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㈱ラルズに対する件

独禁法66条2項(独禁法19条・独禁法20条の6)

平成25年(判)第28号及び第29号

審判請求棄却審決

札幌市中央区南十三条西十一丁目2番32号
被審人 株式会社ラルズ
同代表者  代表取締役 《 氏 名 》
同代理人  弁 護 士 浦 中 裕 孝
同           本 村   健
同           大 櫛 健 一
同           永 口   学
上記被審人代理人浦中裕孝復代理人弁護士
            山 田 祐 大
同           大久保 直 輝

公正取引委員会は,上記被審人に対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第100号)附則第2条の規定によりなお従前の例によることとされる同法による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)(以下「独占禁止法」という。)に基づく排除措置命令審判事件及び課徴金納付命令審判事件について,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う公正取引委員会関係規則の整備に関する規則(平成27年公正取引委員会規則第2号)による廃止前の公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号)(以下「規則」という。)第73条の規定により審判官酒井紀子から提出された事件記録,規則第75条の規定により被審人から提出された異議申立書並びに独占禁止法第63条及び規則第77条の規定により被審人から聴取した陳述に基づいて,同審判官から提出された審決案を調査し,次のとおり審決する。
なお,以下の用語のうち,別紙1の「用語」欄に掲げるものの定義は,同「定義」欄に記載のとおりである。

