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㈱ラルズによる審決取消請求事件

独禁法66条2項(独禁法19条〔2条9項5号〕,独禁法20条の6)
東京高等裁判所

平成31年(行ケ)第13号

判決

当事者の表示 別紙1当事者目録記載のとおり

主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告が,原告に対して平成31年3月25日にした公正取引委員会平成25年(判)第28号及び第29号審判事件についての審決を取り消す。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
第2 事案の概要
1 被告である公正取引委員会は,原告が遅くとも平成21年4月20日から平成24年3月13日までの間(以下「本件対象期間」という。)に,原告の納入業者(原告が自ら販売する商品を,原告に直接販売して納入する事業者のうち,原告と継続的な取引関係にある者のこと。以下,同じ。)のうち別紙2の各事業者(以下「88社」といい,事業者数については,農業協同組合及び農業協同組合連合会を含むときも「〇社」と表記する。また,事業者名の表記においては,株式会社又は有限会社を省略し,別紙2の番号欄記載の番号を,名称の後に括弧書きで付すものとする。)に対して行っていた行為は,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項5号イ及びロ(ただし,平成21年法律第51号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律〔以下「平成21年改正法」という。〕の施行日である平成22年1月1日前においては,平成21年改正法による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項に基づき公正取引委員会が指定する不公正な取引方法である平成21年公正取引委員会告示第18号による改正前の不公正な取引方法〔昭和57年公正取引委員会告示第15号の14項[以下「旧一般指定14項」という。]1号及び2号〕)に該当し,同法19条の規定に違反するものであるとして,平成25年法律第100号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(以下「平成25年改正法」という。)の附則2条の規定によりなお従前の例によることとされる平成25年改正法による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)に基づき,平成25年7月3日付けで原告に排除措置命令(平成25年(措)第9号,以下「本件排除措置命令」といい,本件排除措置命令において認定された違反行為を「本件違反行為」という。)及び課徴金納付命令(平成25年(納)第31号,以下「本件課徴金納付命令」といい,本件排除措置命令と合わせて「本件各命令」という。)をしたところ,原告は,これを不服として本件各命令の全部の取消しを求める審判請求をしたが,被告は,公正取引委員会平成25年(判)第28号排除措置命令審判事件及び同第29号課徴金納付命令審判事件について,平成31年3月25日付けで原告の各審判請求をいずれも棄却する旨の審決(以下「本件審決」という。)をした。
2 本件は,原告が,被告に対し,本件審決の取消しを求める事案である。
第3 前提となる事実(証拠によって認定した事実は各項末尾括弧内に認定に供した証拠を摘示し,その記載がない事実は当事者間に争いのない事実である。)
1 原告の概要
⑴ 原告は,肩書所在地に本店を置き,北海道の区域において,「ビッグハウス」,「ラルズマート」,「スーパーアークス」,「ラルズストア」,「ホームストア」,「ラルズプラザ」,「ファミリープラザ」及び「フレッティ」と称する店舗を運営し,食料品,日用雑貨品,衣料品等の小売業を営む者である。
原告は,平成14年11月1日,株式会社アークスから分割により設立された株式会社であり,同社が株式の100パーセントを有する完全子会社であり,資本金は42億円である。(査1,査2)
本件各命令当時,株式会社アークスを親会社とする企業グループ(以下「アークスグループ」という。)は,原告のほか,株式会社ユニバース,株式会社福原,株式会社道北アークス,株式会社東光ストア,株式会社道南ラルズ,株式会社道東ラルズ,株式会社篠原商店,株式会社ジョイス,株式会社イワイ及び株式会社エルディから構成されていた。
なお,平成28年3月,株式会社篠原商店と株式会社道東ラルズが合併して,株式会社道東アークスとなり,岩手県,宮城県,青森県及び秋田県で食品スーパーマーケット(以下「食品スーパー」という。)を営む株式会社ジョイスは,同じ業務内容の株式会社べルプラスと合併して,株式会社べルジョイスとなった。(査2,審14)
⑵ 原告の事業年度は,毎年3月1日に始まり翌年2月末日に終わるところ,原告の総売上高は,平成21年2月期(平成20年3月1日から平成21年2月28日まで)が約1148億3740万円,平成22年2月期(平成21年3月1日から平成22年2月28日まで)が約1148億3781万円,平成23年2月期(平成22年3月1日から平成23年2月28日まで)が約1156億4224万円,平成24年2月期(平成23年3月1日から平成24年2月29日まで)が約1181億7453万円であり,毎年増加していた。
また,原告の食料品の売上高は,平成21年2月期が約965億7800万円,平成22年2月期が約972億5500万円,平成23年2月期が約1021億200万円であり,毎年増加していた。
そして,原告は,総売上高では,北海道の区域内における食品スーパーの中で,《事業者B》(以下「《事業者B》」という。)の各事業年度(各年4月1日から翌年3月31日まで)における総売上高《金額》円台ないし《金額》円台,《事業者C》(以下「《事業者C》」という。)の各事業年度(各年3月1日から翌年2月末日まで)における総売上高約《金額》円に次ぐ第3位であり,平成21年2月期から平成23年2月期までの各事業年度における食料品の売上高では,北海道の区域内における食品スーパーの中で,《事業者B》の各事業年度における食料品の売上高《金額》円前後に次ぐ第2位であった。(査2,査95ないし査97)
⑶ 平成20年2月29日時点の原告の店舗数は52店であり,北海道区域内の主要都市に存在した。また,原告の店舗総面積(各店舗の店舗面積の合計)は約11万8000㎡であったところ,原告の店舗数及び店舗総面積は,その後,毎年増加し,平成21年2月28日時点では54店,約12万1000㎡,平成22年2月28日時点では57店,約13万1000㎡,平成23年2月28日時点では62店,約14万6000㎡,平成24年2月29日時点では64店,約15万1000㎡であった。(査2)
なお, 平成21年2月期から平成23年2月期までの各事業年度において,《事業者B》の店舗数は約100店,《事業者C》の店舗数は約30店であった。 (査95ないし査97)
2 原告と納入業者との取引
⑴ 原告の仕入業務担当部門
原告は,営業本部の下に,自社の店舗で販売する商品の仕入業務を統括する商品統括部を置き,同部の下に,仕入業務を担当する部門として,商品の分類別に第1商品部から第8商品部まで(以下,第1商品部から第8商品部までをまとめて「各商品部」という。)を設置していた。各商品部の担当品目は,第1商品部が青果物,第2商品部が水産物,第3商品部が食肉,第4商品部が惣菜品等,第5商品部が豆腐及び納豆等の和日配の商品,乳製品等の洋日配の商品並びにドリンク,第6商品部が菓子,パン及びグロサリー(コーヒー,缶詰等の加工食品),第7商品部が日用品,第8商品部が衣料品等であった。また,原告の店舗のうち,室蘭市,登別市及び伊達市(以下,まとめて「室蘭地区」という。)に所在する7店舗において販売する商品については,基本的に各商品部が仕入業務を担当するが,一部の商品については,営業本部の下に置かれている室蘭地区本部が仕入業務を担当していた。
⑵ 仕入業務担当者等の権限
各商品部には,ゼネラルマネジャー(以下「GM」という。)及びその部下のバイヤーが仕入業務担当者として配置されており(以下,GMとバイヤーを併せて「仕入担当者」ともいう。),室蘭地区本部にも商品カテゴリー別の仕入担当者が配置されていた。仕入担当者は,店舗で販売する商品及びその販売方針を決定するとともに,納入業者との間で商品の仕入れに係る商談等を行い,仕入価格を始めとする取引条件を決定していた。
本件対象期間において,各商品部を統括する商品統括部長は,営業本部長の《A1》(同人は,平成19年5月に常務取締役,平成22年5月に専務取締役に就任した。以下,時期を問わず「《A1》専務」という。)が兼任しており,《A1》専務が,各商品部及び室蘭地区本部の仕入担当者に対し,仕入業務全般について指示を行っていた。
⑶ 原告の社内会議
原告は,以下アないしウのとおり,定期的に開催される社内会議の場において,本件対象期間における原告の代表取締役社長である《A2》(以下「《A2》社長」という。),《A1》専務等から,仕入担当者に対し,経営陣の営業方針等を定期的に伝達し,仕入業務に従事させるとともに,各商品部から商品の販売の現状について報告させるなどしていた。
なお,《A2》社長は,平成19年5月24日に原告の代表取締役社長に就任したが,同日,それまで原告の代表取締役社長であった《A3》(以下「《A3》会長」という。)が原告の代表取締役会長に就任した。(査2)
ア 経営会議
経営会議は,毎週月曜日に,役員全員及び各商品部を含む各部署のGMが出席の上開催される。経営会議では,担当役員及び各商品部のGMが,会議の前週の販売実績を報告するとともに,今週のスケジュール,取組内容,目標等を発表する。
イ GM会議
GM会議は,経営会議終了後に,《A2》社長,《A1》専務,営業本部の販売統括部長である常務取締役,営業本部の各GM等が出席して開催される。GM会議では,《A2》社長,《A1》専務等から各商品部のGM等に対して今後の活動内容について具体的な指示が行われる。
ウ バイヤーミーティング
バイヤーミーティングは,GM会議終了後,《A1》専務,第1商品部から第7商品部までのそれぞれの仕入担当者等が出席して開催されるが,バイヤーミーティングの会議自体は,第1商品部ないし第3商品部,第4商品部,第5商品部ないし第7商品部の3つに分かれて実施される。バイヤーミーティングでは,第8商品部を除く各商品部のGMが会議の前週の販売状況,今週の販売目標等の発表を行うとともに,《A1》専務から上記商品部の仕入担当者に対して売上増進のための取組み等について具体的な指示が行われる。
⑷ 原告における商品の仕入方法
原告は,自社が販売する商品のほとんど全てを納入業者から買取取引(買主が売主から商品の引渡しを受けた時点で当該商品の所有権が売主から買主に移転する取引のこと。以下,同じ。)で仕入れていた。(査2)
3 88社による原告に対する金銭及び労務の提供並びに原告の商品の購入
⑴ 88社の概要
88社は,いずれも原告に商品を納入する納入業者であり,食料品,日用雑貨品,衣料品等の製造業者又は卸売業者である。(査4ないし査90〔枝番号を含む。〕,査507)
⑵ 88社のうち別紙3の「濫用行為の状況」欄の「従業員等の派遣要請」の項に「〇」の記載がある53社(以下「53社」という。)による従業員等の派遣
53社は,本件対象期間に原告が実施した新規開店(原告が,新たに店舗を設置して,当該店舗の営業を開始すること。以下,同じ。)又は改装開店(原告が,自社の既存の店舗について,一時的に営業を取りやめて,売場の移動,売場面積の拡縮,設備の改修その他の改装を実施した上で,当該店舗の営業を再開すること。以下,同じ。)に際し,別紙4の「従業員派遣」欄記載のとおり,自社の従業員等(自社の従業員若しくは原告が商品を仕入れている張合メーカーの従業員をいい,以下,この意味で「従業員等」という。)を当該店舗に派遣していた。同従業員等は,①新規開店又は改装開店の開店前の作業として,商品陳列棚の清掃,商品の仮陳列,商品陳列,POP等取付け(陳列された商品の位置に合わせて行うプライスカードや商品説明のためのPOPの取付作業),スキャンチェック(陳列した商品をレジに通し,レジから排出されたレシートに印字された価格とプライスカードに記載された価格が一致するかの確認作業),追加発注,追加商品の陳列の作業を,②新規開店又は改装開店後に行われる「オープンセール」と称するセール(以下「オープンセール」という。)の期間(以下「オープンセール期間」という。)の作業として,商品陳列,商品補充,調理の作業を,③改装開店の場合の閉店時の作業として,商品の撤去,他店舗への振替の作業(以下,前記①ないし③の作業を併せて「本件開店準備作業等」という。)を行った(以下「本件従業員等派遣」という。)。(査2〔別表8〕,査115,査116,査141,査142,査152)
⑶ 88社のうち別紙3の「濫用行為の状況」欄の「オープンセール協賛金の提供要請」の項に「〇」の記載がある54社(以下「54社」という。)による原告のオープンセールに係る協賛金の名目の金銭の提供,及び88社のうち別紙3の「濫用行為の状況」欄の「創業祭協賛金の提供要請」の項に「〇」の記載がある86社(以下「86社」という。)による原告の「創業祭」と称するセールに係る協賛金の名目の金銭の提供
ア 原告のオープンセールに係る協賛金の名目の金銭の提供
原告は,本件対象期間に新規開店又は改装開店を行った15店舗において,オープンセールを行った。
54社は,オープンセールの際,別紙4の「オープン協賛金」欄記載のとおり,原告に対し,オープンセールの協賛金の名目で金銭を提供した(以下,この金銭を「オープンセール協賛金」という。)。(査2〔別表10〕,査156,査159,査160,査162ないし査167,査176,査177,査180ないし査185)
イ 原告の「創業祭」と称するセールに係る協賛金の名目の金銭の提供
原告は,原告の前身であるダイマルスーパー株式会社の創業日が10月28日であることにちなんで,「創業祭」と称するセール(以下「創業祭」という。)を,毎年9月頃から11月頃までの間に数次にわたり実施していた。
86社は,本件対象期間に原告が実施した創業祭に際し,別紙4の「創業祭協賛金」欄記載のとおり,創業祭の協賛金の名目で金銭を提供した(以下,この金銭を「創業祭協賛金」といい,オープンセール協賛金と併せて「本件協賛金」という。また,54社によるオープンセール協賛金の提供と86社による創業祭協賛金の提供を総称して,以下「本件協賛金の提供」という。)。(査2〔別表10〕,査187ないし査190,査193ないし査196,査198,査199,査201ないし査203,査205,査207ないし査209,査215)
⑷ 88社のうち別紙3の「濫用行為の状況」欄の「スーツ等の購入要請」の項に「〇」の記載がある18社(以下「18社」という。)の役員及び従業員による原告の商品の購入
原告は,毎年3月頃及び9月頃に,原告のラルズプラザ札幌店において,「紳士服特別販売会」などと称するセール(以下「紳士服特別販売会」という。)を実施し,3月頃に実施するものにおいては春夏向けの,9月頃に実施するものにおいては秋冬向けの,イージーオーダー又は既成品の紳士用スーツ,ワイシャツ,ネクタイ,革靴等(以下「本件商品」という。)を販売していた。
なお,紳士服特別販売会は,取引先や原告の関係者はもちろん,一般客も購入可能な企画であり,取引先等に対して特別に安く販売するものではなかった。
18社の役員及び従業員(以下「18社の従業員等」という。)は,本件対象期間に,別紙4の「購入要請」欄記載のとおり,本件商品を購入した(以下「本件商品の購入」という。)。(査2〔別表9〕,査252ないし査254,査276)
⑸ 以上のとおり,原告は,88社のうち53社から本件従業員等の派遣を受け,88社のうち54社からオープンセール協賛金の,86社から創業祭協賛金の各提供を受け,また,88社のうち18社の従業員等に本件商品を販売した(以上を総称して,以下「本件各行為」という。)。
4 原告の88社との間における購入額
本件対象期間のうち,平成22年1月1日から平成24年3月13日までの期間における原告の88社との間における商品の購入額を,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令(昭和52年政令第317号。以下「独占禁止法施行令」という。)30条2項の規定に基づき算定すると,別紙2の「購入額」欄記載のとおりとなる。(査263の1及び2)
5 被告による立入検査,原告の取締役会決議等
⑴ 被告は,平成24年1月17日,本件各行為に関して立入検査(以下「本件立入検査」という。)を行った。
なお,審査段階において,納入業者である88社は,公正取引委員会審査官の平成24年6月8日付け報告命令を受けて,それぞれ報告書を提出した(査4ないし査90〔枝番号を含む。〕。以下,まとめて「88社の報告書」といい,個別のものを報告書に納入業者の名称を付して「〔納入業者の名称〕の報告書」と表示する。)。
前記報告命令では,①平成20年1月1日時点の原告が北海道地区における食品スーパーの分野において有力な地位にあるかの認識の有無についての設問(以下「原告有力地位認識設問」という。),②同日時点の原告に対する取引依存度が他の取引先に比して高いとの認識の有無についての設問(以下「高取引依存度認識設問」という。),③同日時点の原告と取引を行っている営業拠点が重要な拠点であるとの認識の有無についての設問(以下「営業拠点重要性認識設問」という。),④同日時点の営業拠点における原告との取引の必要性の有無の認識についての設問(以下「営業拠点取引必要性認識設問」という。),⑤同日時点の原告との取引を他の取引先で代替することが容易でないとの認識の有無についての設問(以下「取引先代替非容易認識設問」という。),⑥同日時点の原告の成長が期待できるとの認識の有無についての設問(以下「原告成長認識設問」という。),⑦「貴社は,貴社にとって不利益な要求であっても受け入れざるを得ないほど,ラルズと取引することの重要性及び必要性があると認識していましたか。」という設問(以下「取引重要性等の設問」という。)などがあった。
⑵ 本件立入検査以後,原告により,本件各行為に係る要請は行われていない。
一方,原告は,本件立入検査の日より前に,《納入業者(1)》,《納入業者(3)》,《納入業者(6)》,《納入業者(21)》,《納入業者(26)》,《納入業者(54)》,《納入業者(57)》,《納入業者(79)》,《納入業者(80)》,《納入業者(86)》及び《納入業者(88)》。以下「《納入業者(1)》ら11社」という。)に対し,平成23年の創業祭協賛金の提供を要請しており,その支払期限は,いずれも本件立入検査の日より後であった。
⑶ 前記のとおり提供を要請されていた創業祭協賛金について,《納入業者(1)》ら11社は,平成24年1月31日に《納入業者(86)》が50万円を,同年2月29日に《納入業者(1)》,《納入業者(3)》,《納入業者(21)》,《納入業者(26)》,《納入業者(57)》,《納入業者(79)》及び《納入業者(80)》が合計2950万円を振り込んで支払った。
⑷ 原告は,平成24年3月14日,取締役会において,今後,審査段階の被疑事実に係る行為を取りやめること,今後,被疑事実に係る行為が発生しないよう以下のアないしウの点等を徹底すること,及び,これらの点を記載した文書を取引先に送付することなどを決議した(以下「本件取締役会決議」という。)。(査2,査262)
ア 納入業者に対して従業員等の応援の派遣を依頼する場合には,派遣を受ける従業員等の派遣条件についてあらかじめ納入業者と合意し,かつ,その従業員等の派遣のために通常必要な費用を原告が負担する。納入業者から当該費用の辞退がある場合には,従業員等の応援派遣依頼は行わない。
イ 原告の商品を納入業者に販売する場合は,仕入担当者等,仕入取引に影響を与え得る者からの要請は行わず,販売企画等への参加が仕入取引に影響すると捉えられる行為は行わない。
ウ 納入業者から金銭等の支払を受ける場合には,事前にその金銭等の負担額,算出根拠,目的等について明確に合意し,かつ,納入業者が得る利益等を勘案して合理的であると認められる範囲において行う。
⑸ 《納入業者(1)》ら11社のうち3社は,前記創業祭協賛金について,平成24年3月21日に《納入業者(54)》が500万円,同年3月30日に《納入業者(6)》及び《納入業者(88)》が合計140万円を振り込んで支払った。
⑹ 原告は,平成25年4月1日に審査官から本件立入検査後に上記協賛金が支払われている旨の指摘を受け,同月5日に《納入業者(1)》ら11社に対して前記の協賛金を返還した。
第4 本件訴訟に至る経緯等(当事者に争いがない事実若しくは記録に顕著な事実)
1 排除措置命令及び課徴金納付命令
⑴ 被告は,原告が,遅くとも平成21年4月20日から平成24年3月13日までの間,88社のうち53社に本件従業員等の派遣をさせていた行為,88社のうち54社又は86社に本件協賛金等の提供をさせていた行為及び88社のうち18社の従業員等に本件商品の購入をさせていた行為(本件各行為)は,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,当該取引に係る商品以外の商品を購入させ,自己のために金銭,役務その他の経済上の利益を提供させていたものであり,この行為は,独占禁止法2条9項5号イ及びロ(ただし,平成21年改正法の施行日である平成22年1月1日前においては,旧一般指定14項1号及び2号)に該当し,独占禁止法19条の規定に違反するものであり(本件違反行為),かつ,特に排除措置を命ずる必要があるとして,独占禁止法20条2項,7条2項1号に基づき,平成25年7月3日付けで本件排除措置命令(平成25年(措)第9号)をした。
本件排除措置命令の命令書の謄本は,同月4日,原告に対して送達された。
⑵ 被告は,原告の本件各行為は,独占禁止法2条9項5号イ及びロに該当し,独占禁止法19条の規定に違反するものであり(本件違反行為),かつ,独占禁止法20条の6の規定により継続してするものであるところ,本件違反行為をした日から本件違反行為がなくなる日までの期間(以下「違反行為期間」という。)は,平成21年4月20日から平成24年3月13日までとなるが,本件違法行為のうち平成21年改正法の施行日である平成22年1月1日以後に係るものについて,原告と88社それぞれとの間における購入額の合計は1287億1385万0942円であるから,独占禁止法20条の6,20条の7,7条の2第23項の規定により,課徴金の額は12億8713万円であるとして,独占禁止法20条の6に基づき,平成25年7月3日付けで本件課徴金納付命令(平成25年(納)第31号)をした。
本件課徴金命令の命令書の謄本は,同月4日,原告に対して送達された。
2 本件審決
⑴ 原告は,平成25年7月25日,本件各命令の全部の取消しを求める審判請求をした。
⑵ 被告は,公正取引委員会平成25年(判)第28号排除措置命令審判事件及び同第29号課徴金納付命令審判事件について,原告の取引上の地位は88社に対して優越しており,原告による本件各行為は,独占禁止法2条9項5号イないしハ(ただし,平成21年改正法による改正前は,旧一般指定14項)が規定する行為(以下「不利益行為」という。)に該当し,原告は88社に対して取引上の地位が優越していることを利用して正常な商慣習に照らして不当に本件各行為を行ったものと認められるとした。
また,被告は,本件各行為は,独占禁止法上の優越的地位の濫用として一体のものと評価することができるから,その違反行為期間は,本件対象期間である平成21年4月20日から平成24年3月13日までとなるが,課徴金算定期間の始期は平成21年改正法の施行日である平成22年1月1日と解されるから,本件対象期間のうち同日以降の原告の88社との間の購入額から課徴金額を算定すると,12億8713万円となるなどとした。
以上に基づき,被告は,平成31年3月25日付けで原告の各審判請求をいずれも棄却する旨の本件審決をした。
⑶ 本件審決の審決書の謄本は,平成31年3月26日,原告に対し送達された。
3 本件取消訴訟の提起
原告は,平成31年4月24日,東京高等裁判所に対し,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。
第5 争点及び当事者の主張
1 争点は,次のとおりである(別紙「争点・主張整理表」の「争点」欄参照)。
⑴ 本件各行為の優越的地位の濫用該当性
⑵ 違反行為期間と課徴金算定
2 当事者の主張の要旨
当事者の主張は,別紙「争点・主張整理表」の「原告の主張」欄及び「本件審決の判断・被告の主張」欄にそれぞれ記載のとおりである。
第6 当裁判所の判断
当裁判所は,本件各命令に対する原告の各審判請求をいずれも棄却した本件審決の判断に違法な点はなく,原告の本件請求は理由がないものと判断する。
その理由は,以下のとおりである。
第7 認定事実
前提事実,別紙5記載の事実に加え,各項末尾括弧内に記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。なお,別紙5については,各項に認定に供した証拠を摘示してあり,以下において,別紙5により認定した事実については,格別に証拠を摘示しない。
1 原告の市場における地位及び88社との関係(なお,この項において,証拠によって認定した事実については,各項末尾の括弧内に認定に供した証拠を摘示した。)
⑴ 原告の市場における地位
ア 前提事実1のとおり,原告は,資本金42億円の株式会社であり,平成21年2月期から平成23年2月期までの各事業年度において,食料品の売上高が1000億円前後,総売上高が1100億円台で推移しており,食料品の売上高は北海道の区域内における食品スーパーの中で《事業者B》(各事業年度における売上高は《金額》円前後)に次ぐ第2位,総売上高は同区域内における食品スーパーの中で《事業者B》(各事業年度における売上高は《金額》円台ないし《金額》円台),《事業者C》(各事業年度における売上高は約《金額》円)に次ぐ第3位であったほか,北海道の店舗数及び店舗総面積は,平成20年2月29日の時点で店舗数が52店,店舗総面積が約11万8000㎡であったが,毎年増加し,平成23年2月28日時点で店舗数が約60店,店舗総面積が約15万㎡であった。
イ 88社の全社は,88社の報告書の原告有力地位認識設問に対して,「はい」を選択し,多店舗数,売上高上位3位以内,消費者人気スーパーという原告に対する認識等を理由に,平成20年1月1日時点の原告が北海道地区における食品スーパーの分野において有力な地位にあると認識していた。
ウ また,88社中,《納入業者(4)》,《納入業者(23)》,《納入業者(33)》,《納入業者(62)》を除く84社は,88社の報告書の原告成長認識設問に対して,「はい」を選択し,原告の店舗数増加や売上高増加等を理由に,平成20年1月1日時点の原告の成長が期待できると認識していた。
⑵ 原告と88社の関係
ア 88社の事業規模及び事業内容,原告に対する売上高,原告に対する取引依存度,取引先に対する取引依存度における原告の順位等は,別紙5の各2項のとおりである。
イ 《納入業者(1)》等27社(以下「27社」ともいう。)について
(ア) 別紙5の各2項のとおり,《納入業者(1)》〔約11%[原告に対する取引依存度。以下,同じ。]〕,《納入業者(8)》〔約30%又は約31%〕,《納入業者(9)》〔約16%ないし約19%〕,《納入業者(14)》〔約16%ないし約18%〕,《納入業者(17)》〔約29%ないし約38%〕,《納入業者(22)》〔約14%ないし約20%〕,《納入業者(23)》〔約16%〕,《納入業者(25)》〔約11,12%〕,《納入業者(27)》〔約11%ないし約13%〕,《納入業者(28)》〔約8%ないし約13%〕,《納入業者(39)》〔約11%〕,《納入業者(41)》〔約21%〕,《納入業者(42)》〔約19%ないし約21%〕,《納入業者(44)》〔約12%又は約14%〕,《納入業者(45)》〔約24%又は約30%〕,《納入業者(51)》〔約16%又は約19%〕,《納入業者(58)》〔約15%ないし約17%〕,《納入業者(59)》〔約17%〕,《納入業者(64)》〔約33%又は約35%〕,《納入業者(66)》〔約72%ないし約75%〕,《納入業者(67)》〔約24%又は約25%〕,《納入業者(68)》〔約23%ないし約25%〕,《納入業者(69)》〔約14%又は約15%〕,《納入業者(71)》〔約33%ないし約36%〕,《納入業者(72)》〔約19%ないし約23%〕,《納入業者(74)》〔約11%又は約13%〕,《納入業者(82)》〔約14%〕は,いずれも,原告に対する取引依存度(年間総売上高に占める原告に対する年間売上高の割合)が1割を超える企業である。
(イ) 別紙5の各3項のとおり,27社は,取引先変更可能性等に関し,88社の報告書の取引先代替非容易認識設問に対して「はい」を選択し,原告に代替し得る新規の取引先を見付けることができないこと(新規取引先発見不可)や,原告との取引を補う程度に既存の取引先との取引を増やすことができないこと(他取引先取引増加不可)などを理由に,平成20年1月1日時点の原告との取引を他の取引先で代替することが容易でないと認識していた。
また,27社の従業員等の供述等によれば,取引先変更可能性等は,別紙5の各3項のとおりであった(なお,原告は,このうち,《納入業者(9)》の《略》課長の供述(査300)は,伝聞として述べるにとどまるから信用性を欠くなどと主張するが,この主張を採用することができないことは,別紙5の第9・3に記載のとおりである。)。
(ウ) さらに,別紙5の各4項後段のとおり,27社は,88社の報告書の取引重要性等の設問に対しても「はい」を選択(あるいはこれと同旨の供述を)している。
(エ) 27社についての原告との取引に関する個別事情は以下のとおりである。
① 《納入業者(1)》
a 《納入業者(1)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成17年3月に原告との取引を開始し,主に菓子を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の平成21年及び平成22年(いずれも1月1日に始まり同年12月末日に終わる。)並びに平成23年(4月1日に始まり翌年3月末日に終わる)の各事業年度における年間総売上高は,それぞれ約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円,各事業年度における原告に対する年間売上高は,それぞれ約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はいずれも約11%であった。(査4)
b 《納入業者(1)》の《略》支社の《略》は,同社が原告との取引を失った場合,それを回復し得る取引規模を持った取引先として《事業者C》と《事業者B》があるが,前者とは既に取引をしており,後者とは親会社が既に取引をしているから,新規に取引を開始することはできず,また,《納入業者(1)》は,北海道内のみで営業を行っているため,全国展開している小売業者と新規に取引することは困難であり,既存の取引先との取引量を増加させるとしても,原告に対する売上高と同規模の売上高まで増加させることは大変困難であるとする。(査4,査294)
② 《納入業者(8)》
a 《納入業者(8)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和62年5月頃に原告との取引を開始し,主に野菜を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成20年ないし平成22年(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約30%又は約31%であった。(査11の1,査488)
b 《納入業者(8)》の代表者取締役は,同社が取引依存度約30%の原告との取引を失った場合には,それに代わる売上高を他の取引先で補うのは無理であり,大幅な人員削減といった経営規模を縮小せざるを得ないとする。(査11の1,査488)
③ 《納入業者(9)》
a 《納入業者(9)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成元年3月に原告との取引を開始し,主に青果,菓子及び調味料を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも2月21日に始まり翌年2月20日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約16%ないし約19%であった。(査12の1)
b 《納入業者(9)》の《略》課長は,同社と取引していない北海道内の小売業者の中で原告ほどの規模の者はいないため,原告に対する売上高と同程度の売上高を確保できる新規の取引先を見付けることは困難であり,既存の取引先の中で売上高を伸ばして同程度の売上高をカバーするとしても,新規の事業を立ち上げて商品を売り込む以外に方法はないとする。(なお,《納入業者(9)》の《略》課長の上記供述の信用性が否定できないことについては,別紙5のとおりである。査12の1,査300)
④ 《納入業者(14)》
a 《納入業者(14)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成7年4月に原告との取引を開始し,主に豆腐を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約16%ないし約18%であった。(査17の1及び2)
b 《納入業者(14)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査17の1)
⑤ 《納入業者(17)》
a 《納入業者(17)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成8年4月に原告との取引を開始し,主に青果を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約29%ないし約38%であった。(査20,査491)
b 《納入業者(17)》の代表取締役は,同社は平成25年6月に原告との取引を終了したが,原告に対する売上げを失ったことは大きな打撃であり,新たな取引先を確保することも,既存の取引先に対する売上げを伸ばすことも困難であったため,平成27年3月末をもって廃業予定であるとする。(査20,査491)
⑥ 《納入業者(22)》
a 《納入業者(22)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,原告に主にパンを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも12月1日に始まり翌年11月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約14%ないし約20%であった。(査25の1)
b 《納入業者(22)》は,原告との取引を補える程度に他の取引先との取引を増やすことはできないこと(以下「取引先取引増加不可」という。)を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする(査25の1)。
⑦ 《納入業者(23)》
a 《納入業者(23)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成22年6月に原告との取引を開始し,主に漬け魚を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円(平成24年6月現在)であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成22年及び平成23年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はいずれも約16%であった(査26の1及び2,査315)
b 《納入業者(23)》の常務取締役は,同社の販売先は,平成22年度から平成23年度にかけて増えたが,いずれも小規模で当該売上げを合計しても,原告に対する売上げには及ばず,大手小売業者とは,既に同業他社が取引を行っているため,新規に取引を開始することは困難であり,実際に営業を試みた際も取引はできなかったから,原告に代わる取引先を確保することは困難な状況にあったとする。(査26の1,査315)
⑧ 《納入業者(25)》
a 《納入業者(25)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成7年4月に原告との取引を開始し,主に菓子を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の平成21年(4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)及び平成22年(4月1日に始まり同年6月30日に終わる。なお,同月7月1日をもって《納入業者(26)》に吸収合併された。)の各事業年度における年間総売上高は,それぞれ約《金額》円,約《金額》円,同社の原告に対する年間売上高は,それぞれ約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約11%,約12%であった。(査28の1及び2)
b 《納入業者(25)》の《略》支店の《略》副本部長は,少なくとも平成20年以降,既存の取引先との売上げの増加分が原告に対する売上げを上回ったことも,原告に対する売上げをカバーできるような新規取引先が見つかったこともなかったため,同社にとって原告は他では代え難い取引先であるとする。(査28の1,査318)
⑨ 《納入業者(27)》
a 《納入業者(27)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,昭和50年頃に原告との取引を開始し,主に昆布巻,煮豆,佃煮等を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は平成21年6月22日までは《金額》円,同月23日以降は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも8月1日に始まり翌年7月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約11%ないし約13%であった。(査30の1及び2,査270)
b 《納入業者(27)》の代表取締役は,北海道内で原告と同規模のスーパーには既に同業他社が食い込んでいるために,《納入業者(27)》が割って入るのは極めて困難であり,また,《納入業者(27)》は,北海道以外に販路がないことから,仮に原告との取引がなくなった場合,同社の総売上高の1割以上を失うこととなり,資金繰りが悪化し,倒産に追い込まれるであろうとする。(査30の1,査270)
⑩ 《納入業者(28)》
a 《納入業者(28)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,遅くとも平成3年9月に原告との取引を開始し,主に青果を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高はいずれも約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約8%ないし約13%であった。(査31)
b 《納入業者(28)》の専務取締役は,平成20年以降,原告に対する売上高と同程度の売上高を確保できるような新規の取引先はなく,売上高を伸ばすことで原告に対する売上高をカバーできるような既存の取引先もおらず,原告との取引が停止した場合には,倒産してしまうほど,原告は重要な取引先であるとする。(査31,査94)
⑪ 《納入業者(39)》
a 《納入業者(39)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和56年8月に原告との取引を開始し,主に焼き海苔及び茶を主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円又は《金額》円であり,同社の年間総売上高はいずれも約《金額》円,同社の平成20年から平成23年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約11%であった。(査42の1及び2)
b 《納入業者(39)》は,①原告に代わり得る新たな取引先を見付けることができないこと(以下「新規取引先発見不可」という。),②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査42の1)
⑫ 《納入業者(41)》
a 《納入業者(41)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成8年4月に原告との取引を開始し,主に納豆,練製品及び乳製品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約21%であった。(査44の1及び2)
b 《納入業者(41)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査44の1)
⑬ 《納入業者(42)》
a 《納入業者(42)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成14年11月に原告との取引を開始し,主に加工食品,菓子及び和日配を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約19%ないし約21%であった。(査45の1及び2)
b 《納入業者(42)》は,新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査45の1)
⑭ 《納入業者(44)》
a 《納入業者(44)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和60年4月に原告との取引を開始し,主に鶏卵を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも8月1日に始まり翌年7月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約(金額)円,原告に対する取引依存度は約12%又は約14%であった。(査47の1及び2)
b 《納入業者(44)》の《略》課長は,北海道内に所在する食品スーパーの店舗数は原告を中心企業とするアークスグループと《事業者B》で相当数を占めているところ,《納入業者(44)》は既に両社と取引があるので,仮に同社が原告との取引を継続することができなくなった場合,既存のスーパーの中で原告と同程度の規模の取引が見込める取引先を見付けることは困難であり,原告以外の取引先の売上げを伸ばして補うことも簡単なことではないとする。(査47の1,査334)
⑮ 《納入業者(45)》
a 《納入業者(45)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成5年に原告との取引を開始し,主に菓子を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも8月1日に始まり翌年7月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約24%又は約30%であった。(査48の1)
b 《納入業者(45)》の代表取締役は,同社の原告に対する取引依存度は平成19年度以降24%ないし34%であるところ,これほどの規模の売上げのある取引先は原告のみであり,同社の原告以外の取引先で,原告に対する売上げと同程度の売上げを確保することはほぼ不可能であるとする。(査48の1,査336)
⑯ 《納入業者(51)》
a 《納入業者(51)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成18年6月に原告との取引を開始し,主に青果を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約16%又は約19%であった。(査54の1及び2)
b 《納入業者(51)》の常務取締役兼《略》営業所長は,仮に原告との取引がなくなった場合,新規取引先を開拓したり,既存の取引先との取引額を上げていったりする必要があるが,同社の営業担当は2名しかいないため,原告の取引額に相当する分を他で補填することは容易ではないとする。(査54の1,査345)
⑰ 《納入業者(58)》
a 《納入業者(58)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成元年3月に原告との取引を開始し,主に鮮魚を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約15%ないし約17%であった。(査61の1及び2)
b 《納入業者(58)》の専務取締役は,原告との取引がなくなった場合,大手小売業者は納入業者の数を絞っている状況であるため,簡単には取引口座を開いてもらえない上,北海道内での取引先は大中規模の食品スーパー等に限られるが,原告との取引量を賄えるだけの規模を持つ小売業者2社のうち《事業者C》とは既に取引をしており,また,既存の取引先の売上げを伸ばそうとしても,最大の取引先におけるシェアが約6割で更に伸ばすことには限界があり,伸び代がある他の取引先だけでは原告に対する売上高と同程度の売上高を賄うことはできないとする。(査61の1,査353)
⑱ 《納入業者(59)》
a 《納入業者(59)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和62年5月に原告との取引を開始し,主に米穀を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はいずれも約17%であった。(査62の1)
b 《納入業者(59)》の《略》部長は,同社は北海道内で米を扱うほとんどの食品スーパーやドラッグストア等と取引を行っており,これらの小売業者はバランスを考えて複数の納入業者から仕入れるため,既に取引のある小売業者との取引額を増やすことは難しい状況であり,また,取引のない《事業者B》は,既存の納入業者が取引を行っているため,取引をするには納入価格をかなり引き下げる必要がある上,《事業者B》が求める銘柄を安定的に供給できるかの問題もあり,《納入業者(59)》が原告との取引額を他の取引先で埋め合わせることは容易ではないとする。(査62の1,査355)
⑲ 《納入業者(64)》
a 《納入業者(64)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成7年9月に原告との取引を開始し,主に青果を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも8月1日に始まり翌年7月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約33%又は約35%であった。(査67の1)
b 《納入業者(64)》は,他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査67の1)
⑳ 《納入業者(66)》
a 《納入業者(66)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成12年6月に原告との取引を開始し,主に日用品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも9月1日に始まり翌年8月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約72%ないし約75%であった。(査69)
b 《納入業者(66)》の代表取締役は,同社は,取引先である小売業者の店舗に設置した同社所有の什器に商品を陳列して販売しているところ,既存の取引先では,既に設置されている什器を退けるだけの売上増の見込みがなければ,追加の什器の設置は認められず,また,小売業者では,本社からの指示がない限り,前任の店長が作った売場構成をなかなか変えないことなどから,既存の取引先との取引を増やすことで原告との取引額を補うことはできず,また,大手小売業者は取引してくれないことから,原告との取引額を新規取引先の開拓で補うこともほぼ不可能に近いとする。(査69,査365)
㉑ 《納入業者(67)》
a 《納入業者(67)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,昭和36年に原告との取引を開始し,主に納豆,こんにゃく,豆腐,油揚げ及びところてんを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,原告に対する取引依存度は約24%又は約25%であった。(査70)
