者に引き取らせたり(同ウ(イ)a(a)ⅰ),本件減額に係る金額を自社の納入業者に対する買掛債務から減じたりしていた(同ウ(イ)b(a))。
④ 商品部の各部門に本件商品の販売ノルマを設定していたところ,当該各部門においては,これを達成するために,多数の納入業者が会した場において「一人最低3個は買ってください。これは強制ですから」と申し向けたり,納入業者ごとに購入数を割り振って本件商品の購入を要請するなどして,個々の納入業者の事情に関わらず,一律かつ一方的に決定事項を伝達する形で本件商品の購入を迫っていた(同エ(イ)a)。
イ 以上のような不利益行為を165社が受け入れるに至った経緯や態様は,それ自体,被審人が納入業者一般に対してその意に反するような要請等を行っても,一般的に甘受され得る力関係にあったことを示すものであるから,前記⑶において被審人の165社に対する取引上の地位を判断する際に考慮したとおり,前記⑷認定の不利益行為を受け入れていた納入業者については,被審人が著しく不利益な要請等を行ってもこれを受け入れざるを得ないような場合にあったことをうかがうことができる。
(6) 優越的地位の濫用に該当するか
ア 前記⑶のとおり,被審人の取引上の地位は127社に対して優越していたことが認められ,また,前記⑷のとおり,被審人は127社を含む165社に対して不利益行為を行っていたことが認められる。
そうだとすれば,これら被審人による不利益行為のうち,被審人の取引上の地位が優越していた127社に対する行為は,優越的地位を利用して行われたものと認められ,127社の自由かつ自主的な判断による取引を阻害したものであり,正常な商慣習に照らして不当に行われたものと認めるのが相当である。
したがって,被審人は,審査官の主張する違反行為期間中,自己の取引上の地位が127社に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に独占禁止法第2条第9項第5号のイ,ロ及びハ(改正法の施行日前については,旧一般指定第14項第1号,第2号及び第3号)に該当する行為を行っていたものであり,当該行為は,優越的地位の濫用に該当すると認められる。
他方,38社については,被審人が38社に対して優越的地位を有していたことを認めるに足りる証拠はないから(前記⑶イ(オ)),38社に対する行為は,優越的地位の濫用に該当すると認めることはできない。
イ ところで,被審人は,審決案に対する異議申立書において,納入業者の中には,競争関係に立つ他の納入業者との競争から,他の納入業者が不利益行為を受け入れているため,自らも不利益行為を受け入れていた者が存在するところ,その不利益は被審人との関係で生じたものではなく,他の納入業者との競争から生じたものであり,かかる場合には,被審人がその優越的地位を利用したことにはならないことから,独占禁止法第2条第9項第5号柱書の「利用して」の要件を満たさないと主張する。
しかし,不利益行為を受け入れていた納入業者に,他の納入業者との競争上不利にならないためといった,不利益行為の該当性を否定するような合理的な理由があったといえないことは,既に述べたとおりであるところ(前記(4)ア(イ)c(b)v,同イ(イ)c(c),同ウ(イ)a(c)ⅲ及びb(c)ⅳ並びに同エ(イ)c(b)),仮に,納入業者が,他の納入業者との競争上不利にならないためといった理由から被審人による不利益行為を受け入れていたとしても,それは,不利益行為を受け入れなかった場合に,被審人から他の納入業者と比べて(不利益行為とは別の)不利な扱いを受けることを懸念してのことであって,被審人が優越的地位を利用したことと相反するものではない。
したがって,被審人の上記主張は採用することができない。
2 争点2(本件各行為〔《納入業者〔72〕》に対する返品を除く。〕は,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用に該当するか)について
(1) 独占禁止法上一つの優越的地位の濫用に該当するもの
前記1⑴のとおり,独占禁止法第19条において,優越的地位の濫用が不公正な取引方法の一つとして規制されているのは,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは,相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに,相手方はその競争者との関係において競争上不利となる一方で,行為者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれがあり,このような行為は公正な競争を阻害するおそれ(公正競争阻害性)があるといえるからである。そして,公正競争阻害性については,①行為者が多数の相手方に対して組織的に不利益を与えているか,②特定の相手方に対してしか不利益を与えていないときであっても,その不利益の程度が強い又はその行為を放置すれば他に波及するおそれがあるかなど問題となる不利益の程度,行為の広がり等を考慮して判断することが相当である。このような優越的地位の濫用行為の規制趣旨に照らせば,独占禁止法第2条第9項第5号又は旧一般指定第14項第1号ないし第4号に該当する行為は,これが複数みられるとしても,また,複数の取引先に対して行われたものであるとしても,それが組織的,計画的に一連のものとして実行されているなど,それらの行為を行為者の優越的地位の濫用として一体として評価できる場合には,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されると解するのが相当である(公正取引委員会平成27年6月4日審決・公正取引委員会審決集第62巻119頁〔日本トイザらス株式会社に対する件。以下「トイザらス事件審決」という。〕参照)。
(2) 検討
これを本件についてみるに,《納入業者(72)》に対する返品を除く本件各行為(すなわち,被審人による不利益行為)がなされた経緯等については,前記1⑷ア(イ)a,同イ(イ)a,同ウ(イ)a(a)ⅰ及びb(a)並びに同エ(イ)aのとおりであり,被審人は,自己の取引上の地位が優越していると認められる127社を含む多数の取引の相手方に対して,遅くとも平成19年1月から平成22年5月18日までの長期間にわたり,自社の利益を確保することなどを目的として,役員等の指示の下,組織的かつ計画的に一連のものとして,上記の不利益行為を行ったものである。
したがって,127社に対する不利益行為は,優越的地位の濫用として一体として評価することができ,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制される。
3 争点3(本件における違反行為期間)について
(1) 優越的地位の濫用の規制趣旨(前記1⑴)に照らせば,独占禁止法第2条第9項第5号又は旧一般指定第14項第1号ないし第4号に該当する行為を行為者の優越的地位の濫用として一体として評価できる場合には,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されることになり,課徴金算定の基礎となる違反行為期間についても,それを前提にして,不利益行為が最初に行われた日を独占禁止法第20条の6にいう「当該行為をした日」とし,不利益行為がなくなったと認められる日を同条にいう「当該行為がなくなる日」とするのが相当である(トイザらス事件審決参照)。
これを本件についてみると,127社に対する不利益行為は独占禁止法上一つの優越的地位の濫用に該当するものであることから(前記2⑵),本件の違反行為期間は,本件排除措置命令による違反行為の認定を基に本件課徴金納付命令が認定したとおり,平成19年5月19日から平成22年5月18日までということになる。
なお,本件証拠上,不利益行為が初めて行われたのは,平成19年1月14日の《納入業者(65)》による本件従業員等派遣であり,被審人の取引上の地位が同社に優越していることも認められるところ,前記1⑶及び⑷のとおり,同日以降に行われた本件各行為のうち,38社に対する行為については被審人の取引上の地位が38社に優越していたとは認められず,また,《納入業者(72)》に対する返品は不利益行為とは認められないが,これらの事実にかかわらず,本件の違反行為期間は,本件課徴金納付命令が認定した違反行為期間と同様である。
(2) 被審人の主張について
ア 被審人は,優越的地位の濫用の規制趣旨に鑑みると,個々の相手方に対する優越的地位を利用してなされた,要請内容を異にする個々の行為が,それぞれ独占禁止法第20条の6にいう「第19条の規定に違反する行為」に該当すると解すべきであり,違反行為期間は濫用行為の類型ごと及び相手方ごとに算定されるものであると主張する(前記第5の3⑵ア)。
しかし,本件において,127社に対する不利益行為が独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されるものであることについては,前記2⑵のとおりである。
したがって,被審人の主張は採用できない。
イ 被審人は,優越的地位の濫用行為は改正法の施行後に継続してなされたものである必要があるから,改正法施行後に1回しか本件各行為(ただし,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市を開催するに際して行われた従業員等派遣は,本件違反行為に含まれないため,これを除く。)の相手方となっていない納入業者については,被審人が違反行為を「継続してするもの」(独占禁止法第20条の6)とは認められないとも主張する(前記第5の3⑵イ)。
しかし,上記主張も,前記アの被審人の主張と同様に,違反行為期間は濫用行為の類型ごと及び相手方ごとに算定されることを前提とするものであり,採用できない。また,被審人の営業店舗における協賛セール及び朝市を開催するに際して従業員等を派遣させた行為も本件違反行為に当たることについては,前記1⑷ア(イ)c(a)のとおりである。
したがって,被審人の主張は,採用できない。
4 争点4(本件各命令の適法性)について
(1) 本件排除措置命令書における理由の記載に不備はないか
ア 独占禁止法第49条第1項が,排除措置命令書に「公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用」を示さなければならないとしているのは,排除措置命令が,その名宛人に対して当該命令の主文に従った排除措置の履行義務を課すなど名宛人の事業活動の自由等を制限するものであることに鑑み,公正取引委員会の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,排除措置命令の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるためのものと解される。
このような排除措置命令の性質及び排除措置命令書に上記の記載が必要とされる趣旨・目的に鑑みれば,排除措置命令書に記載すべき理由(公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用)とは,違反行為に関する認定事実のほか,いかなる事実関係に基づき排除措置が命じられたのかを,名宛人においてその記載自体から了知し得るものでなければならない(最高裁判所昭和49年4月25日第一小法廷判決・民集28巻3号405頁,同昭和60年1月22日第三小法廷判決・民集39巻1号1頁等参照)。
これを本件についてみると,本件排除措置命令書には,排除措置命令の理由として,特定納入業者に該当するかの考慮要素(第1の1項)及び被審人が特定納入業者に対して具体的にいかなる態様の行為をどの程度行ったのか(第1の2項)という,命令の原因となる事実と,上記の行為は,被審人が自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,①継続して取引する相手方に対して,当該取引に係る商品以外の商品を購入させ,②継続して取引する相手方に対して,自己のために金銭又は役務を提供させ,③取引の相手方から取引に係る商品を受領した後に当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ,又は取引の相手方に対して取引の額を減じていたものであって,この行為が独占禁止法第2条第9項第5号(改正法の施行前においては旧一般指定第14項)に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するなどという,命令の根拠法条は示されているが,上記の行為の相手方である特定納入業者については,具体的には特定されていない。
そうすると,本件排除措置命令書のみからは,被審人において,いずれの相手方に対する自己の行為が独占禁止法第2条第9項第5号又は旧一般指定第14項に該当する優越的地位の濫用との評価を受けたかを具体的に知ることはできず,いずれの相手方に対する行為を違反行為として甘受し,いずれの相手方に対する行為を争うべきかを,的確に判断することが困難であって,被審人の不服申立ての便宜には適わないものともいえる。このことからすれば,本件排除措置命令書のみをみる限り,その理由の記載には不備があったものと考えられる。
イ しかし,本件において,公正取引委員会は,被審人に対し,独占禁止法第49条第5項並びに私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う公正取引委員会関係規則の整備に関する規則(平成27年公正取引委員会規則第2号)による改正前の公正取引委員会の審査に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第5号)(以下「審査規則」という。)第24条第1項の規定に基づいて,本件排除措置命令書の案,すなわち,「予定される排除措置命令の内容」等を記載した文書を送達する際に,被審人による本件違反行為の相手方とされた別紙2記載の165社が記載された「課徴金算定対象事業者一覧表」を同封しており(査244),その後,独占禁止法第49条第2項及び審査規則第28条第2項の規定に基づいて本件排除措置命令書の謄本を被審人に送達する際にも,上記と同内容の「課徴金算定対象事業者一覧表」を同封している(査245)。
なお,上記の各送達は,後記⑷イの本件課徴金納付命令に係る各送達手続と同時になされたものであるところ,この点について,被審人は,「公正取引委員会は,被審人に対し,課徴金納付命令書案や課徴金納付命令書を送達する際,165社の具体的名称及び当該各社との間における購入額を記載した『課徴金算定対象事業者一覧表』を同封しているが,それによって本件課徴金納付命令書の理由付記の不備の違法が治癒されるものではない」と主張しており(前記第5の4⑷イ),上記の各送達において「課徴金算定対象事業者一覧表」が同封されていたこと自体は争っていない(後記⑷イにおいても同じ。)。
このように,被審人は,本件排除措置命令に先立ち,本件違反行為の相手方を了知し得る状態で,意見の陳述及び証拠の提出の機会である事前手続を経ていたことが明らかであり,本件排除措置命令書の謄本送達時には,本件違反行為の相手方を当然に知り得る状態にあったといえる。そうだとすれば,被審人は,本件排除措置命令において,いずれの相手方に対する自己のいかなる行為が独占禁止法第2条第9項第5号又は旧一般指定第14項に該当する優越的地位の濫用との評価を受け,排除措置を命じられたのかを了知し得るものでなかったとはいえない。
したがって,前記アのとおり本件排除措置命令書自体には,本件違反行為の相手方を具体的に特定していないという不備はあったものの,理由の付記に取消しを免れないような不備があったとまではいえない。
ウ これに対し,被審人は,排除措置命令書に係る理由付記は,排除措置命令の名宛人の不服申立てに便宜を与えるだけでなく,公正取引委員会の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するものであるから,少なくとも,排除措置命令の名宛人の取引上の地位が優越している相手方が誰であるのかを特定した上で,当該相手方との関係で,排除措置命令の名宛人の取引上の地位がいかなる事情により優越しているのか,当該相手方に対しいかなる濫用行為が行われたのかについて,排除措置命令の名宛人及び第三者が具体的に知り得る程度に特定して摘示しなければならないと主張する(前記第5の4⑴イ)。
しかし,前記イで述べたところからすれば,本件排除措置命令においては,名宛人である被審人のみならず第三者にとっても,本件違反行為の相手方を含め,被審人のいかなる行為が独占禁止法第2条第9項第5号又は旧一般指定第14項に該当する優越的地位の濫用との評価を受け,排除措置を命じられたのかを知り得るものであったから,公正取引委員会の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するには十分である。
したがって,被審人の主張(前記第5の4⑴イ)は採用できない。
(2) 本件排除措置命令における法令の適用に誤りはないか
ア 改正法施行前の行為に旧一般指定を適用することの可否
旧一般指定は,いわゆる一般指定であり,公正取引委員会が,あらゆる事業分野において行われる可能性のある取引方法を,改正法による改正前の独占禁止法第2条第9項の規定により,不公正な取引方法として指定するものである。
一方,大規模小売業告示は,いわゆる特殊指定であり,公正取引委員会が,特定の事業分野における特定の取引方法を,独占禁止法第2条第9項第6号(改正法施行前においては,改正法による改正前の独占禁止法第2条第9項)の規定により,不公正な取引方法として指定するものである(独占禁止法第71条〔改正法による改正前の独占禁止法第71条〕)。
このように,旧一般指定は,あらゆる事業分野にわたる不公正な取引方法に一般的に適用されるものであり,それゆえに規定の内容もある程度一般的,抽象的となっており,他方,大規模小売業告示は,特定の事業分野における特定の取引方法に適用されるものであり,それゆえに規定の内容が具体的となっている点で異なるが,旧一般指定を定めた趣旨が上記のとおりであることや,旧一般指定と大規模小売業告示はいずれも不公正な取引方法を指定するものであり,いずれの適用による法律効果も同じであることなどに照らすと,大規模小売業告示が定めている特定の事業分野について,旧一般指定の適用がおよそ排除されるものではないと解される。
なお,改正法の施行前において大規模小売業告示等の特殊指定が旧一般指定に優先的に適用されていたという実態があったことは,上記解釈と相容れないものではなく,上記解釈を左右するものではない。
したがって,大規模小売業告示と旧一般指定第14項のいずれの要件をも満たし得る,本件違反行為(前記1に認定したとおり本件違反行為の相手方は127社であるが,本件排除措置命令において想定されていた違反行為の相手方は165社である。以下同じ。)のうちの改正法施行前の行為に対し,大規模小売業告示ではなく旧一般指定を適用したとしても,法令の適用に誤りはなく,これに反する被審人の主張(前記第5の4⑵イ第1段落)は採用できない。
イ 独占禁止法第2条第9項第5号イないしハのいずれに該当するのか等を摘示していないことについて
本件排除措置命令書の理由付記に,取消しを免れないような不備があったとまではいえないことは,前記⑴のとおりである。また,同命令書における前記⑴アの①ないし③の記載は,それぞれ,独占禁止法第2条第9項第5号イないしハ(改正法の施行前においては旧一般指定第14項第1号ないし第4号)の規定に沿うものである。
本件排除措置命令書における上記の記載に照らせば,被審人において,これらの記載から,自己のいかなる行為が独占禁止法第2条第9項第5号イないしハ(改正法の施行前においては旧一般指定第14項第1号ないし第4号)のどれに該当する優越的地位の濫用に当たるとの評価を受けたかを知ることができるといえる。例えば,本件従業員等派遣であれば,本件排除措置命令書の記載から,「自己のために…役務…を提供させること」,すなわち,独占禁止法第2条第9項第5号ロ及び旧一般指定第14項第2号に該当する事実であることは明らかである。
したがって,本件排除措置命令書における理由の記載には,本件違反行為が独占禁止法第2条第9項第5号イないしハのいずれに該当するのか等を摘示していないといった不備はなく,これに反する被審人の主張(前記第5の4⑵イ第2段落)は採用できない。
(3) 本件排除措置命令の主文第2項は適法か
排除措置命令は,違反行為の排除及び当該違反行為によってもたらされた公正で自由な競争秩序の侵害状態を回復し整備することを目的とする行政処分である。そのため,違反行為そのものについて排除措置を命じ得るだけではなく,これと同種又は類似の違反行為の行われるおそれがあって,上記目的を達するために現にその必要性のある限り,これらの事実についても相当の措置を命じ得る(東京高等裁判所昭和46年7月17日判決・行集第22巻第7号1022頁参照)。
被審人は,前記1のとおり,自己の取引上の地位が127社に優越していることを利用して,127社に対して不利益行為を行っていたものである。そして,被審人は,過去にも本件違反行為と類似の行為について平成16年審決を受けていること(前記第3の3),その後,遅くとも平成19年1月以降3年以上にわたり,127社もの多数の納入業者に対し,組織的かつ計画的に一体のものとして本件違反行為を行っていたものであり(前記2),これらの行為の相手方を特定の納入業者に限定していた様子はうかがえないこと,本件排除措置命令の効力が生じた時点においても岡山県を中心とした区域における総合スーパー又は食品スーパーとして有力な地位にあったことがうかがえることからすれば,127社以外の納入業者に対しても本件違反行為と同種又は類似の違反行為の行われるおそれがあると認められる。
したがって,被審人による将来の違反行為を防止するためには,127社だけではなく,被審人と取引関係にある全ての納入業者に対して,本件排除措置命令の主文第1項に基づいて採った措置の通知を命じることが,必要かつ相当であると認められ,これに反する被審人の主張(前記第5の4⑶イ)は採用できない。
(4) 本件課徴金納付命令書における理由の記載に不備はないか
ア 独占禁止法第50条第1項が,課徴金納付命令書に,「納付すべき課徴金の額及びその計算の基礎,課徴金に係る違反行為」を記載しなければならないとしているのは,課徴金納付命令が,その名宛人に対して当該命令に従った課徴金の納付義務という不利益を課すものであることに鑑み,公正取引委員会の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,課徴金納付命令の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるためのものと解される。
このような課徴金納付命令の性質及び課徴金納付命令書に上記の記載が必要とされる趣旨・目的に鑑みれば,課徴金納付命令書に記載すべき事項である納付すべき課徴金の額及びその計算の基礎,課徴金に係る違反行為を,名宛人においてその記載自体から了知し得るものでなければならない。
これを本件についてみると,本件課徴金納付命令書には,本件排除措置命令書を引用する形式で,「課徴金に係る違反行為」として,本件違反行為が独占禁止法第19条の規定に違反するものであるとともに,同法第20条の6にいう「継続してするもの」である旨が記載されているが,引用する本件排除措置命令書における違反行為の記載内容は,前記⑴アのとおりである。
また,優越的地位の濫用に係る課徴金の算定方法については,独占禁止法第20条の6において,「当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間…における,当該行為の相手方との間における政令で定める方法により算定した売上額(…当該行為の相手方が複数ある場合は当該行為のそれぞれの相手方との間における政令で定める方法により算定した売上額又は購入額の合計額とする。)に百分の一を乗じて得た額」とする旨規定しているところ,本件課徴金納付命令書には,「課徴金の計算の基礎」として,本件違反行為の違反行為期間(同命令書4⒧),改正法の施行日以後の本件違反行為の相手方の数が165であり,いずれも被審人に商品を供給する者である旨(同4⑵),改正法の施行日以後における被審人の上記165の相手方それぞれとの間における購入額を独占禁止法施行令第30条第2項の規定に基づき算定した当該購入額の合計額(同4⑶),被審人が国庫に納付しなければならない課徴金の額及びその算出過程(同4⑷)は記載されているが,上記165の相手方と被審人のそれら相手方との間における個々の購入額については,具体的には示されていない。
そうすると,本件課徴金納付命令書のみからは,被審人において,いずれの相手方に対する自己の行為が「課徴金に係る違反行為」に当たるとの評価を受け,いずれの相手方からの購入額が納付すべき課徴金額の計算の基礎となったかを具体的に知ることはできず,いずれの相手方からの購入額を課徴金の計算の基礎とすることを甘受し,いずれの相手方からの購入額を課徴金の計算の基礎とすることを争うべきかを,的確に判断することが困難であって,被審人の不服申立ての便宜には適わないものともいえる。このことからすれば,本件課徴金納付命令書のみをみる限り,その理由の記載には不備があったものと考えられる。
イ しかし,本件において,公正取引委員会は,被審人に対し,独占禁止法第50条第6項及び同項において準用する第49条第5項並びに審査規則第29条及び同条において準用する第24条第1項の規定に基づいて,本件課徴金納付命令書の案,すなわち,「納付を命じようとする課徴金の額」等を記載した文書を送達する際に,別紙2記載の165社及び課徴金算定の基礎となる165社からの購入額が記載された「課徴金算定対象事業者一覧表」を同封しており(査244),その後,独占禁止法第50条第2項並びに審査規則第29条及び同条において準用する第28条第2項の規定に基づいて本件課徴金納付命令書の謄本を被審人に送達する際にも,上記と同内容の「課徴金算定対象事業者一覧表」を同封している(査245)。
このように,被審人は,本件課徴金納付命令に先立ち,「課徴金に係る違反行為」の相手方や「課徴金の計算の基礎」として記載された「購入額の合計」に係る取引の相手方が165社であること,さらには,被審人の165社それぞれからの購入額を了知し得る状態で,意見の陳述及び証拠の提出の機会である事前手続を経ていたことは明らかであり,本件課徴金納付命令書の謄本送達時には,これらを当然に知り得る状態にあったといえる。そうだとすれば,被審人は,本件課徴金納付命令において,同命令書に「課徴金の計算の基礎」として記載された「購入額の合計」に係る取引の相手方が165社であったことや,被審人のこれら165社それぞれからの購入額を含め,被審人のいかなる行為が「課徴金に係る違反行為」との評価を受け,いずれの取引の相手方からの購入額を課徴金の計算の基礎として,課徴金の納付を命じられたのかを了知し得るものでなかったとはいえない。
したがって,前記アのとおり本件課徴金納付命令書自体には,本件違反行為の相手方と当該相手方それぞれからの購入額が具体的に記載されていないという不備はあったものの,理由の付記に取消しを免れないような不備があったとまではいえない。
ウ これに対し,被審人は,課徴金納付命令書に係る理由付記の趣旨に鑑みれば,いかなる法規を適用して課徴金の納付が命じられたのかを,課徴金納付命令の名宛人及び第三者においてその記載自体から了知し得るものでなければならず,また,優越的地位の濫用行為が相手方ごとに成立することに鑑みれば,相手方を特定した上で,相手方ごとに課徴金の額の計算過程を記載すべきであると主張する(前記第5の4⑷イ)。
しかし,前記イで述べたところからすれば,本件課徴金納付命令においては,名宛人である被審人のみならず第三者にとっても,「課徴金の計算の基礎」として記載された「購入額の合計」に係る取引の相手方が165社であったことや,被審人のこれら165社それぞれからの購入額を含め,被審人のいかなる行為が「課徴金に係る違反行為」との評価を受け,いずれの取引の相手方からの購入額を課徴金の計算の基礎として,課徴金の納付を命じられたのかを知り得るものであったから,公正取引委員会の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するには十分である。
また,優越的地位の濫用行為が相手方ごとに成立するとの被審人の主張の前提が誤りであることは,前記2のとおりである。
したがって,被審人の主張(前記第5の4⑷イ)は採用できない。
5 結論
(1) 本件排除措置命令について
ア 被審人は,前記1のとおり,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,①継続して取引する相手方に対して,当該取引に係る商品以外の商品を購入させ,②継続して取引する相手方に対して,自己のために金銭又は役務を提供させ,③取引の相手方から取引に係る商品を受領した後に当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ,又は取引の相手方に対して取引の額を減じていたものであり,これらの行為は,独占禁止法第2条第9項第5号イ,ロ及びハ(改正法の施行日である平成22年1月1日前においては旧一般指定第14項第1号,第2号及び第3号)に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するものと認められる。
また,被審人は,平成22年5月19日以降,本件違反行為を行っていない(前記第3の5)が,被審人は,平成16年審決において排除措置を命じられたにもかかわらず本件違反行為を行っていたこと,本件違反行為が長期間にわたって行われていたこと等の諸事情を総合的に勘案すれば,被審人については,特に排除措置を命ずる必要がある(独占禁止法第20条第2項,第7条第2項)と認められる。
よって,被審人に対して本件違反行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずることは相当である。
イ 他方で,前記1のとおり,本件違反行為の相手方は127社であると認められる。
このように,本件違反行為の相手方が,審査官が主張している165社ではなくその一部である127社であると認められる本件においては,本件排除措置命令の内容を,127社に対する行為に係る措置に変更するのが相当である。
よって,本件排除措置命令の全部取消しを求める被審人の審判請求は,本件排除措置命令の内容を,127社に対する本件違反行為に係る取締役会決議等を命ずる内容に変更する限度で認容するのが相当である。
(2) 本件課徴金納付命令について
ア 被審人は,前記⑴のとおり,独占禁止法第19条の規定に違反する行為(同法第2条第9項第5号に該当するもの)を行ったものであり,この行為は繰り返し行われたものであること(前記2)から,これが「継続してするもの」(同法第20条の6)に該当することは明らかである。
イ また,公正取引委員会は,本件違反行為のうち改正法の施行日である平成22年1月1日以後に係るものについて,被審人と165社との間における購入額を前提に課徴金の納付を命じたが(前記第2の2),同日以後,被審人が38社に対して自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して不利益行為を行った事実は認められない(前記1⑶エ,同⑹ア)。
本件の違反行為期間である平成19年5月19日から平成22年5月18日までのうち平成22年1月1日以降の被審人の165社それぞれからの購入額を独占禁止法施行令第30条第2項の規定に基づき算定した金額は,別紙2の「購入額」欄記載のとおりであり(前記第3の6),その合計額は222億1605万4358円であるところ,そのうち38社を除いた127社からの購入額の合計は,178億3927万9769円である。
ウ したがって,被審人が国庫に納付しなければならない課徴金の額は,独占禁止法第20条の6の規定により,前記イの178億3927万9769円に100分の1を乗じて得た額から,同法第20条の7において準用する同法第7条の2第23項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて算出された,1億7839万円となる。
エ よって,本件課徴金納付命令のうち1億7839万円を超えて納付を命じた部分は,取り消すべきこととなる。
第7 法令の適用
以上によれば,被審人の本件審判請求は,本件排除措置命令について,165社に対する行為に係る措置を127社に対する行為に係る措置に変更を求める限度で理由があり,また,本件課徴金納付命令について,1億7839万円を超えて納付を命じた部分の取消しを求める限度で理由があり,その余はいずれも理由がない。
よって,独占禁止法第66条第3項及び第2項並びに規則第78条第2項の規定により,主文のとおり審決する。