主       文
被審人の各審判請求をいずれも棄却する。

理       由
第1 審判請求の趣旨
1 平成25年(判)第28号審判事件
平成25年(措)第9号排除措置命令の全部の取消しを求める。
2 平成25年(判)第29号審判事件
平成25年(納)第31号課徴金納付命令の全部の取消しを求める。
第2 事案の概要(当事者間に争いのない事実又は公知の事実)
1  公正取引委員会は,被審人が,遅くとも平成21年4月20日から平成24年3月13日までの間(以下「本件対象期間」という。),自己の取引上の地位が納入業者のうち別紙2記載の各事業者(以下「88社」といい,事業者数については,農業協同組合及び農業協同組合連合会を含むときも「○社」と表記する。また,法人各社の名称については,「株式会社」又は「有限会社」を省略して表記する。)に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,当該取引に係る商品以外の商品を購入させ,自己のために金銭,役務その他の経済上の利益を提供させていたものであり,この行為は独占禁止法第2条第9項第5号イ及びロ(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律〔平成21年法律第51号。以下「改正法」という。〕の施行日である平成22年1月1日前においては平成21年公正取引委員会告示第18号による改正前の不公正な取引方法〔昭和57年公正取引委員会告示第15号〕の第14項〔以下「旧一般指定第14項」という。〕第1号及び第2号)に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するものであり,かつ,特に排除措置を命ずる必要があるとして,平成25年7月3日,被審人に対し,排除措置を命じた(平成25年(措)第9号。以下「本件排除措置命令」といい,同命令において認定された違反行為を「本件違反行為」という。)。
本件排除措置命令の命令書の謄本は,同月4日,被審人に対して送達された。
2  公正取引委員会は,平成25年7月3日,被審人に対し,独占禁止法第20条の6の規定により,本件違反行為は継続してするものであり,本件違反行為をした日から本件違反行為がなくなる日までの期間は平成21年4月20日から平成24年3月13日までとなるとした上で,本件違反行為のうち改正法の施行日である平成22年1月1日以後に係るものについて,被審人と88社それぞれとの間における別紙2の「購入額」欄記載の購入額を前提に,12億8713万円の課徴金の納付を命じた(平成25年(納)第31号。以下「本件課徴金納付命令」といい,本件排除措置命令と併せて「本件各命令」という。)。
本件課徴金納付命令の命令書の謄本は,平成25年7月4日,被審人に対して送達された。
3  被審人は,平成25年7月25日,本件各命令の全部の取消しを求める審判請求をした。
第3  前提となる事実(各項末尾に括弧書きで証拠を掲記した事実は当該証拠から認定される事実であり,その余の事実は争いのない事実又は公知の事実である。なお,証拠の表記については,「第」及び「号証」を略し,単に「査○」,「審○」と記載する。)
1 被審人の概要
(1) 被審人は,肩書地に本店を置き,北海道の区域において,「ビッグハウス」,「ラルズマート」,「スーパーアークス」,「ラルズストア」,「ホームストア」,「ラルズプラザ」,「ファミリープラザ」及び「フレッティ」と称する店舗を運営し,食料品,日用雑貨品,衣料品等の小売業を営む者である。
被審人は,平成14年11月1日,株式会社アークスから分割により設立された株式会社であり,同社が株式の100パーセントを有する完全子会社であり,資本金は42億円である。(査1,査2)
本件各命令当時,株式会社アークスを親会社とする企業グループ(以下「アークスグループ」という。)は,被審人,株式会社ユニバース,株式会社福原,株式会社道北アークス,株式会社東光ストア,株式会社道南ラルズ,株式会社道東ラルズ,株式会社篠原商店,株式会社ジョイス(被審人を除き,いずれも食品スーパーマーケット〔以下「食品スーパー」という。〕を営む者である。),株式会社イワイ(被審人の子会社。酒類販売事業を営んでいる。)及び株式会社エルディ(総合ビルメンテナンス事業,ホームセンター事業,ライフポート事業〔DPE〕を営む者である。)から構成されていた。
なお,平成28年3月,株式会社篠原商店と株式会社道東ラルズが合併し,株式会社道東アークスとなり,株式会社ジョイスと株式会社ベルプラスが合併し,株式会社ベルジョイスとなった(株式会社ベルプラス及び株式会社ベルジョイスは,いずれも,岩手県,宮城県,青森県及び秋田県で食品スーパーを営む者である。)。
(査2,審14)
(2) 被審人の事業年度は毎年3月1日に始まり翌年2月末日に終わるところ,被審人の総売上高は,平成21年2月期(平成20年3月1日から平成21年2月28日まで)は約1148億3740万円,平成22年2月期(平成21年3月1日から平成22年2月28日まで)は約1148億3781万円,平成23年2月期(平成22年3月1日から平成23年2月28日まで)は約1156億4224万円,平成24年2月期(平成23年3月1日から平成24年2月29日まで)は約1181億7453万円であり,毎年増加していた。
また,被審人の総売上高のうち,食料品の売上高は,平成21年2月期は約965億7800万円,平成22年2月期は約972億5500万円,平成23年2月期は約1021億200万円であり,毎年増加していた。
そして,総売上高では,北海道の区域内における食品スーパーの中で,《事業者B》(各事業年度〔各年4月1日から3月31日まで〕における総売上高は《金額》円台ないし《金額》円台。以下「《事業者B》」という。),《事業者C》(各事業年度〔各年3月1日から2月末日まで〕における総売上高は約《金額》円。以下「《事業者C》」という。)に次ぐ第3位であった。
さらに,平成21年2月期から平成23年2月期までの各事業年度において,被審人の食料品の売上高は,北海道の区域内における食品スーパーの中で,《事業者B》(各事業年度における食料品の売上高は《金額》円前後)に次ぐ第2位であった。
(査2,査95ないし査97)
(3) 平成20年2月29日時点の被審人の店舗数は52店であり,北海道区域内の主要都市に存在した。また,被審人の店舗総面積(各店舗の店舗面積の合計)は約11万8000平方メートルであったところ,被審人の店舗数及び店舗総面積は,その後毎年増加し,平成21年2月28日時点では54店,約12万1000平方メートル,平成22年2月28日時点では57店,約13万1000平方メートル,平成23年2月28日時点では62店,約14万6000平方メートル,平成24年2月29日時点では64店,約15万1000平方メートルであった。(査2)
なお,平成21年2月期から平成23年2月期までの各事業年度において,《事業者B》の店舗数は約100店,《事業者C》の店舗数は約30店であった。(査95ないし査97)
2 被審人と納入業者との取引
(1) 被審人の仕入業務担当部門
被審人は,営業本部の下に,自社の店舗で販売する商品の仕入業務を統括する商品統括部を置き,同部の下に,仕入業務を担当する部門として,商品の分類別に第1商品部から第8商品部まで(以下,まとめて「各商品部」という。)を設置していた。各商品部の担当品目は,第1商品部が青果物,第2商品部が水産物,第3商品部が食肉,第4商品部が惣菜品等,第5商品部が豆腐及び納豆等の和日配の商品,乳製品等の洋日配の商品並びにドリンク,第6商品部が菓子,パン及びグロサリー(コーヒー,缶詰等の加工食品),第7商品部が日用品,第8商品部が衣料品等であった。また,被審人の店舗のうち,室蘭市,登別市及び伊達市(以下,まとめて「室蘭地区」という。)に所在する7店舗において販売する商品については,基本的に各商品部が仕入業務を担当するが,一部の商品については,営業本部の下に置かれている室蘭地区本部が仕入業務を担当していた。
(2) 仕入業務担当者等の権限
各商品部には,ゼネラルマネジャー(以下「GM」という。)及びその部下のバイヤーが仕入業務担当者として配置されており(以下,GMとバイヤーを併せて「仕入担当者」ということもある。),室蘭地区本部にも商品カテゴリー別の仕入担当者が配置されていた。仕入担当者は,店舗で販売する商品及びその販売方針を決定するとともに,納入業者との間で商品の仕入れに係る商談等を行い,仕入価格を始めとする取引条件を決定していた。
本件対象期間において,各商品部を統括する商品統括部長は,営業本部長の《A1》(同人は,平成19年5月に常務取締役,平成22年5月に専務取締役に就任している。以下「被審人の《A1》専務」又は単に「《A1》専務」という。)が兼任しており,同人が,各商品部及び室蘭地区本部の仕入担当者に対し,仕入業務全般について指示を行っていた。
(3) 被審人の社内会議
被審人は,以下の①ないし③のとおり,定期的に開催される社内会議の場において,本件対象期間における被審人の代表取締役社長である《A2》(以下「被審人の《A2》社長」又は単に「《A2》社長」という。),《A1》専務等から,仕入担当者に対し,経営陣の営業方針等を定期的に伝達し,仕入業務に従事させるとともに,各商品部から商品の販売の現状について報告させるなどしていた。
なお,《A2》社長は,平成19年5月24日に被審人の代表取締役社長に就任したが,同日,それまで被審人の代表取締役社長であった《A3》(以下「被審人の《A3》会長」又は単に「《A3》会長」という。)が被審人の代表取締役会長に就任した。(査2)
① 経営会議
毎週月曜日に,役員全員及び各商品部を含む各部署のGMが出席の上開催される。この会議では,担当役員及び各商品部のGMが,会議の前週の販売実績を報告するとともに,今週のスケジュール,取組内容,目標等を発表する。
② GM会議
経営会議終了後に,《A2》社長,《A1》専務,営業本部の販売統括部長である常務取締役,営業本部の各GM等が出席して開催される。この会議では,《A2》社長,《A1》専務等から各商品部のGM等に対して今後の活動内容について具体的な指示が行われる。
③ バイヤーミーティング
GM会議終了後,《A1》専務,第1商品部から第7商品部までの仕入担当者等が出席して開催される。ただし,会議自体は,第1商品部ないし第3商品部,第4商品部,第5商品部ないし第7商品部の3つに分けて実施される。この会議では,各商品部のGMが会議の前週の販売状況,今週の販売目標等の発表を行うとともに,《A1》専務から上記商品部の仕入担当者に対して売上増進のための取組等について具体的な指示が行われる。
(4) 被審人における商品の仕入方法
被審人は,自社が販売する商品のほとんど全てを納入業者から買取取引で仕入れていた。(査2)
(5) 納入業者の概要
納入業者は,食料品,日用雑貨品,衣料品等の製造業者又は卸売業者であり,その多くが北海道の区域に本店又は支店等の営業拠点を置いて事業を行っていた。
3  88社による被審人の商品の購入並びに被審人に対する金銭及び労務の提供
(1) 88社の概要
88社は,いずれも納入業者であり,食料品,日用雑貨品,衣料品等の製造業者又は卸売業者である。(査4ないし査90〔枝番号を含む。〕,査507)
(2) 88社のうち別紙3の「濫用行為の状況」欄の「従業員等の派遣要請」の項に「○」の記載がある53社(以下「53社」という。)による従業員等の派遣
53社は,本件対象期間に被審人が実施した新規開店又は改装開店に際し,別紙4の「従業員派遣」欄記載のとおり,自社の従業員等を当該店舗に派遣し,同従業員等は,①新規開店又は改装開店の開店前の作業として,商品陳列棚の清掃,商品の仮陳列,商品陳列,POP等取付け(陳列された商品の位置に合わせて行うプライスカードや商品説明のためのPOPの取付作業),スキャンチェック(陳列した商品をレジに通し,レジから排出されたレシートに印字された価格とプライスカードに記載された価格が一致するかの確認作業),追加発注,追加商品の陳列の作業を,②新規開店又は改装開店後に行われる「オープンセール」と称するセール(以下「オープンセール」という。)の期間(以下「オープンセール期間」という。)の作業として,商品陳列,商品補充,調理の作業を,③改装開店の場合の閉店時の作業として,商品の撤去,他店舗への振替の作業(以下,前記①ないし③の作業を併せて「本件開店準備作業等」という。)を行った(以下「本件従業員等派遣」という。)。(査2〔別表8〕,査115,査116,査141,査142,査152)
(3) 88社のうち別紙3の「濫用行為の状況」欄の「オープンセール協賛金の提供要請」の項に「○」の記載がある54社(以下「54社」という。)による被審人のオープンセールに係る協賛金の名目の金銭の提供,及び88社のうち別紙3の「濫用行為の状況」欄の「創業祭協賛金の提供要請」の項に「○」の記載がある86社(以下「86社」という。)による被審人の創業祭に係る協賛金の名目の金銭の提供
ア 被審人のオープンセールに係る協賛金の名目の金銭の提供
被審人は,本件対象期間に新規開店又は改装開店を行った15店舗において,オープンセールを行った。
54社は,オープンセールの際,別紙4の「オープン協賛金」欄記載のとおり,被審人に対し,オープンセールの協賛金の名目で金銭を提供した(以下,この金銭を「オープンセール協賛金」という。)。
(査2〔別表10〕,査156,査159,査160,査162ないし査167,査176,査177,査180ないし査185)
イ 被審人の創業祭に係る協賛金の名目の金銭の提供
被審人は,被審人の前身であるダイマルスーパー株式会社の創業日が10月28日であることにちなんで,「創業祭」と称するセール(以下「創業祭」という。)を,毎年9月頃から11月頃までの間に数次にわたり実施していた。
86社は,本件対象期間に被審人が実施した創業祭に際し,別紙4の「創業祭協賛金」欄記載のとおり,創業祭の協賛金の名目で金銭を提供した(以下,この金銭を「創業祭協賛金」といい,オープンセール協賛金と併せて「本件協賛金」という。また,54社によるオープンセール協賛金の提供と86社による創業祭協賛金の提供を総称して,以下「本件協賛金の提供」といい,54社と86社をまとめて「54社等」という場合がある。)。
(査2〔別表10〕,査187ないし査190,査193ないし査196,査198,査199,査201ないし査203,査205,査207ないし査209,査215)
(4) 88社のうち別紙3の「濫用行為の状況」欄の「スーツ等の購入要請」の項に「○」の記載がある18社(以下「18社」という。)の役員及び従業員による被審人の商品の購入
被審人は,毎年3月頃及び9月頃に,被審人のラルズプラザ札幌店において,「紳士服特別販売会」などと称するセール(以下「紳士服特別販売会」という。)を実施し,3月頃に実施するものにおいては春夏向けの,9月頃に実施するものにおいては秋冬向けのイージーオーダー又は既成品の紳士用スーツ,ワイシャツ,ネクタイ,革靴等(以下「本件商品」という。)を販売していた。
なお,紳士服特別販売会は,取引先や被審人の関係者はもちろん,一般客も購入可能な企画であり,取引先等に対して特別に安く販売するものではなかった。
18社の役員及び従業員(以下「18社の従業員等」という。)は,本件対象期間に,別紙4の「購入要請」欄記載のとおり,本件商品を購入した(以下「本件商品の購入」という。また,被審人が,本件従業員等派遣及び本件協賛金の提供を受けたこと並びに本件商品を18社の従業員等に販売したことを総称して,以下「本件各行為」という。)。
(査2〔別表9〕,査252ないし査254,査276)
4 被審人の88社との間における購入額
本件対象期間における被審人の88社それぞれとの間における商品の購入額を,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令(昭和52年政令第317号。以下「独占禁止法施行令」という。)第30条第2項の規定に基づき算定すると,別紙2の「購入額」欄記載のとおりとなる。(査263の1,査263の2)
5 公正取引委員会による立入検査,被審人の取締役会決議等
(1) 公正取引委員会は,平成24年1月17日,本件違反行為に関する立入検査(以下「本件立入検査」という。)を行った。
(2) 被審人は,平成24年3月14日,取締役会において,今後審査段階の被疑事実に係る行為を取りやめること,今後被疑事実に係る行為が発生しないよう以下の①ないし③の点等を徹底すること,及び,これらの点を記載した文書を取引先に送付することなどを決議した(以下「本件取締役会決議」という。)。(査2,査262)
① 納入業者に対して従業員等の応援の派遣を依頼する場合には,派遣を受ける従業員等の派遣条件についてあらかじめ納入業者と合意し,かつ,その従業員等の派遣のために通常必要な費用を被審人が負担する。納入業者から当該費用の辞退がある場合には,従業員等の応援派遣依頼は行わない。
② 被審人の商品を納入業者に販売する場合は,仕入担当者等,仕入取引に影響を与え得る者からの要請は行わず,販売企画等への参加が仕入取引に影響すると捉えられる行為は行わない。
③ 納入業者から金銭等の支払を受ける場合には,事前にその金銭等の負担額,算出根拠,目的等について明確に合意し,かつ,納入業者が得る利益等を勘案して合理的であると認められる範囲において行う。
(3) 被審人は,平成24年3月14日以降,本件違反行為を行っていない(なお,被審人は,後記第5の2(2)のとおり,本件立入検査の日以降,本件違反行為を行っていないと主張しており,独占禁止法第20条の6にいう「当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間」〔以下「違反行為期間」という。〕について争っている。)。
第4 争点
1  本件各行為は,被審人が自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に行ったものか(争点1)
2 本件における違反行為期間(争点2)
第5 争点に係る双方の主張
1  争点1(本件各行為は,被審人が自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に行ったものか)について
(1) 審査官の主張
ア 被審人の取引上の地位が88社に対し優越していたこと
(ア) 優越的地位の濫用規制の趣旨
独占禁止法第19条において,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に同法第2条第9項第5号イないしハ(改正法施行日前においては旧一般指定第14項〔第1号ないし第4号〕)に該当する行為をすること(以下「優越的地位の濫用」という。)が不公正な取引方法として規制されているのは,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,取引の相手方(以下,単に「相手方」ということもある。)に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは,当該相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに,当該相手方はその競争者との関係において競争上不利となる一方で,行為者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれがあるものであり,このような行為は,公正な競争を阻害するおそれ(以下「公正競争阻害性」という。)があるからである。(公正取引委員会平成27年6月4日審決・公正取引委員会審決集第62巻119頁〔日本トイザらス株式会社に対する件。以下「トイザらス事件審決」という。〕,優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方〔平成22年11月30日公正取引委員会。以下「優越ガイドライン」という。〕第1の1参照)
(イ) 優越的地位の判断の枠組み
前記(ア)のような優越的地位の濫用規制の趣旨に照らせば,「自己の取引上の地位が相手方に優越していること」(独占禁止法第2条第9項第5号柱書)といえるためには,取引の一方の当事者(以下「甲」という。)が市場支配的地位又はそれに準ずる絶対的に優越した地位にある必要はなく,他方の当事者(以下「乙」という。)との関係で相対的に優越した地位にあれば足りると解される。また,甲が乙に対して優越した地位にあるとは,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ない場合をいうと解される。(トイザらス事件審決,優越ガイドライン第2の1参照)
正常な商慣習に照らして不当に行われる独占禁止法第2条第9項第5号イないしハ(改正法施行日前においては旧一般指定第14項〔第1号ないし第4号〕)に該当する行為(以下「濫用行為」という。)は,通常の企業行動からすれば当該相手方が受け入れる合理性のないような行為であるから,甲が濫用行為を行い,乙がこれを受け入れている事実が認められる場合,これは,乙が当該濫用行為を受け入れることについて特段の事情がない限り,乙にとって甲との取引が必要かつ重要であることを推認させるとともに,「甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ない場合」にあったことの現実化として評価できるものというべきであり,このことは,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことに結び付く重要な要素になるものというべきである。(トイザらス事件審決)
そして,甲が乙に対して優越した地位にあるといえるか否かについては,甲による行為が濫用行為に該当するか否か,濫用行為の内容,乙がこれを受け入れたことについての特段の事情の有無を検討し,さらに,①乙の甲に対する取引依存度,②甲の市場における地位,③乙にとっての取引先変更の可能性,④その他乙が甲と取引することの重要性,必要性を示す具体的事実を総合考慮して判断される。(トイザらス事件審決)
(ウ) 本件への当てはめ
a  本件各行為について
本件各行為の内容及び本件各行為が濫用行為に該当することについては,後記イのとおりである。
b  被審人の市場における地位
(a) 前記第3の1(2)のとおり,被審人の平成21年2月期から平成24年2月期までの各事業年度の総売上高は,北海道の区域内における食品スーパーの中で第3位であった。また,88社は,別紙3の「要素」欄の「被審人は北海道地区における食品スーパーで有力な地位にあると認識」の項に「○」の記載があるとおり,いずれも被審人が北海道地区における食品スーパーの分野において有力な地位にあると認識していた。したがって,被審人は,本件対象期間中,北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者として有力な地位にあった。
(b) 前記(a)のとおり,被審人は,市場において有力な地位にあり,このような事業者と取引する場合には,安定した売上高を見込むことができ,また,取引をしていることによって自社の信用を確保することができる。
c  被審人に対する取引依存度
本件対象期間における88社の被審人に対する取引依存度(3事業年度の平均値)は,別紙3の「要素」欄の「被審人に対する取引依存度又は売上高が高い」の項のうちの「被審人に対する取引依存度(直近3事業年度平均)」の項に記載のとおりである。
また,88社のうち,別紙3の「要素」欄の「被審人に対する取引依存度又は売上高が高い」の項のうちの「被審人に対する取引依存度が他の取引先に比べて高いと認識」の項に「○」の記載がある者は,被審人に対する取引依存度が他の取引先に比べて高いと認識していた。
d  88社にとっての取引先変更の可能性
88社は,別紙3の「要素」欄の「取引先変更が困難」の項のうちの「被審人との取引を他の取引先で代替することは容易ではないと認識」の項に「○」の記載があるとおり,いずれも被審人との取引を他の取引先で代替することは容易でないと認識していた。
また,88社のうち,上記「要素」欄の「取引先変更が困難」の項のうちの「被審人の取引額と同額以上に取引額が増加した取引先はない(直近3事業年度)」の項に「○」の記載がある者は,本件対象期間を含む3事業年度において被審人との取引額と同額以上に取引額が増加した取引先は存在しなかった。
e  その他被審人と取引することの重要性,必要性を示す具体的事実
(a) 被審人に対する売上高
本件対象期間における88社の被審人に対する年間売上高(3事業年度の平均値)は,別紙3の「要素」欄の「被審人に対する取引依存度又は売上高が高い」の項のうちの「被審人に対する年間売上高(直近3事業年度平均・千円)」の項に記載のとおりである。
また,88社のうち,上記「要素」欄の「被審人に対する取引依存度又は売上高が高い」の項のうちの「被審人に対する売上高について,なくなると営業政策に影響が生じるほど大きいと認識」の項に「○」の記載がある者は,被審人に対する売上高がなくなった場合,営業政策に影響が生じるほど大きいと認識していた。
(b) 営業拠点における被審人に対する取引依存度
88社のうち,別紙3の「営業拠点要素」欄に「○」等の記載がある33社(以下「33社」という。)は,本社のほかに営業所等を有しており,本社又は営業拠点において被審人と取引している。
本件対象期間中の33社の営業拠点における被審人に対する取引依存度(3事業年度の平均値)は,上記「営業拠点要素」欄の「被審人に対する取引依存度が高い」の項のうちの「被審人に対する取引依存度(直近3事業年度平均)」の項に記載のとおりである。
また,33社のうち,上記「営業拠点要素」欄の「被審人に対する取引依存度が高い」の項のうちの「被審人に対する取引依存度が他の取引先に比べて高いと認識」の項に「○」の記載がある者は,上記営業拠点における被審人に対する取引依存度が他の取引先に比べて高いと認識していた。
(c) 被審人と取引を行っている営業拠点の重要性
33社のうち,別紙3の「営業拠点要素」欄の「被審人と取引を行っている拠点の重要性」の項のうちの「被審人と取引を行っている営業拠点が重要拠点と認識」の項に「○」の記載がある者は,被審人と取引を行っている営業拠点について重要な営業拠点であると認識していた。
(d) 営業拠点にとっての取引先変更の可能性
33社のうち,別紙3の「営業拠点要素」欄の「取引先変更が困難」の項のうちの「被審人との取引を他の取引先で代替することは容易ではないと認識」の項に「○」の記載がある者は,被審人と取引を行っている営業拠点において被審人との取引を他の取引先で代替することは容易でないと認識していた。
また,33社のうち,上記「営業拠点要素」欄の「取引先変更が困難」の項のうちの「被審人の取引額と同額以上に取引額が増加した取引先はない(直近3事業年度)」の項に「○」の記載がある者は,本件対象期間を含む3事業年度の間に,当該営業拠点において被審人との取引額と同額以上に取引額が増加した取引先は存在しなかった。
(e) 被審人との事業規模の格差
本件対象期間における88社の資本金額及び年間売上高(3事業年度の平均値)は,別紙3の「要素」欄のうち,「被審人の事業規模が特定納入業者のそれを大きく上回ること」欄の「資本金額(単位・千円)」の項及び「直近3事業年度の総売上高の平均(単位・千円 概数)」の項に記載のとおりである。
被審人の事業規模が納入業者の事業規模を大きく上回る場合には,納入業者は,被審人との交渉力も小さくなり,また,有力な地位にある被審人と取引をして経済的な信用を得る必要性が高くなる。
(f) 被審人との取引の重要性,必要性についての認識
88社のうち,《納入業者(3〔別紙2の会社番号欄記載の番号。以下,88社の名称の後に括弧書きで付した番号は,いずれも同欄記載のものである。〕)》,《納入業者(15)》,《納入業者(16)》及び《納入業者(28)》を除く84社は,審査官からの平成24年6月8日付け報告命令に対する88社の報告書(査4ないし査90〔枝番号を含む。〕。以下,まとめて「88社の報告書」といい,納入業者の個別の報告書については「〔納入業者の名称〕の報告書」という。)において,「貴社は,貴社にとって不利益な要求であっても受け入れざるを得ないほど,ラルズと取引することの重要性及び必要性があると認識していましたか。」という設問(以下「取引重要性等の設問」という。)に対し,選択肢a「はい」を選択しており,自社にとって不利益な要求であっても受け入れざるを得ないほど被審人と取引することの重要性及び必要性があると認識していた。
また,《納入業者(3)》,《納入業者(15)》,《納入業者(16)》及び《納入業者(28)》も,別紙3の「不利益な要求であっても受け入れざるを得ないほど被審人との取引に重要性・必要性があると認識」の項掲記の各証拠から,被審人と取引することの重要性及び必要性が高いものと認識していた。
(g) その他被審人との取引の重要性,必要性を示す事実
88社のうち,別紙3の「要素」欄の「被審人の成長を期待できる 又は 自社又は自社商品の信用が確保されると認識」の項に「○」の記載がある者は,本件対象期間中,被審人の成長を期待できる,又は被審人と取引することにより自社若しくは自社商品の信用が確保されると認識していた。
f  小括
以上のaないしeの各事実を総合考慮すれば,本件対象期間中,88社にとって被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,被審人が88社にとって著しく不利益な要請等を行ってもこれを受け入れざるを得ないような場合にあったことが認められ,被審人の取引上の地位が88社に優越していたことは明らかである。
イ 本件各行為が濫用行為に該当すること
(ア) 本件従業員等派遣
a  判断の枠組み
独占禁止法第2条第9項第5号ロ及び旧一般指定第14項第2号は,「継続して取引する相手方」に対して,「(正常な商慣習に照らして不当に)役務・・・を提供させること」が,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えるものとして,濫用行為に当たるとしている。
買取取引においては,商品の引渡しにより,商品の所有権とともに当該商品の滅失の危険や売れ残りのリスクなどの負担も売主から買主に移転するため,引渡し後の販売のための準備作業は,契約上の義務がない限り,買主において行うべきであり,買主が売主に対して従業員等を派遣して同作業を行うことを依頼したとしても,それに応じることは売主にとって通常は何ら合理性がない。
そして,取引主体が取引の諾否及び取引条件について自由かつ自主的に判断することによって取引が行われているという,自由な競争の基盤が保持されているのであれば,売主は,このような合理性のない依頼を受け入れないはずである。それにもかかわらず,買主が「継続して取引する相手方」である売主に対して上記作業を行うことを依頼すれば,売主は,今後の取引に与える影響を懸念して依頼を断りづらくなるため,依頼に応じて上記作業という役務を提供することを事実上余儀なくされやすい。
以上からすると,買主が売主に対して上記作業のために従業員等の派遣を依頼し,かつ,売主がそれを受け入れた場合には,買主のこの行為は,売主にあらかじめ計算できない不利益や,合理的であると認められる範囲を超える負担を与えるものであり,売主の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するものと推認されるから,濫用行為に該当する。
もっとも,買主と売主が,販売のための準備作業を行うこと及びその条件について,十分な協議をした上で事前に合意し,その合意内容を契約書等によって明確化するとともに,売主が同作業の対価としてふさわしい額を得られるのであれば,同作業を行うことは売主の契約上の義務になる。このような場合,売主が同作業を行っても,あらかじめ計算できない不利益を受けることや合理的範囲を超える負担を負うことにはならず,売主の自由かつ自主的な判断による取引を阻害することにもならないため,かかる行為は濫用行為に該当しない。
また,売主が上記作業の対価としてふさわしい額の支払を受けていなくても,それと同視し得る利益として,売主の納入する商品の売上げ増加,売主による消費者ニーズの動向の直接把握につながるなど,直接の利益を得ている場合には,上記作業が,それによって得ることとなる利益の範囲内であるものとして売主の自由な意思により行われるときには,売主はあらかじめ計算できない不利益や合理的範囲を超える負担を負うことにはならないため,かかる行為は濫用行為に該当しない。
なお,上記利益には,上記作業を行うことにより将来の取引が有利になるというような間接的な利益は含まれない。
(優越ガイドライン第4の2(2)ア(注12),同イ参照)
b  本件への当てはめ
(a) 派遣の条件が明確になっていなかったこと
53社は,被審人との商品納入契約上,商品を各店舗又は配送センターに納入する義務を負うのみであり,本件開店準備作業等を負担する義務は負っていなかった。
また,53社が本件従業員等派遣に応じるに当たり,あらかじめ当該派遣の条件が明確にされていたものではなく,被審人と53社との間で十分な協議をした上で派遣の条件を事前に合意し,その合意内容を契約書等によって明確化していた事実などもなかった。
したがって,53社があらかじめ派遣の条件を合意した上で本件従業員等派遣に応じていたとは認められない。
(b) 被審人が通常必要な費用のほとんどを負担しなかったこと
本件従業員等派遣は,別紙4の「従業員派遣」欄の「契機の回数」の項記載のとおり,15店舗で合計858件あったところ,このうち被審人が納入業者に対して費用を支払ったのは11件であり,合計10万8120円にすぎない。
また,被審人が支払った額は,従業員等が当該店舗で行った数日間にわたる作業のうち1日分など,従業員等が行った作業全部に相当する額とはなっておらず,納入業者は,被審人から,支払実績を作るために当該店舗の作業分についてのみ被審人が指定した額を費用請求するよう依頼を受け,そのとおり請求したにすぎない。
このように,被審人は,本件従業員等派遣に当たり,通常必要な費用のほとんどを負担しなかった。
(c) 53社にとって合理的と認められる範囲を超えた負担となること
被審人は,本件従業員等派遣により派遣された従業員等に対し,当該従業員等の自社商品であるか他社商品であるかを問わずに本件開店準備作業等を行わせていた。
また,本件開店準備作業等のうち,商品の陳列及び補充に関する作業は,被審人によって既に決められた棚割表に従って商品を置くだけという,機械的作業であった。そのため,53社が,自社商品がより多く売れるようにするために,商品知識や商品販売のノウハウを用いて自社商品の陳列場所や陳列方法を工夫して決めることなどできなかった。
そして,本件開店準備作業等のうち,オープンセール期間中の作業である商品陳列作業,商品補充作業及び調理作業といったものは,基本的には消費者と接点を持つことのない作業であった。また,これらの作業及び閉店の際の作業は,消費者がいない状況で行われるものであった。このため,これらの作業は,53社にとって利益となり得る消費者ニーズの把握に資するものではなかった。
さらに,被審人は,53社が本件従業員等派遣に応じたことをもって53社を優遇することもなかった。
したがって,本件開店準備作業等は,いずれも53社にとって直接の利益につながるものではなかった。
(d) 本件従業員等派遣に応じる合理性がないこと
以上のとおり,53社は,条件につき明確になっていない本件従業員等派遣に応じれば,本来負担する必要のない本件開店準備作業等の負担をすることになる一方で,本件開店準備作業等の対価となるものも得られなかった。
そのため,53社にとって,本件従業員等派遣は,合理的であると認められる範囲を超えた負担を負うことになるから,応じる合理性がないものであった。
(e) 本件従業員等派遣に応じることを余儀なくされたこと
53社に対して本件従業員等派遣の依頼をしていたのは,被審人の仕入担当者であり,53社の取引関係に影響を与え得る立場の者であったことから,53社にとって本件従業員等派遣は拒絶し難いものであった。
そうすると,53社が応じる合理性のない本件従業員等派遣を受け入れたのは,これに応じることを事実上余儀なくされ,自由かつ自主的な判断による取引を阻害されたからである。
(f) 小括
よって,上記(a)ないし(e)のような態様等で被審人が本件従業員等派遣をさせた行為は,53社に対して合理的であると認められる範囲を超える負担を与えるものであり,53社の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するものであったから,濫用行為に該当する。
(イ) 本件協賛金の提供
a  判断の枠組み
独占禁止法第2条第9項第5号ロ及び旧一般指定第14項第2号は,「継続して取引する相手方」に対して,「(正常な商慣習に照らして不当に)金銭・・・を提供させること」が,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えるものとして,濫用行為に当たるとしている。
売買契約において,売主は特段の定めがない限り買主に対して商品の引渡義務を負うのみであり,売主が買主に対して協賛金のような金銭を提供している場合には,売主と買主の間に売買契約とは別に贈与契約が成立したと理解されるところ,贈与契約は片務かつ無償契約であるから,買主の贈与の求めに応じて一方的に負担を負うことは,営利活動を行う売主にとって,通常は何ら合理性がない。
そして,取引主体が取引の諾否及び取引条件について自由かつ自主的に判断することによって取引が行われているという,自由な競争の基盤が保持されているのであれば,売主は,このような合理性のない買主の依頼を受け入れないはずである。それにもかかわらず,買主が「継続して取引する相手方」である売主に対して,協賛金のような金銭の提供を依頼すれば,売主は,今後の取引に与える影響を懸念して依頼を断りづらくなるため,依頼に応じて協賛金のような金銭を提供することを事実上余儀なくされやすい。
以上からすると,継続的な売買契約において,買主が売主に対して協賛金のような金銭の提供を依頼し,かつ,売主がそれを受け入れた場合には,買主の上記行為は,売主にあらかじめ計算できない不利益や,合理的であると認められる範囲を超える負担を与えるものであり,売主の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するものと推認されるため,濫用行為に該当する。
もっとも,売主が,提供する金銭と対価性のある利益,すなわち直接の利益を得られる場合であって,かつ,買主と十分協議してそのような利益を得られることを確認した上で納得して合意し,合意内容を契約書等で明確化したのであれば,売主があらかじめ計算できない不利益を受けることや合理的範囲を超える負担を負うことにならず,相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害することにもならないから,濫用行為に該当しない。
なお,直接の利益とは,例えば,広告を作成,配布する費用の一部を負担させることが売主にとってその納入する商品の販売促進につながる場合など実際に生じる利益をいい,協賛金を負担することにより将来の取引が有利になるというような間接的な利益を含まない。(優越ガイドライン第4の2(1)ア(注9)参照)
b  本件への当てはめ
(a) 54社等が納得して合意するために必要な情報が提供されていなかったこと
一般的に,協賛金のような名目の金銭の使途や算出根拠は,売主にとって,当該金銭の提供により対価性のある利益を得ることができるか,その利益を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担とならないかを踏まえて,その提供の可否を判断するために必要な情報である。
それにもかかわらず,被審人は,54社等に対して,本件協賛金の使途や算出根拠について明確に説明せず,商談の際に本件協賛金の支払を依頼する旨と金額を伝達する,金額を自動計算する電子ファイルを添付した電子メールを送信するなどの方法により,本件協賛金の提供を依頼しただけであった。
このように,54社等には,本件協賛金の提供の可否について合理的に判断した上で納得して合意するために必要な情報が提供されていなかった。
(b) 合理的と認められる範囲を超えた負担となること
i  オープンセール協賛金について
一般的に,オープンセールのようなセールにおける協賛金は,そのようなセールのために用いられるものと理解されることから,当該協賛金と対価性のある利益として通常想定されるのは,そのようなセール期間中の自社商品の販売促進に実際につながることである。
ところが,オープンセール協賛金の算定方法をみると,大半の商品部において,オープンセール協賛金の算定基礎額はオープンセールとは関係のない期間の取引額となっており,取引額に乗じる料率も,被審人の仕入担当者ですらその根拠を把握しておらず,オープンセール協賛金がオープンセール期間中の商品の販売促進にどのように結び付くのか不明であった。
また,納入業者ごとに納入商品,納入数量,納入価格等の取引状況が異なるものであるから,オープンセール期間中の自社商品の販売促進に実際につながるようにするためには,納入業者ごとにオープンセール協賛金の算定方法も様々となるはずであるところ,オープンセール協賛金の算定方法は商品部ごとに一律に定められており,納入業者の個々の取引状況を踏まえたものであったことはうかがわれない。
さらに,被審人は,54社がオープンセール協賛金の提供に応じても,商談において有利に扱うことはなかった。
以上からすれば,オープンセール協賛金は,その算定方法や提供条件からは,オープンセール期間中の自社商品の販売促進に実際につながるものであったとは認められない。
また,被審人がオープンセール協賛金を当該納入業者のために使ったのか,仮に使ったとして,どれだけの額を何のために使ったのかは不明であり,被審人がオープンセールに用いなかった残余額を返還したことはうかがわれない。
そうすると,仮にオープンセール協賛金の一部がオープンセールに用いられ,オープンセール期間中の販売促進につながり得た場合があったとしても,その余の金銭はオープンセール期間中の販売促進と関係がないから,オープンセール協賛金は,全体としてみれば,オープンセールに係る費用を超えて納入業者に負担を求めることとなるものであった。
したがって,オープンセール協賛金の提供は,オープンセール期間中の商品の販売促進に一定程度つながり得ることを踏まえても,その利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担となるものであった。
ii  創業祭協賛金について
一般的に,創業祭のようなセールにおける協賛金は,そのようなセールのために用いられるものと理解されることから,当該協賛金と対価性のある利益として通常想定されるのは,そのようなセール期間中の自社商品の販売促進に実際につながることである。
ところが,創業祭協賛金の算定方法をみると,その算定基礎額は創業祭と関係のない半年又は1年間の取引額となっており,取引額に乗じる料率も,被審人の仕入担当者ですらその根拠を把握しておらず,創業祭協賛金が創業祭期間中の自社商品の販売促進にどのように結び付くのか不明であった。
また,創業祭協賛金の算定方法は,商品部ごとに一律に定められており,納入業者の個々の取引状況を踏まえたものであったことはうかがわれない。
さらに,被審人は,平成23年度の創業祭協賛金について,料率を引き上げたり高額の追加提供を求めたりしたが,その理由は創業50周年であるからというものであり,合理性のないことが顕著であった。
加えて,被審人は,86社が創業祭協賛金の提供に応じても,商談において有利に扱うことはなかった。
以上からすると,創業祭協賛金は,その算定方法からは,納入業者がそれに従った額を提供しても対価性のある利益を得られる見込みのないものであった。
また,被審人が創業祭協賛金を当該納入業者のために使ったのか,仮に使ったとして,どれだけの額を何のために使ったのかは不明であり,被審人が創業祭に用いなかった残余額を返還したことはうかがわれない。
そうすると,仮に創業祭協賛金の一部が創業祭に用いられ,創業祭期間中の販売促進につながり得た場合があったとしても,その余の金銭は創業祭期間中の販売促進とは関係がないから,創業祭協賛金は,全体としてみれば,創業祭に係る費用を超えて納入業者に負担を求めることとなるものであった。
したがって,創業祭協賛金の提供は,創業祭期間中の商品の販売促進に一定程度つながり得ることを踏まえても,その利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担となるものであった。
(c) 本件協賛金の提供に応じる合理性がないこと
以上のとおり,54社等は,納得して合意するために必要な情報の提供を受けることもなく,また,対価性のある利益も得られなかったのであるから,54社等にとって,本件協賛金の提供は応じる合理性がないものであった。
(d) 本件協賛金の提供を余儀なくされたこと
54社等に対して本件協賛金の提供を依頼していたのは,被審人の仕入担当者であり,54社等の取引関係に影響を与え得る立場の者であったことから,54社等にとって本件協賛金の提供は拒絶し難いものであった。
そうすると,54社等が応じる合理性のない本件協賛金の提供を受け入れたのは,これに応じることを事実上余儀なくされ,自由かつ自主的な判断による取引を阻害されたからである。
(e) 小括
したがって,上記(a)ないし(d)のような態様等で被審人が本件協賛金の提供をさせた行為は,54社等に合理的であると認められる範囲を超える負担を与えるものであり,54社等の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するものであったから,濫用行為に該当する。
(ウ) 本件商品の購入
a  判断の枠組み
独占禁止法第2条第9項第5号イ及び旧一般指定第14項第1号は,「継続して取引する相手方」に対して,「(正常な商慣習に照らして不当に)当該取引に係る商品・・・以外の商品・・・を購入させること」が,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えるものとして,濫用行為に当たるとしている。
また,「購入させる」とは,購入を取引の条件とする場合や,購入しないことに対して不利益を与える場合だけではなく,事実上購入を余儀なくさせている場合も含まれる。(優越ガイドライン第4の1柱書参照)
ある商品を購入しようとする者は,商品を購入するか否か,誰から購入するか,どのような条件で購入するかを自由に選択できるのが原則であり,取引の一方の当事者(乙)は,他方の当事者(甲)から当該取引に係る商品以外の商品の購入を依頼されたとしても,その求めに応じる必要はない。それにもかかわらず,乙が甲の「継続して取引する相手方」である場合には,甲が乙に対して上記商品の購入を求めれば,乙は今後の取引に与える影響を懸念して依頼を断りづらくなるのが一般的である。
b  本件への当てはめ
本件商品の購入をした者は18社の従業員等であるが,これらの者が本件商品を購入した理由は,自らが所属している法人やその事業主体の取引上の立場が不利にならないようにするためであった。
このことからすれば,被審人が本件商品の購入を依頼した者及び本件商品の購入をした者が18社の従業員等であったとしても,被審人が,自社の取引する相手方である18社に対して本件商品の購入を依頼し,18社が本件商品の購入をしたものと評価することができる。
そして,本件商品は,被審人と18社との取引に係る商品以外の取引であり,本件商品の購入の要請は被審人の仕入担当者により行われていたこと,被審人の仕入担当者は被審人が定めた目標を達成できるよう18社に対して繰り返し購入を求めていたことなどからすれば,被審人は18社に対して事実上本件商品の購入を余儀なくさせたものである。
以上のような態様等で被審人が本件商品の購入をさせた行為は,濫用行為に該当する。
ウ 被審人は優越的地位を利用して濫用行為を行ったこと
被審人は88社に対して優越的地位にあり(前記ア),このような者が前記イ記載の不利益を課して取引を行っているのであるから,前記イ記載の濫用行為は,いずれも被審人がその優越的な地位を利用して行ったものである。
エ 本件各行為は,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用に該当すること
被審人は,15店舗の新規開店又は改装開店時(本件従業員等派遣,オープンセール協賛金の提供),毎年の創業祭(創業祭協賛金の提供)並びに毎年3月頃及び9月頃の紳士服特別販売会(本件商品の購入)という同様の機会に,納入業者という同様の立場の者に対して,全社で策定された方針に従って,また,各依頼が受け入れられて被審人自身の負うべき負担が転嫁できることを前提として,同種の行為を繰り返し行っていたのであるから,本件各行為は,組織的かつ計画的に一連の行為として行われたものである。
そして,被審人は,88社という多数の相手方に対して,約3年もの長期間にわたり,組織的かつ計画的に一連の行為として本件各行為を行ったものであるから,本件各行為は,優越的地位の濫用として一体として評価することができ,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されることになる。
なお,被審人は,本件各行為により,88社に対してあらかじめ計算できない不利益又は合理的範囲を超えた負担を与え,88社の自由かつ自主的な判断による取引を阻害した。これは,取りも直さず,本件各行為によって,88社がその競争者との関係において競争上不利となる一方,被審人がその競争者との関係において競争上有利となるおそれを生じさせたものであることから,これにより公正競争阻害性が発生したことは明らかである。
(2) 被審人の主張
ア 被審人の取引上の地位が88社に対し優越していたとは認定できないこと
以下の(ア)ないし(オ)のとおり,審査官において被審人の取引上の地位が88社に対し優越していることの根拠として挙げる事情(前記(1)ア(ウ))には,誤りや根拠として不十分なものなどがあり,かかる事情を根拠として被審人の88社に対する優越的地位を認めることはできない。
(ア) 本件各行為について
本件各行為は,濫用行為に該当しない。その理由は,後記イのとおりである。
また,審査官は,相手方が濫用行為を受け入れた事実から行為者の優越的地位を推認するが(前記(1)ア(イ)),かかる手法は循環論法であり,独占禁止法第2条第9項第5号がイないしハに加えて優越的地位を要件とすることが説明できない等の批判を免れない。かかる手法は,「独占禁止法第2条第9項第5号イないしハの行為が行われていたならば優越的地位が成立する」という関係が論理必然的に成立するわけではないことを看過している点においても失当である。
(イ) 被審人の市場における地位について
審査官は,被審人の市場における地位に関し,被審人が北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者として有力な地位にあったと主張する(前記(1)ア(ウ)b)。
しかし,本件で審査官が問題としている被審人の市場影響力は,本来,被審人と納入業者との取引が行われている買付市場における購買力であるはずであり,被審人が消費者に対して商品販売を行っている売付市場におけるものではない。ゆえに,審査官の主張する被審人の売上高や北海道地区における順位は,被審人の売付市場における地位を基礎付けるものとはいえても,直接的には買付市場における地位を基礎付けるものではない。
仮に,審査官の主張する「北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者」との市場画定を前提としたとしても,「北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者」には,審査官が主張する食品スーパー及び総合スーパーの業態で小売業を営む事業者のほかに,コンビニエンスストア,ドラッグストア等といった業態で小売業を営む事業者(以下「コンビニエンスストア等の事業者」という。)も含まれる。そして,かかる事業者も考慮した場合,被審人の売上高は,平成22年度ないし平成24年度において,「北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者」の中でいずれも第5位にとどまり,売上高のシェアは約5パーセントにすぎず,売上高は競業他社と比較して伸び悩んでいる。
このように,被審人は「北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者」の市場を寡占しているわけではなく,納入業者においては,仮に被審人との取引を中止しても,約95パーセントのシェアを有する同種事業者を候補として代替取引を行い得るのであるから,被審人が納入業者との取引市場において有力な地位にあったとはいえない。