b 《納入業者(67)》の《略》次長は,同社は原告を含めたアークスグループをメインに取引しており,《事業者C》を含めた《グループ名》系の会社は,競合他社がメインで取引し,《事業者B》のグループ会社も,《納入業者(67)》の競合商品の一部を仕入れていることから,《納入業者(67)》が《グループ名》系の会社及び《事業者B》との取引量を大幅に増やせることはなく,また,取引を行っていない北海道内の小売業者の中で原告ほどの店舗数を有する小売業者はいないため,新規取引先を見付けて原告に対する売上高をカバーすることもできないとする。(査70,査366)
㉒ 《納入業者(68)》
a 《納入業者(68)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成元年3月に原告との取引を開始し,主に青果を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約23%ないし約25%であった。(査71)
b 《納入業者(68)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査71)
㉓ 《納入業者(69)》
a 《納入業者(69)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成2年3月に原告との取引を開始し,主に鮮魚を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも10月1日に始まり翌年9月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約14%又は約15%であった。(査72の1及び2)
b 《納入業者(69)》の代表取締役は,同社の主な営業地域である札幌市において,原告は非常に有力なスーパーマーケットであり,同社は,平成20年以降,原告との取引額と同じかそれ以上の取引額を確保できるような取引先を探すことは困難であり,実際にこれまでそのような取引先と新たに取引を開始したことはないなどとする。(査72の1,査369)
㉔ 《納入業者(71)》
a 《納入業者(71)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成元年3月に原告との取引を開始し,主に青果物を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり翌年2月末日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約33%ないし約36%であった。(査74の1)
b 《納入業者(71)》の代表取締役社長は,北海道内において原告に代わり得る小売業者である《事業者C》,《事業者B》は,既存の取引先とのつながりがあるので,《納入業者(71)》が売り込みを行っても,そう簡単に取引を開始してくれるわけではなく,食い込めるよう,これら2社の既存の取引先の納入価格よりも2,3割程度価格を安くすると,同社の経営が持たない,また,同社の既存の取引先の中で原告に対する年間売上高をカバーできるほどの規模を持つ小売業者はいないとする。(査74の1,査373)
㉕ 《納入業者(72)》
a 《納入業者(72)》は,平成20年9月1日,《所在地略》に所在する《旧会社名略》から分割され設立された卸売業者であり,《旧会社名略》が昭和36年5月に開始した原告との取引を承継し,主に鮮魚を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも5月1日に始まり翌年4月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約19%ないし約23%であった。(査75の1及び2,査519)
b 《納入業者(72)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査75の1)
㉖ 《納入業者(74)》
a 《納入業者(74)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和57年4月に原告との取引を開始し,主に青果を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも5月1日に始まり翌年4月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約11%又は約13%,取引であった。(査77の1及び2)
b 《納入業者(74)》の代表取締役社長は,仮に原告との取引が停止した場合,適正な利益を確保しつつ,原告に対する売上高を埋め合わせることは困難であり,実際に,平成20年以降に,原告と同程度の売上高を確保できる新規取引先を見付けることはできなかったし,既存の取引先の中で原告と同程度の売上高をカバーできるほど,売上高を伸ばすことができた取引先もいなかったとする。(査77の1,査377)
㉗ 《納入業者(82)》
a 《納入業者(82)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成14年11月に原告との取引を開始し,主に佃煮を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はいずれも約14%であった。(査84の1)
b 《納入業者(82)》の《略》部長は,同社は,《事業者B》,《事業者C》を含めた北海道内のほとんどの小売業者と直接又は間接に取引を行っており,《納入業者82》と取引していない小売業者の中で原告ほどの大きなパイを持つところはないとする。(査84の1,査388)
ウ 《納入業者(4)》等34社(以下「34社」ともいう。)について
(ア) 別紙5の各2項のとおり,《納入業者(4)》〔約《取引先数》社中の上位第4位[取引依存度における原告の順位。以下,同じ。]〕,《納入業者(5)》〔約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位又は第7位〕,《納入業者(6)》〔約《取引先数》社中の上位第6位〕,《納入業者(7)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第5位〕,《納入業者(10)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位〕,《納入業者(11)》〔約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位〕,《納入業者(13)》〔約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位〕,《納入業者(16)》〔約《取引先数》社中の上位第2位〕,《納入業者(20)》〔約《取引先数》社中の上位第3位ないし第7位〕,《納入業者(24)》〔約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第1位〕,《納入業者(31)》〔約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位〕,《納入業者(32)》〔約《取引先数》社中の上位第3位又は第6位。〕,《納入業者(34)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位〕,《納入業者(36)》〔約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第1位又は第4位〕,《納入業者(37)》〔約《取引先数》社中の上位第3位。〕,《納入業者(47)》〔約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第5位〕,《納入業者(48)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位〕,《納入業者(49)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位ないし第7位〕,《納入業者(50)》〔約《取引先数》社中の上位第2位〕,《納入業者(53)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位又は第6位〕,《納入業者(54)》〔約《取引先数》社中の上位第1位〕,《納入業者(56)》〔約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位〕,《納入業者(60)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位〕,《納入業者(62)》〔約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第4位〕,《納入業者(63)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位〕,《納入業者(70)》〔約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位〕,《納入業者(73)》〔約《取引先数》社中の上位第2位〕,《納入業者(75)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位〕,《納入業者(76)》〔約《取引先数》社中の上位第6位〕,《納入業者(77)》〔第6位以上〕,《納入業者(78)》〔《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第3位又は第4位〕,《納入業者(81)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位〕,《納入業者(84)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位〕,《納入業者(88)》〔約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位又は第5位〕は,いずれも,取引依存度における原告の順位が,上位第1位ないし第9位である。
(イ) 別紙5の各3項のとおり,34社は,取引先変更可能性等に関し,88社の報告書の取引先代替非容易認識設問に対して「はい」を選択し,新規取引先発見不可や,他取引先取引増加不可等を理由に,平成20年1月1日時点の原告との取引を他の取引先で代替することが容易でないと認識していた。
また,34社の従業員等の供述等によれば,取引先変更可能性等は,別紙5の各3項のとおりであった。
(ウ) さらに34社は,別紙5の各4項後段のとおり,88社の報告書の取引重要性等の設問に対しても「はい」を選択(あるいはこれと同旨の供述を)している。
(エ) 34社についての原告との取引に関する個別事情は以下のとおりである。
① 《納入業者(4)》
a 《納入業者(4)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和50年前後に原告との取引を開始し,主に青果を主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は平成22年12月26日までは約《金額》円,同月27日以降は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位であった。(査7の1及び2,査485)
b 《納入業者(4)》の代表取締役会長は,同社が扱う果実は,どの競争業者であっても同じものを納入できるため,同社が新規の取引先に対し,既存の納入業者から同社に乗り換えてもらえるような提案をすることは難しく,同社にとって年間売上高を格段に伸ばすことは簡単ではない状況にあったなどとする。
また,同会長は,《納入業者(4)》が高取引依存度認識設問に対し「いいえ」と回答したことについて,同社の全ての取引先との比較を問うものと理解すれば,原告に対する取引額は大きいので「はい」と回答したとする。(査7の1及び2,査485)
② 《納入業者(5)》
a 《納入業者(5)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成14年5月に原告との取引を開始し,主に鮮魚を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも2月2日に始まり翌年1月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位又は第7位であった。(査8の1及び2)
b 《納入業者(5)》の代表取締役専務は,同社において,原告との間の売上高と同等かそれ以上の取引先を見付けることは容易ではないとする。(査8の1,査298)
③ 《納入業者(6)》
a 《納入業者(6)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,昭和51年頃に原告との取引を開始し,主に精肉,日配及び乳製品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社中の上位第6位であった(なお,平成22年度及び平成23年度における当該順位は明らかではない。)。(査9の1及び2)
b 《納入業者(6)》の《略》営業部《略》は,同社は,既に北海道地区の有力な小売業者と取引をしているため,原告に対する売上高に相当する新規取引先は存在せず,複数の小規模な小売業者と取引を開始するにしても,既に競争業者と取引している取引先に新規に取引を持ちかけるとなると,人員,経費面から考えて現実的ではなく,既存の取引先に対する売上高増加によって原告に対する売上高をカバーすることは困難である,また,同社は販売機能だけでなく製造工場も有するところ,仮に原告との取引がなくなり,原告向けの商品が製造できなくなってしまった場合,同社の小樽工場の稼働率が下がり,工場の生産性にも影響し,製造ラインの見直しなども考える必要が生じるところ,そのようにならないために原告に代わる取引先を探すなど売上減少分を補うよう努力することになるが,それは相当に困難であるとする。(査9の1,査487)
④ 《納入業者(7)》
a 《納入業者(7)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成元年3月に原告と の取引を開始し,主に精肉を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり翌年2月末日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第5位であった。(査10)
b 《納入業者(7)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査10)
⑤ 《納入業者(10)》
a 《納入業者(10)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成3年12月に原告との取引を開始し,主に雑誌を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査13の1)
b 《納入業者(10)》の《略》部長兼《略》課長は,原告に代わり得る取引先2社のうち1社とは既に取引をしており,もう1社とは《納入業者(10)》の親会社との関係から新規に取引を開始することはなく,また,雑誌業界全体として先細りの状況にあるため,原告に代わり得る小売業者を見付けることは困難であるとする。(査13の1,査302)
⑥ 《納入業者(11)》
a 《納入業者(11)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成2年4月に原告との取引を開始し,主に海産物を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査14の1及び2)
b 《納入業者(11)》の代表取締役社長は,新規の取引先を獲得することや既存の取引先への売上増を図ることは非常に困難であるため,同社の取引依存度が8%から9%である原告との取引を失った場合,それに代わる売上げを他の取引先で補うのは不可能であるとする。(査14の1,査489)
⑦ 《納入業者(13)》
a 《納入業者(13)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成15年9月原告との取引を開始し,主に和日配チルド麺を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査16の1及び2)
b 《納入業者(13)》の《略》営業所チーフは,同社が取引を行っていない小売業者の中で,原告に匹敵するところはなく,既存の取引先に対する売上高も既にある程度のシェアを有していることから,仮に原告との取引がなくなった場合,年間約《金額》円の原告に対する売上高を他の取引先でカバーすることは困難であるとする。(査16の1,査305)
⑧ 《納入業者(16)》
a 《納入業者(16)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成15年6月に原 告との取引を開始し,主に漬物を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年ないし平成23年(いずれも5月1日に始まり翌年4月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査19の1)
b 《納入業者(16)》の専務取締役は,原告に対する取引がなくなれば,北海道内で原告に代わる取引先とは既に取引をしており,これらの取引先との取引で原告に対する取引を穴埋めすることは困難であり,同社にとって事業経営上かなり厳しい状況に置かれることになるとする。(査19の1,査93)
⑨ 《納入業者(20)》
a 《納入業者(20)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,主に漬物を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも6月1日に始まり翌年5月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位ないし第7位であった。(査23の1)
b 《納入業者(20)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原 告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査23の1)
⑩ 《納入業者(24)》
a 《納入業者(24)》は,《所在地略》に所在する農業協同組合であり,昭和45年7月に原告との取引を開始し,主に牛乳,乳製品及び果汁飲料を納入していた。本件対象期間における同組合の出資金は約《金額》円又は約《金額》円であり,同組合の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同組合の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査27の1及び2)
b 《納入業者(24)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査27の1)
⑪ 《納入業者(31)》
a 《納入業者(31)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成6年に原告との取引を開始し,主に米穀,製粉及びレトルト食品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査34)
b 《納入業者(31)》の常務取締役兼《略》支店長は,原告は同社取引先の中で2番目に 取引額が大きく,同社の売上げのうちの約10%を占める同社の《略》支店においては,原告との取引額が一番大きい上に原告に対する取引依存度が30%を超えていることから,原告との取引を継続することが必要であり,仮に原告との取引がなくなった場合,既存の取引先との取引量を増加することは困難であり,原告に代わる新たな取引先を見付けることは現実的には不可能であるとする。(査34,査324)
⑫ 《納入業者(32)》
a 《納入業者(32)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成18年9月に原告との取引を開始し,主にパンを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり翌年2月末日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位又は第6位であった。(なお,《納入業者(32)》の取引先事業者数を約《取引先数》社と認めるのが相当であることについては,別紙5のとおりである。査35の1及び2)
b 《納入業者(32)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査35の1)
⑬ 《納入業者(34)》
a 《納入業者(34)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成12年9月に原告との取引を開始し,主に漬物を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高はいずれも約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも5月1日に始まり翌年4月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査37の1,査493)
b 《納入業者(34)》の代表取締役社長は,原告との取引を失った場合,新規取引先の獲得や既存の取引先との売上増を図るのは非常に困難であったため,原告との取引を失った分の売上高を補うことは不可能であったとする。
また,同社長は,《納入業者(34)》が高取引依存度認識設問に対し「いいえ」と回答したことについて,同回答は平成20年1月1日時点での認識であるが,原告の店舗のうち,同社の商品を取り扱う店舗が同月時点での4店舗から同年度中頃以降は40店舗まで拡大したため,これ以降,前記認識は変化したとする。(査37の1,査493)
⑭ 《納入業者(36)》
a 《納入業者(36)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成9年8月に原告との取引を開始し,主に精肉を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第1位又は第4位であった。(査39の1)
b 《納入業者(36)》は,他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査39の1)
⑮ 《納入業者(37)》
a 《納入業者(37)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成12年12月に原告との取引を開始し,主に玉子焼き,太巻芯及び茶碗蒸しを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高はいずれも約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも6月1日に始まり翌年5月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位であった。(なお,《納入業者(37)》の原告に対する取引依存度についての原告の主張が理由のないことは,別紙5のとおりである。査40の1及び2)
b 《納入業者(37)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査40の1)
⑯ 《納入業者(47)》
a 《納入業者(47)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成元年3月に原告との取引を開始し,主にパン及び菓子を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位であった。(査50の1及び2)
b 《納入業者(47)》の専務取締役は,《納入業者(47)》が取引を行っていない小売業者は既に競合他社と取引をしているため,同社が割って入ることは困難であり,既存の取引先も競合他社と取引をしているため,他社の分を同社に切り替えてもらうには相当低い価格条件を提示しなければならず,仮に原告との取引がなくなった場合には,原告との取引額をカバーすることは困難であり,また,《納入業者(47)》は,製造者として製造コストの低減のために製造ラインの稼働率を高めることが重要であるが,原告に対する売上額がなくなると,製造コストに影響が生じることとなり,さらに,原告は,大型店舗を展開し1店舗当たりの取引額が大きいため,北海道全域で《納入業者(47)》の商品を販売するためには,札幌地区で多数の店舗を展開する原告と取引することが不可欠であるなどとする。(査50の1,査339)
⑰ 《納入業者(48)》
a 《納入業者(48)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,主にウインナー,味付食肉及びソーセージを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,平成21年度及び平成22年度の取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位であった(ただし,平成23年度における当該順位は明らかではない。)。(査51の1ないし3)
b 《納入業者(48)》の《略》課長は,同社は,原告以外の規模の大きな小売業者とは既に取引しており,それなりの規模を有する小売業者とも取引をしているところ,小規模な小売業者とは債権回収に不安があることから積極的に取引を行っていないし,同社は,製造工場を北海道内に置いているため,北海道外の取引先と取引するためには,輸送費といったコストがより掛かることから,仮に原告との取引がなくなった場合,原告に対する売上げをカバーできる取引先を見付けることは困難であるとする。(査51の1,査494)
⑱ 《納入業者(49)》
a 《納入業者(49)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和36年11月に原告との取引を開始し,主に洋日配,乳製品,和日配及びアイスクリームを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位ないし第7位であった。(査52の1及び2)
b 《納入業者(49)》の《略》部長は,同社は北海道全域を営業区域としているところ,平成20年以降,原告に対する売上げと同額かそれ以上の売上げを確保できるような新規取引先と取引したり,既存の取引先に対する売上げの増加分が原告に対する売上げと同額以上になったりした事例はないので,原告に対する売上げがなくなった場合,ほかでカバーすることは容易ではないとする。(査52の1,査343)
⑲ 《納入業者(50)》
a 《納入業者(50)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成20年10月に原告との取引を開始し,主にハム及びソーセージを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査53の1及び2)
b 《納入業者(50)》の《略》部長兼《略》課長は,北海道地区においては,《事業者C》,《事業者B》及び原告が大規模な小売業者の「3強」として位置付けられており,この3強との取引は1社たりとも軽視できないものであるが,3強の中でも,売上高に占める食品の構成比は,《事業者C》が約50%にすぎないのに対し,原告が約90%であることから,食品を取り扱う《納入業者(50)》にとって原告は《事業者C》以上に太い取引をできる取引先であり,《納入業者(50)》の3強に対する売上げの中では《事業者B》に対するものが一番大きいが,《事業者B》との取引において原告の売上分を補填するほど取引を拡大することは困難であり,原告との売上分を補填できるほどの取引先を新たに見付けることは一層困難であるとする。(査53の1,査344)
⑳ 《納入業者(53)》
a 《納入業者(53)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成6年に原告との取引を開始し,主に精肉を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位又は第6位であった。(査56)
b 《納入業者(53)》の《略》部マネジャーは,同社の取引先数は約《取引先数》社で推移しているところ,同社の《取引先数》社前後に対する取引依存度が0.1%前後という状況であり,その中において同社の原告に対する取引依存度は,他の取引先に対する取引依存度に比して高いという認識であり,また,同社の取引先の構成比は,卸売業者が全体の約6割,スーパーが2,3割,残りが飲食店等であるところ,スーパーだけで見た場合,同社の取引額における原告の順位は,常に上位第1位であったとする。
《納入業者(53)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査56,査496)
㉑ 《納入業者(54)》
a 《納入業者(54)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成2年4月に原告との取引を開始し,主に精肉及び惣菜を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査57)
b 《納入業者(54)》の《略》本部長は,同社は,その営業区域である北海道及び東北地方に所在する大中規模の小売業者のほとんどと既に取引しているため,原告に代わり得る規模の新規取引先はなく,複数の新規取引先に対する売上高で原告に対する売上高と同程度の額を賄うことはできない,また,同社は,北海道の区域内における食品スーパーの中で原告とともに上位3位以内に入る《事業者B》及び《事業者C》と既に取引を行っているところ,例えば,《事業者B》に対する《納入業者(54)》の売上高を増やすことは可能であると考えているが,原告に対する売上高と同程度の売上高を補うためには《事業者B》に対する取引依存度を約5割から6割程度まで伸ばす必要があり,そこまで売上高を伸ばすことはほぼ不可能である,さらに,東北地区でも同様に,原告に対する売上高と同規模の売上高分を増加させることはほぼ不可能である,そして,小売業者は,リスクを回避するため,必ず複数の納入業者と取引することから,《納入業者(54)》にとって大幅なシェアの拡大は難しく,納入業者間の競争も激しいために,同社のシェアの拡大は容易でないとする。(査57,査346)
㉒ 《納入業者(56)》
a 《納入業者(56)》は,《所在地略》に所在する畜産業者であり,平成元年3月に原告との取引を開始し,主に鶏卵,惣菜及び調味料を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。同社の平成20年から平成22年まで(いずれも9月1日に始まり翌年8月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査59の1ないし3)
b 《納入業者(56)》の《略》本部長は,仮に原告との取引を失った場合,他の小売業者に切り替える必要があるが,原告に対する納入価格と同額というわけにはいかず,かなりディスカウントしなければならないし,他の小売業者にも既存の仕入先があるため,大口の取引を同社に切り替えてもらうのは難しく,また,原告に代わり得る取引先としては,《事業者C》,《事業者B》が挙げられるが,《納入業者(56)》は既にこれらと取引を行っているところ,前者に対しては既にかなりのシェアを持っているため取引量を伸ばすには限界があり,原告に対する売上高を補うことはできないし,《事業者B》には他社がメインで鶏卵を納入しているところ,年間契約をしているため,《納入業者(56)》が価格面で良い条件を出すことで取引量を大幅に増やすことは難しいとする。(査59の3,査348)
㉓ 《納入業者(60)》
a 《納入業者(60)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,主にアイスクリームを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》万円ないし約《金額》万円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査63の1及び2,査500)
b 《事業者F》は,平成25年4月1日に《旧会社名略》が《納入業者(60)》など数社の《系列名》系列の販売会社などを合併し,前記の商号に変更したが,同社の《略》グループ長は,平成20年度から平成23年度までの原告と《納入業者(60)》との取引状況について,小売業者と既存の取引先との間には長年の付合いと強い信頼関係があることから,その関係を崩していくのは非常に難しく,既存の取引先である小売業者に対する売上げの増加を図ろうとしても,他の納入業者のシェアを崩すことになるから,仮に原告に対する売上高を失ったとしたら,その売上げを新規取引先の獲得又は既存の取引先との取引額の増加で補うことは短期的にみると非常に難しく,長期的にみても難しかったとする。(査63の1,査500)
㉔ 《納入業者(62)》
a 《納入業者(62)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成21年5月に原告との取引を開始し,主に菓子を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査65の1及び2)
b 《納入業者(62)》の代表取締役社長は,同社は北海道の主だったスーパー等の小売店には既に商品を取り扱ってもらっているところ,各小売業者の店舗の和菓子等の売場スペースは限られており,現在の売場スペースには同社の商品のほか既に競合他社の商品も並べられているため,原告との年間売上高を他の小売店で補うことは難しいとする。(査65の1,査358)
㉕ 《納入業者(63)》
a 《納入業者(63)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成12年11月に原告との取引を開始し,主に味付ジンギスカンを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高はいずれも約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査66の1及び2)
b 《納入業者(63)》は,新規取引先発見不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査66の2)
㉖ 《納入業者(70)》
a 《納入業者(70)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成20年4月に原告との取引を開始し,主に鮮魚を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は平成21年9月27日までは《金額》円,同月28日以降平成23年9月29日までは《金額》円,同月30日以降は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位であった。(査73)
b 《納入業者(70)》の《略》本部長は,「日本の食文化の魚離れ」によって全体的に日本国内での魚の需要が落ち込んできている中で,原告に対する安定した売上高を新規の取引先や既存の取引先で代替することは現実的にはほぼ不可能であるとする。(査73,査371)
㉗ 《納入業者(73)》
a 《納入業者(73)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成21年8月に原告との取引を開始し,主に調理麺を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》万円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高はいずれも約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査76の1及び2)
b 《納入業者(73)》の専務取締役は,同社の原告に対する年間売上高に相当する売上高を新規の取引先や既存の取引先でカバーすることは難しく,平成21年以降,同社では,実際にもそのような新規の取引先の確保もできなかったし,売上高を伸ばすことで原告に対するのと同程度の売上高を確保できるような既存の取引先もなかったとする。(査76の3,査375)
㉘ 《納入業者(75)》
a 《納入業者(75)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成12年9月に原告との取引を開始し,主に鮮魚類を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査78)
b 《納入業者(75)》の《略》課長は,同社の販売先は小口取引の事業者が多く,仮に原告との取引を失った場合,原告に代わり得る新規の取引先を見付けること,既存の取引先で原告への販売額と同程度の売上げを増やすことはいずれも困難であるとする。(査78,査379)
㉙ 《納入業者(76)》
a 《納入業者(76)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成元年4月に原告との取引を開始し,主に日用品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第6位であった。(査79の1及び2)
b 《納入業者(76)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原    告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査79の1)
㉚ 《納入業者(77)》
a 《旧会社名略》の販売部門として昭和61年3月3日に設立された《納入業者78》(以下「《納入業者(78)》」という。《納入業者(78)》)は,本件対象期間中の平成23年3月1日に《旧会社名略》が吸収合併し,消滅した。同時に,《旧会社名略》は,商号を《納入業者(77)》(以下「《納入業者(77)》」という。《納入業者(77)》)に変更し,《納入業者(77)》は,同日以降,《納入業者(78)》と原告との取引を承継した。公正取引委員会の報告命令に対する《納入業者(77)》の報告書(査80の1及び2)における回答は,平成20年1月1日から平成23年2月28日までについては《納入業者(78)》に係る回答,同年3月1日以降については《納入業者(77)》に係る回答である。(査80の1ないし3)
《納入業者(77)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成23年3月に原告との取引を《納入業者(78)》から承継し,主にもやし,カイワレ及び茶碗蒸しを納入していた。本件対象期間における《納入業者(77)》の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円,同社の平成22年7月1日に始まり平成23年6月30日に終わる事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は第6位であった(ただし,原告に対する年間売上高は前記承継後4か月分のものであり,総売上高は12か月分のものであるから,原告に対する取引依存度も前記順位もより高いものであったとみられる。《納入業者(77)》の上記事業年度における取引先数は,《取引先数》社を下回ることはないものと認められる。)。(査80の1及び2)
b 《納入業者(77)》は,新規取引先発見不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査80の1)
㉛ 《納入業者(78)》
a 《納入業者(78)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,昭和46年頃に原告との取引を開始し,主にもやし,カイワレ及び茶碗蒸しを主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高はいずれも約《金額》円,同社の平成21年及び平成22年(いずれも3月1日に始まり翌年2月28日に終わる。)の各事業年度において,原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査80の1及び2)
b 《納入業者(78)》は,新規取引先発見不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査80の1)
㉜ 《納入業者(81)》
a 《納入業者(81)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成15年に原告との取引を開始し,主に青果を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,同社の平成21年及び平成22年(いずれも10月1日に始まり翌年9月30日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高はいずれも約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位であった。(査83の1)
b 《納入業者(81)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査83の1)
㉝ 《納入業者(84)》
a 《納入業者(84)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成15年6月に原告との取引を開始し,主に漬物を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり翌年2月末日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査86)
b 《納入業者(84)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査86)
㉞ 《納入業者(88)》
a 《納入業者(88)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,昭和51年11月に原告との取引を開始し,主にパン及び和洋菓子類を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位又は第5位であった。(査90の1及び2)
b 《納入業者(88)》の《略》課長は,同社は北海道内に店舗を展開するほとんどの食品スーパーとの間で既に取引を行っており,全国展開している飲食店や個人の飲食店との間でも取引を行っていることから,原告に対する売上高を新規の取引先を開拓することで補うのは困難であり,また,《納入業者(88)》では平成21年度に《事業者H》との間で新規に取引を開始することができ,原告に対する売上高以上の売上高を上げることができたが,これは《事業者H》が《納入業者(88)》と業務提携している《事業者I》のグループ会社の一つと取引していたという特殊事情によるものであり,通常はこれだけの規模の売上高の新規取引を開始できることはなく,加えて,《納入業者(88)》がいまだ取引を行っていない全国展開している小売業者や飲食店は,全国展開しているメーカーとの取引を望むため,そうではない《納入業者(88)》が新規に取引を開始することは難しく,既存の取引先についても同業他社との競争が激しいことや,小売業者には複数メーカーの商品を店頭に置きたい意向があるため,ヒット商品を開発しない限り,シェアを拡大することは難しいことから,既存の取引先に対する取引額を増加させることで原告に対する売上高を補うことは難しいとする。(査90の1,査393)
エ 《納入業者(2)》等22社(以下「22社」ということがある。)について
(ア) 別紙5の各2項のとおり,《納入業者(2)》〔約11%ないし18%,《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第1位又は第3位[原告との取引を主に担当する営業拠点における原告に 対する取引依存度及び取引依存度における原告の順位。以下,この項で同じ。]〕,《納入業者(3)》〔《略》支店のそれは約3.6%又は約4.2%,約《取引先数》社中の上位第6位。《略》支店のそれは約3.3%又は約4.2%,約《取引先数》社中の上位第7位〕,《納入業者(18)》〔《所在地略》の本社のそれは約1.2%,約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位。《略》営業所のそれは約19%ないし約23%,《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第1位であった。〕,《納入業者(19)》〔約5.1%又は約5.6%,《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第6位〕,《納入業者(21)》〔約2.6%ないし約4.0%,《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第2位又は第3位〕,《納入業者(26)》〔約14%又は約15%,約《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第2位〕,《納入業者(29)》〔約11%又は約12%,約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位〕,《納入業者(30)》〔約6.7%ないし約18%,約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第4位〕,《納入業者(33)》〔約17%又は約22%,《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第2位又は第3位〕,《納入業者(35)》〔約14%又は約15%,約《取引先数》社中の上位第1位〕,《納入業者(38)》〔約15%又は約19%,《取引先数》社中の上位第2位又は第3位〕,《納入業者(43)》〔約6.9%又は約8.2%,約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位〕,《納入業者(46)》〔約14%又は約16%,《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第2位〕,《納入業者(52)》〔約11%ないし約17%,《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第2位〕,《納入業者(55)》〔約14%,約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位〕,《納入業者(57)》〔約5.7%ないし約6.8%,約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位〕,《納入業者(65)》〔約13%又は約14%,約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第1位〕,《納入業者(79)》〔約12%,約10%,約9%,約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位〕,《納入業者(80)》〔約7.3%,約6.6%,約5.9%,約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位〕,《納入業者(85)》〔約2.6%又は約3.1%,約《取引先数》社中の上位第8位又は第9位〕,《納入業者(86)》〔約13%又は約14%,《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位〕,《納入業者(87)》〔約34%ないし約37%,約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第1位〕は,うち15社が,原告との取引を主に担当している営業拠点(北海道を営業区域とする支社,支店,営業所,事業所等のほか,総合スーパーや食品スーパーを所管する営業部門)における原告に対する取引依存度が約11%以上であり,また,22社全社が,同営業拠点における取引依存度における原告の順位が,上位第1位ないし第9位である。