平成31年2月20日

委員長 杉本和行
委員 山本和史
委員 三村晶子
委員 青木玲子
委員 小島吉晴




別紙1
1 株式会社山陽マルナカ(以下「山陽マルナカ」という。)は,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 遅くとも平成19年1月以降,別表記載の納入業者のうち,同表1の各事業者を除く,取引上の地位が自社に対して劣っている同表2の各事業者(以下,この127の事業者を「対象納入業者」という。)に対して行っていた次の行為を取りやめている旨を確認すること
ア 新規開店,全面改装,棚替え等に際し,これらを実施する店舗に商品を納入する対象納入業者に対し,当該対象納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品について,当該対象納入業者の従業員等が有する技術又は能力を要しない商品の移動,陳列,補充,接客等の作業を行わせるため,あらかじめ当該対象納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく,かつ,派遣のために通常必要な費用を自社が負担することなく,当該対象納入業者の従業員等を派遣させていた行為
イ 新規開店又は自社が主催する「こども将棋大会」若しくは「レディーステニス大会」と称する催事等の実施に際し,対象納入業者に対し,当該対象納入業者の納入する商品の販売促進効果等の利益がない又は当該利益を超える負担となるにもかかわらず,金銭を提供させていた行為
ウ 自社の食品課が取り扱っている調味料等の商品(以下「食品課商品」という。)のうち,自社が独自に定めた「見切り基準」と称する販売期限を経過したものについて,当該食品課商品を納入した対象納入業者に対し,当該対象納入業者の責めに帰すべき事由がなく,当該食品課商品の購入に当たって当該対象納入業者との合意により返品の条件を定めておらず,当該食品課商品の返品によって当該対象納入業者に通常生ずべき損失を自社が負担せず,かつ,当該対象納入業者から当該食品課商品の返品を受けたい旨の申出がないにもかかわらず,当該食品課商品を返品していた行為
エ(ア) 食品課商品のうち,季節商品の販売時期の終了等に伴う商品の入替えを理由として割引販売を行うこととしたものについて,当該食品課商品を納入した対象納入業者に対し,当該対象納入業者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず,当該食品課商品の仕入価格に50パーセントを乗じて得た額に相当する額を,当該対象納入業者に支払うべき代金の額から減じていた行為
(イ) 食品課商品又は自社の日配品課が取り扱っている牛乳等の商品(以下「日配品課商品」という。)のうち,全面改装に伴う在庫整理を理由として割引販売を行うこととしたものについて,当該食品課商品又は当該日配品課商品を納入した対象納入業者に対し,当該対象納入業者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず,当該割引販売において割引した額に相当する額等を,当該対象納入業者に支払うべき代金の額から減じていた行為
オ クリスマスケーキ等のクリスマス関連商品(以下「クリスマス関連商品」という。)の販売に際し,仕入担当者から,対象納入業者に対し,懇親会において申込用紙を配付した上で最低購入数量を示し,その場で注文するよう指示する又は対象納入業者ごとに購入数量を示す方法により,クリスマス関連商品を購入させていた行為
(2) 今後,前記(1)の行為と同様の行為を行わない旨
2 山陽マルナカは,前項に基づいて採った措置を,納入業者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 山陽マルナカは,今後,第1項(1)の行為と同様の行為を行ってはならない。
4 山陽マルナカは,今後,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,第1項(1)の行為と同様の行為をすることのないようにするために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定
(2) 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての,役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査
5(1) 山陽マルナカは,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
(2) 山陽マルナカは,前項(2)に基づいて講じた措置の実施内容を,今後3年間,毎年,公正取引委員会に報告しなければならない。

























【別紙3省略】









別紙5
第1 《納入業者(1)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(1)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は飲料,冷凍食品及び即席麺である。同社は,昭和62年5月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の1)
(2) 《納入業者(1)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.55パーセント又は約0.59パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第27位ないし第32位であった。(査24の1)
(3) 《納入業者(1)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約65パーセント又は約66パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は岡山県,広島県及び兵庫県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約23パーセントないし約25パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の1)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(1)》は,公正取引委員会の報告命令における被審人との取引を継続できず,被審人に代わる取引先を見つける必要が生じた場合の状況についての設問(以下「取引先変更可能性の設問」という。)に対し,被審人に代わる取引先を見つけること又は他の取引先との取引を増やすことで被審人との取引停止に伴う損失を補うことは困難であるとの回答(以下「取引先変更困難との回答」という。)を選択し,その理由記載欄に,岡山県下のスーパーストア業界は県外資本の大手事業者の積極的な出店やこれに対抗するための地元スーパーの出店,改装等により,競争激化の状況を呈しているところ,このような状況において地域ナンバーワン企業である被審人においても積極的な店舗展開,顧客確保に向けた取組を行い,継続した業容拡大,消費者支持を図っている旨記載している。(査24の1)
また,同社の《略》支店の《略》課長は,岡山県内に被審人と同程度の店舗数及び売上高を持つ量販店はほかにないことから,仮に同社が被審人から取引を打ち切られた場合,被審人に代わるような売上高を見込める量販店を新たに探すことは不可能であり,被審人以外の取引先に対する売上高を少しずつ増やしたとしても,被審人に対する売上高には及ばない旨供述している。(査39)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(1)》は,公正取引委員会の報告命令における被審人との取引を継続することの必要性についての設問(以下「取引継続必要性の設問」という。)に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人との取引額や取引数量が大きく安定していること(以下「取引額等大きく安定」という。),②被審人に対する取引依存度が高いこと(以下「高取引依存度」という。),③被審人に代わる取引先を見つけること又は他の取引先との取引を増やすことで被審人との取引停止に伴う損失を補うことは困難であること(以下「損失補填困難」という。),④被審人は今後も店舗の拡大等により伸びていく会社であり取引額の増加が期待できること(以下「取引額増加期待」という。)を選択している。(査24の1)
また,同社の《略》支店の《略》課長は,被審人は同支店の取引額の約25パーセントを占める最大の取引先であり,被審人の店舗拡大等により今後の取引の増加が見込める重要な取引先である旨供述している。(査39,40)

第2 《納入業者(2)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(2)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は冷凍・チルド食品,嗜好品,飲料及び調味料である。同社は,平成9年5月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の2)
(2) 《納入業者(2)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.01パーセント又は約0.02パーセントであった。なお,上記各事業年度の同社の取引依存度における被審人の順位は,約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の2)
(3) 《納入業者(2)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約43パーセントないし約55パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は岡山県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.8パーセント又は約1.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第12位ないし第17位であった。(査24の2)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(2)》は,取引先変更可能性の設問に対し,被審人に代わる取引先を見つけること又は他の取引先との取引を増やすことで被審人との取引停止に伴う損失を補うことは容易であるとの回答(以下「取引先変更容易との回答」という。)を選択し,その理由記載欄に,被審人との取引の同社全体における割合は0.02パーセントであり,同社は取引先数も多く,他の取引先との取引を増やすことでカバーできると考えられる旨記載している。(査24の2)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(2)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額増加期待,②消費者人気小売業者を選択している。(査24の2)

第3 《納入業者(3)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(3)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はインスタント食品(缶詰,レトルト食品含む),飲料及び調味料である。同社は,平成5年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の3)
(2) 《納入業者(3)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第59位又は約64位であった。(査24の3)
(3) 《納入業者(3)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約57パーセントないし約61パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支社(営業区域は中国及び四国地方)によるものであるところ,各事業年度の同支社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.5パーセント又は約1.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第11位又は第12位であった。(査24の3)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(3)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人ほどの店舗数を持っている企業が岡山県では存在しない旨記載している。(査24の3)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(3)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤被審人から規格・仕様の指示を受けて製造している商品があり,当該商品を他の小売業者へ振り替えることができないこと(以下「指示商品振替困難」という。),⑥被審人と取引することで会社としての信用が確保されること(以下「自社信用確保」という。),⑦被審人は消費者に人気がある小売業者であること(以下「消費者人気小売業者」という。)を選択している。(査24の3)
また,同社の《略》支社《略》支店の《略》は,同社の《略》支店における被審人に対する取引依存度は約10パーセントであり,また,被審人ほどの店舗数を構えている小売業者は岡山県では存在しないことから,同社の《略》支店にとって被審人は最重要の取引先である旨供述している。(査44)

第4 《納入業者(4)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(4)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は飲料である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期及び審査官の主張する違反行為期間における同社の年間総売上高は,本件証拠上明らかでない。(査24の4)
(2) 《納入業者(4)》の平成19年5月1日に始まり平成20年4月30日に終わる事業年度から平成21年5月1日に始まり平成22年4月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.05パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の4)
(3) 《納入業者(4)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約33パーセントないし100パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は東中国地区)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円及び約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.4パーセント又は約12パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査24の4)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(4)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現状で中国エリアの全ての量販店と取引があり,被審人に代わる取引先がない旨記載している。(査24の4)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(4)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難を選択している。(査24の4)

第5 《納入業者(5)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(5)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は飲料である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の5)
(2) 《納入業者(5)》の平成20年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度及び平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度の2事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.1パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の5)
(3) 《納入業者(5)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約47パーセント又は約50パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は岡山市,倉敷市など岡山県全般)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7.7パーセント又は約9.1パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の5)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(5)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,地域ナンバーワンチェーンで,特に岡山エリアにおいては,被審人に代わるチェーンはほかにない旨記載している。(査24の5)
また,同社の《略》課の《略》は,同社は北九州地区,中国地区及び関西地区を営業エリアとし,清涼飲料水を製造販売しているところ,同社の売上げ全体に占める被審人の売上高の割合は決して大きくはないが,被審人は,岡山県では店舗数が多く,いわゆる地域一番店であり,消費者にも人気が高いことから,被審人に代わる取引先を新たに見つけることは容易ではない旨供述している。(査25)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(5)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額増加期待,②消費者人気小売業者を選択している。(査24の5)
また,同社の《略》課の《略》は,同社の売上げ全体に占める被審人の売上高の割合は決して大きくはないが,被審人は,岡山県では店舗数が多く,いわゆる地域一番店であり,消費者の人気も高いことなどから,被審人は同社にとって重要な取引先の一つである旨供述している。(査25)