また,市場の画定は商品の性質に応じて行う必要があるが,審査官はこれを行っていない。
(ウ) 88社にとっての取引先変更の可能性について
優越的地位を認定するに当たり優越ガイドラインが示す考慮要素の中では,相手方にとっての取引先変更の可能性がまず重要であり,取引先変更の可能性がないことを認定できない者については,それを補うに足りる事由を審査官が立証することが必要である。そして,乙にとっての取引先変更の可能性がないことの認定に当たっては,客観的な状況を重視すべきである。
しかし,審査官は取引先変更の可能性について客観的な状況を重視した立証をしておらず,また,以下の①ないし③のとおり,88社にとって取引先変更の可能性がないとはいえない。
① 88社の中には,直近の3事業年度において被審人との取引額とほぼ同等かこれを上回る総売上高の増加が確認できる者があり,このような者においては,取引を拡大することによって,被審人との取引を他の取引先で代替することができていたことは明らかである。
② 前記(イ)のとおり,「北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者」の中において,被審人の売上高のシェアは約5パーセントにすぎず,納入業者においては,仮に被審人との取引を中止しても,約95パーセントのシェアを有する同種の小売業者を取引先候補とすることができる。しかも,被審人が取り扱うような「食料品,日用雑貨品,衣料品等」といった生活消費財は,被審人のみに需要があるわけではなく,同種の小売業者にも同様の需要が存在することは明らかであるから,本来,納入業者において,ある程度取引条件を調整して同種の小売業者に対して営業を行えば,「他の事業者との取引開始」も「取引拡大」についても十分に見込むことができる商材である。したがって,被審人のシェアや取り扱う商材の性質を考慮しても,取引先変更が困難とはいい難い。
③ 88社の中には,被審人が当該納入業者以外から購入できず,かつ,納入を強く希望していると当該納入業者が認識している商品がある者もいる。かかる場合には,それ自体が当該納入業者の事業上の強みとなるため,当該納入業者において取引先変更が困難であるとは認められない。
(エ) 被審人との事業規模の格差について
事業規模の相違が優越的地位の考慮要素たり得ることについて,一般論としては争わない。
しかし,そうだとすれば,《納入業者(21)》や《納入業者(79)》のように事業規模が被審人をはるかに上回る者については,かかる事情を被審人の優越的地位を否定する事情として考慮すべきである。
(オ) 被審人との取引の重要性,必要性の認識について
審査官は,88社の報告書において,取引重要性等の設問に対し,選択肢a「はい」を選択した納入業者(前記(1)ア(ウ)e(f)記載の84社)については,かかる回答どおりの認識を有していたと認められる旨主張する。
しかし,《納入業者(64)》の報告書における取引重要性等の設問に対する「はい」との回答(査67の2)は,同社が,被審人をイコールパートナーと考えており,今まで被審人から不利益な要求を受けたこともなかったことから,上記設問に対して,当初は選択肢b「いいえ」を選択した(査67の1)にもかかわらず,審査官から,この質問は仮に不利益な要求があったとしてもそれに応じるほど被審人が大切な得意先かという意図である旨の説明及び回答の訂正の促しを受けるなどしたため,上記のとおり回答を「はい」に訂正したものである。
また,《納入業者(21)》の報告書における取引重要性等の設問に対する「はい」との回答(査24の1)の趣旨について,本件対象期間当時同社の《略》支社《略》であった《D1》(以下「《納入業者(21)》の《D1》」という。)は,参考人審尋において,商取引の中ではお互いの要請を全面的に受け入れる,又は拒絶するといったケースはまれであり,お互いに一部折り合って決着するのが一般的であるため,「はい」又は「いいえ」では答えづらいとの認識の下で「はい」と回答した旨陳述している。
したがって,上記2社における「はい」との回答は,被審人が優越的地位にあるとの認識を含まないものと認められるところ,これは,取引重要性等の設問に対して「はい」と回答した他の納入業者においても共通し得ることから,他の納入業者との関係においても,「はい」との回答があることによって被審人の優越的地位は認定できない。
イ 本件各行為は濫用行為に該当しないこと
(ア) 本件従業員等派遣
a  派遣の条件が明確になっていたこと
本件従業員等派遣は,後記bのとおり,納入業者にとって営業活動の一環としてその応諾の是非が判断されるべきものであり,当該応援に営業活動としての合理性を認め得るか否かを判断するに当たっては,応援条件の基本的事項,すなわち,応援作業が発生する日程,場所,人数及び作業の概要を把握できれば十分であった。
53社は,本件従業員等派遣の諾否を判断する前に,上記事項について,被審人の担当者による商談時の説明,電子メール連絡等により具体的に把握していたものであり,派遣の条件は明確になっていた。
b  納入業者にとって合理的と認められる範囲を超えた負担となるものではなかったこと
(a) 被審人の売上高増加と納入業者の売上高増加は連動していること
本件開店準備作業等は,被審人の新規開店及び改装開店のオープンセールに際して行われるものであるところ,被審人による店舗の新規開店及び改装開店は,被審人の販売事業の拡大ないし改善を目的としており,被審人の売上高の増加が見込まれる行為である。また,オープンセールは,被審人の店舗の新規開店又は改装開店時に消費者の注目を集めて固定客をつかむことを目的としており,オープンセール期間中の短期的な被審人の売上高の増加が見込まれるのみならず,オープンセール期間後も当該店舗に安定した集客を確保し,中長期的にも被審人の売上高の増加を目指す行為である。
他方,オープンセールを行うに際しては,通常の営業活動においては発生しない本件開店準備作業等が瞬間的かつ一挙に発生するため,被審人が雇用している従業員だけで全ての準備を滞りなく行うことは困難であり,被審人の販売活動を熟知した納入業者による補助が必要となる。
このように,本件開店準備作業等は,被審人のオープンセールの成功を補助するために行われる作業であり,オープンセール期間中の短期的な被審人の売上高を増加させる効果を有するのみならず,中長期的にわたり被審人の売上高を増加させる効果をも見込み得るものである。
また,被審人は,自社の店舗で販売する商品を自社で製造するのではなく,納入業者から仕入れていたものであるから,被審人の売上高の増加は納入業者との取引高の増加と同義であるといえる。ゆえに,納入業者にとって,本件開店準備作業等によって被審人のオープンセールの成功を補助することは,自らの被審人に対する売上高を大きく増加させ得る行為といえ,本件開店準備作業等により被審人のオープンセールを補助することにより,被審人の売上高の増加に伴う自社の売上高の増加も期待することができる。
(b) 納入業者は自社固有の利益を得られること
納入業者が本件開店準備作業等を行うことにより,多数の集客が見込まれるオープンセールにおいて自社商品が適切に陳列,補充され,自社商品が間断なく消費者の目に触れ,人気を集めることができれば,自社商品の売上増に直結し得る。
また,納入業者は,商品補充作業を行うことにより,自社商品のみならず他社商品の売行きも把握することができ,1日の売上げを確認することによって消費者ニーズを把握することも可能である。
さらに,納入業者には,本件開店準備作業等を迅速に行うことにより,被審人に対する自社のプレゼンスを高め,店舗の休止期間及び自社の売上減少期間を短くするというメリットもある。
(c) 納入業者による営業行為という側面があること
小売業界における納入業者は,単に受注商品を調達して搬入するという供給業務だけでなく,その営業行為として,自社が蓄積した情報やノウハウに基づくリテールサポート業務(小売業支援業務)等を行っており,本件開店準備作業等はそのような営業行為の一例というべき側面がある。
リテールサポート業務等には,長年の販売経験の過程で培った消費者ニーズ等に即した棚割り提案を始めとして,商品陳列方法等のノウハウに基づく陳列,レイアウトに関する補助業務も含まれており,審査官の主張するように陳列,補充,撤去作業等のみを殊更に切り出して当該作業の裁量性や経済合理性を論じるのはそもそも意味がなく,失当である。
(d) 小括
以上のとおり,納入業者である53社にとって,本件開店準備作業等により被審人のオープンセールを補助することは,被審人の売上高の増加に伴う自社の売上高の増加を期待することができ,多数の消費者に対して自社商品をアピールできる点,消費者ニーズを把握し得る点等においても自社固有の利益を享受し得るものであり,応援に伴う人的負担を考慮しても,十分な経済合理性を見いだし得るものであった。
また,仮にそれ自体に十分な経済合理性を見いだし得ないとしても,53社は必要に応じて被審人に対して応援費用を請求することも可能であり,この応援費用も加味した上で,応援依頼に応じることの経済合理性を判断することができた。
c  88社の報告書において本件従業員等派遣に応じることの合理性を認めていた納入業者がいること
納入業者の中には,88社の報告書において,本件従業員等派遣に応じることについて,直接の利益が負担を上回る,商品の取引量及び取引額の増加につながる若しくは直接の利益が本件従業員等派遣の負担を上回る,又は派遣の条件について納得していたなどと回答していた者がおり,これらの納入業者については,本件従業員等派遣に関し,その利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担となるものであったとの審査官の主張は,立証不十分である。
(イ) 本件協賛金の提供
a  本件協賛金の提供に応じるかを判断するために必要な情報が示されていたこと
本件協賛金は,本件協賛金を提供することによる効果(後記b)と金額を踏まえた上で,納入業者にとって被審人の依頼に応じることが事業経営上合理的なものであるかどうかを判断すれば足りるものである。
また,納入業者は,従前から,被審人との取引を継続しつつ,被審人によって実施される店舗の新規開店及び改装開店に伴うオープンセール並びに創業祭に関して,本件協賛金の負担を行い,反復,継続して同種行為の経験を積んできた。そのため,納入業者は,被審人から本件協賛金の依頼を受ける都度,面談等の方法により,十分な時間をかけた上で,協賛金の目的,金額,具体的な使途等について説明を受けなくとも,本件協賛金を提供することの妥当性,合理性を十分に判断することができた。
また,創業祭協賛金は,被審人と納入業者との間の書面での合意に基づき,必要に応じて料率の交渉を行ってきたものであり,合意された料率は,当然に必要な協議,交渉が行われていたものである。
本件協賛金の具体的な算出根拠や使途の説明については,本件協賛金が従前から反復継続して行われてきたものであることから,そもそも納入業者にとって関心の対象となっておらず,支払を行うか否かの判断に当たっては,支払名目及び算定方法が分かれば十分であった。
b  納入業者にとって合理的と認められる範囲を超えた負担となるものではなかったこと
(a) オープンセール協賛金
被審人による店舗の新規開店及び改装開店により被審人の売上高の増加が見込まれること,オープンセールにより短期的及び中長期的に被審人の売上高の増加が見込まれることについては,前記(ア)b(a)のとおりである。オープンセール協賛金は,かかるオープンセールに対する協賛金として納入業者から提供され,オープンセールの開催原資等に使用されていた。
このように,オープンセール協賛金は被審人の店舗のオープンセールに際して提供されるものであるところ,納入業者にとって,オープンセール自体において,オープンセール時に売上高の増加が見込めるというメリットがあるのみならず,その成否は,納入業者の中長期的な売上高の増加にも影響を及ぼす。
また,納入業者は,被審人による店舗の新規開店及び改装開店という販売事業の拡大ないし改善行為により,被審人の売上高が増加し,ひいては,自社と被審人との取引額を増加させることをも期待し得る。このような観点から被審人の新規開店及び改装開店に賛助し,協賛金を拠出することは,商慣習上,言わば投資を行うことと評価することができ,継続的かつ大量の商品の売買を行う商人間での取引において経済合理性を有すると評価されるべきものである。
(b) 創業祭協賛金
創業祭も,オープンセールと同様,これにより短期的及び中長期的に被審人の売上高の増加が見込まれるものである。そして,創業祭協賛金は,かかる創業祭に対する協賛金として納入業者から提供され,創業祭の開催原資等に使用されていた。したがって,納入業者による創業祭協賛金の提供は,創業祭時及び創業祭後の売上高の増加のための販売促進活動としての性質を有する。
また,創業祭協賛金は,一定期間の取引高に応じた金額を毎年決まった時期に支払うものとされており,年次リベート(代金の割戻し)としての意味合いも有していた。卸業者である納入業者にとって,市場での競争力を維持するためには卸価格を各小売業者に対して一律とする必要性が高いことから,個別の小売業者ごとに価格調整を行う趣旨でかかる創業祭協賛金を提供することは,合理的な負担である。
c  本件協賛金の提供を余儀なくされていないこと
本件協賛金の金額の決定は,被審人と納入業者との協議に基づいて行われており,被審人は,納入業者が協賛金の提供を断れないような状況において要請しているものではない。
実際に,納入業者の中には,事業経営上の判断から本件協賛金の提供を断る者もいた。
d  88社の報告書において本件協賛金の提供に応じることの合理性を認めていた納入業者がいること
納入業者の中には,88社の報告書において,本件協賛金の提供について,直接の利益が負担を上回る,商品の取引量及び取引額の増加につながる若しくは直接の利益が本件協賛金の提供額を上回る,又は,協賛金の条件について納得していたなどと回答していた者がおり,これらの納入業者については,本件協賛金の提供の依頼に関し,その利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えた負担となるものであったとの審査官の主張は,立証不十分である。
(ウ) 本件商品の購入
a  本件商品の購入者
被審人から本件商品を購入したのは,被審人の取引の相手方である18社ではなく,その従業員その他の関係者であり,そもそも独占禁止法第2条第9項第5号イにおける「継続して取引する相手方に対して」「当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること」には当たらない。
b  本件商品の購入依頼は不合理ではないこと
被審人は,平成元年に本件商品の販売事業を開始し,これを重要事業の一つと位置付けて注力していた。
したがって,被審人において,日常的に本件商品の販売を行っているラルズプラザ札幌店の催事場での紳士服特別販売会を企画し,取引先に対してその購入依頼を行うことそれ自体は何ら不合理な行為ではない。
また,本件商品は,ビジネスを行う場面において日常的に着用されている衣料品ないし日用品であり,事業を行っている者においては一般的な需要が存在する商品であるところ,本件商品は,価格に比べ品質が良いことから,ファンも多かったことからすると,18社の従業員等に対してスーツ等の購入依頼を行うことも何ら不合理ではない。
c  18社の従業員等は本件商品の購入を余儀なくされていないこと
被審人が会社として18社に対して本件商品の販売目標を設定していた事実はない。
また,18社を担当している被審人のGMやバイヤーが販売を勧誘したのは,全く面識のない衣料部門の担当者を突然引き合わせるよりも,普段から付き合いのある者が販売を勧誘するほうが自然であり,双方にとって合理的であると考えたからである。
被審人と納入業者とは,それぞれの需要に応じて協力できる範囲で協力し,購入を余儀なくさせるようなことはしない,という関係にあったものであり,そのような関係の下,納入業者が被審人の営業活動に最大限協力した結果として,被審人において設定した販売目標が常に達成されていたのであり,そこに不合理な点はない。
さらに,18社のうち,7社については,88社の報告書において,本件商品の購入について,経済合理性を認める回答や要請を受けたとの認識がないとの回答を行っており,これら7社については,被審人が本件商品の購入依頼に応じさせていたとは一層言い難い。
ウ 本件各行為が組織的かつ計画的な一連の行為とはいえないことから,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用とはいえないこと
被審人は,会社全体の方針として本件違反行為とされる行為の内容等を具体的に定めていた事実はなく,取締役会等において何らかの具体的な方針等を決議した事実もない。
被審人において,本件各行為をいずれの納入業者に対して行うかは各商品部の裁量に任されており,本件各行為を行う納入業者の選定基準,行為の内容,依頼の頻度,依頼の方法等,全てが個々に異なっていた上,被審人の上層部において実施状況の全体像を把握することもしていなかった。
したがって,本件各行為は,被審人が組織的かつ計画的に一連のものとして行ったものとはいえないことから,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用とはいえない。
2 争点2(本件における違反行為期間)について
(1) 審査官の主張
ア 違反行為期間の捉え方
本件各行為は,前記1(1)エのとおり,優越的地位の濫用として一体として評価できるものであるから,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されることになる。
したがって,本件における違反行為期間についても,個々の濫用行為の相手方ごとに判断するのではなく,濫用行為が最初に行われた日が独占禁止法第20条の6にいう「当該行為をした日」(以下「当該行為をした日」という。)となり,濫用行為がなくなったと認められる日が同条にいう「当該行為がなくなる日」(以下「当該行為がなくなる日」という。)となる。
イ 当該行為をした日
本件各行為のうち最も古いものは,平成21年4月24日のスーパーアークス長都店の新規開店に際し,88社の一部に対し,商品の陳列等の作業を行わせるために従業員等の派遣要請をし,同月20日に当該納入業者の従業員等に商品の陳列等の作業を行わせたことである。
したがって,当該行為をした日は,遅くとも,上記役務を提供させた日である平成21年4月20日である。
ウ 当該行為がなくなる日
(ア) 当該行為がなくなる日について
当該行為がなくなる日とは,顕在化,恒常化された公正な競争秩序に対する悪影響が除去され,公正な競争秩序に対する悪影響を及ぼすおそれ(乙の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに,乙はその競争者との関係において競争上不利となる一方で,甲はその競争者との関係において競争上有利となるおそれ)が完全になくなる日であると解される。
この点,甲が従前から繰り返し濫用行為を行っている場合,いまだ乙が応じていない濫用行為があれば,乙は,通常,この濫用行為も受け入れざるを得ないと考えるものである。
そして,このように乙が以前に受けた濫用行為に応じるおそれが残っているならば,甲がある時点以降に濫用行為を行わなくなったとしても,公正な競争秩序に対する悪影響を及ぼすおそれはいまだ除去されずに残存していることになる。また,いまだ乙が応じていない濫用行為に応じることにより,乙が大きな不利益を受け,甲が大きな利益を受ける場合には,その公正な競争秩序に対する悪影響を及ぼすおそれは看過できないものといえ,これを除去する必要性は極めて高いといえる。
したがって,このような場合に当該行為がなくなったといえるためには,単に甲が今後新たな濫用行為を行わないことだけでは足りず,それに加えて,乙が自由かつ自主的な判断により以前に受けた濫用行為に応じることを防ぐこと,又は,それにより乙がその競争者との関係において競争上不利となる一方で,甲が利益を得ることにより,その競争者との関係で競争上有利となるおそれを除去するのに十分な事情の存在が必要である。
具体的には,①乙が当該濫用行為に応じる必要がないことを理解するのに十分な事情,又は,②甲の役員及び従業員が,乙が当該濫用行為に応じてもそれを受け入れてはならないことを理解するのに十分な事情,が必要である。
(イ) 本件への当てはめ
被審人は,本件立入検査の日以降,本件従業員等派遣,本件協賛金の提供及び本件商品の購入について,88社に対する新たな依頼行為を行っていないが,本件立入検査の日以前に要請した創業祭協賛金について,本件立入検査の日以降に延べ11社から提供を受け,1年以上にわたり同金銭を保持し,審査官から指摘を受けてこれを返金するに至った。
したがって,当該行為がなくなったと判断されるためには,納入業者が本件立入検査前に要請された行為に応じる必要がないことを理解するのに十分な事情や,被審人の役員及び従業員が,納入業者が同行為に応じてもそれを受領してはならないことを理解するのに十分な事情が存在する必要がある。
かかる事情としては,被審人において平成24年3月14日に本件取締役会決議がなされ,被審人がその内容を社内外に周知したことがある。このようにして周知された内容は,本件立入検査前に被審人から協賛金の提供の要請を受けていた納入業者において,上記要請に応じる必要がないことを理解するのに十分なものであり,被審人の社内の者も,今後被疑事実に関する行為が一切禁止されたと明確に認識するものであった。
したがって,公正な競争秩序に対する悪影響を及ぼすおそれがなくなり当該行為がなくなったのは,本件取締役会決議の日の前日である平成24年3月13日である。
エ 本件における課徴金算定期間の始期
本件各行為は,優越的地位の濫用として一体として評価することができるため(前記ア),その違反行為期間は平成21年4月20日から平成24年3月13日までである(前記イ及びウ)。
なお,一体として評価できる違反行為が改正法の施行日である平成22年1月1日の前後にわたって継続している場合に,独占禁止法第20条の6の文言を形式的に適用してしまうと,同法施行日より前の部分も課徴金の対象となってしまうことになる。
そこで,改正法附則第5条は,課徴金に関する経過措置として,上記の一体として評価できる「違反行為が施行日前に開始され,施行日以後になくなったものであるときは,当該違反行為のうち施行日前に係るものについては,課徴金の納付を命ずることができない。」と規定しており,もって,独占禁止法第20条の6が改正法施行日前に遡及適用されないことを確認している。
したがって,本件違反行為は「違反行為が施行日前に開始され,施行日以後になくなったものであるとき」に該当し,本件における課徴金算定期間の起算日は平成22年1月1日となる。
(2) 被審人の主張
ア 違反行為期間の捉え方
本件各行為は,被審人が組織的かつ計画的に一連のものとして行ったものではないことは,前記1(2)ウのとおりである。
したがって,違反行為は,優越的地位の濫用として一体として評価されるべきではなく,相手方ごとに認定されるべきである。
仮に,本件違反行為が一体であるとの評価を受けるとしても,以下の①ないし③の理由により,課徴金の算定との関係では,課徴金算定期間の認定は相手方ごとに行うべきである。
① 独占禁止法第20条の6において,課徴金算定期間は「当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間」と規定されており,その文言上,一個の優越的地位の濫用行為ごとに課徴金算定期間が認定されるべきことは明らかである。
② また,優越的地位の濫用規制による保護法益は,あくまで不利益を受ける個々の相手方ごとに存在するという点からも,個々の相手方ごとに一個の濫用行為を観念すべきである。
③ 優越的地位の濫用について課徴金制度が導入された趣旨は,違反行為により行為者に不当な利得が生じる蓋然性が高く,違反行為への誘因が強いこと等から,課徴金納付を命じることによりこれを抑止する点にあるところ,優越的地位というのは,その時々の相手方との関係で生じる相対的なものである。
審査官が主張するように,複数の相手方に対する濫用行為を一体として課徴金算定期間を捉えた場合,ごく僅かな期間についてのみ濫用行為に及んだ相手方との取引に関しても,全相手方のうちいずれかとの間で違反行為がなされていた全ての期間が課徴金算定期間になり,その間の全ての売上額を基礎として課徴金が算定されることとなる。
しかし,かかる解釈は,違反行為の抑止という上記の制度趣旨に照らしても,被審人に対して過重かつ実態に沿わない負担を強いるものであり,許容されるべきでない。
イ 当該行為をした日及び本件における課徴金算定期間の始期
(ア) 独占禁止法第20条の6にいう「違反する行為」とは,同法第2条第9項第5号に該当する行為であるところ,同号は改正法施行前には存在せず,同等の規定として旧一般指定第14項及び大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法(平成17年公正取引委員会告示第11号)が存在しただけである。
このような場合には,改正法施行日の前後をまたいで違反行為が継続しているとして同法施行日から課徴金を課すことはできない。すなわち,改正法附則第5条は,同法施行日前から違反要件規定が存在した独占禁止法第7条の2第4項についてのみ意味を持ち,他の課徴金については空振りの規定である。
したがって,独占禁止法第2条第9項第5号については経過措置規定がないものと考え,原則どおり,当該行為をした日とは,改正法の施行日である平成22年1月1日以降に初めて違反行為を行った後,その結果が発生した日を指すと解される。
(イ) 仮に,旧一般指定第14項に該当する行為も独占禁止法第2条第9項第5号の違反行為に含まれると解されたとしても,改正法附則第5条にいう「当該違反行為のうち施行日前に係るもの」とは,文言上,行為者による要請から結果発生までの優越的地位の濫用に係る一連の違反行為のうち,改正法の施行日より前にその全部又は一部が行われたものを指すと解される。そのため,同条にいう「当該違反行為のうち施行日前に係るものについては,課徴金の納付を命ずることができない。」とは,改正法の施行日以降に初めて行われた違反行為のみを対象として課徴金を課すという趣旨と解される。
したがって,課徴金算定期間の始期は,改正法の施行日である平成22年1月1日以降に初めて違反行為を行った後,その結果が発生した日となる。
ウ 当該行為がなくなる日
(ア) 当該行為がなくなる日について
当該行為がなくなる日とは,違反行為が継続している場合の最後に違反行為が行われた日(若しくはその結果が発生した日)又は違反行為が行われる可能性が事実上なくなった日と解するのが相当である。
「当該行為がなくなる日」としか定めていない条文の文言に「悪影響を及ぼすおそれが完全になくなる」ことまで要求されていると読み込む審査官の主張(前記(1)ウ(ア))は,条文の解釈として明らかに行き過ぎである。
(イ) 本件への当てはめ
被審人は,本件立入検査が実施された日である平成24年1月17日以降,88社に対して本件各行為に係る要請を行っていない。
また,被審人の《A3》会長は,同日夕方,報道機関の電話取材に対し,今までのやり方はもう通用しない,疑いを持たれている行為については即刻中止し,その対策,対応に万全を尽くし,新たなルールを作らなければいけない旨を述べた(以下「本件中止決定」という。)。
さらに,《A3》会長は,翌18日午前中,被審人本部の全従業員を緊急招集し,同様に,今までのやり方はもう通用しない,本件立入検査において疑いを持たれている行為については即刻中止し,被審人の会長であり,被審人の親会社の社長である自らが委員長となり,公正取引推進委員会を立ち上げて,従来の仕組みを変えて新たな仕組み,ルールを構築し,グループ全体の公正取引推進,流通業界全体を引っ張っていくようなルール作りを徹底していく旨周知した。この内容は,被審人の営業部門である商品統括部の全てのGM及び各店舗の店長に周知が徹底され,かつ,各GMからバイヤー等の従業員らに周知されている。
上記対応の後,同月23日の経営会議において,被審人の常務取締役管理本部長である《A4》(以下「被審人の《A4》常務」という。)から,《A3》会長の上記発言を具体化した指示,すなわち,公正取引委員会から疑いをかけられている5つの被疑行為(納入業者に対して従業員等を派遣させる,商品を購入させる,金銭等を提供させる,不当な返品を行う,買いたたきを行うといった行為)につき説明した上で,《A3》会長から,従来と同じ感覚でこれらに類する行動をとってはならない,今後,公正取引推進委員会で新たにルールを策定するので,それまでは疑われている行為は即刻中止,厳禁である旨の指示がなされた。
このように,被審人は,本件中止決定を基に,同月18日には,本件立入検査において疑いを持たれている行為を即刻中止しており,その対策,対応に万全を尽くし,同日に被審人が立ち上げた公正取引推進委員会において新たなルールを作る旨を,方針として社内で広く共有していた。
《A3》会長は,被審人の会長職,社長職を長く務め,アークスグループ全体を率いる人物であり,その意思決定は被審人社内において極めて重く受け止められるものであった。また,本件立入検査は大々的に報道され,被審人は犯罪者のような扱いを受けていたのであり,被審人の従業員の心の動揺,事業活動に対する萎縮効果も極めて大きかった。このような状況下において,被審人の従業員が,新たに被疑行為を行わないとの周知を受けていながら,従前の依頼に基づくものであれば協賛金を積極的に受領して構わないなどと考えるはずがなく,同月18日以降,被審人が本件違反行為を行う可能性は失われていた。また,少なくとも,上記の各事情からすれば,同日の時点で,被審人の役員及び従業員において,相手方が濫用行為に応じてもそれを受け入れてはならないことを理解するのに十分な事情があったといえる。
なお,本件立入検査の日以降にも11社から被審人に対して創業祭協賛金が支払われているが,本件立入検査の日以降,被審人の各商品部のGMやバイヤーは,公正取引委員会の担当者による深夜に及ぶ聴取等を受けていたため,各種リベートの入金状況を把握し,それらの入金が創業祭協賛金に当たるかどうかまで確認を行うことができるような業務状況にはなく,また,上記のとおり被疑行為の取りやめが全社的に周知されたことにより,経理部から商品部への創業祭協賛金の入金確認も行われなくなった。そのため,被審人において,創業祭協賛金が未払となっている納入業者の抽出及び当該抽出に基づく創業祭協賛金の辞退申入れまで対応が至らず,結果的に本件立入検査後の入金の存在が見落とされることとなったが,被審人は本件違反行為の結果として積極的にこれを受領したものではないから,被審人が本件立入検査後に創業祭協賛金を受領したことをもって本件違反行為の結果が発生したと評価すべきではない。
以上により,本件における当該行為がなくなる日は平成24年1月17日である。
エ 本件課徴金納付命令のうち取り消されるべき部分
(ア) 前記アないしウを前提に,①課徴金算定期間について,相手方ごとに認定し,②課徴金算定期間の始期について,被審人が平成22年1月1日以降に初めて濫用行為を行い,その結果が発生した日であるとし,③課徴金算定期間の終期を平成24年1月17日として計算すると,課徴金算定期間において被審人が88社から引渡しを受けた商品の対価の合計額は989億6361万5317円となり,この合計額から独占禁止法施行令第30条第2項に該当する額を控除すると,965億4740万8089円となる。そして,これに100分の1を乗じた金額から1万円未満を切り捨てると,課徴金額は9億6547万円となる。
したがって,本件課徴金納付命令のうち9億6547万円を超えて納付を命じた部分については取り消されるべきである。
(イ) 仮に,本件違反行為が一体であるとの評価を受け,かつ,当該行為をした日が審査官の主張どおりであるとしても,当該行為がなくなる日は平成24年1月17日である(前記ウ)から,課徴金算定期間は,平成22年1月1日から平成24年1月17日までとなる。
そして,この期間に被審人が88社から引渡しを受けた商品の対価の合計額は1230億6433万5384円となり,この合計額から独占禁止法施行令第30条第2項に該当する額を控除すると,1199億8018万166円となる。これに100分の1を乗じた金額から1万円未満を切り捨てると,課徴金額は11億9980万円となる。
したがって,本件課徴金納付命令のうち11億9980万円を超えて納付を命じた部分については取り消されるべきである。
第6 当委員会の判断
1 争点1(本件各行為は,被審人が自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に行ったものか)について
(1) 優越的地位の濫用規制の趣旨
独占禁止法第19条において,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に同法第2条第9項第5号(改正法施行日前においては旧一般指定第14項〔第1号ないし第4号〕)に該当する行為をすることが不公正な取引方法の一つとして規制されているのは,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは,相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに,相手方はその競争者との関係において競争上不利となる一方で,行為者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれがあり,このような行為は公正な競争を阻害するおそれ(公正競争阻害性)があるといえるからである。(優越ガイドライン第1の1参照)
公正競争阻害性については,①行為者が多数の相手方に対して組織的に不利益を与えているか,②特定の相手方に対してしか不利益を与えていないときであっても,その不利益の程度が強い,又はその行為を放置すれば他に波及するおそれがあるかなど,問題となる不利益の程度,行為の広がり等を考慮して判断することになる。(優越ガイドライン第1の1参照)
(2) 優越的地位の濫用の判断基準
前記(1)のような優越的地位の濫用規制の趣旨に照らせば,甲が乙に対し,取引上の地位が優越しているというためには,甲が市場支配的な地位又はそれに準ずる絶対的に優越した地位にある必要はなく,乙との関係で相対的に優越した地位にあれば足りると解される。また,甲が乙に対して優越した地位にあるとは,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合をいうと解される。(優越ガイドライン第2の1参照)
この判断に当たって,乙の甲に対する取引依存度が大きい場合には,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすく(優越ガイドライン第2の2(1)参照),甲の市場におけるシェアが大きい場合又はその順位が高い場合には,甲と取引することで乙の取引数量や取引額の増加が期待でき,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすく(同(2)参照),乙が他の事業者との取引を開始若しくは拡大することが困難である場合又は甲との取引に関連して多額の投資を行っている場合には,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすく(同(3)参照),また,甲との取引の額が大きい,甲の事業規模が拡大している,甲と取引することで乙の取り扱う商品又は役務の信用が向上する,又は甲の事業規模が乙のそれよりも著しく大きい場合には,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすいものといえる(同⑷参照)。
なお,甲が乙に対して取引上の地位が優越しているかどうかは,上記の事情を総合的に考慮して判断するので,大企業と中小企業との取引だけでなく,大企業同士,中小企業同士の取引においても,取引の一方の当事者の取引上の地位が他方の当事者に優越していると認められる場合がある(優越ガイドライン第2の2(注7)参照)。また,事業全体の経営に大きな支障を来せば,通常,「事業経営上大きな支障を来す」こととなるが,特定の事業部門や営業拠点など特定の事業の経営のみに大きな支障を来す場合であっても,当該特定の事業が当該事業者の経営全体の中で相対的に重要なものである場合などには,「事業経営上大きな支障を来す」ことがあり得る(「『優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方』〔原案〕に対する意見の概要とこれに対する考え方」〔平成22年11月30日公正取引委員会〕9頁参照)。
また,独占禁止法第2条第9項第5号イないしハが規定する,①継続して取引する相手方に対して当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させる行為,②継続して取引する相手方に対して自己のために金銭,役務その他の経済上の利益を提供させる行為,③取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒む行為,④取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせる行為,⑤取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせる行為,⑥取引の相手方に対して取引の対価の額を減じる行為,及び,⑦上記③ないし⑥のほか,取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し,若しくは変更し,又は取引を実施する行為(以下,①ないし⑦を「不利益行為」という。)を甲が行い,乙がこれを受け入れている事実が認められる場合,これを受け入れるに至った経緯や態様によっては,それ自体,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合にあったことをうかがわせる重要な要素となり得るものというべきである。なぜなら,取引関係にある当事者間の取引を巡る具体的な経緯や態様には,当事者間の相対的な力関係が如実に反映されるからである。
したがって,甲が乙に対して優越した地位にあるといえるか否かについては,①乙の甲に対する取引依存度,②甲の市場における地位,③乙にとっての取引先変更の可能性,④その他甲と取引することの必要性,重要性を示す具体的事実のほか,乙が甲による不利益行為を受け入れている事実が認められる場合,これを受け入れるに至った経緯や態様等を総合的に考慮して,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合であるかを判断するのが相当である。
そして,甲が乙に対して優越的な地位にあると認められる場合には,甲が乙に不利益行為を行えば,通常は,甲は自己の取引上の地位が乙に対して優越していることを利用してこれを行ったものと認められ(優越ガイドライン第2の3参照),このような場合,乙は自由かつ自主的な判断に基づいて不利益行為を受け入れたとはいえず,甲は正常な商慣習に照らして不当に独占禁止法第2条第9項第5号所定の行為を行っていたものと認めるのが相当である。
以下,被審人の取引上の地位が88社に対して優越しているか,本件各行為が不利益行為に該当するかについて検討し,被審人が88社に対して取引上の地位が優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に本件各行為を行ったものであるか否かを判断する。
(3) 被審人の取引上の地位が88社に対して優越しているか否か
ア 被審人の市場における地位
第3の1(2)及び(3)のとおり,被審人は,平成21年2月期から平成23年2月期までの各事業年度において,食料品の売上高が1000億円前後,総売上高が1100億円台で推移しており,食料品の売上高は北海道の区域内における食品スーパーの中で《事業者B》(各事業年度における売上高は《金額》円前後)に次ぐ第2位,総売上高は同区域内における食品スーパーの中で《事業者B》(各事業年度における売上高は《金額》円台ないし《金額》円台),《事業者C》(各事業年度における売上高は約《金額》円)に次ぐ第3位であったほか,北海道に約60店舗を有し,店舗総面積は約15万平方メートルに上り,店舗数及び店舗総面積とも毎年増加していた。
また,別紙5の各4項前段記載のとおり,88社の報告書において,88社のほぼ全社(84社)が,平成20年1月1日時点の被審人の成長が期待できるとの認識の有無についての設問に対して「はい」を選択し,その理由として「被審人の店舗数が増加しているため」や「被審人の売上高が増加しているため」などを挙げているように,被審人は,事業を急速に拡大する勢いを見せており,消費者に人気のある小売業者であったことが認められる。
さらに,88社は,別紙5の各1項記載のとおり,88社の報告書において,平成20年1月1日時点の被審人が,北海道地区における食品スーパーの分野において有力な地位にあるか否かの認識についての設問に対し,全社が「はい」を選択して回答している。
これらの事情によれば,被審人は,北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者として,殊に食品スーパーの分野において有力な地位にあったと認められる。
そうすると,北海道を営業区域とする食料品等の製造業者及び卸売業者にとっては,同区域内において有数の事業規模を誇り,更にその規模を拡大しているなど,同区域内の食品スーパーとして有力な地位にある被審人と継続的に取引を行うことで,被審人を通じて,同区域内の消費者に幅広く自社の取扱商品を供給することができ,多額かつ安定した売上高を見込むことができるのみならず,更なる販売数量や売上高の増加も見込むことができることになるから,一般的にいえば,被審人と取引することの必要性及び重要性は高いと評価することができる。
イ 被審人と88社の関係
 88社の事業規模及び事業内容,被審人に対する売上高,被審人に対する取引依存度,取引先に対する取引依存度における被審人の順位等は,別紙5の各2項記載のとおりであり,また,被審人との取引に係る取引先変更可能性や,その他被審人との取引の必要性,重要性に関する具体的事実に関し,88社の報告書における回答内容等は,別紙5の各3項及び4項記載のとおりである。
これらを踏まえて,被審人と88社の関係を以下に判断する。
(ア) 以下に記載の27社(以下「27社」ということがある。)について
《納入業者(1)》,《納入業者(8)》,
《納入業者(9)》,《納入業者(14)》,
《納入業者(17)》,《納入業者(22)》,
《納入業者(23)》,《納入業者(25)》,
《納入業者(27)》,《納入業者(28)》,
《納入業者(39)》,《納入業者(41)》,
《納入業者(42)》,《納入業者(44)》,
《納入業者(45)》,《納入業者(51)》,
《納入業者(58)》,《納入業者(59)》,
《納入業者(64)》,《納入業者(66)》,
《納入業者(67)》,《納入業者(68)》,
《納入業者(69)》,《納入業者(71)》,
《納入業者(72)》,《納入業者(74)》,
《納入業者(82)》
88社のうち上記27社については,前記アの事実に加え,別紙5記載の各事実,とりわけ,27社の被審人に対する取引依存度が大きい(高い)こと等の事実を考慮すれば,27社にとって,被審人との取引の継続が困難になることは事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれる。
また,27社は,別紙5に記載のとおり,88社の報告書において,平成20年1月1日時点の被審人との取引を他の取引先で代替することが容易でないとの認識の有無についての設問(以下「取引先代替非容易認識設問」という。)に対して「はい」を選択し(別紙5の各3項),さらに,取引重要性等の設問(「貴社は,貴社にとって不利益な要求であっても受け入れざるを得ないほど,ラルズと取引することの重要性及び必要性があると認識していましたか。」という設問)に対しても「はい」を選択(あるいはこれと同旨の供述を)している(同各4項後段)。この点,上記に考慮した事実からすれば,27社には被審人との取引の維持・継続を重要視するに足りる客観的状況が認められるものといえ,上記の回答内容等はこれら客観的状況に沿うものといえる。
(イ) 以下に記載の34社(以下「34社」ということがある。)について
《納入業者(4)》,《納入業者(5)》,
《納入業者(6)》,《納入業者(7)》,
《納入業者(10)》,《納入業者(11)》,
《納入業者(13)》,《納入業者(16)》,
《納入業者(20)》,《納入業者(24)》,
《納入業者(31)》,《納入業者(32)》,
《納入業者(34)》,《納入業者(36)》,
《納入業者(37)》,《納入業者(47)》,
《納入業者(48)》,《納入業者(49)》,
《納入業者(50)》,《納入業者(53)》,
《納入業者(54)》,《納入業者(56)》,
《納入業者(60)》,《納入業者(62)》,
《納入業者(63)》,《納入業者(70)》,
《納入業者(73)》,《納入業者(75)》,
《納入業者(76)》,《納入業者(77)》,
《納入業者(78)》,《納入業者(81)》,
《納入業者(84)》,《納入業者(88)》
88社のうち上記34社については,前記アの事実に加え,別紙5記載の各事実,とりわけ,34社の取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高いこと等の事実を考慮すれば,34社にとって,被審人との取引の継続が困難になることは事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれる。
すなわち,納入業者にとっては,それぞれの取引先に対する売上高を常に一定水準に維持できるという保証はないところ,前記アの状況に照らし,被審人は,納入業者にとって安定的な取引を期待できる取引先ということができる。このような被審人に対して,取引先別の取引依存度の順位が高いということ(端的に,取引先別の売上高の順位が高いと言い換えてもよい。)は,当該納入業者にとって,被審人は,数ある取引先の中でも比較的高水準の売上高を安定的に確保できる取引先であって,継続的な事業戦略上,重視すべき有力な取引先の一つということができる。このような納入業者にしてみれば,被審人との取引の継続が困難となることは,取引依存度が大きい取引先を失った場合のように直ちに事業経営上大きな支障を来すということはないとしても,取引チャネルの選択や販売戦略の再構築といった事業方針の転換を迫られるなど,その後の事業経営に大きな支障を来す要因となり得るものである。
したがって,前記(ア)の27社のように被審人に対する取引依存度が絶対的に大きいとまではいえなくとも,取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高いこと等が認められる前記34社については,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれるということができる。
また,34社は,別紙5に記載のとおり,88社の報告書において,取引先代替非容易認識設問に対して「はい」を選択し(別紙5の各3項),さらに,取引重要性等の設問に対しても「はい」を選択(あるいはこれと同旨の供述を)している(同各4項後段)。この点,上記に考慮した事実からすれば,34社には被審人との取引の維持・継続を重要視するに足りる客観的状況が認められるものといえ,上記の回答内容等はこれら客観的状況に沿うものといえる。
(ウ) 以下に記載の22社(以下「22社」ということがある。)について
《納入業者(2)》,《納入業者(3)》,
《納入業者(18)》,《納入業者(19)》,
《納入業者(21)》,《納入業者(26)》,
《納入業者(29)》,《納入業者(30)》,
《納入業者(33)》,《納入業者(35)》,
《納入業者(38)》,《納入業者(43)》,
《納入業者(46)》,《納入業者(52)》,
《納入業者(55)》,《納入業者(57)》,
《納入業者(65)》,《納入業者(79)》,
《納入業者(80)》,《納入業者(85)》,
《納入業者(86)》,《納入業者(87)》 
88社のうち上記22社については,前記(ア)又は(イ)と同等の状況にはないとしても,前記アの事実に加え,別紙5記載の各事実,とりわけ,22社において被審人との取引を主に担当している営業拠点(北海道を営業区域とする支社,支店,営業所,事業所等のほか,総合スーパーや食品スーパーを所管する営業部門)の被審人に対する取引依存度が大きいこと,あるいは,同営業拠点の取引先に対する取引依存度における被審人の順位が高いこと等の事実を考慮すれば,22社にとっては,被審人との取引の継続が困難となれば,当該営業拠点の収益の大幅な落込みが予想され,北海道の区域内における事業方針の修正を余儀なくされるなど,全社的にみてもその後の事業経営に大きな支障を来すことが看取できる。
一般に営業拠点の設置や統廃合は,事業戦略上の重要事項であるところ,殊に,食品スーパーなど地場の消費者を顧客とする小売業者に対し,多くの商品を販売する納入業者にとっては,地域の情報を収集してきめ細やかな営業活動を行うためにも,営業拠点の配置や構成は極めて重要な問題であると考えられる。
これらのことからすれば,22社のうちには,事業規模が相対的に大きい者や,全社的にみれば被審人に対する取引依存度が小さい者があることを考慮しても,なお22社にとって,被審人との取引の継続が困難になることは事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれる。
また,22社は,別紙5に記載のとおり,88社の報告書において,被審人と取引を行っている営業拠点が重要な拠点であるとの認識の有無についての設問及び営業拠点における被審人との取引の必要性の有無の認識についての設問について,いずれも「はい」を選択している上(別紙5の各2項(4)及び(5)),全社的な観点からも,取引先代替非容易認識設問に対して「はい」を選択し(別紙5の各3項),さらに,取引重要性等の設問に対しても,《納入業者(3)》を除く各社が「はい」を選択している(同各4項後段)。この点,被審人との取引の継続や被審人からの各種要請等の受入れを判断するのは,通常,被審人との取引を主に担当している営業拠点において,日常的に被審人と密接な関係を築いている当該取引の担当者であるところ,上記に考慮した各事実からすれば,22社には,当該営業拠点や当該担当者が被審人との取引の維持・継続を重要視するに足りる客観的状況が認められるものといえ,上記の回答内容等はこれら客観的状況に沿うものといえる。
(エ) 以下に記載の5社(以下「5社」ということがある。)について
《納入業者(12)》,《納入業者(15)》,
《納入業者(40)》,《納入業者(61)》,
《納入業者(83)》
88社のうち上記5社については,前記(ア)ないし(ウ)と同等の状況にはないとしても,前記アの事実に加え,別紙5記載の各事実,とりわけ,資本金額,年間総売上高,掲記の各証拠から認められる従業員数などに照らして5社の事業規模が極めて小さいと認められること等の事実を考慮すれば,被審人に対する取引依存度が小さいことを勘案しても,なお5社にとって,被審人との取引の継続が困難になることは事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれる。
すなわち,88社のうち多くの納入業者は被審人よりも事業規模が小さいところ(前記(ア)ないし(ウ)に挙げた納入業者のうちにも事業規模が比較的小さい納入業者は多数存在する。),殊に5社については,本件対象期間における資本金額や年間総売上高が被審人(前記第3の1のとおり被審人の資本金額は42億円であり,年間総売上高は1100億円台で推移)と比較して極めて少額であるなど,被審人の事業規模が5社のそれより著しく大きい場合に当たると認められる(ガイドライン第2の2(4))。これら小規模な納入業者にとってみれば,被審人との取引に代えて,新たな取引先と取引を開始し,あるいは既存の取引先との取引を拡大することは,必ずしも容易なことではない。なぜなら,納入業者の事業規模が小さければ,新たな取引の開始につながる,商品の需要や売れ筋等に関して入手できる情報も限定されると考えられるからである。他方で,これら小規模な納入業者が既に取引を行っている被審人は,前記アのとおり,北海道の区域内において小売業を営む事業者として,その事業が拡大基調にあり,今後の取引の拡大を期待できる取引先であり,これら納入業者自らの事業活動の拡大や安定的な継続のためには,被審人との取引が必要かつ重要であると認められる。このような小規模な納入業者にしてみれば,被審人との取引の継続が困難となることは,直ちに資金繰りの悪化を招きかねず,その取引依存度が小さかったとしても,早急な事業方針の転換を迫られるなど事業経営に大きな支障を来す要因となり得るものである。