(イ) 別紙5の各3項のとおり,22社は,取引先変更可能性等に関し,88社の報告書の取引先代替非容易認識設問に対して「はい」を選択し,新規取引先発見不可や,他取引先取引増加不可等を理由に,平成20年1月1日時点の原告との取引を他の取引先で代替することが容易でないと認識していた。
また,22社の従業員等の供述等によれば,取引先変更可能性等は,別紙5の各3項のとおりであった。
(ウ) さらに,22社は,別紙5の各4項後段のとおり,88社の報告書の取引重要性等の設問に対し,《納入業者(3)》を除く各社が「はい」を選択している。
(エ) 22社についての原告との取引に関する個別事情は以下のとおりである。
① 《納入業者(2)》
a 《納入業者(2)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成11年5月に原告との取引を開始し,主に納豆を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(17拠点)のうち《略》営業所(営業区域は主に北海道)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約11%ないし約18%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第1位又は第3位であった。(査5の1)
b 《納入業者(2)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》営業所が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしており,同社は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査5の1)
② 《納入業者(3)》 
a 《納入業者(3)》は,営業拠点重要性認識設問,営業拠点取引必要性認識設問及び取引先代替非容易認識設問に対し,いずれも「はい」を選択しているところ,《納入業者(3)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成14年4月に原告との取引を開始し,主に日用品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同社の平成22年及び平成23年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,営業拠点(89拠点)のうち《略》支店(営業区域は主に札幌市,小樽市,江別市並びに千歳市及び恵庭市〔平成22年9月以前〕)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約3.6%又は約4.2%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第6位であり,また,営業拠点のうち《略》支店(営業区域は主に函館市〔平成23年10月以降〕,室蘭市,苫小牧市並びに千歳市及び恵庭市〔平成22年9月以降〕)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約3.3%又は約4.2%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第7位であった。(査6の1及び2)
b 《納入業者(3)》の常務執行役員《略》支社支社長は,《略》支社の売上高は同社全体の売上高の10%近くを占め,同支社は同社にとって重要な営業拠点であるところ,同支社の《略》支店の売上高は同支社の売上高の約65%を,《略》支店も売上高が同支社の売上高の約13%を,それぞれ占めること,POSデータや本社の営業活動だけでは把握できない地域のニーズを把握し迅速に対応するためには,その地域に営業拠点が所在している必要があることから,両支店は,同社にとって重要な営業拠点であるとする。
同支社長は,仮に,同社が原告との取引を失った場合,同社は,ほとんどの大手総合スーパー,ホームセンター,ドラッグストア等と既に取引を行っているため,新規取引先の開拓でそれを補うことは困難であり,既存の取引先も,リスク管理の観点から,仕入先を同社だけに絞ることはあり得ず,競合他社との競争が激しいことから,既存の取引先に対する売上高を拡大することで補うことも困難であるとする。(査6の1,査91)
③ 《納入業者(18)》
a 《納入業者(18)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成元年4月に原告との取引を開始し,主に水産品,鮮魚及び青果を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,営業拠点(4拠点)のうち本社(《略》部)(営業区域は道内を中心として全国各地である。)の年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はいずれも約1.2%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であり,また,営業拠点のうち《略》営業所(営業区域は主に札幌市である。)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約19%ないし約23%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査21)
b 《納入業者(18)》は,原告と取引を行っている本社及び営業拠点である《略》営業所が重要な拠点であり,同営業拠点等における原告との取引が必要であるとしている。そして,《納入業者(18)》の執行役員は,原告との取引を失った場合に失う売上げについて,すぐに既存の取引先で補填できるものでもなく,原告との取引を代替できる新たな取引先を見付けることも困難であるとする。 (査21, 査310)
④ 《納入業者(19)》
a 《納入業者(19)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和60年4月に原告との取引を開始し,主に日配品及びグロサリーを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(4拠点)のうち,《略》店(営業区域は主に道央及び道南地区である。)の年間総売上高はいずれも約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約5.1%又は約5.6%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第6位であった。(査22)
b 《納入業者(19)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》店が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしており,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査22)
⑤ 《納入業者(21)》
a 《納入業者(21)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成8年4月に原告との取引を開始し,主に飲料水,調味料及びレトルト食品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高はいずれも約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(63拠点)のうち《略》支社(営業区域は北海道全域である。)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約2.6%ないし約4.0%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の1及び2)
b 《納入業者(21)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》支社が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしている。そして,《納入業者(21)》の《略》支社《略》は,《略》支社では,《略》市の倉庫に原告向けの商品を保管しており,その割合は約4割を占めているところ,同倉庫の減価償却が済んでいないため,仮に原告との取引がなくなると,同倉庫を維持できなくなる可能性があり,原告との取引を継続する必要があるとする。(査24の1,査314)
⑥ 《納入業者(26)》
a 《納入業者(26)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,子会社であった《納入業者(25)》を平成22年7月1日に吸収合併し,平成24年4月に《納入業者(79)》に吸収合併された。同社は,平成22年7月に原告との取引を開始し,主に菓子を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高はいずれも約《金額》円であるが,同社の平成22年(7月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)及び平成23年(4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(16拠点)のうち《略》支店(営業区域は主に札幌市及び道南エリアである。)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約14%又は約15%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査29の1及び2)
b 《納入業者(26)》の《略》支店の元支店長は,同社には,《略》支店より売上高の多い支店等はあったが,《略》支店の《金額》円前後の売上高がなくなった場合,他の支店等でその分の売上げを増加して補填することは困難であり,《略》支店は同社にとって重要な営業拠点であったとする。
また,同元支店長は,同社の《略》支店において原告への売上げをカバーできるような新規取引先は見つかっていないとする。(査29の1及び2,査318,査507)
⑦ 《納入業者(29)》
a 《納入業者(29)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成6年4月に原告との取引を開始し,主に冷凍食品,調味料及びレトルト食品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり12月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(11拠点)のうち《略》事業部(営業区域は北海道全域である。)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約11%又は約12%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査32の1)
b 《納入業者(29)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》事業部が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしている。
《納入業者(29)》の《略》部長は,同社は,既に《グループ名》のスーパー及び《事業者B》と取引しているところ,原告や他のアークスグループの会社との取引に相当する量や額を,それ以外の小売業者との取引で補うことはかなり困難であり,《納入業者(29)》は,地場の小売業者とも取引しているが,これらの小売業者との取引においても原告や他のアークスグループの小売業者との取引に相当する量や額を補うことも容易ではないとする。(査32の1,査320)
⑧ 《納入業者(30)》
a 《納入業者(30)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成14年7月に原告との取引を開始し,主に肉加工品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(7拠点又は8拠点)のうち《略》グループ(営業区域は北海道内全域である。平成22年3月までは《略》支店である。)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約6.7%ないし約18%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第4位であった。(査33の1及び2,査322)。
b 《納入業者(30)》の《略》本部《略》部長兼《略》グループリーダーは,同社の《略》本部に属する《略》グループが原告を含む小売業者に対する販売を担当するところ,同本部は,同社にとって非常に重要な部署であり,同本部が担当する原告との取引は,同社にとって重要かつ必要なものであるとする。《納入業者(30)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査33の1及び2,査322)
⑨ 《納入業者(33)》
a 《納入業者(33)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和50年頃に原告との取引を開始し,主に衣料品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,原告との取引は,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも6月1日に始まり翌年5月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(6拠点)のうち《略》支店(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高はいずれも約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約17%又は約22%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査36の1及び2)
b 《納入業者(33)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》支店が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしており,新規取引先発見不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査36の1)
⑩ 《納入業者(35)》
a 《納入業者(35)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成19年2月に原告との取引を開始し,主に調味料を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点のうち《略》営業所(営業区域は主に道央エリア及び道東エリア〔帯広,釧路〕である。)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約14%又は約15%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査38の1及び2)
b 《納入業者(35)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》営業所が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしており,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査38の1)
⑪ 《納入業者(38)》
a 《納入業者(38)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成7年3月に原告との取引を開始し,主に野菜全般を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(13拠点)のうち,《略》支店(営業区域は主に北海道内である。)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約15%又は約19%,取引依存度における原告の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査41)
b 《納入業者(38)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》支店が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしており,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査41)
⑫ 《納入業者(43)》
a 《納入業者(43)》は,《所在地略》に所在し,水産物等の販売,貿易,加工業,運送業,倉庫業等を営む株式会社であり,平成元年4月に原告との取引を開始し,主に鮮魚及び惣菜を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同社の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(8拠点又は9拠点)のうち《略》支店(営業区域は主に北海道内である。)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約6.9%又は約8.2%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査46,査333)
b 《納入業者(43)》の《略》支店支店長は,同支店は,原告を含む北海道内の大手小売業者と継続して安定した取引を行っていることから,同社の営業拠点の中でも売上高の変動が少ない優良な支店であり,同社は過去には全国各地に支店,営業所を置いていたが,順次それを各地区の重要支店に集約したため,今残っている営業拠点は全て同社にとって重要な拠点であるところ,同社の《略》支店は,大きな売上高を安定して確保できることから,同社にとって重要な営業拠点であるとする。
また,同支店長は,同支店の原告に対する年間売上高は約《金額》円であるところ,仮に原告との取引を失った場合,新規取引先の獲得は困難であり,既存の取引先に対する売上増を図ることも困難であることから,同支店において原告との取引で失った分をカバーすることはできないとする。(査46,査333)
⑬ 《納入業者(46)》
a 《納入業者(46)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,昭和58年4月に原告との取引を開始し,主に菓子を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(35拠点)のうち《略》営業所(営業区域は北海道全域〔函館,帯広及び釧路エリアを除く。〕である。)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約14%又は約16%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査49の1及び2)
b 《納入業者(46)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》営業所が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしている。そして,《納入業者(46)》の《略》課長は,全社的には原告は大きな取引先ではないものの,同社の《略》営業所の平成23年度の原告に対する取引依存度は14.1%と高い割合を占めており,北海道において原告に代わる同程度の売上規模にの新たな取引先となり得る小売業者や既存の取引先を見付け出すことは困難であるとする。(査49の1及び2,査337)
⑭ 《納入業者(52)》
a 《納入業者(52)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成18年10月に原告との取引を開始し,主にもずく加工品,めかぶ加工品等を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であるが,同社の平成20年から平成22年まで(いずれも8月1日に始まり翌年7月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(3拠点ないし9拠点)のうち《略》営業所(営業区域は札幌を中心に北海道全域である。)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約11%ないし約17%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査55の1及び2)
b 《納入業者(52)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》営業所が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしており,他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査55の1)
⑮ 《納入業者(55)》
a 《納入業者(55)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,主に鶏肉を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は平成22年10月4日までは約《金額》円,同月5日以降は約《金額》円であり,同社の年間総売上高はいずれも約《金額》円であるが,同社の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(12拠点)のうち《略》営業所(営業区域は主に札幌,旭川,北見,苫小牧及び函館である。)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はいずれも約14%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査58の1及び2)
b 《納入業者(55)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》営業所が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしている。そして,《納入業者(55)》の《略》部長は,新規取引先の獲得も既存の取引先に対する売上増も困難であることから,同社の原告に対する約《金額》円の売上高を他の取引先で補うことは困難であるとする。(査58の1,査498)
⑯ 《納入業者(57)》
a 《納入業者(57)》は,《所在地略》に所在する農業協同組合連合会であり,平成2年4月に原告との取引を開始し,主に米を納入していた。本件対象期間における同連合会の出資金は平成22年12月31日までは約《金額》円,平成23年1月1日以降は約《金額》円であり,同連合会の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同連合会の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(19拠点又は20拠点)のうち《略》支店(営業区域は北海道全域である。)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約5.7%ないし約6.8%であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(なお,取引依存度における原告の順位に関する原告の主張が理由のないことは,別紙5のとおりである。査60の1及び2)
b 《納入業者(57)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》支店が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしている。
そして,《納入業者(57)》の《略》次長は,同連合会の原告に対する年間売上高のうち約9割を米穀が占めており,同連合会における一般消費者が各家庭で消費する取引先のうち,原告に対する売上高が最大であるところ,同連合会は北海道内のほとんどの食品スーパーに米穀を納入しているため,仮に原告との取引がなくなった場合に,取引のある他の販売先との取引を増加させて,原告の取引分を補うことは無理であり,原告との取引額を代替できるような販売先を新たに見付けることは困難であるとする。(査60の1,査351)
⑰ 《納入業者(65)》
a 《納入業者(65)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成13年9月に原告との取引を開始し,主に惣菜及び鮮魚を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(50拠点)のうち《略》事業所(営業区域は北海道全域である。)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約13%又は約14%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査68の1及び2,査363)
b 《納入業者(65)》の《略》事業所所長は,同社全体の売上げにおける《略》事業所の売上割合は約2.4%であり,拠点としての売上げはそれほど大きいものではないが,同社には全国各地に同社の商品を届けるという会社の方針があり,この方針からして同事業所をなくすことは考えられず,北海道内での営業や商品の物流を同事業所以外の他の営業拠点で行うことも現実には難しいことから,同社としては,同事業所を今後も必要不可欠な営業拠点と捉えているとする。また,同所長は,①北海道内において同社の商品を販売できるような《事業者B》,《事業者C》などの主だった小売業者や飲食店とは既に取引を行っており,ここ数年をみても新たに北海道内で事業を開始したそれなりの規模の小売業者や飲食店はないことから,原告との取引額をこれまで取引を行っていない新たな取引先でカバーすることは非常に困難である,②《納入業者(65)》の既存の取引先との取引額を増やすことで原告との取引額をカバーすることは,何年か時間を掛ければ可能かもしれないが,簡単なことではないとする。(査68の1,査363)
⑱ 《納入業者(79)》
a 《納入業者(79)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり(なお,平成23年10月1日,《納入業者(80)》を吸収合併した。),昭和40年代に原告との取引を開始し,主に加工食品及び低温食品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の平成21年(1月1日に始まり同年12月31日に終わる。),平成22年(1月1日に始まり翌年年3月末日に終わる。)及び平成23年(4月1日に始まり翌年3月末日に終わる。)の各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であるが,営業拠点(35拠点又は42拠点)のうち《略》支社(営業区域は北海道全域である。)の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約12%,約10%,約9%であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査81の1ないし3,査384,査385)
b 《納入業者(79)》の《略》支社《略》部長は,《略》支社の売上高は同社の他の支社と比べて決して高くはないが,北海道を営業区域としている支社は《略》支社のみであり,仮に同支社がなくなった場合,同支社の北海道における年間約《金額》円の売上高を他地域の支社等の売上高を純増させることでカバーすることは非常に困難であるし,同社は全国企業として事業を行っているため,北海道を含め全国で販売しているという実績が必要と考えており,《略》支社は,今後も売上高の維持,拡大が見込まれる支社の一つであるから,同支社は同社にとって重要な営業拠点であるとする。
そして,同部長は,同社では支社ごとに独立採算制を採っているから,《略》支社において原告との取引がなくなった場合に他の支社からその分を補填すれば済むというわけではない,また,《略》支社では,平成20年以降,原告との取引をカバーできるような新規取引先が見つかったり,既存の取引先との売上高が原告に対する売上高と同等又はそれ以上増加したりしたこともないので,原告は同支社にとって他では代え難い最重要取引先であり,仮に原告との取引がなくなった場合,同支社の事業経営上大きな支障を来すほどの重要かつ必要な取引先であるとする。
また,同社の《略》支社《略》は,①新規取引先の獲得には時間が掛かる上,新規取引先は既に競合他社と取引している場合が多いので,時間を掛けたとしても獲得できないことが多々あり,既存の取引先からの売上高増を図るのも,大きい売上高のある取引先は,《納入業者(79)》のような食品卸売業者数社と取引し,これらの事業者に価格面などの取引条件を競わせて納入させているので難しい,さらに,平成22年4月に,それまで《略》支社の帳合先であった《事業者G》が,原告の決定により《納入業者(21)》の帳合先に変更され,同支社は《事業者G》の商品の売上高約《金額》円を失うことになったが,いまだにこの金額に相当する売上高を回復できていないことから,仮に原告との売上高約《金額》円を失った場合には,同支社がこれを回復するのは不可能であるとする。(査81の1,査384,査385)
⑲ 《納入業者(80)》
a 《納入業者(80)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり(ただし,平成23年10月1日をもって《納入業者(79)》に吸収合併された。),平成17年4月に原告との取引を開始し,主に調味料,麺類及び嗜好飲料を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)並びに平成23年(4月1日に始まり同年9月末日に終わる。)の各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であるが,営業拠点(37拠点又は38拠点)のうち《略》支社(営業区域は主に札幌エリアである。)の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約7.3%,約6.6%,約5.9%であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位であった(なお,平成23年4月1日に始まり同年9月末日に終わる事業年度の取引依存度における原告の順位は,明らかではない。)。(査82の1及び2,査387)
b 《納入業者(80)》の《略》支社元支社長は,《略》支社は,支社の中では売上げが多いほうではなかったが,継続して《金額》円を超える売上げを獲得する安定した支社であり,その売上げを他の支社で補填することは困難であり,全国卸の看板を掲げる同社としては,全国の各地区で商品を取引先に売っていかなければならないので,《略》支社は重要な営業拠点であったとする。また,どの商品をどこからどれだけの量を仕入れるかを決めるのは,飽くまで小売業者であるので,同社が多くの取引を望み,積極的な営業を行っても,思うように取引できるものではなく,同社は,北海道地区における,原告,《事業者C》,《事業者B》ののうち原告と最も多くの取引をしているところ,平成20年度から平成22年度までにおいては,《略》支社における原告に対する取引依存度が7%前後となる大きな売上げを上げており,全国卸の看板を掲げている《納入業者(80)》としては,全国各地区で主要な小売業者との取引を落とすことはできないことから,引き続き,北海道地区の原告との取引を維持し,拡大していく必要があったとする。(査387)
《納入業者(80)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査82の1)
⑳ 《納入業者(85)》
a 《納入業者(85)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,主に牛乳及び乳製品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同社の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(6拠点)のうち《略》支店(営業区域は北海道全域)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約2.6%又は約3.1%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第8位又は第9位であった。(査87の1)
b 《納入業者(85)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》支店が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしており,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査87の1)
㉑ 《納入業者(86)》
a 《納入業者(86)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成8年6月に原告との取引を開始し,主に精肉及び惣菜を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり翌年2月末日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(21拠点又は26拠点)のうち《略》支店(営業区域は北海道全域)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約13%又は約14%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査88の1,査391)
b 《納入業者(86)》の《略》支店支店長は,同社の支店の中で《略》支店の売上げは中位に位置するが,北海道では唯一の営業拠点であるため,同社においては欠かせない重要な支店であるとする。
また,同支店長は,同社は北海道内3強と呼ばれる,原告,《事業者B》,《事業者C》のほか多数の取引先と取引しているところ,各取引先に対する営業を努力し,売上げが増加したとしても前年度実績を少し超える程度なので,仮に原告との取引がなくなった場合,原告との取引を他で代替することは難しく,既に取引先となっている《事業者B》や《事業者C》の取引を増やして原告の取引量を補うことは無理であるとする。(査88の1,査391)
㉒ 《納入業者(87)》
a 《納入業者(87)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,昭和61年9月に原告との取引を開始し,主に青果を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であるが,同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における営業拠点(3拠点又は4拠点)のうち《略》事務所(営業区域は主に北海道)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,このうち原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約34%ないし約37%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査89の1)
b 《納入業者(87)》は,原告と取引を行っている営業拠点である《略》事務所が重要な拠点であり,同営業拠点における原告との取引が必要であるとしており,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査89の1)
オ 《納入業者(12)》等5社(以下「5社」ともいう。)について
(ア) 別紙5の各2項のとおり,《納入業者(12)》〔《金額》円。約《金額》円ないし約《金額》円[本件対象期間における資本金,年間総売上高。以下,同じ。]〕,《納入業者(15)》〔《金額》円。約《金額》円,約《金額》円及び約《金額》円。〕,《納入業者(40)》〔《金額》円。約《金額》円又は約《金額》円。〕,《納入業者(61)》〔《金額》円。約《金額》円又は約《金額》円。〕,《納入業者(83)》〔《金額》円。約《金額》円ないし約《金額》円〕は,いずれも本件対象期間における資本金額が《金額》円ないし《金額》円であり,原告の資本金額42億円に比して0.23%ないし2.3%程度であり,本件対象期間における年間総売上高も約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告の年間総売上高約1100億円に比して0.26%ないし35%である。
(イ) 別紙5の各3項のとおり,5社は,取引先変更可能性等に関し,88社の報告書の取引先代替非容易認識設問に対して「はい」を選択し,新規取引先発見不可や,他取引先取引増加不可等を理由に,平成20年1月1日時点の原告との取引を他の取引先で代替することが容易でないと認識していた。
また,5社の従業員等の供述等によれば,取引先変更可能性等は,別紙5の各3項のとおりであった。
(ウ) さらに,5社は,別紙5の各4項後段のとおり,88社の報告書の取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択(あるいはこれと同旨の供述を)している。
(エ) 5社についての原告との取引に関する個別事情は以下のとおりである。
① 《納入業者(12)》
a 《納入業者(12)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成15年11月に原告との取引を開始し,主に日用品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。
同社の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約1.9%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第9位ないし第16位であり,営業拠点(2拠点)のうち原告と取引をしている《略》営業所(営業区域は北海道全域である。)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.2%ないし約8.7%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位ないし第6位であった。(査15)
b 《納入業者(12)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査15)
② 《納入業者(15)》
a 《納入業者(15)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,昭和48年6月に原告との取引を開始し,主に漬物を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の平成21年及び平成22年(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる)並びに平成23年(1月1日に始まり同年9月30日に終わる。)の各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であった。
同社の各事業年度における原告に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約2.9%,約3.0%,約6.1%であり,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第3位又は第5位であった。(なお,取引依存度における原告の順位に関する原告の主張が理由のないことは,別紙5のとおりである。査18の1及び2,査92)
b 《納入業者(15)》の専務取締役兼《略》部長は,原告は北海道における食品スーパーの中で勢いのある事業者であり,大事な取引先であるところ,原告との取引がなくなれば,原告に代わる取引先3社のうち,2社とは既に取引をしており,取引をしていない1社については,既に競合他社が食い込んでおり,そこに《納入業者(15)》が食い込むのは困難な状況であることから,同社がこれら3社との取引で原告との取引で失った分を穴埋めすることは困難であり,そのような事態になれば,《納入業者(15)》にとって事業経営上かなり厳しい状況に置かれることになるとする。(査18の1,査92)
③ 《納入業者(40)》
a 《納入業者(40)》は,《所在地略》に所在する卸売業者であり,平成13年9月に原告との取引を開始し,主に惣菜を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,同社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。
同社の平成21年及び平成22年(いずれも12月1日に始まり翌年11月30日に終わる)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.5%又は約0.6%であり,営業拠点(6拠点)のうち原告と取引をしている《略》支店(営業区域は北海道全域である。)の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約9.0%又は約9.2%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(なお,取引依存度における原告の順位に関する原告の主張が理由のないことは,別紙5のとおりである。査43の1及び2)
b 《納入業者(40)》は,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査43の1)
④ 《納入業者(61)》
a 《納入業者(61)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成21年10月に原告との取引を開始し,主に練製品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。
同社の平成21年から平成23年まで(いずれも5月21日に始まり翌年5月20日に終わる)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約1.0%ないし約1.5%であり,営業拠点のうち原告と取引をし,その売上げが同社全体の中で約4分の1を占める《略》事業部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.9%ないし約6.6%,取引依存度における原告の順位は上位第3位又は第5位であった。(査64。なお,査64の信用性に関する原告の主張が理由のないことは,別紙5のとおりである。)
b 《納入業者(61)》の《略》事業部《略》支店長は,北海道内では大手の取引先の数が限られることから原告との取引量を他の取引先で補うことは不可能であり,また,原告のような大手との取引がなくなることは経営に与える影響が大きくなり,さらに,同社は本社のある《略》と北海道に工場を持ち,基本的に北海道内で販売する商品は《略》工場で製造しているところ,仮に原告との取引がなくなった場合には,《略》工場の稼働率にも影響して,同工場で働くパートタイマーの数を縮小せざるを得なくなるなど,雇用面にまで影響が及んでしまうとする。(査64,査357)
⑤ 《納入業者(83)》
a 《納入業者(83)》は,《所在地略》に所在する製造業者であり,平成10年5月に原告との取引を開始し,主に衣料品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。
同社の平成21年及び平成22年(いずれも2月1日に始まり翌年1月31日に終わる。)並びに平成23年(4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.2%又は約0.3%であり,営業拠点(4拠点又は5拠点)のうち原告と取引をしている《略》営業所(営業区域は主に北海道及び東北)の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.7%ないし約5.7%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位ないし第10位であった。(査85の1及び2)
b 《納入業者(83)》は,新規取引先発見不可を理由に,原告との取引を他の取引先で代替することは容易でないとする。(査85の1)
⑶ 事実認定に関する原告の主張について
以上の認定事実について,原告は,次のア及びイのとおり主張してこれを争うので,この点について判断する。
ア 原告の市場における地位
原告は,少なくとも,本社が北海道外にある納入業者である《納入業者(2)》,《納入業者(3)》,《納入業者(6)》,《納入業者(12)》,《納入業者(17)》,《納入業者(21)》,《納入業者(26)》,《納入業者(33)》,《納入業者(35)》,《納入業者(40)》,《納入業者(43)》,《納入業者(46)》,《納入業者(51)》,《納入業者(52)》,《納入業者(55)》,《納入業者(61)》,《納入業者(64)》,《納入業者(65)》,《納入業者(79)》,《納入業者(80)》,《納入業者(81)》,《納入業者(83)》,《納入業者(84)》,《納入業者(86)》,《納入業者(87)》の25社については,原告の北海道内における地位を検討の対象とするだけでは足りず,全国の小売業者と比較した原告の地位が考慮されなければならないと主張する。
しかしながら,これらの25社は,先に認定したとおり,北海道区域に支店等の営業拠点を置く製造業者又は卸売業者であり,一般消費者に対して自社の商品を直接販売するものではないから,前記25社が北海道外においても取引を行う事業者であるとしても,原告が北海道という特定の区域内の一般消費者に対する小売市場において有力な地位にあるのであれば,原告と取引することで,自社の取引量や取引額の増加が期待できることとなり,原告との取引を継続する必要性が高くなる。その上,先に認定したとおり,例えば,《納入業者(6)》の《略》営業部《略》が供述するように,同社は製造工場として小樽工場を有しているところ,原告向けの商品が製造できなくなると小樽工場の稼働率が下がり,工場の生産性にも影響し,製造ラインの見直しなども考える必要が生じてしまうとし,また,《納入業者(79)》は,全国企業として事業を行っているため,北海道を含め全国で販売しているという実績が必要であるところ,同社の《略》支社にとって,原告との取引の存否は,同支社の事業経営上大きな支障を来すものであるとし,さらに,《納入業者(3)》の《略》支社支社長は,《略》支社は,POSデータや本社の営業活動では把握できない地域のニーズを把握し,迅速に対応するためには,その地域に営業拠点が所在している必要があるとする。先の認定事実から明らかなように,このようにこれらの25社にとって,種々の意味合いで支店等の営業拠点を維持することが重要になる。そして,北海道区域において,食品スーパーの分野で有力な地位にある原告との取引は,前記25社にとって,支店等の営業拠点を維持するために重要であると評価されており,原告との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことがあり得るものといえる。したがって,前記25社について,北海道内の市場における原告の地位を検討の対象とするだけでは足りず,全国の小売業者と比較した原告の地位を検討の対象としなければならないということはできず,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
イ 原告と88社の関係
(ア) 《納入業者(1)》等27社について
原告は,取引重要性等の設問につき,《納入業者(9)》,《納入業者(23)》,《納入業者(44)》,《納入業者(45)》,《納入業者(51)》,《納入業者(59)》,《納入業者(64)》,《納入業者(69)》及び《納入業者(74)》は,当初の報告書では「いいえ」と回答し,また,《納入業者(71)》及び《納入業者(72)》は,当初の報告書では「無回答」であったが,その後,いずれも審査官の指示により,報告書を訂正して「はい」の回答に変遷させたもので,変遷につき合理的な理由も述べられていないから,訂正後の回答は信用できないなどと主張する。