第6 《納入業者(6)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(6)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は加工食品,酒類及びチルド食品である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の6)
(2) 《納入業者(6)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.8パーセント又は約0.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第18位ないし第22位であった。(査24の6)
(3) 《納入業者(6)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約45パーセント又は約46パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は岡山県,広島県及び兵庫県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約12パーセント又は約13パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位であった。(査24の6)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(6)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は同社の《略》支店の売上げ上位企業であり,これに代わる規模の得意先が現状ではない旨記載している。(査24の6)
また,同社の《略》支店《略》課の従業員は,被審人は店舗数が多く,消費者に対する人気も高いので,被審人の店舗に商品を置いてもらうことは消費者の認知度を高めることができるなど戦略的にも欠かせない量販店であり,今後も店舗の拡大等によって取引の増加が期待できる取引先でもあり,このような被審人に代わる取引先は見つからない旨供述している。(査26)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(6)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高取引依存度,②損失補填困難,③取引額増加期待,④自社信用確保,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の6)

第7 《納入業者(7)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(7)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は飲料,調味料及び生鮮トマトである。同社は,昭和62年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の7)
(2) 《納入業者(7)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.25パーセント又は約0.27パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の7)
(3) 《納入業者(7)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は岡山県,広島県,山口県,島根県及び鳥取県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.6パーセントないし約4パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査24の7)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(7)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現在の被審人との取引高が非常に大きい旨記載している。(査24の7)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(7)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の7)

第8 《納入業者(8)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(8)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は飲料,缶詰及びパスタである。同社は,平成13年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵において同じ。)であった。(査24の8)
(2) 《納入業者(8)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.3パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第51位ないし第58位であった。(査24の8)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(8)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人には同社の多くの商品を販売してもらっており,被審人の店舗展開エリアでは,直ちに他の量販店で同様の扱いをしてもらうことが難しい旨記載している。(査24の8)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(8)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難,③取引額増加期待,④消費者人気小売業者を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の8)

第9 《納入業者(9)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(9)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はドライ珍味,豆・ナッツ及び海苔である。同社は,平成16年5月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の9)
(2) 《納入業者(9)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.7パーセント又は約1.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位又は第8位であった。(査24の9)
(3) 《納入業者(9)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,広島県,愛媛県,高知県及び香川県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約68パーセントないし約79パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも第1位であったと認められる。(査24の9)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(9)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,競合する同業者が多いため,同社の《略》営業所の営業区域で損失を補うことは難しい旨記載している。(査24の9)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(9)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の9)

第10 《納入業者(10)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(10)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は砂糖,小麦粉及び麺類である。同社は,昭和52年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の10)
(2) 《納入業者(10)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.7パーセントないし約5.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の10)
(3) 《納入業者(10)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の本社によるものであるところ,各事業年度の同本社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.7パーセントないし約7.9パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査24の10)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(10)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,岡山県等で60店舗を有する被審人に代わる企業がない旨記載している。(査24の10)
また,同社の《略》部の課長は,同社にとって被審人は2番目に取引額の大きい重要な取引先であり,仮に被審人との取引が大幅に縮小したり,取引自体がなくなったりした場合には同社にとって相当大きな痛手になる旨供述している。(査43)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(10)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待,③自社信用確保,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の10)

第11 《納入業者(11)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(11)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は米穀及び農産加工品である。同社は,平成11年7月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の11)
(2) 《納入業者(11)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.8パーセントないし約8.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第2位ないし第4位であった。(査24の11)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(11)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,米穀商品は地産地消色の強い商品であり,岡山県産米を主に取り扱っている同社として,岡山県内に多店舗化している被審人は,販売・商品PR及び商品の物流面において,県内量販店としては,同社の最良の取引先であり,また,店頭販売米及びインストア用米だけではなく,業務用米の取扱いについては,被審人に供給している炊飯ベンダーへの影響もあり,被審人との取引が停止になった場合の損失は多大なものであり,他の取引先で補うことは困難であると,それぞれ判断している旨記載している。(査24の11)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(11)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤指示商品振替困難,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の11)
また,同社の《略》課長は,①同社の米及び胚芽米の取引において被審人は平成21年度において3番目に取引額の大きい取引先であり,スーパーでは一番取引額の大きい取引先である旨,②同社は,被審人と惣菜用の米の取引も行っており,スーパー等小売店に対する惣菜用の米の取引では,被審人は一番取引額の大きい取引先である旨供述している。(査36)

第12 《納入業者(12)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(12)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は調味料(みそ),調味料(おかずみそ)及び即席みそ汁である。同社は,昭和55年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の12)
(2) 《納入業者(12)》の平成19年5月1日に始まり平成20年4月30日に終わる事業年度から平成21年5月1日に始まり平成22年4月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1パーセント又は約1.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第22位であった。(査24の12)
(3) 《納入業者(12)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約66パーセントないし約72パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》と称する営業拠点(営業区域は岡山県及び兵庫県の一部)によるものであるところ,各事業年度の同営業拠点の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7.3パーセント又は約7.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の12)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(12)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社では店舗巡回をして,季節商品の陳列やメンテナンスを行っており,安定した売上げが確保できている旨記載している。(査24の12)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(12)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,消費者人気小売業者を選択している。(査24の12)

第13 《納入業者(13)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(13)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は農海産乾物,珍味及び調味料である。同社は,昭和62年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の13)
(2) 《納入業者(13)》の平成19年6月1日に始まり平成20年5月31日に終わる事業年度から平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約15パーセント又は約16パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査24の13)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(13)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,新規取引先の開拓又は現行取引先の取引金額を増やすことは容易ではない旨記載している。(査24の13)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(13)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の13)

第14 《納入業者(14)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(14)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は菓子である。同社は,平成2年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の14)
(2) 《納入業者(14)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.19パーセントないし約0.23パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の14)
(3) 《納入業者(14)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は,岡山県及び周辺近県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7.3パーセントないし約8.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査24の14)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(14)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の《略》支店としての売上構成率は8パーセント程度あり,今後も岡山地区における有力な成長企業として取組を強化していく方針であり,取引を停止した場合,岡山エリアの販売損失は大きく,同エリアにおいて他社で補うのは困難である旨記載している。(査24の14)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(14)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の14)
また,同社の《略》支店の担当課長は,同人は課長として菓子類全般の営業業務を行っており,同人の担当する取引先のうち,被審人は売上高で約7割を占めており一番大きな取引先である旨供述している。(査37)

第15 《納入業者(15)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(15)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は菓子である。同社は,平成15年2月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の15)
(2) 《納入業者(15)》の平成19年3月1日に始まり平成20年2月29日に終わる事業年度から平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.4パーセントないし約0.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第24位ないし第39位であった。(査24の15)
(3) 《納入業者(15)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県及び広島県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約47パーセントないし約67パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の15)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(15)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,新規客先の開拓は,規模の大小を問わず容易ではない旨記載している。(査24の15)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(15)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の15)

第16 《納入業者(16)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(16)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はアイスクリーム,冷凍麺及び業務用商材である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期は,本件証拠上明らかでない。(査24の16)
(2) 《納入業者(16)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.9パーセントないし約2.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査24の16)
(3) 《納入業者(16)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約86パーセント又は約87パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県及び広島県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約41パーセント又は約43パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の16)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(16)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の《略》営業所における被審人に対する売上ウェイトは,同営業所存続の危機にもなりかねない旨記載している。(査24の16)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(16)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の16)

第17 《納入業者(17)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(17)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は菓子類及び飲料類である。同社は,平成16年5月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の17)
(2) 《納入業者(17)》の平成19年8月1日に始まり平成20年7月31日に終わる事業年度から平成21年8月1日に始まり平成22年7月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.4パーセントないし約2.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第8位ないし第14位であった。(査24の17)
(3) 《納入業者(17)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》本社(営業区域は全国)によるものであるところ,各事業年度の同本社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.6パーセントないし約2.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第7位ないし第12位であった。(査24の17)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(17)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は中・四国エリアでは有数の小売業者であり,現在の取引数量に見合う他の小売業者との新規取引契約は近年において実現できていない旨記載している。(査24の17)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(17)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難,③取引額増加期待を選択している。(査24の17)

第18 《納入業者(18)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(18)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は菓子である。同社は,昭和30年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の18)
(2) 《納入業者(18)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約17パーセントないし約21パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の18)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(18)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社は地方問屋であるため,地方市場で被審人に代わる取引先を見つけることは無理である旨記載している。(査24の18)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(18)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の18)

第19 《納入業者(19)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(19)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は菓子である。同社は,平成11年10月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の19)
(2) 《納入業者(19)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.8パーセントないし約2.1パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第12位ないし第14位であった。(査24の19)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(19)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更容易との回答を選択している。(査24の19)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(19)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待,③指示商品振替困難,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の19)

第20 《納入業者(20)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(20)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はアイスクリームである。同社は,平成5年8月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の20)
(2) 《納入業者(20)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約27パーセントないし約30パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の20)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(20)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社は全国的な流通には対応できず,今は被審人との取引を死守するのがやっとである旨記載している。(査24の20)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(20)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待を選択している。(査24の20)

第21 《納入業者(21)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(21)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は菓子である。同社は,昭和55年10月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の21)
(2) 《納入業者(21)》の平成18年9月1日に始まり平成19年8月31日に終わる事業年度から平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約90パーセントないし約93パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の21)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(21)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,各スーパーにおける取引先の選別が進み,他スーパーから同社が被審人の子会社のように思われている旨記載している。(査24の21)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(21)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の21)

第22 《納入業者(22)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(22)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は玩具菓子,玩具及び花火である。同社は,昭和55年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の22)
(2) 《納入業者(22)》の平成19年7月1日に始まり平成20年6月30日に終わる事業年度から平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約16パーセント又は約18パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の22)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(22)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社は地域限定の卸売業者であり,被審人の売上げに代わる取引先を見つけることは容易ではない旨記載している。(査24の22)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(22)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の22)

第23 《納入業者(23)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(23)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は菓子,雑貨(花火)及び飲料である。同社は,平成16年2月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査15,24の23。なお,査15における同社の被審人に対する売上高によれば,査24の23における「千円」は「百万円」の誤りであると推察される。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)
(2) 《納入業者(23)》の平成19年6月1日に始まり平成20年5月31日に終わる事業年度から平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.3パーセントないし約1.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第8位ないし第13位であった。(査15,24の23)
(3) 《納入業者(23)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約67パーセントないし約91パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.1パーセントないし約7.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査15,24の23)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(23)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との月間取引高《金額》円を容易に埋め合わせることはできない旨記載している。(査24の23)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(23)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の23)

第24 《納入業者(24)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(24)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はパン,洋菓子及び和菓子である。同社は,昭和62年12月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の24)
(2) 《納入業者(24)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約2《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第49位ないし第52位であった。(査24の24)
(3) 《納入業者(24)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約67パーセント又は約68パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の岡山工場(営業区域は岡山県,香川県,徳島県,愛媛県,鳥取県及び広島県東部の一部地域)によるものであるところ,各事業年度の同工場の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.6パーセント又は約3.7パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位であった。(査24の24)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(24)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人の取引額が,同社の岡山工場の売上げに占める割合が高く,取引停止による損失を補う新規取引チェーンとの取引が見込めず,既存チェーンでの売上げ拡大も見込めない旨記載している。(査24の24)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(24)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度を選択している。(査24の24)

第25 《納入業者(25)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(25)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はパン,洋菓子及び和菓子である。同社は,平成9年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の25)
(2) 《納入業者(25)》の平成18年9月1日に始まり平成19年8月31日に終わる事業年度から平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第54位ないし第64位であった。(査24の25)
(3) 《納入業者(25)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約72パーセントないし約74パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の《略》部(営業区域は兵庫県,岡山県,広島県,山口県,鳥取県及び島根県)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.7パーセントないし約3.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位ないし第9位であった。(査24の25)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(25)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更容易との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人に対する取引依存度が0.3パーセントであり,他の取引先でカバーすることが可能である旨記載している。(査24の25)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(25)》は,取引継続必要性の設問に対し,「いいえ」を選択している。(査24の25)
一方,同社の《略》営業所の従業員は,被審人に対する月間売上高は約《金額》円(審決注:年間で計算すると約《金額》円)であり,同営業所における被審人の売上高の順位は上位第2位であり,重要な販売先である旨供述している。(査38)
また,同従業員は,被審人の要請に応じて協賛金の提供や被審人の店舗における商品陳列等の作業を行った理由について,被審人が同社の《略》部《略》営業所にとって重要な取引先である旨供述している。(査38)

第26 《納入業者(26)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(26)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は食パン等である。同社は,平成7年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の26)
(2) 《納入業者(26)》の平成18年7月1日に始まり平成19年6月30日に終わる事業年度から平成20年7月1日に始まり平成21年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第50位又は第58位であった。(査24の26)
(3) 《納入業者(26)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約64パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》部(営業区域は岡山県,広島県,鳥取県及び島根県)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.5パーセント又は約4.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第5位又は第6位であった。(査24の26)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(26)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人への売上げの占める割合が大きい旨記載している。(査24の26)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(26)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の26)

第27 《納入業者(27)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(27)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はパン,米飯及び冷凍生地である。同社は,平成8年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の27)
(2) 《納入業者(27)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.5パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第70位であった。(査24の27)
(3) 《納入業者(27)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約42パーセントないし約50パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》部(営業区域は近畿,中国,北陸)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.4パーセント又は約0.5パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第40位であった。(査24の27)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(27)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は店舗数も多く,将来的に売上げ拡大の可能性がある取引先であり,また,新規参入など容易にできるものではなく,中国地区では被審人が重要な取引先である旨記載している。(査24の27)
また,同社の《略》部《略》工場の《略》課長は,同課の担当地域は岡山県,広島県,山口県,鳥取県鳥取市及び同県倉吉市(以下,本項で「中国地域」という。)であるところ,中国地域には被審人に匹敵する店舗数を有する取引先又は取引先となり得る企業はなく,同地区で《納入業者(27)》が取引を行っていない企業もほとんどないことなどから,仮に被審人との取引がなくなった場合に,中国地域においてこれを埋め合わせるだけの取引先を新たに見つけることは難しい,また,関西地域では中国地域における被審人との取引額と同程度の売上げを増やすことができるかもしれないが,同社の営業方針としてどの地域でも同社の商品が販売されるよう各営業所は売上げを伸ばすよう指導されており,同社にとって重要な地域とそうでない地域という区別はないことから,中国地域で減った売上げを関西地域の売上げを増やすことで埋め合わせることはできない旨供述している。(査397)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(27)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の27)
また,同社の《略》部の課長は,同社の取引先は被審人より事業規模の大きい取引先から街の小さな食品小売店まで様々あるところ,被審人は岡山県にあるスーパーマーケットの中では無視できないほどに取引額の大きい取引先であり,同社の被審人に対する取引依存度は1パーセント未満であるものの,取引先の順位としては全国及び《略》部担当地域のいずれにおいても上位5パーセント以内に入る取引先であり,特に岡山地域の中では上位5位以内に入り,毎年《金額》円以上の売上げを安定的に維持できることから,《略》部では被審人を主要な取引先と位置付けている旨供述している。(査396)

第28 《納入業者(28)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(28)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はパン,冷凍パン及び和・洋菓子である。同社は,昭和59年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の28)
(2) 《納入業者(28)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約万《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約1パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第11位又は第12位であった。(査24の28)
(3) 《納入業者(28)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約70パーセント又は約72パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》部(営業区域は岡山県及び広島県東部)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約16パーセント又は約17パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の28)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(28)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の28)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(28)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の28)
また,同社の《略》部《略》係の従業員は,同社の《略》部は,岡山県と広島県東部を担当しているところ,被審人は,同部の売上高第1位であり,同部にとって重要な取引先である旨(査42),同社の《略》工場長は,①同社は石窯パンと称する商品や食パン等を製造販売しており,西日本を中心に事業を展開しているところ,《略》部は製造工場を併設していることから,製造及び流通を考えると,同部は重要な拠点の一つといえる旨,②同部にとって,取引高第1位の被審人は重要な取引先の一つである旨(査320),それぞれ供述している。

第29 《納入業者(29)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(29)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はパン類,菓子類及び弁当類である。同社は,平成10年10月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の29)
(2) 《納入業者(29)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.2パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中のいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の29)
(3) 《納入業者(29)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約94パーセント又は約95パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は岡山県,広島県,大阪府及び兵庫県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.4パーセントないし約4.8パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位であった。(査24の29)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(29)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は同社の《略》支店の売上げの5パーセントないし8パーセント程度を占めており,他の未取引先も限られており,すぐに損失を補うことは困難である旨記載している。(査24の29)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(29)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,損失補填困難を選択している。(査24の29)

第30 《納入業者(30)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(30)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はパン,和菓子及び洋菓子である。同社は,平成5年12月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)である。(査24の30)
(2) 《納入業者(30)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.5パーセントないし約0.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第17位ないし第36位であった。(査24の30)
(3) 《納入業者(30)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》工場(営業区域は中京,関西,中四国)によるものであるところ,各事業年度の同工場の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.5パーセントないし約3.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第9位ないし第13位であった。(査24の30)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(30)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,中国地区の量販チェーンでは,被審人が最も販売力があるチェーンである旨記載している。(査24の30)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(30)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待を選択している。(査24の30)

第31 《納入業者(31)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(31)》は,《所在地略》に所在する製造業及び小売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は和菓子及び洋菓子である。同社は,昭和63年8月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の31)
(2) 《納入業者(31)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1パーセント又は約1.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第22位ないし第26位であった。(査24の31)
(3) 《納入業者(31)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約81パーセントないし約96パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は岡山県及び広島県福山市)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約13パーセントないし約17パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査24の31)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(31)》は,取引先変更可能性の設問に対し,回答としていずれの選択肢も選択していないが,いずれかを選択した場合の理由記載欄に,被審人との取引額,取引数量が多く,年間売上高の比率が高い旨記載している。かかる理由記載欄の記載からすれば,当該設問に対し,取引先変更困難との回答を選択したものと認められる。(査24の31)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(31)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度を選択している。(査24の31)
また,同社の《略》課の従業員は,①被審人との取引の窓口は,同社の《略》支店であり,同支店の取引先の中で被審人は同社の販売金額上位第1位又は第2位である旨,②同社は,《所在地略》に本社を置き,西日本を中心に事業活動を展開しているところ,同支店は,岡山県全域と中国地方でも人口の多い大きな商圏である広島県東部地区をカバーしていることから,同社にとって非常に重要な事業拠点であり,同支店を維持していくためには,どうしても取引を継続していく必要がある重要な取引先である被審人は,同社全体にとっても非常に重要な取引先である旨供述している。(査341)

第32 《納入業者(32)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(32)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は冷凍食品,鮮凍品及びチルド製品である。同社は,平成11年1月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の32)
(2) 《納入業者(32)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.02パーセント又は約0.03パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第310位ないし第372位であった。(査24の32)
(3) 《納入業者(32)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,兵庫県の一部)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.2パーセントないし約7.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第4位ないし第6位であった。(査24の32)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(32)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更容易との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の《略》営業所の営業区域において被審人と同規模の取引先が少なからず存在する旨記載している。(査24の32)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(32)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高取引依存度,②取引額増加期待,③消費者人気小売業者を選択している。(査24の32)