したがって,事業規模が極めて小さいこと等が認められる5社についても,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すものとうかがわれるということができる。
また,5社は,別紙5に記載のとおり,88社の報告書において,取引先代替非容易認識設問に対して「はい」を選択し(別紙5の各3項),さらに,取引重要性等の設問に対しても「はい」を選択(あるいはこれと同旨の供述を)している(同各4項後段)。この点,上記に考慮した事実からすれば,5社には被審人との取引の維持・継続を重要視するに足りる客観的状況が認められるものといえ,上記の回答内容等はこれら客観的状況に沿うものといえる。
ウ 不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様等
88社については,後記⑷に認定する被審人による不利益行為を受け入れていた事実が認められる。
これら不利益行為は,後記⑸に詳述するとおり,被審人によるいわゆるバイイングパワーが発揮されやすい取引上の関係を背景とし,不特定多数の納入業者に対して,長期間にわたり,被審人の利益を確保することなどを目的として,役員等の指示の下,組織的かつ計画的に一連のものとして行われたものであるところ,88社がこれら不利益行為を受け入れるに至った上記のような経緯や態様は,それ自体,被審人が88社に対してその意に反するような要請等を行っても,これが甘受され得る力関係にあったことを示すものである。
また,前記イ(ア)ないし(エ)に摘示した,88社の報告書における取引重要性等の設問(「貴社は,貴社にとって不利益な要求であっても受け入れざるを得ないほど,ラルズと取引することの重要性及び必要性があると認識していましたか。」という設問)に対し,88社のうち,《納入業者(3)》を除くほぼ全社が「はい」を選択し,あるいはこれと同旨の供述をしていることは,上記のような関係を裏付けている。
これらのことからすれば,88社は,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあったことがうかがわれる。
エ 小括
前記アないしウの事実を総合的に考慮すれば,88社は,被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,被審人が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合にあり,被審人の取引上の地位は88社に対して優越していたものと認められる。
オ 被審人の主張について
(ア) 市場画定を誤っている等の主張について
被審人は,(ⅰ)本件で問題とされるべき被審人の市場影響力は,本来,被審人と納入業者との取引が行われている買付市場における購買力であるはずであり,被審人が消費者に対して商品販売を行っている売付市場におけるものではない旨,(ⅱ)仮に「北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者」との市場画定を前提としたとしても,被審人は同市場を寡占しているわけではなく,同市場においては,被審人のような食品スーパーの業態で小売業を営む事業者以外にも,コンビニエンスストア等の事業者も含まれるとし,コンビニエンスストア等の事業者を含めれば,被審人の同市場におけるシェアは約5パーセントにすぎず,納入業者においては,被審人との取引を中止しても被審人以外の約95パーセントのシェアを有する同種事業者を候補として代替取引を行い得るのであるから,被審人が納入業者との取引市場において有力な地位にあったとはいえない旨,(ⅲ)市場の画定は商品の性質に応じて行う必要がある旨主張する(前記第5の1(2)ア(イ))。
a  (ⅰ)について
優越的地位の判断において,甲の市場における地位を考慮するのは,甲の市場におけるシェアが大きい場合又はその順位が高い場合には,甲と取引することで乙の取引数量や取引額の増加が期待でき,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすいからである。(優越ガイドライン第2の2(2)参照)
88社は,自らは消費者に自己の商品を販売しない卸売業者又は製造業者であり,小売業者を通じて商品を販売しなければならないところ,被審人は北海道の区域内において多数の消費者に対し広範に88社の商品を販売することができる小売業者であるから(前記第3の1),同区域内における食料品等の小売業の市場において被審人が有力な地位にあるということができ,88社は,被審人と取引することで,その納入商品の性質にかかわらず,自らの取引数量や取引額の増加を期待することができるといえる。
仮に,被審人が主張するとおり,被審人と納入業者との取引が行われている買付市場における地位を検討する必要があるとしても,被審人のような食料品等の小売業者は,通常,その販売する商品を納入業者からの仕入れにより調達し,消費者に対して販売するものであることからすると,小売業者の店舗で購入する消費者が多いほど,販売量や販売額も増えることとなり,小売業者としては商品の仕入れ等を増やすことになることから,小売業者が消費者に対して商品販売を行っている売付市場における地位と,当該小売業者と納入業者との取引が行われている買付市場における地位とは,密接に関連することになる。
小売業者である被審人も,自社の店舗で販売する商品のほとんど全てを食料品等の製造業者及び卸売業者から仕入れていた(前記第3の2(4)及び同(5))のであるから,被審人が消費者に対して商品販売を行っている売付市場における地位は被審人と納入業者との取引が行われている買付市場における地位に密接に関連していたといえる。
したがって,小売業者である被審人の取引上の地位が納入業者である88社に対して優越的地位にあるかを判断するに当たって,検討すべき被審人の市場における地位は,被審人が消費者に対して商品販売を行っている売付市場,すなわち,被審人の北海道の区域内における食料品等の小売業の市場における地位であるところ,被審人の年間総売上高,店舗数及び店舗総面積並びにこれらが毎年増加していたこと,同区域内における食品スーパーの中での売上高の順位等(前記第3の1(2))に照らすと,被審人が同区域内において食料品等の小売業を営む事業者として有力な地位にあったことは明らかであり,その地位は,被審人と納入業者との取引が行われている買付市場における地位にも密接に関連していたといえる。
したがって,被審人の主張は採用できない。
b  (ⅱ)について
優越的地位の判断において,甲の市場における地位を考慮する趣旨は,前記aのとおりであり,甲と取引することで乙の取引数量や取引額の増加が期待でき,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすいからであるから,このような観点から市場を画定すれば足りることになる。
そして,被審人は,一般的に,食品スーパーの業態に属する事業者と認識されているところ,食品スーパーは,食料品を中心に日用雑貨品・衣料品等を大規模な店舗で小売するという事業を営む者であり,多数の消費者に広範に商品を販売することができる小売業者である。実際にも,別紙5の各1項のとおり,88社は,88社の報告書における平成20年1月1日時点の被審人が北海道地区における食品スーパーの分野において有力な地位にあるかの認識の有無についての設問に対し,いずれも選択肢a「はい」を選択し,その理由として,「被審人の店舗数が多いこと」,「被審人が北海道の区域内における食品スーパーの分野において売上高が上位3位以内に入るような事業者であること」などを選択しており,同じ業態の事業者の存在を前提に,被審人の店舗数の多さ,売上高など被審人の事業規模を理由としているといえる。
他方,被審人が主張する「北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者」には,コンビニエンスストア等の事業者も含まれていることは否定できない。しかし,消費者に対して商品販売を行っている市場(売付市場)における取引をみれば,コンビニエンスストアは,食料品を扱うものの,店舗の規模が小さく,取扱商品の種類も限られており,また,ドラッグストアは,大規模な店舗を有するものもあるが,中心となる商品は薬品や日用雑貨である。このように,売付市場における取引をみると,コンビニエンスストア等の事業者は,食品スーパーの業態と異なる事業を営む事業者といえ,そのことが買付市場における取引にも密接に関連することから(前記a),被審人の市場における地位を検討するに当たって,これにコンビニエンスストア等の事業者を含める必要はなく,食品スーパーの分野における地位を検討すれば足りるものといえる。
そして,被審人が,北海道地区における食品スーパーの分野において有力な地位にあったことは,前記アで認定したとおりである。
なお,優越的地位の判断においては,被審人の取引上の地位が88社それぞれに対して優越しているかどうかを判断すれば足りるのであって,それ以上に,被審人が上記市場において寡占していることは必要ではない。
したがって,被審人の主張は採用できない。
c  (ⅲ)について
優越的地位の判断において,甲の市場における地位を考慮する趣旨は,前記aのとおりであり,甲と取引することで乙の取引数量や取引額の増加が期待でき,乙は甲と取引を行う必要性が高くなるため,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになりやすいからであるから,このような観点から市場を画定すれば足りることになる。
前記a及びbによれば,被審人は,一般的に食品スーパーという業態にある事業者と認識されており,食品スーパーは,食料品を中心に日用雑貨品・衣料品等を大規模な店舗で小売するという事業を営む者であり,多数の消費者に広範に商品を販売することができる小売業者であるところ,88社が,被審人と取引を必要とするかどうかを判断する場合にも,被審人が食品スーパーという業態で行っている事業活動に関連して判断されるものといえる。そうすると,被審人の主張するように客観的に「複数の商品の性質に応じた市場」が存在するとしても,このように細分された個別の商品ごとの市場を画定して地位を判断する必要はなく,本件では,被審人と同様の業態を持つ事業者の市場である食品スーパーの市場における地位を検討すれば足りることになる。
したがって,被審人の主張は採用できない。
(イ) 88社にとっての取引先変更の可能性がないとは認められないとの主張について
被審人は,優越的地位を認定するに当たり優越ガイドラインが示す考慮要素の中では,相手方にとっての取引先変更の可能性がまず重要であるところ,「88社にとって取引先変更の可能性がないとはいえない」旨主張し,その理由として,(ⅰ)88社の中には,直近の3事業年度において被審人との取引額とほぼ同等かこれを上回る総売上高の増加が確認できる者があること,(ⅱ)被審人が取り扱うような生活消費財は,被審人と同種の小売業者にも需要が存在することが明らかであり,納入業者においては,仮に被審人との取引を中止しても約95パーセントのシェアを有する同種の小売業者を取引先候補とできること,(ⅲ)88社の中には,被審人が当該納入業者以外から購入できず,かつ,納入を強く希望していると当該納入業者が認識している商品がある者があり,それが強みとなっていることを挙げる(前記第5の1(2)ア(ウ))。
しかし,甲が乙に対して優越した地位にあるといえるか否かを判断するに当たっては,前記(2)のとおり,①乙の甲に対する取引依存度,②甲の市場における地位,③乙にとっての取引先変更の可能性,④その他甲と取引することの必要性,重要性を示す具体的事実のほか,乙が甲による不利益行為を受け入れている事実が認められる場合,これを受け入れるに至った経緯や態様等を総合的に考慮するのが相当である。
上記(ⅰ)については,被審人は,88社の中には,直近の3事業年度において被審人との取引額とほぼ同等かこれを上回る総売上高の増加が確認できる者があると主張するが,その具体的内容及び根拠は明らかではない。他方,88社は,別紙5の各3項記載のとおり,88社の報告書において,「貴社は,ラルズとの取引を他の取引先で代替することは容易でないと認識していましたか。」という設問に対し,いずれも選択肢a「はい」を選択し,その理由として,選択肢(a)「ラルズに代わり得る新たな取引先を見つけることができないため」や選択肢(b)「ラルズとの取引を補える程度に他の取引先との取引を増やすことができないため」を選択していることに加え,88社の役員,従業員の中には,別紙5の各3項のとおり,自社にとっての被審人に代わり得る取引先がないこと及びその理由を具体的に供述している者がいることから,88社にとって被審人との取引を他の取引先で代替することは困難が伴うことが認められる。仮に,直近の3事業年度において被審人との取引額とほぼ同等かこれを上回る総売上高の増加が確認できる納入業者があったとしても,それだけで,当該納入業者にとって「取引先変更の可能性がないとはいえない」とまでいえるかは明らかではない。
また,上記(ⅱ)については,88社にとっては,被審人の年間売上高,北海道の区域内における食品スーパーの中での売上高の順位,若しくは,店舗数及び店舗総面積並びにこれらが毎年増加していたこと等(前記第3の1(2)及び(3))から,被審人と取引することで自らの取引数量や取引額の増加が期待でき,被審人と取引を行う必要性が高くなることから,88社にとって被審人との取引を他の取引先で代替することは困難が伴うことが認められるものであり,この判断に当たって,食品スーパーの分野における地位を検討すれば足りるものである(前記(ア)b)。
さらに,上記(ⅲ)については,上記(ⅰ)について述べたところと同様に,88社にとって被審人との取引を他の取引先で代替することには困難が伴うことが認められるものであり,88社の中に被審人が当該納入業者以外から購入できない商品を有する者がいたとしても,そのことだけで88社にとっての取引先変更可能性がないかどうかについて判断することはできない。
したがって,被審人の主張は採用できない。
(ウ) 被審人との事業規模の格差に係る主張について
被審人は,《納入業者(21)》や《納入業者(79)》のように事業規模が被審人をはるかに上回る者については,かかる事情を被審人の優越的地位を否定する事情として考慮すべきである旨主張する(前記第5の1(2)ア(エ))。
たしかに,88社のうち,《納入業者(3)》,《納入業者(21)》,《納入業者(26)》,《納入業者(43),《納入業者(57),《納入業者(79)》,《納入業者(80)》及び《納入業者(86)》の8社(以下「8社」という。)については,本件対象期間において事業規模,すなわち,資本金額,出資金額又は年間平均売上高のいずれかが被審人を上回っていたことが認められる。
しかし,そもそも納入業者の事業規模が被審人のそれを上回っていることのみをもって,被審人の取引上の地位が当該納入業者に優越していることを直ちに否定するものとはいえないところ,本件対象期間中,被審人の取引上の地位が,8社を含む88社に対して優越していたと認められることは前記アないしエのとおりであり,8社の事業規模が被審人を上回っていることは同認定を左右するものでない。
したがって,被審人の主張は採用できない。
(エ) 被審人との取引の必要性,重要性の認識についての主張
被審人は,88社の報告書において取引重要性等の設問に対して「はい」を選択したとしても,今まで被審人から不利益な要求を受けたこともなかったにもかかわらず《納入業者(64)》が回答を訂正した経緯や,お互いに一部折り合って決着するのが一般的であるとの《納入業者(21)》の《D1》の参考人審尋における陳述内容からは,当該回答は,被審人が優越的地位にあるとの認識を含まないものであり,これは2社と同様の回答をした他の納入業者においても共通しており,かかる回答をしたことによって被審人の優越的地位を認定することはできない旨主張する(前記第5の1(2)ア(オ))。
しかし,本件対象期間中,被審人の取引上の地位が88社に対して優越していたことが認められることは,前記アないしエのとおりであり,被審人との取引の必要性,重要性に関する88社の認識のみから被審人の優越的地位を認定しているものではない。
なお,仮に,上記回答をした納入業者が,今まで被審人から不利益な要求を受けたことはなかった,あるいは,お互いに一部折り合って決着するのが一般的であると認識していたとしても,そのことだけで,前記アないしエの認定が左右されるものではない。
したがって,被審人の主張は採用できない。
(オ) その他
被審人は,ほかにも被審人の取引上の地位が88社に対して優越していない理由を縷々主張するが,いずれも被審人が本件対象期間中,自己の取引上の地位が88社に優越しているとの前記アないしエの認定を左右するものとは認められず,かかる主張は採用できない。
(4) 本件各行為は不利益行為に当たるか
次に,被審人による本件各行為が前記(2)に述べた不利益行為に該当するかについて判断する。
ア 本件従業員等派遣を受ける行為
(ア) 従業員等の派遣を受ける行為が不利益行為となる場合
本件における被審人と納入業者との間の取引は,買取取引であり,同取引において,売主は,買主に商品を引き渡すことにより取引契約上の義務を履行したこととなるところ,買主が小売業者である場合に,買主の新規店舗の開設,既存店舗の改装及びこれらの店舗での開店セール等の際に,買取取引で仕入れた商品を他の陳列棚から移動させ,又は新たに若しくは補充として店舗の陳列棚に並べ,又は接客するなどといった作業は,買主が消費者に商品を販売するための準備作業又は消費者に対する販売作業そのものであり,本来買主が行うべき役務であることから,売主が自社の従業員等を派遣して上記のような作業に当たらせること(以下「新規店舗開設等作業のための従業員等派遣」という。)は,売主は当該従業員等による労務をその派遣の期間逸失するものであることに加えて,交通費などの派遣に必要となる費用が発生した場合には,当該費用を負担することになることから,売主にとって通常は何ら合理性のないことであり,そのような行為は原則として不利益行為に当たることになる。
もっとも,新規店舗開設等作業のための従業員等派遣については,例外的に,①従業員等の業務内容,労働時間及び派遣期間等の派遣の条件について,あらかじめ相手方と合意し,かつ,派遣される従業員等の人件費,交通費及び宿泊費等の派遣のために通常必要な費用を買主が負担する場合,②従業員等が自社の納入商品のみの販売業務に従事するものなどであって,従業員等の派遣による相手方の負担が従業員等の派遣を通じて相手方が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲内のものであり,相手方の同意の上で行われる場合は,不利益行為には当たらないと解される。
以上のとおり,相手方に従業員等を派遣させて新規店舗開設等作業に当たらせる行為については,上記①及び②の例外と認められるべき場合(以下「従業員等派遣例外事由」という。)はあるものの,通常は相手方にとって何ら合理性のないことであるから,従業員等派遣例外事由に当たるなどの特段の事情がない限り,不利益行為に当たると認めるのが相当である。
(イ) 本件に係る判断
a  認定事実
証拠によれば,被審人が納入業者に本件従業員等派遣を要請した経緯及び納入業者の従業員等が従事していた作業の内容等について,以下の事実が認められる。
(a) GMからの指示及び納入業者に対する要請
被審人は,本件開店準備作業等を担当させるために,各商品部を通じて,納入業者に対し,従業員等の派遣を要請していた。
遅くとも平成21年4月20日以降,納入業者に対して従業員等の派遣要請を行っていたのは,第2商品部ないし第7商品部の6つの商品部である(以下,まとめて「第2商品部等」という。)。
第2商品部等のバイヤーは,第2商品部等のGMの指示により,開店日のおおむね2,3週間前までに,納入業者に対し,商談の際や電子メール又は電話などにより,本件開店準備作業等を行う店舗,集合時間について連絡し,従業員等の派遣を要請していた。
また,一部の商品部においては,バイヤーが特定の納入業者に依頼して,従業員等を派遣する納入業者の取りまとめを行わせ,この特定の納入業者をして,他の納入業者に作業を行う店舗や集合時間を連絡させるという方法により,納入業者に対して従業員等の派遣を要請していた。
(査2,査106ないし査108,査140ないし査155,査269ないし査272,査306,査321,査323,査326,査327,査331,査349,査370)
(b) 「店舗応援のお願い」と題する文書等の作成
被審人は,従前,納入業者との間で従業員等の派遣要請及びその回答について書類を取り交わしていなかったが,その後,従業員等の派遣を要請するための「店舗応援のお願い」と題する文書,納入業者がこれに回答する際に用いる「応援回答書」と題する文書(以下「応援回答書」という。)及び従業員等を派遣した納入業者が費用を請求するための「請求書」と題する文書(以下,これらの文書を併せて「応援依頼書類一式」という。)を作成し,平成19年3月のビッグハウスイースト店の改装開店の際の従業員等派遣の要請からこれを用いていた。(査110,査111,査140,査142ないし査144,査146,査148,査155)
(c) 本件従業員等派遣に関する事前の取決め状況
被審人は,納入業者に対して従業員等の派遣を要請するに当たり,作業の具体的な内容,労働時間,派遣のために通常必要な費用を被審人が負担するのか否か等の派遣の条件については伝えておらず,これらの条件について納入業者との間であらかじめ合意をしていなかった。(査140,査141,査143,査152,査155,査267,査323,査327,査331,査352)
また,納入業者への応援依頼書類一式の送付は各商品部において行うものとされていたところ,ほとんどの商品部において,応援依頼書類一式には対象となる店舗名及び住所のみを記載し,期間,集合時間及び応援人数の各欄等を空欄にしたまま,納入業者に応援依頼書類一式を配布していた。一部の商品部においては,従業員等の派遣を要請する際ではなく,納入業者が当該要請を受け入れることを決定した後に応援依頼書類一式を配布したり,応援依頼書類一式をそもそも配布しなかったりすることなどもあった。
そして,被審人は,全ての納入業者から応援回答書を回収していたわけではなく,応援回答書を回収した場合でも,当該従業員等の派遣がなされた日以後に回収したり,応援回答書の内容を確認しないまま従業員等の派遣を受けたりすることもあった。
さらに,納入業者が実際には従業員等の派遣に応じているにもかかわらず,同納入業者から従業員等の派遣を辞退する旨の応援回答書が提出されることもあった。
(査111,査117ないし査125,査130ないし査132,査134,査135,査140ないし査146,査148,査149,査151,査152,査154,査155,査267,査272,査306,査331,査340,査370)
(d) 納入業者の従業員等の作業内容
本件開店準備作業等のうち,商品の陳列,補充に関する作業は,被審人があらかじめ商品ごとの配置を定めた棚割表に従って商品を置くだけであり,作業を行う納入業者の従業員等が自らの判断で自社の商品を置くことはできなかった。
また,被審人は,派遣された従業員等に自社商品と他社商品の区別なく作業を行わせていた。本件開店準備作業等のうち,販売作業には,店舗での試食販売,店舗外での特売品についてのレジ作業などがあったが,いずれも派遣された従業員等は自社商品と他社商品の区別なく作業を行うものであり,派遣された従業員等において,自社商品の説明を行ったり,自社商品の宣伝をしたりすることはできなかった。
このように,本件開店準備作業等は,特別な技術又は能力を必要とするものではなく,被審人の従業員やアルバイトでも行うことが可能なものであった。
(査113,査114,査140ないし査149,査151ないし査155,査267,査269ないし査273,査301,査306,査321,査323,査326,査327,査330,査352,査378,査380,査389,査495)
(e) 被審人による費用負担
本件従業員等派遣は,15店舗で合計858件(別紙4の「従業員派遣」欄の「契機の回数」の項)あった。納入業者は,本件従業員等派遣をしても,その費用を被審人に請求することはほとんどなかった。また,被審人も,後記のように例外的にその費用を支払った場合を除き,納入業者に対し,本件従業員等派遣に要した費用を請求するよう働きかけることはなく,納入業者から請求を受けたとき以外は上記費用を支払わなかった。
上記のうち被審人が納入業者に対して費用を支払ったのは11件であり,支払額は合計10万8120円であった。この11件については,本件従業員等派遣を要請した商品部のGM等が,当該納入業者に対し,被審人に費用を請求するよう働きかけていた。GM等がこのような働きかけをしたのは,被審人の《A1》専務から,納入業者からの費用請求及び被審人による費用支払の実績を作るため,上記11件の店舗に本件従業員等派遣をした納入業者の一部に対して費用を請求するよう働きかけることを指示されたためであり,かかる働きかけを受けた納入業者は,そのとおりに請求した。しかし,被審人が支払った額は,当該店舗で行った数日間にわたる作業のうちの1日分であるなど,当該納入業者の従業員等が行った作業全部に相当する額ではないことが多かった。
(査2,査127ないし査134,査138ないし査140,査142ないし査149,査151,査152,査154,査155,査270ないし査273,査313,査321,査323,査327,査331,査338,査347,査352,査369,査389,査495,《D1》参考人審尋速記録,《A1》参考人審尋速記録)
(f) 従業員等を派遣することの見返り
被審人は,納入業者から本件従業員等派遣を受けるに当たり,当該納入業者から購入する商品を増やす等の見返りを約束していなかった。(査154,査155,査267,査270,査321,査349)
本件従業員等派遣が不利益行為に該当すること
前記a(d)で認定した本件従業員等派遣に応じた従業員等の作業内容によれば,本件従業員等派遣は,新規店舗開設等作業のための従業員等派遣であると認められる。
また,前記a(c)のとおり,被審人は,従業員等の業務内容等の派遣の条件について,あらかじめ53社と合意しておらず,かつ,前記a(e)のとおり,派遣される従業員等の人件費等の派遣のために通常必要な費用を負担していなかったものであり,前記従業員等派遣例外事由①に該当する事実は認められない。
さらに,前記a(d)のとおり,本件従業員等派遣に応じた納入業者の従業員等が行う本件開店準備作業等は,自社商品と他社商品とで区別なく行われたものであって,前記a(f)のとおり,被審人は,納入業者から本件従業員等派遣を受けるに当たり,当該納入業者から購入する商品を増やす等の見返りを約束するものではなかったものであり,何ら合理性のないものであるから,前記従業員等派遣例外事由②に該当する事実は認められない。
以上のとおり,従業員等派遣例外事由には当たらず,その他特段の事情は認められないことから,本件従業員等派遣を受ける行為は,不利益行為に該当すると認められる。
c  被審人の主張について
被審人は,前記第5の1(2)イのとおり,本件従業員等派遣を始め本件各行為が濫用行為に該当しない理由を主張するところ,以下では,かかる理由によって本件各行為が不利益行為に当たらないことになるかについて判断する(後記イ(イ)c及びウ(イ)cにおいて同じ。)。
(a) 本件従業員等派遣の条件は明確になっていたとの主張について
被審人は,納入業者が本件従業員等派遣に営業活動としての合理性を認め得るか否かを判断するに当たっては,応援作業が発生する日程,場所,人数及び作業の概要を把握できれば十分であり,派遣の条件は明確になっていたと主張する(前記第5の1(2)イ(ア)a)。
しかし,被審人が,納入業者に対して本件従業員等派遣を要請するに当たり,作業の具体的な内容,労働時間,派遣のために通常必要な費用を被審人が負担するのか否か等の派遣の条件について伝えていなかったことは,前記a(c)のとおりであり,本件従業員等派遣の条件が明確になっていたとは認められないことから,被審人の主張は採用できない。
(b) 納入業者にとって合理的と認められる範囲を超えた負担となるものではなかったとの主張について
被審人は,本件開店準備作業等により被審人のオープンセールを補助することは,被審人の売上高の増加に伴う自社の売上高の増加を期待することができ,多数の消費者に対して自社商品をアピールできる点,消費者ニーズを把握し得る点等においても自社固有の利益を享受し得るものであり,応援に伴う人的負担を考慮しても,十分な経済合理性を見いだし得るものであり,納入業者にとって合理的と認められる範囲を超えた負担となるものではなかった旨主張し(前記第5の1(2)イ(ア)b),被審人の《A4》常務(審41)及び《A1》専務(審43)並びに53社の担当者(審29の1,審33の1,審34ないし審36の1,審38の1,審39の1)の陳述書の中には,これに沿う部分がある。
しかし,納入業者が被審人の売上高の増加に伴う自社の売上高の増加を期待していたとしても,それは,新規開店又は改装開店自体やその際のオープンセールによる集客効果によるものであり,納入業者が本件従業員等派遣に応じたことによるものではない。また,前記a(d)認定のとおり,本件開店準備作業等のうち,商品の陳列,補充に関する作業は,被審人があらかじめ商品ごとの配置を定めた棚割表に従って商品を置くだけであり,作業を行う納入業者の従業員等が自らの判断で自社商品を置くことはできなかったのであって,被審人の従業員やアルバイトでも行うことが可能なものであった。そうすると,納入業者が小売業者に対して行う営業活動の一環として,被審人が主張する納入業者が蓄積した情報やノウハウに基づくリテールサポート業務(小売業支援業務。棚割り提案,陳列,レイアウトに関する補助業務等)があるとしても,被審人があらかじめ商品ごとの配置を定めた棚割表に従って商品を置くだけといった本件従業員等派遣に係る作業内容に照らせば,納入業者が蓄積した情報やノウハウを生かすことができるものではないから,そのような業務に当たらないことは明らかである。
さらに,派遣された従業員等は,商品陳列作業,商品補充作業及び調理作業といったオープンセール期間中の作業においては,当該従業員の自社商品と他社商品の区別なく作業を行わされており,また,自社商品の説明を行ったり,自社商品の宣伝をしたりできたわけでもなく,消費者と接点はなかったことから,納入業者が本件従業員等派遣に応じることにより,多数の消費者に対して自社商品をアピールできたとは認められない。
そして,消費者ニーズの把握については,売上げ等のデータを確認すれば正確かつ簡便に済むものであり,自社製品以外の売上動向を把握したいのであれば,わざわざ本件従業員等派遣に応じて商品陳列作業等を行わなくとも,店頭で消費者の購買動向を観察すれば足りるものである。
したがって,納入業者が本件従業員等派遣に応じることによって直接の利益を得ることとなるものではなかったことは明らかであり,納入業者にとって合理的と認められる範囲を超えた負担となるものではなかったとの被審人の主張は採用できない。
(c) その他の主張について
その他,被審人が主張するように(前記第5の1(2)イ(ア)c),53社の中には,88社の報告書において,本件従業員等派遣のために要する費用がこれを行うことによって得られる直接の利益の範囲内であったかについての設問に対して,選択肢②「直接の利益が貴社の従業員等を派遣するために要する費用を上回る」を選択した者や,被審人の要請に応じて従業員等を派遣した理由についての設問に対して,選択肢⑧「今後,ラルズに対して貴社が納入する商品の取引量・額の増加につながると判断したため」又は選択肢⑪「貴社が納入する商品の販売のための接客業務を行うことが売上げの増加につながるなど,貴社が得ることとなる直接の利益が貴社の従業員等を派遣するために要する費用を上回ると判断したため」を選択した者,従業員等の派遣の条件に対する納得の有無についての設問に対して,選択肢①「十分な協議を行ったので納得した」又は選択肢③「多くの時間をかけて協議を行わなかったが納得した」を選択した者がいる。(査396の1等)
しかし,53社の中に本件従業員等派遣に応じることが今後の被審人との取引量,取引額の増加につながると考えた者がいたとしても,被審人は本件従業員等派遣を受けるに当たり納入業者に対して見返りを約束していなかったこと(前記a(f))からすると,これは客観的裏付けのない当該納入業者の一方的な期待にすぎず,本件従業員等派遣による直接の利益に当たるものとはいえない。仮に,新規開店及び改装開店によって納入業者の売上げが増加する可能性があると考えている納入業者があるとしても,それは新規開店及び改装開店自体やその際のオープンセールに集客効果があるためであり,納入業者が本件従業員等派遣に応じたことによるものではなく,被審人の従業員等が本件従業員等派遣における作業と同様の作業を行ったとしても納入業者の売上げの増加の可能性に変わりはない。
また,本件従業員等派遣による直接の利益が従業員等を派遣するために要する費用を上回る旨回答した者については,これらの者が得たという直接の利益の具体的な内容は明らかではなく,本件従業員等派遣に応じた納入業者の従業員が従事した作業内容が前記a(d)のとおりであったことからすると,本件従業員等派遣に応じることによって得られることとなる直接の利益は想定し難く,88社の報告書において本件従業員等派遣による直接の利益が従業員等を派遣するために要する費用を上回ると回答した者がいることをもって,本件従業員等派遣の要請に応じることにより納入業者が得ることとなる直接の利益が同要請に応じることによる納入業者の負担を上回っていたとは認められない。
なお,これらの者のうちの一部の役員又は従業員は,上記回答後に審査官の事情聴取を受けた際,上記回答は直接の利益の定義を踏まえずに行ったものであるとか,設問の趣旨を誤解したものであるなどとして,本件従業員等派遣に要する費用を上回る直接の利益はなかった旨を述べている。
(査273,査303,査306,査312,査349,査367,査386,査388)
また,被審人が納入業者に対して本件従業員等派遣を要請するに当たり,作業の具体的な内容,労働時間,派遣のために通常必要な費用を被審人が負担するのか否か等の派遣の条件について伝えていなかったことは,前記a(c)のとおりであり,88社の報告書において,本件従業員等派遣について,被審人との十分な協議等の結果,任意に従業員等を派遣したという回答をしている者がいたとしても,そのことだけで納入業者が被審人との十分な協議の結果,本件従業員等派遣に応じていたとは認められない。
したがって,被審人の主張はいずれも採用できない。
イ 本件協賛金の提供を受ける行為
(ア) 金銭の提供を受ける行為が不利益行為となる場合
本件における被審人と納入業者との間の取引は,買取取引であり,同取引において,売主は,買主に商品を引き渡すことにより取引契約上の義務を履行したこととなるところ,契約等に別段の定めがなく,協賛金等の名目で売主が買主のために本来提供する必要のないものである金銭を提供することは,提供した金銭がそのまま売主の損失となるものであり,売主にとって通常は何ら合理性のないことであり,原則として不利益行為に当たる。
もっとも,例外的に,協賛金等の名目で売主が提供する金銭について,その負担額,算出根拠及び使途等について,あらかじめ買主が売主に対して明らかにし,かつ,当該金銭の提供による売主の負担が,その提供を通じて売主が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲内のものであり,売主の同意の上で行われる場合は,不利益行為には当たらないと解される。
以上のとおり,買主が売主から本来提供する必要のない金銭の提供を受ける行為については,上記の例外と認められるべき場合(以下「金銭提供例外事由」という。)はあるものの,通常は売主にとって何ら合理性のないことであるから,金銭提供例外事由に当たるなどの特段の事情がない限り,不利益行為に当たると認めるのが相当である。
(イ) 本件に係る判断
a  認定事実
証拠によれば,被審人における本件協賛金の要請方法,本件協賛金の算出根拠及び使途等について,以下の事実が認められる。
(a) オープンセール協賛金
i  オープンセール協賛金に関する事前の取決め
被審人と納入業者との間で,オープンセール協賛金の提供に関する事前の取決めとして,算定方法,支払方法その他の支払条件に係る包括的な契約が締結されたわけではなく,これに係る覚書等の文書は作成されていない。
また,被審人は,納入業者と継続して取引を開始するに当たり,取引基本契約書を締結する代わりに,原則として商品部ごとに,当該納入業者との間で取り決めた納入条件,支払口座,支払条件,リベート条件等の取引に係る基本的な事項について記載した「取引先カード」を提出させているところ,第2商品部以外の商品部と取引している納入業者に係る取引先カードには,オープンセール協賛金に関する事前の取決めの記載はない。
なお,第2商品部が担当している納入業者に係る取引先カードには,オープンセール協賛金について記載されているものもあるが,この場合でも,協賛金の算定方法が記載されているだけで,協賛金の算出根拠や使途についての記載はなく,取引先カードの作成に際しても,納入業者に対して,協賛金の算出根拠や使途についての説明は行われていなかった。
(争いがない)
ii  オープンセール協賛金の算定方法及び算出根拠
(i) オープンセール協賛金の算定方法
遅くとも平成21年4月20日以降,第2商品部等は,納入業者に対してオープンセール協賛金の提供要請を行っていた。納入業者に提供を要請するオープンセール協賛金の額の算定方法は,以下の①ないし⑥のとおり,商品部ごとに定められていた。(争いがない)
① 第2商品部
  新規開店の場合,開店日の前年の3月から開店の年の2月までの1年間の同商品部が担当している納入業者が被審人に納入する商品に係る取引額(以下,各商品部が担当している納入業者が被審人に納入する商品に係る取引額を同様に「取引額」という。)に0.1パーセントを乗じた金額。改装開店の場合,上記取引額に0.05パーセントを乗じた金額。
なお,被審人は,後記(b)ⅱ(ⅱ)のとおり,平成23年の創業祭協賛金について,創業祭協賛金を算定する際に適用する料率を引き上げたが,第2商品部では料率を引き上げなかったことから,同商品部では,同年10月に改装開店したビッグハウス明徳店に係るオープンセール協賛金の提供を納入業者に要請するに際し,通常の改装開店の場合に適用される料率よりも高い0.075パーセントの料率を適用してオープンセール協賛金の金額を算出した。
② 第3商品部
加工品を納入している納入業者について,新規開店の場合,開店日が上期(3月から8月まで。以下同じ。)であれば,その前年の3月から開店の年の2月までの1年間の取引額の1か月当たり平均額に,下期(9月から2月まで。以下同じ。)であれば,その前年の9月から開店の年の8月までの1年間の取引額の1か月当たり平均額に,それぞれ0.5パーセントを乗じた金額。改装開店の場合,上記1年間の取引額の1か月当たり平均額に0.25パーセントを乗じた金額。
生肉を納入している納入業者について,新規開店の場合,上記1年間の取引額の1か月当たり平均額に0.25パーセントを乗じた金額。改装開店の場合,上記1年間の取引額の1か月当たり平均額に0.125パーセントを乗じた金額。
③ 第4商品部
新規開店か改装開店かにかかわらず,開店日の前月から遡ること3か月間の取引額の1か月当たり平均額に1パーセントを乗じた金額。
④ 第5商品部
和日配部門が担当している納入業者について,その多くは,同商品部のバイヤーが過去のオープンセール協賛金の額やオープンセール協賛金の対象店舗の規模等を勘案して要請の都度決定した金額。その余の納入業者について,新規開店か改装開店かにかかわらず,当該店舗の開店後1か月間の取引額に10パーセントを乗じた金額。
洋日配部門が担当している納入業者について,新規開店か改装開店かにかかわらず,当該店舗の開店後1か月間の取引額(ただし,牛乳に係る取引額を除く。)に10パーセントを乗じた金額。
⑤ 第6商品部
菓子部門及びパン部門が担当している納入業者について,新規開店か改装開店かにかかわらず,当該店舗のオープンセール期間中(3日間又は4日間)の取引額に10パーセントを乗じた金額。
グロサリー部門が担当している納入業者について,新規開店か改装開店かにかかわらず,同商品部のGMが過去のオープンセール協賛金の額やオープンセール協賛金の対象店舗の規模等を勘案して要請の都度決定した金額。
⑥ 第7商品部
新規開店か改装開店かにかかわらず,同商品部のGMが過去のオープンセール協賛金の額やオープンセール協賛金の対象店舗の規模等を勘案して要請の都度決定した金額。
(ii) オープンセール協賛金の算出根拠
オープンセール協賛金の算定方法は,前記(ⅰ)のとおり,商品部ごとに様々であった。オープンセール協賛金の算定の基礎となる取引額は,当該オープンセールとは関係のない期間の取引額であった。
また,個々の納入業者の取引の状況,すなわち,当該オープンセールにおいて日替わり商品等の特売品の対象となっているか,チラシにどの程度商品が掲載されているか,それによりどの程度利益を得られるかという点を考慮することなく,商品部ごとに担当する納入業者一律の方法でオープンセール協賛金を算定していた。
一方,上記のような算定方法を採る理由,例えば,第4商品部であれば,特定の店舗の新規開店や改装開店であるにもかかわらず,被審人全体との取引額を前提とするのか,直近3か月の取引額の1か月当たり平均額を前提とするのか,料率が1パーセントなのかなどという点については,同商品部において把握していなかった。この点は,他の商品部においても同じであった。
(査216,査219,査220,査222ないし査224,査226,査228,査230,査232,査235,査236)
iii 《A1》専務らからの指示
被審人の《A1》専務らは,新規開店又は改装開店の約2週間前までに開催されるGM会議やバイヤーミーティングの場において,各商品部の仕入担当者に対し,納入業者にオープンセール協賛金の提供を要請するよう指示していた。
第2商品部等の仕入担当者は,《A1》専務らからの上記指示を受け,後記ⅳのとおり,納入業者に対し,オープンセール協賛金の提供を要請していた。また,被審人においては,かねてから納入業者に対するオープンセール協賛金の提供要請が行われていたため,《A1》専務らから上記指示がない場合にも,上記仕入担当者が納入業者に対してオープンセール協賛金の提供を要請することもあった。
(査216,査219,査222ないし査224,査226,査227,査230,査232,査234)
ⅳ オープンセール協賛金の提供の要請
第2商品部等の仕入担当者は,納入業者に対し,商談等の際に要請額を伝達する,金額を自動計算するための電子ファイルを添付した電子メールを送付するなどにより,オープンセール協賛金の提供の要請を行っていた。また,上記仕入担当者は,納入業者に対してオープンセール協賛金の提供を要請するに当たり,その協賛金の算出根拠や使途について具体的に説明することはなかった。(査157,査158,査168,査216,査219ないし査224,査226ないし査230,査232,査234,査270,査275,査295,査297,査298,査312,査316,査321,査326,査328,査341,査354,査369,査376,査389,査490,査497)
v  オープンセール協賛金の提供時期
オープンセール協賛金の提供要請は,おおむね新規開店又は改装開店に先立って行われており,納入業者は,原則として,開店日が月の上旬であればその月内に,月の下旬であれば翌月内に当該協賛金を支払うこととされていたが,商品部が自らの収支状況に鑑み任意に指定した月に支払われる場合もあった。(争いがない)
ⅵ オープンセール協賛金の使途,提供の見返り等
被審人は,オープンセール協賛金について,これを提供した納入業者が納入する商品のオープンセールにおける値引き販売の原資や当該商品のチラシへの掲載費用等に充てるなどはしておらず,これを提供した納入業者が納入する商品の販売に結び付けて使用していなかった。
また,オープンセール協賛金は,値引き販売等による損失補填や広告費用といった当該オープンセールの費用補填に用いられたが,その一部は,各店舗において目標とされた利益額を達成するための補填等にも使われていた。さらに,被審人は,オープンセールのための特売商品については,納入業者から特売条件として通常よりも安い納入価格で仕入れていた。
そして,被審人は,納入業者からオープンセール協賛金の提供を受けるに当たり,当該納入業者に対して特段見返りを約束しておらず,オープンセール協賛金を提供した納入業者の商品の納入量が通常より増えたり,オープンセールのチラシに目立つように掲載されたりすることはなかった。
(査216,査219,査222ないし査224,査227ないし査230,査232,査234,査270,査273,査312,査316,査354,査376,査389,査394)
vii 54社によるオープンセール協賛金の提供
54社は,本件対象期間に,被審人の要請を受けて,別紙4の「オープン協賛金」欄記載のとおり,オープンセール協賛金を提供した。
54社が提供したオープンセール協賛金は,ほとんど全て,被審人から要請された金額又は被審人が前記ⅱ(ⅰ)の算定方法で算定した金額と同じであった。
(査2〔別表10〕,査156,査159,査160,査162ないし査167,査180ないし査184,査219,査221,査222,査230)
(b) 創業祭協賛金
i  創業祭協賛金の事前の取決め
創業祭協賛金の提供については,事前の取決めについて取引先カード又は納入業者との間で個別に交わした覚書(以下「取引先カード等」という。)に記載されていることがあった。しかし,取引先カード等に創業祭協賛金の提供に関する事前の取決めについて記載がある場合でも,「都度商談」としか記載されていない場合があったり,取引先カード等に料率が記載されている場合でも実際に創業祭協賛金の提供を要請する際の料率と異なっていたり,覚書上は販売目標を達成するなど一定の条件を満たした場合にのみ創業祭協賛金を提供する旨記載されているにもかかわらず,かかる条件を満たさなくても被審人が創業祭協賛金の提供を要請する場合があったりした。そのような場合において,取引先カード等に記載された条件と異なる創業祭協賛金の提供の要請が行われることについて,納入業者との間で特段協議は行われていなかった。
また,被審人は,取引先カード等を作成する際に,納入業者に対し,創業祭協賛金の算出根拠や使途について説明せず,取引先カード等に記載された料率・条件とは異なる料率・条件を適用する際にも,納入業者に対してその理由を特段説明しなかった。
(査173,査204,査217ないし査219,査222,査225,査226,査228,査229,査231,査233,査235,査236,査275,査295,査297,査301,査350,査361,査372,査497)
ii  創業祭協賛金の算定方法及び算出根拠
(i) 平成21年及び平成22年に提供要請した創業祭協賛金に係る算定方法
遅くとも平成21年4月20日以降,被審人の第1商品部ないし第7商品部(以下,まとめて「第1商品部等」ということがある。)が,納入業者に対して創業祭協賛金の提供を要請していた。納入業者に提供を要請する創業祭協賛金の額の算定方法は,以下の①ないし③のとおり,商品部ごとに定められていた。(査187ないし査203,査217ないし査219,査221ないし査223,査225ないし査229,査231,査233,査236,査269ないし査271,査275,査295,査297,査301,査303,査312,査319,査326,査328,査350,査354,査361,査372,査376,査381,査389,査394,査492)
① 第1商品部
創業祭の前年の9月から創業祭の年の8月までの1年間の取引額に0.18パーセントを乗じた金額。ただし,《納入業者(35)》については,創業祭の年の3月から8月までの半年間の取引額に0.45パーセントを乗じた金額。
② 第2商品部
創業祭の前年の3月から創業祭の年の2月までの1年間の取引額に0.1パーセントを乗じた金額。
③ 第3商品部ないし第7商品部
原則として,創業祭の年の上期の取引額に0.45パーセントを乗じた金額。ただし,第5商品部においては,取扱商品の特性上,時期によって取引額が変動するといった事情がある商品の納入業者については,創業祭の前年の9月から創業祭の年の8月までの1年間の取引額を2で除したものに0.45パーセントを乗じた金額,第7商品部においては,上期,下期又は上期と下期の合計の取引額を2で除したもののうち,いずれかに0.45パーセントを乗じた金額。
(ii) 平成23年に提供要請した創業祭協賛金に係る算定方法
被審人は,平成23年が被審人の前身であるダイマルスーパー株式会社の創業50周年に当たることを理由に,少なくとも86社中61社に対し,これまでの料率を引き上げ,第1商品部においては,1年間の取引額に0.19パーセントを乗じた金額,第3商品部ないし第7商品部においては,半年間の取引額又は1年間の取引額を2で除したものに0.5パーセントを乗じた金額の提供を要請するなどした。
また,86社中14社に対しては,当該商品部の仕入担当者から例年どおりの料率に基づいて創業祭協賛金の提供を要請したほか,被審人の《A1》専務から,同人が定めた金額を追加の創業祭協賛金として提供するよう要請した。
(査205ないし査211,査217,査218,査222,査223,査225,査227ないし査229,査231,査233,査235,査236,査269ないし査271,査295,査297,査303,査319,査321,査326,査335,査350,査361,査492)
(iii) 創業祭協賛金の算出根拠
創業祭協賛金の算定方法は,前記(ⅰ)及び(ⅱ)のとおり,商品部ごとに様々であった。また,オープンセール協賛金と同様に,個々の納入業者の取引の状況を考慮することなく,商品部ごとに担当する納入業者一律の方法で創業祭協賛金を算定していた。
一方,上記のような算定方法を採る理由については,当該商品部において把握していなかった。
また,第3商品部ないし第7商品部が平成23年に納入業者に提供を要請する創業祭協賛金の額を算定する際に使用した0.5パーセントという料率は,創業50周年であることにちなむものであり,被審人の《A2》社長の発案に基づくものであるところ,特段経済合理的な理由に基づくものではなかった。
(査217ないし査219,査222,査223,査225ないし査227,査231,査233,査235,査236)
iii 《A1》専務らからの指示
被審人の《A1》専務らは,創業祭の実施に先立つ毎年8月頃から9月頃までの間に,GM会議やバイヤーミーティングの場において,各商品部の仕入担当者に対し,納入業者に創業祭協賛金の提供を要請するよう指示していた。
第1商品部等の仕入担当者は,《A1》専務らからの上記指示を受け,後記ⅳのとおり,納入業者に対し,創業祭協賛金の提供を要請していた。また,被審人においては,かねてから納入業者に対する創業祭協賛金の提供要請が行われていたため,《A1》専務らから上記指示がない場合にも,上記仕入担当者が納入業者に対して創業祭協賛金の提供を要請することもあった。
(査186,査217ないし査219,査221ないし査223,査225ないし査229,査231,査233,査235,査236)
iv  創業祭協賛金の提供の要請
第1商品部等の仕入担当者は,納入業者に対し,創業祭協賛金の算出根拠や使途について明確に説明することなく,創業祭協賛金の支払を要請する旨と協賛金の額のほか,入金予定日,入金方法等の回答を求める旨を記載しただけの要請文書を直接手渡しする,電子メールで送付するなどの方法により,創業祭協賛金の提供を要請していた。
また,被審人の《A1》専務は,平成23年に一部の納入業者に対して追加の創業祭協賛金を要請する際(前記ⅱ(ⅱ)),納入業者の役員,支店長等に対し,電話又は面談により,創業50周年の創業祭において様々な企画を予定している旨を説明したが,創業祭協賛金の算出根拠や使途については特段説明しなかった。
(査212ないし査214,査217ないし査219,査221ないし査223,査225ないし査229,査231,査233,査235,査236,査269,査270,査275,査295,査297,査298,査301,査303,査311,査312,査319,査321,査323,査326,査341,査350,査354,査369,査376,査389,査394,査486,査490,査492,査497)
v  創業祭協賛金の提供時期
