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独禁法19条(2条9項4号)
令和元年(措)第5号
東京都台東区元浅草二丁目6番7号
コンビ株式会社
同代表者 代表取締役 《 氏 名 》
公正取引委員会は,上記の者に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第20条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文及び理由中の用語のうち,別紙「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙「定義」欄に記載のとおりである。
主 文
1 コンビ株式会社(以下「コンビ」という。)は,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) ホワイトレーベル商品の販売に関し,遅くとも平成27年1月頃以降行っていた,自ら又は取引先卸売業者を通じて,小売業者に,コンビが定める「提案売価」等と称する価格(以下「提案売価」という。)で販売するようにさせる行為を行っていないこと。
(2) 今後,コンビの大物三品の販売に関し,前記(1)の行為と同様の行為を行わないこと。
2 コンビは,前項に基づいて採った措置を,取引先卸売業者及び小売業者に通知するとともに,一般消費者に周知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知,周知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 コンビは,今後,コンビの大物三品の販売に関し,第1項(1)の行為と同様の行為を行ってはならない。
4 コンビは,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 卸売業者及び小売業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定
(2) 卸売業者及び小売業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての,従業員に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
5 コンビは,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
理 由
第1 事実
1 関連事実
(1) 名宛人の概要
コンビは,肩書地に本店を置き,育児用品の販売業等を営む者である。
(2) ホワイトレーベル商品の販売方法等
ア コンビは,コンビの大物三品を,自ら又は取引先卸売業者を通じて小売業者に販売するほか,インターネットを利用した販売により自社の子会社を通じて一般消費者に販売していた。
イ コンビは,コンビの大物三品に係る提案売価について,自ら又は取引先卸売業者を通じて,小売業者に,文書を配布するなどして周知していた。
ウ コンビは,コンビの大物三品の販売価格が値崩れしていたところ,新たなブランドを付した商品を販売することとし,平成20年11月頃,ホワイトレーベル商品の販売を開始した。
エ ホワイトレーベル商品は,育児用品の中でも一般消費者からの認知度が高く,一般消費者の中にはホワイトレーベル商品を指名して購入する者も少なくないことから,育児用品を販売する小売業者にとって,品ぞろえに加えておくことが重要な商品となっていた。
2 小売業者に提案売価で販売するようにさせていた行為
コンビは,ホワイトレーベル商品について,かねてから,提案売価での販売に同意した小売業者に販売を認める方針の下,自ら又は取引先卸売業者を通じて小売業者から提案売価で販売する旨の同意を得ていたところ,遅くとも平成27年1月頃以降,ホワイトレーベル商品を提案売価で販売する旨に同意した小売業者に自ら又は取引先卸売業者を通じてホワイトレーベル商品を販売することにより,小売業者にホワイトレーベル商品を提案売価で販売するようにさせていた。
3 実施状況
コンビの前記2の行為により,小売業者は,ホワイトレーベル商品を,おおむね提案売価で販売していた。
4 前記2の行為の消滅等
(1) 平成30年4月18日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行った後も,コンビは,同年12月頃まで,小売業者に,ホワイトレーベル商品を提案売価で販売するようにさせていた。
(2) コンビは,平成30年12月に,平成31年1月以降は小売業者の販売価格の決定に関与しない旨を取引先卸売業者及び取引先小売業者に通知したことなどから,平成31年1月以降,前記2の行為は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば,コンビは,正当な理由がないのに,小売業者に,提案売価を維持させる条件を付けてホワイトレーベル商品を供給し,取引先卸売業者に,当該取引先卸売業者をしてその取引先である小売業者に提案売価を維持させる条件を付けてホワイトレーベル商品を供給していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第9項第4号イ及びロに該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するものである。
また,前記の違反行為は既になくなっているが,コンビは,独占禁止法第20条第2項において準用する独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり,公正取引委員会の立入検査後もなお違反行為を継続していたこと等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,コンビに対し,独占禁止法第20条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
令和1年7月24日
委員長 杉 本 和 行
委 員 山 本 和 史
委 員 三 村 晶 子
委 員 青 木 玲 子
委 員 小 島 吉 晴