第33 《納入業者(33)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(33)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は飲料,デザート及び乳製品である。同社は,平成2年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の33)
(2) 《納入業者(33)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.12パーセントないし約0.14パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第96位ないし第110位であった。(査24の33)
(3) 《納入業者(33)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約77パーセントないし約80パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は中国5県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.9パーセントないし約2.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第11位ないし第15位であった。(査24の33)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(33)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の商品は岡山県内で広く取り扱われているが,同社支店の売上実績における被審人の構成比が大きく,他の取引先ではその売上げを補うことは困難である旨記載している。(査24の33)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(33)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高取引依存度,②損失補填困難,③取引額増加期待,④指示商品振替困難を選択している。(査24の33)

第34 《納入業者(34)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(34)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は魚肉練製品,豆乳飲料及び中華惣菜である。同社は,昭和63年12月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の34)
(2) 《納入業者(34)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第52位であった。(査24の34)
(3) 《納入業者(34)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》部(営業区域は岡山県,鳥取県及び島根県)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約15パーセントないし約17パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の34)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(34)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社《略》部において,被審人は取引額が一番であり,店舗数も71店舗と最大であるが,ここまで取引額が大きくなったのは,長年にわたる努力の結果,信頼・相互関係がやっと出来上がったからで,急に同程度の信頼関係のある得意先ができるわけではない旨記載している。(査24の34)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(34)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤指示商品振替困難,⑥自社信用確保,⑦消費者人気小売業者を選択している。(査24の34)
また,同社の《略》部の《略》部長は,①同社の《略》部にとって被審人は最も取引額の大きな取引先であり,被審人は同部にとって最も重要な取引先の一つである旨,②同部は同社にとって主要な営業拠点の一つであり,被審人は同社全体にとっても重要な取引先である旨供述している。(査311)

第35 《納入業者(35)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(35)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は乳製品,冷菓及び飲料である。同社は,昭和55年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の35)
(2) 《納入業者(35)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1パーセントないし約1.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第13位ないし第16位であった。(査24の35)
(3) 《納入業者(35)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は,岡山県,広島県,山口県,香川県,愛媛県ほか)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.9パーセントないし約6.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査24の35)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(35)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,特に営業拠点においては,売上高に対する被審人の構成比が高い旨記載している。(査24の35)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(35)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④自社信用確保,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の35)

第36 《納入業者(36)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(36)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は納豆及び豆腐である。同社は,平成11年2月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の36)
(2) 《納入業者(36)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.1パーセント又は約0.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第119位ないし第149位であった。(査24の36)
(3) 《納入業者(36)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約80パーセント又は約81パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,広島県,鳥取県,香川県,徳島県,愛媛県及び高知県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.2パーセントないし約5.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第6位又は第7位であった。(査24の36)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(36)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の36)
また,同社の《略》営業所長は,①変更が困難である理由として,同社の製品は全国のスーパーマーケットでくまなく取り扱ってもらっており,同社の《略》営業所の担当地域でも同社の商品が納入されていない取引先はまずないという認識であったため,仮に被審人との取引が継続できなくなったら,代わりの取引先は探しようがない状態で,被審人に対する売上高分をそっくり失うことになる旨,②被審人と同規模の取引先は当然見つけられないし,それよりも小さい規模の取引先を幾つも見つけて穴埋めすることも困難な状況にあった旨,③取引継続必要性の設問に対する回答及び取引先変更可能性の設問に対する回答は同社の《略》営業所だけでなく,会社全体としての判断によるものである旨供述している。(査392)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(36)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の36,392)
また,同社の《略》営業所長は,被審人との取引を継続する必要性が高い理由として,上記4つに加えて,同社が被審人のプライベートブランドの納豆を製造販売していること,さらに,前記2で回答した取引先の変更が困難である理由も合わせてみていると供述している。(査392)

第37 《納入業者(37)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(37)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は乳製品,飲料及びレトルト食品である。同社は,平成9年5月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の37)
(2) 《納入業者(37)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.76パーセントないし約0.88パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第6位又は第8位であった。(査24の37)
(3) 《納入業者(37)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約16パーセントないし約19パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の37)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(37)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の37)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(37)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難を選択している。(査24の37)

第38 《納入業者(38)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(38)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は納豆,加工食品及び凍豆腐である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の38)
(2) 《納入業者(38)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.2パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第82位又は第86位であった。(査24の38)
(3) 《納入業者(38)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は広島県,岡山県,山口県,鳥取県及び島根県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4パーセント又は約4.2パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位であった。(査24の38)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(38)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同一地域において,年間《金額》円の売上げを見込める販売先を確保することは不可能である旨記載している。(査24の38)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(38)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の38)

第39 《納入業者(39)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(39)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は漬物,調味料及び小麦でん粉である。同社は,平成17年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の39)
(2) 《納入業者(39)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.19パーセント又は約0.21パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第92位又は第100位であった。(査24の39)
(3) 《納入業者(39)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は中国・四国地方全9県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.5パーセントないし約6.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の39)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(39)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は岡山県を中心とするエリアで最大の店舗数を誇り,同社品の取扱額も大きいため,他社で販売先を探しても同様の売上げを見込めない旨記載している。(査24の39)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(39)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待を選択している。(査24の39)

第40 《納入業者(40)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(40)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は練製品である。同社は,平成12年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。なお,審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金の額は,本件証拠上明らかでない。(査24の40)
(2) 《納入業者(40)》の平成19年7月1日に始まり平成20年6月30日に終わる事業年度から平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.1パーセントであった。なお,上記各事業年度の取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上明らかでない。(査24の40)
(3) 《納入業者(40)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約1.5パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも上位第20位であった。(査24の40)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(40)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,この時代,取引をやめて,すぐに同じ売上げは達成できない旨記載している。(査24の40)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(40)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,「その他」を選択し,その具体的内容として,被審人は品ぞろえもよく,お付き合いしたい企業である旨記載している。(査24の40)

第41 《納入業者(41)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(41)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は発酵乳,牛乳及び加工乳である。同社は,平成11年2月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の41)
(2) 《納入業者(41)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.27パーセントないし約0.32パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第60位ないし第70位であった。(査24の41)
(3) 《納入業者(41)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は中国・四国地方)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.65パーセントないし約0.79パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第34位ないし第38位であった。(査24の41)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(41)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,納品アイテムも増え,特売頻度も上がり,同社商品に対する認識が上がってきており,被審人は岡山地区の企業を牽引する取引先である旨記載している。(査24の41)
そして,同社の《略》支店の《略》課長は,上記回答の補足として,①岡山地区で被審人ほどの店舗数を持つ事業者はほかになく,文字どおり被審人が岡山県内での販売を牽引しており,特に岡山県内で店舗数の多い被審人に代わり得る新規の取引先はほかにない旨,②同社の報告書作成当時は,《金額》円から《金額》円程度の被審人に対する年間売上高を安定して得られており,この売上高を他の取引先の売上高を増やすことで補填することは困難である旨供述している。(査356)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(41)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①損失補填困難,②取引額増加期待,③自社信用確保,④「その他」を選択し,その具体的内容として,岡山地区,中国地方での拡大に必要な企業である旨記載している。(査24の41)
また,同社の《略》支店の《略》課長は,①同社の《略》支店は,中国・四国地区の量販店等に対する営業を担当しており,被審人も取引先の一つである旨,②被審人は,岡山県内の店舗数が54店舗もあり,その数は他の量販店の岡山県内の店舗数をしのぐものであり,被審人に取り扱ってもらう同社の商品数が増えつつあり,同社の商品が特売の対象となる頻度も上がり販売数が上がっていただけでなく,店舗数が多いこともあって同社の商品が消費者に認知されて今後も売上高の増加が見込める重要な取引先であり,被審人との取引関係を守っていかないといけないところである旨,③同社の報告書は会社名義のものであり,その回答は,同社としてのものであり,被審人は同社全体にとっても重要な取引先である旨供述している。(査356)

第42 《納入業者(42)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(42)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は練製品である。同社は,平成21年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の42)
(2) 《納入業者(42)》の平成21年4月21日に始まり平成22年4月20日に終わる事業年度において,被審人に対する年間売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.54パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社中の上位第33位であった。(査24の42)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(42)》は,取引先変更可能性の設問に対し,回答を選択していない。(査24の42)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(42)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待,③消費者人気小売業者,④「その他」を選択し,その具体的内容として,「メーカー競合に対抗」と記載している。(査24の42)

第43 《納入業者(43)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(43)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は納豆である。同社は,平成8年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の43)
(2) 《納入業者(43)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.54パーセントないし約0.66パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第48位又は第52位であった。(査24の43)
(3) 《納入業者(43)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は近畿・四国地方)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.6パーセントないし約8.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査24の43)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(43)》は,取引先変更可能性の設問に対し,回答を選択していない。(査24の43)
同社の《略》営業所係長は,①同社が取引先変更可能性の設問に対して回答しなかったのは,設問が仮定のものであったことによる旨,②被審人との取引を継続することは同社の事業戦略上重要であり,この重要性は単に数字だけで推し量れるものではない旨,③被審人のような売上増に係る伸びしろのある取引先は,被審人との取引規模になると少なくとも近畿,中国,四国地区では他になかったことから,被審人との取引額に代わるような新規取引先はなく,仮に被審人との取引が停止してしまった場合,既存の取引先でその損失を補填することは困難である旨供述している。(査24の43,査391)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(43)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額増加期待,②消費者人気小売業者を選択している。(査24の43)
また,同社の《略》営業所係長は,①もともと関東に比べて関西では納豆の消費量が低いため,専ら納豆の製造販売業者である同社が更に事業を拡大していけるかどうかは,関西での売上げを伸ばせるかどうかにかかっている旨,②そのため,近畿,中国,四国地区を業務エリアとする同社の《略》営業所の事業を維持拡大することは同社全体の経営方針に関わる旨,③被審人は同営業所の取引先の中で消費者に人気のある小売業者の一つであり,被審人に対する年間売上高は上位5位以内と安定した取引先であり,平成19年から平成22年頃にかけては被審人の新規店舗が年に2から3店舗の勢いで急激に増えてきたので更なる取引量の拡大が期待できた旨,④そのような伸びしろのある取引先は,同営業所の取引先の中で被審人を含め2,3社しかない旨,⑤以上のことから,同社の《略》営業所での事業を維持拡大していくためには被審人との取引を継続することが必須であった旨供述している。(査391)

第44 《納入業者(44)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(44)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は乳製品・飲料,アイスクリーム及び冷凍食品である。同社は,昭和58年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の44)
(2) 《納入業者(44)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.6パーセント又は約3.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位であった。(査24の44)
(3) 《納入業者(44)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約93パーセント又は約94パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県及び広島県東部地区)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約9.6パーセントないし約11パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位であった。(査24の44)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(44)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社は通常の問屋業態ではなく,《会社名略》商品の中国地区の販売会社として中国地区の主要量販店のほとんどと既に取引を行っており,仮に被審人と取引を中止した場合には,被審人の売上規模の取引先は存在しない旨記載している。(査24の44)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(44)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難,③取引額増加期待を選択している。(査24の44)

第45 《納入業者(45)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(45)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は練製品である。同社は,平成11年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の45)
(2) 《納入業者(45)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.5パーセントないし約1.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第17位又は第18位であった。(査24の45)
(3) 《納入業者(45)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,鳥取県,島根県及び広島県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約31パーセント又は約32パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の45)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(45)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人と長年積み重ねてきた協力関係の上で,今後も被審人との取組を強化していく方針で営業活動を行っている旨記載している。(査24の45)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(45)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難を選択している。(査24の45)
また,同社の《略》営業所営業担当の従業員は,①被審人は《略》営業所との取引金額が最も大きく,同営業所にとって大切な取引先である旨,②同営業所は被審人の本社の目と鼻の先にあるので被審人に対する営業を行う上で利便性が高く,同営業所で毎月同社の役員等も出席して会議を行うことなどから同営業所は重要な拠点である旨供述している。(査41,280)

第46 《納入業者(46)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(46)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はコーヒーフレッシュ,飲料及びシロップである。同社は,昭和62年10月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の46)
(2) 《納入業者(46)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第38位ないし第54位であった。(査24の46)
(3) 《納入業者(46)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,広島県,鳥取県,島根県,山口県,徳島県,香川県,愛媛県及び高知県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.1パーセントないし約6.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位ないし第6位であった。(査24の46)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(46)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は岡山市等に55店舗を展開する岡山県ナンバーワンの集客チェーンであり,他チェーンともおおむね取引がある中,同規模の実績を獲得することは容易ではない旨記載している。(査24の46)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(46)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の46)

第47 《納入業者(47)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(47)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は魚肉練製品である。同社は,平成11年6月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の47)
(2) 《納入業者(47)》の平成19年7月1日に始まり平成20年6月30日に終わる事業年度から平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.8パーセント又は約2.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第4位ないし第9位であった。(査24の47)
(3) 《納入業者(47)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,香川県,高知県,徳島県及び広島県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約22パーセントないし約37パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の47)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(47)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,練製品業界が縮小する中,新規取引先を見つけることは容易ではない旨記載している。(査24の47)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(47)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難を選択している。(査24の47)
また,同社勤務経験のある同社の子会社の従業員は,①同社と被審人との取引額は,同社の全取引先の中で上位第5位以内に入るくらいの規模があり,同社にとって被審人は非常に重要な取引先である旨,②被審人との取引の窓口は,同社の《略》営業所であったところ,平成19年から平成22年当時,同営業所の被審人に対する取引依存度は20パーセントから35パーセント程度を占めていたことから,同営業所にとって被審人は最も重要な取引先である旨,③以前から水産練製品業界は市場が縮小する傾向にあり,大規模な小売業者が同製品の取引先を絞っていく傾向にあるなど,取引環境が非常に厳しい状態が続いていたため,被審人のような取引額の大きな取引先を一旦失ってしまうと同規模の取引を期待できる取引先を新たに見つけることは非常に難しい状況であったことから,同社としては,被審人との取引を是非継続したいと考えていた旨供述している。(査358)

第48 《納入業者(48)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(48)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は玉子豆腐(チルド食品),茶碗蒸し(チルド食品)及び中華惣菜(チルド食品)である。同社は,平成11年1月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,平成20年度及び平成21年度における同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の48)
(2) 《納入業者(48)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.4パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の48)
(3) 《納入業者(48)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は九州及び中四国地方)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.2パーセントないし約9.6パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位ないし第5位であった。(査24の48)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(48)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現状ほとんどの量販店への商品供給があり,同規模の新規量販店がない旨記載している。(査24の48)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(48)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の48)

第49 《納入業者(49)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(49)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は牛乳,加工乳及び飲料である。同社は,昭和58年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の49)
(2) 《納入業者(49)》の平成18年9月1日に始まり平成19年8月31日に終わる事業年度から平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約9.3パーセントないし約12パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位であった。(査24の49)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(49)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との取引金額が多いため,他の取引先を探すことは容易ではない旨記載している。(査24の49)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(49)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待,③消費者人気小売業者を選択している。(査24の49)

第50 《納入業者(50)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(50)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は牛乳,乳飲料及びヨーグルトである。同社は,平成2年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の50)
(2) 《納入業者(50)》の平成18年12月1日に始まり平成19年11月30日に終わる事業年度から平成20年12月1日に始まり平成21年11月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.7パーセント又は約3.8パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位であった。(査24の50)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(50)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,既に被審人以外のスーパーとも取引はあるが,取引条件等で同社にとって有利な条件での取引先は余りない旨記載している。(査24の50)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(50)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④自社信用確保,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の50)

第51 《納入業者(51)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(51)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は漬物,納豆及びみそである。同社は,平成7年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の51)
(2) 《納入業者(51)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.2パーセント又は約2.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第7位であった。(査24の51)
(3) 《納入業者(51)》の被審人に対する売上高を計上している営業拠点として同社の《略》支店(営業区域は岡山県,広島県,兵庫県及び大阪府)があるところ,各事業年度の同支店の被審人に対する取引依存度は約13パーセントないし約15パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位であった。(査24の51)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(51)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,ある程度売上げがあるため,今の状況下で,被審人分の売上げを新規取引で確保することは難しい旨記載している。(査24の51)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(51)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①損失補填困難,②取引額増加期待,③自社信用確保を選択している。(査24の51)

第52 《納入業者(52)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(52)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は生麺類及びチルド商品である。同社は,平成12年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円であった。(査24の52)
(2) 《納入業者(52)》の被審人に対する売上高を計上している営業拠点として同社の《略》営業所(営業区域は中国5県)があるところ,平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.8パーセントないし約8パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位ないし第4位であった。(査24の52)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(52)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人への売上げ及び商品出荷数を他企業で補うことは困難である旨記載している。(査24の52)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(52)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の52)

第53 《納入業者(53)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(53)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は練製品,乳製品及び飲料である。同社は,平成2年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の53)
(2) 《納入業者(53)》の平成18年11月1日に始まり平成19年10月31日に終わる事業年度から平成20年11月1日に始まり平成21年10月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.7パーセントないし約3.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第5位ないし第7位であった。(査24の53)
(3) 《納入業者(53)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の営業拠点(審決注:営業拠点名は本件証拠上明らかでない。)によるものであるところ,各事業年度の同営業拠点の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約14パーセント又は約15パーセント,平成18年11月1日に始まり平成19年10月31日に終わる事業年度及び平成19年11月1日に始まり平成20年10月31日に終わる事業年度の2事業年度において,各事業年度の取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。なお,平成20年11月1日に始まり平成21年10月31日に終わる事業年度において,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社中の第3位よりも下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の53)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(53)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の53)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(53)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,損失補填困難を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の53)

第54 《納入業者(54)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(54)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む有限会社であり,主な取扱商品は練製品である。同社は,平成7年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の54)
(2) 《納入業者(54)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.5パーセントないし約3パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第7位ないし第10位であった。(査24の54)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(54)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人と競合するエリアで同規模の新規取引先を見つけることや,既存取引先で損失額の全てを補うことは,現状難しい旨記載している。(査24の54)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(54)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難,③取引額増加期待,④自社信用確保,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の54)

第55 《納入業者(55)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(55)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は豆腐・油揚げ類である。同社は,平成14年5月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の55)
(2) 《納入業者(55)》の平成19年6月1日に始まり平成20年5月31日に終わる事業年度から平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》万円,被審人に対する取引依存度は約3パーセント又は約4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第11位ないし第14位であった。(査24の55)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(55)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との安定した取引数量及び売上高が大きく,また,消費者に人気がある小売業者である旨記載している。(査24の55)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(55)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待,③消費者人気小売業者を選択している。(査24の55)

第56 《納入業者(56)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(56)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は豆腐,油揚げ及び厚揚げである。同社は,平成10年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の56)
(2) 《納入業者(56)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.3パーセントないし約7.2パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位又は第5位であった。(査24の56)
(3) 《納入業者(56)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県及び広島県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約11パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査24の56)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(56)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現在,食品業界全体がデフレ状態にあるため売上げが伸びず,新規取引先の開拓が期待できない旨記載している。(査24の56)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(56)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②指示商品振替困難を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の56)

第57 《納入業者(57)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(57)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は練製品及びレトルト食品である。同社は,平成5年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の57)
(2) 《納入業者(57)》の平成19年7月1日に始まり平成20年6月30日に終わる事業年度から平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.5パーセントないし約2.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第9位ないし第15位であった。(査24の57)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(57)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は地域密着スーパーであり,店舗数も多く,売上げが安定している旨記載している。(査24の57)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(57)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待,③自社信用確保,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の57)