創業祭協賛金の提供要請は例年8月頃から9月頃に行われるが,納入業者からの提供時期については,商品部の仕入担当者と納入業者との間で調整して決定されており,その年の9月から12月までを基本としていたが,年明け以降の場合もあった。(査187ないし査190,査192ないし査203,査205ないし査210,査215,査217,査218,査222,査225ないし査229,査231,査233,査235,査492)
ⅵ 創業祭協賛金の使途,提供の見返り等
被審人は,創業祭協賛金について,これを提供した納入業者が納入する商品の創業祭における値引き販売の原資や当該商品のチラシへの掲載費用等に充てるなどはしておらず,これを提供した納入業者が納入する商品の販売に結び付けて使用していなかった。
また,納入業者から創業祭協賛金として提供された金銭は,提供を受けた商品部において本部の収益になるものとして取り扱われており,一部は創業祭における特売品の値引き販売の原資や広告費用の補填に充当されていたものの,その余は創業祭に係る費用に充当されていなかった。さらに,被審人は,創業祭のための特売商品については,納入業者から特売条件として通常よりも安い納入価格で仕入れていた。
被審人は,納入業者から創業祭協賛金の提供を受けるに当たり,当該納入業者に対して特段見返りを約束しておらず,納入業者が創業祭協賛金を支払うことによって,被審人との取引量が通常より増えたり,広告に自社商品が目立つように掲載されたりすることはなかった。
(査217ないし査220,査222,査223,査225ないし査229,査231,査233,査235,査303,査311,査312,査335,査350,査354,査356,査359,査374,査376,査389)
vii 86社による創業祭協賛金の提供
86社は,本件対象期間に,被審人の要請を受けて,別紙4の「創業祭協賛金」欄記載のとおり,創業祭協賛金を提供した。
86社が提供した創業祭協賛金は,ほとんど全て,被審人から要請された金額又は被審人が前記ⅱ(ⅰ)若しくは(ⅱ)の算定方法で算定した金額と同じであった。
(査2〔別表10〕,査187ないし査190,査193ないし査196,査198,査199,査201ないし査203,査205,査207ないし査209,査215,査218,査222,査227,査231,査233,査235)
b  本件協賛金の提供を受ける行為が不利益行為に該当すること
(a) オープンセール協賛金について
オープンセール協賛金について,前記a(a)ⅰのとおり,被審人と54社との間での契約等では別段の定めはないこと,前記a(a)ⅱ(ⅱ)のとおり,その算定方法は,個々の納入業者の取引の状況を考慮することなく,商品部ごとに一律の方法で定められたものであり,その算定方法を採る理由を被審人の各商品部ですら把握していないものであること,また,前記a(a)ⅲ及びⅳのとおり,その算出根拠自体不合理なものであること,被審人の《A1》専務らからの指示を受けた各商品部の仕入担当者が,その算出根拠や使途について具体的に説明することなく各自の担当する納入業者の担当者に対して要請し,金銭の提供を受けていたものであること,さらに,前記a(a)ⅵのとおり,その使途については,これを提供した納入業者が納入する商品の販売に結び付けて使用しておらず,納入業者に対する見返りもなかったものであることから,54社にとっては,本来提供する必要のないものである。
そして,上記のとおり,あらかじめ使途,算出根拠を明らかにするものでもなく,納入業者が納入する商品の販売促進につながるなど,オープンセール協賛金の提供を通じて54社が得ることとなる直接の利益もないことからすると,金銭提供例外事由は認められない。
(b) 創業祭協賛金について
創業祭協賛金については,前記a(b)ⅰのとおり,取引先カード等に創業祭協賛金の提供に関する事前の取決めについて記載されていることがあったが,「都度商談」としか記載されていない場合があったり,取引先カード等に記載されている料率・条件とは異なる料率・条件が適用される場合があったりするなどといった事情が認められることから,被審人と86社との間で契約等での別段の定めがあったものとは認められないこと,前記a(b)ⅱのとおり,その算定方法は,個々の納入業者の取引の状況を考慮することなく,商品部ごとに一律の方法で定められたものであり,また,一部の商品部における平成23年の創業祭協賛金についての0.5パーセントという料率は,創業50周年にちなんだものであり,何ら経済合理的な理由は認められないこと,前記a(b)ⅳのとおり,被審人の《A1》専務らからの指示を受けた各商品部の仕入担当者が,その算出根拠や使途について具体的に説明することなく各自の担当する納入業者の担当者に対して要請し,金銭の提供を受けていたものであること,前記a(b)ⅵのとおり,その使途については,これを提供した納入業者が納入する商品の販売に結び付けて使用しておらず,納入業者に対する見返りもなかったものであることから,86社にとっては,本来提供する必要のないものである。
そして,上記のとおり,被審人は,あらかじめ使途,算出根拠を明らかにしておらず,納入業者が納入する商品の販売促進につながるなど,創業祭協賛金の提供を通じて86社が得ることとなる直接の利益もないことからすると,金銭提供例外事由は認められない。
(c) 前記(a)及び(b)によれば,本件協賛金の提供を受ける行為は,金銭提供例外事由には当たらず,その他特段の事情も認められないことから,不利益行為に該当すると認められる。
c  被審人の主張について
(a) 被審人は,納入業者は本件協賛金の算出根拠や使途について,被審人から説明を受けなくとも,本件協賛金を提供することの妥当性,合理性を十分に判断することができたものであり,また,創業祭協賛金の料率は,被審人と納入業者との間で必要な協議,交渉が行われたものであった旨(前記第5の1(2)イ(イ)a),本件協賛金の提供は,販売促進活動としての性質,年次リベートとしての意味合いなどを有していたものであり,納入業者にとって合理的と認められる範囲を超えた負担となるものではなかった旨(同b)及び納入業者は本件協賛金の提供を余儀なくされたものではない旨(同c)主張し,被審人の《A1》専務(審43)並びに54社及び86社の担当者(審28の1,審29の1,審30の1,審33の1,審35,審36の1)の陳述書の中には,これに沿う部分がある。
しかし,被審人が納入業者に要請した本件協賛金の金額の算出根拠は曖昧であり,個々の納入業者の取引の状況を考慮することなく商品部ごとに一律の方法で算定したものであった上,被審人の仕入担当者が,納入業者に対してオープンセール協賛金や創業祭協賛金の提供を要請するに当たり,その算出根拠や使途について具体的に説明することがなかったことは,前記a(a)ⅳ及び同(b)ⅳのとおりであり,納入業者において,被審人から説明を受けなくとも,本件協賛金を提供することの妥当性,合理性を十分に判断することができたとは認められない。
また,前記a(a)ⅵ及び同(b)ⅵで認定したところによれば,本件協賛金は,これを提供した当該納入業者の商品の販売に結び付けて使用されていたわけではなかった上,納入業者から提供された金銭は,提供を受けた商品部において本部の収益になるものなどとして取り扱われており,一部は特売品の値引き販売の原資や広告費用の補填に充当されていたものの,その余は創業祭等に係る費用に充当されておらず,被審人は,納入業者から本件協賛金の提供を受けるに当たり,当該納入業者に対して特段見返りを約束するものではなく,納入業者が本件協賛金を支払うことによって,被審人との取引量が増えたり,広告に自社商品を目立つように掲載されたりすることはなかったことからすると,本件協賛金の提供の要請に応じることにより納入業者が得ることとなる直接の利益は認められない。仮に,新規開店及び改装開店並びに創業祭によって納入業者の売上げが増加する可能性があるとしても,それは新規開店や改装開店自体及びその際のオープンセール,創業祭自体に集客効果があるためであり,納入業者が本件協賛金を提供したことによるものではないから,本件協賛金の提供を通じて納入業者が得ることとなる直接の利益とは認められない。
以上のほか,金銭提供例外事由その他特段の事情も認められないことから,納入業者は本件協賛金の提供を余儀なくされたものではないということはできない。
したがって,被審人の主張はいずれも採用できない。
(b) 被審人が主張するように(前記第5の1(2)イ(イ)d),54社等の中には,88社の報告書において,本件協賛金がこれを提供することによって得られる直接の利益の範囲内であったかについての設問に対して,選択肢②「直接の利益が協賛金等の提供額を上回る」を選択した者や,被審人の要請に応じて本件協賛金を提供した理由についての設問に対して,選択肢⑧「今後,ラルズに対して貴社が納入する商品の取引量・額の増加につながると判断したため」又は選択肢⑨「貴社が納入する商品の販売促進につながるなど,貴社が得ることとなる直接の利益が協賛金等の提供額を上回ると判断したため」を選択した者,本件協賛金の条件(協賛金等の算定率,算定対象期間,金額等)に対する納得の有無についての設問に対して,選択肢①「十分な協議を行ったので納得した」又は選択肢③「多くの時間をかけて協議を行わなかったが納得した」を選択した者がいる。(査396の1,査400の1等)
しかし,前記b(a)及び同(b)のとおり,本件協賛金の提供は,そのまま納入業者の負担となるものであり,本件協賛金の提供の要請に応じることにより納入業者が得ることとなる直接の利益は想定し難く,88社の報告書において,本件協賛金を提供することによって得られる直接の利益がその提供額を上回るとの選択肢を選択した者がいたとしても,これらの者が得たとする直接の利益の具体的な内容も明らかではなく,そのことだけで,上記認定は左右されるものではない。
また,54社等の中に本件協賛金の提供に応じることが今後の被審人との取引量,取引額の増加又は販売促進につながると考えた者がいたとしても,被審人は本件協賛金の提供を受けるに当たり納入業者に対して見返りを約束するものではなかったこと(前記a(a)ⅵ及び同(b)ⅵ)からすると,これは客観的裏付けのない当該納入業者の一方的な期待にすぎず,仮に,オープンセール及び創業祭によって納入業者の売上げが増加する可能性があると考えている納入業者がいたとしても,それはオープンセールや創業祭自体に集客効果があることによるものであり,本件協賛金の提供によるものではないから,いずれにしても本件協賛金の提供によって納入業者が得ることとなる直接の利益であるとは認められない。
さらに,前記a(a)ⅳ及び同(b)ⅳのとおり,被審人は,本件協賛金の算出根拠及び使途等について,あらかじめ54社等に対して明らかにしておらず,かつ,本件協賛金の提供を通じて54社等が得ることとなる直接の利益も想定し難いことから,88社の報告書において,本件協賛金の提供について,被審人との十分な協議等の結果,任意に本件協賛金を提供したという回答をしている者がいたとしても,当該納入業者が被審人との十分な協議の結果,本件協賛金を提供したとは認められない。
したがって,被審人の主張はいずれも採用できない。
(c) その他,被審人が主張するように(前記第5の1(2)イ(イ)b(b)),54社等の中には,創業祭協賛金は,年次リベート(1年ごとにその代金の一部を払い戻すもの)としての意味合いを有しており,被審人に商品を販売するに当たっては,創業祭協賛金を支払うことを想定して被審人への納入価格を決めていた旨供述する者もいる。(審28の1,審30の1)
しかし,創業祭協賛金について,《納入業者(64)》が「価格調整のためのリベートの一種」(審28の1),《納入業者(70)》が「代金の割戻し(リベート)」(審30の1)と認識していたとしても,前記a(a)ⅱ及び同(b)ⅱのとおり,被審人が納入業者に要請した本件協賛金の金額の算出根拠は曖昧であり,その算定方法は,個々の納入業者の取引状況を考慮することなく商品部ごとに一律であることに加え,《納入業者(64)》においては,創業祭協賛金とは別に価格調整のための月次リベート(1か月ごとにその代金の一部を払い戻すもの)を支払っていたこと(審28の1)から被審人の創業祭を名目とした年次リベートを重ねて支払う必要性は見いだし難いところ,同社の代表取締役が本件立入検査後,創業祭協賛金相当額については,その全額についてリベートに統一した旨供述している(《E1》参考人審尋速記録)といった事情からは,創業祭協賛金が「価格調整のためのリベートの一種」であったとは認め難く,これら2社が創業祭協賛金について上記の認識を有していたとしても,販売促進等の直接の利益が認められるわけではなく,創業祭協賛金についての金銭提供例外事由に該当するものではない。
したがって,被審人の主張は採用できない。
ウ 本件商品の購入
(ア) 取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を販売する行為が不利益行為に当たる場合
ある事業者と継続的な取引関係にある相手方が,自己の事業遂行上必要としない,又は,その購入を希望していないにもかかわらず,当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務(以下「不必要商品等」という。)をその事業者から購入することは,当該相手方にとって通常は何ら合理性のないことである。
したがって,事業者が,継続的な取引関係にある相手方に対し,不必要商品等の購入を要請し,これを相手方に販売する行為は,原則として,不利益行為に当たると解される。
もっとも,例外的に,相手方に対し特定の仕様を指示して商品の製造又は役務の提供を発注する際に,当該商品又は役務の内容を均質にするため又はその改善を図るため必要があるなど合理的な必要性から,当該相手方に対して当該商品の製造に必要な原材料や当該役務の提供に必要な設備を購入させる場合は,不利益行為には当たらないと解される。
以上のとおり,不必要商品等の販売については,上記の例外と認められるべき場合(以下「商品購入要請例外事由」という。)はあるものの,通常は相手方にとって何ら合理性のないことであるから,商品購入要請例外事由に当たるなどの特段の事情がない限り,不利益行為に当たると認めるのが相当である。
(イ) 本件に係る判断
a  認定事実
証拠によれば,18社の従業員等が本件商品を購入するに至る経緯については,以下の事実が認められる。
(a) 被審人における販売目標の設定
被審人が毎年3月頃及び9月頃に実施していた紳士服特別販売会の企画立案は,第8商品部が担当しており,同商品部において,紳士服特別販売会における被審人全体の販売目標のほか,各商品部を含む各部署の販売目標を設定することとされていた。
第8商品部は,紳士服特別販売会の開催の約2週間前に,被審人の従業員が参加して行われる朝礼において,出席した役員及び従業員に対し,それぞれの部署が担当する納入業者等に対して本件商品の購入を要請するよう依頼し,その後,上記販売目標を記載した一覧表を各商品部等に配布していた。
(査255,査256,査259,査260)
(b) 本件商品の購入の要請
遅くとも平成21年4月20日以降,納入業者に対して本件商品の購入を要請していたのは,被審人の第3商品部,第6商品部及び第7商品部(以下,まとめて「第3商品部等」ということがある。)である。
第3商品部等のGM及びバイヤー(以下「バイヤー等」という。)は,第8商品部から設定された前記(a)の販売目標を達成することができるよう,自らの所属する商品部が担当する納入業者ごとに購入数を割り振って,納入業者に対し,当該納入業者の購入すべき本件商品の数量を示して,その数量を購入するよう要請していた。例えば,第7商品部の《A5》GM(以下「第7商品部の《A5》GM」という。)は,平成23年8月26日,《納入業者(3)》の担当者に対し,「本年の紳士服特別販売会が9/9(金)-21(水)までラルズプラザ札幌店8F特別会場にて開催されます。今回は《納入業者(3)の会社名の記載》さんチームが担当になりますのでご協力をお願いします。尚,7着が目標着数となっています。」と記載した電子メール(査244)を送信し,同年9月10日にも,《納入業者(3)》の担当者に対し,「今回は《納入業者(3)の会社名の記載》さんチームが担当ですので21日(水)までに目標数を達成しますようお願いいたします。お買い上げの際には第7商品部《A5の姓の記載》,《A6の姓の記載》が紹介者であることをお伝えください。」と記載した電子メール(査245)を送信した。
(査243ないし査245,査248,査256ないし査259,査278ないし査280,査516,《D1》参考人審尋速記録)
(c) 販売目標の達成状況の管理
被審人が作成した紳士服特別販売会のパンフレットには,「ご紹介者カード」が同封されており,同カードは,紳士服特別販売会の会場にも用意されていた。
紳士服特別販売会の会場で本件商品を購入した者は,ご紹介者カードの「お名前」欄及び「ご勤務先」欄に氏名及び所属事業者を記載するほか,「ご紹介者」欄に本件商品の購入を要請した被審人の担当者名を記入することとなっており,第3商品部等のバイヤー等は,例えば,第7商品部の《A5》GMが《納入業者(3)》の担当者に対し,「お買い上げの際には第7商品部《A5の姓の記載》,《A6の姓の記載》が紹介者であることをお伝えください。」と記載した電子メール(査245)を送信したように,本件商品の購入を要請した納入業者に対し,「ご紹介者」欄に当該バイヤー等の所属する商品部及び当該バイヤー等の名前を記載する,又は,本件商品を購入する際にこれを申し出るよう要請していた。
第8商品部は,上記カードを回収することにより,第3商品部等に対して設定した販売目標の達成状況を把握し,その結果を一覧表に取りまとめて第3商品部等のGMに報告し,上記販売目標を達成できるよう協力を求めていた。
(査245ないし査247,査256,査258ないし査260,査279)
(d) 納入業者に対する再度の要請
第3商品部等では,前記(c)の一覧表により,前記(b)の購入すべき数量を達成していない納入業者を把握し,かかる納入業者に対しては,その時点での各商品部の目標達成状況を伝えるなどして,本件商品の購入を再度要請していた。例えば,第7商品部の《A5》GMは,平成23年9月19日,第8商品部からの第3商品部宛ての目標達成状況についての電子メールを転送する方法により,《納入業者(3)》の担当者に対し,「第7商品部(ラルズ)の《A5の姓名の記載》です。以下のメールを転送します。『いつもお世話になっています。紳士服キャンペーンの進捗をご案内いたします。9/21までのキャンペーン期間があと3日で終了となりますが,日用品チームの実績が1.8のままで停滞中です。あと3日で何とか予算必達をお願いします。』(審決注:『』内は転送された電子メール〔第8商品部の紳士服の担当者から第7商品部の《A5》GM宛てのもの〕である。)」と記載した電子メール(査249)を送信した。(査244,査245,査248,査249,査256ないし査259,査273,査278)
(e) 18社の従業員等による本件商品の購入
18社の従業員等は,本件対象期間に,被審人のバイヤー等からの要請を受けて,別紙4の「購入要請」欄記載のとおり,本件商品を購入した。
18社の従業員等が購入した本件商品の数量(ただし,《納入業者〔79〕》を除く。)は,被審人のバイヤー等から要請された数量と同数又はそれ以上であった。また,《納入業者(79)》の従業員は,平成23年に被審人のバイヤー等から,同社が被審人に販売する商品の仕入先である食品メーカー(以下「帳合メーカー」という。)と同社とで紳士用スーツを合計5着購入するよう要請されたのに対し,帳合メーカーと協力して,自身で1着及び帳合メーカーで4着を購入することにより,同要請に応じたように,帳合メーカーと協力して,被審人のバイヤー等からの購入要請に対応していた。
18社の従業員等は,被審人のバイヤー等から上記のとおり要請を受けたこと,自身の勤務先である会社が被審人と取引関係にあり,被審人に商品を販売していることを考慮して,被審人のバイヤー等の要請どおり本件商品を購入した。
なお,《納入業者(21)》の《D1》は,被審人のバイヤー等から本件商品の購入要請があったときは必ず購入していたが,同要請がなくなってからは購入しなくなった。
被審人は,18社の従業員等に本件商品を販売するに当たり,18社又は18社の従業員等に対し,特段見返りを約束するものではなかった。
(査2,査250ないし査254,査256,査273,査278,査280,《D1》参考人審尋速記録)
b  18社の従業員等に本件商品を販売する行為は不利益行為に該当すること
(a) 被審人は,納入業者ごとに購入数を割り振り,納入業者に対し,当該納入業者の購入すべき本件商品の数量を示して,その数量を購入するよう要請し(前記a(b)及び同(d)),18社の従業員等も,被審人のバイヤー等から上記要請を受けたこと,自身の勤務先である会社が被審人と取引関係にあり,被審人に商品を販売していることを考慮して,被審人の要請どおり本件商品を購入したものである(前記a(e))。
以上の事実関係によれば,被審人が継続して取引する相手方である18社に対して本件商品の購入を要請し,18社が同要請どおり本件商品を購入したものと評価することができる。
(b) 本件商品は,一般消費者向けに販売されるものであり,被審人と18社との取引に係る商品ではなく,18社の事業遂行上必要としないものであり,また,被審人は,前記aのとおり,販売目標を設定し,販売目標の達成状況を管理するなど組織的かつ計画的に,第3商品部等のバイヤー等が,自己が担当する納入業者である18社に対し,本件商品の購入を要請したものであり,第3商品部等のバイヤー等が18社に対して,繰り返し本件商品の購入を要請するなどした結果,18社が本件商品を購入したことからすれば,18社は自発的に本件商品の購入を希望していたものとは認められず,本件商品は,18社にとって不必要商品等であった。
(c) そして,被審人が本件商品を18社に販売する行為については,商品購入要請例外事由には該当せず,その他特段の事情は認められないことから,不利益行為に該当するものと認められる。
c  被審人の主張について
(a) 本件商品を購入したのは取引の相手方である18社ではなくその従業員等であったとの主張について
被審人は,本件商品を購入したのは取引の相手方である18社ではなく,その従業員その他の関係者であった旨主張する(前記第5の1(2)イ(ウ)a)。
しかし,被審人が18社の従業員等に対して本件商品を販売した行為が,被審人が継続して取引する相手方である18社に対して本件商品の購入を要請し,18社が同要請どおり本件商品を購入したものと評価できることについては,前記b(a)のとおりであるから,被審人の主張は採用できない。
(b) 本件商品の購入依頼は不合理ではない等との主張について
被審人は,本件商品の小売業を営む被審人が取引先に対して自社商品の購入依頼を行うことは,本件商品の性質及びその商品価値などからすると,何ら不合理ではない旨(前記第5の1(2)イ(ウ)b)及び被審人と納入業者とは,それぞれの需要に応じて協力できる範囲で協力し,購入を余儀なくさせるようなことはしない,という関係にあったものであり,そのような関係の下,納入業者が被審人の営業活動に最大限協力した結果として,被審人において設定した販売目標が常に達成されていたのであり,そこに不合理な点はない旨(同c)主張する。
たしかに,被審人の紳士服特別販売会の案内が,一般的な販売促進活動の一環といえる範囲のものであれば,許容される場合もあるといえる。しかし,前記aのとおり,被審人は,第3商品部等のバイヤー等において,第8商品部から設定された販売目標を達成することができるよう,自らの所属する商品部が担当する納入業者ごとに購入数を割り振って,当該バイヤー等が,納入業者に対し,当該納入業者の購入すべき本件商品の数量を示して,その数量を購入するよう要請していたということ,しかも,複数回にわたって納入業者に対して本件商品の購入を電子メール等で要請したり,販売目標の達成状況の管理等を行ったりしたものであること,また,実際にも《納入業者(21)》の《D1》は,被審人の要請がなくなってから被審人から本件商品を購入しなくなったこと等の認定事実によれば,被審人が行った行為は,一般的な販売促進活動の一環として許容される範囲を超えるものであり,その結果として被審人において設定した販売目標が常に達成されていたと評価することは困難である。
なお,仮に,本件商品が被審人の主張するような商品価値を有するとしても,上記判断を左右するものではない。
以上のとおり,被審人の主張は採用できない。
(c) その他の主張について
被審人が主張するように(前記第5の1(2)イ(ウ)c),18社の中には,88社の報告書において,被審人の要請に応じて本件商品を購入した理由についての設問に対して,選択肢⑧「今後,ラルズに対して貴社が納入する商品の取引量・額の増加につながると判断したため」を選択した者がいるが,前記a(e)のとおり,被審人は,本件商品を販売するに当たり,18社又は18社の従業員等に対し,特段見返りを約束していなかったのであるから,仮に,18社の中に本件商品を購入することが今後の被審人との取引量,取引額の増加につながると考えた者がいたとしても,これは客観的裏付けのないその者の一方的な期待にすぎず,被審人の主張は採用できない。
また,被審人が主張するように(前記第5の1(2)イ(ウ)c),88社の報告書において,被審人の要請に応じて商品を購入したことの有無についての設問に対して,本件商品を購入した事実を挙げていない者もいるが,被審人の本件商品の購入要請に応じて,18社が本件商品を購入したことは,前記a(e)のとおりであり,88社の報告書において,上記設問に対して,本件商品を購入した事実を挙げていない者がいることだけで,この認定は否定されるものではないことから,被審人の主張は採用できない。
エ 小括
以上のとおり,本件各行為は,いずれも不利益行為に該当するものと認められる。
なお,被審人は,ほかにも本件各行為が不利益行為(被審人の主張によれば「濫用行為」)に該当しない理由を縷々主張するが,いずれも特段の事情に該当するものとは認められず,かかる主張は採用できない。
(5) 88社が不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様等
ア 前記(4)に認定した不利益行為を88社が受け入れるに至った経緯や態様についてみれば,次のようにいうことができる。
まず,被審人は,消費者に販売するために商品を納入業者から購入する大規模な小売業者であり,他方で88社は,自ら製造しあるいは自ら仕入れた商品を,被審人に販売する納入業者であって,88社に対する前記認定の不利益行為は,このような被審人によるいわゆるバイイングパワーが発揮されやすい取引上の関係(「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」の運用基準〔平成17年6月29日公正取引委員会事務総長通達第9号〕「はじめに」の1参照)を背景としたものである。
そして,このような背景の下,前記認定の不利益行為は,前記(4)ア(イ)a,同イ(イ)a及び同ウ(イ)aのとおり,88社という多数の取引の相手方に対して,遅くとも平成21年4月20日から平成24年3月13日までの長期間にわたり,被審人の利益を確保することなどを目的として,役員等の指示の下,組織的かつ計画的に一連のものとして行われたものである。
このことは,殊に次のような事実からも明らかである。すなわち,被審人は,
① 第2商品部等のGMからの指示に基づき,本件開店準備作業等の必要が生じる都度,恒常的に,納入業者に対し本件従業員等派遣を要請しており,一部の商品部においては,個々の納入業者に直接要請するのではなく,バイヤーが特定の納入業者に取りまとめを行わせ,当該納入業者を介して多数の納入業者から本件従業員等派遣を受けていた(前記(4)ア(イ)a)。
② 営業本部長と商品統括部長を兼務し,仕入担当者に対して仕入業務全般について指示する立場にあった《A1》専務の指示などにより,納入業者に対し,オープンセールといったスポット的なイベントにあってはその都度慣例的に,創業祭といった毎年恒例のイベントにあっては定期的に,算出根拠に合理性のない本件協賛金の提供を要請しており,その結果,多数の納入業者から,ほぼ要請金額どおりの本件協賛金の提供を受けていた(同イ(イ)a)。
③ 紳士服特別販売会を企画立案する第8商品部において,本件商品の販売目標を設定した上,第3商品部等に対して各商品部が担当する納入業者に本件商品の購入要請を依頼しており,これを受けた第3商品部等においては,担当する納入業者に対し,納入業者ごとに購入数を割り振って本件商品の購入を要請していたところ,例えば,納入業者に対する電子メールにおいて,「今回は《納入業者(3)の会社名の記載》さんチームが担当になりますのでご協力をお願いします。尚,7着が目標着数となっています。」,「今回は《納入業者(3)の会社名の記載》さんチームが担当ですので21日(水)までに目標数を達成しますようお願いいたします。」などと伝達し,個々の納入業者の事情に関わらず,一律かつ一方的に,決定事項を伝達する形で本件商品の購入を迫っており,要請を受けた納入業者の従業員等によって,当該要請にかかる数量と同数又はそれ以上の本件商品が購入された(同ウ(イ)a)。
イ 以上のような不利益行為を88社が受け入れるに至った経緯や態様は,それ自体,被審人が納入業者一般に対してその意に反するような要請等を行っても,一般的に甘受され得る力関係にあったことを示すものであるから,前記(3)ウにおいて被審人の88社に対する取引上の地位を判断する際に考慮したとおり,前記認定の不利益行為を受け入れていた納入業者については,被審人が著しく不利益な要請等を行ってもこれを受け入れざるを得ないような場合にあったことをうかがうことができる。
(6) 優越的地位の濫用に該当するか
ア 前記(3)のとおり,被審人の取引上の地位は88社に対して優越していたことが認められ,また,前記(4)のとおり,被審人は88社に対して不利益行為を行っていたことが認められることからすると,通常は,被審人の88社に対する上記行為は,優越的地位を利用して行われたものと認められ,本件においてはこれに反するような事情は見当たらず,88社は自由かつ自主的な判断によって不利益行為を受け入れたとはいえないことから,被審人は,正常な商慣習に照らして不当に上記行為を行ったものと認めるのが相当である。
したがって,被審人は,本件対象期間中,自己の取引上の地位が88社に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に独占禁止法第2条第9項第5号イ及びロ(改正法の施行日前については,旧一般指定第14項第1号及び第2号)に該当する行為を行っていたものであり,当該行為は,優越的地位の濫用に該当すると認められる。
イ ところで,被審人は,審決案に対する異議申立書において,当時の北海道における商慣習が審査官により立証されていない,また,納入業者及び被審人の競争事業者の陳述によれば,少なくとも従業員等派遣と創業祭協賛金の提供は,当時の北海道における正常な商慣習に照らして不当とはいえないと主張する。
しかし,「正常な商慣習」とは,公正な競争秩序の維持・促進の立場から是認されるものをいい,現に存在する商慣習に合致しているからといって,直ちにその行為が正当化されることにはならない。(優越ガイドライン第3参照)
そして,前記(4)ア(イ)b及び同イ(イ)b(b)にそれぞれ認定した事実を踏まえれば,被審人による本件従業員等派遣を受ける行為及び本件創業祭協賛金の提供を受ける行為は,公正な競争秩序の維持・促進の立場から是認されるものとは到底いえないことが明らかであり,北海道においてかかる商慣習が現に存在するか否か,あるいは被審人による上記の行為がかかる商慣習に合致しているか否かについては論じるまでもない。
仮に,北海道の区域内において,被審人による本件各行為と同態様の商慣習が存在していたとしても,それは「正常な商慣習」に反するものといわざるを得ず,かかる商慣習に合致しているからといって,被審人による本件各行為が正当化されることにはならない。
したがって,被審人の上記主張は採用できない。
(7) 本件各行為は独占禁止法上一つの優越的地位の濫用に該当するか
優越的地位の濫用規制の趣旨(前記(1))に照らせば,独占禁止法第2条第9項第5号又は旧一般指定第14項(第1号ないし第4号)に該当する不利益行為は,これが複数みられるとしても,また,複数の取引先に対して行われたものであるとしても,それが組織的,計画的に一連のものとして実行されているなど,それらの行為を行為者の優越的地位の濫用として一体として評価できる場合には,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されると解するのが相当である(トイザらス事件審決参照)。このことは,独占禁止法第2条第9項第5号の規定が,優越的地位を利用して,次のいずれかに該当する行為をすることとしてイないしハの行為を規定していることから,優越的地位の濫用について,一つの地位に基づいて,少なくともいずれかの行為を行えば成立することを予定していることからもこのように解される。
これを本件についてみるに,本件各行為がなされた経緯等については,前記(4)ア(イ)a,同イ(イ)a及び同ウ(イ)aのとおりであり,被審人は,88社という多数の相手方に対して,遅くとも平成21年4月20日から平成24年3月13日までの長期間にわたり,自社の利益を確保することなどを目的として,役員等の指示の下,組織的かつ計画的に一連のものとして,本件各行為を行ったものである。
したがって,本件各行為は,優越的地位の濫用として一体として評価することができ,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されることになる。
2 争点2(本件における違反行為期間)について
(1) 本件における違反行為期間
ア 違反行為期間の捉え方について
優越的地位の濫用規制の趣旨(前記1(1))に照らせば,独占禁止法第2条第9項第5号又は旧一般指定第14項(第1号ないし第4号)に該当する濫用行為を行為者の優越的地位の濫用として一体として評価できる場合には,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されることになり,課徴金算定の基礎となる違反行為期間についても,それを前提にして,不利益行為が最初に行われた日を当該行為をした日とし,不利益行為がなくなったと認められる日を当該行為がなくなる日とするのが相当である。(トイザらス事件審決参照)
これを本件についてみると,本件各行為は,前記1(7)のとおり,独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されるものといえるから,これを前提として,本件各行為が最初に行われた日を当該行為をした日,本件各行為がなくなったと認められる日を当該行為がなくなる日とすることになる。
イ 当該行為をした日
独占禁止法上一つの優越的地位の濫用となる本件各行為のうち最も古いものは,平成21年4月24日のスーパーアークス長都店の新規開店に際し,被審人が88社の一部に対し,商品の陳列等の作業を行わせるために従業員等の派遣を要請し,同月20日に当該納入業者の従業員等に商品の陳列等の作業を行わせたことである。(査2)
したがって,当該行為をした日は,遅くとも,被審人が上記役務を提供させた日である平成21年4月20日である。
ウ 当該行為がなくなる日
(ア) 認定事実
証拠によれば,本件立入検査後の状況として,以下の事実が認められる。
a  本件立入検査
平成24年1月17日に本件立入検査がなされた(前記第3の5(1))。
b  本件立入検査の翌日(1月18日)の状況
(a) 「公正取引推進委員会設立趣意書」と題する文書の配布
被審人は,平成24年1月18日頃,従業員に対して,代表取締役会長《A3》名義で同月18日付け「公正取引推進委員会設立趣意書」と題する文書を配布した。同文書には,「公正取引に関する㈱ラルズの取組を再度見直し,新たな取組策を創り上げること」を目的として「公正取引推進委員会」を設立したこと等が記載されていた。(査2,争いがない)
(b) 《新聞名略》朝刊の記事
平成24年1月18日,《新聞名略》朝刊に本件立入検査がなされたことの記事が掲載された。同記事には,本件立入検査当日に取材を受けた《A3》会長の一問一答形式の発言が含まれており,《A3》会長の発言として「誤解の可能性もある。公取委の検査の結果,もしも何らかの問題があるのなら,再発防止に全力を挙げなければならない」と記載されていた。(審17)
(c) 「公正取引委員会立ち入り検査(間接強制)に関する報告書」と題する電子メールの送付
被審人の《A4》常務は,後記dの経営会議に先立つ平成24年1月18日に「公正取引委員会立ち入り検査(間接強制)に関する報告書」を経営会議の出席者に電子メールで送信した。同報告書には,「被疑事実の要旨」として,本件各行為に相当する行為等の疑いが持たれている旨記載されていた。(審18,審41)
c  平成24年1月20日頃の《A3》会長名義の文書の従業員への配布
平成24年1月20日頃,被審人は,従業員に対して,《A3》会長名義で同月20日付け「ラルズへの公正取引委員会の立入り検査について」と題する文書を配布した。同文書には,本件立入検査を受けたこと,「当社は従来から取引先への対応で法令順守を徹底するよう指導しており,違反はないものと信じております。また全社を挙げて検査にも協力しております。違反かどうかの線引きは非常に難しいと思いますが,検査の結果,何等かの誤解や問題があるのであれば,それを真摯に受け止め,再発防止に全力を挙げて取り組むつもり」であること,従業員には「普段通り堂々と胸を張って,仕事をしていただきたい」と思っていること及び同日付けで「公正取引推進委員会」を設立したこと等が記載されていた。(査261)
d  平成24年1月23日の経営会議及び同月28日の電子メール
被審人は,平成24年1月23日に経営会議を開催した。同経営会議において,公正取引推進委員会において新たにルールを策定するまでは,公正取引委員会から疑いをかけられている行為を勝手に行わないこと等を各部署に対して周知することとされ,同月28日に電子メールにより同経営会議における《A3》会長の発言記録が各部署に対して周知された。同発言記録には「起きたことに対しては正々堂々と確りと受け止め改善し」,「問題となる行為は即刻中止,厳禁とする」旨の記載とともに,「異議あるものについては異議を申し立てる」,「結果が出た場合は,それによって抗議すべきものはするし,対応するものはする」旨の記載も含まれていた。(査262,審19の1ないし3)
e  本件立入検査後の創業祭協賛金の提供①
被審人は,本件立入検査の日より前に,《納入業者(1)》,《納入業者(3)》,《納入業者(6)》,《納入業者(21)》,《納入業者(26)》,《納入業者(54)》,《納入業者(57)》,《納入業者(79)》,《納入業者(80)》,《納入業者(86)》及び《納入業者(88)》の11社(以下「《納入業者(1)》ら11社」という。)に対し,平成23年の創業祭協賛金の提供を要請していたところ,同要請の支払期限がいずれも本件立入検査の日より後であった。
平成24年1月31日に《納入業者(86)》が50万円,同年2月29日に《納入業者(1)》,《納入業者(3)》,《納入業者(21)》,《納入業者(26)》,《納入業者(57)》,《納入業者(79)》,《納入業者(80)》が合計2950万円を振り込んで支払った。
(争いがない)
f  被審人の紳士服販売キャンペーンにおける対応
被審人のラルズプラザ札幌店の《A7》は,同店で実施する紳士服販売キャンペーンに際し,平成24年2月22日,各商品部のバイヤー等を含む被審人の従業員に対し,「紳士服 キャンペーン販売に関しての厳守事項」と称する文書を電子メールで送信した。同文書には,「①お取引先へのアプローチの禁止」,「・口頭,電話,メール等による案内も一切できません」との記載があったほか,「3.バイヤー(仕入に関わる人。衣料以外も該当),及び他の部署の社員も上記に準じての対応をお願いします」との記載があった。(審20の1ないし3)
g  平成24年3月14日の取締役会等
被審人は,平成24年3月14日,取締役会を開催した。同取締役会においては,被審人の《A3》会長から「公正取引委員会の検査を受け,疑いをかけられている行為の取りやめについて取締役会の決議という形をとることをしっかり理解して欲しい」との発言があったほか,被疑事実に係る行為の取りやめ及び再発防止に関する決意表明並びにその文書を取引先へ送付することについて出席取締役全員の賛成により承認可決された。
被審人は,同日に仕入担当者の大半が出席した独占禁止法に係る社内研修において,本件取締役会決議の内容について周知を行った。
また,被審人は,上記決議に基づいて,同日,取引先である納入業者に対し,被疑行為を取りやめることを内容とする《A3》会長及び《A2》社長名義の「公正取引に関する御報告(被疑行為の停止について)」と題する文書を送付した。
(査2,査262,《A4》参考人審尋速記録)
h  本件立入検査後の創業祭協賛金の提供②
前記eの協賛金について,平成24年3月21日に《納入業者(54)》が500万円,同月30日に《納入業者(6)》及び《納入業者(88)》が合計140万円を振り込んで支払った。(争いがない)
i  創業祭協賛金の返金
被審人は,平成25年4月1日に審査官から本件立入検査後に上記協賛金が支払われている旨の指摘を受け,同月5日に《納入業者(1)》ら11社に対して前記e及びhの協賛金を返還した。(争いがない)
j  本件各行為に係る要請
本件立入検査以後,被審人により,本件各行為に係る要請は行われていない。(争いがない)
(イ) 判断
a  「当該行為がなくなる日」について
独占禁止法第20条の6に規定する「当該行為がなくなる日」とは,「当該行為」,すなわち「第19条の規定に違反する行為(第2条第9項第5号に該当するものであつて,継続してするものに限る。)」がなくなったと認められる日である。そして,本件における「当該行為」は,前記1(7)のとおり,被審人が組織的かつ計画的に一連のものとして実行されていることから,一体のものとして評価される違反行為であり,この一体として評価される違反行為がなくなったと認められる日が,本件における「当該行為がなくなる日」である。
b  検討
組織的かつ計画的に一連のものとして行われた違反行為について,①違反行為者の代表者のようにしかるべき地位にある者が,継続して行われていた違反行為に該当する行為を今後禁止する旨の意思決定を行い,かつ,役員及び従業員等に周知した場合,又は,②違反行為者の事業活動上の意思決定機関が同様の意思決定を行い,かつ,従業員等に周知した場合に該当する事情があれば,通常は,違反行為はなくなったと判断される。
ただし,優越的地位の濫用行為は,違反行為者が取引の相手方に対して不利益な要請を行い,これに応じさせる態様を含む違反行為であるから,既に違反行為者が取引の相手方に対して不利益な要請を行っており,当該取引の相手方においてこれに応じる可能性があるような場合には,上記①又は②として違反行為がなくなったと判断されるためには,単に違反行為者の内部において不利益な要請を今後行わない旨の意思決定をし,これを違反行為者の内部に周知するだけでは足りず,さらに,既に違反行為者が行った不利益な要請に対して,当該要請の相手方においてこれに応じることがないような対策(例えば,ⓐ当該要請の相手方に対して,当該要請に応じる必要がない旨を周知することや,ⓑ自社の従業員等に対し,当該相手方が要請に応じてきた場合にはこれを受け入れてはならないことを徹底することなど)を伴う必要がある。
これを本件についてみるに,前記(ア)bないしdのとおり,被審人は,本件立入検査の翌日である平成24年1月18日頃には,《A3》会長名義の「公正取引推進委員会設立趣意書」を,また,同月20日頃には,同会長名義の「ラルズへの公正取引委員会の立入り検査について」と題する文書を,それぞれ従業員に配布して,公正取引推進委員会の設立を明らかにし,さらには,同月23日の経営会議において,上記委員会が新たにルールを策定するまでは,公正取引委員会から疑いをかけられている行為を勝手に行わないこと等を各部署に対して周知することとし,同月28日には電子メールにより同経営会議における《A3》会長の発言記録を各部署に対して周知したなどの事実がうかがえる。
しかし,前記(ア)eに摘示したように,既に被審人が行っていた平成23年の創業祭協賛金の提供の要請に対し,本件立入検査の日以降,納入業者においてこれに応じる可能性があったことからすると,本件違反行為がなくなったというためには,上記協賛金の提供という不利益な要請に対して,当該要請の相手方である納入業者において,これに応じることがないような対策を伴う必要がある。
この点,被審人の平成24年1月28日までの一連の取組からは,これらをもって被審人が主張する本件中止行為があったといえるか否かは措くとしても,既に被審人が行った不利益な要請に対して,相手方である納入業者がこれに応じることがないような対策を講じていたとはうかがえない。このことは,前記(ア)eのとおり,その後の同月31日や同年2月29日に,複数の納入業者が被審人からの創業祭協賛金の要請に応じていたことからみても明らかである。
他方,前記(ア)gのとおり,被審人は,同年3月14日の取締役会において,被疑事実に係る行為の取りやめ及び再発防止に関する決意表明並びにその文書を取引先へ送付することに関する本件取締役会決議を行っており,同日,取引先である納入業者に対し,上記決議に係る文書を送付したことがうかがわれる。
そうだとすれば,納入業者に対して上記文書を送付したにもかかわらず,前記(ア)hのとおり,その後の同月21日や30日にも,一部の納入業者から創業祭協賛金の振込みがあったとはいうものの,被審人としては,本件取締役会決議と上記文書の送付をもって,既に被審人が行った不利益な要請に対して,納入業者がこれに応じることがないような対策を講じたということができるから,本件取締役会決議(及びその社内周知)と納入業者に対する上記文書の送付は,上記②の事情に該当するものといえる。
したがって,本件違反行為は平成24年3月14日以降,取りやめられており,本件における独占禁止法第20条の6の「当該行為がなくなる日」は,平成24年3月13日と認めることができる。
(ウ) 被審人の主張について
a  被審人は,本件各行為が優越的地位の濫用として一体として評価されるものではないこと,独占禁止法第20条の6の規定ぶり等に照らすと,違反行為は相手方ごとに認定されるべきである旨主張する(前記第5の2(2)ア)。
しかし,本件各行為が独占禁止法上一つの優越的地位の濫用として規制されるものであることについては,前記1(7)のとおりであり,被審人の主張は前提を誤るものであって,採用できない。
b  被審人は,「当該行為がなくなる日」は平成24年1月17日であると主張し,同月18日に,被審人が本件違反行為を行う可能性は失われており,その理由として,(ⅰ)同月17日以降,本件各行為に係る要請を行っていないこと,(ⅱ)同日,本件中止決定がなされたこと,(ⅲ)翌日18日には,少なくとも本件中止決定を基に本件立入検査において疑いを持たれている行為を即刻中止することなどの方針が被審人社内で広く共有されたことを主張する(前記第5の2(2)ウ(イ))。
上記(ⅰ)については,本件各行為に係る要請が行われていないとしても,それだけで「当該行為がなくな」ったと認定することはできない。
また,上記(ⅱ) 及び(ⅲ)については,仮に被審人において本件中止決定が行われたとしても,既に被審人が行った不利益な要請に対して,納入業者がこれに応じることがないような対策を講じたと認められないことは,前記(イ)bのとおりであるから,これらの事情をもって,「当該行為がなくな」ったと認定することはできない。
したがって,被審人の主張は採用できない。
c  《納入業者(1)》ら11社は本件立入検査の日以降に被審人に対して創業祭協賛金を支払っているが,被審人はその事実を見落としていたにすぎず,本件違反行為の結果として積極的にこれを受領したものではないから,創業祭協賛金を受領したことをもって本件違反行為の結果が発生したと評価すべきではない旨主張する(前記第5の2(2)ウ(イ))。
しかし,本件における「当該行為がなくなる日」は,前記(イ)bのとおり判断されるものであり,被審人が,本件立入検査後に創業祭協賛金を受領したことだけを取り上げて本件違反行為が終了していないと判断したものではない。このことは,本件取締役会決議の後にも創業祭協賛金の提供が行われたことが認められるところ(前記(ア)h),このことをもって,本件違反行為が継続していたと認めるものではないことからも明らかである。
したがって,被審人の主張は採用できない。
(2) 本件における課徴金算定期間の始期
ア 本件各行為は,優越的地位の濫用として一体として評価することができることから,その違反行為期間は,本件対象期間,すなわち平成21年4月20日から平成24年3月13日までとなる(前記(1))。
また,改正法附則第5条は,独占禁止法第20条の6に規定する違反行為(優越的地位の濫用はこれに該当する。)について同規定による課徴金の納付を命ずる場合において,当該違反行為が改正法の施行日である平成22年1月1日前に開始され,施行日以後になくなったものであるときは,当該違反行為のうち施行日前に係るものについては,課徴金の納付を命ずることができないと規定している。
したがって,本件違反行為について課徴金の納付を命ずる場合,課徴金算定期間の始期は改正法の施行日である平成22年1月1日となると解するのが相当である。
イ 被審人の主張について
被審人は,課徴金算定期間の始期は,改正法の施行日である平成22年1月1日以降に初めて違反行為を行った後,その結果が発生した日となると主張する(前記第5の2(2)イ)。
しかし,被審人の主張は,その前提とするところが,改正法附則第5条は施行日前から違反要件規定が存在した独占禁止法第7条の2第4項についてのみ意味を持ち,改正法施行日前に存在しなかった独占禁止法第2条第9項第5号等の課徴金対象となる違反行為については空振りの規定ということになってしまうというものであり,経過措置に係る解釈として不合理であることは明らかというべきであり,採用できない。
3 結論
(1) 本件排除措置命令について
被審人は,前記1のとおり,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,①継続して取引する相手方に対して,当該取引に係る商品以外の商品を購入させ,②継続して取引する相手方に対して,自己のために金銭又は役務を提供させていたものであり,この行為は,独占禁止法第2条第9項第5号イ及びロ(改正法の施行日である平成22年1月1日前においては旧一般指定第14項第1号及び第2号)に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するものと認められる。
また,被審人は,平成24年3月14日以降,本件違反行為を行っていないが(前記第3の5(3)),本件違反行為が長期間にわたって行われていたこと,本件違反行為の取りやめが公正取引委員会の審査開始を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,被審人については,特に排除措置を命ずる必要がある(独占禁止法第20条第2項,第7条第2項)と認められる。
よって,本件排除措置命令は相当である。
(2) 本件課徴金納付命令について
被審人は,前記(1)のとおり,独占禁止法第19条の規定に違反する行為(同法第2条第9項第5号に該当するもの)を行ったものであり,この行為は繰り返し行われたものであること(前記第3の3)から,これが「継続してするもの」(同法第20条の6)に該当することは明らかである。
また,本件対象期間である平成21年4月20日から平成24年3月13日までのうち平成22年1月1日以降の被審人の88社それぞれとの間の購入額を独占禁止法施行令第30条第2項の規定に基づき算定した金額は,別紙2の「購入額」欄記載のとおりであり(前記第3の4),その合計額は1287億1385万942円である。
したがって,被審人が国庫に納付しなければならない課徴金の額は,独占禁止法第20条の6の規定により,上記1287億1385万942円に100分の1を乗じて得た額から,同法第20条の7において準用する同法第7条の2第23項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて算出された,12億8713万円となる。
よって,被審人に対してこれと同額の課徴金の納付を命じた本件課徴金納付命令は相当である。
第7 法令の適用
以上のとおり,本件各命令はいずれも相当であり,被審人の本件審判請求はいずれも理由がないから,独占禁止法第66条第2項及び規則第78条第2項の規定により,主文のとおり審決する。