しかしながら,証拠(査362,《略》審査官〔審判2378頁以下〕及び《納入業者(64)》の《E1》参考人〔審判2280ないし2283頁,2286ないし2291頁〕の各審尋の結果)によれば,88社の報告書の訂正は,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,取引重要性等の設問に限らず,報告書全般における該当部分について行われたことが認められ,また,前記の事業者のうち,取引重要性等の設問につき当初の報告書では「いいえ」と回答し,その後,「はい」の回答に訂正したものは,審査官から設問の趣旨について説明を受けた上で,改めてその認識に基づき回答を訂正するなどしたことがうかがわれるから,当該経緯等に照らせば,訂正後の回答が直ちに信用性を欠くものということはできない。加えて,例えば,証拠(査345)によれば,《納入業者(51)》の常務取締役兼《略》営業所長が,仮に原告との取引がなくなった場合,新規取引先を開拓したり,既存の取引先との取引額を上げていったりする必要があるが,同社の営業担当は2名しかいないため,原告の取引額に相当する分を他で補填することは容易ではないとしていることが認められ,証拠(査355)によれば,《納入業者(59)》の《略》部長も,取引先代替非容易認識設問に対する応答で原告との取引の重要性を指摘しているものと認められる。さらに,証拠(査373,査374,《略》審査官〔審判2378頁以下〕) の審尋の結果)によれば,前記の事業者のうち,取引重要性等の設問につき当初の報告書では「無回答」であったが,その後,「はい」の回答をしたものは,認識を明らかにしたものと認められ,回答の変遷には当たらない。よって,訂正後の回答は信用できないなどとする原告の主張を採用することはできない。
(イ) 《納入業者(4)》等34社について
原告は,取引重要性等の設問につき,《納入業者(5)》,《納入業者(49)》,《納入業者(50)》,《納入業者(62)》は,当初の報告書では「いいえ」と回答し,また,《納入業者(34)》は,当初の報告書では「無回答」であったが,その後,いずれも審査官の指示により,報告書を訂正して「はい」の回答に変遷させたなどとして訂正後の回答は信用できないと主張する。しかしながら,当初の報告書では「いいえ」と回答していた事業者については,証拠(《略》審査官〔審判2378頁以下〕)により認められる88社の報告書の訂正の経緯等に照らせば,前記⑶イ(ア)と同様,訂正後の回答が直ちに信用性を欠くものということはできず,また,当初の報告書では「無回答」であった事業者も,その認識を明らかにしたにとどまる。
また,証拠(査343)によれば,《納入業者(49)》の《略》部長は,同社は北海道全域を営業区域としているところ,平成20年以降,原告に対する売上げと同額かそれ以上の売上げを確保できるような新規取引先と取引したり,既存の取引先に対する売上げの増加分が原告に対する売上げと同額以上になったりした事例はないので,原告に対する売上げがなくなった場合,他でカバーすることは容易ではないとしていることが認められ,こうした事実に証拠(査344)から認められる《納入業者(50)》の事情も同様と認められること,証拠(査358)によれば,《納入業者(62)》の代表取締役社長は,同社は北海道の主だったスーパー等の小売店には既に商品を取り扱ってもらっているところ,各小売業者の店舗の和菓子等の売場スペースは限られており,現在の売場スペースには同社の商品のほか既に競合他社の商品も並べられているため,原告との年間売上高を他の小売店で補うことは難しいとしていることが認められることに照らせば,訂正後の回答は信用できないなどとする原告の主張を採用することはできない。
(ウ) 《納入業者(2)》等22社について
原告は,取引重要性等の設問につき,《納入業者(46)》,《納入業者(65)》,《納入業者(87)》は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,いずれも審査官の指示により,報告書を訂正して「はい」の回答に変遷させたなどとして訂正後の回答は信用できないと主張する。
しかしながら,当初の報告書では「いいえ」と回答していた事業者については,証拠(《略》審査官〔審判2378頁以下〕)により認められる88社の報告書の訂正の経緯等に照らせば,前記⑶イ(ア)と同様,訂正後の回答が直ちに信用性を欠くものということはできない。また,証拠(査337)によれば,《納入業者(46)》の《略》課長は,①《納入業者(46)》の全社的にみれば,原告は大きな取引先ではないものの,同社の《略》営業所の平成23年度の原告に対する取引依存度は14.1%と高い割合を占めており,②北海道において原告に代わる同程度の売上規模の新たな取引先となり得る小売業者や既存の取引先を見つけ出すことは困難としていることが認められ,また,証拠(査363)によれば,《納入業者(65)》の《略》事業所所長は,①北海道内において同社の商品を販売できるような《事業者B》,《事業者C》などの主だった小売業者や飲食店とは既に取引を行っており,ここ数年をみても新たに北海道内で事業を開始したそれなりの規模の小売業者や飲食店はないことから,原告との取引額をこれまで取引を行っていない新たな取引先でカバーすることは非常に困難であり,②《納入業者(65)》の既存の取引先との取引額を増やすことで原告との取引額をカバーすることは,何年か時間を掛ければ可能かもしれないが,簡単なことではないとしていることが認められ,このことからも訂正後の回答の信用性が認められる。したがって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(エ) 《納入業者(12)》等5社について
原告は,取引重要性等の設問につき,《納入業者(61)》は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,いずれも審査官の指示により,報告書を訂正して「はい」の回答に変遷させたなどとして訂正後の回答は信用できないと主張する。しかしながら,証拠(査357)によれば,《納入業者(61)》の《略》事業部《略》支店長は,取引先代替非容易認識設問に対する応答で,①事業者数の多い関東方面では,規模の大きな取引先を一つ失ったとしても他の取引先でカバーすることは可能であるが,北海道内では大手の取引先の数が限られることから原告との取引量を他の取引先で補うことは不可能であり,②原告のような大手との取引がなくなることは経営に与える影響が大きくなり,③同社は本社のある《略》と北海道に工場を持ち,基本的に北海道内で販売する商品は《略》工場で製造しているところ,仮に原告との取引がなくなった場合には,《略》工場の稼働率にも影響して,同工場で働くパートタイマーの数を縮小せざるを得なくなるなど,雇用面にまで影響が及んでしまうとしていることが認められ,このようなことからすれば,訂正後の回答の信用性は十分認められ,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
2 本件各行為(なお,この項において,証拠によって認定した事実については,各項末尾の括弧内に認定に供した証拠を摘示した。)
⑴ 本件従業員等派遣を受ける行為
ア 前提事実3⑵のとおり,53社は,別紙4の「従業員派遣」欄のとおり,本件対象期間に原告が実施した15店舗の新規開店又は改装開店に際し,合計858件,自社の従業員等を当該店舗に派遣していた。その経緯,内容等は次のとおりである。
イ GMからの指示及び納入業者に対する要請
原告は,本件開店準備作業等を担当させるために遅くとも平成21年4月20日以降は,平成23年12月30日まで,第2商品部ないし第7商品部の6つの商品部(以下,まとめて「第2商品部等」という。)を通じて(ただし,室蘭地区本部では,第2商品部等又は同本部の商品部〔以下「室蘭の商品部」という。〕を通じて),納入業者に対し,その従業員のほか,納入業者を通じて原告が商品を仕入れている張合メーカーの従業員の派遣を要請していた。
第2商品部等のバイヤーは,第2商品部等のGMの指示により,開店日のおおむね2,3週間前までに,納入業者に対し,商談の際や電子メール又は電話などにより,本件開店準備作業等を行う店舗,集合時間について連絡し,従業員等の派遣を要請していた。
例えば,原告第6商品部バイヤーの《A8》は,納入業者に対し,平成23年9月30日付け「BH明徳店応援要請」と題する電子メールにより,「BH明徳店リニュアルに伴いベンダー様・メーカー様の支援をお願い申し上げます。添付ファイルに応援者一覧,スケジュールを記載しておりますので確認して下さい。」などと連絡し,添付ファイルには,閉店日が10月17日,陳列日が同月18日ないし同月20日,OPENが同月21日との改装の日程や,応援依頼人数,作業内容・手順等が具体的に記載され,陳列作業についても,商品カテゴリーごとに卸売業者及び製造業者の人数の割り当てが一覧表で示されていた。
また,第5商品部等一部の商品部においては,バイヤーが《納入業者(41)》等の特定の納入業者に依頼して,従業員等を派遣する納入業者の取りまとめを行わせ,この特定の納入業者をして,他の納入業者に作業を行う店舗や集合時間を連絡させるという方法により,納入業者に対して従業員等の派遣を要請していた。
(査2,査106ないし査108,査140ないし査155,査269ないし査272,査306,査321,査323,査326,査327,査331,査349,査370)
ウ 「店舗応援のお願い」と題する文書等の作成
原告は,従前,納入業者との間で従業員等の派遣要請及びその回答について書類を取り交わしていなかったが,その後,従業員等の派遣を要請するための「店舗応援のお願い」と題する文書,納入業者がこれに回答する際に用いる「応援回答書」と題する文書(以下「応援回答書」という。)及び従業員等を派遣した納入業者が費用を請求するための「請求書」と題する文書(以下,これらの文書を併せて「応援依頼書類一式」という。)を作成し,平成19年3月のビッグハウスイースト店の改装開店の際の従業員等派遣の要請からこれを用いていた。
前記「応援依頼書類一式」のうち「店舗応援のお願い」と題する文書には,要請内容(応援場所及び期間,応援人数,応援者の業務内容),費用負担条件(人件費,交通費,宿泊費),その他(応援回答書及び請求書の提出等)が記載され,「応援回答書」には,作成者欄(取引先名,担当者名,連絡先)並びに回答欄(1項は,応援を承諾する旨及び応援者の名簿〔応援日,会社名,応援者名,応援時間,出発地,交通費,宿泊要否〕,2項は,応援を辞退する旨)があり,「請求書」には,作成者欄(会社名),請求金額欄,内訳欄(人件費,交通費),支払期日欄,請求内容欄(店舗応援{応援日,応援場所・部門,応援者氏名,業務内容である商品の搬入・補充・陳列作業とその関連作業等〕),振込先欄があった。
(査110,査111,査117ないし121,査123,査125,査140ないし査144,査146,査148,査155)
エ 本件従業員等派遣に関する事前の取決め状況
(ア) 原告は,納入業者に対して従業員等の派遣を要請するに当たり,作業の具体的な内容,労働時間,派遣のために通常必要な費用を原告が負担するのか否か等の派遣の条件については伝えておらず,また,これらの条件について納入業者との間であらかじめ合意をしていなかった。
(査140,査141,査143,査152,査155,査267,査323,査327,査331,査352)
(イ) また,納入業者への応援依頼書類一式の送付は各商品部において行うものとされていたところ,ほとんどの商品部において,応援依頼書類一式には対象となる店舗名及び住所のみを記載し,期間,集合時間及び応援人数の各欄等を空欄にしたまま,納入業者に応援依頼書類一式を配布していた。一部の商品部においては,従業員等の派遣を要請する際ではなく,納入業者が当該要請を受け入れることを決定した後に応援依頼書類一式を配布したり,応援依頼書類一式をそもそも配布しなかったりすることなどもあった。
そして,原告は,全ての納入業者から応援回答書を回収していたわけではなく,応援回答書を回収した場合でも,当該従業員等の派遣がなされた日以後に回収したり,応援回答書の内容を確認しないまま従業員等の派遣を受けたりすることもあった。納入業者が実際には従業員等の派遣に応じているにもかかわらず,同納入業者から従業員等の派遣を辞退する旨の応援回答書が提出されることもあり,例えば,《納入業者(13)》は,スーパーアークス月寒東店の改装開店の際,実際には応援に参加していたが,応援を辞退する旨の回答を記載した応援回答書を提出していた。(査111,査117ないし査125,査130ないし査132,査134,査135,査140ないし査146,査148,査149,査151,査152,査154,査155,査267,査272,査306,査331,査340,査370)
オ 納入業者の従業員等の作業内容
本件開店準備作業等のうち,商品の陳列,補充に関する作業は,原告があらかじめ商品ごとの配置を定めた棚割表に従って商品を置くだけであり,作業を行う納入業者の従業員等が自らの判断で自社の商品を置くことはできなかった。
また,原告は,派遣された従業員等に自社商品と他社商品の区別なく作業を行わせていた。本件開店準備作業等のうち,販売作業には,店舗での試食販売,店舗外での特売品についてのレジ作業などがあったが,いずれも派遣された従業員等は自社商品と他社商品の区別なく作業を行うものであり,派遣された従業員等において,自社商品の説明を行ったり,自社商品の宣伝をしたりすることはできなかった。
さらに,本件開店準備作業等のうち改装開店の場合における閉店時の作業としての商品の撤去,他店舗への振替の作業も,自社商品と他社商品の区別なく作業を行うものであった。
(査113,査114, 査140ないし査149,査151ないし査155,査267,査269ないし査273,査301,査306,査321,査323,査326,査327,査330,査352,査378,査380,査389,査495)
カ 原告による費用負担
納入業者は,本件従業員等派遣をしても,その費用を原告に請求することはほとんどなく,原告においても,納入業者が費用負担を請求せずに従業員等派遣に応ずれば,原告は費用負担をする必要はないと考えていたことから,例外的にその費用を支払った場合を除き,納入業者に対し,本件従業員等派遣に要した費用を請求するよう働きかけることはなく,納入業者から請求を受けたとき以外は上記費用を支払わなかった。
また,原告の《A1》専務は,納入業者からの費用請求及び原告による費用支払の実績を作るため,本件従業員等派遣をした納入業者の一部に対して費用を請求するよう働きかけることを指示したため,本件従業員等派遣を要請した商品部のGM等が,当該納入業者に対し,原告に費用を請求するよう働きかけ,この働きかけに応じて,調査対象期間に納入業者が原告に費用請求をし,これに対し,原告が費用を支払ったのは11件であり,支払額は合計10万8120円であった。しかし,費用の支払われた11件についても,原告が支払った額は,当該店舗で行った数日間にわたる作業のうちの1日分であるなど,当該納入業者の従業員等が行った作業全部に相当する額ではないことが多かった。
(査2,査127ないし査134,査138ないし査140,査142ないし査149,査151,査152,査154,査155,査270ないし査273,査313,査321,査323,査327,査331,査338,査347,査352,査369,査389,査495,《D1》参考人及び《A1》参考人各審尋の結果)
キ 従業員等を派遣することの見返り
原告は,納入業者から本件従業員等派遣を受けるに当たり,当該納入業者から購入する商品を増やす等の見返りを約束していなかった。この点,原告の《A1》専務も,本件従業員等派遣について,納入業者に直接的なメリットはなく,納入業者においては,同業他社が従業員の派遣をしているのに,これに応じないと商品選定の際に不利になると思い,これに応じていたものと考えていた。(査141,査144ないし査146,査148,査151,査152,査154,査155,査267,査270,査321,査349)
⑵ 本件協賛金の提供を受ける行為
ア 前提事実3⑶アのとおり,原告は,本件対象期間に新規開店又は改装開店を行った15店舗において,オープンセールを行ったところ,54社は,そのオープンセールにおいて,別紙4の「オープン協賛金」欄のとおり,原告に対し,オープンセール協賛金との名目で金銭を提供した。
また,前提事実3⑶イのとおり,原告が本件対象期間に創業祭を実施した際,86社は,その創業祭において,別紙4の「創業祭協賛金」欄のとおり,原告に対し,創業祭協賛金との名目で金銭を提供した。
その経緯,内容等は次のとおりである。
イ オープンセール協賛金
(ア) オープンセール協賛金に関する事前の取決め
原告と納入業者との間で,オープンセール協賛金の提供に関する事前の取決めとして,算定方法,支払方法その他の支払条件に係る包括的な契約が締結されたわけではなく,これに係る覚書等の文書は作成されていない。
また,原告は,納入業者と継続して取引を開始するに当たり,取引基本契約書を締結する代わりに,原則として商品部ごとに,当該納入業者との間で取り決めた納入条件,支払ロ座,支払条件,リベート条件等の取引に係る基本的な事項について記載した「取引先カード」を提出させているところ,第2商品部が担当している納入業者に係る取引先カードには,オープンセール協賛金について記載されているものもあるが,この場合でも,協賛金の算定方法が記載されているだけで,協賛金の算出根拠や使途についての記載はなく,取引先カードの作成に際しても,納入業者に対して,協賛金の算出根拠や使途についての説明は行われていなかった。
そして,第2商品部以外の商品部と取引している納入業者に係る取引先カードには,オープンセール協賛金に関する事前の取決めの記載はない。
(争いがない)
(イ) オープンセール協賛金の算定方法及び算出根拠
a オープンセール協賛金の算定方法
遅くとも平成21年4月20日以降,第2商品部等は,納入業者に対してオープンセール協賛金の提供要請を行っていた。納入業者に提供を要請するオープンセール協賛金の額の算定方法は,以下の(a)ないし(f)のとおり,商品部ごとに定められていた。(争いがない)
(a) 第2商品部
第2商品部におけるオープンセール協賛金の額は,新規開店の場合,開店日の前年の3月から開店の年の2月までの1年間における同商品部が担当している納入業者が原告に納入する商品に係る取引額(以下,各商品部が担当している納入業者が原告に納入する商品に係る取引額を,同様に「取引額」という。)に0.1%を乗じた金額であり,改装開店の場合,上記取引額に0.05%を乗じた金額であった。
なお,原告は,後記ウ(イ)bのとおり,平成23年の創業祭協賛金について,創業祭協賛金を算定する際に適用する料率を引き上げたが,第2商品部では料率を引き上げなかったことから,同商品部では,同年10月に改装開店したビッグハウス明徳店に係るオープンセール協賛金の提供を納入業者に要請するに際し,通常の改装開店の場合に適用される料率よりも高い0.075%の料率を適用してオープンセ一ル協賛金の金額を算出した。
(b) 第3商品部
第3商品部におけるオープンセール協賛金の額は,加工品を納入している納入業者については,新規開店の場合,開店日が上期(3月から8月まで。以下同じ。)であれば,その前年の3月から開店の年の2月までの1年間の取引額の1か月当たり平均額に,下期(9月から2月まで。以下同じ。)であれば,その前年の9月から開店の年の8月までの1年間の取引額の1か月当たり平均額に,それぞれ0.5%を乗じた金額であり,改装開店の場合,上記1年間の取引額の1か月当たり平均額に0.25%を乗じた金額であった。
一方,生肉を納入している納入業者については,新規開店の場合,上記1年間の取引額の1か月当たり平均額に0.25%を乗じた金額であり,改装開店の場合,上記1年間の取引額の1か月当たり平均額に0.125%を乗じた金額であった。
加工品と生肉の双方を納入している納入業者については,加工肉での取引と生肉での取引を分けて半期毎の取引額を合計して1年間の取引額とし,その1か月当たり平均の額に,それぞれ加工肉業者又は生肉業者における前記掛け率を乗じた金額であった。
(c) 第4商品部
第4商品部においては,改装規模の小さい場合には,オープンセール協賛金の提供を受けないことがあったが(査224),基本的にその額は,新規開店か改装開店かにかかわらず,開店日の前月から遡ること3か月間の札幌地区及び室蘭地区の店舗における取引額の合計の1か月当たり平均額に1%を乗じた金額であった。
(d) 第5商品部
第5商品部の和日配部門が担当している納入業者のオープンセール協賛金の額については,その多くは,同商品部のバイヤーが過去のオープンセール協賛金の額やオープンセール協賛金の対象店舗の規模等を勘案して要請の都度決定した金額であり,その余の納入業者については,新規開店か改装開店かにかかわらず,当該店舗の開店後1か月間の取引額に10%を乗じた金額であった。
一方,第5商品部の洋日配部門が担当している納入業者のそれは,原則として,新規開店か改装開店かにかかわらず,当該店舗の開店後1か月間の取引額(ただし,牛乳に係る取引額を除く。)に10%を乗じた金額であった。
(e) 第6商品部
第6商品部の菓子部門及びパン部門が担当している納入業者のオープンセール協賛金の額については,新規開店か改装開店かにかかわらず,当該店舗のオープンセール期間中(3日間又は4日間)の取引額に10%を乗じた金額であり,グロサリー部門が担当している納入業者のそれは,新規開店か改装開店かにかかわらず,同商品部のGMが過去のオープンセール協賛金の額やオープンセール協賛金の対象店舗の規模等を勘案して要請の都度決定した金額であった。
(f) 第7商品部
第7商品部におけるオープンセール協賛金の額は,新規開店か改装開店かにかかわらず,同商品部のGMが過去のオープンセール協賛金の額やオープンセール協賛金の対象店舗の規模等を勘案して要請の都度決定した金額であった。
b オープンセール協賛金の算出根拠
オープンセール協賛金の算定方法は,前記aのとおり,商品部ごとに様々であり,オープンセール協賛金の算定の基礎となる取引額は,第6商品部のように当該店舗でオープンセール期間中の取引額を基準に算定する例もあったものの,多くは,当該オープンセールとは関係のない期間の取引額を基準とするものであった。
また,個々の納入業者の取引の状況,すなわち,当該オープンセールにおいて日替わり商品等の特売品の対象となっているか,チラシにどの程度商品が掲載されているか,それによりどの程度利益を得られるかという点を考慮することなく,商品部ごとに担当する納入業者一律の方法でオープンセール協賛金を算定していた。
一方,上記のような算定方法を採る理由,例えば,第4商品部であれば,特定の店舗の新規開店や改装開店であるにもかかわらず,なぜ原告全体との取引額を前提とするのか,なぜ直近3か月の取引額の1か月当たり平均額を前提とするのか,なぜ料率が1%なのかなどという点については,同商品部においても把握していなかった。この点は,他の商品部においても同じであった。
(査216,査219,査220,査222ないし査224,査226,査228,査229,査230,査232,査235,査236)
(ウ) 《A1》専務らからの指示
原告の《A1》専務らは,新規開店又は改装開店の約2週間前までに開催されるGM会議やバイヤーミーティングの場において,各商品部の仕入担当者に対し,納入業者にオープンセール協賛金の提供を要請するよう指示していた。
第2商品部等及び室蘭の商品部の仕入担当者は,《A1》専務らからの上記指示を受け,後記(エ)のとおり,納入業者に対し,オープンセール協賛金の提供を要請していた。また,原告においては,かねてから納入業者に対するオープンセール協賛金の提供要請が行われていたため,《A1》専務らから上記指示がない場合にも,上記仕入担当者が納入業者に対してオープンセール協賛金の提供を要請することもあった。
(査216,査219,査222ないし査224,査226,査227,査230,査232,査234)
(エ) オープンセール協賛金の提供の要請
第2商品部等の仕入担当者は,納入業者に対し,商談等の際に要請額を伝達するか,金額を自動計算するための電子ファイルを添付した電子メールを送付するなどの方法により,オープンセール協賛金の提供の要請を行っていた。また,上記仕入担当者は,納入業者に対してオープンセール協賛金の提供を要請するに当たり,その協賛金の算出根拠や使途について具体的に説明することはなかった。
(査157,査158,査168,査216,査219ないし査224,査226ないし査230,査232,査234,査270,査275,査295,査297,査298,査312,査316,査321,査326,査328,査341,査354,査369,査376,査389,査490,査497)
(オ) オープンセール協賛金の提供時期
オープンセール協賛金の提供要請は,概ね新規開店又は改装開店に先立って行われており,納入業者は,原則として,開店日が月の上旬であればその月内に,月の下旬であれば翌月内に当該協賛金を支払うこととされていたが,商品部が自らの収支状況に鑑み利益を平準化するために任意に指定した月に支払われる場合もあった。(利益の平準化という目的につき査230,その余は争いがない。)
(カ) オープンセール協賛金の使途,提供の見返り等
原告は,オープンセール協賛金について,これを提供した納入業者が納入する商品のオープンセールにおける値引販売の原資や当該商品のチラシへの掲載費用等に充てるなどはしておらず,これを提供した納入業者が納入する商品の販売に結び付けて使用していなかった。
また,オープンセール協賛金は,値引販売等による損失補填や広告費用といった当該オープンセールの費用補填に用いられたが,その一部は,各店舗において目標とされた利益額を達成するための補填等にも使われていた。さらに,原告は,オープンセールのための特売商品については,納入業者から特売条件として通常よりも安い納入価格で仕入れていた。
そして,原告は,納入業者からオープンセール協賛金の提供を受けるに当たり,当該納入業者に対して特段見返りを約束しておらず,オープンセール協賛金を提供した納入業者の商品の納入量が通常より増えたり,オープンセールのチラシに目立つように掲載されたりすることはなかった。
この点,原告の《A1》専務も,オープンセール協賛金の提供について,納入業者に直接的なメリットはなく,納入業者においては,原告の提供要請に応じないと,バイヤーによる商品選定の際に不利になると思い,これに応じていたものと考えていた。
(査216,査219,査222ないし査224,査227ないし査230,査232,査234,査270,査273,査312,査316,査354,査376,査389,査394)
(キ) 54社によるオープンセール協賛金の提供
54社は,本件対象期間に,原告の要請を受けて,別紙4の「オープン協賛金」欄のとおり,オープンセール協賛金を提供した。その提供方法には,赤伝票により買掛金から差し引く方法,銀行振込み等による方法のほか,物納という,納入業者の納入価格ベースで原告が要請したオープン協賛金額分に相当する商品を無償で納入してもらう方法があった。
54社が提供したオープンセール協賛金は,ほとんど全て,原告から要請された金額又は原告が前記(イ)aの算定方法で算定した金額と同じであった。
(査2〔別表10〕,査156,査159,査160,査162ないし査167,査176ないし査184,査216,査219,査221,査222,査230)
ウ 創業祭協賛金
(ア) 創業祭協賛金の事前の取決め
原告においては,平成19年9月以降,創業祭協賛金の提供について,事前の取決めについて取引先カード又は納入業者との間で個別に交わした覚書(以下「取引先カード等」という。)に記載することを基本としていた。すなわち,例えば,《納入業者(49)》に係る取引先カードでは,取引条件の「創業祭協賛金(年次)」欄に「半期,0.45%」と記載されており,また,原告と《納入業者(39)》との間の平成19年9月30日付け「覚書」では,同社が原告に「販売する商品に関して販売目標を設定し,達成時には販売販促協力金として割戻しを行うことを合意」したとして,割戻率を「平成18年9月1日~平成19年8月31日の半期毎の平均を算出し,半期平均実納品金額の0.45%とする」などと記載していた。
しかし,取引先カード等に創業祭協賛金の提供に関する事前の取決めについて記載がある場合でも,「都度商談」としか記載されていない場合があったり,取引先カード等に料率が記載されている場合でも,実際に創業祭協賛金の提供を要請する際の料率と異なっていたり,覚書上は販売目標を達成するなど一定の条件を満たした場合にのみ創業祭協賛金を提供する旨記載されているにもかかわらず,かかる条件を満たさなくても,原告が創業祭協賛金の提供を要請する場合があったりした。そのような場合において,取引先カード等に記載された条件と異なる創業祭協賛金の提供の要請が行われることについて,納入業者との間で特段協議は行われていなかった。
また,原告は,取引先カード等を作成する際に,納入業者に対し,創業祭協賛金の算出根拠や 使途について説明せず,取引先カード等に記載された料率・条件とは異なる料率・条件を適用する際にも,納入業者に対して,その理由については,50周年なのでなどと料率を上げる理由を説明するほか,特段具体的に算出根拠等について説明しなかった。
(査173,査204,査217ないし査219,査222,査225,査226,査228,査229,査231,査233,査235,査236,査275,査295,査297,査301,査350,査361,査372,査497)
(イ) 創業祭協賛金の算定方法及び算出根拠
a 平成21年及び平成22年に提供要請した創業祭協賛金に係る算定方法
遅くとも平成21年4月20日以降,原告の第1商品部ないし第7商品部(以下,まとめて「第1商品部等」ということがある。)は,納入業者に対して創業祭協賛金の提供を要請していた。納入業者に提供を要請する創業祭協賛金の額の算定方法は,以下の(a)ないし(c)のとおり,商品部ごとに定められていた。
(査187ないし査203,査217ないし査219,査221ないし査223,査225ないし査229,査231,査233,査236,査269ないし査271,査275,査295,査297,査301,査303,査312,査319,査326,査328,査350,査354,査361,査372,査376,査381,査389,査394,査492)
(a) 第1商品部
第1商品部における創業祭協賛金の額は,平成21年以降,創業祭の前年の9月から創業祭の年の8月までの1年間の取引額に0.18%を乗じた金額であった。ただし,《納入業者(35)》については,創業祭の年の3月から8月までの半年間の取引額に0.45%を乗じた金額であった。
(b) 第2商品部
第2商品部における創業祭協賛金の額は,創業祭の前年の3月から創業祭の年の2月までの1年間の取引額に0.1%を乗じた金額であった。
(c) 第3商品部ないし第7商品部
第3商品部ないし第7商品部における創業祭協賛金の額は,従来の0.35%に据え置いた《納入業者(50)》等一部の納入業者を除き,平成18年以降,原則として,創業祭の年の上期(3月ないし8月)の取引額に0.45%を乗じた金額であった。ただし,さつま揚げなど和日配を取り扱う第5商品部においては,取扱商品の特性上,時期によって取引額が変動するといった事情がある商品の納入業者については,創業祭の前年の9月から創業祭の年の8月までの1年間の取引額を2で除したものに0.45%を乗じた金額であり,第7商品部においては,上期,下期又は上期と下期の合計の取引額を2で除したもののうち,いずれかに0.45%を乗じた金額であった。
なお,室蘭地区本部の各店舗における取引分については,各店舗での取引額に0.45%を乗じた金額であった。
b 平成23年に提供要請した創業祭協賛金に係る算定方法
原告は,平成23年が原告の前身であるダイマルスーパー株式会社の創業50周年に当たることを理由に,少なくとも86社中61社に対し,これまでの料率を引き上げ,第1商品部においては,1年間の取引額に0.19%を乗じた金額とし,第3商品部ないし第7商品部においては,半年間の取引額又は1年間の取引額を2で除したものに創業50周年にかけて0.5%を乗じた金額の提供を要請するなどした。
また,86社中14社に対しては,当該商品部の仕入担当者から例年どおりの料率である0.45%に基づいて創業祭協賛金の提供を要請したほか,原告の《A1》専務から,《A1》専務が原告と各社との平成22年度年間取引額に0.1%を乗じるなどして定めた金額を追加の創業祭協賛金として提供するよう要請するなどした。
(査205ないし査211,査217,査218,査222,査223,査225,査227ないし査229,査231,査233,査235,査236,査269ないし査271,査295,査297,査303,査319,査321,査326,査335,査350,査361,査492)
c 創業祭協賛金の算出根拠
創業祭協賛金の算定方法は,前記a及びbのとおり,商品部ごとに様々であった。また,オープンセール協賛金と同様に,個々の納入業者の取引の状況を考慮することなく,商品部ごとに担当する納入業者一律の方法で創業祭協賛金を算定していた。
一方,上記のような算定方法を採る理由については,当該商品部において把握していなかった。
また,第3商品部ないし第7商品部が平成23年に納入業者に提供を要請する創業祭協賛金の額を算定する際に使用した0.5%という料率は,創業50周年であることにちなむものであり,原告の《A2》社長の発案に基づくものであるところ,特段,経済合理的な理由に基づくものではなかった。
(査217ないし査219,査222,査223,査225ないし査227,査231,査233,査235,査236)
d 創業祭協賛金についての《A1》専務らからの指示とその提供の要請
原告の《A1》専務らは,創業祭の実施に先立つ毎年8月頃から9月頃までの間に,GM会議やバイヤーミーティングの場において,各商品部の仕入担当者に対し,納入業者に創業祭協賛金の提供を要請するよう指示していた。第1商品部等の仕入担当者は,《A1》専務らからの上記指示を受け,納入業者に対し,創業祭協賛金の算出根拠や使途について明確に説明することなく,創業祭協賛金の支払を要請する旨と協賛金の額のほか,入金予定日,入金方法等の回答を求める旨を記載しただけの要請文書を直接手渡しする,電子メールで送付するなどの方法により,創業祭協賛金の提供を要請していた。
また,原告においては,かねてから納入業者に対する創業祭協賛金の提供要請が行われていたため,《A1》専務らから上記指示がない場合にも,上記仕入担当者が納入業者に対して創業祭協賛金の提供を要請することもあった。
さらに,原告の《A1》専務は,前記bのとおり,平成23年に一部の納入業者に対して追加の創業祭協賛金を要請する際,納入業者の役員,支店長等に対し,電話又は面談により,創業50周年の創業祭において様々な企画を予定している旨を説明したが,創業祭協賛金の算出根拠や使途については特段説明しなかった。
(査186,査212ないし査214,査217ないし査219,査221ないし査223,査225ないし査229,査231,査233,査235,査236,査269,査270,査275,査295,査297,査298,査301,査303,査311,査312,査319,査321,査323,査326,査341,査350,査354,査369,査376,査389,査394,査486,査490,査492,査497)
e  創業祭協賛金の提供時期及びその提供方法
創業祭協賛金の提供要請は例年8月頃から9月頃に行われるが,納入業者からの提供時期については,商品部の仕入担当者と納入業者との間で調整して決定されており,その年の9月から12月までを基本としていたが,年明け以降の場合もあった。創業祭協賛金の提供方法には,主に,赤伝票により買掛金から差し引く方法及び銀行振込み等による方法があったが,このほか,物納という,納入業者の納入価格ベースで創業祭協賛金額分に相当する商品を無償で納入してもらう方法があった。
(査187ないし査190,査192ないし査203,査205ないし査210,査215,査217,査218,査222,査225ないし査229,査231,査233,査235,査492)
f  創業祭協賛金の使途,提供の見返り等
原告は,創業祭協賛金について,これを提供した納入業者が納入する商品の創業祭における値引販売の原資や当該商品のチラシへの掲載費用等に充てるなどはしておらず,これを提供した納入業者が納入する商品の販売に結び付けて使用していなかった。
また,納入業者から創業祭協賛金として提供された金銭は,提供を受けた商品部において本部の収益になるものとして取り扱われており,一部は創業祭における特売品の値引販売の原資や広告費用の補填に充当されていたものの,その余は創業祭に係る費用に充当されていなかった。なお,原告は,創業祭のための特売商品については,納入業者から特売条件として通常よりも安い納入価格で仕入れていた。
原告は,納入業者から創業祭協賛金の提供を受けるに当たり,当該納入業者に対して特段見返りを約束しておらず,納入業者が創業祭協賛金を支払うことによって,原告との取引量が通常より増えたり,広告に自社商品が目立つように掲載されたりすることはなかった。この点,原告の《A1》専務も,創業祭協賛金の提供について,納入業者に直接的なメリットはなく,納入業者においては,原告の提供要請に応じないと,バイヤーによる商品選定の際に不利になると思い,これに応じていたものと考えていた。
(査217ないし査220,査222,査223,査225ないし査229,査231,査233,査235,査303,査311,査312,査335,査350,査354,査356,査359,査374,査376,査389)
g  86社による創業祭協賛金の提供
86社は,本件対象期間に,原告の要請を受けて,別紙4の「創業祭協賛金」欄のとおり,創業祭協賛金を提供した。
86社が提供した創業祭協賛金は,ほとんど全て,原告から要請された金額又は原告が前記(イ)a若しくはbの算定方法で算定した金額と同じであった。
(査2〔別表10〕,査187ないし査190,査193ないし査196,査198,査199,査201ないし査203,査205,査207ないし査209,査215,査218,査222,査227,査231,査233,査235)
⑶ 本件商品の購入
ア 前提事実3⑷のとおり,18社の従業員等は,別紙4の「購入要請」欄のとおり,本件対象期間に,原告からの要請を受けて本件商品を購入した。
その経緯,内容等は次のとおりである。
イ 原告における販売目標の設定
原告が毎年3月頃及び9月頃に実施していた紳士服特別販売会の企画立案は,第8商品部が担当しており,同商品部において,紳士服特別販売会における原告全体の販売目標のほか,各商品部を含む各部署の販売目標を設定することとされていた。
第8商品部は,紳士服特別販売会の開催の約2週間前に,原告の従業員が参加して行われる朝礼において,出席した役員及び従業員に対し,それぞれの部署が担当する納入業者等に対して本件商品の購入を要請するよう依頼し,その後,上記販売目標を記載した一覧表を各商品部等に配布していた。
(査238ないし査242,査255,査256,査259,査260)
ウ 本件商品の購入の要請
遅くとも平成21年4月20日以降,納入業者に対して本件商品の購入を要請していたのは,原告の第3商品部,第6商品部及び第7商品部(以下,まとめて「第3商品部等」ということがある。)である。
第3商品部等のGM及びバイヤー(以下「バイヤー等」という。)は,第8商品部から設定された前記イの販売目標を達成することができるよう,自らの所属する商品部が担当する納入業者ごとに購入数を割り振り,納入業者に対し,当該納入業者の購入すべき本件商品の数量を示して,その数量を購入するよう要請していた。
例えば,第7商品部の《A5》GM(以下「第7商品部の《A5》GM」という。)は,平成23年8月26日,《納入業者(3)》の担当者に対し,「本年の紳士服特別販売会が9/9(金)-21(水)までラルズプラザ札幌店8F特別会場にて開催されます。今回は《納入業者(3)》さんチームが担当になりますのでご協力をお願いします。尚,7着が目標着数となっています。」と記載した電子メール(査244)を送信し,同年9月10日にも,《納入業者(3)》の担当者に対し,「今回は《納入業者(3)》さんチームが担当ですので21日(水)までに目標数を達成しますようお願いいたします。お買い上げの際には第7商品部《A5》,《A6》が紹介者であることをお伝えください。」と記載した電子メール(査245)を送信した。
(査243ないし査245,査248,査256ないし査259,査278ないし査280,査516,《D1》参考人審尋の結果)
エ 販売目標の達成状況の管理
原告が作成した紳士服特別販売会のパンフレットには,「ご紹介者カード」が同封されており,同カードは,紳士服特別販売会の会場にも用意されていた。
紳士服特別販売会の会場で本件商品を購入した者は,ご紹介者カードの「お名前」欄及び「ご勤務先」欄に氏名及び所属事業者を記載するほか,「ご紹介者」欄に本件商品の購入を要請した原告の担当者名を記入することとなっており,第3商品部等のバイヤー等は,本件商品の購入を要請した納入業者に対し,例えば,前記電子メール(査245)にあるように,「ご紹介者」欄に当該バイヤー等の所属する商品部及び当該バイヤー等の名前を記載する,又は,本件商品を購入する際にこれを申し出るよう要請していた。
第8商品部は,上記カードを回収することにより,第3商品部等に対して設定した販売目標の達成状況を把握し,その結果を一覧表に取りまとめて第3商品部等のGMに報告し,上記販売目標を達成できるよう協力を求めていた。
(査245ないし査247,査256,査258ないし査260,査279)
オ 納入業者に対する再度の要請
第3商品部等では,前記エの一覧表により,前記イの購入すべき数量を達成していない納入業者を把握し,かかる納入業者に対しては,その時点での各商品部の目標達成状況を伝えるなどして,本件商品の購入を再度要請していた。
例えば,第7商品部の《A5》GMは,平成23年9月19日,《納入業者(3)》の担当者に対し,第8商品部からの第3商品部宛ての目標達成状況についての電子メールである「いつもお世話になっています。紳士服キャンペーンの進捗をご案内いたします。9/21までのキャンペーン期間があと3日で終了となりますが,日用品チームの実績が1.8のままで停滞中です。あと3日で何とか予算必達をお願いします。」を転送する電子メール(査249)を送信した。
(査244,査245,査248,査249,査256ないし査259,査273,査278)
カ 18社の従業員等による本件商品の購入
18社の従業員等は,本件対象期間に,原告のバイヤー等からの要請を受けて,別紙4の「購入要請」欄のとおり,本件商品を購入した。
18社の従業員等が購入した本件商品の数量(ただし,《納入業者(79)》を除く。)は,原告のバイヤー等から要請された数量と同数又はそれ以上であった。また,《納入業者(79)》の従業員は,平成23年に原告のバイヤー等から,同社が原告に販売する商品の仕入先である食品メーカー(以下「帳合メーカー」という。)と同社とで紳士用スーツを合計5着購入するよう要請されたのに対し,帳合メーカーと協力して,自身で1着及び帳合メーカーで4着を購入することにより,同要請に応じたように,帳合メーカーと協力して,原告のバイヤー等からの購入要請に対応していた。
18社の従業員等は,原告のバイヤー等から上記のとおり要請を受けたこと,自身の勤務先である会社が原告と取引関係にあり,原告に商品を販売していることを考慮して,原告のバイヤー等の要請どおり本件商品を購入した。
なお,《納入業者(21)》の《D1》参考人は,原告のバイヤー等から本件商品の購入要請があったときは必ず購入していたが,同要請がなくなってからは購入しなくなった。
原告は,18社の従業員等に本件商品を販売するに当たり,18社又は18社の従業員等に対し,特段見返りを約束するものではなかった。この点,原告の《A1》専務も,本件商品の購入について,納入業者においては,原告の購入要請に応じないと,バイヤーによる商品選定の際に不利になると思い,これに応じていた部分もあるものと考えていた。
(査2,査250ないし査256,査273,査278,査280,《D1》参考人審尋の結果)
3 原告の88社との間における購入額
前提事実4のとおり,独占禁止法施行令30条2項に基づき算出された本件対象期間における原告の88社との間における商品の購入額は,別紙2の「購入額」欄のとおりである。
4 本件立入検査,原告の取締役会決議等(なお,この項において,証拠によって認定した事実については,各項末尾の括弧内に認定に供した証拠を摘示した。)
⑴ 本件立入検査
前提事実5⑴のとおり,被告は,平成24年1月17日,本件各行為に関して本件立入検査を行った。
⑵ 本件立入検査の翌日(1月18日)以降の状況
ア 「公正取引推進委員会設立趣意書」と題する文書の配布
原告は,平成24年1月18日頃,従業員に対して,《A3》会長名義で同月18日付け「公正取引推進委員会設立趣意書」と題する文書を配布した。同文書には,「公正取引に関する㈱ラルズの取組を再度見直し,新たな取組策を創り上げること」を目的として「公正取引推進委員会」を設立したこと等が記載されていた。(査2,争いがない)
イ 《新聞名略》朝刊の記事
《新聞名略》の平成24年1月18日付け朝刊に,本件立入検査がなされたことの記事が掲載された。同記事には,本件立入検査当日に取材を受けた《A3》会長の一問一答形式の発言が含まれており,《A3》会長の発言として「誤解の可能性もある。公取委の検査の結果,もしも何らかの問題があるのなら,再発防止に全力を挙げなければならない」と記載されていた。(審17)
ウ 「公正取引委員会立ち入り検査(間接強制)に関する報告書」と題する電子メールの送付
原告の《A4》常務は,後記の経営会議に先立つ平成24年1月18日,「公正取引委員会立ち入り検査(間接強制)に関する報告書」を経営会議の出席者に電子メールで送信した。同報告書には,「被疑事実の要旨」として,本件各行為に相当する行為等の疑いが持たれている旨記載されていた。(審18,審41)
⑶ 平成24年1月20日頃の《A3》会長名義の文書の従業員への配布
原告は,平成24年1月20日頃,従業員に対して,《A3》会長名義で同月20日付け「ラルズへの公正取引委員会の立入り検査について」と題する文書を配布した。同文書には,本件立入検査を受けたこと,「当社は従来から取引先への対応で法令順守を徹底するよう指導しており,違反はないものと信じております。また全社を挙げて検査にも協力しております。違反かどうかの線引きは非常に難しいと思いますが,検査の結果,何等かの誤解や問題があるのであれば,それを真摯に受け止め,再発防止に全力を挙げて取り組むつもり」であること,従業員には「普段通り堂々と胸を張って,仕事をしていただきたい」と思っていること及び同日付けで「公正取引推進委員会」を設立したこと等が記載されていた。(査261)
⑷ 平成24年1月23日の経営会議及び同月28日の電子メール
原告は,平成24年1月23日に経営会議を開催した。同経営会議において,公正取引推進委員会において新たにルールを策定するまでは,公正取引委員会から疑いをかけられている行為を勝手に行わないこと等を各部署に対して周知することとされ,同月28日に電子メールにより同経営会議における《A3》会長の発言記録が各部署に対して周知された。同発言記録には「起きたことに対しては正々堂々と確りと受け止め改善し」,「問題となる行為は即刻中止,厳禁とする」旨の記載とともに,「異議あるものについては異議を申し立てる」,「結果が出た場合は,それによって抗議すべきものはするし,対応するものはする」旨の記載も含まれていた。(査262,審19の1ないし3)
⑸ 本件立入検査後の創業祭協賛金の提供①
ア 前提事実5⑵のとおり,原告は,本件立入検査の日より前に,《納入業者(1)》等の11社に対し,平成23年の創業祭協賛金の提供を要請していたところ,同要請の支払期限がいずれも本件立入検査の日より後であった。
イ 前提事実5⑶のとおり,《納入業者(1)》等の11社のうち8社は,前記アの平成23年の創業祭協賛金の提供要請に従い,平成24年1月31日に《納入業者(86)》が50万円,同年2月29日に《納入業者(1)》,《納入業者(3)》,《納入業者(21)》,《納入業者(26)》,《納入業者(57)》,《納入業者(79)》,《納入業者(80)》が合計2950万円を振り込んで支払った。(争いがない)
なお,原告は,後記⑼の通り,平成25年4月1日に審査官から本件立入検査後に上記協賛金が支払われている旨の指摘を受け,同月5日に《納入業者(1)》等の11社のうち8社にこれを返金するまで,1年以上にわたり合計3000万円を保持していた(査281)。
⑹ 原告の紳士服販売キャンペーンにおける対応