第58 《納入業者(58)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(58)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は鶏卵,鶏卵加工品及び食料品である。同社は,昭和60年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の58)
(2) 《納入業者(58)》の平成18年9月1日に始まり平成19年8月31日に終わる事業年度から平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約48パーセント又は約49パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の58)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(58)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との取引額が大きい旨記載している。(査24の58)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(58)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待を選択している。(査24の58)
また,同社の代表取締役は,同社は,被審人から規格・仕様の指示を受けて製造している商品がよく売れることもあって,被審人は,同社にとって取引金額の大きい,重要な取引先である旨供述している。(査305)

第59 《納入業者(59)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(59)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は納豆,豆腐及びこんにゃくである。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。なお,同社は,被審人と取引を開始した時期を「昭和」と回答しているが,具体的な時期は本件証拠上明らかでない。(査24の59)
(2) 《納入業者(59)》の被審人に対する売上高を計上している営業拠点として同社の《略》支店(営業区域は岡山県)があるところ,平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円,被審人に対する年間売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第3位であった。(査24の59)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(59)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の59)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(59)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の59)

第60 《納入業者(60)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(60)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は麺類である。同社は,平成10年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の60)
(2) 《納入業者(60)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約40パーセントないし約42パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の60)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(60)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,納品価格等の条件面で同業他社と競争して,他社のシェアを取ること又は新規取引先を獲得することが困難である旨記載している。(査24の60)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(60)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④自社信用確保を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の60)

第61 《納入業者(61)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(61)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は調理麺,生麺及び蒸し・ゆで麺である。同社は,平成15年1月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の61)
(2) 《納入業者(61)》の平成20年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度及び平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度の2事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.8パーセント又は約3.5パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位であった。(査24の61)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(61)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,地方都市では売上げを取れる先が限られており,被審人を外すことはできず,また,報道のような状況は同社においてはなく,一般的な取引が行われているので問題にしていない旨記載している。(査24の61)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(61)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①損失補填困難,②取引額増加期待,③消費者人気小売業者を選択している。(査24の61)

第62 《納入業者(62)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(62)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む有限会社であり,主な取扱商品は漬物である。同社は,昭和60年5月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の62)
(2) 《納入業者(62)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約39パーセントないし約46パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の62)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(62)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,業界で競り合っている中で,お互いの信頼関係があってこそ確実性のある取引であると認識している旨記載している。(査24の62)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(62)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤指示商品振替困難,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の62)

第63 《納入業者(63)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(63)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は豆腐及び油揚げである。審査官の主張する違反行為期間における年間総売上高は約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した具体的な時期及び審査官の主張する違反行為期間における資本金の額は,本件証拠上明らかでない。(査45)
(2) 《納入業者(63)》の被審人に対する年間売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は1割弱,取引依存度における被審人の順位は上位第4位又は第5位であった。(査45)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(63)》の常務取締役は,被審人に対する売上高が大きいことから,被審人に代わる取引先を見つけること又は他の取引先との取引を増やすことで被審人との取引停止に伴う損失を補うことは困難である旨供述している。(査45)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(63)》の常務取締役は,同社が被審人に販売している商品の約8割は,被審人から規格・仕様の指示を受けて製造しているもので,近年その割合が増加している傾向にある旨供述している。(査45)

第64 《納入業者(64)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(64)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は酒類,飲料及び調味料である。同社は,平成7年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。)であった。(査24の64,27の1)
(2) 《納入業者(64)》の平成21年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.1パーセントであった。(査15〔左欄番号1560,1628の「取引額 第57期」欄〕,27の1)
(3) 《納入業者(64)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約78パーセントに当たる約《金額》円は,同社の《略》支店によるものであるところ,平成21年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第6位であった。(査15,24の64)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(64)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現在,被審人とは《金額》円程度の取引があり,億単位の取引がなくなると,他の取引先で取り返すことは困難である旨記載している。(査24の64)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(64)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の64)

第65 《納入業者(65)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(65)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は加工食品及び酒類である。同社は,平成17年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の65)
(2) 《納入業者(65)》の平成20年度及び平成21年度の2事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.2パーセント又は約1.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第7位又は第8位であった。(査24の65)
(3) 《納入業者(65)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は岡山県,鳥取県,島根県の一部)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約41パーセント又は約47パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の65)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(65)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の支店の固定費を補える販売先と,現在のところ取引できていない旨記載している。(査24の65)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(65)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤被審人との取引に関連して多額の投資を行っていること(以下「取引関連多額投資」という。)を選択している。(査24の65)
また,同社の《略》支店長は,①同社の《略》支店は,岡山県及び鳥取県を営業エリアとして食料品を販売している旨,②同支店の被審人に対する取引依存度は約46パーセントであるが,被審人の次に同支店の取引額が大きい取引先に対する取引依存度は約10パーセントしか占めていないことから,同支店にとって被審人は重要な取引先である旨供述している。(査35)

第66 《納入業者(66)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(66)》は,《所在地略》に所在する製造業,卸売業及び小売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は酒類,飲料及び調味料である。同社は,平成9年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の66)
(2) 《納入業者(66)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.1パーセントないし約0.7パーセント,平成19年度及び平成20年度の各事業年度の取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第15位又は第50位であった。なお,平成21年度の事業年度の取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の66)
(3) 《納入業者(66)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は岡山県及び関西)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.9パーセントないし約32パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位又は第5位であった。(査24の66)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(66)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,酒類の市場において,現在はスーパーの酒類販売量は増加傾向であり,大手卸はともかく,中小卸にとっては大手スーパーとの取引を新規に行うことは非常に難しいのが現状である旨記載している。(査24の66)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(66)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の66)

第67 《納入業者(67)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(67)》は,《所在地略》に所在する製造業,卸売業及び不動産賃貸業を営む株式会社であり,主な取扱商品は酒類,飲料及び調味料である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の67)
(2) 《納入業者(67)》の平成19年3月1日に始まり平成20年2月29日に終わる事業年度から平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7.5パーセントないし約8.0パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査24の67)
(3) 《納入業者(67)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約51パーセントないし約59パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は岡山県,広島県,兵庫県及び大阪府)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約13パーセント又は約16パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の67)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(67)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人に対する同社の売上げが年間約《金額》円,売上構成比で8パーセントあり,これに代わる販売先がない旨記載している。(査24の67)
また,同社の《略》支店《略》課の主任格の従業員は,①同社は,酒類や加工食品をメーカーから仕入れて小売業者に販売する卸売業者であり,同社全体の年間売上高は約《金額》円,このうち加工食品を取り扱う《略》支店の同売上高は約《金額》円であった旨,②同社の《略》支店における被審人に対する年間売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約12.3パーセントとかなり高くなっている旨,③同社の本店が所在する《略》県において被審人は出店店舗数も多く,被審人ほどの売上高のスーパーや量販店はないことから,被審人は同社にとって非常に重要な取引先と考えており,被審人に対する売上高を他の量販店への売上高で補うことはできない旨供述している。(査32)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(67)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の67)
また,同社の《略》支店《略》課の課長は,同社の酒類販売担当である《略》支店の売上高における被審人に対する取引依存度が14パーセント程度であり,同社の取引先として被審人は大変重要である旨(査31),同社の《略》支店の取締役支店長は,被審人に対する取引額が大きく被審人は同社にとって非常に重要な取引先であり,《略》支店でみても被審人に対する取引額としては第一位になる旨(査327),それぞれ供述している。

第68 《納入業者(68)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(68)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は清酒である。同社は,平成6年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の68)
(2) 《納入業者(68)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.4パーセントないし約4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査24の68)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(68)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,岡山県内で被審人ほどの店舗数と販売量を他の取引先でカバーすることは不可能である旨記載している。(査24の68)
また,同社の《略》部の《略》課長は,①同社の《略》部の営業区域は,岡山県,広島県その他近県である旨,②同社には,グループ会社として静岡県に所在する卸売業者の《E》と東京都における小売業者である《F》があるところ,同社の売上げの約6割は《E》,約4パーセントは《F》であり,これらグループ会社以外の取引先の中では,被審人は1,2を争う取引先である旨,③同社の被審人に対する取引依存度は約3パーセントから4パーセントであるが,被審人に対する売上高は同社の岡山県における年間売上高約《金額》円のうちの約《金額》円を占めており,被審人との取引がなくなれば同社の《略》部にとっては死活問題であり,同社全体としても経営に与える影響は大きい旨供述している。(査268)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(68)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高取引依存度,②取引額増加期待,③消費者人気小売業者を選択している。(査24の68)

第69 《納入業者(69)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(69)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は清酒及び酒粕である。同社は,平成8年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の69)
(2) 《納入業者(69)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》万円,被審人に対する取引依存度は約13パーセント又は約15パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の69)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(69)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,他に被審人に代わるスーパーがない旨記載している。(査24の69)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(69)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の69)

第70 《納入業者(70)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(70)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は清酒,焼酎及びリキュールである。同社は,平成7年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の70)
(2) 《納入業者(70)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.8パーセントないし約7.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の70)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(70)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人以外の取引先を見つけることは,現状では考えられないくらい大変難しい旨記載している。(査24の70)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(70)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待を選択している。(査24の70)

第71 《納入業者(71)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(71)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は日用品,一般医薬品及び化粧品である。同社は,平成10年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の71)
(2) 《納入業者(71)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.04パーセント又は約0.07パーセント,平成21年度の事業年度の取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第166位であった。なお,平成19年度及び平成20年度の各事業年度の同社の取引依存度における被審人の順位は上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の71)
(3) 《納入業者(71)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては同社の《略》支社(営業区域は中国地方)によるものであるところ,各事業年度の同支社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.7パーセントないし約1.4パーセント,平成19年度の事業年度の取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第195位であった。なお,平成20年度及び平成21年度の各事業年度の同支社の取引依存度における被審人の順位は上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の71)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(71)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更容易との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との平成21年度の取引額は《金額》円であり,同社の《略》支社においても26番目の取引先であることから,設問の状況が発生したとしても,同社にとって重篤な状況であるとはいえない旨記載している。(査24の71)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(71)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の71)

第72 《納入業者(72)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(72)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は日用品,化粧品及び飲料である。同社は,昭和62年10月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の72)
(2) 《納入業者(72)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.12パーセントないし約0.19パーセント,平成20年度及び平成21年度の各事業年度の取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第112位又は第121位であった。なお,平成19年度の事業年度の同社の取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上明らかでない。(査24の72)
(3) 《納入業者(72)》の平成20年度及び平成21年度の被審人に対する年間売上高の約59パーセント又は約60パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は同社の《略》と称する営業拠点(営業区域は中国地方及び四国地方)によるものであるところ,各事業年度の同営業拠点の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約1.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第20位であった。(査24の72)
2 取引先変更可能性等
《納入業者(72)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更容易との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の商品を愛用している顧客がおり,被審人との取引停止に伴う損失は他チェーンの売上増で補うことができる旨記載している。(査24の72)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(72)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①消費者人気小売業者,②「その他」を選択し,その具体的内容として,被審人で買物をする同社取扱ブランドファンの顧客がいる旨記載している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の72)

第73 《納入業者(73)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(73)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は日用品,家庭雑貨及びペットフードである。同社は,平成14年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の73)
(2) 《納入業者(73)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第49位ないし第59位であった。(査24の73)
(3) 《納入業者(73)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約68パーセント又は約77パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は岡山県,広島県,兵庫県の一部)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約9.8パーセントないし約13パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査24の73)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(73)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との取引額に見合う取引先を見つけることが困難である旨,また,該当エリアにおいて多店舗化が進み,極めてシェアが高くなるおそれがあり,取引がなくなると大変である旨記載している。(査24の73)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(73)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の73)

第74 《納入業者(74)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(74)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は家庭日用品全般である。同社は,平成5年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の74)
(2) 《納入業者(74)》の平成18年9月1日に始まり平成19年8月31日に終わる事業年度から平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.2パーセントないし約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第43位ないし第80位であった。(査24の74)
(3) 《納入業者(74)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》と称する営業拠点(営業区域は四国,中国及び近畿)によるものであるところ,各事業年度の同営業拠点の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約12パーセントないし約25パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第2位ないし第5位であった。(査24の74)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(74)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は中国地方及び関西地方で多くの店舗を有し,規模も大きく,また,同社は四国マルナカとの取引も多い旨記載している。(査24の74)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(74)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の74)

第75 《納入業者(75)》
1  取引依存度等
《納入業者(75)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はドッグフード,キャットフード及び犬猫用品である。同社は,平成22年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。なお,同社の被審人に対する取引依存度等は本件証拠上明らかでない。(査24の75)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(75)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の《略》支店でみた場合である旨,また,全社的にみても被審人に対する取引依存度は低いが,容易に損失のカバーはできない旨記載している。(査24の75)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(75)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の75)

第76 《納入業者(76)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(76)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は日用品,家庭雑貨及び家具類である。同社は,平成20年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の76)
(2) 《納入業者(76)》の平成20年度及び平成21年度の2事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.27パーセント又は約0.36パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第56位又は第68位であった。(査24の76)
(3) 《納入業者(76)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は広島県,岡山県,兵庫県及び大阪府)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7.7パーセント又は約12パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査24の76)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(76)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,中国地方で被審人に代わる得意先はなく,また,四国マルナカの高松支店との取引もある旨記載している。(査24の76)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(76)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の76)
また,同社の《略》支店長は,①同社は,被審人に対し,フライパン,鍋,やかんなどを納入しており,平成22年当時,年間約《金額》円の売上げがあり,これは同社の《略》支店の年間総売上高の約10パーセント弱を占め,被審人は中国地方でかなり大規模な小売業者であり,もともと余り大手の小売業者がいない中国地方では,被審人の代わりになるような同社にとって安定した取引金額が見込める取引先を見つけることは難しい旨,②被審人は,店舗数を年に1,2店のペースで拡大しており,また,消費者に人気もあり,さらに,主に食品を取り扱う小売業者であるにもかかわらず,同社が取り扱う調理用品等を定番品として扱う数少ない小売業者であった旨,③被審人くらい取引の拡大を見込める取引先は,同社の《略》支店では数えるほどしかなかった旨,④このような事情から,被審人との取引が停止した場合,同社の事業経営上重大な損失が生じることになり,その損失を補填することは困難であることから,被審人とは取引を継続したい旨供述している。(査294)

第77 《納入業者(77)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(77)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は日用品,家庭雑貨及びペット用品である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の77)
(2) 《納入業者(77)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.7パーセント又は約10パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の77)
(3) 《納入業者(77)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は岡山県,広島県,兵庫県,大阪府,島根県及び鳥取県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約16パーセントないし約19パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の77)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(77)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社に占める被審人の売上構成比が高く,同規模の売上金額を確保することは不可能に近い旨記載している。(査24の77)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(77)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤指示商品振替困難,⑥自社信用確保,⑦消費者人気小売業者を選択している。(査24の77)
また,同社の《略》部の課長は,被審人との取引金額は年間《金額》円に上り,同社全体の売上高の約1割を占めており,被審人は同社にとって非常に重要な取引先である旨供述している。(査33)

第78 《納入業者(78)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(78)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は家庭雑貨及び家具である。同社は,平成22年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の78)
(2) 《納入業者(78)》の被審人に対する年間売上高は,前記⑴のとおり同社が被審人と取引を始めたのは平成22年4月頃であることから,それ以前である同社の平成21年1月21日に始まり平成22年1月20日に終わる事業年度の被審人に対する年間売上高は《金額》円であった。(査24の78)
2 取引先変更可能性等
《納入業者(78)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更容易との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との取引は平成22年4月に始まったところであり,報告書作成時点では被審人との取引が少額である旨記載している。(査24の78)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(78)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の78)

第79 《納入業者(79)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(79)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は家庭紙,日用品及び家庭雑貨である。同社は,平成7年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の79)
(2) 《納入業者(79)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.8パーセントないし約2.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第7位ないし第23位であった。(査24の79)
(3) 《納入業者(79)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約94パーセントないし100パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,鳥取県及び島根県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約14パーセントないし約31パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の79)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(79)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の《略》営業所における被審人の売上構成比は高く,被審人に代わる取引先を見つけることは困難であり,また,他の取引先との取引を増やすことは時間が掛かり過ぎる旨記載している。(査24の79)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(79)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の79)

第80 《納入業者(80)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(80)》は,《所在地略》に所在する卸売業及び小売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は家庭雑貨である。同社は,平成5年2月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の80)
(2) 《納入業者(80)》の平成19年7月1日に始まり平成20年6月30日に終わる事業年度から平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.7パーセントないし約3.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第6位又は第7位であった。(査24の80)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(80)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の80)
また,同社の《略》本部長は,①被審人との取引を継続することができなくなった場合に被審人に代わる取引先を見つけることは困難である理由について,被審人と同規模で他の地域で店舗を展開している量販店などが中国四国地方に進出してきたとしても,既に取引先が決まっていることが多く,同社がそのような量販店などに新規参入することは容易ではない旨,②被審人との取引がなくなった場合に,既存の取引先との取引額を増やすことでその損失を補填することは困難である理由について,既存の取引先の売上額を増やそうとしたが数パーセントの増減を繰り返し,市場は厳しい状況である旨供述している。(査395)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(80)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待を選択している。(査24の80)
また,同社の《略》本部長は,①同社の取引先の半数は小規模の小売店で,残りの半数が量販店という構成であり,量販店のほとんどに対する同社の年間売上高は《金額》円以下であるところ,同社の被審人に対する年間売上高は《金額》円から《金額》円程度で,同社にとっては,まとまった額を安定的に取引できる貴重な取引先である旨,②被審人は,年々店舗を増やしており,被審人の同業他社に比べ勢いがあることから,被審人との取引を継続していきたい旨供述している。(査395)

第81 《納入業者(81)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(81)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は文具である。同社は,平成9年8月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の81)
(2) 《納入業者(81)》の平成19年7月1日に始まり平成20年6月30日に終わる事業年度から平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約26パーセント又は約28パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の81)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(81)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社は量販店向けの卸売業者であり,新規に納入先を開拓することは不可能に近い旨記載している。(査24の81)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(81)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤指示商品振替困難,⑥自社信用確保,⑦消費者人気小売業者を選択している。(査24の81)

第82 《納入業者(82)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(82)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む有限会社であり,主な取扱商品はワックスケミカル,カー香水及びオイルである。同社は,平成17年12月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の82)
(2) 《納入業者(82)》の平成19年3月1日に始まり平成20年2月29日に終わる事業年度から平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.17パーセントないし約5.4パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の82)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(82)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の82)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(82)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難,③取引額増加期待,④自社信用確保,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の82)

第83 《納入業者(83)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(83)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む有限会社であり,主な取扱商品は園芸用品である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円である。同社の《略》部長は,平成20年12月頃以降,同社は園芸用品のほとんどを被審人に納入していた旨供述していることから,遅くとも平成20年12月頃までには,被審人と取引を開始したことが推認される。(査24の83,289)
(2) 《納入業者(83)》の平成20年12月1日に始まり平成21年11月30日に終わる事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約39パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の83)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(83)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の83)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(83)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤指示商品振替困難,⑥取引関連多額投資を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の83)
また,同社の《略》部長は,同社が被審人に納入する園芸用品についての被審人に対する取引依存度が高く,平成20年12月頃以降,同社は園芸用品のほとんどを被審人に納入していたことから,被審人は園芸用品における同社の大事な納入先であった旨供述している。(査289)

