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独禁法3条後段
令和元年(措)第2号
東京都千代田区九段北四丁目3番29号
ニチレキ株式会社
同代表者 代表取締役 《 氏 名 》
東京都新宿区神楽坂一丁目15番地
日進化成株式会社
同代表者 代表取締役 《 氏 名 》
公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文及び理由中の用語のうち,別紙「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙「定義」欄に記載のとおりである。
主 文
1 ニチレキ株式会社(以下「ニチレキ」という。)及び日進化成株式会社(以下「日進化成」という。)の2社(以下「2社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 舗装用改質アスファルトについて,遅くとも平成24年3月23日以降,2社及び東亜道路工業株式会社(以下「東亜道路工業」という。)の3社(以下「3社」という。)が共同して行っていた,需要者向け販売価格を引き上げ又は維持する旨の合意が消滅していることを確認すること。
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格を決定せず,自主的に決めること。
(3) 今後,相互に,又は他の事業者と,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格に関する情報交換を行わないこと。
2 2社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,ニチレキにあっては日進化成及び東亜道路工業に,日進化成にあってはニチレキ及び東亜道路工業に通知するとともに,自社の舗装用改質アスファルトの需要者及び自社の舗装用改質アスファルトの取引先である販売業者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 2社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格を決定してはならない。
4 2社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格に関する情報交換を行ってはならない。
5 2社は,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前2項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 自社の従業員に対する,自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底
(2) 舗装用改質アスファルトの販売活動に関する独占禁止法の遵守についての,舗装用改質アスファルトの販売に関わる役員及び営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
6 2社は,それぞれ,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
理 由
第1 事実
1 関連事実
(1) 名宛人等の概要
ア 2社は,それぞれ,肩書地に本店を置き,舗装用改質アスファルトを,需要者に対して,直接又は販売業者を通じて販売していた。
イ 名宛人以外の東亜道路工業は,東京都港区六本木七丁目3番7号に本店を置き,舗装用改質アスファルトを,需要者に対して,直接又は販売業者を通じて販売していた。
(2) 舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格の決定方法等
ア 3社は,それぞれ,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格について,直接又は販売業者を通じて需要者と交渉して定め,販売業者を通じて需要者に販売する場合には,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格から当該販売業者の口銭を差し引いたものを自らの販売価格とするなどしていた。
イ 3社の舗装用改質アスファルトの販売数量の合計は,我が国における舗装用改質アスファルトの総販売数量の過半を占めていた。
2 合意及び実施方法
3社は,かねてから,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格に関して情報交換を行っていたところ,遅くとも平成24年3月23日以降,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格の低落を防止し自社の利益の確保を図るため,共同して舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格を引き上げ又は維持する旨の合意の下に,舗装用改質アスファルトの原材料であるストレートアスファルトの仕入価格の大幅な変動が見込まれる場合等に,3社の営業責任者等による会合を開催するなどして,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格の引上げ額又は当該価格を維持すること等を決定するなどしていた。
3 実施状況
3社は,前記2により,おおむね,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格を,引き上げ又は維持するなどしていた。
4 合意の消滅
3社は,平成27年9月28日以降,前記2の合意に基づく行為を行っていない。このため,同日以降,同合意は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば,3社は,共同して,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格を引き上げ又は維持する旨を合意することにより,公共の利益に反して,我が国における舗装用改質アスファルトの販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また,前記の違反行為は既になくなっているが,2社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり,違反行為が長期間にわたって行われていたこと等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,2社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
令和1年6月20日
委員長 杉 本 和 行
委 員 山 本 和 史
委 員 三 村 晶 子
委 員 青 木 玲 子
委 員 小 島 吉 晴