原告のラルズプラザ札幌店の《A7》は,同店で実施する紳士服販売キャンぺーンに際し,平成24年2月22日,各商品部のバイヤー等を含む原告の従業員に対し,「紳士服キャンペーン販売に関しての厳守事項」と称する文書を電子メールで送信した。同文書には,「①お取引先へのアプローチの禁止」,「・口頭,電話,メール等による案内も一切できません」との記載があったほか,「3.バイヤー(仕入に関わる人。衣料以外も該当),及び他の部署の社員も上記に準じての対応をお願いします」との記載があった。(審20の1ないし審20の3)
⑺ 平成24年3月14日の取締役会等
前提事実5⑷のとおり,原告は,平成24年3月14日,取締役会を開催した。同取締役会においては,原告の《A3》会長から「公正取引委員会の検査を受け,疑いをかけられている行為の取りやめについて取締役会の決議という形をとることをしっかり理解して欲しい」との発言があったほか,被疑事実に係る行為の取りやめ及び再発防止に関する決意表明並びにその文書を取引先へ送付することについて出席取締役全員の賛成により承認可決された。
原告は,同日に仕入担当者の大半が出席した独占禁止法に係る社内研修において,本件取締役会決議の内容について周知を行った。
また,原告は,上記決議に基づいて,同日,取引先である納入業者に対し,被疑行為を取りやめることを内容とする《A3》会長及び《A2》社長名義の「公正取引に関する御報告(被疑行為の停止について)」と題する文書を送付した。(査2,査262,《A4》参考人審尋の結果)
以上の結果,原告は,少なくとも同日以降,本件違反行為を行っていない(なお,原告は,本件立入検査の日である同年1月17日以降,本件違反行為を行っていないなどと主張して,違反行為の期間を争っている。)。
⑻ 本件立入検査後の創業祭協賛金の提供②
前提事実5⑸のとおり,《納入業者(1)》等の11社のうち3社は,前記の創業祭協賛金について,平成24年3月21日に《納入業者(54)》が500万円,同年3月30日に《納入業者(6)》及び《納入業者(88)》が合計140万円を振り込んで支払った。(争いがない)
⑼ 創業祭協賛金の返金
前提事実5⑹のとおり,原告は,平成25年4月1日に審査官から本件立入検査後に上記協賛金が支払われている旨の指摘を受け,同月5日に《納入業者(1)》等の11社に対して前記の協賛金を返還した。(争いがない)
⑽ 本件各行為に係る要請
前提事実5⑵のとおり,本件立入検査以後,原告により,本件各行為に係る要請は行われていない。(争いがない)
第8 争点⑴(本件各行為の優越的地位の濫用該当性)について
1 独占禁止法は,不公正な取引方法等を禁止し,事業活動の不当な拘束を排除することにより,公正かつ自由な競争を促進するなどし,もって,一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする(同法1条参照)。
そして,独占禁止法19条は「事業者は,不公正な取引方法を用いてはならない。」と定め,独占禁止法2条9項5号(平成21年改正法施行前は,旧一般指定14項)は,不公正な取引方法のうち「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して正常な商慣習に照らして不当に,次のいずれかに該当する行為をすること」として,そのイ号ないしハ号のうち,イ号に「継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して,当該取引に係る商品又は役務以外の商品または役務を購入させること」を,ロ号に「継続して取引する相手方に対して,自己のために金銭,役務その他の経済上の利益を提供させること」を,ハ号に「取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み,取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ,取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ,若しくはその額を減じ,その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し,若しくは変更し,又は取引を実施すること」を,それぞれ定めるところ,こうした規定に照らすと,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,取引の相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合,当該取引の相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに,当該取引の相手方はその競争者との関係において競争上不利となる一方,行為者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれがあり,このような行為は,公正な競争を阻害するおそれがあることから,不公正な取引方法の一つとして規制することとなるものと解される。
2 優越的地位
前記の趣旨を踏まえれば,前記の「自己の取引上の地位が相手方に優越していること」(優越的地位)とは,相手方にとって行為者との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,行為者が相手方にとって著しく不利益な要請を行っても,相手方がこれを受け入れざるを得ない場合も考えられるから,行為者が,市場支配的な地位又はそれに準ずる絶対的に優越した地位ばかりではなく,当該取引の相手方との関係で相対的に優越した地位である場合も含まれるものと解するのが相当である。換言すれば,このような行為が,当該取引の相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するものであることや,当該行為における不利益の程度が強く,他に波及するおそれがある場合などには,公正な競争を阻害するおそれがあることからすると,少なくとも当該取引の相手方にとって,行為者との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,行為者が当該取引の相手方にとって著しく不利益な要請等を行っても,当該取引の相手方がこれを受け入れざるを得ないような場合においては,前記の優越的地位に該当するものというべきである。
そして,優越的地位の有無を判断するに当たっては,①行為者の市場における地位や,②当該取引の相手方の行為者に対する取引依存度,③当該取引の相手方にとっての取引先変更の可能性,④その他行為者と取引することの必要性,重要性を示す具体的な事実などを総合的に考慮するのが相当というべきである。
なお,前記のように解することからすると,優越的地位は,企業規模が同程度の企業間においても該当し得るものといえる。また,特定の事業部門や営業拠点など特定の事業の経営に大きな支障を来す場合であっても,当該特定の事業が当該事業者の経営全体において相対的に重要なものである場合などには,事業経営上大きな支障を来すことがあり得るものといえる。
3 原告の取引上の地位が88社に優越しているか否か
以上を踏まえ,原告の取引上の地位が88社に優越しているか否かを検討する。
⑴ 原告の市場における地位
認定事実1⑴アによれば,原告は,北海道の区域において食料品等の小売業を営む資本金42億円の株式会社であり,平成21年2月期から平成23年2月期までの各事業年度において,食料品の売上高が1000億円前後,総売上高が1100億円台で推移し,食料品の売上高は,北海道の区域内における食品スーパーの中で《事業者B》に次ぐ第2位,総売上高は,同区域内における食品スーパーの中で《事業者B》,《事業者C》に次ぐ第3位であったほか,北海道の区域内における店舗数及び店舗総面積は,平成20年2月29日の時点で店舗数52店,店舗総面積約約11万8000㎡であり,その後,いずれも増加を続け,平成23年2月28日時点で店舗数約60店舗,店舗総面積は15万㎡であったことが,それぞれ認められる。また,前提事実3⑴,認定事実1⑴イ及びウによれば,88社は,食料品,日用雑貨品,衣料品等の製造業者又は卸売業者であり,いずれも原告に対する納入業者であるところ,88社は,平成20年1月1日時点において,原告の多店舗数,売上高上位3位以内,消費者人気スーパーという原告に対する認識等を理由に,原告が北海道地区の食品スーパーの分野において有力な地位にあると認識し,加えて,88社中84社は,同日時点において,原告の店舗数増加や売上高増加等を理由に,原告の成長が期待できると認識していたことが,それぞれ認められる。
以上の事実によれば,原告は,北海道の区域内において食料品等の小売業を営み,特に,同区域内における食品スーパーの分野において,有力な地位にあったと認められ,原告の納入業者である88社は,原告が前記の有力な地位にあり,成長が期待できるとの認識の下,原告との取引を通じて自社の取扱商品を継続的に供給し,安定的な販売数量及び売上高の確保並びにその増加を見込むことができたのであるから,88社において,一般的には,原告と取引することが重要かつ必要であったことがうかがわれる。
⑵ 原告と88社との関係
ア 認定事実1⑵のとおり,88社の事業規模及び事業内容,原告に対する売上高,原告に対する取引依存度,取引先に対する取引依存度における原告の順位等は,別紙5の各2項記載のとおりである。また,取引先変更の可能性や,原告と取引することの必要性,重要性に関する88社の報告書における回答内容等は,別紙5の各3項及び4項記載のとおりである。
イ 認定事実1⑵イの27社(《納入業者(1)》等27社)について
前記⑴のとおり認められる原告の市場における地位に係る事実に加え,《納入業者(1)》等27社については,認定事実1⑵ア及びイの事情並びにその主要な点を認定事実1⑵イ(エ)に記載したとおりの別紙5の記載に係る前記アの事実が,それぞれ認められるところ,27社については,年間総売上高に占める原告に対する年間売上高の割合である原告に対する取引依存度がいずれも1割を超える企業であり,中には《納入業者(66)》のように,それが70%を超える企業もあるのであって,27社にとっては,原告との取引が困難になれば,その事業経営上大きな支障を来すことになるといえる。すなわち,原告との取引関係において相当取引依存度が継続的に高いと認められる場合には,その事業経営上,原告と取引を継続する必要性が高いものといえるから,原告との取引の継続が困難となれば,事業経営上大きな支障になることは明らかというべきである。このことは,認定事実1⑵イ(エ)の①ないし㉗の各aに記載した各企業の規模に照らした総売上高及び原告に対する年間売上高並びに原告に対する取引依存度に加え,各bに記載した代表取締役等の認識,27社にとっての取引先変更の可能性や,原告と取引することの必要性,重要性に関する88社の報告書における回答内容により裏付けられているというべきであり,認定事実1⑵イ(ウ)のとおり,27社がいずれも88社の報告書の取引重要性設問に肯定的な回答をしていることを併せ考えると,原告と取引することが重要かつ必要であったと認めるのが相当である。そして,この点については,例えば,認定事実1⑵イ(エ)②のとおり,《納入業者(8)》は,原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約30%又は約31%であるが,原告との取引を失う場合には,大幅な人員削減等の経営規模の縮小をせざるを得ないとしており,現実的にも,認定事実1⑵イ(エ)⑤のとおり,平成25年6月に原告との取引を終了した《納入業者(17)》は,原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であり,原告に対する取引依存度は約29%ないし約38%を占めていたところ,原告との取引を終了したことが大きな打撃であり,新たな取引先を確保することも,既存の取引先に対する売上げを伸ばすことも困難であったため,平成27年3月末での廃業を予定することになった。
ウ 認定事実1⑵ウの34社(《納入業者(4)》等34社)について
前記⑴のとおり認められる原告の市場における地位に係る事実に加え,《納入業者(4)》等の34社については,認定事実1⑵ア及びウの事情並びにその主要な点を認定事実1⑵ウ(エ)に記載のとおりの別紙5記載に係る前記アの事実がそれぞれ認められるところ,34社にとって,原告との取引の継続が困難になれば,その事業経営上大きな支障を来すこととなることがうかがわれる。すなわち,原告との取引関係において取引依存度における原告の順位が継続的に高い場合には,原告が比較的高水準の売上高を安定的に確保できる取引先であることを意味するものと解され,その事業経営上,原告と取引を継続する必要があるものといえるから,原告との取引の継続が困難となれば,取引先の変更や事業方針の転換を迫られるなど事業経営上大きな支障を来すこととなることがうかがわれる。
そして,先に判示したとおり,例えば,《納入業者(6)》の《略》営業部《略》は,同社は製造工場として小樽工場を有しているところ,原告向けの商品が製造できなくなると小樽工場の稼働率が下がり,工場の生産性にも影響し,製造ラインの見直しなども考える必要が生じてしまうとし,また,《納入業者(79)》は,全国企業として事業を行っているため,北海道を含め全国で販売しているという実績が必要であるところ,同社の《略》支社にとって,原告との取引の存否は,同支社の事業経営上大きな支障を来すと供述しているように,以上のことを裏付けるように,認定事実1⑵ウ(イ)のとおり,34社は,88社の報告書において,取引先代替非容易認識設問に対し「はい」を選択し,認定事実1⑵ウ(エ)①ないし㉞の各aに記載した各企業の規模に照らした総売上高及び原告に対する年間売上高並びに取引依存度における原告の順位に加え,各bに記載のとおり,34社の従業員等は,原告に代わる新規取引先を見付けることが困難であることや他取引先取引を増加させることが不可能であることなど各社における原告との取引を他の取引先で代替することが困難であることを理由に平成20年1月1日時点の原告との取引を他の取引先で代替することが容易でないと認識していたことが認められ,34社にとって,原告と取引することが重要かつ必要であったと認めるのが相当である。
エ 認定事実1⑵エの22社(《納入業者(2)》等22社)について
前記⑴のとおり認められる原告の市場における地位に加え,《納入業者(2)》等22社については,認定事実1⑵ア及びエの事情並びにその主要な点を認定事実1⑵エ(エ)に記載したとおりの別紙5記載に係る前記アの事実がそれぞれ認められるところ,22社については,うち15社が原告との取引を主に担当している営業拠点(北海道を営業区域とする支社,支店,営業所,事業所等のほか,総合スーパーや食品スーパーを所管する営業部門)における原告に対する取引依存度が約11%以上であり,また,22社全社が同営業拠点における取引依存度における順位が,上位第1位ないし第9位であると認められる。こうした事実に照らすと,22社にとって原告との取引の継続が困難になれば,その事業経営上大きな支障を来すことになるとうかがわれる。すなわち,原告との取引関係において,原告との取引を主に担当している営業拠点において相当の取引依存度が継続的に認められる場合,又は,同営業拠点において取引先に対する取引依存度における原告の順位が継続的に高い場合には,原告が同営業拠点において安定的な売上高を確保できる取引先であることを意味するものと解され,納入業者においては,地域の情報を収集してきめ細やかな営業活動を行う同営業拠点の重要性に鑑み,その事業経営上,原告と取引を継続する必要があるものといえるから,原告との取引の継続が困難となれば,同営業拠点における売上高の減少をはじめ,その営業区域又は営業部門における事業方針の転換を迫られるなど事業経営上大きな支障を来すこととなることがうかがわれる。そして,このことを裏付けるように,認定事実1⑵エ(イ)のとおり,22社は,88社の報告書において,取引先代替非容易認識設問に対して「はい」を選択し,認定事実1⑵エ(エ)①ないし㉒の各bに記載のとおり,22社の従業員等は原告に代わる新規取引先を見付けることが困難であることや,他の取引先との取引を増加させることが不可能であることなど各社における原告との取引を他の取引先に代替することが困難であることを理由に平成20年1月1日時点での原告の取引を他の取引先で代替することが容易でないと認識していたことが認められる。また,認定事実1⑶アで判示したとおり,《納入業者(3)》の《略》支社支社長は,認定事実1⑵エ(エ)②のとおり,《略》支店及び《略》支店における原告に対する取引依存度の順位は高順位であり,POSデータや本社の営業活動だけでは把握できない地域のニーズを把握し迅速に対応するためには,その地域に営業拠点が所在している必要があることから,両支店は,同社にとって重要な営業拠点であるとして,この面での原告との取引の重要性を指摘している。こうした事実によれば,22社にとって,原告と取引することが重要かつ必要であったと認めるのが相当である。
オ 認定事実1⑵オの5社(《納入業者(12)》等5社)について
前記⑴のとおり認められる原告の市場における地位に加え,《納入業者(12)》等5社については,認定事実1⑵ア及びオの事情並びにその主要な点を認定事実1⑵オ,エ)に記載したとおりの別紙5記載に係る前記アの事実がそれぞれ認められる。そして,5社について個別に見ていくと,認定事実1⑵オ(エ)①のとおり,《納入業者(12)》は,資本金が《金額》円にとどまる小規模な会社であるところ,《納入業者(12)》の会社としての原告に対する取引依存度は約1.9%にとどまるものの,2拠点ある営業拠点の1つである《略》営業所の原告に対する取引依存度は約8.2%ないし約8.7%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位ないし第6位であったことがそれぞれ認められる。また,認定事実1⑵オ(エ)②によれば,《納入業者(15)》も,資本金が《金額》円にとどまる小規模な会社であるところ,原告に対する取引依存度は,約2.9%ないし約6.1%であり,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第3位又は第5位であったことが認められ,同社の専務取締役兼《略》部長は,原告との取引がなくなれば,原告に代わる取引先3社のうち,2社とは既に取引をしており,取引をしていない1社については,既に競合他社が食い込んでおり,そこに《納入業者(15)》が食い込むのは困難な状況であることから,同社がこれら3社との取引で原告との取引で失った分を穴埋めすることは困難であり,そのような事態になれば,《納入業者(15)》にとって事業経営上かなり厳しい状況に置かれることになるとしていることが認められる。一方,原告の資本金額42億円とは比肩すべき類ではないものの,認定事実1⑵オ(エ)③ないし⑤によれば,《納入業者(40)》,《納入業者(61)》及び《納入業者(83)》の資本金額は,それぞれ《金額》円,《金額》円,《金額》円と《納入業者(12)》及び《納入業者(15)》を上回っている。しかし,認定事実1⑵オ(エ)③によれば,《納入業者(40)》は,全社の原告に対する取引依存度は,約0.5%又は約0.6%にとどまるものの,6拠点ある営業拠点の1つで原告と取引している《略》支店をみると,原告に対する取引依存度は約9.0%又は約9.2%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第4位であったと認められるから,《略》支店を維持するには原告との取引の重要性がうかがわれる。同じように,認定事実1⑵オ(エ)④aによれば,《納入業者(61)》については,全社の原告に対する取引依存度は,約1.0%ないし約1.5%にとどまるものの,営業拠点のうち原告と取引をし,その売上げが同社全体の中で約4分の1を占める《略》事業部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.9%ないし約6.6%,取引依存度における原告の順位は上位第3位又は第5位であったと認められる。また,認定事実1⑵オ(エ)④bによれば,《納入業者(61)》の《略》事業部《略》支店長は,北海道内では大手の取引先の数が限られることから原告との取引量を他の取引先で補うことは不可能であり,また,原告のような大手との取引がなくなることは経営に与える影響が大きくなり,さらに,同社は本社のある《略》と北海道に工場を持ち,基本的に北海道内で販売する商品は《略》工場で製造しているところ,仮に原告との取引がなくなった場合には,《略》工場の稼働率にも影響して,同工場で働くパートタイマーの数を縮小せざるを得なくなるなど,雇用面にまで影響が及んでしまうとしていることが認められる。さらに,認定事実1⑵オ(エ)⑤によれば,《納入業者(83)》についても,全社的にみれば,原告に対する取引依存度は,約0.2%又は約0.3%であるものの,4ないし5つある営業拠点のうち原告と取引をしている《略》営業所(営業区域は主に北海道及び東北)の原告に対する取引依存度は約3.7%ないし約5.7%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位ないし第10位であったことが認められ,《納入業者(12)》,《納入業者(40)》及び《納入業者(61)》と同様,その営業拠点の維持のために原告との取引の重要性がうかがわれる。
そして,5社の資本金額,年間総売上高,従業員数等に照らして認められる事業規模が原告のそれと比して相当程度小さいことがうかがわれる。これを裏付けるように,認定事実1⑵オ(イ)及び(ウ)のとおり,5社は,取引先変更可能性等に関し,88社の報告書の取引先代替非容易認識設問に対して「はい」を選択し,新規取引先発見不可や,他取引先取引増加不可等を理由に,平成20年1月1日時点の原告との取引を他の取引先で代替することが容易でないと認識しており,また,5社は,別紙5の各4項後段のとおり,88社の報告書の取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択(あるいはこれと同旨の供述を)している。
⑶ 不利益行為を受け入れるに至った経緯や態様等
前提事実3⑵ないし⑷及び認定事実2によれば,88社のうち53社は本件従業員等派遣を行い,54社はオープンセール協賛金を提供し,86社は創業祭協賛金を提供し,18社の従業員等は本件商品の購入をしていたこと,これらは,原告の役員等の指示に基づき,組織的・計画的・継続的に,広範囲に及ぶ不特定多数の納入業者に対してなされた原告の要請に応じて行われたものであること(本件各行為)がそれぞれ認められ,加えて,認定事実1⑵イないしオの各(ウ)のとおり,88社のほぼ全社が,88社の報告書の取引重要性等の設問に対して肯定的な回答をしていることが認められるところである。
そして,後記のとおり,本件各行為は88社に対する不利益行為に該当すると認めるのが相当であり,前記⑵で判示した原告と88社の関係性から,88社は,その企業活動を維持等するために,原告が納入業者に対する不利益行為の要請等を行えば,納入業者においてはこれに応じざるを得ないような関係が存在していたことがうかがわれるものといえる。
⑷ 小括
前記⑴ないし⑶の諸事情を総合的に考慮すれば,88社にとって,原告との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,原告が著しく不利益な要請等を行っても,これを受け入れざるを得ないような場合に該当し,原告の取引上の地位が88社に対して優越していたと認めるのが相当である。
⑸ 原告の主張について
ア 原告の市場における地位について
(ア) 原告は,本件では,納入業者である88社からみて選択肢となり得る範囲,すなわち小売業者の購買力が問題となる買付市場における原告の地位が検討されるべきであり,売付市場と買付市場とが密接に関連するとも直ちにはいえないなどと主張する。
しかしながら,認定事実によれば,88社は,いずれも卸売業者又は製造業者であり,小売業者を通じて自己の商品を消費者に販売することとなるところ,認定事実1⑴ア,イのとおり,原告は,北海道区域内の食品スーパーの分野において有力な地位にあり,かつ成長の期待できる小売業者なのであって,88社においては,原告と取引することにより,安定的な売上高等の確保及びその増加を見込むことができるのであるから,売付市場における当該地位にある原告と取引することの重要性及び必要性が高まるというのであれば,優越的地位の判断に当たり,必ず買付市場のみを考慮しなければならないものとはいえない。
また,原告においても,食品スーパーの分野における小売業者として,売付市場における消費者に対する販売量及び販売額等が増加すれば,買付市場における卸売業者又は製造業者からの購入量及び購入額等が増加するものといえるから,売付市場における原告の地位は,買付市場における購買力とも連動するというべきであり,売付市場と買付市場との密接関連性を否定することもできない。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(イ) 原告は,優越的地位の判断においては,納入業者の取引先の代替販売先がどうなっているのかが考慮要素を検討する上で重要な情報であるから,商品ごとに市場を確定する必要があり,食料品以外の商品を取り扱う納入業者である《納入業者(3)》,《納入業者(10)》,《納入業者(12)》,《納入業者(33)》,《納入業者(66)》,《納入業者(76)》及び《納入業者(83)》については,原告の食品スーパーの分野における有力な地位を考慮することはできないなどと主張する。
しかしながら,認定事実1⑴ア,イのとおり,原告が食品スーパーの分野において有力な地位にあると認識されていたところ,前提事実2⑴のとおり,原告が,大規模な店舗において食料品を中心として日用雑貨品,衣料品等の広範な商品を消費者に販売する小売業者であることから,食料品以外の日用品雑貨品,衣料品等を取り扱う納入業者においても,その集客力に着目して食品スーパーの分野において有力な地位にある原告との取引により,安定的な売上高等の確保及びその増加を見込むことができ,原告と取引することの重要性及び必要性が高まると考えるのも合理性があり,優越的地位の判断に当たり,必ず個別の商品ごとの市場を画定して地位を考慮しなければならないとか,原告の食品スーパーの分野における地位を考慮することができないものとはいい難い。
また,商品ごとの市場の状況を考慮するとしても,食料品以外の日用雑貨品,衣料品等を取り扱う納入業者においては,当該納入業者にとっての取引先変更の可能性,その他原告と取引することの必要性,重要性を示す具体的な事実の検討において当該市場の状況が考慮されることとなるから,当該要素が,原告の食品スーパーの分野における地位を考慮することの排除理由とはならないというべきである。すなわち,認定事実1⑴ア,イのとおり,原告が挙げる前記各納入業者も,原告との取引を失った場合における取引先変更可能性等について,《納入業者(3)》は,既にほとんどの大手総合スーパー,ホームセンター,ドラッグストア等と取引を行っているため,新規取引先の開拓でそれを補うことは困難であり,競合他社との競争が激しいことなどから,既存の取引先に対する売上高を拡大することで補うことも困難であるとし(認定事実1⑵エ(エ)②b),《納入業者(10)》は,代替事業者2社のうち,1社とは既に取引をしており,もう1社は親会社との関係から新規に取引を開始することはなく,雑誌業界自体が先細りであるため,原告に代わり得る小売業者を見付けることは困難であるとし(認定事実1⑵ウ(エ)⑤b),《納入業者(66)》は,同社の業態や,取引先である小売業者の売場構成の変更の難しさから既存の取引先との取引を増やすことで原告との取引額を補うことはできず,原告との取引額を補えるような大手小売業者は取引してくれないことから,原告との取引額を新規取引先の開拓で補うこともほぼ不可能に近いとし(認定事実1⑵イ(エ)⑳b),《納入業者(12)》及び《納入業者(76)》は,新規取引先発見不可及び他取引先取引増加不可を理由に(認定事実1⑵オ(エ)①b及びウ(エ)㉙b),《納入業者(33)》及び《納入業者(83)》は,新規取引先発見不可を理由に(認定事実1⑵エ(エ)⑨b及びオ(エ)⑤b),いずれも原告との取引を他の取引先で代替することが容易でないとの認識を有するとするなど,各納入業者の取り扱う商品ごとの市場の状況が考慮されているものといえる。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(ウ) 原告は,「北海道の区域内において食料品等の小売業を営む事業者」との市場画定を前提としたとしても,同市場にはコンビニエンスストアやドラッグストアが含まれ,その事業全体の規模に照らせば,納入業者の代替取引先となり得るものであり,一部の納入業者の認識にも沿うから,原告の市場における地位を考慮するに当たっては,これらの隣接業種を含めて検討すべきであるなどと主張する。
しかしながら,前記の食品スーパーの業態に対し,コンビニエンスストアは,食料品を扱うものの,店舗の規模が小さく,取扱商品の種類も限られており,また,ドラッグストアは,大規模な店舗を有するものもあるが,取扱商品の中心は薬品や日用雑貨であり,食品スーパーの業態とは異なるものといえる。そうすると,これらの隣接業種が,事業全体において相当程度の規模であるとしても,一般的に,納入業者にとって,食品スーパーの代替取引先として切り替え得るものとすることは困難というべきである。また,証拠(審6,審7の1)によれば,本件において,仮に,北海道の区域において,これらの隣接業種を含む食品等の小売業を営む事業者をもって市場を画定したとしても,原告の売上高の順位は5位,市場占有率は5.1%ないし5.3%と認められるから,当該市場においても相応の地位にあったというべきである。また,原告が主張するように,原告の親会社が受けた企業結合審査において,直ちに市場占有率の算出が食品スーパー等とそれ以外の業態を区別せずに行われたということもできない。よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
イ 原告と88社との関係について
(ア) 認定事実1⑵イの27社(《納入業者(1)》等27社)について
① 原告は,原告との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すか否かは,売上高よりも,原告との取引上の「利益」の多寡によるから,粗利や経常利益も明らかでない売上高のみを基準とする取引依存度に基づく判断は不十分であり,損益分岐点比率等の指標を参考に,固定費,営業外費用,営業外収益等を考慮して行わなければならないなどと主張する。
しかしながら,前記1⑵イのとおり,売上高による取引依存度は,優越的地位の有無を判断するに当たって考慮すべき諸事情の一つにとどまる上,そのような取引依存度であっても,前記のとおり,原告との取引関係において相当の取引依存度が継続的に認められる場合には,原告との取引による相応の利益が存在することがうかがわれ,また,売上高による取引依存度が高ければ,その事業経営上,原告と取引を継続する必要性が高いものといえる。そうすると,原告との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すか否かの判断において,売上高による取引依存度ではなく,損益分岐点比率等の指標を参考に,固定費,営業外費用,営業外収益等によらなければならないということはできず,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
② 原告は,アンケート調査の結果における納入業者側の認識等に基づき取引依存度が高いことを判断することは問題であり,仮に,これに基づくとしても,前記納入業者の中には,原告との取引依存度が他の取引先に比べて高いと回答しなかった者があることを無視できないから,原告に対する取引依存度が1割を超える場合に取引依存度が高いとすることは実質的証拠を欠くなどと主張する。
しかしながら,前記1⑵イのとおり,27社については,アンケート調査の結果における納入業者側の認識のみに基づき取引依存度が高いと判断されるものではなく,27社の各社における事業形態や原告との継続的な取引の実態等をも踏まえ,売上高による取引依存度が高いものと判断されるものであり,必ずしも,取引依存度が1割を超えるか否かによって取引依存度の高低が判定されるものともいえないから,原告の主張は当を得ないものであり,採用することはできない。
(イ) 認定事実1⑵ウの34社(《納入業者(4)》等34社)について
① 原告は,取引依存度における行為者の順位は,行為者との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すことになるか否かの判断と関連しないのであり,特に,原告に対する取引依存度が絶対的に大きいとまではいえない場合に,取引依存度における原告の順位が高いことをもって前記の事業経営上大きな支障を来すことになるとするのは経験則に反するとなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,原告との取引関係において取引依存度における原告の順位が継続的に高い場合には,原告が比較的高水準の売上高を安定的に確保できる取引先であることを意味するものと解され,その事業経営上,原告と取引を継続する必要があるものといえるから,原告との取引の継続が困難となれば,取引先の変更や事業方針の転換を迫られるなど事業経営上大きな支障を来すこととなることがうかがわれる。
そして,このことは,仮に,原告との取引の継続が困難となった場合について,①《納入業者(6)》の《略》部《略》は,原告に対する売上高に相当する有力な新規取引先は存在せず,複数の小規模な小売業者と取引を開始するにしても,人員,経費面から考えて現実的ではなく,製造ラインを見直さなくても済むよう,原告に代わる取引先を探すなど売上減少分を補うよう努力することになるが,それは相当に困難であるなどとし(査487),②《納入業者(47)》の専務取締役は,同社が取引を行っていない小売業者は既に競合他社と取引をしているため,同社が割って入ることは困難であり,既存の取引先も競合他社と取引をしているため,他社の分を同社に切り替えてもらうには相当低い価格条件を提示しなければならず,原告との取引額をカバーすることは困難であり,製造コストにも影響が生じるなどとし(査339),③《納入業者(48)》の《略》課長は,同社が既に大規模及びそれなりの規模の小売業者と取引を行う一方,債権回収に不安がある小規模の小売業者とは積極的に取引を行っておらず,また,製造工場を北海道内に置いているため,北海道外の取引先と取引するためには,輸送費といったコストがより掛かることから,原告に対する売上げをカバーできる取引先を見付けることは困難であるとし(査494),④《納入業者(60)》につき,《事業者F》の《略》支社《略》グループ長は,小売業者と既存の取引先との間には長年の付合いと強い信頼関係があることから,その関係を崩していくのは非常に難しく,既存の取引先である小売業者に対する売上げの増加を図ろうとしても,他の納入業者のシェアを崩すことになるから,原告への売上高に相当する売上げを新規取引先の獲得又は既存の取引先との取引額の増加で補うことは短期的にも長期的にも難しいなどとし(査500),⑤《納入業者(62)》の代表取締役社長は,同社は北海道の主だったスーパー等の小売店には既に商品を取り扱ってもらっているところ,各小売業者の店舗の和菓子等の売場スペースには競合他社の商品も並べられているため,原告との年間売上高を他の小売店で補うことは難しいなどとし(査358),⑥《納入業者(73)》の専務取締役は,原告との年間売上高に相当する売上高を新規又は既存の取引先でカバーすることは難しく,平成21年以降,実際にもそのような新規又は既存の取引先の確保もできなかったとするなど(査375),34社の役員又は従業員の供述において,原告との取引の継続が困難となった場合に,取引チャネルの選択や販売戦略の再構築といった事業方針の転換を迫られることがうかがえることからも裏付けられる。
そうすると,原告との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すか否かの判断において,当該順位が何ら関連しないということは困難である。また,前記1⑵ウのとおり,当該順位が高いことのみをもって前記の事業経営上大きな支障を来すか否かの判断をしているのではないから,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
② 原告は,34社の取引依存度における原告の順位(概ね10位程度)が高いとされる根拠は明らかではなく,また,当該順位をもって原告との取引の継続を重要視するに足りる客観的状況にあるということもできず,納入業者の認識をもってこれを認定することも問題であり,仮に,当該順位を考慮するとしても,取引依存度が5%未満の14社は,88社の報告書の分析(査98)に照らし取引依存度が高い水準にあるとはいえないから,前記の事業経営上大きな支障を来すことにはならないなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,事業経営上大きな支障を来すか否かは,取引依存度のみから判断されるものではなく,当該順位が特定の順位以上であることのみから判断されるものともいえないが,前記のとおり,原告との取引関係において取引依存度における原告の順位が継続的に高い場合には,納入業者においても,原告が比較的高水準の売上高を安定的に確保できる取引先であるものと認識し,その取引を継続することを必要なものとして事業方針等を立てることが考えられるから,そのような原告との取引の継続が困難となれば,事業経営上大きな支障を来すこととなるがうかがわれる。そして,取引依存度が5%未満の14社を含め,34社について,当該順位や諸事情から原告と取引することが重要かつ必要であったと認められることは前記のとおりであり,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(ウ) 認定事実1⑵エの22社(《納入業者(2)》等22社)について
① 原告は,取引依存度又は取引依存度における原告の順位を考慮することはできないなどと主張し,特に,《納入業者(3)》,《納入業者(18)》の本社,《納入業者(19)》,《納入業者(21)》,《納入業者(43)》,《納入業者(57)》,《納入業者(80)》及び《納入業者(85)》は,取引依存度における原告の順位のみをもって,原告との取引の継続が困難となれば事業経営に大きな支障を来すことが看取されると判断されており不合理である旨を主張する。
しかしながら,前記のとおり,原告との取引を主に担当している営業拠点において,原告につき相当の取引依存度又は取引依存度における高い順位が継続的に認められる場合には,原告が同営業拠点において安定的な売上高を確保できる取引先であることを意味するものと解され,納入業者においては,同営業拠点の重要性から,原告との取引の継続が困難となれば,その営業区域又は営業部門における事業方針の転換を迫られるなど事業経営上大きな支障を来すこととなることがうかがわれるのであるから,前記の事業経営上大きな支障を来すか否かの判断において,取引依存度又は当該順位が何ら関連しないということは困難というべきである。
また,前記1⑵エのとおり,原告が主張する各納入業者を含め,22社については,各社の事業形態や原告との継続的な取引の実態,原告との取引を主に担当している営業拠点の原告に対する取引依存度,又は,同営業拠点の取引先に対する取引依存度における原告の順位,各社における同営業拠点の重要性,各社における原告との取引を他の取引先で代替することの困難性に係る事情,88社の報告書の取引重要性等の設問に対する回答等を総合考慮し,各社において原告と取引することが重要かつ必要であったと認められる旨判断したものであり,取引依存度における原告の順位のみにより,原告との取引の継続が困難となれば事業経営に大きな支障を来すものと判断したものでない。そして,このことは,仮に,原告との取引の継続が困難となった場合について,①《納入業者(3)》の常務執行役員《略》支社支社長が,同社は,ほとんどの大手総合スーパー,ホームセンター,ドラッグストア等と既に取引を行っているため,新規取引先の開拓でそれを補うことは困難であり,既存の取引先も,リスク管理の観点から,仕入先を同社だけに絞ることはあり得ず,競合他社との競争が激しいことから,既存の取引先に対する売上高を拡大することで補うことも困難であるとし(査6の1,査91),②《納入業者(26)》の《略》支店の元支店長が,同社の《略》支店において原告への売上げをカバーできるような新規取引先は見つかっていないとし(査29の1及び2,査318,査507),③《納入業者(43)》の《略》支店支店長が,新規取引先の獲得は困難であり,既存の取引先に対する売上増を図ることも困難であることから,同支店において原告との取引で失った分をカバーすることはできないとし(査46,査333),④《納入業者(65)》の《略》事業所所長が,北海道内において同社の商品を販売できるような《事業者B》,《事業者C》などの主だった小売業者や飲食店とは既に取引を行っており,ここ数年をみても新たに北海道内で事業を開始したそれなりの規模の小売業者や飲食店はないことから,原告との取引額をこれまで取引を行っていない新たな取引先でカバーすることは非常に困難であり,《納入業者(65)》の既存の取引先との取引額を増やすことで原告との取引額をカバーすることは,何年か時間を掛ければ可能かもしれないが,簡単なことではないとしている(査68の1,査363)ことからも裏付けられる。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
② 原告は,当該営業拠点の重要性は,その売上高,利益率,立地状況,勤務する従業員数,閉鎖した場合に従業員を勤務させられる支店の有無等,納入業者ごとの事情を考慮しなければ判断することができず,また,88社の報告書における営業拠点重要性に関する回答を重要拠点の判断基準として用いることも問題であるなどと主張する。
しかしながら,前記の事業経営上大きな支障を来すか否かの判断において,当該営業拠点の重要性の有無を検討する場合に,原告が挙示する前記諸要素を必ず考慮しなければならないものとする合理的理由を見いだすことは困難である。また,22社における当該営業拠点の重要性については,各社における事業形態や原告との継続的な取引の実態等を踏まえ,地域の情報を収集し,きめ細やかな営業活動を行うという営業拠点の意義等をも考慮して判断されるものと解されるのであって,88社の報告書における回答のみに基づいて判断されるものとはいえないから,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
③ 原告は,22社の個別事情における当該営業拠点の売上高及び全社の総売上高に占める割合並びに全国の営業拠点の数等に照らせば,重要な営業拠点であるとは直ちに認められない納入業者も存在すると主張し,例えば,《納入業者(21)》や《納入業者(3)》などが挙げられる旨をいう。
しかしながら,前記のとおり,営業拠点の重要性については,各社における事業形態や原告との継続的な取引の実態等を踏まえ,前記の営業拠点の意義をも考慮して判断されるものと解されるから,原告の前記主張によっても,直ちに22社の当該営業拠点の重要性が否定されるものとはいえない。また,前記のとおり,《納入業者(3)》は,地域のニーズを把握し,迅速に対応するためには,その地域に営業拠点が所在していることが必要であるなどとし,また,《納入業者(21)》も,営業拠点における取引態様等を踏まえ,当該営業拠点が重要であるとしていることに照らすと,原告との取引の継続が困難となることが,特定の営業拠点における事業の経営のみに大きな支障を来す場合であっても,当該事業者の事業全体における当該特定の事業の位置付けや,当該事業者が納入業者であることに照らすと,当該事業者の事業経営上大きな支障を来すことがあり得るものというべきである。
よって,原告のこの点についての主張も採用することはできない。
④ 原告は,原告との取引を主に担当している営業拠点を基準として取引依存度又は取引先に対する取引依存度における原告の順位を考慮し,優越的地位を認定するのであれば,課徴金算定の基準となる独占禁止法20条の6の「当該行為の相手方」も,当該営業拠点に限るべきであり,課徴金算定は,当該納入業者の当該営業拠点に対する「購入額」を基準とすべきであるなどと主張する。
しかしながら,優越的地位の認定において,原告との取引を主に担当している営業拠点における諸事情を重視する場合があるとしても,直ちに,これを課徴金算定の基準とすることを要するものとはいえない。そして,独占禁止法20条の6は,課徴金の算定につき,「当該事業者に対し,当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間」「における,当該行為の相手方との間における政令で定める方法により算定した売上額」「に百分の一を乗じて得た額に相当する額」と定め,その算定について主たる取引の営業拠点を算出の基礎とする根拠はない上,課徴金制度においては,算定基準の明確性や算定の容易性が求められることからすると,独占禁止法20条の6の「当該行為の相手方」については,当該納入業者とし,その「購入額」を基準として算定するのが相当というべきである。
よって,原告のこの点についての主張も採用することはできない。
4 不利益行為該当性について
⑴ 独占禁止法2条9項5号は,不公正な取引方法の1つの定義として,「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して正常な商慣習に照らして不当に」各号のいずれかに該当する行為をすることを定め,そのイに「継続して取引する相手方(中略)に対して,当該取引に係る商品又は役務以外の商品または役務を購入させること」を,ロに「継続して取引する相手方に対して,自己のために金銭,役務その他の経済上の利益を提供させること」をそれぞれ定めるところ(平成21年改正法の施行日前については,旧一般指定14項1号及び2号),こうした行為が不公正な取引方法と定義されたのは,これらの行為がされると,当該取引の相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害することになる上,当該取引の相手方又は行為者においては,それぞれの競争者との関係で競争上不利又は有利となるおそれがあり,公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれがあるためであるものと解される。したがって,こうしたこれらの行為が不公正な取引方法として規制される趣旨を踏まえれば,同条イ又はロの各行為に関しては,① 従業員等派遣の要請に関して,従業員等を派遣する条件等が不明確で,相手方にあらかじめ計算できない不利益を与える場合はもとより,従業員等を派遣する条件等があらかじめ明確であっても,その派遣等を通じて相手方が得る直接の利益等を勘案して合理的と認められる範囲を超えた負担となり,相手方に不利益を与えることとなる場合(ロ)。② 協賛金等要請に関して,協賛金等の負担額,算出根拠,使途等が不明確で,相手方にあらかじめ損益の計算ができない不利益を与えることとなる場合はもとより,協賛金等の負担の条件があらかじめ明確であっても,相手方が得る直接の利益等を勘案して合理的と認められる範囲を超えた負担となり,相手方に不利益を与えることとなる場合(ロ),③ 商品等の購入要請に関して,相手方が,その事業の遂行上必要としない商品等であり,又は,その購入を希望しなくても,今後の取引に与える影響を懸念して,当該要請を受け入れざるを得ない場合(イ)などには,これに該当するものと解するのが相当である。
以下,本件違反行為について,こうした趣旨を踏まえて判断を摘示する。
⑵ 従業員等派遣の要請
ア 前提事実3⑵及び認定事実2⑴によれば,88社のうち53社は,別紙4の「従業員派遣」欄のとおり,本件対象期間に原告が実施した15店舗の新規開店又は改装開店に際して,合計858件にわたり,あらかじめ原告から作業の具体的な内容,労働時間,派遣のために通常必要な費用を原告が負担するか否か等の派遣条件を伝えられておらず,また,これらの条件について原告とあらかじめ合意することもなく,原告からの要請に応じて,自社の従業員等を当該店舗に派遣しており,従業員等は,①新規開店又は改装開店の開店前には,商品陳列棚の清掃,商品の仮陳列,商品陳列,POP等取付け,スキャンチェック,追加発注,追加商品の陳列の作業を,②新規開店又は改装開店後のオープンセール期間には,商品陳列,商品補充,調理の作業を,③改装開店の場合の閉店時には,商品の撤去,他店舗への振替の作業を行うなどの本件開店準備作業等を行っていたところ(前提事実3⑵,認定事実2⑴ア),これらの本件開店準備作業等は,本来的には,納入業者から商品を購入し,当該店舗において商品を販売する原告において担当すべきものといえるから,原告において,納入業者からの従業員等派遣の条件を明らかにせず,従業員等派遣に係る費用を負担することもなく,また,納入業者における負担が,本件開店準備作業等に従事することによって得ることとなる直接の利益の合理的な範囲を超える場合などには,一般的には,納入業者においては,従業員等派遣により派遣した従業員等の労務と従業員等派遣に係る費用を負担するものとして合理性を欠くものといえる。そうすると,原告の従業員等派遣を要請する行為は,特段の事情のない限り,従業員等派遣の条件等が不明確で納入業者に計算できない不利益を与え,又は,従業員等派遣を通じて納入業者が得る直接の利益の合理的な範囲を超える不利益を負わせるものとして,不利益行為に該当するものと認められる。