第84 《納入業者(84)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(84)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は装粧品小物,手芸用品及び衣料品である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期及び審査官の主張する違反行為期間における同社の年間総売上高は,本件証拠上明らかでない。(査24の84)
(2) 《納入業者(84)》の平成18年2月1日に始まり平成19年1月31日に終わる事業年度から平成20年2月1日に始まり平成21年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する取引依存度は約4.9パーセントないし約5.2パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第8位であった。なお,上記各事業年度の同社の被審人に対する年間売上高は,本件証拠上明らかでない。(査24の84)
2 取引先変更可能性等
《納入業者(84)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更容易との回答を選択し,その理由記載欄に,ドラッグストアを中心に市場規模は拡大中であり,取引先の変化対応を行っている旨記載している。(査24の84)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(84)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額増加期待,②消費者人気小売業者を選択している。(査24の84)

第85 《納入業者(85)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(85)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,平成6年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の85)
(2) 《納入業者(85)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.1パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第88位又は第108位であった。(査24の85)
(3) 《納入業者(85)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》本部(営業区域は日本全国)によるものであるところ,各事業年度の同本部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第25位ないし第27位であった。(査24の85)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(85)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人と同規模程度の売上げを確保できる他の取引先が当該地域にはない旨記載している。(査24の85)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(85)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額等大きく安定を選択している。(査24の85)

第86 《納入業者(86)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(86)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,平成9年5月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の86)
(2) 《納入業者(86)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.03パーセント又は約0.06パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の86)
(3) 《納入業者(86)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》部(営業区域は大阪府,兵庫県,京都府,滋賀県,和歌山県,奈良県,富山県,石川県,福井県,岡山県,広島県,島根県,鳥取県,愛媛県,香川県,高知県及び徳島県)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.4パーセントないし約0.7パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の86)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(86)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人に代わる販売拠点を新たに見つけることが困難である旨記載している。(査24の86)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(86)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,損失補填困難を選択している。(査24の86)

第87 《納入業者(87)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(87)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は靴下,パンティストッキング及び肌着である。同社は,昭和56年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円であった。(査24の87)
(2) 《納入業者(87)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.1パーセント又は約0.2パーセントであった。なお,上記各事業年度の同社の取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の87)
2 取引先変更可能性等
《納入業者(87)》は,取引先変更可能性の設問に対し,回答を選択していない。(査24の87)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(87)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額等大きく安定を選択している。(査24の87)

第88 《納入業者(88)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(88)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は紳士靴下,婦人靴下及び子供靴下である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。なお,同社は,被審人と取引を開始した時期について,正確な日時を把握できていない旨回答しており,具体的な時期は本件証拠上明らかでない。(査24の88)
(2) 《納入業者(88)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.1パーセント又は約0.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第78位ないし第92位であった。(査24の88)
(3) 《納入業者(88)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》課(営業区域は西日本)によるものであるところ,各事業年度の同課の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.5パーセントないし約0.7パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の88)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(88)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,①被審人に対する年間売上高である約《金額》円を短期的にカバーすることは困難であり,それには1年から2年の時間が掛かる旨,②被審人に対する売上高は,全社的にみればカバーが容易な売上高であるが,同社の部・課レベルでは容易にカバーできる金額ではない旨記載している。(査24の88)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(88)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額増加期待,②指示商品振替困難を選択している。(査24の88)

第89 《納入業者(89)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(89)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期は,本件証拠上明らかでない。(査24の89)
(2) 《納入業者(89)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.3パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第59位ないし第71位であった。(査24の89)
(3) 《納入業者(89)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.2パーセントないし約3.9パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位ないし第9位であった。(査24の89)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(89)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,中四国エリアでは食品を中心としたスーパーが多く,衣料品の販売の多くは望めない一方で,被審人は食品スーパーではあるが,衣料品を多く取り扱う店舗が20店舗強あり,新たな開拓による取引先の補填は困難である旨記載している。(査24の89)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(89)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①損失補填困難,②取引額増加期待を選択している。(査24の89)

第90 《納入業者(90)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(90)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は靴下,カバー及びタイツである。同社は,平成6年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の90)
(2) 《納入業者(90)》の平成19年6月1日に始まり平成20年5月31日に終わる事業年度から平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.1パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第70位ないし第86位であった。(査24の90)
(3) 《納入業者(90)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は近畿,中国及び四国)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.9パーセントないし約1.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第21位又は第22位であった。(査24の90)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(90)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現在の市場の状況により,簡単に他で売上げを作ることは困難である旨記載している。(査24の90)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(90)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の90)

第91 《納入業者(91)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(91)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,昭和61年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の91)
(2) 《納入業者(91)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.1パーセントないし約2.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位又は第5位であった。(査24の91)
(3) 《納入業者(91)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約98パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は岡山県,広島県,島根県,鳥取県,兵庫県及び大阪府)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約20パーセントないし約23パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の91,331)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(91)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,初年度の取引停止に伴う売上げ及び利益の減少は痛手であるが,全国エリアの中での拡大策を打つ旨記載している。(査24の91)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(91)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の91)
また,同社の《略》支店長は,①同社の《略》支店では被審人に対する年間売上高が最も多い状況にある旨,②同社の売上高の1割程度を同支店が占めており,同支店における被審人に対する取引依存度は2割程度で,被審人に対する年間売上高も《金額》円を超えることから,被審人は同支店のみならず同社全体にとっても重要な取引先である旨供述している。(査331)

第92 《納入業者(92)》
1 取引依存度等
(1) 《納入業者(92)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,平成12年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵において同じ。)であった。(査24の92)
(2) 《納入業者(92)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.6パーセント又は約0.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第35位又は第36位であった。(査24の92)
2 取引先変更可能性等
《納入業者(92)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更容易との回答を選択している。(査24の92)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(92)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額増加期待,②消費者人気小売業者を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の92)

第93 《納入業者(93)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(93)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期は,本件証拠上明らかでない。(査24の93)
(2) 《納入業者(93)》の平成20年2月21日に始まり平成21年2月20日に終わる事業年度及び平成21年2月21日に始まり平成22年2月20日に終わる事業年度の2事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.2パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の93)
(3) 《納入業者(93)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》店(営業区域は近畿地区及び中四国)によるものであるところ,各事業年度の同店の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.2パーセント又は約1.3パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の93)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(93)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は販売力のある取引先であり,近年では信用ある取引先が少なく,新規取引及び既存の取引先の取引額拡大が困難である旨記載している。(査24の93)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(93)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の93)

第94 《納入業者(94)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(94)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はカットソー,セーター及びブラウスである。同社は,平成14年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の94)
(2) 《納入業者(94)》の平成18年8月1日に始まり平成19年7月31日に終わる事業年度から平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.2パーセントないし約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第50位ないし第68位であった。(査24の94)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(94)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,特に中国地方では同社商品が飽和状態にあり,新規で安定した取引先を確保することは非常に困難である旨記載している。(査24の94)
また,同社の《略》部の副主任は,上記回答の補足として,近年中国地方では,婦人衣料品市場は成熟しており,同社の商品を新規に扱ってくれる取引先を見つけたり,既存の取引先との取引量を増やしたりすることは難しい状況にあり,例えば,被審人以外の取引先と新規取引をしようとすると,当該取引先と既に取引している同社の商品を取り扱う卸売業者の取引を減らすことになりかねないので,このような卸売業者に迷惑を掛けないようにしようと考えると,新規取引先を見つけることは容易ではない旨供述している。(査285)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(94)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の94)

第95 《納入業者(95)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(95)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は婦人靴下,紳士靴下及び子供靴下である。同社は,平成17年12月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の95)
(2) 《納入業者(95)》の平成19年6月1日に始まり平成20年5月31日に終わる事業年度から平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.9パーセントないし約1.3パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第18位ないし第36位であった。(査24の95)
(3) 《納入業者(95)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,大阪府,奈良県,和歌山県及び香川県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.9パーセントないし約5.9パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第8位又は第9位であった。(査24の95)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(95)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,岡山地域における店舗を他店では補えない旨記載している。(査24の95)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(95)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の95)

第96 《納入業者(96)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(96)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はベビーアパレル製品である。同社は,平成9年8月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の96)
(2) 《納入業者(96)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.3パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の96)
(3) 《納入業者(96)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》店(営業区域は中国,四国,九州及び沖縄県)によるものであるところ,各事業年度の同店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.8パーセントないし約3パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第10位又は第12位であった。(査24の96)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(96)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人と同レベルの取引先が見つかりにくい旨記載している。(査24の96)
また,同社の《略》店長は,上記回答の理由の補足として,①同社の商品は既に中国地方における主要な取引先に納入しており,これらの取引先に更に負担を掛けて被審人に対する取引分を購入してもらうのは困難である旨,②中国地方で被審人に対する年間売上高約《金額》円に匹敵する売上高を上げられる取引先はほかにない旨供述している。(査284)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(96)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の96)

第97 《納入業者(97)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(97)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品,宝飾雑貨品及び健康関連商品である。同社は,昭和63年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。)であった。(査24の97,27の2)
(2) 《納入業者(97)》の平成19年3月1日に始まり平成20年2月29日に終わる事業年度から平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.7パーセント又は約0.8パーセントであった。なお,上記各事業年度の取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上明らかでない。(査24の97,27の2)
(3) 《納入業者(97)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》部(営業区域は全国)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.9パーセントないし約3.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第7位又は第8位であった(査24の97)。なお,同社の《略》部の《略》は,同社は,衣料品や宝飾雑貨品等の販売業者であるところ,同社の《略》部は衣料品の製造卸売販売を行う部門であり,その営業区域は全国であるが,中四国地方の売上高が同事業部全体の売上高の約5割を占める旨供述している。(査335)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(97)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との取引停止に伴う損失補填は容易ではないが可能である旨,また,地場企業である被審人と取引を行うことで情報の共有など多々利便性がある旨記載している。(査24の97)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(97)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の97)

第98 《納入業者(98)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(98)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は紳士肌着及び婦人肌着である。同社は,平成18年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の98)
(2) 《納入業者(98)》の平成19年5月1日に始まり平成20年4月30日に終わる事業年度から平成21年5月1日に始まり平成22年4月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.5パーセント又は約0.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第25位又は第33位であった。(査24の98)
(3) 《納入業者(98)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は大阪府,和歌山県,岡山県,広島県,香川県及び愛媛県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.1パーセントないし約2.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第13位又は第15位であった。(査24の98)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(98)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,①他のほとんどの量販店に対して既に取引があり,新規開拓が難しい旨,②衣料品業界では売上げが低迷しており,既存の取引先での取引を増やすことが難しい旨記載している。(査24の98)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(98)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の98)
また,同社の《略》は,被審人は取引額が伸びている上に,同社にとって数少ない安定した取引量が期待できる貴重な取引先の一つである旨供述している。(査270)

第99 《納入業者(99)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(99)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は履物である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。なお,同社は,被審人との取引を平成22年6月頃に開始したとしているが,後記⑵の事実を回答していることから,これは誤りであると推察される。(査24の99)
(2) 《納入業者(99)》の平成20年2月1日に始まり平成21年1月31日に終わる事業年度及び平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度の2事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第19位又は第25位であった。(査24の99)
(3) 《納入業者(99)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》出張所によるものであるところ,各事業年度の同出張所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約13パーセント又は約16パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の99)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(99)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人及び四国マルナカとの取引合計は平成21年度で約《金額》円,シェアは5パーセントとなっており,同規模の取引先を早急に開拓することは困難なものと思料する旨記載している。(査24の99)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(99)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の99)

第100 《納入業者(100)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(100)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は婦人肌着,パジャマ及び紳士肌着である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期は,本件証拠上明らかでない。(査24の100)
(2) 《納入業者(100)》の平成19年3月1日に始まり平成20年2月29日に終わる事業年度から平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.5パーセントないし約3.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第5位又は第6位であった。(査24の100)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(100)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,新規の取引先で同額の売上額を確保することは難しい旨記載している。(査24の100)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(100)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の100)
また,同社の《略》部の《略》は,①同社は被審人に対し,同社の主力商品である男性用及び女性用の肌着やパジャマを販売しているところ,被審人に対する年間売上高は同社の取引先の上位第5位前後に入るほどであった旨,②同社が所在する山陽地方には大規模な小売業者が少なく,被審人と同等の取引規模が見込める取引先を新たに確保することは容易ではないことから,同社としては被審人との取引は継続していく必要があるとの認識であった旨供述している。(査299)

第101 《納入業者(101)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(101)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はベルト,財布及びバッグである。同社は,平成2年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の101)
(2) 《納入業者(101)》の平成19年7月1日に始まり平成20年6月30日に終わる事業年度から平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.9パーセント又は約1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第18位ないし第20位であった。(査24の101)
(3) 《納入業者(101)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》課(営業区域は岡山県,広島県,大阪府及び兵庫県)によるものであるところ,各事業年度の同課の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.1パーセント又は約6.9パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第7位又は第8位であった。(査24の101)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(101)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,長年にわたり安定した取引ができていたので,今後も取引を続けていくことが望ましい旨,また,新規開拓は時間が掛かるため,被審人との取引停止後すぐに同金額の取引先ができることは難しいと思われる旨記載している。(査24の101)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(101)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の101)

第102 《納入業者(102)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(102)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はカーペット,カーテン及びクッションである。同社は,平成8年10月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の102)
(2) 《納入業者(102)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセントないし約0.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第31位ないし第50位であった。(査24の102)
(3) 《納入業者(102)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》出張所(営業区域は中国,四国,関西)によるものであるところ,各事業年度の同出張所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.5パーセントないし約2.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第9位ないし第13位であった。(査24の102)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(102)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人の営業地区又は近隣地区で同額の新規取引先を開拓することが困難である旨記載している。(査24の102)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(102)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待を選択している。(査24の102)

第103 《納入業者(103)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(103)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社である。同社は,平成15年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の103)
(2) 《納入業者(103)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.6パーセントないし約3パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第10位ないし第16位であった。(査24の103)
(3) 《納入業者(103)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は九州,中国,四国)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.6パーセントないし約7.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第5位ないし第7位であった。なお,平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度において,同社は,《略》支店の被審人に対する年間売上高を「《金額》円」と回答しているが,平成20年2月1日に始まり平成21年1月31日に終わる事業年度及び平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度の同支店の被審人に対する年間売上高から,「《金額》円」の誤りであると推察される。(査24の103)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(103)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,今後の規模の拡大の将来性を考えると,大きな損失である旨記載している。(査24の103)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(103)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の103)

第104 《納入業者(104)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(104)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品及び携帯電話である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の104)
(2) 《納入業者(104)》の平成18年8月1日に始まり平成19年7月31日に終わる事業年度から平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.7パーセントないし約2.3パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位ないし第6位であった。(査24の104)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(104)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人に対する売上額が大きいので容易に補填できない旨記載している。(査24の104)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(104)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の104)

第105 《納入業者(105)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(105)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は繊維原料,洋品及びアパレルである。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期は,本件証拠上明らかでない。(査24の105)
(2) 《納入業者(105)》の平成20年度及び平成21年度の2事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.8パーセント又は約1.2パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第12位又は第14位であった。(査24の105)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(105)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の105)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(105)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の105)

第106 《納入業者(106)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(106)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,平成14年8月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の106)
(2) 《納入業者(106)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.5パーセント又は約0.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第31位又は第34位であった。(査24の106)
(3) 《納入業者(106)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は沖縄県,鹿児島県,福岡県,広島県,岡山県,兵庫県,愛媛県,香川県,大阪府,滋賀県,和歌山県及び愛知県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.4パーセント又は約1.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第15位又は第17位であった。(査24の106)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(106)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現在の経済状況を考えると,新しい取引先をすぐに見つけることは困難である旨記載している。(査24の106)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(106)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難,③取引額増加期待を選択している。(査24の106)

第107 《納入業者(107)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(107)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は婦人衣料品である。同社は,平成14年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の107)
(2) 《納入業者(107)》の平成19年3月1日に始まり平成20年2月29日に終わる事業年度から平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.5パーセント又は約1.6パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第8位ないし第10位であった。(査24の107)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(107)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人と同規模の小売業者がいないこと,また,同社の取扱商品に合う小売業者がいない旨記載している。(査24の107)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(107)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の107)

第108 《納入業者(108)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(108)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は靴,履物及び雨衣である。同社は,平成11年6月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の108)
(2) 《納入業者(108)》の平成18年12月1日に始まり平成19年11月30日に終わる事業年度から平成20年12月1日に始まり平成21年11月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.9パーセントないし約1.1パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第10位又は第11位であった。(査24の108)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(108)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,大手総合スーパーとは取引口座がほとんどない旨記載している。(査24の108)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(108)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の108)

第109 《納入業者(109)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(109)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,昭和62年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の109)
(2) 《納入業者(109)》の平成19年3月1日に始まり平成20年2月29日に終わる事業年度から平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.9パーセント又は約6.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の109)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(109)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人に対する売上構成比が高く,粗利益率も確保できている旨記載している。(査24の109)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(109)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度を選択している。(査24の109)

第110 《納入業者(110)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(110)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,平成7年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の110)
(2) 《納入業者(110)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.6パーセント又は約0.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第20位ないし第23位であった。(査24の110)
(3) 《納入業者(110)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の大阪本社(営業区域は日本全国)によるものであるところ,各事業年度の同本社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.8パーセントないし約1.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第17位又は第19位であった。(査24の110)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(110)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社取扱商品の販路が減少しており,被審人と同等の新規取引先がほとんどない旨記載している。(査24の110)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(110)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①損失補填困難,②取引額増加期待を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の110)

第111 《納入業者(111)》
1 取引依存度等
(1) 《納入業者(111)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は布団カバー類,布団類及び敷物類である。同社は,平成18年10月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の111)
(2) 《納入業者(111)》の平成19年1月1日に始まり平成20年1月20日に終わる事業年度から平成21年1月21日に始まり平成22年1月20日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.85パーセントないし約1.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第16位又は第17位であった。(査24の111)
(3) 《納入業者(111)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約75パーセントないし約85パーセントに当たる約《金額》円は同社の《略》営業所(営業区域は岡山県及び広島県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約9パーセント又は約11パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第2位であった。(査24の111)
2 取引先変更可能性等
《納入業者(111)》は,取引先変更可能性の設問に対し,回答していない。(査24の111)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(111)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の111)

第112 《納入業者(112)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(112)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品等である。同社は,平成7年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。)であった。(査24の112,27の3)
(2) 《納入業者(112)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の同社の《略》課の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約11パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の112)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(112)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,エリア内での新規開拓は非常に難しい旨記載している。(査24の112)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(112)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高取引依存度,②消費者人気小売業者,③「その他」を選択し,その具体的内容として,エリアマーケティングの強化や顧客サービスのためである旨記載している。(査24の112)
また,同社の《略》課長は,被審人は,同課の取引先の上位第2位の地位にあり非常に重要な取引先である旨供述している。(査34)

第113 《納入業者(113)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(113)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,平成15年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の113)
(2) 《納入業者(113)》の平成19年7月1日に始まり平成20年6月30日に終わる事業年度から平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2パーセントないし約2.2パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の113)
(3) 《納入業者(113)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》本社(営業区域は中四国,九州の全県)によるものであるところ,各事業年度の同本社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.9パーセントないし約4.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第6位であった。(査24の113)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(113)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,中四国地方で衣料品を取り扱っている会社が大幅に減少している旨記載している。(査24の113)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(113)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の113)