平成31年3月25日

委員長  杉  本  和  行
委 員  山  本  和  史
委 員  三  村  晶  子
委 員  青  木  玲  子
委 員  小  島  吉  晴








【別紙3及び4省略】

別紙5
《納入業者(1)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(1)》は,公正取引委員会の報告命令における,平成20年1月1日時点の被審人が北海道地区における食品スーパーの分野において有力な地位にあるかの認識の有無についての設問(以下「被審人有力地位認識設問」という。)に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人の店舗数が多いこと(以下「多店舗数」という。),②被審人が北海道の区域内における食品スーパーの分野において売上高が上位3位以内に入るような事業者であること(以下「売上高上位3位以内」という。),③被審人が消費者に人気があり集客力の高い食品スーパーであること(以下「消費者人気スーパー」という。)を選択している。(査4)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(1)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する菓子を主に納入していた。同社は,平成17年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であった。同社の平成21年1月1日に始まり同年12月末日に終わる事業年度,平成22年1月1日に始まり平成23年3月末日に終わる事業年度及び平成23年度の3事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であった。(査4)
(2) 各事業年度における被審人に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度はいずれも約11パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。
《納入業者(1)》は,公正取引委員会の報告命令における,平成20年1月1日時点の被審人に対する取引依存度が他の取引先に比して高いとの認識の有無についての設問(以下「高取引依存度認識設問」という。)に対し,「はい」を選択している。
(査4)
(3) 《納入業者(1)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は主に札幌及び室蘭。以下,「第1 《納入業者(1)》」の項目において,単に「《略》支社」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度はそれぞれ,約16パーセント,約15パーセント,約15パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査4)
(4) 《納入業者(1)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支社を含めて5拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》支社であった。
《納入業者(1)》は,公正取引委員会の報告命令における,平成20年1月1日時点の被審人と取引を行っている営業拠点が重要な拠点であるとの認識の有無についての設問(以下「営業拠点重要性認識設問」という。)に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①当該営業拠点の売上高を他の営業拠点で補うことは難しいこと(以下「売上高補填困難」という。),②当該営業拠点の売上高は同社の他の営業拠点に比して同社の総売上高に占める割合が高いこと(以下「売上高高割合」という。),③当該営業拠点の管轄する地区では安定した売上高が見込めること(以下「売上高安定」という。),④当該営業拠点は将来の成長が期待できること(以下「営業拠点成長期待」という。)を選択している。
(査4)
(5) 《納入業者(1)》は,公正取引委員会の報告命令における,平成20年1月1日時点の営業拠点における被審人との取引の必要性の有無の認識についての設問(以下「営業拠点取引必要性認識設問」という。)に対し「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①当該営業拠点において被審人に対する取引依存度が他の取引先に比して高いこと(以下「高営業拠点取引依存度」という。),②被審人が北海道地区における食品スーパーの分野において有力な地位にあること(以下「被審人有力地位」という。),③当該営業拠点において被審人との取引を他の取引先で代替することは容易ではないこと(以下「取引先代替非容易」という。),④被審人は成長を期待できること(以下「被審人成長期待」という。)を選択している。(査4)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(1)》は,公正取引委員会の報告命令における,平成20年1月1日時点の被審人との取引を他の取引先で代替することが容易でないとの認識の有無についての設問(以下「取引先代替非容易認識設問」という。)に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人に代わり得る新たな取引先を見つけることができないこと(以下「新規取引先発見不可」という。),②被審人との取引を補える程度に他の取引先との取引を増やすことができないこと(以下「他取引先取引増加不可」という。)を選択している。
また,《納入業者(1)》の《略》支社《略》は,①同社が被審人との取引を失った場合にそれを回復できるだけの取引規模を持った取引先としては,《事業者C》と《事業者B》があるが,前者とは既に取引をしており,後者については,《納入業者(1)》の親会社が既に取引を行っていることから新規に取引を開始することができず,《納入業者(1)》としては被審人との取引を失った場合,それを回復することはできない旨,及び,②北海道内に店舗を展開している小売業者のうち全国展開している小売業者は全国規模の取引となるため,北海道内のみで営業を行っている《納入業者(1)》では,そのような小売業者と新規に取引することは困難であり,被審人との取引がなくなった場合,既存の取引先との取引量を増加させることは可能であるものの,被審人に対する売上高と同規模の売上高まで増加させることは大変困難である旨,それぞれ供述している。
(査4,査294)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(1)》は,公正取引委員会の報告命令における,平成20年1月1日時点の被審人の成長が期待できるとの認識の有無についての設問(以下「被審人成長認識設問」という。)に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人の店舗数が増加していること(以下「店舗数増加」という。),②被審人の売上高が増加していること(以下「売上高増加」という。)を選択している。
また,《納入業者(1)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査4)

第2  《納入業者(2)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(2)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査5の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(2)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する納豆を主に納入していた。同社は,平成11年5月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査5の1)
(2) 《納入業者(2)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第51位ないし第94位であった。
《納入業者(2)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査5の1)
(3) 《納入業者(2)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に北海道。以下,「第2 《納入業者(2)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約11パーセントないし約18パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第1位又は第3位であった。(査5の1)
(4) 《納入業者(2)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて17拠点であった。
《納入業者(2)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高安定,②営業拠点成長期待を選択している。
(査5の1)
(5) 《納入業者(2)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査5の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(2)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査5の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(2)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(2)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査5の1)

第3  《納入業者(3)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(3)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査6の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(3)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する日用品を主に納入していた。同社は,平成14年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査6の1,査6の2)
(2) 《納入業者(3)》の平成22年度及び平成23年度の2事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.3パーセントであった。
《納入業者(3)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査6の1,査6の2)
(3) 《納入業者(3)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高のいずれも約80パーセントに当たる約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は主に札幌市,小樽市,江別市,千歳市〔平成22年9月以前〕及び恵庭市〔同〕。以下,「第3 《納入業者(3)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.6パーセント又は約4.2パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第6位であった。また,同社の被審人に対する前記(2)の年間売上額のいずれも約20パーセントに当たる約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は主に函館市〔平成23年10月以降〕,室蘭市,苫小牧市,千歳市〔平成22年9月以降〕及び恵庭市〔同〕。以下,「第3 《納入業者(3)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.3パーセント又は約4.2パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第7位であった。(査6の1,査6の2)
(4) 《納入業者(3)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店及び《略》支店を含めて89拠点であった。
《納入業者(3)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①営業拠点成長期待,②その他(経営の安定性があるから。利益を上げている支店だから。)を選択している。
また,《納入業者(3)》の《略》支社支社長は,①同社の《略》支社の売上高は同社全体の売上高の10パーセント近くを占めており,同支社は同社にとって重要な営業拠点であるところ,同支社の《略》支店の売上高は同支社の売上高の約65パーセントを占めており,同支社の中核となる支店であり,《略》支店も売上高が同支社の約13パーセントを占めていることから,同支社にとって《略》支店及び《略》支店ともに重要な支店である旨,並びに,②同社全体の売上高に占める両支店の売上高の割合は少ないが,POSデータや本社の営業活動だけでは把握できないニーズを把握するためには,その地域に営業拠点が所在している必要があり,地域に営業拠点がないと地域の要望に対して迅速に対応できない部分が出てくると考えられることからも,両支店は,同社にとって重要な営業拠点である旨,それぞれ供述している。
(査6の1,査6の2,査91)
(5) 《納入業者(3)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人有力地位,②取引先代替非容易,③被審人成長期待を選択している。(査6の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(3)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(3)》の《略》支社支社長は,仮に,同社が被審人との取引を失った場合,同社は,ほとんどの大手総合スーパー,ホームセンター,ドラッグストア等と既に取引を行っており,新規取引先の開拓でそれを補うことは困難であり,既存の取引先については,リスク管理の観点から,仕入先を同社だけに絞ってくれることはあり得ず,競合他社との競争が激しいことから,既存の取引先に対する売上高を拡大することで補うことも困難である旨供述している。
(査6の1,査91)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(3)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,その他(人〔地域〕を大切にする企業理念に共感している。)を選択している。
また,《納入業者(3)》は,取引重要性等の設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査6の1,査6の2)

第4  《納入業者(4)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(4)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,多店舗数を選択している。(査7の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(4)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果を主に納入していた。同社は,昭和50年前後に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は平成22年12月26日までは約《金額》円,同月27日以降は《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査7の1,査7の2,査485)
(2) 《納入業者(4)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.7パーセントないし約6.3パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位であった。
《納入業者(4)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。同社の代表取締役会長は,同社が前記の回答を選択した理由について,設問の「他の取引先に比して」をスーパーの中で比較すると捉えたことによるものであり,この設問が同社の全ての取引先との比較を問うものであることを正確に理解していれば,被審人に対する取引額は大きいので「はい」を選択した旨供述している。
(査7の1,査7の2,査485)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(4)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(4)》の代表取締役会長は,前記の回答を選択した理由及びその理由の選択肢を選択した理由について,同社が扱う果実は,どの競争業者であっても同じものを納入することができるため,同社が新規の取引先に対し,既存の納入業者から同社に乗り換えてもらえるような提案をすることも難しいことなどから,同社にとって年間売上高を格段に伸ばすことは簡単ではない状況にあったからである旨供述している。
(査7の1,査485)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(4)》は,被審人成長認識設問に対し,「いいえ」を選択している(なお,同社は,平成20年1月1日以降に当該認識が変化したことがあるかとの設問に対し,「ある」と回答し,その理由として「合併による急激な伸び」を挙げている。)。
また,《納入業者(4)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査7の1)

第5  《納入業者(5)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(5)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査8の2)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(5)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する鮮魚を主に納入していた。同社は,平成14年5月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査8の1,査8の2)
(2) 《納入業者(5)》の平成21年2月2日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度から平成23年2月2日に始まり平成24年1月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.9パーセントないし約4.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位又は第7位であった。
《納入業者(5)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査8の1,査8の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(5)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(5)》の代表取締役専務は,同社において,被審人との間の売上高と同等かそれ以上の取引先を見つけることは容易ではない旨供述している。
(査8の1,査298)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(5)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③被審人が多様な業態の店舗を展開していること(以下「多様業態店舗展開」という。)を選択している。
また,《納入業者(5)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査8の1,査8の2)

第6  《納入業者(6)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(6)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査9の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(6)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する精肉,日配及び乳製品を主に納入していた。同社は,昭和51年頃に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査9の1,査9の2)
(2) 《納入業者(6)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.7パーセントないし約2.0パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社中の上位第6位であった。なお,平成22年度及び平成23年度における取引先事業者数は約《取引先数》社又は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上,明らかではない。
《納入業者(6)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査9の1,査9の2)
(3) 《納入業者(6)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業部《略》部(営業区域は主に北海道のチェーンストア。以下,「第6 《納入業者(6)》」の項目において,単に「《略》部」という。)によるものであるところ,各事業年度における同部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約14パーセント又は約15パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査9の1,査9の2)
(4) 《納入業者(6)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》部を含めて11拠点であった。
《納入業者(6)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査9の1,査9の2)
(5) 《納入業者(6)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。
また,《納入業者(6)》の《略》営業部《略》は,小売業者に対する営業は,小売業者から何らかの要望があればすぐに駆けつけて対応したり,日々小売業者に足を運んで商品の提案をしたりなどの積み重ねであることから,北海道で事業を行うためには北海道に拠点を置く必要があり,同社の《略》営業部はなくてはならない営業拠点である旨供述している。
(査9の2,査487)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(6)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(6)》の《略》営業部《略》は,①同社は,既に北海道地区の有力な小売業者と取引をしているため,被審人に対する売上高に相当する新規取引先は存在せず,複数の小規模な小売業者と取引を開始するにしても,既に競争業者と取引している取引先に新規に取引を持ちかけるとなると,人員,経費面から考えて現実的ではない旨,②既存の取引先に対する売上高増加によって被審人に対する売上高をカバーすることは困難である旨,③同社は販売機能だけでなく製造工場も有するところ,仮に被審人との取引がなくなり,被審人向けの商品が製造できなくなってしまった場合,同社の小樽工場の稼働率が下がり,工場の生産性にも影響し,製造ラインの見直しなども考える必要が生じる旨,及び,④そのようにならないために被審人に代わる取引先を探すなど売上減少分を補うよう努力することになるが,それは相当に困難である旨,それぞれ供述している。
(査9の1,査487)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(6)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開,④その他(アークスグループによる影響力)を選択している。
また,《納入業者(6)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査9の1)

第7  《納入業者(7)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(7)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査10)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(7)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する精肉を主に納入していた。同社は,平成元年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査10)
(2) 《納入業者(7)》の平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度から平成23年3月1日に始まり平成24年2月29日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.4パーセントないし約4.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第5位であった。
《納入業者(7)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査10)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(7)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査10)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(7)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(7)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査10)

第8  《納入業者(8)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(8)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査11の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(8)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する野菜を主に納入していた。同社は,昭和62年5月頃に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査11の1)
(2) 《納入業者(8)》の平成20年7月1日に始まり平成21年6月30日に終わる事業年度から平成22年7月1日に始まり平成23年6月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約30パーセント又は約31パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。なお,平成20年7月1日に始まり平成21年6月30日に終わる事業年度における取引先事業者数は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上,明らかではない。
《納入業者(8)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査11の1,査488)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(8)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(8)》の代表取締役社長は,取引依存度が約30パーセントである被審人との取引を失った場合,それに代わる売上高を他の取引先で補うのは無理であり,大幅な人員削減といった経営規模を縮小せざるを得ない旨供述している。
(査11の1,査488)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(8)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高増加,②多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(8)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
 (査11の1)

第9  《納入業者(9)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(9)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパー,④その他(単品購買力が大きいこと)を選択している。(査12の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(9)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果,菓子及び調味料を主に納入していた。同社は,平成元年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査12の1)
(2) 《納入業者(9)》の平成21年2月21日に始まり平成22年2月20日に終わる事業年度から平成23年2月21日に始まり平成24年2月20日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約16パーセントないし約19パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。
《納入業者(9)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査12の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(9)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(9)》の《略》課長は,①同社は既に北海道内におけるほとんどの小売業者との間で取引を行っており,同社と取引していない小売業者の中で被審人ほどの規模の小売業者はいないため,被審人に対する売上高と同程度の売上高を確保できる新規の取引先を見つけることは困難である旨,及び,②既存の取引先の中で売上高を伸ばして被審人に対する売上高と同程度の売上高をカバーするとしたら,新規の事業を立ち上げて商品を売り込む以外に方法はない旨,それぞれ供述している。
(査12の1,査300)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(9)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開,④その他(決断が早いこと)を選択している。
また,《納入業者(9)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査12の1,査12の2)

第10  《納入業者(10)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(10)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパー,④その他(アークスという巨大なグループの中核である)を選択している。(査13の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(10)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する雑誌を主に納入していた。同社は,平成3年12月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査13の1)
(2) 《納入業者(10)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.3パーセント又は約8.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。
《納入業者(10)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査13の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(10)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(10)》の《略》部長兼《略》課長は,被審人に代わり得る取引先として2事業者が該当するが,1社とは既に取引をしており,もう1社とは《納入業者(10)》の親会社との関係から新規に取引を開始することはなく,また,雑誌業界全体として先細りの状況にあるため,被審人に代わり得る小売業者を見つけることは困難である旨供述している。
(査13の1,査302)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(10)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高増加,②多様業態店舗展開,③その他(アークスグループが拡大していたため)を選択している。
また,《納入業者(10)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査13の1)

第11  《納入業者(11)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(11)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査14の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(11)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する海産物を主に納入していた。同社は,平成2年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査14の1,査14の2)
(2) 《納入業者(11)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.3パーセントないし約9.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。
《納入業者(11)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査14の1,査14の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(11)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可,③被審人との取引に関連して他の取引先に転用できない投資を行っているためとの回答を選択している。
また,《納入業者(11)》の代表取締役社長は,新規の取引先を獲得することや既存の取引先への売上増を図ることは非常に困難であるため,同社の取引依存度が8パーセントから9パーセントである被審人との取引を失った場合,それに代わる売上げを他の取引先で補うのは不可能である旨供述している。
(査14の1,査489)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(11)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(11)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査14の1)

第12  《納入業者(12)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(12)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパー,④その他(CGCグループの有力企業であり東北地区への影響力もあると考えている)を選択している(同社は「その他」の選択肢を選択していないが,その具体的内容を記載していることからすれば,当該選択肢を選択したものと認められる。)。(査15)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(12)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する日用品を主に納入していた。同社は,平成15年11月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査15)
(2) 《納入業者(12)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》万円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約1.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第9位ないし第16位であった。
《納入業者(12)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査15)
(3) 《納入業者(12)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は北海道全域。以下,「第12 《納入業者(12)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.2パーセントないし約8.7パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位ないし第6位であった。(査15)
(4) 《納入業者(12)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて2拠点であった。
《納入業者(12)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高安定,③営業拠点成長期待を選択している。
(査15)
(5) 《納入業者(12)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人有力地位,②取引先代替非容易,③被審人成長期待を選択している。(査15)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(12)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査15)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(12)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(12)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査15)

第13  《納入業者(13)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(13)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査16の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(13)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する和日配チルド麺を主に納入していた。同社は,平成15年9月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査16の1,査16の2)
(2) 《納入業者(13)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.7パーセント又は約7.0パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。
《納入業者(13)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査16の1)
(3) 《納入業者(13)》の被審人に対する売上げを計上している営業拠点として,同社の本社(《略》営業所)(営業区域は主に道央及び道南。以下,「第13 《納入業者(13)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)があった。(査16の1,査16の2)
(4) 《納入業者(13)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて8拠点であった。(査16の1,査16の2,査305)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(13)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(13)》の《略》営業所チーフは,同社が取引を行っていない小売業者の中で,被審人に匹敵するところはなく,既存の取引先に対する売上高も既にある程度のシェアを有していることから,仮に被審人との取引がなくなった場合,年間約《金額》円の被審人に対する売上高を他の取引先でカバーすることは困難である旨供述している。
(査16の1,査305)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(13)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(13)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査16の1)

第14  《納入業者(14)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(14)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査17の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(14)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する豆腐を主に納入していた。同社は,平成7年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査17の1,査17の2)
(2) 《納入業者(14)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約16パーセントないし約18パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。
《納入業者(14)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査17の1,査17の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(14)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査17の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(14)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,店舗数増加を選択している。
また,《納入業者(14)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査17の1)

第15  《納入業者(15)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(15)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査18の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(15)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する漬物を主に納入していた。同社は,昭和48年6月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であった。同社の平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度,平成22年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度及び平成23年1月1日に始まり同年9月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であった。(査18の1,査18の2)
(2) 各事業年度における被審人に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度はそれぞれ,約2.9パーセント,約3.0パーセント,約6.1パーセントであり,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第3位又は第5位であった。
《納入業者(15)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査18の1,査92)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(15)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(15)》の専務取締役兼《略》部長は,被審人は北海道における食品スーパーの中で勢いのある事業者であり,大事な取引先であるところ,被審人との取引がなくなれば,被審人に代わる取引先3社のうち,2社とは既に取引をしており,取引をしていない1社については,既に競合他社が食い込んでおり,そこに《納入業者(15)》が食い込むのは困難な状況であることから,同社がこれら3社との取引で被審人との取引で失った分を穴埋めすることは困難であり,そのような事態になれば,《納入業者(15)》にとって事業経営上かなり厳しい状況に置かれることになる旨供述している。
(査18の1,査92)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(15)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高増加を選択している。
また,《納入業者(15)》は,取引重要性等の設問に対し,「いいえ」を選択している。同社の専務取締役兼《略》部長は,前記の回答を選択した理由について,仮に被審人がこの回答を見て,被審人が同社に行っていた従業員の派遣要請等が同社にとって不利益だと同社が認識していたと誤解されるのを懸念してのものであり,この設問が,同社にとって被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すほど,被審人と取引することの重要性及び必要性があるかとの認識の有無を問うものであれば,「はい」を選択した旨供述している。
(査18の1,査92)

第16  《納入業者(16)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(16)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査19の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(16)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する漬物を主に納入していた。同社は,平成15年6月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査19の1)
(2) 《納入業者(16)》の平成21年5月1日に始まり平成22年4月30日に終わる事業年度から平成23年5月1日に始まり平成24年4月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7.9パーセントないし約11パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。
《納入業者(16)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。(査19の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(16)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(16)》の専務取締役は,被審人に対する取引がなくなれば,北海道内で被審人に代わる取引先とは既に取引をしており,これらの取引先との取引で被審人に対する取引を穴埋めすることは困難であり,同社にとって事業経営上かなり厳しい状況に置かれることになる旨供述している。
(査19の1,査93)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(16)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(16)》は,取引重要性等の設問に対し,「いいえ」を選択している。同社の専務取締役は,当該設問が,同社にとって被審人との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すほど,被審人と取引することの重要性及び必要性があるかとの認識を問うものであれば,「はい」を選択する旨供述している。
(査19の1,査93)

第17  《納入業者(17)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(17)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査20)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(17)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む有限会社であり,被審人が販売する青果を主に納入していた。同社は,平成8年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査20)
(2) 《納入業者(17)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約29パーセントないし約38パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。
《納入業者(17)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査20,査491)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(17)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(17)》の代表取締役は,同社は平成25年6月に被審人との取引を終了したところ,被審人に対する売上げを失ったことは大きな打撃であり,新たな取引先を確保することも,既存の取引先に対する売上げを伸ばすことも困難であったことなどから,平成27年3月末をもって廃業する予定である旨供述している。
(査20,査491)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(17)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(17)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査20)

第18  《納入業者(18)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(18)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高上位3位以内,②消費者人気スーパーを選択している。(査21)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(18)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する水産品,鮮魚及び青果を主に納入していた。同社は,平成元年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査21)
(2) 《納入業者(18)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第21位ないし第23位であった。
《納入業者(18)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査21)
(3) 《納入業者(18)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高の約44パーセントないし約46パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は同社の本社(《略》部)(営業区域は道内を中心として全国各地。以下,「第18 《納入業者(18)》」の項目において,単に「本社」という。)によるものであるところ,各事業年度における本社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約1.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。また,同社の被審人に対する前記(2)の年間売上高の約54パーセントないし約56パーセントに当たる約《金額》円は同社の《略》営業所(営業区域は主に札幌市。以下,「第18 《納入業者(18)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約19パーセントないし約23パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査21)
(4) 《納入業者(18)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,本社及び《略》営業所を含めて4拠点であった。
《納入業者(18)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高安定,②営業拠点成長期待を選択している。
(査21)
(5) 《納入業者(18)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易を選択している。(査21)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(18)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(18)》の執行役員は,被審人との取引を失った場合に失う売上げについて,すぐに既存の取引先で補填できるものでもなく,被審人との取引を代替できる新たな取引先を見つけることも困難である旨供述している。
(査21,査310)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(18)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(18)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査21)

第19  《納入業者(19)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(19)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③その他(アークスグループ全体に影響力があると感じている)を選択している。(査22)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(19)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する日配品及びグロサリーを主に納入していた。同社は,昭和60年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査22)
(2) 《納入業者(19)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.5パーセント又は約1.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第12位又は第13位であった。
《納入業者(19)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査22)
(3) 《納入業者(19)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》店(営業区域は主に道央及び道南地区。以下,「第19 《納入業者(19)》」の項目において,単に「《略》店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同店の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.1パーセント又は約5.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第6位であった。(査22)
(4) 《納入業者(19)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》店を含めて4拠点であった。
《納入業者(19)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待,⑤当該営業拠点において,当該拠点に係る取引に関連して他の拠点に転用できない投資を行っていること(以下「他拠点転用不可投資」という。)を選択している。
(査22)
(5) 《納入業者(19)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人有力地位,②取引先代替非容易,③被審人成長期待,④被審人と取引することにより当該営業拠点の信用が確保されること(以下「営業拠点信用確保」という。)を選択している。(査22)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(19)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査22)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(19)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(19)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査22)

第20  《納入業者(20)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(20)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査23の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(20)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する漬物を主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査23の1)
(2) 《納入業者(20)》の平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度から平成23年6月1日に始まり平成24年5月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.8パーセントないし約7.6パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位ないし第7位であった。
《納入業者(20)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査23の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(20)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査23の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(20)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(20)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査23の1)

第21  《納入業者(21)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(21)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査24の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(21)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する飲料水,調味料及びレトルト食品を主に納入していた。同社は,平成8年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の1,査24の2)
(2) 《納入業者(21)》の平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成23年1月1日に始まり同年12月31日終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.2パーセント又は約0.3パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第45位ないし第84位であった。
《納入業者(21)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査24の1,査24の2)
(3) 《納入業者(21)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は北海道全域。以下,「第21 《納入業者(21)》」の項目において,単に「《略》支社」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.6パーセントないし約4.0パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の1)
(4) 《納入業者(21)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支社を含めて46拠点ないし63拠点であった。
《納入業者(21)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査24の1)
(5) 《納入業者(21)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査24の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(21)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(21)》の《略》支社《略》は,《略》支社では,《略》市の倉庫に被審人向けの商品を保管しており,その割合は約4割を占めているところ,同倉庫の減価償却が済んでいないことから,仮に被審人との取引がなくなると,同倉庫を維持できなくなる可能性があることから,被審人との取引を継続する必要がある旨供述している。
(査24の1,査314)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(21)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(21)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査24の1)

第22  《納入業者(22)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(22)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち多店舗数を選択している。(査25の2)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(22)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売するパンを主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査25の1,査25の2)
(2) 《納入業者(22)》の平成20年12月1日に始まり平成21年11月30日に終わる事業年度から平成22年12月1日に始まり平成23年11月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約14パーセントないし約20パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。
《納入業者(22)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査25の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(22)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。(査25の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(22)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,店舗数増加を選択している。
また,《納入業者(22)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査25の1,査25の2)

第23  《納入業者(23)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(23)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査26の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(23)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する漬け魚を主に納入していた。同社は,平成22年6月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円(平成24年6月現在),年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査26の1,査26の2,査315)
(2) 《納入業者(23)》の平成22年度及び平成23年度の2事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約16パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。
《納入業者(23)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査26の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(23)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(23)》の常務取締役は,同社の販売先は,平成22年度から平成23年度にかけて増えているが,いずれも小規模であり,これらの販売先に対する売上げを合計しても,被審人に対する売上げには及ばず,大手小売業者とは,既に同業他社が取引を行っているため,新規に取引を開始することは困難であり,実際に営業をしてみたことがあるが取引を行うことはできなかったことから,被審人に代わる取引先を確保することは困難な状況にあった旨供述している。
(査26の1,査315)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(23)》は,被審人成長認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
また,《納入業者(23)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査26の1,査26の2)

第24  《納入業者(24)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(24)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査27の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(24)》は,《所在地略》に所在する農業協同組合であり,被審人が販売する牛乳,乳製品及び果汁飲料を主に納入していた。同組合は,昭和45年7月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同組合の出資金は約《金額》円又は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査27の1,査27の2)
(2) 《納入業者(24)》の平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成23年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.2パーセントないし約9.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(24)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査27の1,査27の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(24)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査27の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(24)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(24)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査27の1)

