公正取引委員会審決等データベース

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東海旅客鉄道株式会社が発注するリニア中央新幹線に係る品川駅及び名古屋駅新設工事の指名競争見積の参加業者に対する件

独禁法第7条の2

令和2年(納)第3号

課徴金納付命令

納付命令番号 納付義務者 納付すべき課徴金の額
(万円)
備考
(関係審決)
令和2年(納)第3号 株式会社大林組 東京都港区港南二丁目15番2号 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫ 311839万円
令和2年(納)第4号 清水建設株式会社 東京都中央区京橋二丁目16番1号 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫ 120331万円

東京都港区港南二丁目15番2号
株式会社大林組
同代表者 代表取締役 《 氏  名 》

公正取引委員会は,上記の者に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条の2第1項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,理由及び別紙1の用語のうち,別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙2「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
株式会社大林組(以下「大林組」という。)は,課徴金として金31億1839万円を令和3年7月26日までに国庫に納付しなければならない。

理    由
1 課徴金に係る違反行為
大林組は,別添令和2年(措)第10号排除措置命令書(写し)記載のとおり,他の事業者と共同して,別紙1記載の工事(以下「リニア中央新幹線に係る地下開削工法による品川駅及び名古屋駅新設工事」という。)について,受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,リニア中央新幹線に係る地下開削工法による品川駅及び名古屋駅新設工事の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものであり,かつ,独占禁止法第7条の2第1項第1号に規定する役務の対価に係るものである。
2 課徴金の計算の基礎
(1)ア 大林組は,リニア中央新幹線に係る地下開削工法による品川駅及び名古屋駅新設工事を請け負う事業を営んでいた。
イ 大林組が前記1の違反行為の実行としての事業活動を行った日は,大林組が最初に見積書を提出した平成27年5月13日であると認められる。また,大林組は,平成29年12月8日以降,当該違反行為を行っておらず,同月7日にその実行としての事業活動はなくなっているものと認められる。したがって,大林組については,独占禁止法第7条の2第1項の規定により,実行期間は,平成27年5月13日から平成29年12月7日までとなる。
ウ 前記実行期間におけるリニア中央新幹線に係る地下開削工法による品川駅及び名古屋駅新設工事に係る大林組の売上額は,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令第6条第1項の規定に基づき算定すべきところ,当該規定に基づき算定すると,別紙3記載の物件に係る306億5139万9214円である。
(2) 大林組は,公正取引委員会による調査開始日である平成29年12月18日から遡り10年以内である平成20年7月24日に,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第35号)附則第2条のなお従前の例によることとする規定により,同法による改正前の独占禁止法第54条の2第1項の規定による審決(平成14年(判)第12号)を受けており,最高裁判所平成22年(行ツ)第147号及び平成22年(行ヒ)第160号平成24年2月20日第一小法廷決定で当該審決が確定しているので,当該審決は,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成21年法律第51号)附則第7条第1項の規定により,独占禁止法第7条の2第1項の規定による命令であって確定しているものとみなされる。また,大林組は,平成29年12月8日以降,前記1の違反行為を行っておらず,同月7日まで当該違反行為を行ったものと認められるため,当該審決の日以後において当該違反行為をしていた者である。したがって,大林組は独占禁止法第7条の2第7項第1号に該当する者であり,同項の規定の適用を受ける事業者である。
(3) 大林組は,独占禁止法第7条の2第12項第1号の規定により,公正取引委員会による調査開始日である平成29年12月18日以後,課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第7号。以下「課徴金減免規則」という。)第5条に規定する期日までに,課徴金減免規則第4条及び第6条に定めるところにより,単独で,公正取引委員会に前記1の違反行為に係る事実の報告及び資料の提出(既に公正取引委員会によって把握されている事実に係るものを除く。)を行った者であり,当該報告及び資料の提出を行った日以後において当該違反行為をしていた者でない。また,当該違反行為について,独占禁止法第7条の2第10項第1号又は第11項第1号から第3号までの規定による報告及び資料の提出を行った者の数は5に満たないところ,これらの規定による報告及び資料の提出を行った者の数と,同条第12項第1号の規定による報告及び資料の提出を行った者(以下「調査開始日以後の申請事業者」という。)であって大林組より先に課徴金減免規則第4条第1項に規定する報告書の提出を行った者の数を合計した数は5に満たず,かつ,調査開始日以後の申請事業者であって大林組より先に同項に規定する報告書の提出を行った者の数を合計した数は3に満たない。したがって,大林組は,独占禁止法第7条の2第12項の規定の適用を受ける事業者である。
(4) 大林組は,前記1の違反行為に係る事件と同一の事件について,平成30年10月22日に東京地方裁判所で不当な取引制限の罪により罰金2億円に処せられ,同裁判は同年11月6日に確定している。したがって,大林組は,独占禁止法第7条の2第19項の規定の適用を受ける事業者である。
(5) 大林組が国庫に納付しなければならない課徴金の額は,独占禁止法第7条の2第1項及び第7項の規定により,前記306億5139万9214円に100分の15を乗じて得た額から,同条第12項の規定により当該額に100分の30を乗じて得た額を減額して算出された額に代えて,同条第19項の規定によりその額から前記罰金額の2分の1に相当する1億円を控除し,同条第23項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて算出された31億1839万円である。

よって,大林組に対し,独占禁止法第7条の2第1項の規定に基づき,主文のとおり命令する。

令和2年12月22日

委員長 古  谷  一  之
委 員 山  本  和  史
委 員 三  村  晶  子
委 員 青  木  玲  子
委 員 小  島  吉  晴

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