第114 《納入業者(114)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(114)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は婦人衣料品である。同社は,平成13年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の114)
(2) 《納入業者(114)》の平成18年8月1日に始まり平成19年7月31日に終わる事業年度から平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.9パーセントないし約6.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第4位又は第5位であった。(査24の114)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(114)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,昨今の景気の低迷,消費マインドの後退という状況を考えると,被審人との取引高が大きく,その額をカバーすることは,既存店の取引額を増やしても新規の得意先を開拓しても困難である旨記載している。(査24の114)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(114)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④自社信用確保を選択している。(査24の114)

第115 《納入業者(115)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(115)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は新生児衣料品,乳児衣料品及びアウターである。同社は,平成2年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の115)
(2) 《納入業者(115)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2パーセントないし約2.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第10位ないし第14位であった。(査24の115)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(115)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の115)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(115)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の115)

第116 《納入業者(116)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(116)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は寝装品及びインテリア用品である。同社は,平成7年8月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の116)
(2) 《納入業者(116)》の平成18年8月1日に始まり平成19年7月31日に終わる事業年度から平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約11パーセント又は約12パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の116)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(116)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,①被審人の商品の販売規模が同社からみれば大きく,同じ条件で補うことはほぼ不可能である旨,②被審人とは地理的に商談場所,納品場所が共に近く,商談と納品がスムーズに行える旨記載している。(査24の116)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(116)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待を選択している。(査24の116)

第117 《納入業者(117)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(117)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はベビースタイ・エプロン,ベビーシューズ及びベビー肌着である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期は,本件証拠上明らかでない。(査24の117)
(2) 《納入業者(117)》の平成19年5月21日に始まり平成20年5月20日に終わる事業年度から平成21年5月21日に始まり平成22年5月20日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.3パーセントないし約2.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第10位ないし第13位であった。(査24の117)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(117)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現在の経済状況下においては,直ちに新たな取引先を開拓することは非常に難しく,既存の取引先との取引を増やすことは可能だが,それほど多くは望めない旨記載している。(査24の117)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(117)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,損失補填困難を選択している。(査24の117)
また,同社の代表取締役は,①同社の取引先のうち上位10数社は大手小売業者であるが,それ以外の取引先は地元の小規模な小売業者が多くなるため,上位10数社の取引先とそれ以外の取引先では取引規模に大きな差があること,②被審人は上位10数社に入る取引先であり,同社にとっては取引規模が大きい事業者であること,③中国地方において被審人と同等の取引先を新たに探し出すのは非常に困難であることから,同社にとって被審人は重要な取引先の一つである旨供述している。(査342)

第118 《納入業者(118)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(118)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,平成11年7月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の118)
(2) 《納入業者(118)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約14パーセントないし約18パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査24の118)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(118)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現在より新規取引先を増やすことは,非常に困難である旨記載している。(査24の118)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(118)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待を選択している。(査24の118)

第119 《納入業者(119)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(119)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はハンカチ,スカーフ及びマフラーである。同社は,平成2年2月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の119)
(2) 《納入業者(119)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約17パーセント又は約18パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の119)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(119)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の119)
また,同社の代表取締役は,①被審人は中国地区で大手のスーパーであり,仮に,同社と取引が続けられなくなるとしたら,代わりの取引先をほかに探すことは容易ではない旨,②被審人との取引額は年間《金額》円を超えており,被審人は安定した取引先である旨,③現状の物流コストで納入可能な範囲に,この規模に見合う量販店は少なく,また,それら量販店には既に競合他社が納入していることから,同社が割って入る余地はないのが現状であり,代わりに小規模の取引先を複数見つけて賄うとしたら,何十社も新たに開拓しなければならず,到底容易ではない旨,④既存の取引先への納入量を増やすのも服飾関係は流行に左右されるのでなかなか思うように期待できない旨供述している。(査295)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(119)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の119)

第120 《納入業者(120)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(120)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は雨傘,日傘及び洋品である。同社は,平成12年8月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵において同じ。)であった。(査24の120)
(2) 《納入業者(120)》の平成18年8月1日に始まり平成19年7月31日に終わる事業年度から平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約13パーセント又は約16パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の120)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(120)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人に対する取引額が年々増加し,同等規模の取引額を他社で確保するには,新規に大手取引先を開拓する必要がある旨記載している。(査24の120)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(120)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤「その他」を選択し,その具体的内容として,地元中心に出店しているので,店巡回が容易である旨記載している。(査24の120)

第121 《納入業者(121)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(121)》(以下「《納入業者(121)》」という。)は,《所在地略》に所在し,卸売業を営んでおり,主な取扱商品は衣料品である。《納入業者(121)》は,平成18年1月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における《納入業者(121)》の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の121)
(2) 《納入業者(121)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約9パーセントないし約16パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の121)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(121)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現在の経済状況から考えて非常に難しい旨記載している。(査24の121)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(121)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の121)

第122 《納入業者(122)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(122)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は衣料品である。同社は,平成12年7月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。)であった。(査24の122,27の4)
(2) 《納入業者(122)》の平成21年度の事業年度において,被審人に対する年間売上高は約《金額》円であった(査15〔左欄番号1096,1140,1223,1294,1394の「取引額 第57期」欄〕)。なお,同社の被審人に対する取引依存度及び取引依存度における被審人の順位は本件証拠上明らかでないが,前掲の証拠と他の証拠(査27の4)を勘案すれば,前記年間総売上高と上記被審人に対する年間売上高の決算期にずれがあるものの,同社の被審人に対する取引依存度は10パーセントを下回らないことがうかがわれる。
2  取引先変更可能性等
《納入業者(122)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,商品決定・価格決定に関して,対等な立場で商談をしてもらえるチェーン店はほかにない旨記載している。(査24の122)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(122)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の122)

第123 《納入業者(123)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(123)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は冷凍魚,鮮魚及びその他加工品である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の123)
(2) 《納入業者(123)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》億円,被審人に対する取引依存度は約1.8パーセントないし約2.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位であった。(査24の123)
(3) 《納入業者(123)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支社(営業区域は中国,近畿地区ほか)によるものであるところ,各事業年度の同支社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.6パーセント又は約7.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位であった。(査24の123)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(123)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,市況が冷え込む中,被審人との取引額を他の取引先で補うことは困難だと思う旨記載している。(査24の123)
また,同社の《略》支社の《略》部長は,①同社が扱う水産物の需要は年々減少傾向が止まらず,市場が冷え込む一方であり,被審人との取引がなくなった場合の損失を補填できるような新規取引先を開拓することは非常に難しい状況にある旨,②前記①のような状況で年間《金額》円台の売上高を既存の納入先への納入数量を増やして補填することはほぼ不可能に近い状況にある旨,③したがって,被審人との取引を停止した場合の損失を補填することはかなり困難である旨,④被審人との取引を失うことは同社の《略》支社の事業継続に支障を来すことになり,同社の全国各地区での事業を維持するとの方針からは,同社全体の経営にも影響する旨供述している。(査313)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(123)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の123)
また,同社の《略》支社の《略》部長は,①同社では全国を7つの地区に分けて4つの支社及び32の営業所に割り当てて担当させているところ,地区ごとに売上高の数字に差はあるが全地区での事業を維持・発展させることが同社の基本方針であり,同社にとってどの納入先が重要かどうかは単に売上高の数字だけで判断するものではなく,各地区の状況に合わせて地区ごとに判断することになる旨,②同社の《略》支社が被審人に対する営業を担当しているところ,被審人は,消費者に人気のある小売業者の一つとして安定して《金額》円台の売上高が見込めるだけでなく,《略》支社として長い付き合いがあるため,《略》支社にとって特に重要な取引先の一つである旨,③被審人の新規出店のペースが年間1,2店と速く,更なる売上増を見込める貴重な取引先であり,被審人との取引を継続することは同社の事業戦略上重要である旨供述している。(査313)

第124 《納入業者(124)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(124)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は調味料,冷凍食品及び常温食材である。同社は,昭和62年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の124)
(2) 《納入業者(124)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.1パーセントないし約0.15パーセント,平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度及び平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度の2事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第52位又は第76位であった。なお,平成19年10月1日に始まり平成20年9月30日に終わる事業年度において,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の124)
(3) 《納入業者(124)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は岡山県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.5パーセントないし約10パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の124)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(124)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人ほどの規模を持つ企業は岡山県内にはない旨記載している。(査24の124)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(124)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の124)

第125 《納入業者(125)》
1 取引依存度等
(1) 《納入業者(125)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は佃煮,煮豆及び日配惣菜である。同社は,平成17年2月頃(近畿地区のみ。岡山地区は平成21年3月)に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の125)
(2) 《納入業者(125)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.2パーセントであった。なお,上記各事業年度において,同社の取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の125)
(3) 《納入業者(125)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては同社の《略》部(営業区域は大阪府,兵庫県及び岡山県)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.9パーセントないし約3.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第9位又は第11位であった。(査24の125)
2 取引先変更可能性等
《納入業者(125)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更容易との回答を選択し,その理由記載欄に,他の取引先との取引を増やすことで,売上げ不足分を十分カバーできる旨記載している。(査24の125)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(125)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額増加期待,②消費者人気小売業者を選択している。したがって,同社は,当該質問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の125)

第126 《納入業者(126)》
1 取引依存度等
(1) 《納入業者(126)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は惣菜である。同社は,平成7年8月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の126)
(2) 《納入業者(126)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約13パーセントないし約18パーセントであった。なお,上記各事業年度の取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上明らかでない。(査24の126)
(3)《納入業者(126)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》部によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約25パーセントないし約33パーセントであった。なお,上記各事業年度の取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上明らかでない。(査24の126)
2 取引先変更可能性等
《納入業者(126)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,商況が厳しい現在の環境下において,被審人と同等の売上げ確保ができる取引先の確保は困難である旨記載している。(査24の126)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(126)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待を選択している。(査24の126)

第127 《納入業者(127)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(127)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は惣菜,青果及び冷凍食品である。同社は,平成12年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の127)
(2) 《納入業者(127)》の平成18年9月1日に始まり平成19年8月31日に終わる事業年度から平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.6パーセントないし約5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第4位ないし第6位であった。(査24の127)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(127)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人に対する取引額が大きい旨記載している。(査24の127)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(127)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の127)

第128 《納入業者(128)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(128)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はサラダ,和惣菜及び卵焼きである。同社は,平成11年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の128)
(2) 《納入業者(128)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約24パーセント又は約25パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の128)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(128)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,売上げ及び利益の確保が困難になる旨記載している。(査24の128)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(128)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤指示商品振替困難,⑥自社信用確保,⑦消費者人気小売業者を選択している。(査24の128)
また,同社の《略》課長は,被審人は同社にとって非常に重要な取引先であり,同社の被審人に対する売上高は,同社の売上高の約4分の1程度を占めるため,同社を維持していくためには,被審人との取引は必ず継続していかなければならないものである旨供述している。(査329)

第129 《納入業者(129)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(129)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は鶏肉チルド,鶏肉冷凍及び鶏肉加工品である。同社は,昭和60年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の129)
(2) 《納入業者(129)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約57パーセントないし約59パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の129)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(129)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との取引金額が大きい旨記載している。(査24の129)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(129)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待を選択している。(査24の129)
また,同社の取締役社長は,同社の主な取引先は,岡山県に本社のある被審人などで,その中でも被審人に対する売上高は,同社の売上高の5割程度であり,被審人とは被審人が四国から岡山県に進出してきて以来取引がある旨供述している。(査319)

第130 《納入業者(130)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(130)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は惣菜,冷凍食品及び青果である。同社は,昭和60年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の130)
(2) 《納入業者(130)》の平成18年8月1日に始まり平成19年7月31日に終わる事業年度から平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約18パーセント又は約22パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査24の130)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(130)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の売上げの5分の1ほどの割合を占める被審人との取引を他の取引先との取引を増やすことで補うことは容易ではない旨記載している。(査24の130)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(130)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難を選択している。(査24の130)

第131 《納入業者(131)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(131)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む有限会社であり,主な取扱商品は寿司,弁当及びおにぎりである。同社は,平成9年10月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の131)
(2) 《納入業者(131)》の平成18年10月1日に始まり平成19年9月30日に終わる事業年度から平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する取引依存度は約53パーセントないし約61パーセント,被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の131)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(131)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,岡山県内で被審人以上の販売力を持った量販店はほかになく,新規取引先を増やしても売上げのカバーはできない旨記載している。(査24の131)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(131)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④自社信用確保,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の131)

第132 《納入業者(132)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(132)》は,《所在地略》に所在する株式会社であり,営業種目は,食肉加工及び真空包装並びに販売,惣菜類,冷凍食品の製造販売である。平成23年6月3日時点における同社の資本金は《金額》円,平成23年1月の決算における年間総売上高は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。)であった。(査27の5)
(2) 《納入業者(132)》の平成21年度の事業年度において,被審人に対する年間売上高は約《金額》円であった(査15〔左欄番号7,562,1615の「取引額 第57期」欄〕)。なお,同社の被審人に対する取引依存度,取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上明らかでないが,前掲の証拠と他の証拠(査27の5)を勘案すれば,前記年間総売上高と上記被審人に対する年間売上高の決算期にずれがあるものの,同社の被審人に対する取引依存度は50パーセントを下回らないことがうかがわれる。
2  取引先変更可能性等及びその他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(132)》についてのこれらの事情は,本件証拠上明らかでない。

第133 《納入業者(133)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(133)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は水産練製品,きのこ及びレトルト食品である。同社は,平成11年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の133)
(2) 《納入業者(133)》の平成19年7月1日に始まり平成20年6月30日に終わる事業年度から平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.21パーセントないし約0.26パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第79位ないし第96位であった。(査24の133)
(3) 《納入業者(133)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約39パーセントないし約58パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は中国,四国地方)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.2パーセントないし約3.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第8位ないし第11位であった。(査24の133)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(133)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の《略》支店管内の中四国のマーケットにおいては,被審人の販売規模は大きく,すぐに代替取引先を探すことは難しい旨記載している。(査24の133)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(133)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待,③消費者人気小売業者を選択している。(査24の133)
また,同社の《略》部の課長代理は,①同社商品の販売先は全国で数百社あるが,被審人は同社にとって重要な取引先であり,特に同社の《略》支店にとって取引額でみた順位で上位10位以内に入るほど大きな取引先である旨,②同支店の管轄区域である中四国地方では被審人と同等の取引規模を維持できる取引先を別に探すことは容易ではないことから,同支店を維持していくためには被審人との取引は非常に重要である旨,③いわゆるナショナルチェーンなど同社の本社で商談を行っている取引先以外の,同支店が独自に商談を行っている中国地方の地元スーパーの中では被審人は最上位クラスの取引額がある取引先であることから,被審人は同支店にとって非常に重要な取引先である旨,④同社の合計10か所ある支店の中で《略》支店の規模は小さいが,同社ではいわゆるナショナルチェーンといわれる大手流通業者との取引を維持するためには同社の商品を全国に供給できる体制を維持する必要があるため,中四国地方への同社商品の供給体制を維持するためには同支店を維持する必要があり,同支店を維持するためには被審人との取引が重要であることから,結果として同社全体にとって被審人との取引は重要である旨供述している。(査339)

第134 《納入業者(134)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(134)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は鍋スープ(レトルト食品),味・塩こしょう(粉末調味料)及び青汁(野菜加工食品)である。同社は,平成20年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は万《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の134)
(2) 《納入業者(134)》の平成20年度及び平成21年度の2事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.03パーセント又は約0.09パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第160位又は第386位であった。(査24の134)
(3) 《納入業者(134)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》支店(営業区域は岡山県及び兵庫県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約万《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.52パーセント又は約1.6パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第13位又は第39位であった。(査24の134)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(134)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,既に同規模の量販店とは取引を行っているため,岡山県,兵庫県で被審人と同規模の量販店を新規に開拓することは非常に困難である旨記載している。(査24の134)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(134)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高取引依存度,②損失補填困難,③取引額増加期待,④自社信用確保,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の134)

第135 《納入業者(135)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(135)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は食品トレー,弁当容器及び包装ラップである。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の135,323)
(2) 《納入業者(135)》の平成18年9月1日に始まり平成19年8月31日に終わる事業年度から平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7.8パーセントないし約8.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の135)
(3) 《納入業者(135)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約50パーセントないし約52パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の本社(営業区域は岡山県)によるものであるところ,各事業年度の同本社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7.1パーセントないし約7.5パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査24の135)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(135)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人に匹敵する顧客は容易に見つからない旨記載している。(査24の135)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(135)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の135)

第136 《納入業者(136)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(136)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む有限会社であり,主な取扱商品は青果,缶詰(たけのこ)及び玉子である。同社は,昭和63年1月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の136)
(2) 《納入業者(136)》の平成18年9月1日に始まり平成19年8月31日に終わる事業年度から平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約43パーセントないし約47パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の136)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(136)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,最近では昔からの小売店が年々廃業しており,被審人のような取引先を見つけるのは困難であり,売上増が見込めない旨記載している。(査24の136)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(136)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の136)

第137 《納入業者(137)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(137)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は食肉,ハム・ソーセージ及び調理加工食品である。同社は,昭和57年1月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の137)
(2) 《納入業者(137)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.1パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の137)
(3) 《納入業者(137)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》部(営業区域は近畿,中国,四国地方の全府県)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.6パーセント又は約1.7パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第17位ないし第19位であった。(査24の137)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(137)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人に対する取引金額が大きい旨記載している。(査24の137)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(137)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の137)

第138 《納入業者(138)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(138)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は精肉,ハム・ソーセージ及び加工食品である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の138)
(2) 《納入業者(138)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第34位ないし第40位であった。(査24の138)
(3) 《納入業者(138)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約50パーセントないし約72パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は広島県,岡山県,山口県,島根県,鳥取県,愛媛県,香川県,高知県及び徳島県)によるものであるところ,各事業年度の同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.6パーセント又は約2.8パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第6位ないし第8位であった。(査24の138)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(138)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,新規取引先もなく,市場競合の激しい中で,被審人分の売上げを確保することは難しい旨記載している。(査24の138)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(138)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の138)

第139 《納入業者(139)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(139)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は精肉,練製品及びレトルト食品である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の139)
(2) 《納入業者(139)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第29位ないし第36位であった。(査24の139)
(3) 《納入業者(139)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約76パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》部(営業区域は中国5県及び四国4県)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.1パーセント又は約4.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位ないし第5位であった。(査24の139)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(139)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の139)
また,同社の《略》部の《略》営業所長は,①被審人との取引は金額が大きいから重要であるだけでなく,店舗数の多さから消費者への露出が増えるため,消費者へのアピールが望めるメリットがあり,同社のようなナショナルブランドメーカーにとっては,なおさら大切な取引先である旨,②仮に被審人との取引を失うようなことになれば,同等規模の取引をほかで賄うことは困難であり,仮に同社の《略》営業所のエリア外まで範囲を広げたとしても,《略》営業所長としては担当エリアで実績を上げることが前提であり,他地区で成果が上げられたとしても埋め合わせにはならない旨供述している。(査297)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(139)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の139)

