公正取引委員会審決等データベース

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東京都が発注する浄水場の排水処理施設運転管理作業の見積り合わせ参加業者に対する件

独禁法3条後段

令和元年(措)第4号

排除措置命令

東京都江東区佐賀一丁目3番7号
 月島テクノメンテサービス株式会社
  同代表者 代表取締役 《 氏    名 》

東京都千代田区丸の内一丁目6番5号
 石垣メンテナンス株式会社
  同代表者 代表取締役 《 氏    名 》

大阪市北区同心一丁目7番14号
日本メンテナスエンジニヤリング株式会社
 同代表者 代表取締役 《 氏    名 》

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,理由及び別紙1中の用語のうち,別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙2「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 月島テクノメンテサービス株式会社,石垣メンテナンス株式会社及び日本メンテナスエンジニヤリング株式会社の3社(以下「3社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 別紙1記載の作業(以下「特定運転管理作業」という。)について,3社及び水ing株式会社(以下「水ing」という。)の4社(以下「4社」という。)が,遅くとも平成26年3月頃以降共同して行っていた,受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,東京都が発注する浄水場の排水処理施設運転管理作業について,受注予定者を決定せず,自主的に受注活動を行うこと。
2 3社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く2社及び東京都に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 3社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,東京都が発注する浄水場の排水処理施設運転管理作業について,受注予定者を決定してはならない。
4 3社は,それぞれ,第1項及び第2項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 関連事実
(1) 名宛人等の概要
ア 3社は,それぞれ,肩書地に本店を置き,浄水場の排水処理施設運転管理作業を請け負っていた者である。
イ 名宛人以外の水ingは,東京都港区港南一丁目7番18号に本店を置き,浄水場の排水処理施設運転管理作業を請け負っていた者である。
(2) 特定運転管理作業の発注方法等
ア 東京都は,特定運転管理作業について,毎年度,契約期間を1年とする複数単価契約として希望制指名競争見積り合わせの方法により発注していた。
イ 東京都は,特定運転管理作業について,最も低い見積価格を提示した参加業者を契約交渉の相手方とし,当該参加業者が提示した全ての見積単価が予定単価以下である場合には,当該見積単価で単価を決定し,当該参加業者を受注者として,契約を締結していた。
 また,東京都は,当該参加業者が提示した見積単価のうち,予定単価を超えている見積単価がある場合には,当該参加業者との間で,予定単価を超えている見積単価について交渉を行った上で,予定単価以下で単価を決定し,当該参加業者を受注者として,契約を締結していた。
ウ 遅くとも平成26年3月頃以降,特定運転管理作業の希望制指名競争見積り合わせには,4社のみが参加していた。
2 合意及び実施方法
4社は,遅くとも平成26年3月頃以降,特定運転管理作業について,受注価格の低落防止等を図るため
(1)ア 浄水場ごとに既存業者(見積り合わせが行われる時点で当該浄水場の排水処理施設運転管理作業を請け負っている者をいう。)を受注予定者とする
イ 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
(2)ア 受注予定者が提示する見積価格は,受注予定者が定める
イ 受注予定者以外の者は,受注予定者が連絡した価格以上の見積価格を提示する
などにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
3 実施状況
4社は,前記2により,特定運転管理作業のほとんど全てを受注していた。
4 前記2の行為の取りやめ
平成30年10月30日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,前記2の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為は取りやめられている。
第2 法令の適用
前記事実によれば,4社は,共同して,特定運転管理作業について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,特定運転管理作業の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また,前記の違反行為は既になくなっているが,3社については,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり,違反行為が長期間にわたって行われていたこと,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,3社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。

令和1年7月11日

委員長 杉  本  和  行
委 員 山  本  和  史
委 員 三  村  晶  子
委 員 青  木  玲  子
委 員 小  島  吉  晴

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