第25  《納入業者(25)》
北海道に所在していた番号25の《納入業者(25)》は,《所在地略》に所在する番号26の《納入業者(26)》の子会社であった(以下,第25及び第26の項目において,前者を「《納入業者(25)》」,後者を「《納入業者(26)》」という。)。《納入業者(25)》は,本件対象期間中の平成22年7月1日をもって《納入業者(26)》に吸収合併された。
同日以降,《納入業者(26)》は,《納入業者(25)》の取引を承継した。
(査28の3,査318)
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(25)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査28の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(25)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する菓子を主に納入していた。同社は,平成7年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であった。同社の平成21年度及び平成22年4月1日に始まり同年6月30日に終わる事業年度の2事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円であった。(査28の1,査28の2)
(2) 各事業年度において,被審人に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度はそれぞれ,約11パーセント,約12パーセントであり,取引依存度における被審人の順位は少なくとも約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。
《納入業者(25)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査28の1,査28の2)
(3) 《納入業者(25)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は主に札幌市及び道南エリア。以下,「第25 《納入業者(25)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度はそれぞれ,約13パーセント,約14パーセントであり,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査28の2)
(4) 《納入業者(25)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて少なくとも4拠点あるところ,これらのうち,各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》支店であった。
《納入業者(25)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査28の1,査28の2)
(5) 《納入業者(25)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査28の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(25)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,平成22年6月末まで《納入業者(25)》の《略》支店《略》副本部長であった者は,少なくとも平成20年以降,同社において既存の取引先との売上げの増加分が被審人に対する売上げを上回ったことも,被審人に対する売上げをカバーできるような新規取引先が見つかったこともなかったことから,同社にとって被審人は他では代え難い取引先である旨供述している。
(査28の1,査318)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(25)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(25)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査28の1)

第26  《納入業者(26)》
《納入業者(26)》が同社の子会社であった《納入業者(25)》を本件対象期間中の平成22年7月1日をもって吸収合併したことは,前記第25の柱書に記載のとおりである。
また,《納入業者(26)》は,平成24年4月に《納入業者(79)》に吸収合併された。(査507)
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(26)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査29の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(26)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する菓子を主に納入していた。同社は,平成22年7月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査29の1,査29の2)
(2) 《納入業者(26)》の平成22年度及び平成23年度の2事業年度(ただし,同社が被審人との取引を《納入業者(25)》から承継したのは平成22年7月1日のため,平成22年度は9か月分のもの。)において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.6パーセント又は約0.8パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第30位又は第37位であった。
《納入業者(26)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査29の1)
(3) 《納入業者(26)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は主に札幌市及び道南エリア。以下,「第26 《納入業者(26)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約14パーセント又は約15パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査29の1)
(4) 《納入業者(26)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて16拠点であった。
《納入業者(26)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査29の1)
(5) 《納入業者(26)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。
また,平成24年3月末まで《納入業者(26)》の《略》支店長であった者は,同社には,《略》支店より売上高の多い支店等はあったが,《略》支店の《金額》円前後の売上高がなくなった場合,他の支店等でその分の売上げを増加して補填することは困難であり,《略》支店は同社にとって重要な営業拠点であった旨供述している。
(査29の1,査318)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(26)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,平成24年3月末まで《納入業者(26)》の《略》支店長であった者は,同社の《略》支店において被審人への売上げをカバーできるような新規取引先は見つかっていない旨供述している。
(査29の1,査318)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(26)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(26)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査29の1)

第27  《納入業者(27)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(27)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査30の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(27)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する昆布巻,煮豆,佃煮等を主に納入していた。同社は,昭和50年頃に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は平成21年6月22日までは《金額》円,同月23日以降は《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査30の1,査30の2,査270)
(2) 《納入業者(27)》の平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度から平成22年8月1日に始まり平成23年7月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約11パーセントないし約13パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(27)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査30の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(27)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(27)》の代表取締役は,同社は,北海道内で被審人と同規模のスーパーとの取引はほとんどなく,これらのスーパーには既に同業他社が食い込んでいるために,そこに割って入るのは極めて困難であり,また,《納入業者(27)》は,北海道以外に販路がないことから,仮に被審人との取引がなくなった場合,同社の総売上高の1割以上を失うこととなり,資金繰りが悪化し,倒産に追い込まれるであろう旨供述している。
(査30の1,査270)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(27)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(27)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査30の1)

第28  《納入業者(28)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(28)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査31)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(28)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果を主に納入していた。同社は,遅くとも平成3年9月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査31)
(2) 《納入業者(28)》の平成21年度ないし平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8パーセントないし約13パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。
《納入業者(28)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査31)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(28)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(28)》の専務取締役は,①平成20年以降,被審人に対する売上高と同程度の売上高を確保できるような新規の取引先は見つからなかった旨,及び,②既存の取引先との間の売上高を伸ばすことで被審人に対する売上高をカバーできるような取引先もいなかった旨,それぞれ供述している。
(査31,査94)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(28)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(28)》は,取引重要性等の設問に対し,「いいえ」を選択している。同社の専務取締役は,前記の回答を選択した理由について,同社の採算に合わないような要求があれば,被審人のような大きなスーパーであってもそれに従うことはないことから「いいえ」を選択したが,被審人との取引が停止した場合,同社は倒産してしまうほど,同社にとって被審人は重要な取引先であり,取引関係を継続する必要がある旨供述している。
(査31,査94)

第29  《納入業者(29)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(29)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査32の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(29)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する冷凍食品,調味料及びレトルト食品を主に納入していた。同社は,平成6年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査32の1)
(2) 《納入業者(29)》の平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成23年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.6パーセント又は約0.7パーセントであった。
《納入業者(29)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査32の1)
(3) 《納入業者(29)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》事業部(営業区域は北海道全域。以下,「第29 《納入業者(29)》)」の項目において,単に「《略》事業部」という。)によるものであるところ,各事業年度における同事業部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約11パーセント又は約12パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査32の1)
(4) 《納入業者(29)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》事業部を含めて11拠点であった。
《納入業者(29)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査32の1)
(5) 《納入業者(29)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査32の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(29)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(29)》の《略》部長は,①同社は,既に《グループ名》のスーパーと《事業者B》とそれぞれ取引をしているところ,被審人や他のアークスグループの会社との取引に相当する量や額を,アークスグループ以外の小売業者との取引で補うことはかなり困難である旨,及び,②《納入業者(29)》は,地場の小売業者とも取引しているが,これらの小売業者との取引においても被審人や他のアークスグループの小売業者との取引に相当する量や額を補うことも容易ではない旨,それぞれ供述している。
(査32の1,査320)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(29)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(29)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査32の1)

第30  《納入業者(30)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(30)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査33の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(30)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する肉加工品を主に納入していた。同社は,平成14年7月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査33の1,査33の2)
(2) 《納入業者(30)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.8パーセントないし約1.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第15位ないし第25位であった。
《納入業者(30)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査33の1)
(3) 《納入業者(30)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》グループ(営業区域は北海道内全域。平成22年3月までは《略》支店。以下,時期を問わず,「第30 《納入業者(30)》」の項目において,単に「《略》グループ」という。)によるものであるところ,各事業年度における同グループの年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.7パーセントないし約18パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第4位であった。(査33の1)
(4) 《納入業者(30)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》グループを含めて7拠点又は8拠点であった。
《納入業者(30)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
また,《納入業者(30)》の《略》本部《略》部長兼《略》グループリーダーは,同社の《略》本部に属する《略》グループが被審人を含む小売業者に対する販売を担当しているところ,同本部は,同社にとって非常に重要な部署であり,同本部が担当する被審人との取引は,同社にとって重要かつ必要なものである旨供述している。
(査33の1,査322)
(5) 《納入業者(30)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査33の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(30)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査33の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(30)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(30)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査33の1)

第31  《納入業者(31)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(31)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査34)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(31)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する米穀,製粉及びレトルト食品を主に納入していた。同社は,平成6年に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査34)
(2) 《納入業者(31)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.2パーセントないし約3.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。
《納入業者(31)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査34)
(3) 《納入業者(31)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は同社の《略》支店(営業区域は主に札幌市,苫小牧市及び函館市〔平成21年8月以降〕。以下,「第31 《納入業者(31)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)及び《略》営業所(なお,同営業所は函館市を管轄していたところ,平成21年8月末に閉鎖され,《略》支店に併合された。)によるものであるところ,各事業年度における《略》支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約20パーセントないし約33パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査34)
(4) 《納入業者(31)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて10拠点又は12拠点であった。
《納入業者(31)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査34)
(5) 《納入業者(31)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査34)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(31)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(31)》の常務取締役兼《略》支店長は,①被審人は同社の取引先の中で2番目に取引額が大きく,同社の売上げのうちの約10パーセントの売上げを占める同社の《略》支店においては,被審人との取引額が一番大きく,同支店における被審人に対する取引依存度は30パーセントを超えていることから,被審人との取引を継続することが必要である旨,及び,②仮に被審人との取引がなくなった場合,同社として他の取引先で補えるよう努力をするものの,既存の取引先との取引量を増加することは困難であり,被審人に代わる新たな取引先を見つけることは現実的には不可能である旨,それぞれ供述している。
(査34,査324)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(31)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(31)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査34)

第32  《納入業者(32)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(32)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査35の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(32)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売するパンを主に納入していた。同社は,平成18年9月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査35の1,査35の2)
(2) 《納入業者(32)》の平成21年3月1日に始まり平成22年2月末日に終わる事業年度から平成23年3月1日に始まり平成24年2月末日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.5パーセントないし約5.9パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位又は第6位であった。
《納入業者(32)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査35の1,査35の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(32)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査35の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(32)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(32)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査35の1)

第33  《納入業者(33)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(33)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,多店舗数を選択している。(査36の2)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(33)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する衣料品を主に納入していた。同社は,昭和50年頃に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査36の1,査36の2)
(2) 《納入業者(33)》の平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度から平成23年6月1日に始まり平成24年5月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.2パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第44位又は第45位であった。なお,平成23年6月1日に始まり平成24年5月31日に終わる事業年度における取引先事業者数は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上,明らかではない。
《納入業者(33)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査36の1)
(3) 《納入業者(33)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は北海道全域。以下,「第33 《納入業者(33)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約17パーセント又は約22パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査36の1,査36の2)
(4) 《納入業者(33)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて6拠点であった。
《納入業者(33)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査36の1,査36の2)
(5) 《納入業者(33)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査36の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(33)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査36の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(33)》は,被審人成長認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
また,《納入業者(33)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査36の1)

第34  《納入業者(34)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(34)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査37の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(34)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する漬物を主に納入していた。同社は,平成12年9月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査37の1)
(2) 《納入業者(34)》の平成21年5月1日に始まり平成22年4月30日に終わる事業年度から平成23年5月1日に始まり平成24年4月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.0パーセントないし約9.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。
《納入業者(34)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。同社の代表取締役社長は,前記の回答を選択した理由について,同回答は平成20年1月1日時点での同社の認識であるが,被審人の店舗のうち,同社の商品を取り扱う店舗が平成20年1月時点での4店舗から平成20年度中頃以降は40店舗まで拡大したため,これ以降,前記認識は変化した旨供述している。
(査37の1,査493)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(34)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(34)》の代表取締役社長は,被審人との取引を失った場合,新規取引先の獲得や既存の取引先との売上増を図るのは非常に困難であったため,被審人との取引を失った分の売上高を補うことは不可能であった旨供述している。
(査37の1,査493)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(34)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(34)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。同社の代表取締役社長は,当初は,同設問に回答しなかったが,その後,平成20年度の中頃での認識として,「はい」を選択した旨供述している。
(査37の1,査37の2,査493)

第35  《納入業者(35)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(35)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査38の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(35)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する調味料を主に納入していた。同社は,平成19年2月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査38の1,査38の2)
(2) 《納入業者(35)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第49位ないし第57位であった。
《納入業者(35)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査38の1)
(3) 《納入業者(35)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に道央エリア及び道東エリア〔帯広,釧路〕)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約14パーセント又は約15パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査38の1)
(4) 《納入業者(35)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定を選択している。(査38の1)
(5) 《納入業者(35)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査38の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(35)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査38の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(35)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(35)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査38の1)

第36  《納入業者(36)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(36)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②消費者人気スーパーを選択している。(査39の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(36)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する精肉を主に納入していた。同社は,平成9年8月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査39の1)
(2) 《納入業者(36)》の平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成23年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7パーセント又は約10パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第1位又は第4位であった。
《納入業者(36)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査39の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(36)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。(査39の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(36)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(36)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査39の1)

第37  《納入業者(37)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(37)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査40の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(37)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する玉子焼き,太巻芯及び茶碗蒸しを主に納入していた。同社は,平成12年12月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査40の1,査40の2)
(2) 《納入業者(37)》の平成21年6月1日に始まり平成22年5月31日に終わる事業年度から平成23年6月1日に始まり平成24年5月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.7パーセントないし約5.5パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位であった。
《納入業者(37)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査40の1,査40の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(37)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査40の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(37)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(37)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査40の1)

第38  《納入業者(38)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(38)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査41)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(38)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する野菜全般を主に納入していた。同社は,平成7年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査41)
(2) 《納入業者(38)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第42位ないし第48位であった。
《納入業者(38)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査41)
(3) 《納入業者(38)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は主に北海道内。以下,「第38 《納入業者(38)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約15パーセント又は約19パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査41)
(4) 《納入業者(38)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて13拠点であった。
《納入業者(38)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高安定を選択している。
(査41)
(5) 《納入業者(38)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査41)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(38)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査41)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(38)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(38)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査41)

第39  《納入業者(39)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(39)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査42の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(39)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する焼き海苔及び茶を主に納入していた。同社は,昭和56年8月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円又は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査42の1,査42の2)
(2) 《納入業者(39)》の平成20年7月1日に始まり平成21年6月30日に終わる事業年度から平成22年7月1日に始まり平成23年6月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約11パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。
《納入業者(39)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査42の1)
(3) 《納入業者(39)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業部(営業区域は主に札幌・小樽・室蘭・美唄地区。以下,「第39 《納入業者(39)》」の項目において,単に「《略》営業部」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業部の年間総売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約15パーセント又は約16パーセントであった。(査42の1)
(4) 《納入業者(39)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業部を含めて5拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》営業部であった。
《納入業者(39)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査42の1,査42の2)
(5) 《納入業者(39)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査42の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(39)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査42の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(39)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(39)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査42の1)

第40  《納入業者(40)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(40)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査43の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(40)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する惣菜を主に納入していた。同社は,平成13年9月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査43の1)
(2) 《納入業者(40)》の平成21年12月1日に始まり平成22年11月30日に終わる事業年度及び平成22年12月1日に始まり平成23年11月30日に終わる事業年度の2事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.5パーセント又は約0.6パーセントであった。
《納入業者(40)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査43の1)
(3) 《納入業者(40)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は北海道全域。以下,「第40 《納入業者(40)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約9.0パーセント又は約9.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査43の1,査43の2)
(4) 《納入業者(40)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて6拠点であった。
《納入業者(40)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高安定,③他拠点転用不可投資を選択している。
(査43の1)
(5) 《納入業者(40)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人有力地位,②取引先代替非容易,③被審人成長期待を選択している。(査43の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(40)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査43の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(40)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(40)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査43の1)

第41  《納入業者(41)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(41)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査44の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(41)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する納豆,練製品及び乳製品を主に納入していた。同社は,平成8年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査44の1,査44の2)
(2) 《納入業者(41)》の平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成23年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約21パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(41)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査44の1,査44の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(41)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査44の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(41)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(41)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査44の1)

第42  《納入業者(42)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(42)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査45の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(42)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する加工食品,菓子及び和日配を主に納入していた。同社は,平成14年11月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査45の1,査45の2)
(2) 《納入業者(42)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約19パーセントないし約21パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(42)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査45の1,査45の2)
(3) 《納入業者(42)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》本部(営業区域は主に道央圏,室蘭地区及び道南地区。以下,「第42 《納入業者(42)》」の項目において,単に「《略》本部」という。)によるものであるところ,各事業年度における同本部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約23パーセントないし約25パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査45の1,査45の2)
(4) 《納入業者(42)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》本部を含めて2拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》本部であった。
《納入業者(42)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査45の1,査45の2)
(5) 《納入業者(42)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査45の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(42)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査45の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(42)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(42)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査45の1)

第43  《納入業者(43)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(43)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査46)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(43)》は,《所在地略》に所在し,水産物等の販売,貿易,加工業,運送業,倉庫業等を営む株式会社であり,被審人が販売する鮮魚及び惣菜を主に納入していた。同社は,平成元年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査46)
(2) 《納入業者(43)》の平成21年度及び平成22年度の2事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.4パーセント又は約0.5パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第46位又は第50位であった。
《納入業者(43)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査46)
(3) 《納入業者(43)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は主に北海道内。以下,「第43 《納入業者(43)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.9パーセント又は約8.2パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査46)
(4) 《納入業者(43)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて8拠点又は9拠点であった。同社の《略》支店支店長は,平成19年度から平成22年度までの各年度における同支店の年間売上高は約《金額》円前後であり,営業拠点の中で4番目の売上高である旨供述している。
《納入業者(43)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定を選択している。同社の《略》支店支店長は,①同支店は,被審人を含む北海道内の大手小売業者と継続して安定した取引を行っていることから,同社の営業拠点の中でも売上高の変動が少ない優良な支店である旨,及び,②同社は過去には全国各地に支店,営業所を置いていたが順次それを各地区の重要支店に集約したため,今残っている営業拠点は全て同社にとって重要な拠点であるところ,同社の《略》支店は,大きな売上高を安定して確保できることから,同社にとって重要な営業拠点である旨,それぞれ供述している。
(査46,査333)
(5) 《納入業者(43)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。
また,《納入業者(43)》の《略》支店支店長は,同支店の被審人に対する年間売上高は約8億円であるところ,仮に被審人との取引を失った場合,新規取引先の獲得は困難であり,既存の取引先に対する売上増を図ることも困難であることから,同支店において被審人との取引で失った分をカバーすることはできない旨供述している。
(査46,査333)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(43)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査46)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(43)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(43)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査46)

第44  《納入業者(44)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(44)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高上位3位以内,②消費者人気スーパーを選択している。(査47の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(44)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する鶏卵を主に納入していた。同社は,昭和60年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査47の1,査47の2)
(2) 《納入業者(44)》の平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度から平成22年8月1日に始まり平成23年7月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約12パーセント又は約14パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(44)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査47の1)
(3) 《納入業者(44)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は北海道全域。以下,「第44 《納入業者(44)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約16パーセントないし約18パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査47の1)
(4) 《納入業者(44)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて2拠点又は3拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》営業所であった。
《納入業者(44)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定を選択している。
(査47の1)
(5) 《納入業者(44)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易を選択している。(査47の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(44)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(44)》の《略》課長は,北海道内に所在する食品スーパーの店舗数は被審人を中心企業とするアークスグループと《事業者B》で相当数を占めているところ,《納入業者(44)》は既に両社と取引があるので,仮に同社が被審人との取引を継続することができなくなった場合,既存のスーパーの中で被審人と同程度の規模の取引が見込める取引先を見つけることは困難であり,被審人以外の取引先の売上げを伸ばして補うことも簡単なことではない旨供述している。
(査47の1,査334)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(44)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(44)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査47の1,査47の2)

第45  《納入業者(45)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(45)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査48の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(45)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む有限会社であり,被審人が販売する菓子を主に納入していた。同社は,平成5年に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査48の1)
(2) 《納入業者(45)》の平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度から平成22年8月1日に始まり平成23年7月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約24パーセント又は約30パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(45)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査48の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(45)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(45)》の代表取締役は,同社の被審人に対する取引依存度は24パーセントないし34パーセントであるところ,これほどの規模の売上げのある取引先は被審人のみであり,同社の被審人以外の取引先で,被審人に対する売上げと同程度の売上げを確保することはほぼ不可能である旨供述している。
(査48の1,査336)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(45)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(45)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査48の1,査48の2)

第46  《納入業者(46)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(46)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高上位3位以内を選択している。(査49の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(46)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する菓子を主に納入していた。同社は,昭和58年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査49の1,査49の2)
(2) 《納入業者(46)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.3パーセントであった。
《納入業者(46)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査49の1)
(3) 《納入業者(46)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は北海道全域〔函館,帯広及び釧路エリアを除く。〕。以下,「第46 《納入業者(46)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約14パーセント又は約16パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査49の1,査49の2)
(4) 《納入業者(46)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて35拠点であった。
《納入業者(46)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定を選択している。
(査49の1,査49の2)
(5) 《納入業者(46)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易を選択している。
また,《納入業者(46)》の《略》課長は,①同社の《略》営業所の平成23年度の被審人に対する取引依存度は14.1パーセントと高い割合を占めている旨,及び,②北海道において被審人と同程度の売上規模に代わる新たな取引先となり得る小売業者や既存の取引先を見つけ出すことは困難である旨,それぞれ供述している。
(査49の2,査337)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(46)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査49の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(46)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高増加を選択している。
また,《納入業者(46)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査49の1,査49の2)

第47  《納入業者(47)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(47)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査50の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(47)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売するパン及び菓子を主に納入していた。同社は,平成元年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査50の1)
(2) 《納入業者(47)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.5パーセントないし約4.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位であった。
《納入業者(47)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査50の1,査50の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(47)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(47)》の専務取締役は,①同社が取引を行っていない小売業者とは既に競合他社が取引していることから《納入業者(47)》がそこに割って入ることは困難であり,既存の取引先も競合他社と取引をしており,他社の分を《納入業者(47)》に切り替えてもらうためには相当低い価格条件を提示しなければならず,仮に被審人との取引がなくなった場合,被審人との取引額をカバーすることは困難である旨,②同社はメーカーであり,製造コストの低減のために製造ラインの稼働率を高めることが重要であるところ,被審人に対する売上額がなくなったら,製造コストに影響が生じる旨,③被審人は大型店舗を展開しており,1店舗当たりの取引額が大きいこと,北海道全域で同社の商品を販売するためには,札幌地区で多数の店舗を展開する被審人と取引することは不可欠であることから,被審人との取引は,重要である旨,及び,④仮に被審人との取引がなくなった場合,同社にとって非常に大きな影響が出る旨,それぞれ供述している。
(査50の1,査339)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(47)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(47)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査50の1)

第48  《納入業者(48)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(48)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,多店舗数を選択している。(査51の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(48)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売するウインナー,味付食肉及びソーセージを主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査51の1,査51の2)
(2) 《納入業者(48)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.9パーセント又は約10パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位であった。なお,平成平成23年度における取引先事業者数は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上,明らかではない。
《納入業者(48)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査51の1,査51の3)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(48)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(48)》の《略》課長は,同社は,被審人以外の規模の大きな小売業者とは既に取引しており,それなりの規模を有する小売業者とも取引をしているところ,小規模な小売業者とは債権回収に不安があることから積極的に取引を行っていないし,同社は,製造工場を北海道内に置いているため,北海道外の取引先と取引するためには,北海道で販売するよりも輸送費といったコストが掛かることから,仮に被審人との取引がなくなった場合,被審人に対する売上げをカバーすることは困難である旨供述している。
(査50の1,査494)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(48)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高増加を選択している。
また,《納入業者(48)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。同社の《略》課長は,前記の回答を選択した理由について,被審人との取引がなくなった場合,同社の利益に影響がある一方で,被審人との取引をカバーできる取引先を見つけられないので,同社が今後事業を行っていくためには,被審人との取引を継続していかなければならないからである旨供述している。
(査50の1,査494)

第49  《納入業者(49)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(49)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査52の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(49)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する洋日配,乳製品,和日配及びアイスを主に納入していた。同社は,昭和36年11月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査52の1)
(2) 《納入業者(49)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.0パーセントないし約4.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位ないし第7位であった。
《納入業者(49)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査52の1,査52の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(49)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(49)》の《略》部長は,同社は北海道全域を営業区域としているところ,平成20年以降,被審人に対する売上げと同額かそれ以上の売上げを確保できるような新規取引先と取引したり,既存の取引先に対する売上げの増加分が被審人に対する売上げと同額以上になったりした事例はないので,被審人に対する売上げがなくなった場合,ほかでカバーすることは容易ではない旨供述している。
(査52の1,査343)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(49)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(49)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査52の1,査52の2)

第50  《納入業者(50)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(50)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査53の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(50)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売するハム及びソーセージを主に納入していた。同社は,平成20年10月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査53の1,査53の2)
(2) 《納入業者(50)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.8パーセントないし約9.8パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。
《納入業者(50)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査53の1)
(3) 《納入業者(50)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》課(営業区域は北海道全域〔精肉部門及び日配部門を担当〕。以下,「第50 《納入業者(50)》」の項目において,単に「《略》課」という。)及び《略》課(営業区域は北海道全域〔惣菜部門を担当〕。以下,「第50 《納入業者(50)》」の項目において,単に「《略》課」という。)によるものであった。(査53の1)
(4) 《納入業者(50)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》課及び《略》課を含めて6拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》課であった。
《納入業者(50)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査53の1)
(5) 《納入業者(50)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査53の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(50)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(50)》の《略》部長兼《略》課長は,北海道地区においては,《事業者C》,《事業者B》及び被審人が大規模な小売業者の「3強」として位置付けられており,この3強との取引は1社たりとも軽視できないものであるが,3強の中でも,売上高に占める食品の構成比は,《事業者C》が約50パーセントにすぎないのに対し,被審人が約90パーセントであることから,食品を取り扱う《納入業者(50)》にとって被審人は《事業者C》以上に太い取引をできる取引先であり,《納入業者(50)》の3強に対する売上げの中では《事業者B》に対するものが一番大きいが,《事業者B》との取引において被審人の売上分を補填するほど取引を拡大することは困難であり,被審人との売上分を補填できるほどの取引先を新たに見つけることは一層困難である旨供述している。
(査53の1,査344)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(50)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(50)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査53の1,査53の2)

第51  《納入業者(51)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(51)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査54の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(51)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果を主に納入していた。同社は,平成18年6月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査54の1,査54の2)
(2) 《納入業者(51)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約16パーセント又は約19パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。
《納入業者(51)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査54の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(51)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(51)》の常務取締役兼《略》営業所長は,仮に被審人との取引がなくなった場合,新規取引先を開拓したり,既存の取引先との取引額を上げていったりする必要があるが,同社の営業担当は2名しかいないため,被審人の取引額に相当する分を他で補填することは容易ではない旨供述している。
(査54の1,査345)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(51)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(51)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査54の1,査54の3)

第52  《納入業者(52)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(52)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査55の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(52)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売するもずく加工品,めかぶ加工品等を主に納入していた。同社は,平成18年10月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査55の1)
(2) 《納入業者(52)》の平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度から平成22年8月1日に始まり平成23年7月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.4パーセントないし約1.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第13位又は第17位であった。なお,平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度における取引先事業者数は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上,明らかではない。
《納入業者(52)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査55の1,査55の2)
(3) 《納入業者(52)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は札幌を中心に北海道全域。以下,「第52 《納入業者(52)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約11パーセントないし約17パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査55の1,査55の2)
(4) 《納入業者(52)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて3拠点ないし9拠点であった。
《納入業者(52)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定を選択している。
(査55の1,査55の2)
(5) 《納入業者(52)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位を選択している。(査55の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(52)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。(査55の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(52)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(52)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査55の1,査55の2)

第53 《納入業者(53)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(53)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査56)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(53)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する精肉を主に納入していた。同社は,平成6年に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査56)
(2) 《納入業者(53)》の平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度から平成23年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.5パーセントないし約3.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位又は第6位であった。
《納入業者(53)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。同社の《略》部マネジャーは,前記の回答を選択した理由について,同社の取引先数は約《取引先数》社で推移しているところ,同社の《略》社前後に対する取引依存度が0.1パーセント前後という状況であり,その中において同社の被審人に対する取引依存度は,他の取引先に対する取引依存度に比して高いという認識であったからである旨供述している。
また,同マネジャーは,同社の取引先の構成比は,卸売業者が全体の約6割,スーパーが2,3割,残りが飲食店等であるところ,スーパーだけで見た場合,同社の取引額における被審人の順位は,常に上位第1位であった旨供述している。
(査56,査496)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(53)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査56)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(53)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(53)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査56)

第54  《納入業者(54)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(54)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査57)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(54)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する精肉及び惣菜を主に納入していた。同社は,平成2年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査57)
(2) 《納入業者(54)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約5.4パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。
《納入業者(54)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査57)
(3) 《納入業者(54)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業部(営業区域は主に札幌市及び小樽市。以下,「第54 《納入業者(54)》」の項目において,単に「《略》営業部」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業部の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約30パーセントないし約34パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査57)
(4) 《納入業者(54)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業部を含めて27拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》営業部であった。
《納入業者(54)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
また,《納入業者(54)》の《略》本部長は,同社の《略》営業部は,同社の営業拠点の中で一番の売上高を上げており,同営業部の売上高を他の営業拠点で補うことは難しいこと,同営業部が管轄する札幌市やその近郊は,安定した売上高が見込まれることなどから,同社にとって同営業部は重要な営業拠点である旨供述している。
(査57,査346)
(5) 《納入業者(54)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査57)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(54)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(54)》の《略》本部長は,①同社は,その営業区域である北海道及び東北地方に所在する大中規模の小売業者のほとんどと既に取引しているため,被審人に代わり得る規模の新規取引先はなく,複数の新規取引先に対する売上高で被審人に対する売上高と同程度の額を賄うことはできない旨,②同社は,北海道の区域内における食品スーパーの中で被審人とともに上位3位以内に入る《事業者B》及び《事業者C》とは既に取引を行っているところ,例えば,《事業者B》が仕入れる食肉における《納入業者(54)》のシェアは3割弱であることから,今後《事業者B》に対する売上高を増やすことは可能であると考えているが,被審人に対する売上高と同程度の売上高を補うためには《事業者B》に対する取引依存度を約5割から6割程度まで伸ばす必要があり,そこまで売上高を伸ばすことはほぼ不可能である旨,③東北地区でも同様に,被審人に対する売上高と同規模の売上高分を増加させることはほぼ不可能である旨,並びに,④小売業者は,納入業者に何かあったときに商品を仕入れることができなくなる,競争原理が働かなくなるといったリスクを回避するため,納入業者を1社に絞らず,必ず複数社と取引することから,《納入業者(54)》にとって大幅なシェアの拡大は難しく,また,納入業者間の競争も激しいために,同社のシェアの拡大は容易でない旨,それぞれ供述している。
(査57,査346)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(54)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(54)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査57)

第55  《納入業者(55)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(55)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパー,④その他(伸びる企業として認識しているため)を選択している。(査58の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(55)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する鶏肉を主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は平成22年10月4日までは約《金額》円,同月5日以降は約《金額》円であり,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査58の1,査58の2)
(2) 《納入業者(55)》の平成21年度及び平成22年度の2事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.8パーセント又は約1.9パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第11位又は第12位であった。
《納入業者(55)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査58の1,査58の2)
(3) 《納入業者(55)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に札幌,旭川,北見,苫小牧及び函館。以下,「第55 《納入業者(55)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約14パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査58の1,査58の2)
(4) 《納入業者(55)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて12拠点であった。
《納入業者(55)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査58の1,査58の2)
(5) 《納入業者(55)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査58の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(55)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(55)》の《略》部長は,新規取引先の獲得も既存の取引先に対する売上増も困難であることから,同社の被審人に対する約《金額》円の売上高を他の取引先で補うことは困難である旨供述している。
(査58の1,査498)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(55)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③その他(業界の風評や同業者意見)を選択している。
また,《納入業者(55)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査58の1)

第56  《納入業者(56)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(56)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査59の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(56)》は,《所在地略》に所在する畜産業を営む株式会社であり,被審人が販売する鶏卵,惣菜及び調味料を主に納入していた。同社は,平成元年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査59の1ないし査59の3)
(2) 《納入業者(56)》の平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度から平成22年9月1日に始まり平成23年8月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約7.4パーセントないし約8.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。
《納入業者(56)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査59の1ないし査59の3)
(3) 《納入業者(56)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高の約80パーセント又は約81パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は同社の《略》支店(営業区域は主に札幌及び小樽。以下,「第56 《納入業者(56)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約12パーセント又は約13パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。また,同社の被審人に対する前記(2)の売上高の約19パーセント又は約20パーセントに当たる約《金額》円ないし約《金額》円は同社の《略》営業所(営業区域は主に室蘭,苫小牧及び千歳。以下,「第56 《納入業者(56)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約22パーセントないし約29パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査59の1ないし査59の3)
(4) 《納入業者(56)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店及び《略》営業所を含めて8拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》支店であった。
《納入業者(56)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査59の1)
(5) 《納入業者(56)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査59の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(56)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(56)》の《略》本部長は,①仮に被審人との取引を失った場合,他の小売業者に切り替える必要があるが,被審人に対する納入価格と同額というわけにはいかず,かなりディスカウントしなければならないし,他の小売業者にも既存の仕入先があるため,大口の取引を同社に切り替えてもらうのは難しい旨,及び,②被審人に代わり得る取引先としては,《事業者C》,《事業者B》が挙げられるが,《納入業者(56)》は既にこれらの小売業者と取引を行っているところ,前者に対しては既にかなりのシェアを持っているため取引量を伸ばすには限界があり,被審人に対する売上高を補うことはできないし,《事業者B》には他社がメインで鶏卵を納入しているが,年間契約をしているため,《納入業者(56)》が価格面で良い条件を出すことで取引量を大幅に増やすことは難しい旨,それぞれ供述している。
(査59の3,査348)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(56)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(56)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査59の1)

第57  《納入業者(57)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(57)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査60の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(57)》は,《所在地略》に所在する農業協同組合連合会であり,被審人が販売する米を主に納入していた。同連合会は,平成2年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同連合会の出資金は平成22年12月31日までは約《金額》円,平成23年1月1日以降は約《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査60の1)
(2) 《納入業者(57)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.2パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第100位ないし第127位であった。
《納入業者(57)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査60の1,査60の2)
(3) 《納入業者(57)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同連合会の《略》支店(営業区域は北海道全域。以下,「第57 《納入業者(57)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.7パーセントないし約6.8パーセントであり,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査60の1)
(4) 《納入業者(57)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて19拠点又は20拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》支店であった。
《納入業者(57)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高安定,③営業拠点成長期待を選択している。
(査60の1,査60の2)
(5) 《納入業者(57)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査60の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(57)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(57)》の《略》次長は,同連合会の被審人に対する年間売上高のうち約9割を米穀が占めており,同連合会の一般消費者が各家庭で消費する米穀の取引先に対する売上高の中で被審人に対するものが最大であるところ,同連合会は北海道内のほとんどの食品スーパーに米穀を納入しているため,仮に被審人との取引がなくなった場合に,取引のある販売先との取引を増加させて,被審人の取引分を補うことは無理であり,被審人との取引額を代替できるような販売先を新たに見つけることは困難である旨供述している。
(査60の1,査351)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(57)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(57)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査60の1)

第58  《納入業者(58)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(58)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査61の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(58)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する鮮魚を主に納入していた。同社は,平成元年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査61の1,査61の2)
(2) 《納入業者(58)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約15パーセントないし約17パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも上位第2位であった。
《納入業者(58)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査61の1,査61の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(58)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(58)》の専務取締役は,①被審人との取引がなくなった場合,北海道の内外を問わず,大手小売業者は納入業者の数を絞っている状況であるため,簡単には取引口座を開いてくれない旨,②北海道内においては鮮魚店などの小規模小売業者がほとんどいなくなってしまったため,取引先は大中規模の食品スーパーなどに限られるところ,被審人との取引量を賄えるだけの規模を持つ小売業者は《事業者B》と《事業者C》だけであり,《納入業者(58)》は《事業者C》とは既に取引をしている旨,及び,③既存の取引先の売上げを伸ばすことについては,《納入業者(58)》の最大の取引先が販売する水産物における同社のシェアは約6割に達しており,これを更に伸ばすことには限界があり,伸び代がある他の取引先だけでは被審人に対する売上高と同程度の売上高を賄うことはできない旨,それぞれ供述している。
(査61の1,査353)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(58)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(58)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査61の1)