第140 《納入業者(140)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(140)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は食肉及び加工肉である。同社は,平成12年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の140)
(2) 《納入業者(140)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.6パーセント又は約0.7パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第18位ないし第24位であった。(査24の140)
(3) 《納入業者(140)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約51パーセントないし約60パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約22パーセントないし約29パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の140)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(140)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,オーバーストアの現状,被審人以上の取引先の獲得は難しく,また,毎月定期的な取引数量が大きい旨記載している。(査24の140)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(140)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の140)
また,同社の《略》営業所長は,同社は《略》グループの1社であり,ナショナルブランドを維持する上では販路を網羅することが重要であり,空白地帯が生じないようになるべく幅広い客層に同社製品を扱ってもらう必要があり,中でも被審人のように店舗数の多いスーパーは魅力的な販路である旨供述している。(査296)

第141 《納入業者(141)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(141)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は精肉及び食肉関連商品である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。なお,同社は,被審人と取引を開始した時期について,未詳である旨回答しており,具体的な時期は本件証拠上不明である。(査24の141)
(2) 《納入業者(141)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第12位又は第15位であった。(査24の141)
(3) 《納入業者(141)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》部(営業区域は岡山県)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.9パーセントないし約6.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第4位又は第5位であった。(査24の141)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(141)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の商品を,被審人を通じて一般消費者へ供給している旨記載している。(査24の141)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(141)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①損失補填困難,②取引額増加期待を選択している。(査24の141)

第142 《納入業者(142)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(142)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は蓄肉加工品,チルド食品及びレトルト食品である。同社は,平成3年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の142)
(2) 《納入業者(142)》の平成20年度及び平成21年度の2事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.6パーセント又は約0.7パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の142)
(3) 《納入業者(142)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約80パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,広島県及び兵庫県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約13パーセント又は約17パーセント,平成21年度の事業年度の取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社中の上位第3位であった。(査24の142)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(142)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は岡山県を中心に約70店舗を展開しており,売上高では岡山県ナンバーワンの企業であるため,被審人に代わる企業と新たに取引をすることは困難である旨記載している。(査24の142)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(142)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待,③消費者人気小売業者を選択している。(査24の142)

第143 《納入業者(143)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(143)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は精肉,冷凍食品及び飼料である。同社は,平成13年11月頃又は平成14年2月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の143)
(2) 《納入業者(143)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2パーセントないし約2.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第5位又は第6位であった。(査24の143)
(3) 《納入業者(143)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約71パーセント又は約72パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》本部(近畿)(営業区域は大阪府,兵庫県ほか)によるものであるところ,各事業年度の同本部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5パーセントないし約6.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第1位ないし第3位であった。(査24の143)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(143)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社《略》本部(近畿及び岡山県)における被審人との取引に占めるウェイトが高く(2009年度売上高比率6.4パーセント,取引数量比率4.8パーセント),代替販売先の獲得は容易ではない旨記載している。(査24の143)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(143)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額等大きく安定を選択している。(査24の143)

第144 《納入業者(144)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(144)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は精肉,小麦加工品及び麺類である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の144)
(2) 《納入業者(144)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.39パーセントないし約0.58パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第29位ないし第45位であった。(査24の144)
(3) 《納入業者(144)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所及び《略》グループ(営業区域は岡山県及び大阪府)によるものであるところ,各事業年度の同営業所及び同グループの年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.3パーセントないし約8.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査24の144)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(144)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,エリアからみても他チェーンで補うことは困難である旨記載している。(査24の144)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(144)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③消費者人気小売業者を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の144)
また,《G株式会社》の《略》グループ長は,①《納入業者(144)》は,平成24年4月に《G株式会社》に社名変更した旨,②《納入業者(144)》は,日本全国を6つのエリアに分けて事業展開しており,エリアごとに売上高に差があっても全てのエリアでの事業を維持・発展させることを基本方針としていることから,同社にとっての納入先の重要性は,単に売上高の数字だけで判断するのではなく,個々のエリアごとに相対的に判断する旨,③特に同社は平成15年頃から売上規模が大きく,成長性があって売上増が見込める特定の取引先を選定して重点的に営業活動を行う経営方針を採っており,平成22年4月からは,売上高について前年比150パーセントを目指す「《略》」と称する営業政策を実施していた旨,④被審人は,当時《金額》円程度の売上総額であった同社の西日本エリアの中にあって,消費者に人気のある事業者の一つとして安定して《金額》円台の売上げが見込めるという意味で売上規模が大きく,新規出店のペースが速くて更なる売上増を見込める貴重な取引先として「《略》」の対象である90事業者に選ばれるだけでなく,その中でも特に重要な企業として同社の《略》本部が選定した事業者であった旨,⑤そのような企業は西日本エリアでは被審人を含め5社しかなかったため,被審人との取引を継続することは同社の当時の事業戦略上とても重要であった旨供述している。(査390)

第145 《納入業者(145)》
1 取引依存度等
(1) 《納入業者(145)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は牛肉,豚肉及び鶏肉である。同社は,平成12年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。)であった。(査24の145,27の6)
(2) 《納入業者(145)》の平成21年度の事業年度において,被審人に対する年間売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.4パーセントであった。なお,上記事業年度の同社の取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上明らかでない。(査15〔左欄番号69,580,585の「取引額 第57期」欄〕,27の6)
(3) 《納入業者(145)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約57パーセントに当たる約《金額》円は同社の《略》と称する営業拠点(営業区域は大阪府,兵庫県,京都府,滋賀県,和歌山県及び奈良県)によるものであるところ,平成21年度の事業年度における同営業拠点の年間総売上高は約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度は約3.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第8位であった。(査15,24の145)
2 取引先変更可能性等
《納入業者(145)》は,取引先変更可能性の設問に対し,回答していない。(査24の145)
3 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(145)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したと認められる。(査24の145)

第146 《納入業者(146)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(146)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品はたれ類,餃子の皮類及び鍋スープ類である。同社は,昭和63年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の146)
(2) 《納入業者(146)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.34パーセントないし約0.48パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第38位ないし第65位であった。(査24の146)
(3) 《納入業者(146)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約29パーセント又は約35パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》営業所(営業区域は近畿2府4県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.1パーセントないし約1.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第14位又は第16位であった。(査24の146)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(146)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現状の取引金額は同社の事業所内での売上構成はそれほど高くはないが,既存取引先で簡単に全額補填できる状況にはない旨記載している。(査24の146)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(146)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難を選択している。(査24の146)

第147 《納入業者(147)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(147)》は,《所在地略》に所在する製造業及び卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は精肉及び冷凍食品である。同社は,昭和62年9月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の147)
(2) 《納入業者(147)》の平成19年6月1日に始まり平成20年5月31日に終わる事業年度から平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.7パーセントないし約6.3パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位ないし第5位であった。(査24の147)
(3) 《納入業者(147)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,広島県及び兵庫県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約30パーセントないし約36パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の147)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(147)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の《略》営業所の総売上げのうち被審人の占める割合が非常に多く,被審人に代わる取引先を見つけることは難しい旨記載している。(査24の147)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(147)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度を選択している。(査24の147)

第148 《納入業者(148)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(148)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は精肉及び卵である。同社は,平成15年3月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の148)
(2) 《納入業者(148)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約12パーセントないし約15パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の148)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(148)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人から無理な条件等をいわれるとやめざるを得ないが,現在のところ,同社の取引先の中では一番無理な条件をいわないところである旨記載している。(査24の148)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(148)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④自社信用確保,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の148)

第149 《納入業者(149)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(149)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は精肉である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期は,本件証拠上明らかでない。(査24の149)
(2) 《納入業者(149)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約10パーセント又は約12パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位であった。(査24の149)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(149)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人にとどまらず,新しい取引先を見つけることは,競争の激しい現在においては困難である旨記載している。(査24の149)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(149)》は,取引継続必要性の設問に対し,回答として「はい」又は「いいえ」のいずれも選択していないが,「はい」を選択した場合の理由の選択肢のうち,①自社信用確保,②消費者人気小売業者を選択している。したがって,同社は,当該設問に対し,「はい」を選択したものと認められる。(査24の149)

第150 《納入業者(150)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(150)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は精肉及び冷凍食品である。同社は,平成13年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の150)
(2) 《納入業者(150)》の平成19年3月1日に始まり平成20年2月29日に終わる事業年度から平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.4パーセントないし約15パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査24の150)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(150)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,現在のところ無理な条件での取引はなく,また,被審人は年間売上高で上位であり,それを補うための新規取引先を確保することは困難である旨記載している。(査24の150)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(150)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③自社信用確保を選択している。(査24の150)

第151 《納入業者(151)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(151)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は食肉,食肉加工品及びレトルト食品である。同社は,平成2年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。)であった。(査24の151,27の7)
(2) 《納入業者(151)》の平成21年度の事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.8パーセントであった。なお,同事業年度の取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上明らかでない。(査15〔左欄番号567,1629の「取引額 第57期」欄〕,27の7)
(3) 《納入業者(151)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約69パーセントに当たる約《金額》円は,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,広島県及び香川県)によるものであるところ,平成21年度の事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約48パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社中の上位第1位であった。(査15,24の151)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(151)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,取引メーカーがほぼ決まっており,新規参入が難しい旨記載している。(査24の151)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(151)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④指示商品振替困難を選択している。(査24の151)

第152 《納入業者(152)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(152)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は寿司種,まぐろ及び水産加工品である。同社は,平成7年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵及び⑶において同じ。)であった。(査24の152)
(2) 《納入業者(152)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第24位ないし第50位であった。(査24の152)
(3) 《納入業者(152)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の約73パーセントないし約80パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は,同社の《略》事業所(営業区域は岡山県及び鳥取県)によるものであるところ,各事業年度の同事業所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約22パーセントないし約28パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の152)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(152)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は山陽・近畿地区で店舗展開を行い,売上額共にキャパシティーがあり,これらの規模を擁する他社と新規取引を立ち上げることは容易ではない旨記載している。(査24の152)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(152)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難を選択している。(査24の152)

第153 《納入業者(153)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(153)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は水産乾物,調味料及びチルド食品である。同社は,平成2年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の153)
(2) 《納入業者(153)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.4パーセント又は約0.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第8位ないし第10位であった。(査24の153)
(3) 《納入業者(153)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県,広島県,山口県,島根県及び鳥取県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.8パーセントないし約9.8パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査24の153)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(153)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,取組企業として定番率も高く,中国地区では最大の取引先である旨記載している。(査24の153)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(153)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高取引依存度,②損失補填困難,③取引額増加期待,④指示商品振替困難,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の153)

第154 《納入業者(154)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(154)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は鮮魚及び冷凍食品である。同社は,平成17年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の154)
(2) 《納入業者(154)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.2パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の154)
(3) 《納入業者(154)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は広島県,岡山県,山口県,鳥取県,島根県及び四国4県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.2パーセントないし約2.7パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第9位ないし第14位であった。(査24の154)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(154)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,「メーカー商品を扱っている」旨記載している。そして,同社の《略》所長(当時の同社の《略》営業所《略》課長)は,「メーカー商品を扱っている」の意味について,同社が被審人に納入していた主な商品はたらこであり,当該たらこの包装資材として被審人から指定されたものを使用していたことから,被審人向けに製造した商品を他の取引先に転売することができなかったということである旨,このことにより,取引先を変更することは難しい状況にあった旨供述している。(査24の154,393)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(154)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の154)

第155 《納入業者(155)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(155)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は冷凍魚,冷凍食品及び鮮魚である。同社は,平成8年11月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。なお,同社は,資本金を「《金額》円」と回答しているが,「《金額》円」の誤りであると推察される。(査24の155)
(2) 《納入業者(155)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.2パーセントないし約0.5パーセントであった。なお,上記各事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の155)
(3) 《納入業者(155)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は香川県,愛媛県,高知県及び岡山県)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.8パーセントないし約3.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第6位ないし第11位であった。(査24の155)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(155)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,新規開拓店で現状の被審人の売上げ確保は難しい旨記載している。(査24の155)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(155)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額等大きく安定を選択している。(査24の155)

第156 《納入業者(156)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(156)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は鮮魚である。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。なお,同社が被審人と取引を開始した時期は,本件証拠上明らかでない。(査24の156)
(2) 《納入業者(156)》の平成21年度の事業年度において,被審人に対する年間売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.3パーセントであった。なお,上記事業年度の取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上明らかでない。(査15〔左欄番号37,671,1075,1627の「取引額 第57期」欄〕,24の156)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(156)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人のような多店舗の量販店は,新規ではなかなかすぐに取引できない旨記載している。(査24の156)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(156)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,取引額増加期待を選択している。(査24の156)

第157 《納入業者(157)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(157)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は鮮魚及び冷凍魚である。同社は,平成11年12月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵において同じ。)であった。(査24の157)
(2) 《納入業者(157)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.9パーセントないし約6.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第4位又は第5位であった。(査24の157)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(157)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択している。(査24の157)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(157)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の157)

第158 《納入業者(158)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(158)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む有限会社であり,主な取扱商品は塩干魚,練製品及び冷凍食品である。同社は,平成9年7月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の158)
(2) 《納入業者(158)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.3パーセントないし約4.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査24の158)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(158)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人との取引額に代わる他の取引先がない旨記載している。(査24の158)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(158)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待を選択している。(査24の158)

第159 《納入業者(159)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(159)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は鮮魚,冷凍食品及び塩干食品である。同社は,昭和62年6月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円(審決注:証拠に記載の金額には消費税が含まれないため,当該金額に100分の105を乗じている。以下,本項⑵において同じ。)である。(査24の159)
(2) 《納入業者(159)》の平成19年8月1日に始まり平成20年7月31日に終わる事業年度から平成21年8月1日に始まり平成22年7月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約49パーセント又は約50パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査24の159)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(159)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の年間売上高に占める被審人のウェイトが50パーセントあり,取引が継続できなくなることは同社の死活問題となる旨記載している。(査24の159)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(159)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難,③取引額増加期待,④自社信用確保,⑤消費者人気小売業者を選択している。(査24の159)

第160 《納入業者(160)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(160)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品は辛子明太子,たらこ及びその他塩干品である。同社は,平成19年4月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の160)
(2) 《納入業者(160)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.44パーセントないし約0.84パーセント,平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度の取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第53位であった。なお,平成20年2月1日に始まり平成21年1月31日に終わる事業年度及び平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度の2事業年度において,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位より下位であるが,具体的な順位は本件証拠上明らかでない。(査24の160)
(3) 《納入業者(160)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》営業所(営業区域は九州,中国及び四国)によるものであるところ,各事業年度の同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.5パーセントないし約2.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位ないし第11位であった。(査24の160)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(160)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,被審人は品質重視のこだわりを持った商品を消費者に提供し続ける企業の一つで,同社が主としている量販向け商品の販売先に最も適しており,また,規模も大きく,今後も伸びていくと思われる旨記載している。(査24の160)
また,同社の《略》営業所の従業員は,①通常,量販店向けに販売する商品は,比較的低価格な商品が多いところ,被審人は,量販店であっても,比較的高価で品質を重視した商品を年間《金額》円というロットで取引してくれることから,同社の《略》営業所の担当エリアにおいて重要な取引先である旨,②被審人との取引額の割合は,同社全体で見れば高くはないが,同社には全国くまなく小売店に同社の商品を置いてもらいたいという営業方針があり,仮に被審人との取引が停止になった場合に,同営業所の担当エリア外で新たな取引先を見つけたとしても,前記営業方針からその影響は看過できないものであり,同社にとって重要ではない取引先はなく,営業所にとって重要な取引先であれば全社レベルでみても重要である旨供述している。(査394)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(160)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保を選択している。(査24の160)

第161 《納入業者(161)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(161)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はまぐろである。同社は,平成18年2月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,同社の《略》営業所(営業区域は岡山県及び広島県)における年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の161)
(2) 《納入業者(161)》の平成19年度から平成21年度までの3事業年度において,同社の《略》営業所の各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.5パーセントないし約4.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第5位ないし第17位であった。(査24の161)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(161)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,取引額だけではなく,「山陽マルナカ」という大手スーパーの名前が大切で,他の業者への信用度がまるで違う旨記載している。(査24の161)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(161)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③損失補填困難,④取引額増加期待,⑤自社信用確保,⑥消費者人気小売業者を選択している。(査24の161)

第162 《納入業者(162)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(162)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はたこ,穴子及びまぐろである。同社は,平成15年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の162)
(2) 《納入業者(162)》の平成19年2月1日に始まり平成20年1月31日に終わる事業年度から平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約9.8パーセントないし約12パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査24の162)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(162)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,他の取引先との取引を増やそうとすると,他のメーカーとの価格競争になってしまい,結局は同社の利益に結び付かない旨記載している。(査24の162)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(162)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②損失補填困難を選択している。(査24の162)

第163 《納入業者(163)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(163)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,主な取扱商品は辛子明太子,たらこ及び焼明太子である。同社は,平成7年6月頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査24の163)
(2) 《納入業者(163)》の平成19年6月1日に始まり平成20年5月31日に終わる事業年度から平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.1パーセントないし約3.9パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位又は第7位であった。(査24の163)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(163)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の販売商品である辛子明太子は競合他社との競争が激しい商品であり,新規販売店の開拓が非常に難しい商環境にある旨記載している。(査24の163)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(163)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待,③消費者人気小売業者を選択している。(査24の163)
また,同社の《略》部長は,同社の取引先数は《取引先数》社程度であったところ,被審人に対する年間売上高は約《金額》円から約《金額》円程度あり,同社の取引先の上位第5位から第7位くらいに入る規模となっていたため,同社にとっては重要な取引先の一つである旨供述している。(査357)

第164 《納入業者(164)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(164)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む有限会社であり,主な取扱商品は塩干魚である。同社は,昭和60年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の164)
(2) 《納入業者(164)》の平成19年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約11パーセント又は約13パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査24の164)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(164)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,全体的な売上げが低迷している中で,被審人との取引金額,取引数量が多く安定している旨記載している。(査24の164)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(164)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②高取引依存度,③取引額増加期待,④消費者人気小売業者を選択している。(査24の164)

第165 《納入業者(165)》
1  取引依存度等
(1) 《納入業者(165)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,主な取扱商品はセメント,生コンクリート及びコンクリート製品である。同社は,昭和60年頃に被審人との取引を開始した。審査官の主張する違反行為期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査24の165)
(2) 《納入業者(165)》の平成18年8月21日に始まり平成19年8月20日に終わる事業年度から平成20年8月21日に始まり平成21年8月20日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度の被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.2パーセントないし約5.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の165)
(3) 《納入業者(165)》の被審人に対する前記⑵の年間売上高の全ては,同社の《略》部(営業区域は中国,四国,関西及び山陰)によるものであるところ,各事業年度の同部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約19パーセント又は約20パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査24の165)
2  取引先変更可能性等
《納入業者(165)》は,取引先変更可能性の設問に対し,取引先変更困難との回答を選択し,その理由記載欄に,同社の営業エリアで,被審人と同規模の食品スーパーと取引を開始するに当たっては,既存の納入業者との激しい競合が予想される旨記載している。(査24の165)
3  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(165)》は,取引継続必要性の設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引額等大きく安定,②取引額増加期待を選択している。(査24の165)

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