イ そこで,原告による従業員派遣の要請に不利益行為に該当しない特段の事情があるか否かについて検討するに,認定事実2⑴によれば,原告は,第2商品部等又は室蘭の商品部を通じて従業員等派遣の要請をしており,具体的には,第2商品部等のバイヤーが,各GMの指示により,事前に,納入業者に対し,商談の際や電子メール又は電話により従業員等を派遣するよう要請し,又は,特定の納入業者に対し,従業員等を派遣する他の納入業者の取りまとめを行わせるなどし(認定事実2⑴イ),平成19年3月の改装開店以降の従業員等派遣を要請する際には,「店舗応援のお願い」「応援回答書」「請求書」等の「応援依頼書類一式」を使用していたが(認定事実2⑴ウ),ほとんどの商品部では,対象となる店舗名及び住所のみを記載し,期間,集合時間及び応援人数の各欄を空欄にしたままこれを納入業者に配布し,応援回答書も,全部の納入業者から回収していたものでもなければ,回答内容が実際と齟齬する場合もあり(認定事実2⑴エ),このように,原告は,納入業者に対し,作業の具体的な内容,労働時間,派遣のために通常必要な費用を原告が負担するか否か等の条件について事前に伝えておらず,納入業者と条件について事前に合意することもなかったもので(認定事実2⑴エ),従業員等派遣に係る費用の負担についても,納入業者が請求することはほとんどなく,原告においても,《A1》専務の指示により費用支払の実績を作るために,納入業者に費用を請求するよう働きかけ,これに応じた請求に対して支払った11件の費用を除き,納入業者に対して費用を請求するよう働きかけることも支払うこともなく,前記の支払った費用の額も,従業員等の作業全てに相当する額ではなかったものであり(認定事実2⑴カ),作業内容についても,本件開店準備作業等のうち,商品の陳列,補充に関する作業では,原告があらかじめ定めた棚割表に従って商品を置くだけで,納入業者の従業員等が自らの判断で自社の商品を置くことはできず,また,販売作業では,原告は,派遣された従業員等に自社商品と他社商品の区別なく作業を行わせていたため,派遣された従業員等において,自社商品の説明を行ったり,宣伝をしたりすることはできず,さらに,改装開店の場合の閉店時の作業においても,自社商品と他社商品の区別なく商品の撤去及び他店舗への振替作業等を行わせており,いずれも特別な技術又は能力を必要とするものではなく,原告の従業員による対応も可能であったというべきであり(認定事実2⑴オ),そして,原告は,従業員等派遣を受けるに当たり,購入商品を増やす等の見返りを約束することはなく,《A1》専務においても,納入業者には従業員等派遣による直接の利益はなく,同業他社が従業員派遣をしている中で,これに応じないと商品選定の際に不利になると思い応じていたものと考えていたこと(認定事実2⑴キ)が,それぞれ認められるところである。
そうすると,本件において,①原告は,従業員等派遣を要請する際,事前に,店舗名や住所に加えて,作業期間,作業内容,応援人数,従業員等の派遣に要する費用の負担等の条件を明らかにしたり,納入業者との間で条件について合意したりすることはなく,②例外的な場合を除き,従業員派遣等に要した費用を請求するよう働きかけることも支払うこともなかったものであり,③派遣された従業員等が従事した作業の内容も,納入業者の従業員等が,自身の判断で自社商品を陳列したり,自社商品を説明,宣伝したりすることはできず,自社商品と他社商品の区別なく作業を行っていたものであり,④原告は,従業員派遣等を受けることによる見返りの約束をすることもなかったというのであるから,原告による従業員派遣等の要請については,不利益行為に該当しない特段の事情があるとは認め難く,本件においては,従業員等派遣の要請に関して従業員等を派遣する条件が不明確で,納入業者にあらかじめ計算できない不利益を負わせており,派遣等を通じて納入業者が得る直接の利益等が仮にあったとしても,合理的な範囲を超えた負担となり,相手方に不利益を与えることとなる場合に当たるというべきである。
よって,原告の53社に対する本件従業員等派遣の要請行為は,法2条9項5号ロ所定の不利益行為に該当するものと認めるのが相当である。
⑶ 本件協賛金の提供
ア 前提事実3⑶及び認定事実2⑵によれば,88社のうち54社は,原告が本件対象期間に新規開店又は改装開店を行った15店舗においてオープンセールを実施した際,別紙4の「オープン協賛金」欄のとおり,原告に対してオープンセール協賛金を提供し,また,88社のうち86社は,原告が本件対象期間に創業祭を実施した際,別紙4の「創業祭協賛金」欄のとおり,原告に対して創業祭協賛金を提供しているところ(前提事実3⑶,認定事実2⑵ア),原告において,協賛金等の負担額,算出根拠,使途等を明らかにせず,また,納入業者における負担が,納入業者が協賛金の提供によって得ることとなる直接の利益の合理的な範囲を超える場合などには,これらの協賛金の提供は,一般的には,納入業者において経済合理性を欠くものであることは明らかといえるから,特段の事情のない限り,原告の協賛金提供を要請する行為は,協賛金の条件等が不明確で納入業者に計算できない不利益を与え,又は,協賛金の提供を通じて納入業者が得る直接の利益の合理的な範囲を超える負担を負わせるものとして,法2条9項5号ロ所定の不利益行為に該当するものと認められる。
イ そこで,原告による本件協賛金の提供要請に不利益行為に該当しない特段の事情があるか否かについて検討するに,認定事実2⑵によれば,原告と納入業者との間では,オープンセール協賛金の提供に関する事前の取決めとして,算定方法,支払方法その他の支払条件に係る包括的な契約の締結はなく,覚書等の文書の作成もなく,納入業者との取引開始の際に作成された取引先カードにおいても,第2商品部以外の商品部が担当する納入業者の取引先カードには,オープンセール協賛金に関する事前の取決めの記載はなく,第2商品部が担当する納入業者の取引先カードにも,算定方法の記載があるだけで,算出根拠や使途の記載はなく,納入業者にその説明もなかったものであり(認定事実2⑵イ(ア)),平成21年4月20日以降に提供要請をしていたオープンセール協賛金の算定方法は,算定の基礎となる取引額に一定割合を乗じる方法(第2商品部ないし第4商品部,第5商品部洋日配部門,第6商品部)又はバイヤー若しくはGMが要請の都度決定する方法(第5商品部和日配部門,第7商品部)と商品部ごとに様々であり,算定の基礎となる取引額も,開店日の前年から1年間の取引額(第2商品部),開店日の前年から1年間の取引額の月平均額(第3商品部),開店日の前月から遡る3か月間の取引額の月平均額(第4商品部),開店後1か月間の取引額(第5商品部洋日配部門),オープンセール期間中の取引額(第6商品部)と多くは,当該オープンセールとは関係のない期間の取引額を基準とするものであり(認定事実2⑵イ(イ)),商品部ごとに一律の方法で算定していたが,各商品部においても,各算定方法を採用する理由を把握しておらず(認定事実2⑵イ(イ)),《A1》専務らから指示を受けるなどして,第2商品部等の仕入担当者が要請額を伝達する際も,協賛金の算出根拠や使途について具体的に説明することはなかったのであり(認定事実2⑵イ(ウ),(エ)),オープンセール協賛金の使途も,基本的には,オープンセールの費用補填に用いられたが,一部は,目標とされた商品部ごとの利益額を達成するための補填等にも使われ,提供した納入業者の商品のオープンセールにおける値引販売の原資や当該商品のチラシへの掲載費用等に充てられることはないなど提供した納入業者が納入する商品の販売に結び付けられてはおらず,協賛金を提供した納入業者の商品の納入量が通常より増えたり,チラシに目立つように掲載されたりすることもなく,《A1》専務も,オープンセール協賛金の提供は納入業者に直接的なメリットはなく,納入業者においては,原告の提供要請に応じないと,バイヤーによる商品選定の際に不利になると思い,これに応じていたものと考えていた(認定事実2⑵イ(カ))ことが,それぞれ認められる。
加えて,認定事実2⑵によれば,原告では,平成19年9月以降,創業祭協賛金の提供につき,事前の取決めを取引先カード等に記載することを基本としていたが,都度商談としか記載されない場合や,料率が記載されても,実際に要請する際の料率と異なる場合があり,また,覚書上で記載された提供の条件を満たさなくても,提供要請がされる場合もあって,その場合にも,原告と納入業者間で特段の協議はしていなかったものであり,原告は,取引先カード等を作成する際,納入業者に対し,創業祭協賛金の算出根拠や使途について説明することはなく,取引先カード等に記載された料率とは異なる料率を適用する際にも,50周年なのでなどと説明する以外は,特段具体的に算出根拠等について説明することはなかったこと(認定事実2⑵ウ(ア)),平成21年4月20日以降に提供要請をしていた創業祭協賛金の算定方法は,いずれも算定の基礎となる取引額に一定割合を乗じる方法であるが,算定の基礎となる取引額は,創業祭の前年から1年間の取引額(第1商品部,第2商品部),創業祭の年の上期又は下期の取引額,上期及び下期の取引額合計を2で除したもの,創業祭の前年から1年間の取引額を2で除したもの(第3商品部ないし第7商品部)又は各店舗における取引額(室蘭地区本部)と商品部ごとに様々であり,平成23年には,原告が創業50周年に当たることを理由に,86社中61社については,料率の引上げ又は料率を0.5%とすることを要請し,86社中14社については,《A1》専務から追加の協賛金の提供を要請するなどしていたが,個々の納入業者の取引状況を考慮することなく,商品部ごとに担当する納入業者一律の方法で算定したものの,算定方法を採る理由については把握しておらず,前記0.5%の料率も,創業50周年であること以外の経済合理的な理由はなかったこと(認定事実2⑵ウ(イ)),創業祭協賛金の要請は,《A1》専務らから指示を受けるなどして,第1商品部等の仕入担当者が要請額等を伝達していたが,協賛金の算出根拠や使途について明確に説明することなく,《A1》専務が追加の創業祭協賛金を要請した際も,創業祭で様々な企画を予定している旨を説明したが,算出根拠や使途の説明はしなかったのであって(認定事実2⑵ウ(イ)),創業祭協賛金の使途も,提供した納入業者の商品の創業祭における値引販売の原資や当該商品のチラシへの掲載費用等に充てることはなく,提供した納入業者が納入する商品の販売に結び付けていなかったのであり(認定事実2⑵ウ(イ)),創業祭協賛金は,提供を受けた商品部において本部の収益になるものとして取り扱われ,一部は創業祭の費用補填に用いられたが,その余は創業祭に係る費用に充当されておらず,原告は,納入業者から創業祭協賛金の提供を受けるに当たり,当該納入業者に対して特段見返りを約束しておらず,納入業者が創業祭協賛金を支払うことによって,原告との取引量が通常より増えたり,広告に自社商品が目立つように掲載されたりすることはなかったこと,《A1》専務も,創業祭協賛金の提供は,納入業者に直接的なメリットはなく,納入業者においては,原告の提供要請に応じないと,バイヤーによる商品選定の際に不利になると思い,これに応じていたものと考えていたこと(認定事実2⑵ウ(イ))が,それぞれ認められるところである。
そうすると,①原告は,オープンセール協賛金及び創業祭協賛金(本件協賛金)の提供を要請する際,オープンセール協賛金は,事前の取決めとして,その算定方法,支払方法その他の支払条件等の協賛金の提供に係る条件を明らかにすることはなく,当該条件につき納入業者との間で協議することもなく,原告の担当者が要請額を納入業者に伝える際も,協賛金の算出根拠や使途について具体的に説明することもなかったものであり,一方,創業祭協賛金は,事前の取決めとして,取引先カード等に記載していたが,記載する際に算出根拠や使途の説明がされることはなく,記載と異なる運用がされる場合も,原告と納入業者間で特段の協議はなく,原告の担当者等が要請額を納入業者に伝える際も,協賛金の算出根拠や使途について明確に説明することなかったものであり,②本件協賛金の使途も,オープンセール協賛金は,基本的には,オープンセールの費用補填に用いられたものの,一部は,目標とされた利益額を達成するための補填等に使われ,提供した納入業者が納入する商品の販売には結び付けられておらず,協賛金を提供した納入業者の商品の納入量が通常より増えることもなかったものであり,また,創業祭協賛金の使途は,一部は創業祭の費用補填に用いられたが,本部の収益として取り扱われ,原告は,本件協賛金の提供を受けることによる見返りの約束をすることもなかったというのであるから,本件においては,本件協賛金の提供の要請に関して協賛金の負担額,算出根拠,使途の条件が不明確で,納入業者にあらかじめ計算できない負担を負わせており,協賛金の提供を通じて納入業者が得る直接の利益等が仮にあったとしても,合理的な範囲を超えた負担となり,相手方に不利益を与えることとなる場合に当たるというべきである。
以上の事実によれば,原告による本件協賛金の提供要請に不利益行為に該当しないと認めるべき特段の事情が存するとは認め難く,そうであれば,原告の54社に対するオープンセール協賛金の提供要請及び86社に対する創業祭協賛金の提供要請は,いずれも法2条9項5号ロ所定の不利益行為に該当するものと認めるのが相当である。
⑷ 本件商品の購入
ア 前提事実3⑷及び認定事実2⑶によれば,88社のうち18社の従業員等は,原告が毎年3月頃及び9月頃に実施していた紳士服特別販売会において,本件対象期間中,別紙4の「購入要請」欄のとおり,イージーオーダー又は既成品の紳士用スーツ,ワイシャツ,ネクタイ,革靴等の本件商品を購入したところ(前提事実3⑷,認定事実2⑶ア),これらの本件商品の購入は,本来的には,原告と納入業者間の取引において,必ずしも購入を要するものとはいえないから,これらの本件商品の購入は,一般的には,納入業者において合理性を欠くものとなり,原告の本件商品の購入を要請する行為は,特段の事情のない限り,納入業者において,その事業の遂行上必要としない商品等であるか,又は,その購入を希望しない商品等であっても,今後の取引に与える影響を懸念して当該要請を受け入れざるを得ないものとして,法2条9項5号イ所定の不利益行為に該当するものと認められる。
イ そこで,原告による本件商品の購入要請に不利益行為に該当しない特段の事情があるか否かについて検討するに,認定事実2⑶によれば,原告の第8商品部は,各部署における販売目標を設定し,購入要請を行う商品部等では,納入業者ごとに割り振った数量を示して購入を要請していたが,原告は,本件商品を購入した際にご紹介者カードに記載された原告の担当者名から,販売目標の達成状況を把握し,達成していない納入業者に対しては,本件商品の購入を再度要請していたものであり,18社の従業員等は,自身の勤務先の会社が原告と取引関係にあることを考慮して要請どおりの本件商品を購入していたが,原告は,本件商品を販売する当たり,特段見返りを約束するものではなく,《A1》専務も,納入業者においては,購入要請に応じないと,バイヤーによる商品選定の際に不利になると思いこれに応じていた部分もあるものと考えていたことが,それぞれ認められるところである。
以上の事実によれば,原告による本件商品の購入要請には,不利益行為に該当しない特段の事情があるとは認め難く,本件においては,原告の本件商品の購入を要請する行為は,納入業者において,その事業の遂行上必要としない商品等であるか,又はその購入を希望しない商品等であっても,今後の取引に与える影響を懸念して当該要請を受け入れざるを得ないものとして,法2条9項5号イ所定の不利益行為に該当するものと認められる。
⑸ 事実認定に関する原告の主張について
ア 従業員等派遣を受ける行為について
(ア) 原告は,本件従業員等派遣の要請の「不利益行為」該当性の主張立証責任については,被告がこれを負うから,従業員等派遣例外事由をいう本件審決は,立証責任を原告に転換するものとして審判手続及び行政訴訟における基本原則に反するものであり,仮に,被告の解釈が特殊な経験則に基づくとしても,当該経験則を立証せずに用いることは実質的証拠法則に反するなどと主張する。
しかしながら,被告は,本件審決において,本件従業員等派遣の要請行為が,契約等に別段の定めがないことも含め,外形的に,法2条9項5号ロ所定の「自己のために,金銭,役務その他の経済上の利益を提供させること」に当たることだけでなく,従業員等派遣例外事由が存在しないことをも認定した上で,法2条9項5号ロ所定の不利益行為に該当するか否かを判断しているから,被告による解釈が,直ちに原告に主張立証責任を転換するものということはできない。
なお,当裁判所の原告の従業員等の派遣の要請が法2条9項5号ロ所定の不利益行為に該当するとの判断の理由は,前記⑵のとおりであって,不利益行為の該当性について何ら原告に立証責任を転換するものではない。
(イ) 原告は,《納入業者(21)》の《D1》参考人の審尋の結果によれば,《納入業者(21)》には,本件従業員等派遣に応じる利益等として,① オープンセールで自社商品の特売が行われることで納品量・売上げが増加する,② 店舗オープンにより中長期的な売上げの純増が見込まれる,③ 商品知識と陳列技術を有する納入業者が応援することで早期の店舗オープンが見込まれる,④ 店長やチーフとコミュニケーションや情報交換を行い,商談につながるなどがあり,これらは,納入する商品の売上増加につながるような実際に生じる利益であるから,直接の利益に該当するし,原告は,平成22年ないし平成24年当時,納入業者の協力を得ずに店舗オープンを行うことは困難である一方,原告が一日でも早くオープンすれば,納入業者にとっては,売上げの増加が期待できるため,原告による早期の確実な店舗オープンを成功させるべく作業に協力することと納入業者の売上増加には,因果関係があったなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,本件従業員等派遣の要請が,これに応じた納入業者の商品の納入量を増やすなど,当該納入業者に対して特段の見返りを約束するものではなかったことや,本件開店準備作業等のいずれの作業においても,派遣された従業員等に対し,自社商品と他社商品の区別なく作業を行わせており,特別な技術又は能力を必要とするものではなく,原告の従業員による対応も可能な作業であったこと,仮に原告が平成22年ないし平成24年当時,納入業者の協力を得ずに店舗オープンを行うことが困難であったとしても,原告が例外的な場合を除き,従業員派遣等に要した費用を請求するよう働きかけることも支払うこともなかったことを正当化できるものではないこと,店舗オープンにより当該納入業者の中長期的な売上増加の可能性があり,早期の店舗オープンにより早期に売上げの増加が期待され,店長やチーフとの情報交換等の機会となることで商談につながる場合があり得るとしても,本件従業員等派遣との関係は必ずしも明らかとはいえないことなどに照らすと,《納入業者(21)》の《D1》参考人が供述する各利益が,直ちに,直接の利益をいうものと認めることはできない。
なお,原告は,本件従業員等派遣によって行われる業務等には,鶏卵をコンテナに積む作業のように,原告の従業員であっても日常的に鶏卵を扱う一部の担当者にしかできない作業や,店舗開店時におけるパンの陳列・補充による売場作りのように,スケジュール上,新規開店のスタッフでは難しい作業も含まれるため,原告のみによって円滑な新規開店又は改装開店を行うことは困難であり,納入業者の実務感覚としても,同様の認識から,本件従業員等派遣に応じていたなどと主張する。
しかしながら,原告の主張によっても,従業員等派遣により行われていた鶏卵を扱う作業やパンの売場作り等の作業が,新装開店又は改装開店時以外の特売時には原告の従業員が鶏卵をコンテナに積む作業を行っていたことなどに照らしても(査349),およそ原告の従業員によって対応することができないものということはできず,前記認定を左右するものとはいえない。
(ウ) 原告は,本件従業員等派遣について本件審決が指摘する点は,53社全てについて一律に認定できるものではなく,① 納入業者が蓄積した情報やノウハウを生かすことができないとする点は,《納入業者(21)》,《納入業者(47)》,《納入業者(56)》などが,商品陳列に知識と技術が必要となるために応援に応じていたことと整合せず,② 多数の消費者に対して自社商品をアピールできたとはいえないとする点は,《納入業者(47)》が,パンの消費期限や消費者にみられる習慣購買という現象に着目し,消費者へのアピールのために単独の小型一般食料店でさえ陳列の応援作業を行っていたとし,《納入業者(56)》も,鶏卵の売り場を確保することで消費者にアピールすることは重要な販売活動であったとすることと整合せず,③ 消費者ニーズの把握は売上等のデータ確認で足りるとする点は,《納入業者(67)》が,豆腐・油揚げのメーカーとして,オープンセール時における売行きや他社商品の状況などについて強い関心をもち,消費者に話しかけて意見を聞くなどの情報収集に活用していたことと整合しないなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,本件従業員等派遣においては,納入業者の従業員等が,自社商品と他社商品の区別なく作業に従事していたものであり,基本的には,商品の陳列,補充作業においては,原告があらかじめ商品ごとの配置を定めた棚割り表に従って商品を置くだけであり,自らの判断で自社商品を置いたり,販売作業において自社商品の説明や宣伝を行ったりすることもできなかったのであるから,本件従業員等派遣により派遣された納入業者の従業員等が,いずれも各納入業者の商品陳列の知識と技術に基づいて作業に従事していたとか,自社商品を消費者にアピールする陳列を行っていたと認めることは困難であり,消費者ニーズを把握するために,必ず従業員等派遣の要請に応ずることを要したということもできない。したがって,原告の主張する前記各納入業者のような場合があるとしても,そのことによって,原告による本件従業員等派遣の要請が,納入業者に対する不利益行為に該当するという前記判断を左右するものとはいえない。
なお,原告は,納入業者は,原告との継続的な取引関係により本件従業員等派遣の要請に応じてきたため,作業の内容や経験についておおよその見込みを有していることを主張するが,前記のとおり,本件従業員等派遣の要請は,本来,原告において担当すべきであるところ,原告は例外的な場合を除き,従業員派遣等に要した費用を請求するよう働きかけることも支払うこともなかったのであり,また,原告において可能でもある本件開店準備等作業について,これを納入業者の従業員等に担当させるものとして納入業者に不利益を負わせるものであり,作業の具体的な内容,労働時間,派遣のために通常必要な費用を原告が負担するか否か等の条件について事前に伝えておらず,納入業者の得る直接の利益があったとしても,その合理的な範囲を超えた負担となるものといえるから,納入業者における見込み等の前記事情を踏まえても,これが不利益行為に当たらないとすることは困難というべきである。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(エ) 原告は,被告による報告命令に対し,訴状別紙8「従業員等派遣の合理性を認めていた納入業者一覧」記載の納入業者41社は,本件従業員等派遣に関し,直接の利益が負担を上回る,商品の取引量増加につながる若しくは直接の利益が従業員応援の負担を上回る,又は,従業員応援の条件について納得していたなどと回答しており,これらの回答は,信用性の高い《納入業者(21)》の《D1》参考人の審尋の結果と符合するなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,本件従業員等派遣の要請は,本来,原告において担当すべき作業を納入業者の従業員等に担当させるものとして納入業者に不利益を負わせるものであり,作業の具体的な内容,労働時間,派遣のために通常必要な費用を原告が負担するか否か等の条件について事前に伝えておらず,作業内容においても,納入業者の従業員等は,自社商品と他社商品の区別なく作業に従事していたこと,前記の納入業者41社の回答に係る直接の利益の内容も不明確であることなどに照らすと,納入業者から前記回答がされたことをもって,前記判断を左右するものとはいえない。
よって,原告のこの点についての主張も採用することはできない。
イ 本件協賛金の提供要請について
(ア) 原告は,本件協賛金の提供要請の「不利益行為」該当性の主張立証責任については,被告がこれを負うから,金銭提供例外事由をいう本件審決は,何らの根拠も経験則もないままに立証責任を原告に転換しようとするものであり,仮に,被告の解釈が特殊な経験則に基づくとしても,これを立証せずに用いることは実質的証拠法則に反するなどと主張する。
しかしながら,被告は,本件審決において,本件協賛金の提供を受ける行為が,契約等に別段の定めがないことも含め,外形的に,法2条9項5号ロ所定の「自己のために,金銭,役務その他の経済上の利益を提供させること」に当たることだけでなく,金銭提供例外事由が存在しないことをも認定した上で,法2条9項5号ロ所定の不利益行為に該当するか否かを判断しているから,被告による解釈が,直ちに原告に主張立証責任を転換するものということはできない。被告が,事業者においては,取引の相手方に対し,あらかじめ計算できない不利益や合理的範囲を超える不利益を与えないよう対処すれば,金銭提供例外事由を容易に備えることができるなどと主張するのも,そのような事由が認められる場合には,被告において,不利益行為を立証することが容易ではないことをいうものと解され,主張立証責任を転換する旨をいうものとまで解することはできない。なお,原告と納入業者の取引が買取り契約であることは先に判示したとおりであり,納入業者としては,約定に基づき商品を納入することで債務は履行済みであって,原告が主張するように,本来,提供する必要のない金銭を提供することが,原則として不利益行為に当たることは,特殊な経験則に基づくものというのは当たらない。
なお,当裁判所の本件協賛金の提供要請が法2条9項5号ロ所定の不利益行為に該当するとの判断の理由は,前記⑶のとおりであって,不利益行為の該当性について,何ら原告に立証責任を転換するものではない。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(イ) 原告は,被告が主張する金銭提供例外事由は,被告の優越ガイドライン第4の2⑴イが優越的地位の濫用に当たらないとする「協賛金等が,それを負担することによって得ることとなる直接の利益の範囲内であるものとして,取引の相手方の自由な意思により提供される場合」に比しても,「その負担額,算出根拠及び使途等について,あらかじめ買主が売主に対して明らかに」することまで要求するものであって整合しないなどと主張する。
しかしながら,被告の優越ガイドライン第4の2⑴アでは,「当該協賛金等の負担額及びその算出根拠,使途等について,当該取引の相手方との間で明確になっておらず,当該取引の相手方にあらかじめ計算できない不利益を与えることとなる場合」などには,「優越的地位の濫用として問題となる」とするから,被告の主張が,被告のガイドラインに比して,何らかの要件を加重するものと解することはできない。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(ウ) 原告は,本件協賛金の支払に際しては,原告と各納入業者との間で少なくとも口頭合意による「契約」が存在したことは明らかであるから,「契約等に別段の定め」はあったなどと主張する。
しかしながら,納入業者が何らかの同意に基づいて,本件協賛金を提供していたとしても,前記のとおり,原告と納入業者間では,必ずしも協賛金等の負担額,算出根拠,使途等が明確に定められていたものとはいい難い上,原告は,納入業者との取引状況を考慮せずに商品部ごとに一律の方法で算定した額の提供要請をしており,要請の際に,算出根拠や使途等を明確に伝えることもなかったのであるから,納入業者においては,あらかじめ計算できない不利益として負担していたと認められ,その自由かつ自主的な判断に基づいて提供していたものと解することは困難であるから,原告と納入業者との間で契約等に別段の定めがあったと認めることはできない。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(エ) 原告は,納入業者の代表として陳述書を提供しかつ参考人審尋を行った納入業者である《納入業者(21)》の《D1》参考人及び《納入業者(64)》の《E1》参考人は,具体的な根拠をもって,自由意思に基づいて本件協賛金を支払っていた旨を述べており,かつ,各供述は反対尋問を経ているから,信用性が高いなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,原告による本件協賛金の提供要請は,納入業者との取引状況を考慮せずに商品部ごとに一律の方法で算定した額の提供が要請されており,要請の際に,算出根拠や使途等が明確に伝えられることもなく,客観的には,協賛金の条件等が不明確で納入業者に対して計算できない不利益を与えていたと認められるから,《納入業者(21)》の《D1》参考人及び《納入業者(64)》の《E1》参考人の各供述の信用性が高く,当該2社において,前記各供述のように,本件協賛金をもって価格調整のためのリベート,販売促進費等の取引条件のようなものと主観的に認識してこれを受け入れ,長期にわたってこれを支払っていたとしても,前記の本件協賛金の提供要請の性質経緯等から直ちにその自由かつ自主的な判断に基づいて支払っていたものと認めることは困難というべきである。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(オ) 原告は,《納入業者(21)》の《D1》参考人及び《納入業者(64)》の《E1》参考人の参考人審尋における各供述によれば,《納入業者(21)》は,オープンセール協賛金を提供することによる直接の利益として,①オープンセールで自社商品の特売が行われることで納品量・売上げが増加する,②店舗オープンにより中長期的な売上純増が見込まれる,③商品知識と陳列技術を有する納入業者の応援により早朝の店舗オープンが見込まれる,④店長やチーフとコミュニケーションや情報交換を行い,商談につながることなどがあると認識し,また,《納入業者(64)》は,創業祭協賛金を提供することによる直接の利益として,①創業祭のチラシに自社商品が掲載される,②創業祭で自社商品の売場が作られ広く販売される,③試食販売が行われる,④生産者や産地等の告知が行われる,⑤料理メニューのカードが作成され,消費者に配布される,⑥創業祭期間中は客数が増えるため粗利の高い定番商品が売れること,⑦消費者が創業祭で購入した商品の品名及び味等を覚えることにより,創業祭後の継続的な販売にもつながることなどがあると認識しており,原告の商品部の統括責任者である《A1》専務の参考人審尋における供述によっても,本件協賛金と新規開店や改装開店,オープンセール及び創業祭による売上増加には因果関係があったなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,本件協賛金が,これを提供した納入業者自体の商品の創業祭等における値引販売の原資や当該商品のチラシへの掲載費用等に充てられるものではなかったことや,本件協賛金は,これを提供した納入業者に対して特段見返りを約束するものではなく,納入業者の商品の納入量が通常より増えたり,チラシに目立つように掲載されたりすることもなかったこと,オープンセールや創業祭の開催により,当該納入業者の中長期的な売上純増や継続的な販売の可能性があり,また,店長やチーフとの情報交換等の機会となることで商談につながる場合があり得るとしても,本件協賛金の提供との関係は必ずしも明らかとはいえないことなどに照らすと,《納入業者(21)》の《D1》参考人及び《納入業者(64)》の《E1》参考人が参考人審尋においてそれぞれ供述する利益が,直ちに直接の利益をいうものと認めることはできない。そして,《A1》専務の参考人審尋における供述も,本件協賛金には原告の収益とされていた部分があり,本件協賛金の提供が納入業者に直接的なメリットはないとする《A1》専務の供述調書(査216,査217)や,本件協賛金の使途について同旨のことを述べる他の従業員の供述調書(査218ないし査236)の記載部分と相反することに照らせば,参考人審尋における《A1》専務の供述を直ちに採用することは困難であり,本件協賛金と売上げの増加との間に直接の因果関係があったものと認めることはできない。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(カ) 原告は,被告による報告命令に対し,訴状別紙6「オープン協賛金の合理性を認めていた納入業者一覧」記載の納入業者37社及び訴状別紙7「創業祭協賛金の合理性を認めていた納入業者一覧」記載の納入業者61社は,オープン協賛金及び創業祭協賛金に関し,直接の利益が負担を上回る,商品の取引量・額の増加につながる若しくは直接の利益が協賛金等の提供額を上回る,又は,協賛金の条件について納得していたなどと書面で回答しており,信用性の高い《納入業者(21)》の《D1》参考人及び《納入業者(64)》の《E1》参考人の参考人審尋における各供述と符合するものであるから,上記37社及び61社の回答についても信用性は高いなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,原告は,本件協賛金の算出根拠及び使途等について,あらかじめ明らかにしておらず,本件協賛金を提供した納入業者が得ることとなる直接の利益も想定し難いことからすれば,88社の報告書において,本件協賛金につき任意に提供した旨回答する者がいたとしても,直ちにその自由かつ自主的な判断に基づいて支払っていたものと認めることはできないというべきである。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
ウ 本件商品の購入について
原告は,本件商品は紳士服等であり,通常のビジネスシーンで需要が存在するものであるから,18社ないしその従業員等において事業遂行上購入する必要がなかったとはいえず,また,本件商品のうちイージーオーダースーツ等は,価格に比して生地や縫製に優れていたためにファンも数多く存在していたから,18社ないしその従業員等が自発的に購入を希望しなかったともいえず,購入要請等を行わなかった平成24年度も売上減少は前年比4割程度減に収まっていたなどと主張する。
しかしながら,先に判示したとおり,本件商品の購入要請が,原告において,その販売目標に基づき納入業者ごとに割り振った数量を示して購入を要請し,ご紹介者カードを通じて達成状況を把握し,達成していない納入業者に対しては再度購入要請を行っていたもので,原告は,本件商品を販売するに当たり,納入業者に特段見返りを約束するものではなかったこと,《納入業者(21)》の《D1》参考人は,その参考人尋問において,紳士服等の購入目標の達成はきつかったと述べていることなどに照らすと,本件商品を購入した納入業者ないしその従業員等において,本件商品の購入を希望する者がいたとしても,必ずしも全ての商品を自発的に購入していたと認めることは困難であり,原告の要請を受け入れざるを得ないものとしてこれに応じていたものと認めるのが相当である。このことを裏付けるように,原告の主張を前提にしても平成24年度の売上げは,4割も減少している。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
⑹ 小括
以上によれば,本件各行為である原告による本件従業員等派遣の提供を受ける行為,本件協賛金の提供を受ける行為及び本件商品を購入させる行為は,いずれも独占禁止法2条9項5号イ又はロ(平成21年改正法の施行日前については,旧一般指定14項1号及び2号)所定の不利益行為に該当するものと認められる。
5 正常な商慣習に照らして不当該当性について
⑴ 前記1の独占禁止法2条9項5号所定の各行為が不公正な取引方法として規制される趣旨を踏まえれば,「正常な商慣習に照らして不当に」とは,公正な競争秩序の維持,促進の観点から是認されるものに照らして不当であることを意味するものと解される。
そして,先に判示したとおり,本件各行為である原告による本件従業員等派遣の提供を受けること,本件協賛金の提供を受けること及び本件商品を購入させることは,いずれも,納入業者において,条件が不明確であるためにあらかじめ計算できない不利益を負担したり,当該要請に応じることによって得られる直接の利益の合理的な範囲を超える不利益を負担したり,自発的に本件商品を購入したものとはいい難いものであり,公正な競争秩序の維持,促進の観点から是認されるものに照らして相当でないことが明らかであるから,本件各行為は,正常な商慣習に照らして不当になされたものと認めるのが相当である。
⑵ 原告の主張について
ア 原告は,「正常な商慣習に照らして不当に」の要件については,判断の前提となる「正常な商慣習」の内容及びそれに照らして何が不当かを具体的に認定すべきであるから,判断の基礎となる事実の認定を含め,これらの記載を欠く本件審決は,実質的な証拠に基づいていないなどと主張する。
しかしながら,認定事実によれば,本件各行為については,その内容及び態様等から,いずれも納入業者において,条件が不明確であるためにあらかじめ計算できない不利益を負担したり,当該要請に応じることによって得られる直接の利益の合理的な範囲を超える不利益を負担したりするものであることが認められ,これらの事実を踏まえ,前記1の独占禁止法2条9項5号所定の各行為が不公正な取引方法として規制される趣旨に照らせば,本件各行為は,正常な商慣習である公正な競争秩序の維持,促進の観点から是認されるものに照らして相当でないことは明らかというべきである。
よって,本件審決の認定判断が実質的証拠に基づかないものとする原告の主張は,合理的な根拠に基づくものとはいえず,採用することはできない。
イ 原告は,「正常な商慣習」とは,対等の立場で行われる場合に通常付されるであろう条件をいうところ,本件各行為が行われた当時の北海道地域における食品小売業者とその納入業者においては,従業員等派遣の提供及び創業祭協賛金の提供の商慣習が存在しており,かかる商慣習は,食品小売業者と納入業者との立場如何にかかわらず行われていたから,本件各行為のうち本件従業員等派遣及び創業祭協賛金の提供を受けたことが正常な商慣習に照らして不当であるとすることは,実質的証拠を欠くなどと主張する。
しかしながら,北海道地域において,原告と披見する規模の《事業者B》は,取引先との間で従業員の派遣について覚書を見直し,費用請求を促し,創業祭協賛金等についても事前に取引先と協議して目標金額,支社割合など支払条件を合意するなどしており(査501ないし503),本件各行為と異なる対応をしているのであって,原告のこの点についての主張は前提を欠く。そして,本件従業員等派遣の提供及び創業祭協賛金の提供については,原告及び納入業者間で,対等の立場で行われるものと認めることはできず,仮に当時の北海道地域において前記商慣習が存在していたとしても,その内容及び態様から,直ちに公正な競争秩序の維持,促進の観点から是認されるものということはできないから,原告の主張は,前提を欠くものであり,採用することはできない。
6 公正競争阻害性について
先に判示したとおり,原告は,北海道の区域内における食料品等の小売業を営み,同区域内の食品スーパーの分野において有力な地位にある一方,88社は,納入業者として,原告に継続的に自社商品を供給し,また,原告との取引依存度や,取引依存度における原告の順位,原告との取引を主に担当する営業拠点における原告との取引依存度又は取引依存度における原告の順位,事業規模等における原告との比較等から,原告との取引の継続が困難となれば,事業経営上大きな支障を来す関係にあり,原告の取引上の地位が88社に対して優越していたものと認められるところ,原告は,遅くとも本件対象期間である平成21年4月20日から平成24年3月13日までの間,このような関係にある88社のうち53社から本件従業員等派遣の提供を受け,88社のうち54社からオープンセール協賛金の,86社から創業祭協賛金の各提供を受け,88社のうち18社の従業員等に本件商品を購入させるという独占禁止法2条9項5号イ又はロ(平成21年改正法の施行日前については,旧一般指定14項1号及び2号)所定の不利益行為に及んでいたものである。そして,認定事実によれば,本件各行為では,原告は,①本件従業員等派遣の要請においては,各GMの指示に基づき,商品部ごとの仕入れ担当者が,事前に納入業者に対して従業員等を派遣するよう要請し,又は,特定の納入業者に対して従業員等を派遣する他の納入業者の取りまとめを行わせるなどし,②本件協賛金の提供要請においては,《A1》専務からの指示等に基づき,商品部ごとの仕入れ担当者が,納入業者に対して協賛金の要請額を伝達したり,《A1》専務が納入業者に対して追加の創業祭協賛金の提供を直接要請したりし,③本件商品の購入要請においては,商品部が,部署ごとに設定された販売目標を前提として,納入業者ごとに割り振った数量を示して本件商品の購入を要請し,販売目標の達成状況を把握しては,達成未了の納入業者に対して本件商品の購入を再度要請していたことが認められ,原告においては,88社という多数の納入業者に対し,本件対象期間である平成21年4月20日から平成24年3月13日までという長期にわたって継続的に,原告の役員等の指示に基づき組織的,計画的に,一連の行為として,取引相手に不利益となる本件各行為に及んでいたのであるから,原告が納入業者に対する不利益行為の要請等を行えば,納入業者においてはこれに応じることを余儀なくされるような関係の下で,不利益行為に当たる本件各行為を一定期間,広範囲にわたって継続的に行っていたものというべきであり,納入業者の自由かつ自主的な判断による取引が阻害され,結果として,納入業者がその競争者との関係で不利となり,原告がその競争者との関係で優位となるおそれがあり,公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれがあるものと認めるのが相当である。
7 優越的地位の濫用該当性
以上によれば,原告は,その取引上の地位が,納入業者である88社に対して優越していたところ,原告は,本件対象期間中,原告が納入業者に対する不利益行為の要請等を行えば,納入業者においてはこれに応じざるを得ないような関係の下で,不利益行為に当たる本件各行為を多数の納入業者に対して,継続的,組織的,計画的に一連の行為として行っていたものであり,本件各行為は,公正な競争秩序の維持,促進の観点から是認されるものに照らして相当でないことが明らかであるから,原告においては,その優越的地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に独占禁止法2条9項5号イ又はロ(平成21年改正法の施行日前については,旧一般指定14項1号又は2号)に該当する行為を行っていたものとして,当該行為は,優越的地位の濫用に該当すると認めるのが相当である。
そして,当該行為は,原告が,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して正常な商慣習に照らして不当に,独占禁止法2条9項5号各号のいずれかに「該当する行為をすること」に当たるから,前記の一連の行為としてなされた当該行為については,一体として評価するのが相当であり,1個の優越的地位の濫用行為に当たるものと認めるのが相当というべきである。
第9 争点⑵(違反行為期間と課徴金算定)について
1 違反行為期間について
⑴ 違反行為期間
ア 独占禁止法20条の6は,事業者が,同法19条の規定に違反する行為(同法2条9項5号に該当するものであって,継続してするものに限る。)をしたときは,公正取引委員会は,当該事業者に対し,「当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間」における「当該行為の相手方との間における政令で定める方法により算定した売上額(当該行為の相手方が複数ある場合は当該行為のそれぞれの相手方との間における政令で定める方法により算定した売上額又は購入額の合計額とする。)に百分の一を乗じて得た額に相当する額」の課徴金の納付を命じなければならない旨を定める。
イ このように,独占禁止法20条の6は,条文上,同法19条の規定に違反する行為である「当該行為」について,相手方が複数ある場合があり得ることを前提として定め,その場合における課徴金算定の基礎を,「当該行為のそれぞれの相手方との間における」売上額又は購入額の合計額であるものとするから,1個の違反行為につき相手方が複数ある場合における違反行為期間については,一律に認定することとして,始期である「当該行為をした日」とは,複数の相手方のうちいずれかの相手方に対して最初の当該行為をした日をいい,違反行為期間の終期である「当該行為がなくなる日」とは,複数の相手方の全ての相手方に対して当該行為が行われなくなった日をいうものと解するのが自然な解釈である。
また,同法20条の6所定の「当該行為」は,同法2条9項5号に該当する優越的地位の濫用行為であって,これを継続してするものであり,当該行為が,複数の相手方に対し,事業者の方針に基づき役員等の指示により組織的,計画的に一連の行為として行われるときには,全体として1個の違反行為がされたものと評価され得るところ,複数の相手方につき違反行為期間を一律に認定することは,優越的地位の濫用行為を規制する法の趣旨,すなわち,優越的地位の濫用行為がされると,取引の相手方の自由かつ自主的な判断による取引が阻害され,取引の相手方又は事業者がその各競争者との関係で不利又は有利となるおそれがあり,ひいては,公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれがあることから,これを不公正な取引方法として規制するという法の趣旨にも適うものといえる。
加えて,一律に違反行為期間を認定することは,違反行為を抑止するため,事業者に簡易迅速に金銭的不利益を賦課するという課徴金制度の趣旨にも沿うものといえる。すなわち,カルテルに係る課徴金制度について,最高裁判所平成14年(行ヒ)第72号同17年9月13日第三小法廷判決・民集59巻7号1950頁(以下「平成17年最判」という。)は「独禁法の定める課徴金の制度は,昭和52年法律第63号による独禁法改正において,カルテルの摘発に伴う不利益を増大させてその経済的誘因を小さくし,カルテルの予防効果を強化することを目的として,既存の刑事罰の定め(独禁法89条)やカルテルによる損害を回復するための損害賠償制度(独禁法25条)に加えて設けられたものであり,カルテル禁止の実効性確保のための行政上の措置として機動的に発動できるようにしたものである。また,課徴金の額の算定方式は,実行期間のカルテル対象商品又は役務の売上額に一定率を乗ずる方式を採っているが,これは,課徴金制度が行政上の措置であるため,算定基準も明確なものであることが望ましく,また,制度の積極的かつ効率的な運営により抑止効果を確保するためには算定が容易であることが必要であるからであって,個々の事案ごとに経済的利益を算定することは適切ではないとして,そのような算定方式が採用され,維持されているものと解される。そうすると,課徴金の額はカルテルによって実際に得られた不当な利得の額と一致しなければならないものではないというべきである。」と説示するところ,カルテルに係る課徴金の前記制度趣旨は,独占禁止法20条の6に基づく優越的地位の濫用に係る課徴金についても同様に妥当するものである。すなわち,優越的地位の濫用に係る課徴金についても,その摘発に伴う不利益を増大させて経済的誘因を小さくし,予防効果を強化することを目的として,設けられたものといえ,優越的地位の濫用禁止の実効性確保のための行政上の措置として機動的に発動できるようにしたものであり,算定基準も明確なものであることが望ましく,また,制度の積極的かつ効率的な運営により抑止効果を確保するためには算定が容易であることが必要であるといえる。
よって,1個の違反行為につき相手方が複数ある場合における違反行為期間においては,一律に,始期である「当該行為をした日」とは,複数の相手方のうちいずれかの相手方に対して最初の当該行為をした日をいい,違反行為期間の終期である「当該行為がなくなる日」とは,複数の相手方の全ての相手方に対して当該行為が行われなくなった日をいうものと解するのが相当である。