第59  《納入業者(59)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(59)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高上位3位以内,②消費者人気スーパーを選択している。(査62の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(59)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する米穀を主に納入していた。同社は,昭和62年5月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査62の1)
(2) 《納入業者(59)》の平成21年度及び平成22年度の2事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約17パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。
《納入業者(59)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査62の1)
(3) 《納入業者(59)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高の約78パーセント又は約80パーセントに当たる約《金額》円又は約《金額》円は同社の本社(営業区域は主に札幌市。以下,「第59 《納入業者(59)》」の項目において,単に「本社」という。)によるものであるところ,各事業年度における本社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約22パーセント又は約23パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。また,同社の被審人に対する前記(2)の売上高の約14パーセント又は約15パーセントに当たる約《金額》円は同社の《略》支店(営業区域は主に室蘭市。以下,「第59 《納入業者(59)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約26パーセント又は約28パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査62の1,査62の2)
(4) 《納入業者(59)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,本社及び《略》支店を含めて6拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,本社であった。
《納入業者(59)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定を選択している。
(査62の1,査62の2)
(5) 《納入業者(59)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①取引先代替非容易,②被審人成長期待を選択している。(査62の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(59)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(59)》の《略》部長は,①同社は北海道内で米を取り扱っている食品スーパーやドラッグストアなどとはほとんど取引を行っており,これらの小売業者は特定の納入業者からの仕入れに偏らないようにバランスを考えて複数の納入業者から仕入れているため,既に同社が取引を行っている小売業者との取引額を増やすことは難しい状況にある旨,及び,②同社が現在取引を行っていない食品スーパー等の小売業者は《事業者B》くらいであるが,《事業者B》については既に既存の納入業者が取引を行っており,そこに《納入業者(59)》が入っていくためには納入価格をかなり引き下げる必要があり,被審人向けの銘柄と《事業者B》が求める銘柄が必ずしも同じではないことから,《事業者B》が求める銘柄を《納入業者(59)》が安定的に供給できるかという問題があり,同社が被審人との取引額を他の取引先で埋め合わせることは容易ではない旨,それぞれ供述している。
(査62の1,査355)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(59)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高増加を選択している。
また,《納入業者(59)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査62の1,査62の2)

第60  《納入業者(60)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(60)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査63の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(60)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売するアイスクリームを主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査63の1)
(2) 《納入業者(60)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.5パーセントないし約9.1パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。
《納入業者(60)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査63の1,査63の2,査500)
(3) 《納入業者(60)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の本社(営業区域は主に札幌市。以下,「第60 《納入業者(60)》」の項目において,単に「本社」という。)によるものであった。(査63の1)
(4) 《納入業者(60)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,本社を含めて4拠点であった。
《納入業者(60)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合を選択している。
(査63の1,査63の2)
(5) 《納入業者(60)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人有力地位,②取引先代替非容易を選択している。(査63の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(60)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《事業者F》の《略》グループ長は,①同社は,平成25年4月1日に《旧会社名略》が《納入業者(60)》など数社の《系列名》系列の販売会社などを合併し,商号を《事業者F》に変更した旨,及び,②平成20年度から平成23年度までの被審人と《納入業者(60)》との取引状況について述べるとした上で,小売業者と既存の取引先との間には長年の付き合いがあり,強い信頼関係があることから,小売業者と既存の取引先との関係を崩していくのはものすごく難しく,既存の取引先である小売業者に対する売上げの増加を図ろうとした場合も他の納入業者のシェアを崩すことから,仮に被審人に対する売上高を失ったとしたら,その売上げを新規取引先の獲得又は既存の取引先との取引額の増加で補うことは短期的にみると非常に難しいことだし,長期的にみても難しかった旨,それぞれ供述している。
(査63の1,査500)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(60)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(60)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査63の1)

第61  《納入業者(61)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(61)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査64)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(61)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する練製品を主に納入していた。同社は,平成21年10月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査64)
(2) 《納入業者(61)》の平成21年5月21日に始まり平成22年5月20日に終わる事業年度から平成23年5月21日に始まり平成24年5月20日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.0パーセントないし約1.5パーセントであった。
《納入業者(61)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査64)
(3) 《納入業者(61)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》事業部(以下,「第61 《納入業者(61)》」の項目において,単に「《略》事業部」という。)によるものであるところ,各事業年度における同事業部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.9パーセントないし約6.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は上位第3位又は第5位であった。(査64)
(4) 《納入業者(61)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高安定を選択している。(査64)
(5) 《納入業者(61)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人有力地位,②取引先代替非容易を選択している。
また,《納入業者(61)》の《略》事業部《略》支店長は,《略》事業部の売上げは同社全体の中で約4分の1を占めており,同社にとって重要な営業拠点である旨供述している。
(査64,査357)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(61)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(61)》の《略》事業部《略》支店長は,①事業者数の多い関東方面では,規模の大きな取引先を一つ失ったとしても他の取引先でカバーすることは可能であるが,北海道内では大手の取引先の数が限られることから被審人との取引量を他の取引先で補うことは不可能である旨,②被審人のような大手との取引がなくなることは経営に与える影響が大きくなる旨,及び,③同社は本社のある《所在地略》と北海道に工場を持ち,基本的に北海道内で販売する商品は《略》工場で製造しているところ,仮に被審人との取引がなくなった場合には,《略》工場の稼働率にも影響して,同工場で働くパートタイマーの数を縮小せざるを得なくなるなど,雇用面にまで影響が及んでしまう旨,それぞれ供述している。
(査64,査357)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(61)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高増加,②多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(61)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査64)

第62  《納入業者(62)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(62)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査65の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(62)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する菓子を主に納入していた。同社は,平成21年5月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査65の1,査65の2)
(2) 《納入業者(62)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.1パーセントないし約9.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。
《納入業者(62)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査65の1,査65の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(62)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(62)》の代表取締役社長は,同社は北海道の主だったスーパー等の小売店には既に商品を取り扱ってもらっているところ,各小売業者の店舗の和菓子等の売場スペースは限られており,現在の売場スペースには同社の商品のほか既に競合他社の商品も並べられているため,被審人との年間売上高を他の小売店で補うことは難しい旨供述している。
(査65の1,査358)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(62)》は,被審人成長認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
また,《納入業者(62)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査65の1,査65の2)

第63  《納入業者(63)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(63)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,多店舗数を選択している。(査66の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(63)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する味付ジンギスカンを主に納入していた。同社は,平成12年11月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査66の1,査66の2)
(2) 《納入業者(63)》の平成21年度及び平成22年度の2事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.2パーセント又は約3.5パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。
《納入業者(63)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査66の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(63)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査66の2)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(63)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,店舗数増加を選択している。
また,《納入業者(63)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査66の1)

第64  《納入業者(64)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(64)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査67の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(64)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果を主に納入していた。同社は,平成7年9月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査67の1)
(2) 《納入業者(64)》の平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度から平成22年8月1日に始まり平成23年7月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約33パーセント又は約35パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(64)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査67の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(64)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。(査67の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(64)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(64)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査67の1,査67の2)

第65  《納入業者(65)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(65)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査68の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(65)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する惣菜及び鮮魚を主に納入していた。同社は,平成13年9月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査68の1,査68の2)
(2) 《納入業者(65)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第28位ないし第45位であった。
《納入業者(65)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査68の1)
(3) 《納入業者(65)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》事業所(営業区域は北海道全域。以下,「第65 《納入業者(65)》」の項目において,単に「《略》事業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同事業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約13パーセント又は約14パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査68の1)
(4) 《納入業者(65)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》事業所を含めて50拠点であった。
《納入業者(65)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高安定,②営業拠点成長期待を選択している。
また,《納入業者(65)》の《略》事業所所長は,同社全体の売上げにおける《略》事業所の売上割合は約2.4パーセントであり,拠点としての売上げはそれほど大きいものではないが,同社には全国各地に同社の商品を届けるという会社の方針があり,この方針からして同事業所をなくすことは考えられず,北海道内での営業や商品の物流を同事業所以外の他の営業拠点で行うことも現実には難しいことから,同社としては,同事業所を今後も必要不可欠な営業拠点と捉えている旨供述している。
(査68の1,査68の2,査363)
(5) 《納入業者(65)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人有力地位,②取引先代替非容易,③被審人成長期待,④営業拠点信用確保を選択している。(査68の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(65)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。
また,《納入業者(65)》の《略》事業所所長は,①北海道内において同社の商品を販売できるような《事業者B》,《事業者C》などの主だった小売業者や飲食店とは既に取引を行っており,ここ数年をみても新たに北海道内で事業を開始したそれなりの規模の小売業者や飲食店はないことから,被審人との取引額をこれまで取引を行っていない新たな取引先でカバーすることは非常に困難である旨,及び,②《納入業者(65)》の既存の取引先との取引額を増やすことで被審人との取引額をカバーすることは,何年か時間を掛ければ可能かもしれないが,簡単なことではない旨,それぞれ供述している。
(査68の1,査363)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(65)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(65)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査68の1,査68の2)

第66  《納入業者(66)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(66)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査69)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(66)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する日用品を主に納入していた。同社は,平成12年6月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査69)
(2) 《納入業者(66)》の平成20年9月1日に始まり平成21年8月31日に終わる事業年度から平成22年9月1日に始まり平成23年8月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約72パーセントないし約75パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(66)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査69)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(66)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(66)》の代表取締役は,①同社の販売スタイルは,取引先である小売業者の店舗に同社所有の什器を設置させてもらい,その什器に同社の商品を陳列するものであるところ,既存の取引先については,既に設置されている什器を退けるだけの売上増の見込みがなければ,追加の什器の設置は認められないし,小売業者は店長同士の横のつながりがあるため,本社からの指示がない限り,前任の店長が作った売場構成を後任の店長はなかなか変えてくれないことから,既存の取引先との取引を増やすことで被審人との取引額を補うことはできない旨,及び,②同社では取引を行っていない小売業者に営業を行っているが,被審人との取引額を補えるような大手小売業者は取引してくれないことから,被審人との取引額を新規取引先の開拓で補うこともほぼ不可能に近い旨,それぞれ供述している。
(査69,査365)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(66)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(66)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査69)

第67  《納入業者(67)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(67)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査70)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(67)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する納豆,こんにゃく,豆腐,油揚げ及びところてんを主に納入していた。同社は,昭和36年に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査70)
(2) 《納入業者(67)》の平成20年7月1日に始まり平成21年6月30日に終わる事業年度から平成22年7月1日に始まり平成23年6月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約24パーセント又は約25パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(67)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査70)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(67)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(67)》の《略》次長は,①被審人に代わり得る小売業者として,《事業者C》,《事業者B》が挙げられるが,《納入業者(67)》は被審人を含めたアークスグループをメインに取引しており,《事業者C》を含めた《グループ名》系の会社については,競合他社がメインで取引しており,自然とアークス系は《納入業者(67)》,《グループ名》系は競合他社と取引先に色分けができてしまっていて,《納入業者(67)》が《グループ名》系の会社との取引量を現状より大幅に増やせるということはないし,《事業者B》については,《事業者B》のグループ会社の一つから《納入業者(67)》の競合商品の一部を仕入れているため,《事業者B》との取引量を大幅に増やせるということもない旨,及び,②《納入業者(67)》が取引を行っていない北海道内の小売業者の中で被審人ほどの店舗数を有している小売業者はないため,新規取引先を見つけて被審人に対する売上高をカバーすることもできない旨,それぞれ供述している。
(査70,査366)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(67)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(67)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査70)

第68  《納入業者(68)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(68)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査71)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(68)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果を主に納入していた。同社は,平成元年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査71)
(2) 《納入業者(68)》の平成20年7月1日に始まり平成21年6月30日に終わる事業年度から平成22年7月1日に始まり平成23年6月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約23パーセントないし約25パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。
《納入業者(68)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査71)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(68)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査71)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(68)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(68)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査71)

第69  《納入業者(69)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(69)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査72の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(69)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する鮮魚を主に納入していた。同社は,平成2年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査72の1,査72の2)
(2) 《納入業者(69)》の平成20年10月1日に始まり平成21年9月30日に終わる事業年度から平成22年10月1日に始まり平成23年9月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約14パーセント又は約15パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。
《納入業者(69)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査72の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(69)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(69)》の代表取締役は,同社の主な営業地域である札幌市において,被審人は非常に有力なスーパーマーケットであり,平成20年以降で考えてみると,同社では被審人との取引額と同じかそれ以上の取引額を確保できるような取引先を探すことは困難であり,実際にこれまでそのような取引先と新たに取引を開始したことはない旨供述している。
(査72の1,査369)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(69)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(69)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査72の1,査72の2)

第70  《納入業者(70)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(70)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査73)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(70)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する鮮魚を主に納入していた。同社は,平成20年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は平成21年9月27日までは《金額》円,同月28日以降平成23年9月29日までは《金額》円,同月30日以降は《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査73)
(2) 《納入業者(70)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.8パーセントないし約2.1パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位であった。
《納入業者(70)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査73)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(70)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(70)》の《略》本部長は,「日本の食文化の魚離れ」によって全体的に日本国内での魚の需要が落ち込んできているところに,被審人に対する安定した売上高を新規の取引先や既存の取引先で代替することは現実的にはほぼ不可能である旨供述している。
(査73,査371)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(70)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(70)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査73)

第71  《納入業者(71)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(71)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査74の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(71)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果物を主に納入していた。同社は,平成元年3月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査74の1)
(2) 《納入業者(71)》の平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度から平成23年3月1日に始まり平成24年2月29日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約33パーセントないし約36パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(71)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査74の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(71)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(71)》の代表取締役社長は,①北海道内において被審人に代わり得る小売業者として《事業者C》,《事業者B》が挙げられるところ,《納入業者(71)》はこれら2社とは取引を行っていないが,これら2社も既存の取引先とのつながりがあるので,《納入業者(71)》が売り込みを行っても,そう簡単に取引を開始してくれるわけではなく,これら2社の既存の取引先の納入価格よりも2,3割程度は価格を安くしないと食い込むことはできないと思うが,そうすると,《納入業者(71)》の経営が持たない旨,及び,②同社の既存の取引先の中で被審人に対する年間売上高をカバーできるほどの規模を持つ小売業者はいない旨,それぞれ供述している。
(査74の1,査373)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(71)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(71)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査74の1,査74の2)

第72  《納入業者(72)》
《納入業者(72)》は,平成20年9月1日,《所在地略》に所在する《旧会社名略》(以下「《旧会社名略》」という。)から分割により設立された。《旧会社名略》は,被審人が販売する鮮魚を主に納入していた。《納入業者(72)》は,《旧会社名略》が昭和36年5月に開始した被審人との取引を承継した。(査75の1,査519)
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(72)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査75の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(72)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査75の1,査75の2,査519)
(2) 《納入業者(72)》の平成21年5月1日に始まり平成22年4月30日に終わる事業年度から平成23年5月1日に始まり平成24年4月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約19パーセントないし約23パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。
《納入業者(72)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査75の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(72)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査75の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(72)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(72)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査75の1,査75の2)

第73  《納入業者(73)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(73)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②消費者人気スーパーを選択している。(査76の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(73)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する調理麺を主に納入していた。同社は,平成21年8月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査76の1,査76の2)
(2) 《納入業者(73)》の平成21年7月1日に始まり平成22年6月30日に終わる事業年度及び平成22年7月1日に始まり平成23年6月30日に終わる事業年度の2事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.3パーセント又は約7.0パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。
《納入業者(73)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査76の1,査76の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(73)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(73)》の専務取締役は,同社の被審人に対する年間売上高に相当する売上高を新規の取引先や既存の取引先でカバーすることは難しく,平成21年以降,同社では,実際に,被審人に対する年間売上高と同程度の売上高を確保できるような新規の取引先は確保できなかったし,既存の取引先に対する売上高を伸ばすことで被審人に対する売上高と同程度の売上高を確保できるような取引先もなかった旨供述している。
(査76の3,査375)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(73)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③その他(バイヤーに活気があり,新商品に対して丁寧に対応し積極的に売り出す姿勢がみえた。)を選択している。
また,《納入業者(73)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査76の1)

第74  《納入業者(74)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(74)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査77の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(74)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果を主に納入していた。同社は,昭和57年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査77の1,査77の2)
(2) 《納入業者(74)》の平成21年5月1日に始まり平成22年4月30日に終わる事業年度から平成23年5月1日に始まり平成24年4月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約11パーセント又は約13パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。
《納入業者(74)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査77の1,査77の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(74)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(74)》の代表取締役社長は,仮に被審人との取引が停止した場合,被審人に対する売上高を埋めること自体は何とかなるかもしれないが,適正な利益を確保しつつ,被審人に対する売上高を埋め合わせることは困難であり,実際に,平成20年以降に,被審人と同程度の売上高を確保できる新規取引先を見つけることはできなかったし,既存の取引先の中で被審人と同程度の売上高をカバーできるほど,売上高を伸ばすことができた取引先もいなかった旨供述している。
(査77の1,査377)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(74)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(74)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査77の1,査77の2)

第75  《納入業者(75)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(75)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査78)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(75)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する鮮魚類を主に納入していた。同社は,平成12年9月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査78)
(2) 《納入業者(75)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.3パーセントないし約6.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。
《納入業者(75)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査78)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(75)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。
また,《納入業者(75)》の《略》課長は,同社の販売先は小口取引の事業者が多く,仮に被審人との取引を失った場合,被審人に代わり得る新規の取引先を見つけること,既存の取引先で被審人への販売額と同程度の売上げを増やすことはいずれも困難である旨供述している。
(査78,査379)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(75)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(75)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査78)

第76  《納入業者(76)》
1 被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(76)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパー,④その他(ラルズ本部での商談において商品の見積単価が採用されなければ,アークスグループ全体の他企業でもその商品が納入販売する事が困難になるため,厳しい条件でもという状況に)を選択している。(査79の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(76)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する日用品を主に納入していた。同社は,平成元年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査79の1,査79の2)
(2) 《納入業者(76)》の平成20年7月1日に始まり平成21年6月30日に終わる事業年度から平成22年7月1日に始まり平成23年6月30日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.5パーセントないし約4.6パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第6位であった。
《納入業者(76)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査79の1)
(3) 《納入業者(76)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に札幌市,苫小牧市,千歳市及び函館市。以下,「第76 《納入業者(76)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.8パーセントないし約14パーセントであった。(査79の1)
(4) 《納入業者(76)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて3拠点であった。
《納入業者(76)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査79の1)
(5) 《納入業者(76)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人有力地位,②取引先代替非容易,③被審人成長期待,④営業拠点信用確保を選択している。(査79の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(76)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査79の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(76)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(76)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査79の1)

第77  《納入業者(77)》
《旧会社名略》(以下,「第77 《納入業者(77)》」の項目において,「《旧会社名略》」という。)の販売部門として昭和61年3月3日に設立された《納入業者(78)》(以下,「第77 《納入業者(77)》」及び「第78 《納入業者(78)》」の項目において,「《納入業者(78)》」という。)は,本件対象期間中の平成23年3月1日に《旧会社名略》が吸収合併し,消滅した。同時に,《旧会社名略》は,商号を《納入業者(77)》(以下,「第77 《納入業者(77)》」の項目において,「《納入業者(77)》」という。)に変更した。《納入業者(77)》は,同日以降,《納入業者(78)》と被審人との取引を承継した。公正取引委員会の報告命令に対する《納入業者(77)》の報告書(査80の1,査80の2)(以下,「第77 《納入業者(77)》」の項目において,単に「報告書」という。)における回答については,平成20年1月1日から平成23年2月28日までについては《納入業者(78)》に係る回答,同年3月1日以降については《納入業者(77)》に係る回答とする。(査80の1ないし査80の3)
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(77)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高上位3位以内を選択している。(査80の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(77)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売するもやし,カイワレ及び茶碗蒸しを主に納入していた。同社は,平成23年3月に被審人との取引を《納入業者(78)》から承継した。本件対象期間における《納入業者(77)》の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円であった。(査80の1,査80の2)
(2) 《納入業者(77)》の平成22年7月1日に始まり平成23年6月30日に終わる事業年度において,当該事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円であった。また,報告書によると,当該事業年度における被審人に対する取引依存度は約1.6パーセント,取引依存度における被審人の順位は第6位であった。しかし,同売上高は,合併後である平成23年3月1日から同年6月30日までの4か月分のものであるのに対し,総売上高は12か月分のものであることからすると,被審人に対する取引依存度は報告書記載の約1.6パーセントではなく,より高いものであったとみられる。このため,報告書記載の取引依存度における被審人の順位についても,実際とは異なるとみられる。なお,被審人に対する売上高を単純に3倍すると,取引依存度は,おおむね4.7パーセントとなり,《納入業者(78)》における取引依存度とおおむね一致し,取引依存度における被審人の順位も上昇するとみられる。また,《納入業者(77)》の上記事業年度における取引先数は,吸収合併した《納入業者(78)》の平成22年3月1日に始まり平成23年2月28日に終わる事業年度における取引先数《取引先数》社を下回ることはないものと認められる。
《納入業者(77)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査80の1,査80の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(77)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査80の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(77)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(77)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査80の1)

第78  《納入業者(78)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(78)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高上位3位以内を選択している。(査80の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(78)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社である。同社は,昭和46年頃に被審人との取引を開始し,平成23年2月28日まで,被審人が販売するもやし,カイワレ及び茶碗蒸しを主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査80の1ないし査80の3)
(2) 《納入業者(78)》の平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度及び平成22年3月1日に始まり平成23年2月28日に終わる事業年度の2事業年度において,被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約5.8パーセント又は約6.0パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。
《納入業者(78)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査80の1,査80の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(78)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査80の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(78)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(78)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査80の1)

第79  《納入業者(79)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(79)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査81の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(79)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する加工食品及び低温食品を主に納入していた。同社は,昭和40年代に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であった。同社の平成21年1月1日に始まり同年12月31日に終わる事業年度,平成22年1月1日に始まり平成23年3月末日に終わる事業年度及び平成23年度の3事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であった。
なお,《納入業者(79)》は,本件対象期間中である平成23年7月に,商号を《旧会社名略》から《納入業者(79)》に変更した。また,同年10月1日,《納入業者(80)》を吸収合併した。
(査81の1,査81の2,査82の3,査385)
(2) 各事業年度における被審人に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度はそれぞれ,約0.7パーセント,約0.6パーセント,約0.5パーセントであった。
《納入業者(79)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査81の1,査81の2)
(3) 《納入業者(79)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は北海道全域。以下,「第79 《納入業者(79)》」の項目において,単に「《略》支社」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度はそれぞれ,約12パーセント,約10パーセント,約9パーセントであり,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査81の1,査81の2)
(4) 《納入業者(79)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支社を含めて35拠点又は42拠点であった。
《納入業者(79)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高安定,③営業拠点成長期待を選択している。
(査81の1,査81の2)
(5) 《納入業者(79)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。
また,《納入業者(79)》の《略》支社《略》部長は,①《略》支社の売上高は同社の他の支社と比べて決して高くはないが,北海道を営業区域としている同社の支社は《略》支社のみであり,仮に同支社がなくなった場合,同支社の北海道における年間約850億円の売上高を他地域の支社等の売上高を純増させることでカバーすることは非常に困難である旨,②同社は全国企業として事業を行っているため,北海道を含め全国で販売しているという実績が必要と考えている旨,及び,③《略》支社は,今後も売上高の維持,拡大が見込まれる支社の一つであることから,同支社は同社にとって重要な営業拠点である旨,それぞれ供述している。
さらに,同《略》部長は,①同社では支社ごとに独立採算制を採っており,《略》支社において被審人との取引がなくなった場合に他の支社からその分を補填すれば済むというわけではない旨,及び,②《略》支社では,平成20年以降,被審人との取引をカバーできるような新規取引先が見つかったり,既存の取引先との売上高が被審人に対する売上高と同等又はそれ以上増加したりしたこともないので,被審人は同支社にとって他では代え難い最重要取引先であり,仮に被審人との取引がなくなった場合,同支社の事業経営上大きな支障を来すほどの重要かつ必要な取引先である旨,それぞれ供述している。
(査81の1,査384)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(79)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(79)》の《略》支社《略》は,①新規取引先の獲得には時間が掛かり,また,新規取引先は既に競合他社と取引している場合が多いので,時間を掛けたとしても獲得できないことが多々あり,既存の取引先からの売上高増を図るのも,大きい売上高のある取引先は,《納入業者(79)》のような食品卸売業者数社と取引し,これらの事業者に価格面などの取引条件を競わせて納入させているので難しい旨,及び,②平成22年4月に,それまで《略》支社の帳合先であった《事業者G》が,被審人の決定により《納入業者(21)》の帳合先に変更され,同支社は《事業者G》の商品の売上高約《金額》円を失うことになったが,いまだこの金額に相当する売上高を回復できていないことから,仮に被審人との売上高約《金額》円を失った場合に同支社がこれを回復するのは不可能である旨,それぞれ供述している。
(査81の1,査385)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(79)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(79)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査81の1) 

第80  《納入業者(80)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(80)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査82の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(80)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する調味料,麺類及び嗜好飲料を主に納入していた。同社は,平成17年4月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であった。同社の平成21年度,平成22年度及び平成23年4月1日に始まり同年9月末日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であった。
なお,《納入業者(80)》は,本件対象期間中の平成23年10月1日をもって《納入業者(79)》に吸収合併された。
(査82の1ないし査82の3)
(2) 各事業年度における被審人に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度はそれぞれ,約0.5パーセント,約0.4パーセント,約0.4パーセントであり,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第46位ないし第59位であった。なお,平成23年4月1日に始まり同年9月末日に終わる事業年度における取引先事業者数は,本件証拠上,明らかではない。
《納入業者(80)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査82の1,査82の2)
(3) 《納入業者(80)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は主に札幌エリア。以下,「第80 《納入業者80》)」の項目において,単に「《略》支社」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,被審人に対する取引依存度はそれぞれ,約7.3パーセント,約6.6パーセント,約5.9パーセントであり,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位であった。なお,平成23年4月1日に始まり同年9月末日に終わる事業年度の取引依存度における被審人の順位は,本件証拠上,明らかではない。(査82の1,査82の2)
(4) 《納入業者(80)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支社を含めて37拠点又は38拠点であった。
《納入業者(80)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高安定,③営業拠点成長期待を選択している。
また,《納入業者(80)》の《略》支社支社長であった者は,①同社の《略》支社は,同社の支社の中では売上げが多いほうではなかったが,継続して《金額》円を超える売上げを獲得している安定した支社であり,その売上げを他の支社で補填することは困難である旨,及び,②全国卸の看板を掲げる同社としては,全国の各地区で同社の商品を取引先に売っていかなければならないので,同社にとって《略》支社は重要な営業拠点であった旨,それぞれ供述している。
(査82の1,査387)
(5) 《納入業者(80)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。
また,《納入業者(80)》の《略》支社支社長であった者は,①どの商品をどこからどれだけの量を仕入れるかを決めるのは,飽くまで小売業者であるので,いくら同社が多くの取引を望み,積極的な営業を行っても,小売業者の方針により,同社の思うように取引できるものではない旨,及び,②同社は,北海道地区における,被審人,《事業者C》,《事業者B》の「3大スーパー」のうち被審人と最も多くの取引をしているところ,平成20年度から平成22年度までにおいては,《略》支社における被審人に対する取引依存度が7パーセント前後となる大きな売上げを上げており,全国卸の看板を掲げている《納入業者(80)》としては,全国各地区で主要な小売業者との取引を落とすことはできないことから,引き続き,北海道地区の被審人との取引を維持し,拡大していく必要があった旨,それぞれ供述している。
(査82の1,査387)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(80)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査82の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(80)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(80)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査82の1)

第81  《納入業者(81)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(81)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査83の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(81)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果を主に納入していた。同社は,平成15年に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査83の1)
(2) 《納入業者(81)》の平成21年10月1日に始まり平成22年9月30日に終わる事業年度及び平成22年10月1日に始まり平成23年9月30日に終わる事業年度の2事業年度おいて,各事業年度における被審人に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約1.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位であった。
《納入業者(81)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査83の1)
(3) 《納入業者(81)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は主に北海道。以下,「第81 《納入業者81》」の項目において,単に「《略》支社」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約4.4パーセント又は約4.6パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位又は第7位であった。(査83の1)
(4) 《納入業者(81)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支社を含めて13拠点であった。
《納入業者(81)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高安定,③営業拠点成長期待を選択している。
(査83の1)
(5) 《納入業者(81)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査83の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(81)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査83の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(81)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高増加,②その他(アークスグループ増加で今後も関連売上が期待できる)を選択している。
また,《納入業者(81)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査83の1)

第82  《納入業者(82)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(82)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査84の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(82)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する佃煮を主に納入していた。同社は,平成14年11月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査84の1)
(2) 《納入業者(82)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約14パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。
《納入業者(82)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査84の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(82)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(82)》の《略》部長は,同社は,《事業者B》,《事業者C》を含めた北海道内のほとんどの小売業者と直接又は間接に取引を行っており,《納入業者(82)》と取引していない小売業者の中で被審人ほどの大きなパイを持つところはない旨供述している。
(査84の1,査388)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(82)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(82)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査84の1)

第83  《納入業者(83)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(83)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高上位3位以内を選択している。(査85の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(83)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する衣料品を主に納入していた。同社は,平成10年5月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査85の1,査85の2)
(2) 《納入業者(83)》の平成21年2月1日に始まり平成22年1月31日に終わる事業年度,平成22年2月1日に始まり平成23年1月31日に終わる事業年度及び平成23年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.2パーセント又は約0.3パーセントであった。
《納入業者(83)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査85の1,査85の2)
(3) 《納入業者(83)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に北海道及び東北。以下,「第83 《納入業者(83)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.7パーセントないし約5.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位ないし第10位であった。(査85の1,査85の2)
(4) 《納入業者(83)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて4拠点又は5拠点であった。
《納入業者(83)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高高割合を選択している。
(査85の1,査85の2)
(5) 《納入業者(83)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,被審人成長期待を選択している。(査85の2)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(83)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査85の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(83)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,店舗数増加を選択している。
また,《納入業者(83)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査85の1)

第84  《納入業者(84)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(84)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内を選択している。(査86)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(84)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する漬物を主に納入していた。同社は,平成15年6月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査86)
(2) 《納入業者(84)》の平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度から平成23年3月1日に始まり平成24年2月29日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約3.1パーセントないし約3.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。
《納入業者(84)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査86)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(84)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査86)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(84)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(84)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査86)

第85  《納入業者(85)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(85)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,売上高上位3位以内を選択している。(査87の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(85)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する牛乳及び乳製品を主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査87の1)
(2) 《納入業者(85)》の平成21年度及び平成22年度の2事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約0.3パーセント又は約0.4パーセントであった。
《納入業者(85)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査87の1)
(3) 《納入業者(85)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は北海道全域。以下,「第85 《納入業者(85)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約2.6パーセント又は約3.1パーセント,取引依存度における被審人の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第8位又は第9位であった。(査87の1)
(4) 《納入業者(85)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて6拠点であった。
《納入業者(85)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高安定,③営業拠点成長期待,④他拠点転用不可投資を選択している。
(査87の1)
(5) 《納入業者(85)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①被審人有力地位,②取引先代替非容易,③被審人成長期待を選択している。(査87の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(85)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査87の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(85)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加を選択している。
また,《納入業者(85)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査87の1)

第86  《納入業者(86)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(86)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査88の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(86)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売する精肉及び惣菜を主に納入していた。同社は,平成8年6月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査88の1)
(2) 《納入業者(86)》の平成21年3月1日に始まり平成22年2月28日に終わる事業年度から平成23年3月1日に始まり平成24年2月29日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度はいずれも約0.4パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第52位ないし第58位であった。
《納入業者(86)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択している。
(査88の1)
(3) 《納入業者(86)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は北海道全域。以下,「第86 《納入業者(86)》」の項目において,単に「《略》支店」という。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約13パーセント又は約14パーセント,取引依存度における被審人の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査88の1)
(4) 《納入業者(86)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて21拠点又は26拠点であった。
《納入業者(86)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高高割合,②売上高安定,③営業拠点成長期待を選択している。
また,《納入業者(86)》の《略》支店支店長は,同社の支店の中で《略》支店の売上げは中位に位置するが,北海道では唯一の営業拠点であるため,同社においては欠かせない重要な支店である旨供述している。
(査88の1,査391)
(5) 《納入業者(86)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査88の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(86)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(86)》の《略》支店支店長は,同社は北海道内3強と呼ばれる,被審人,《事業者B》,《事業者C》のほか多数の取引先と取引しているところ,各取引先に対する営業を努力しているが,売上げが増加したとしても前年度実績を少し超えるくらいなので,仮に被審人との取引がなくなった場合,被審人との取引を他で代替することは難しく,《事業者B》や《事業者C》に対しても《納入業者(86)》は既に取引しているため,両者の取引を増やして被審人の取引量を補うことは無理である旨供述している。
(査88の1,査391)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(86)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開,④その他(OEM戦略で拡大している為)を選択している。
また,《納入業者(86)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査88の1,査88の2)

第87  《納入業者(87)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(87)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査89の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(87)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,被審人が販売する青果を主に納入していた。同社は,昭和61年9月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査89の1)
(2) 《納入業者(87)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約1.3パーセントないし約1.7パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第7位ないし第14位であった。
《納入業者(87)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査89の1)
(3) 《納入業者(87)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》事務所(営業区域は主に北海道。以下,「第87 《納入業者(87)》」の項目において,単に「《略》事務所」という。)によるものであるところ,各事業年度における同事務所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約34パーセントないし約37パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査89の1)
(4) 《納入業者(87)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》事務所を含めて3拠点又は4拠点であった。
《納入業者(87)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高安定,②営業拠点成長期待を選択している。
(査89の1)
(5) 《納入業者(87)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待を選択している。(査89の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(87)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査89の1)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(87)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(87)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査89の1,査89の2)

第88  《納入業者(88)》
1  被審人の市場における地位
本文第6の1(3)アのとおり。
また,《納入業者(88)》は,被審人有力地位認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①多店舗数,②売上高上位3位以内,③消費者人気スーパーを選択している。(査90の1)
2  取引依存度等
(1) 《納入業者(88)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,被審人が販売するパン及び和洋菓子類を主に納入していた。同社は,昭和51年11月に被審人との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査90の1,査90の2)
(2) 《納入業者(88)》の平成21年度から平成23年度までの3事業年度において,各事業年度における被審人に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.2パーセントないし約7.3パーセント,取引依存度における被審人の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位又は第5位であった。
《納入業者(88)》は,高取引依存度認識設問に対し,「はい」を選択している。
(査90の1,査90の2)
(3) 《納入業者(88)》の被審人に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の本社(営業区域は主に札幌市,岩見沢市,恵庭市,千歳市,石狩市,北広島市,小樽市及び石狩郡当別町。以下,「第88 《納入業者(88)》」の項目において,単に「本社」という。)及び《略》営業所(営業区域は主に苫小牧市。以下,「第88 《納入業者(88)》」の項目において,単に「《略》営業所」という。)によるものである(なお,《略》営業所については,平成22年10月に本社に併合された。)。各事業年度における本社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約8.6パーセントないし約11パーセント,取引依存度における被審人の順位は上位第2位又は第3位であった。また,平成21年度における《略》営業所の年間総売上高は約《金額》円,被審人に対する取引依存度は約6.5パーセントであった。(査90の1,査90の2)
(4) 《納入業者(88)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,本社及び《略》営業所を含めて5拠点又は6拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,本社であった。
《納入業者(88)》は,営業拠点重要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①売上高補填困難,②売上高高割合,③売上高安定,④営業拠点成長期待を選択している。
(査90の1)
(5) 《納入業者(88)》は,営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①高営業拠点取引依存度,②被審人有力地位,③取引先代替非容易,④被審人成長期待,⑤営業拠点信用確保を選択している。(査90の1)
3  取引先変更可能性等
《納入業者(88)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(88)》の《略》課長は,①同社は北海道内に店舗を展開するほとんどの食品スーパーとの間で既に取引を行っており,《事業者H》(以下「《事業者H》」という。)などの全国展開している飲食店や個人の飲食店との間でも取引を行っていることから,被審人に対する売上高を新規の取引先を開拓することで補うのは困難である旨,②《納入業者(88)》では第60期(審決注:平成21年度)に《事業者H》との間で新規に取引を開始することができ,被審人に対する売上高以上の売上高を上げることができたが,これは《事業者H》が《納入業者(88)》と業務提携している《事業者I》のグループ会社の一つと取引していたため,《事業者H》が北海道内で展開する店舗については,《納入業者(88)》が商品を納入することができるようになったという特殊事情によるものであり,通常はこれだけの規模の売上高の新規取引を開始できることはない旨,③《納入業者(88)》がいまだ取引を行っていない全国展開している小売業者や飲食店はあるものの,これらの事業者は全国展開しているメーカーとの取引を望むため,《納入業者(88)》のように全国展開していないメーカーが新規に取引を開始することは難しい旨,及び,④既存の取引先についても同業他社との競争が激しいこと,小売業者には複数メーカーの商品を店頭に置きたい意向があるため,ヒット商品を開発しない限り,シェアを拡大することは難しいことから,既存の取引先に対する取引額を増加させることで被審人に対する売上高を補うことは難しい旨,それぞれ供述している。
(査90の1,査393)
4  その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(88)》は,被審人成長認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①店舗数増加,②売上高増加,③多様業態店舗展開を選択している。
また,《納入業者(88)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。
(査90の1)

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