公正取引委員会審決等データベース

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近畿地区に所在する地方公共団体が発注する特定粒状活性炭の販売業者に対する件

独禁法3条後段

令和元年(措)第10号

排除措置命令

名宛人 別表1の名宛人目録記載のとおり

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文,理由及び別紙1中の用語のうち,別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙2「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 別表1の名宛人目録記載の8社(以下「名宛人8社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会(同名宛人目録番号8の株式会社サンワにあっては,株主総会)において決議しなければならない。
(1) 別紙1記載の粒状活性炭(以下「特定粒状活性炭」という。)について,名宛人8社及び別表2記載の3社(以下「11社」という。)が,遅くとも平成25年3月22日以降(別表3記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄記載の年月日以降)共同して行っていた,供給予定者(自社の粒状活性炭を供給すべき者をいう。以下同じ。)を決定し,供給予定者が別表1の名宛人目録番号1の本町化学工業株式会社(以下「本町化学工業」という。)を介して供給できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,別紙1の表の「施設名」欄記載の施設(以下「近畿地区の特定高度浄水処理施設」という。)向けの粒状活性炭について,供給予定者を決定せず,自主的に供給すること。
2 名宛人8社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く7社に通知するとともに,近畿地区に所在する地方公共団体,自社の取引先である特定粒状活性炭の販売業者等及び遅くとも平成25年3月22日以降(別表3記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄記載の年月日以降)に,特定粒状活性炭の入札に参加していた販売業者等のうち自社が供給する粒状活性炭を取り扱う者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 名宛人8社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,近畿地区の特定高度浄水処理施設向けの粒状活性炭について,供給予定者を決定してはならない。
4 名宛人8社は,それぞれ,第1項及び第2項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 関連事実
(1) 名宛人等の概要
ア 名宛人8社は,それぞれ,別表1の「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き,粒状活性炭を販売していた。
イ 名宛人以外の別表2(1)記載の事業者は,「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き,粒状活性炭を販売していた者であるが,「期日」欄記載の年月日以降,「事由」欄記載の事由により,事業活動の全部を取りやめている。
ウ 名宛人以外の別表2(2)記載の事業者は,それぞれ,「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き,粒状活性炭を販売していた者であるが,「期日」欄記載の年月日に「合併の状況」欄記載のとおり,合併したことにより消滅している。
(2) 特定粒状活性炭の入札
ア 近畿地区に所在する地方公共団体は,特定粒状活性炭について,入札に参加する者に対し,粒状活性炭の仕様,契約期間中の粒状活性炭の使用予定数量等を示して,入札を実施していた。
イ 11社は,特定粒状活性炭の入札に,自社が供給する粒状活性炭を取り扱う販売業者等を参加させていた(以下,11社がそれぞれ特定粒状活性炭の入札に参加させる者を「窓口業者」という。)。
ウ 11社は,自社の窓口業者が特定粒状活性炭の入札において受注者となった場合,特定粒状活性炭を近畿地区に所在する地方公共団体に供給していた。
2 合意及び実施方法
11社は,遅くとも平成25年3月22日以降(別表3記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄記載の年月日以降),特定粒状活性炭について,各社の利益を確保するため
(1)ア 供給予定者を決定し,供給予定者は本町化学工業を介して供給する
イ 供給予定者以外の者は,供給予定者が供給できるように協力する
旨の合意の下に
(2)ア 入札物件ごとに,11社から本町化学工業を除いた10社(以下「10社」という。)の中から
(ア) 納入先施設ごとに供給予定者となる順番をあらかじめ定め,当該順番に該当する者を供給予定者とする
(イ) 特定の納入先施設については特定の者を供給予定者とする
ことを原則としつつ,本町化学工業と10社のうち一部の者が必要に応じて調整して,10社のうちいずれかの者を当該物件の供給予定者とする
イ 窓口業者が提示する入札価格のうち
(ア) 供給予定者の窓口業者が提示する入札価格は,供給予定者が単独で,又は供給予定者と本町化学工業との協議によるなどして決定する
(イ) 供給予定者以外の者の窓口業者が提示する入札価格は,供給予定者の窓口業者が提示する入札価格よりも高くなるようにする
ウ 入札において前記イの入札価格を窓口業者に提示させる
などして,供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにしていた。
3 実施状況
11社は,前記2により,特定粒状活性炭の大部分について,10社から本町化学工業を介して供給していた。
4 前記2の行為の取りやめ
(1) 別表4記載の事業者は,本町化学工業に対し,前記2(1)の合意から離脱する旨を表明し,「期日」欄記載の年月日以降,同合意に基づき供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにする行為を取りやめている。
(2) 別表2(2)記載の事業者は,それぞれ,「期日」欄記載の年月日に,「合併の状況」欄記載の事由により消滅したため,同日以降,前記2(1)の合意に基づき供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにする行為を行っていない。
(3) 平成29年2月21日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,同日以降,名宛人8社から別表4記載の事業者を除き別表2(1)記載の事業者を加えた8社は,前記2(1)の合意に基づき供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにする行為を取りやめている。
第2 法令の適用
前記事実によれば,11社は,共同して,特定粒状活性炭について,供給予定者を決定し,供給予定者が本町化学工業を介して供給できるようにすることにより,公共の利益に反して,特定粒状活性炭の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また,前記の違反行為は既になくなっているが,名宛人8社については,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり,違反行為が長期間にわたって行われていたこと等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,名宛人8社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。

令和1年11月22日

委員長 杉  本  和  行
委 員 山  本  和  史
委 員 三  村  晶  子
委 員 青  木  玲  子
委 員 小  島  吉  晴

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