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独禁法3条後段
令和元年(措)第9号
名宛人 別表1の名宛人目録記載のとおり
公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文,理由及び別紙1中の用語のうち,別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙2「定義」欄に記載のとおりである。
主 文
1 別表1の名宛人目録記載の12社(以下「12社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会(同名宛人目録番号11の株式会社サンワにあっては,株主総会)において決議しなければならない。
(1) 別紙1記載の活性炭(以下「特定活性炭」という。)について,12社及び別表2記載の4社(以下「16社」という。)が,遅くとも平成25年10月24日以降(別表3記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄記載の年月日以降)共同して行っていた,供給予定者(自社の活性炭を供給すべき者をいう。以下同じ。)を決定し,供給予定者が別表1の名宛人目録番号1の本町化学工業株式会社(以下「本町化学工業」という。)を介して供給できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,別紙1の表の「施設名」欄記載の施設(以下「東日本地区の特定浄水場等」という。)向けの活性炭について,供給予定者を決定せず,自主的に供給すること。
2 12社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く11社に通知するとともに,東日本地区に所在する地方公共団体(別紙1の表の番号93及び94にあっては,かずさ水道広域連合企業団),自社の取引先である特定活性炭の販売業者等及び遅くとも平成25年10月24日以降(別表3記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄記載の年月日以降)に,特定活性炭の入札等に参加していた販売業者等のうち自社が供給する活性炭を取り扱う者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 12社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,東日本地区の特定浄水場等向けの活性炭について,供給予定者を決定してはならない。
4 12社は,それぞれ,第1項及び第2項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
理 由
第1 事実
1 関連事実
(1) 名宛人等の概要
ア 12社は,それぞれ,別表1の「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き,活性炭を販売していた。
イ 名宛人以外の別表2(1)記載の事業者は,「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き,活性炭を販売していた。
ウ 名宛人以外の別表2(2)記載の事業者は,「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き,活性炭を販売していた者であるが,「期日」欄記載の年月日以降,「事由」欄記載の事由により,事業活動の全部を取りやめている。
エ 名宛人以外の別表2(3)記載の事業者は,それぞれ,「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き,活性炭を販売していた者であるが,「期日」欄記載の年月日に「合併の状況」欄記載のとおり,合併したことにより消滅している。
(2) 特定活性炭の入札等
ア 東日本地区に所在する地方公共団体は,特定活性炭について,入札等に参加する者に対し,活性炭の仕様,契約期間中の活性炭の使用予定数量等を示して,入札等を実施していた。
イ 16社は,特定活性炭の入札等に,自社が供給する活性炭を取り扱う販売業者等を参加させ,又は自ら参加していた(以下,16社がそれぞれ特定活性炭の入札等に参加させる者を「窓口業者」という。)。
ウ 16社は,自社の窓口業者又は自らが特定活性炭の入札等において受注者となった場合,特定活性炭を東日本地区に所在する地方公共団体に供給していた。
2 合意及び実施方法
本町化学工業は,かねてから,特定活性炭について,入札等に係る物件,自社の活性炭を供給した者,受注者となった窓口業者,契約数量,落札金額等の情報を管理していたところ(以下,当該情報を記載した年度ごとの一覧表を「入札結果表」という。),16社は,遅くとも平成25年10月24日以降(別表3記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄記載の年月日以降),特定活性炭について,各社の利益を確保するため
(1)ア 供給予定者を決定し,供給予定者は本町化学工業を介して供給する
イ 供給予定者以外の者は,供給予定者が供給できるように協力する旨の合意の下に
(2)ア(ア) 本町化学工業は,特定活性炭の入札等に先立ち,16社のうち本町化学工業を除く15社(以下「15社」という。)と個別に面談し,15社に対して,本町化学工業が作成した入札結果表を配付する
(イ) 15社は,本町化学工業に対し,前記(ア)の配付された入札結果表に記載の物件の中から,自社が供給予定者となることを希望するものを伝える
(ウ) 本町化学工業は,東日本地区に所在する地方公共団体が入札等に当たり示した特定活性炭の仕様,15社の前記(イ)の希望,入札結果表に記載の特定活性炭の供給実績等を勘案して,15社のいずれかを供給予定者として物件を割り振る
イ 窓口業者が提示する入札価格又は見積価格(以下「入札価格等」という。)のうち
(ア) 供給予定者の窓口業者が提示する入札価格等は,供給予定者若しくは本町化学工業が単独で,又は両者の協議によるなどして決定する
(イ) 供給予定者以外の者の窓口業者が提示する入札価格等は,供給予定者の窓口業者が提示する入札価格等よりも高くなるようにする
ウ 入札等において前記イの入札価格等を窓口業者に提示させる
エ 本町化学工業は,特定活性炭の各入札等が実施された後,入札結果表を随時更新し,当該入札結果表を,更新日以降に実施される前記アの行為に用いる
などして,供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにしていた。
3 実施状況
16社は,前記2により,特定活性炭のほぼ半数について,15社から本町化学工業を介して供給していた。
4 前記2の行為の取りやめ
(1) 別表2(1)及び別表4記載の事業者は,本町化学工業に対し,それぞれ,前記2(1)の合意から離脱する旨を表明し,「期日」欄記載の年月日以降,同合意に基づき供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにする行為を取りやめている。
(2) 別表2(3)記載の事業者は,それぞれ,「期日」欄記載の年月日に,「合併の状況」欄記載の事由により消滅したため,同日以降,前記2(1)の合意に基づき供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにする行為を行っていない。
(3) 平成29年2月21日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,12社から別表4記載の事業者を除き別表2(2)記載の事業者を加えた10社は,前記2(1)の合意に基づき供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにする行為を取りやめている。
第2 法令の適用
前記事実によれば,16社は,共同して,特定活性炭について,供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにすることにより,公共の利益に反して,特定活性炭の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また,前記の違反行為は既になくなっているが,12社については,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり,違反行為が長期間にわたって行われていたこと等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,12社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。
令和1年11月22日
委員長 杉 本 和 行
委 員 山 本 和 史
委 員 三 村 晶 子
委 員 青 木 玲 子
委 員 小 島 吉 晴