ウ また,独占禁止法20条の6が,「当該行為」について「第19条の規定に違反する行為(第2条第9項第5号に該当するものであって,継続してするものに限る。)」として,独占禁止法2条9項5号所定の異なる行為類型を区別することなく定めていること,同号ハ後段は「その他取引の相手方に不利益になるように取引の条件を設定し,若しくは変更し,又は取引を実施すること」と定め,ハ前段に該当しない全ての濫用行為としており,同号の文言からは,イ,ロ及びハで違反行為を認定することを規定しているとは認められないことからすると,優越的地位の濫用行為において,独占禁止法2条9項5号所定の異なる行為類型に該当する行為がされている場合においても,違反行為を同号所定の異なる行為類型ごとに捉えるのではなく,前記と同様に,当該濫用行為が事業者の方針に基づくものであり,役員等の指示に基づき組織的,計画的に,一連の行為として行われるときには,全体として1個の違反行為がされたものとして,一律に違反行為期間を認めるのが相当というべきである。
エ そして,先に判示したとおり,本件では,原告は,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して正常な商慣習に照らして不当に,独占禁止法2条9項5号イ又はロに該当する行為である本件各行為を,継続的に,原告の役員等の指示に基づき組織的,計画的に,一連の行為として取引相手である88社に対して行ってきたものであり,全体として優越的地位の濫用行為がされたものと認められるから,1個の違反行為として違反行為期間を検討し,88社の納入業者のうちいずれかに対して最初に当該行為をした日を違反行為期間の始期である「当該行為をした日」と認め,88社の全ての納入業者に対して当該行為が行われなくなった日を違反行為期間の終期である「当該行為がなくなる日」とそれぞれ認めることとなる。
⑵ 違反行為期間の始期
前記のとおり,本件においては,88社の納入業者のうちいずれかに対して最初に当該行為をした日を,違反行為期間の始期である「当該行為をした日」と認めるのが相当であるところ,証拠(査2)によれば,本件対象期間において,原告による88社の納入業者のうちいずれかに対して最初にされた本件各行為は,平成21年4月24日のスーパーアークス長都店の新規開店の際に,従業員等派遣を要請し,同月20日に納入業者の従業員等に商品の陳列作業等を行わせたことと認められる。
一方,平成21年改正法附則5条は,独占禁止法「20条の6(略)に規定する違反行為についてこれらの規定による課徴金の納付を命ずる場合において,当該違反行為が施行日前に開始され,施行日以後になくなったものであるときは,当該違反行為のうち施行日前に係るものについては,課徴金の納付を命ずることができない」と定めるところ,これによれば,同条項は,前記違反行為である優越的地位の濫用行為が,平成21年改正法の施行日前に開始され,施行日以後になくなる場合における経過措置を定めるものと解されるから,本件のように,優越的地位の濫用行為が平成21年改正法の施行日の前後にわたって継続する場合には,課徴金の算定の基礎となる違反行為期間は,施行日以後である平成22年1月1日以降の部分となるものと解される。
よって,本件において,課徴金算定の基礎となる違反行為期間の「始期」については,平成21年改正法の施行日である平成22年1月1日と認めるのが相当である。
⑶ 違反行為期間の終期
ア 前記のとおり,本件においては,88社の全ての納入業者に対して当該行為が行われなくなった日を,独占禁止法20条の6所定の違反行為期間の終期である「当該行為がなくなる日」と認めるのが相当であるところ,本件の「当該行為」は,原告の88社の納入業者に対する優越的地位の濫用行為であって継続的にしているものであり,組織的,計画的に行われた一連の行為が全体として1個の違反行為と評価されるものであるから,「当該行為がなくなる日」と認められるためには,このように評価される全体として1個の違反行為が,全ての納入業者との関係で行われなくなったと認められる日であることを要するものと解される。
イ この点に関し,事業者の違反行為が,組織的,計画的に行われる場合に,「当該行為が行われなくなった」とされるには,まずは,当該事業者における代表者等が,違反行為に該当する行為を今後行わないとの意思決定を行い,これを,内部的に,事業者の役員,従業員等に周知することを要するものと解される。また,事業者の違反行為が,独占禁止法20条の6所定の優越的地位の濫用行為で,継続してするものである場合には,優越的地位の濫用行為が,事業者において,自己の取引上の優越的地位を利用して正当な商慣習に照らして不当に,継続して取引する相手方に対し,従業員等派遣の提供をさせ,金銭の提供をさせ,又は,取引に係る商品以外の商品の購入をさせるなどの行為をすることであって(独占禁止法2条9項5号参照),事業者による要請と相手方からの提供又は購入等が予定される行為であることからすると,「当該行為が行われなくなった」とされるには,既に事業者が要請行為を行っている場合には,それに基づいて相手方からの提供又は購入等が行われることも想定されるから,そうした要請行為を解消することが必要であると解される。
ウ 前提事実5及び認定事実4によれば,原告は,①平成24年1月17日,被告による本件立入検査を受け,以後,本件各行為に係る要請はしなくなったが,②同月18日頃,原告の従業員に対して,《A3》会長名義で,同日付け文書を配布して,「公正取引に関する㈱ラルズの取組を再度見直し,新たな取組策を創り上げること」を目的として「公正取引推進委員会」を設立したことを通知し,③同月20日頃には,原告の従業員に対し,《A3》会長名義で同日付文書を配布して,本件検査の結果,「何等かの誤解や問題があるのであれば,それを真摯に受け止め,再発防止に全力を挙げて取り組むつもり」であること,従業員には「普段通り堂々と胸を張って,仕事をしていただきたい」と思っていること及び同日付けで「公正取引推進委員会」を設立したこと等を通知し,④同月23日には,経営会議を開催し,公正取引推進委員会において新たにルールを策定するまでは,公正取引委員会から疑いをかけられている行為を勝手に行わないこと等を各部署に対して周知することとし,同月28日に電子メールにより同経営会議における《A3》会長の発言記録が各部署に対して周知されたものの,⑤同月31日及び同年2月29日には,原告において本件立入検査の日より前に納入業者11社に対して提供要請をしていた平成23年創業祭協賛金について,うち8社からの振込みを受け,⑥同年2月24日には,紳士服販売キャンペーンに関して,原告の従業員に対し,「紳士服キャンペーン販売に関しての厳守事項」と称する文書を電子メールで送信して,「お取引先へのアプローチの禁止」等を通知し,⑦同年3月14日には,取締役会を開催して,被疑事実に係る行為の取りやめ及び再発防止に関する決意表明並びにその文書を取引先へ送付することについて決議し,仕入担当者の大半が出席した独占禁止法に係る社内研修において,同取締役会決議の内容について周知するとともに,同日,取引先である納入業者に対し,被疑行為を取りやめることを内容とする《A3》会長及び《A2》社長名義の「公正取引に関する御報告(被疑行為の停止について)」と題する文書を送付したものであり,⑧同月21日及び同月30日には,前記創業祭協賛金について,うち3社からの振込みを受けたが,⑨平成25年4月5日には,11社に対して,前記創業祭協賛金を返還したことが,それぞれ認められる。
そして,認定事実4⑸ア及びイのとおり,原告は,本件立入検査の日より前に,《納入業者(1)》等の11社に対し,平成23年の創業祭協賛金の提供を要請していたところ,同要請の支払期限がいずれも本件立入検査の日より後であり,《納入業者(1)》等の11社のうち8社は,その要請に従い,平成24年1月31日に《納入業者(86)》が50万円,同年2月29日に《納入業者(1)》,《納入業者(3)》,《納入業者(21)》,《納入業者(26)》,《納入業者(57)》,《納入業者(79)》,《納入業者(80)》が合計2950万円を振り込んで支払っているのであって,本件立入検査の日より前に行った要請行為の影響を解消しない限り,「当該行為が行われなくなった」とはいえないというべきである。
以上の事実のうち,①ないし③における原告の行為は,原告における代表者等が,違反行為に該当する行為を今後行わないとの意思決定を行ったものとはいえず,④の平成24年1月23日の経営会議及び同月28日の電子メールでは,公正取引委員会から疑いをかけられている行為を勝手に行わないこと等を内部的に各部署に周知するものではあるが,外部の取引先である《納入業者(1)》等の11社に通知して,先の要請行為を解消するものではないし,⑥同年2月24日の文書も,取引先へのアプローチの禁止等を内部的に通知したものにとどまるから,⑤のとおり既に支払を終えた《納入業者(1)》等の11社のうち8社を除くその余の3社に対して先の要請行為の影響を解消しておらず,いずれも「当該行為が行われなくなった」とは認め難い。他方,⑦同年3月14日に,取締役会において,被疑事実に係る行為の取りやめ及び再発防止に関する決意表明並びにその文書を取引先へ送付することについて決議し,社内研修において同決議の内容を周知するとともに,取引先である納入業者に対し,被疑行為を取りやめることを内容とする《A3》会長及び《A2》社長名義の文書を送付したことは,違反行為である被疑事実に係る行為の取りやめ等の意思決定を内部的に周知するとともに,外部の取引先である納入業者に対してもこれを通知したものであるから,先の要請行為を解消したものといえ,「当該行為が行われなくなった」と認めるのが相当である。なお,原告は,⑧同月21日及び同月30日には,前記創業祭協賛金について,うち3社からの振込みを受けているが,既に⑦の通知により違反行為の取りやめ等について納入業者に通知し,先の要請行為を解消したものといえるから,前記3社からの振込みをもって,原告の要請行為により提供させたものと認めることはできないというべきである。
よって,本件において,課徴金算定の基礎となる違反行為期間の「終期」については,前記⑦の前日である平成24年3月13日と認めるのが相当である。
⑷ 原告の主張について
ア 違反行為期間
(ア) 原告は,違反行為は取引の相手方ごとに捉えて課徴金を算定すべきであり,独占禁止法20条の6は,課徴金算定期間を「当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間」と定めており,「当該行為」との文言上,個々の優越的地位の濫用行為に着目して課徴金算定を行うことを想定していること,同条は,「当該行為の相手方が複数ある場合」について,「当該行為のそれぞれの相手方との間における…売上額又は購入額の合計額」とも規定しており,個々の取引の相手方に着目して課徴金算定を行うことを規定しているなどと主張する。
しかしながら,独占禁止法20条の6が定める「当該行為」は,条文上,「第19条の規定に違反する行為(第2条第9項第5号に該当するものであって,継続してするものに限る。)」を意味することは明らかであるところ,本件においては,前記のとおり,原告が,納入業者88社に対し,原告の優越的地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に独占禁止法2条9項5号イ又はロ(平成21年改正法の施行日前については,旧一般指定14項1号又は2号)に該当する行為を行っていたことが一体として優越的地位の濫用行為がされたものと評価され,同法19条の規制する行為に該当するものと認められるから,本件においては,相手方ごとに異なる「当該行為」があるものとはいえない。また,同法20条の6が「当該行為の相手方が複数ある場合は当該行為のそれぞれの相手方との間における」と定めていることからすると,同条項は,1個の「当該行為」について,相手方が複数ある場合をも想定しているものと解される。さらに,原告の主張するように個々の取引の相手方に着目して課徴金の算定を行うとすれば,簡易迅速に課徴金を算定・賦課することができなくなり,平成17年最判の判示する課徴金の制度趣旨に反することは先に判示したとおりである。よって,当該行為の相手方が複数ある場合には,違反行為期間についても一律に認定されるべきであり,違反行為を取引の相手方ごとに捉えて課徴金を算定すべきとする原告の主張を採用することはできない。
原告は,独占禁止法上,1個の優越的地位の濫用として規制するとしても,あくまで複数の不利益行為の集合体であることが前提であるから,むしろ課徴金の算定は相手方ごとに算定し,それを単純合算した金額を課徴金額として事業者に課するのが素直な解釈であると主張する。
しかしながら,先にも判示したとおり,原告の主張は,独占禁止法20条の6が定める「当該行為」が,「第19条の規定に違反する行為(第2条第9項第5号に該当するものであって,継続してするものに限る。)」を意味することと必ずしも整合しないものであり,また,違反行為を抑止し,事業者に簡易迅速に金銭的不利益を賦課するという平成17年最判の判示する課徴金制度の趣旨にも沿うものではないのであって,採用することはできない。
(イ) 原告は,複数の相手方に対する違反行為を相手方ごとに捉えるべきとの解釈は,違反行為を独占禁止法2条9項5号イないしハの行為類型ごとに捉えないことと矛盾しないと主張する。そして,違反行為を行為類型ごとに捉えない考え方は,被告においても特段争うものではなく,独占禁止法20条の6が,違反行為を「第2条第9項第5号に該当するもの」と定め,行為類型に応じた定め方をしていないこととも整合するものであると主張する。しかしながら,違反行為を行為類型ごとに捉えないことが,直ちに,複数の相手方に対する違反行為を相手方ごとに捉えるべきとの解釈の根拠となるものとはいえず,原告の主張は,合理的な根拠を欠くものである。
(ウ) 原告は,①課徴金制度は,対象者が違反行為により得た不当な利得のはく奪という側面を有しており,課徴金額を算定するに当たっては対象者が現実に不当に利得した金額に近似したものである必要があるところ,例えば,独占禁止法20条の5は,課徴金の算定においては再販売価格を拘束された「当該商品の売上額」を基準としており,この基準は再販売価格の拘束行為とそれによって得た利得との結びつきを考慮した仕組みとなっており,②優越的地位の濫用の課徴金制度についても,過去の違反事件において推計された優越的地位の濫用行為による不当な利益が取引額に占める割合を立法事実として,課徴金算定率を1%としており,このように,③独占禁止法20条の6は,優越的地位の濫用「行為」により違反者が得る不当な利得を考慮して課徴金の算定基準を定めていることから,個々の「行為」及び「相手方」ごとに課徴金を算定することを前提に規定されたと考えることが課徴金制度導入の趣旨とよく整合するなどと主張する。
しかしながら,個々の「相手方」ごとに「行為」及び違反行為期間としての始期及び終期を認定する算定方法は,「相手方」ごとに違反行為期間の認定が区々となり,売上額又は購入額の計上が複雑となって,課徴金の算定が困難となるものであり,機動的に発動されるべき行政上の措置であって算定基準の明確性や算定方法の簡明性が求められる課徴金制度の趣旨(平成17年最判参照)に必ずしも沿うものとは言い難い。原告は,相手方ごとに認定することで,より推計された利得額に近似した課徴金額になるなどと主張するが,優越的地位の濫用行為に係る課徴金は,当該行為のそれぞれの相手方との間における売上額又は購入額を算定基礎とし,これに算定率である1%を乗じて算定されるところ,実際の不当利得額と一致するように算定することは求められておらず,原告の主張は前提を欠く上,平成17年最判は,課徴金の算定方式においては,個々の事案ごとに経済的利益を算定することは適切でないとして,明確で簡明な算定方式が採用され維持されているものとしており,これによれば,優越的地位の濫用行為に係る課徴金の算定方式についても,個々の事案ごとに優越的地位の濫用行為により違反者が現実に不当に利得した金額に近似した額を算定することが,直ちに適切ということもできない。そして,そもそも,優越的地位の濫用行為の相手方が複数ある場合,当該行為が,継続的,組織的,計画的に一連の行為として行われ,公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれがあるものであるときには,当該行為は,一体として1個の違反行為であるものと認められるのであるから,個々の「相手方」ごとに優越的地位の濫用「行為」を細分化して検討し,個々の「相手方」ごとに違反行為期間の始期及び終期を認定して課徴金を算出することが,前記の違反行為が,一体として1個の違反行為と評価されることと必ずしも整合するともいえない。
よって,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
(エ) 原告は,平成17年最判は,独占禁止法7条の2第1項所定の「売上額」の解釈を示したものであり,違反行為の存在及び内容が画定された後の利益の算定方法に関するものであるのに対し,本件で問題となるのは,違反行為期間が一部存在しない相手方に関し,当該期間の取引額も課徴金算定の基礎に含めてよいとする解釈を正当化できるかどうかであるから,違反行為期間を取引の「相手方」ごとに捉えることは,平成17年最判と矛盾せず,このように捉えるとしても,「相手方ごと」に「当該行為をした日」と「当該行為がなくなる日」という一体評価基準を前提としても必ず行われる最低限度の事実の認定を求めるにすぎないなどと主張する。
しかしながら,平成17年最判は,前記「売上額」の解釈だけでなく,カルテルに係る課徴金制度が,違反行為抑止の実効性確保のための行政上の措置として設けられたもので,機動的に発動できるよう課徴金の算定基準の明確性や算定方法の簡明性が要請されることなどにも言及しており,このような課徴金制度の趣旨及び要請は,独占禁止法20条の6所定の優越的地位の濫用行為に係る課徴金制度においても,同様に妥当するものといえる。
そして,違反行為期間を,取引の「相手方」ごとに捉える場合には,「相手方」ごとに「当該行為をした日」と「当該行為がなくなる日」を認定することとなろうが,違反行為である優越的地位の濫用行為が広範囲に及び,公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれがあるときなどには,「相手方」ごとの違反行為期間の認定や売上額又は購入額の計上が多数かつ複雑となり,課徴金の算定が困難となるおそれがあり,かえって前記の課徴金制度の趣旨等にも反することになり得るところである。そうすると,平成17年最判が説示する課徴金制度の趣旨等に照らせば,1個の違反行為につき相手方が複数ある場合における違反行為期間については,一律に認定するのが相当というべきであり,取引の「相手方」ごとに捉えるべきものとする原告の主張を採用することはできない。
(オ) 原告は,本件審決が採用する一体評価基準を用いると,濫用行為を行っていない期間における取引金額もが課徴金の対象とされる点で不都合が生ずるとし,例えば,一律に違反行為期間を認定すると,相手方Aには3年間濫用行為を間断なく行い,相手方Bにはそのうち1年間のみ濫用行為を行う場合には,相手方Bについて濫用行為を行っていない2年間の売上額又は購入額が課徴金の算定基礎となり,不都合であるなどと主張する。
しかしながら,優越的地位の濫用行為が,複数の相手方に対して継続的,組織的,計画的に一連の行為として行われ,当該行為が一体として1個の違反行為であるものと認められる場合,事業者による濫用行為の態様や程度,収受される利得額等に関連するのは,相手方にかかわらず一律に認定される違反行為期間における事業者の取引額全体の多寡であるものと考えられる。また,前記違反行為期間中であれば,事業者は不利益行為を要請し得る状態にあり,相手方も不利益行為の要請を受け得る状態にあったものと解されるから,前記違反行為期間中に,相手方によっては現実に濫用行為を受けていない期間があるとしても,当該期間の取引額も課徴金の算定基礎とするのが合理的というべきである。よって,これを不都合とする原告の主張を採用することはできない。
(カ) 原告は,従前の法解釈や運用,同種法規制と比較すれば,違反行為を取引の相手方ごとに捉えることが合理的かつ妥当な解釈であると主張し,①入札談合事件に係る判例では,独占禁止法7条の2第1項所定の課徴金の対象となる「当該・・・役務」は,談合の基本合意の対象とされた商品役務のうち「本件基本合意に基づく受注調整等の結果,具体的な競争制限効果が発生するに至ったもの」についてのみであるとすること(最高裁判所平成22年(行ヒ)第278号同24年2月20日第一小法廷判決・民集66巻2号796頁),②排除措置命令との関係では,一体として評価された優越的地位の濫用が,独占禁止法25条1項に基づく損害賠償請求訴訟では,各相手方との間で個別に濫用行為が認定評価された裁判例があること(東京高等裁判所平成25年8月30日判決・判例時報2209号10頁等),③景表法に基づく課徴金納付命令においては,個別の行為ごとに,「課徴金対象行為をした期間」「最後に取引をした日」「課徴金対象期間」「売上額」「課徴金額」をそれぞれ認定して,課徴金の算定も個別に行っており,違反行為を一体的に評価していないことなどを主張する。
しかしながら,①入札談合行為は,一定の取引分野における競争を実質的に制限するものであり(独占禁止法2条6項),課徴金算定の基礎となる「商品又は役務」の売上額又は購入額の解釈においても,競争制限効果を要するものと解することが不合理とはいえないのに対し,優越的地位の濫用行為(同条9項5号)については,私的独占の予防規制とは位置付けられないものであり,その行為の性質等から,課徴金の算定において「相手方」ごとに売上額又は購入額を認定すべき合理的根拠を直ちに見出すことは困難である。また,②独占禁止法25条1項に基づく損害賠償責任は,事業者が被害者に対して個別に負うものであるから,被害者である相手方ごとに損害が個別に認定されることが合理的と解されるのに対し,優越的地位の濫用行為に係る課徴金は,機動的に発動されるべき行政上の措置として,算定基準の明確性や算定方法の簡明性が要請されるから,直ちに損害認定と同様に個別に認定されるべきものと解することはできない。そして,③ 景表法に基づく課徴金算定の基礎が,個別の行為(表示)ごとに認定されるとしても,直ちに,優越的地位の濫用行為に係る課徴金の算定において,「相手方」ごとに売上額又は購入額を認定すべき理由になるものともいえない。そうすると,従前の法解釈や運用,同種法規制と比較しても,優越的地位の濫用行為につき,「相手方」ごとに課徴金算定の基礎を認定すべきものと解することはできず,原告のこの点についての主張を採用することはできない。
イ 違反行為期間の始期
(ア) 原告は,独占禁止法20条の6の「当該行為をした日」とは,原告が,平成22年1月1日以降,初めて濫用行為を行った後,その結果が発生した日を指し,違反行為期間課徴金算定期間の始期はその日であると主張する。そして,具体的な違反行為期間課徴金算定期間の始期は,各納入業者につき,訴状別紙9「原告が主張する違反行為の始期」の「行為始期」欄記載の各日となり,最も早い始期は,平成22年3月14日(《納入業者(3)》及び《納入業者(86)》)であるとする。
しかしながら,前記のとおり,課徴金算定の基礎として「相手方」ごとに違反行為期間の始期及び終期を認定するのは相当でないから,かかる算定方法に従う原告の主張を採用することはできない。
また,先に判示したとおり,本件各行為は,平成21年4月24日のスーパーアークス長都店の新規開店の際に従業員等派遣要請をして以降,継続的に,原告の役員等の指示に基づき,組織的,計画的に,一連の行為として取引相手である88社に対して行われたものであるところ,前記のとおり,平成21年改正法附則5条は,独占禁止法「20条の6(略)に規定する違反行為についてこれらの規定による課徴金の納付を命ずる場合において,当該違反行為が施行日前に開始され,施行日以後になくなったものであるときは,当該違反行為のうち施行日前に係るものについては,課徴金の納付を命ずることができない」と定めており,これによれば,同条項は,前記違反行為である優越的地位の濫用行為が,平成21年改正法の施行日の前後にわたる場合における経過措置を定めるものと解されるから,本件のように,優越的地位の濫用行為が平成21年改正法の施行日の前後にわたって継続する場合には,課徴金の算定の基礎となる違反行為期間は,施行日以後である平成22年1月1日以降の部分となり,その場合,違反行為期間の始期は,同日となるものと解される。よって,違反行為期間の始期を同年3月14日とする原告の主張を採用することもできない。
(イ) 原告は,独占禁止法20条の6所定の「違反する行為」とは,同法2条9項5号に該当する行為であり,同号は平成21年改正法施行前には存在せず,同等の規定として旧一般指定第14項や特殊指定が存在しただけであるから,平成21年改正法の施行日の前後をまたいで違反行為が継続しているとして施行日を課徴金算定の始期とすることはできないと主張する。そして,累積違反の課徴金に係る平成21年改正法附則8条には「相当するもの」という文言がある一方で,同法附則5条には,このような文言がなく,施行日前から違反要件規定が存在した独占禁止法7条の2第4項についてのみ意味を持つこととなるから,同法2条9項5号については,経過規定はないものと解されるなどと主張する。
しかしながら,平成21年改正法附則5条は,その文言上,独占禁止法20条の6等に規定する違反行為に係る課徴金の納付に関し,当該違反行為が施行日前後にわたる場合について定めるものと解され,当該違反行為である同法2条9項5号に定める優越的地位の濫用行為は,平成21年改正法施行前においても,旧一般指定第14項により不公正な取引方法として規制されていたから,前記附則5条は,かかる優越的地位の濫用行為が前記施行日の前後にわたる場合における経過措置を定めたものと解するのが相当である。原告は,前記附則8条との対比から,前記附則5条には,独占禁止法2条9項5号に関する経過規定はないなどと主張するが,前記施行日の前後に同一の行為が継続する場合について定める前記附則5条と,別個の行為について定める前記附則8条の規定を対比することは相当ではなく,原告の主張を採用することはできない。
ウ 違反行為期間の終期
(ア) 原告は,終期について,①課徴金算定期間となる違反行為期間の終期である「当該行為がなくなる日」とは,文言どおり「当該行為」である独占禁止法2条9項5号イないしハが定める行為がなくなる,すなわち,優越的地位の濫用の規制に係る要件の一部でも満たさなくなった場合を指すと解するのが素直な解釈であるから,その終期は,「行為」に着目して判断すべきであり,遅くとも,その後において,濫用行為が行われる可能性が事実上なくなった日と解すべきであり,さらに,独占禁止法20条の6は,優越的地位の濫用「行為」により違反者が得る不当な利得を考慮して課徴金の算定基準を定めているから,濫用行為が行われる可能性が事実上なくなった日以降については,課徴金を課す正当化根拠も失われる,②本件審決が掲げる要件A(違反行為者の代表者等が,継続的な違反行為に該当する行為を今後禁止する旨の意思決定を行い,かつ,役員及び従業員等に周知すること)及び要件B(既に違反行為者が行った不利益な要請に対して,当該要請の相手方においてこれに応じることがないような対策を伴うこと)は,いずれも独占禁止法20条の6の「当該行為がなくなる」という法文からはおよそ読み込めない不明確な要件であり,特に要件Bは,何をもって前記対策となるのか全くもって不明であるし,結局,取引の相手方において不利益な要請に応じる可能性をなくすこと,すなわち,既に終了した違反行為によって生じた悪影響を除去せよということに等しく,行為が全くないのに影響だけが残っている場合に,当該行為がなくなっていないとするものであり,不可能な解釈であるなどと主張する。
しかしながら,違反者が得る不当な利得が課徴金の算定基準であるものとする原告の主張は,先に⑷ア(ウ)で判示したとおり,平成17年最判の説示等に照らし,直ちに採用することはできない。また,前記のとおり,独占禁止法20条の6所定の優越的地位の濫用行為で,継続してするものである場合には,優越的地位の濫用行為は,事業者による要請と相手方からの提供又は購入等が予定される行為であることからすると,「当該行為がなくなる」とされるには,当該事業者において,違反行為を今後行わない旨の意思決定をすることだけでなく,既に事業者が要請行為を行っている場合には,それに基づいて相手方からの提供又は購入等が行われることも想定されるから,そうした要請行為を解消することが必要であると解される。本件審決にいう要件Bは,表現こそ異なるものの,同旨をいうものとして首肯でき,このように解することが,法文からはおよそ読み込めない不明確な要件と解することはできない。
(イ) 原告は,本件へのあてはめについて,前記事実関係からすれば,①違反行為期間の終期は,被告の主張する法解釈によっても,平成24年1月17日に《A3》会長(原告の代表取締役会長)が違反行為に該当する行為を今後禁止する旨の意思決定をし,翌18日の午前にはそれを原告の役職員に周知したことから,その前日である平成24年1月17日が終期となり,②仮に,平成24年1月17日が終期と認められなくとも,同月23日の経営会議は取締役会の出席者を含め原告の主要幹部が出席する重要な会議体であり,同会議において,本件各行為を即刻中止する旨の意思決定が改めてなされ,それが,役員,部課長職といった主要幹部に周知徹底されたから,同日には既に違反行為者が行った不利益な要請行為に対して,当該要請の相手方においてこれに応じることがないような対策が講じられており,違反行為は取り止められおり,遅くとも同月22日よりも課徴金算定期間の終期が遅れることはないなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,平成24年1月18日の《A3》会長による通知が,違反行為に該当する行為を今後行わないとの意思決定を行ったものとまで認めるには足りず,同月23日の経営会議では,公正取引委員会から疑いをかけられている行為を勝手に行わないこと等を内部的に各部署に周知するものではあるが,外部の取引先である納入業者に通知して既にした要請行為を解消するものとはいえず,先に判示したとおり,同月31日及び同年2月29日に,納入業者8社から創業祭協賛金の振込みがされたことに照らしても,既になした要請行為に対して相手方が応じることがないように要請行為を解消したとはいい難く,当該行為が行われなくなったものとはいい難い。よって,課徴金算定期間の終期が,同月22日よりも遅れることがないとする原告の主張を採用することはできない。
また,原告は,平成24年1月17日又は遅くとも同月22日までには,違反行為の中止決定,及び,納入業者の受入禁止が周知徹底されていたことについては,(a)平成24年1月下旬頃,《A4》常務が副委員長を務める公正取引推進委員会に対し,原告従業員から,同年2月に予定している原告店舗内の売場変更の計画について納入業者に対する従業員等の派遣要請を含め,どのように売場変更を実施すれば良いのかなどといった問合せがあったのに対し,同委員会の検討の結果,売場変更自体を取りやめていたこと(査262),同年1月下旬頃,他店舗から紳士服販売キャンペーンを実施するに当たり,納入業者に販売の案内を実施してよいかとの問合せが同委員会にあったのに対し,同委員会の検討の結果,納入業者への紳士服の購入要請は一切行わず,また,営業部門からのダイレクトメールの送付も行わない旨の決定がされたこと(査262),そして,これに基づき同年2月22日には,原告の各商品部のバイヤー等を含む従業員に対し,「紳士服キャンペーン販売に関しての厳守事項」と称する文書を電子メールで送信し,同文書には,「①お取引先へのアプローチの禁止」,「口頭,電話,メール等による案内も一切できません」との記載がされたほか,「バイヤー(仕入に関わる人。衣料以外も該当。),及び他の部署の社員も上記に準じての対応をお願いします」との記載もなされたこと(審20の1ないし審20の3),(b)《A1》専務は,本件立入検査前に創業祭協賛金の振込みを依頼していた《事業者J》から,本件立入検査後に同振込をどうすればよいかと相談された際,創業祭協賛金の支払を断っていること(査217)などの事実に現れているなどと主張する。
しかしながら,原告が,平成24年1月下旬頃,売場の変更や紳士服販売キャンペーンの実施に関する問合せに対して前記の対応をし,従業員等に対して納入業者への案内を禁止する旨を周知したとしても,既に《納入業者(1)》等の11社に対して行っていた平成23年の創業祭協賛金の提供要請を撤回しておらず,その要請行為を解消したものとまではいえず,そのため,同月31日及び同年2月29日には,納入業者8社から創業祭協賛金の振込みがされ,平成25年4月に被告から指摘を受けて返還するまで,原告がこれを保持していたことに照らしても,前記の対応によって既にした要請行為を解消したものとはいい難い。原告は,《A1》専務が,《事業者J》に対して創業祭協賛金の支払を断ったことをもいうが,同社が,原告が違反行為を行った相手方88社ではないことに照らすと,既にした要請行為を解消したともいい難い。よって,原告の主張を採用することはできない。
さらに,原告は,本件立入検査後の創業祭協賛金の入金及び同協賛金の返金に至る経緯は,不利益な要請に対して相手方が応じることがないよう対策を講ずるとの要件の充足を阻害するものではなく,原告は,前記入金の事実を平成25年4月1日に初めて把握したが,これは,本件立入検査以降,被告への報告書の作成等の業務が深夜に及ぶなどし,各種リベートの入金状況を把握し,それら入金が創業祭協賛金に当たるかどうかまで確認を行うことができるような業務状況にはなく,また,被疑行為の取りやめが全社的に周知されたことにより,経理部から商品部への創業祭協賛金の入金確認も行われなくなったため,創業祭協賛金が未払となっている納入業者の抽出及び当該抽出に基づく協賛金の辞退申入れまで対応が至らず,結果的に本件立入検査後の入金の存在が見落とされたことによるのであり,むしろ,《A1》専務は,本件立入検査前に要請をしていた創業祭協賛金について,《事業者J》からの支払を断ったし,被告の連絡窓ロの《氏名略》も,被告から前記入金を指摘され,対応を問われるや,迅速にこれに返金しているから,原告の対応は,原告内において本件立入検査より前に既に依頼済みであった創業祭協賛金であったとしても本件立入検査後に受領し,保持してはならないことが当然の認識として共有されていたといえるなどと主張する。
しかしながら,原告が,本件立入検査後に,原告が主張するような業務の状況にあり,また,原告が,平成25年4月に被告から創業祭協賛金の入金を指摘されたのに対して迅速に返還したとしても,本件立入検査前に要請していた創業祭協賛金が平成24年1月31日及び同年2月29日に振り込まれたことについて,これが原告による従前の不利益な要請に納入業者が応じたのではないと解することは困難であり,原告において,それまでに,既に《納入業者(1)》等に対して行っていた平成23年の創業祭協賛金についての要請行為を解消していたと認めることもできない。《A1》専務による前記対応は,原告の不利益行為の相手方である88社の納入業者でない会社に対するものであり,本件立入検査後の創業祭協賛金の入金及び返金の経緯が,不利益な要請に対して相手方が応じることがないよう対策を講ずるとの要件の充足を阻害しないとする原告の主張は,前提が異なり,採用することはできない。
(ウ) 原告は,独占禁止法20条の6は,同法19条に違反する「当該行為」を課徴金の対象としているため,①最後に濫用行為が行われた日(若しくはその結果が発生した日)と評価できなければ常に終期が認められないとする解釈は妥当ではなく,これに先立って②濫用行為が行われる可能性が事実上なくなっている場合には,既に終期が到来したと評価するのが相当であると主張する。そして,濫用行為を構成する事業者の働きかけがなくなったにもかかわらず,その結果が発生しないことが確定するまで終期が到来しないことは妥当ではなく,また,公正な取引競争が阻害されることを防止するという独占禁止法の目的に照らしても,濫用行為が将来的に行われる可能性が事実上なくなったことをもって同目的が達成されるのであり,さらに,被告においても,終期認定の規範を,違反行為者の代表者等が,継続的な違反行為に該当する行為を今後禁止する旨の意思決定を行い,かつ,役員及び従業員等に周知すること(要件A)を原則としており,濫用行為の結果が発生した後でなければ終期を認定できないとはしていないとして,平成24年2月29日より後の時期を終期とすることはできないなどと主張する。
しかしながら,前記のとおり,本件では,独占禁止法20条の6の「当該行為」は,原告の88社の納入業者に対する優越的地位の濫用行為であって,継続的,組織的,計画的に行われる一連の行為であり,優越的地位の濫用行為が,事業者において,自己の取引上の優越的地位を利用して正当な商慣習に照らして不当に,継続的な取引の相手方に対し,従業員等派遣の提供をさせ,金銭の提供をさせ,又は,取引に係る商品以外の商品の購入をさせるなどの行為をすることであって,これが,事業者による不利益行為の要請と,これに応じた相手方からの提供又は購入等が予定される行為であることからすると,「当該行為がなくなる」と認められるためには,既に事業者が継続的な取引の相手方に対し,前記のような提供又は購入等を要請している場合においては,(ア)単に,当該事業者の代表者等が,違反行為に該当する行為を今後行わないとの意思決定を行い,内部的に周知するだけでは足りず,従前の不利益行為の要請に応じた相手方からの提供がされないよう,(イ)既にした提供又は購入等の要請行為を解消する要があるものと解するのが相当である。そして,本件の認定事実によれば,このような観点から「当該行為がなくなる日」と認めることができるのは,原告の取締役会決議により,原告が違反行為に該当する行為を今後行わないとの意思決定をし,内部的に周知するとともに,外部的にも取引先である納入業者に通知をした日の前日である平成24年3月13日であるものと認められるから,原告の主張を採用することはできない。
2 課徴金の算定について
前記1によれば,課徴金算定の基礎となる違反行為期間の始期は,平成22年1月1日と,違反行為期間の終期は,平成24年3月13日とそれぞれ認めるのが相当である。また,前提事実4によれば,違反行為期間における原告の88社との間における商品の購入額を独占禁止法施行令30条2項の規定に基づき算定すると,別紙2の「購入額」欄記載のとおりとなり,その合計額は1287億1385万0942円となる。したがって,独占禁止法20条の6,20条の7,7条の2第23項の規定により課徴金の額を算定すると,12億8713万円となる。
第10 小括
1 本件排除措置命令について
前記のとおり,原告は,納入業者である88社に対する優越的地位を利用して,正常な商慣習に照らして不当に,継続して取引する相手方に対して,当該取引に係る商品又は役務以外の商品または役務を購入させ,また,継続して取引する相手方に対して,自己のために金銭,役務その他の経済上の利益を提供させていたものと認められ,当該行為は,独占禁止法2条9項5号イ又はロ(平成21年改正法の施行日前については,旧一般指定14項1号又は2号)に該当する行為であり,独占禁止法19条の規定に違反する行為である。そして,原告は,当該行為を平成24年3月14日以降は行っていないが,それまで長期間にわたって行っており,公正取引委員会による審査開始を契機として取りやめたことなどの事情を総合的に勘案すれば,原告については,独占禁止法20条2項,7条2項に基づき,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
したがって,本件排除措置命令は適法であるから,原告の本件排除措置命令に係る審判請求は理由がなく,これを棄却した本件審決の取消しを求める本件請求は理由がない。
2 本件課徴金納付命令について
前記のとおり,原告は,独占禁止法19条の規定に違反する行為(同法2条9項5号に該当するものであって,継続してするもの)をしたものである。そして,原告が国庫に納付すべき課徴金の額は,課徴金算定の基礎となる違反行為期間である平成22年1月1日から平成24年3月13日までの期間における納入業者88社との間における商品の購入額の合計1287億1385万0942円を基礎とし,独占禁止法20条の6,20条の7,7条の2第23項の規定に従い,前記合計額に100分の1を乗じて得た額のうち1万円未満の端数を切り捨てて算定される額である課徴金12億8713万円となる。
したがって,原告に対してこれと同額の課徴金の納付を命じた本件課徴金命令は適法であるから,原告の本件課徴金命令に係る審判請求は理由がなく,これを棄却した本件審決の取消しを求める本件請求は理由がない。
第11 結論
したがって,原告の本件請求は理由がないから,棄却することとして,主文のとおり判決する。

注釈 《 》部分は,公正取引委員会事務総局において原文に匿名化等の処理をしたものである。

令和3年3月3日

東京高等裁判所第3特別部
裁判長裁判官 深見敏正
裁判官    原 道子
裁判官    内田博久
裁判官    菊池絵理
裁判官    澤田久文


別紙1
当  事  者  目  録
札幌市中央区南十三条西十一丁目2番32号
原告  株式会社ラルズ
同代表者代表取締役  《氏名》
同訴訟代理人弁護士  浦中裕孝
同          本村 健
同          大櫛健一
同          永口 学
同          藤田浩貴
同          蛯原俊輔
同訴訟復代理人弁護士 堀  譲
同          堀 優夏
東京都千代田区霞が関1丁目1番1号
被告  公正取引委員会
同代表者委員長    古谷一之
同指定代理人     宮本信彦
同          榎本勤也
同          堤 優子
同          鵜飼正明
同          大矢一夫
同          近藤彩夏









別紙5
第1 《納入業者(1)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(1)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に菓子を納入していた。同社は,平成17年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であった。同社の平成21年(1月1日に始まり同年12月末日に終わる。),平成22年(1月1日に始まり翌年3月末日に終わる。)及び平成23年(4月1日に始まり翌年3月末日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であった。(査4)
(2) 各事業年度における原告に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はいずれも約11%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査4)
(3) 《納入業者(1)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は主に札幌及び室蘭)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約16%,約15%,約15%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査4)
(4) 《納入業者(1)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,前記《略》支社を含めて5拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,前記《略》支社であった。
《納入業者(1)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査4)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(1)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(1)》の前記《略》支社の《略》は,①《納入業者(1)》が原告との取引を失った場合にそれを回復できるだけの取引規模を持った取引先としては,《事業者C》と《事業者B》があるが,前者とは既に取引をしており,後者については,《納入業者(1)》の親会社が既に取引を行っていることから新規に取引を開始することができず,《納入業者(1)》としては原告との取引を失った場合,それを回復することはできない,②北海道内に店舗を展開している小売業者のうち全国展開している小売業者は全国規模の取引となるため,北海道内のみで営業を行っている《納入業者(1)》では,そのような小売業者と新規に取引することは困難であり,原告との取引がなくなった場合,既存の取引先との取引量を増加させることは可能であるものの,原告に対する売上高と同規模の売上高まで増加させることは大変困難であるとする。(査4,査294)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(1)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査4)
第2 《納入業者(2)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(2)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に納豆を納入していた。同社は,平成11年5月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査5の1)
(2) 《納入業者(2)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.3%又は約0.5%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第51位ないし第94位であった。(査5の1)
(3) 《納入業者(2)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に北海道)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約11%ないし約18%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第1位又は第3位であった。(査5の1)
(4) 《納入業者(2)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,前記《略》営業所を含めて17拠点であった。
《納入業者(2)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査5の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(2)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査5の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(2)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査5の1)
第3 《納入業者(3)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(3)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に日用品を納入していた。同社は,平成14年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査6の1及び2)
(2) 《納入業者(3)》の平成22年及び平成23年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約0.3%であった。(査6の1及び2)
(3) 《納入業者(3)》の原告に対する前記(2)の年間売上高のいずれも約80%に当たる約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は主に札幌市,小樽市,江別市,千歳市〔平成22年9月以前〕及び恵庭市〔同〕)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.6%又は約4.2%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第6位であった。また,同社の原告に対する前記(2)の年間売上額のいずれも約20%に当たる約《金額》円は,同社の《略》支店(営業区域は主に函館市〔平成23年10月以降〕,室蘭市,苫小牧市,千歳市〔平成22年9月以降〕及び恵庭市〔同〕)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.3%又は約4.2%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第7位であった。(査6の1及び2)
(4) 《納入業者(3)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店及び《略》支店を含めて89拠点であった。
《納入業者(3)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。
また,《納入業者(3)》の《略》支社支社長は,①同社の《略》支社の売上高は同社全体の売上高の10%近くを占めており,同支社は同社にとって重要な営業拠点であるところ,同支社の《略》支店の売上高は同支社の売上高の約65%を占め,《略》支店も売上高が同支社の約13%を占めていることから,同支社にとって《略》支店及び《略》支店ともに重要な支店である,②同社全体の売上高に占める両支店の売上高の割合は少ないが,POSデータや本社の営業活動だけでは把握できない地域のニーズを把握し迅速に対応するためには,その地域に営業拠点が所在している必要があることからも,両支店は,同社にとって重要な営業拠点であるとする。(査6の1及び2,査91)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(3)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(3)》の《略》支社支社長は,仮に,同社が原告との取引を失った場合,同社は,ほとんどの大手総合スーパー,ホームセンター,ドラッグストア等と既に取引を行っているため,新規取引先の開拓でそれを補うことは困難であり,既存の取引先も,リスク管理の観点から,仕入先を同社だけに絞ってくれることはあり得ず,競合他社との競争が激しいことから,既存の取引先に対する売上高を拡大することで補うことも困難であるとする。(査6の1,査91)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(3)》は,取引重要性等の設問に対し,「いいえ」を選択している。(査6の1)
第4 《納入業者(4)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(4)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果を納入していた。同社は,昭和50年前後に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は平成22年12月26日までは約《金額》円,同月27日以降は《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査7の1及び2,査485)
(2) 《納入業者(4)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.7%ないし約6.3%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位であった。
《納入業者(4)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択しているが,同社の代表取締役会長は,その理由について,設問の「他の取引先に比して」を取引先であるスーパーの中で比較すると捉えたことによるものであり,この設問が同社の全ての取引先との比較を問うものであることを理解していれば,原告に対する取引額は大きいので「はい」を選択したとする。(査7の1及び2,査485)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(4)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(4)》の代表取締役会長は,その理由について,同社が扱う果実は,どの競争業者であっても同じものを納入することができるため,同社が新規の取引先に対し,既存の納入業者から同社に乗り換えてもらえるような提案をすることは難しく,同社にとって年間売上高を格段に伸ばすことは簡単ではない状況にあったなどとする。(査7の1,査485)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(4)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査7の1)
第5 《納入業者(5)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(5)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に鮮魚を納入していた。同社は,平成14年5月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査8の1及び2)
(2) 《納入業者(5)》の平成21年から平成23年まで(いずれも2月2日に始まり翌年1月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約2.9%ないし約4.3%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位又は第7位であった。(査8の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(5)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(5)》の代表取締役専務は,同社において,原告との間の売上高と同等かそれ以上の取引先を見つけることは容易ではないとする。(査8の1,査298)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(5)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査8の1及び2)
第6 《納入業者(6)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(6)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に精肉,日配及び乳製品を納入していた。同社は,昭和51年頃に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査9の1及び2)
(2) 《納入業者(6)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約1.7%ないし約2.0%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社中の上位第6位であった。なお,平成22年度及び平成23年度における取引先事業者数は約《取引先数》社又は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における原告の順位は,本件証拠上,明らかではない。(査9の1及び2)
(3) 《納入業者(6)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業部《略》課(営業区域は主に北海道のチェーンストアである。)によるものであるところ,各事業年度における同部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約14%又は約15%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査9の1及び2)
(4) 《納入業者(6)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業部《略》課を含めて11拠点であった。
《納入業者(6)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査9の1及び2)
また,《納入業者(6)》の《略》営業部《略》は,小売業者に対する営業は,小売業者から何らかの要望があればすぐに駆けつけて対応したり,日々小売業者に足を運んで商品の提案をしたりなどの積み重ねであることから,北海道で事業を行うためには北海道に拠点を置く必要があり,同社の《略》営業部はなくてはならない営業拠点であるとする。(査9の2,査487)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(6)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(6)》の《略》営業部《略》は,①同社は,既に北海道地区の有力な小売業者と取引をしているため,原告に対する売上高に相当する新規取引先は存在せず,複数の小規模な小売業者と取引を開始するにしても,既に競争業者と取引している取引先に新規に取引を持ちかけるとなると,人員,経費面から考えて現実的ではない,②既存の取引先に対する売上高増加によって原告に対する売上高をカバーすることは困難である,③同社は販売機能だけでなく製造工場も有するところ,仮に原告との取引がなくなり,原告向けの商品が製造できなくなってしまった場合,同社の小樽工場の稼働率が下がり,工場の生産性にも影響し,製造ラインの見直しなども考える必要が生じる旨,及び,④そのようにならないために原告に代わる取引先を探すなど売上減少分を補うよう努力することになるが,それは相当に困難であるとする。(査9の1,査487)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(6)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査9の1)
第7 《納入業者(7)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(7)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に精肉を納入していた。同社は,平成元年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査10)
(2) 《納入業者(7)》の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり平成22年2月末日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.4%ないし約4.8%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第5位であった。(査10)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(7)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査10)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(7)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査10)
第8 《納入業者(8)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(8)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に野菜を納入していた。同社は,昭和62年5月頃に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査11の1)
(2) 《納入業者(8)》の平成20年から平成22年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約30%又は約31%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった(ただし,平成20年7月1日に始まり平成21年6月30日に終わる事業年度における取引先事業者数は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における原告の順位は,本件証拠上,明らかではない。)。(査11の1,査488)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(8)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(8)》の代表取締役社長は,取引依存度が約30%である原告との取引を失った場合,それに代わる売上高を他の取引先で補うのは無理であり,大幅な人員削減といった経営規模を縮小せざるを得ないとする。(査11の1,査488)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(8)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査11の1)
第9 《納入業者(9)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(9)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果,菓子及び調味料を納入していた。同社は,平成元年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査12の1)
(2) 《納入業者(9)》の平成21年から平成23年まで(いずれも2月21日に始まり翌年2月20日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約16%ないし約19%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査12の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(9)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(9)》の《略》課長は,①同社は既に北海道内におけるほとんどの小売業者との間で取引を行っており,同社と取引していない小売業者の中で原告ほどの規模の小売業者はいないため,原告に対する売上高と同程度の売上高を確保できる新規の取引先を見つけることは困難である,②既存の取引先の中で売上高を伸ばして原告に対する売上高と同程度の売上高をカバーするとしたら,新規の事業を立ち上げて商品を売り込む以外に方法はないとする。(査12の1,査300)
なお,原告は,前記の《略》課長の供述することは(査300),専務からの伝聞として述べるにとどまるから信用性を欠くなどと主張する。しかしながら,《略》課長は,長年営業部に在籍し,原告を含む取引先との取引を担当してきた者であり,前記の供述は,同人が,営業部門の責任者である専務取締役から聞いた内容について,自身の経験等をも踏まえて述べたものと解するのが相当であるから,伝聞を含むことをもってその信用性を否定することはできないというべきである。よって,原告の主張を採用することはできない。
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(9)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査12の1及び2)
第10 《納入業者(10)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(10)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に雑誌を納入していた。同社は,平成3年12月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査13の1)
(2) 《納入業者(10)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.3%又は約8.5%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査13の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(10)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(10)》の《略》課長は,原告に代わり得る取引先として2事業者が該当するが,1社とは既に取引をしており,もう1社とは《納入業者(10)》の親会社との関係から新規に取引を開始することはなく,また,雑誌業界全体として先細りの状況にあるため,原告に代わり得る小売業者を見つけることは困難であるとする。(査13の1,査302)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(10)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査13の1)
第11 《納入業者(11)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(11)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に海産物を納入していた。同社は,平成2年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査14の1及び2)
(2) 《納入業者(11)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.3%ないし約9.4%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査14の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(11)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可,③原告との取引に関連して他の取引先に転用できない投資を行っているためとの回答を選択している。
また,《納入業者(11)》の代表取締役社長は,新規の取引先を獲得することや既存の取引先への売上増を図ることは非常に困難であるため,同社の取引依存度が8%から9%である原告との取引を失った場合,それに代わる売上げを他の取引先で補うのは不可能であるとする。(査14の1,査489)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(11)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査14の1)
第12 《納入業者(12)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(12)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に日用品を納入していた。同社は,平成15年11月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査15)
(2) 《納入業者(12)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約1.9%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第9位ないし第16位であった。(査15)
(3) 《納入業者(12)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》駐在営業所(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.2%ないし約8.7%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第4位ないし第6位であった。(査15)
(4) 《納入業者(12)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》駐在営業所を含めて2拠点であった。
《納入業者(12)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査15)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(12)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査15)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(12)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査15)
第13 《納入業者(13)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(13)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に和日配チルド麺を納入していた。同社は,平成15年9月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査16の1及び2)
(2) 《納入業者(13)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約6.7%又は約7.0%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査16の1)
(3) 《納入業者(13)》の原告に対する売上げを計上している営業拠点として,同社の本社(《略》営業所)(営業区域は主に道央及び道南である。)があった。(査16の1及び2)
(4) 《納入業者(13)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて8拠点であった。(査16の1及び2,査305)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(13)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(13)》の《略》営業所チーフは,同社が取引を行っていない小売業者の中で,原告に匹敵するところはなく,既存の取引先に対する売上高も既にある程度のシェアを有していることから,仮に原告との取引がなくなった場合,年間約《金額》円の原告に対する売上高を他の取引先でカバーすることは困難であるとする。(査16の1,査305)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(13)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査16の1)
第14 《納入業者(14)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(14)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に豆腐を納入していた。同社は,平成7年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査17の1及び2)
(2) 《納入業者(14)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約16%ないし約18%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査17の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(14)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査17の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(14)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査17の1)
第15 《納入業者(15)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(15)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に漬物を納入していた。同社は,昭和48年6月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であった。同社の平成21年及び平成22年(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)並びに平成23年(1月1日に始まり同年9月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であった。(査18の1及び2)
(2) 各事業年度における原告に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約2.9%,約3.0%,約6.1%であり,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第3位又は第5位であった。
なお,原告は,前記順位である《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第3位又は第5位について,当初の報告書(査18の1)では《事業者C》や《事業者K》との取引が含まれていないから,当該順位は正確でないなどと主張する。しかし,当該順位は,直接取引におけるものであるのに対し,《納入業者(15)》は,前記2社とは間接取引をしていたから(査92),当該順位において前記2社との取引が考慮されていないとしても,特段不当ということはできず,原告の主張を採用することはできない。(査18の1,査92)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(15)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(15)》の専務取締役兼《略》部長は,原告は北海道における食品スーパーの中で勢いのある事業者であり,大事な取引先であるところ,原告との取引がなくなれば,原告に代わる取引先3社のうち,2社とは既に取引をしており,取引をしていない1社については,既に競合他社が食い込んでおり,そこに《納入業者(15)》が食い込むのは困難な状況であることから,同社がこれら3社との取引で原告との取引で失った分を穴埋めすることは困難であり,そのような事態になれば,《納入業者(15)》にとって事業経営上かなり厳しい状況に置かれることになるとする。(査18の1,査92)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(15)》は,取引重要性等の設問に対し,「いいえ」を選択しているが,同社の専務取締役兼《略》部長は,この設問が,同社にとって原告との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すほど,原告と取引することの重要性及び必要性があるかとの認識の有無を問うものであれば,「はい」を選択したとする。(査18の1,査92)
第16 《納入業者(16)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(16)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に漬物を納入していた。同社は,平成15年6月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査19の1)
(2) 《納入業者(16)》の平成21年から平成23年まで(いずれも5月1日に始まり翌年4月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約7.9%ないし約11%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査19の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(16)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(16)》の専務取締役は,原告に対する取引がなくなれば,北海道内で原告に代わる取引先とは既に取引をしており,これらの取引先との取引で原告に対する取引を穴埋めすることは困難であり,同社にとって事業経営上かなり厳しい状況に置かれることになるとする。(査19の1,査93)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(16)》は,取引重要性等の設問に対し,「いいえ」を選択しているが,同社の専務取締役は,当該設問が,同社にとって原告との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すほど,原告と取引することの重要性及び必要性があるかとの認識を問うものであれば,「はい」を選択するとする。(査19の1,査93)
第17 《納入業者(17)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(17)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む有限会社であり,原告に対して主に青果を納入していた。同社は,平成8年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査20)
(2) 《納入業者(17)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約29%ないし約38%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査20,査491)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(17)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(17)》の代表取締役は,同社は平成25年6月に原告との取引を終了したところ,原告に対する売上げを失ったことは大きな打撃であり,新たな取引先を確保することも,既存の取引先に対する売上げを伸ばすことも困難であったことなどから,平成27年3月末をもって廃業する予定であるとする。(査20,査491)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(17)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査20)
第18 《納入業者(18)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(18)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に水産品,鮮魚及び青果を納入していた。同社は,平成元年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査21)
(2) 《納入業者(18)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約0.8%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第21位ないし第23位であった。(査21)
(3) 《納入業者(18)》の原告に対する前記(2)の年間売上高の約44%ないし約46%に当たる約《金額》円又は約《金額》円は同社の本社(《略》部)(営業区域は道内を中心として全国各地である。)によるものであるところ,各事業年度における本社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約1.2%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。また,同社の原告に対する前記(2)の年間売上高の約54%ないし約56%に当たる約《金額》円は同社の《略》営業所(営業区域は主に札幌市である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約19%ないし約23%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査21)
(4) 《納入業者(18)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,本社及び《略》営業所を含めて4拠点であった。
《納入業者(18)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査21)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(18)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(18)》の執行役員は,原告との取引を失った場合に失う売上げについて,すぐに既存の取引先で補填できるものでもなく,原告との取引を代替できる新たな取引先を見つけることも困難であるとする。(査21,査310)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(18)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査21)
第19 《納入業者(19)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(19)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に日配品及びグロサリーを納入していた。同社は,昭和60年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査22)
(2) 《納入業者(19)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約1.5%又は約1.6%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第12位又は第13位であった。(査22)
(3) 《納入業者(19)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》店(営業区域は主に道央及び道南地区である。)によるものであるところ,各事業年度における同店の年間総売上高はいずれも約《金額》円,原告に対する取引依存度は約5.1%又は約5.6%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第6位であった。(査22)
(4) 《納入業者(19)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》店を含めて4拠点であった。
《納入業者(19)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査22)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(19)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査22)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(19)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査22)
第20 《納入業者(20)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(20)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に漬物を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査23の1)
(2) 《納入業者(20)》の平成21年から平成23年まで(いずれも6月1日に始まり翌年5月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.8%ないし約7.6%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位ないし第7位であった。(査23の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(20)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査23の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(20)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査23の1)
第21 《納入業者(21)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(21)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に飲料水,調味料及びレトルト食品を納入していた。同社は,平成8年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査24の1及び2)
(2) 《納入業者(21)》の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.2%又は約0.3%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第45位ないし第84位であった。(査24の1及び2)
(3) 《納入業者(21)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約2.6%ないし約4.0%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査24の1)
(4) 《納入業者(21)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支社を含めて46拠点ないし63拠点であった。
《納入業者(21)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査24の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(21)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(21)》の《略》支社《略》は,《略》支社では,《略》の倉庫に原告向けの商品を保管しており,その割合は約4割を占めているところ,同倉庫の減価償却が済んでいないことから,仮に原告との取引がなくなると,同倉庫を維持できなくなる可能性があることから,原告との取引を継続する必要がある旨供述している。(査24の1,査314)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(21)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査24の1)
第22 《納入業者(22)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(22)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主にパンを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査25の1,査25の2)
(2) 《納入業者(22)》の平成20年から平成22年まで(いずれも12月1日に始まり翌年11月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約14%ないし約20%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査25の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(22)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。(査25の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(22)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査25の1及び2)
第23 《納入業者(23)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(23)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に漬け魚を納入していた。同社は,平成22年6月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円(平成24年6月現在),年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査26の1及び2,査315)
(2) 《納入業者(23)》の平成22年及び平成23年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約16%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査26の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(23)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(23)》の常務取締役は,同社の販売先は,平成22年度から平成23年度にかけて増えているが,いずれも小規模であり,これらの販売先に対する売上げを合計しても,原告に対する売上げには及ばず,大手小売業者とは,既に同業他社が取引を行っているため,新規に取引を開始することは困難であり,実際に営業をしてみたことがあるが取引を行うことはできなかったことから,原告に代わる取引先を確保することは困難な状況にあったとする。(査26の1,査315)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(23)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査26の1及び2)
第24 《納入業者(24)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(24)》は,《所在地略》に所在する農業協同組合であり,原告に対して主に牛乳,乳製品及び果汁飲料を納入していた。同組合は,昭和45年7月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同組合の出資金は約《金額》円又は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査27の1及び2)
(2) 《納入業者(24)》の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.2%ないし約9.9%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査27の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(24)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査27の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(24)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査27の1)
第25 《納入業者(25)》
北海道に所在していた番号25の《納入業者(25)》(以下「《納入業者(25)》」という。)は,《所在地略》に所在する番号26の《納入業者(26)》(以下「《納入業者(26)》」という。)の子会社であったが,本件対象期間中の平成22年7月1日をもって《納入業者(26)》に吸収合併され,同日以降,同社に取引が承継された。(査28の3,査318)
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(25)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に菓子を納入していた。同社は,平成7年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であった。同社の平成21年(4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)及び平成22年(4月1日に始まり同年6月30日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円であった。(査28の1及び2)
(2) 各事業年度において,原告に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約11%,約12%であり,取引依存度における原告の順位は少なくとも約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査28の1及び2)
(3) 《納入業者(25)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は主に札幌市及び道南エリアである。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約13%,約14%であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査28の2)
(4) 《納入業者(25)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて少なくとも4拠点あるところ,これらのうち,各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》支店であった。
《納入業者(25)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査28の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(25)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,平成22年6月末まで《納入業者(25)》の《略》支店《略》副本部長であった者は,少なくとも平成20年以降,同社において既存の取引先との売上げの増加分が原告に対する売上げを上回ったことも,原告に対する売上げをカバーできるような新規取引先が見つかったこともなかったことから,同社にとって原告は他では代え難い取引先であるとする。(査28の1,査318)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(25)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査28の1)
第26 《納入業者(26)》
《納入業者(26)》は,前記のとおり,子会社であった《納入業者(25)》を本件対象期間中の平成22年7月1日をもって吸収合併した。また,《納入業者(26)》は,平成24年4月に《納入業者(79)》に吸収合併された。(査507)
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(26)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に菓子を納入していた。同社は,平成22年7月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査29の1及び2)
(2) 《納入業者(26)》の平成22年(同社が原告との取引を《納入業者(25)》から承継した7月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)及び平成23年(4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.6%又は約0.8%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第30位又は第37位であった。(査29の1)
(3) 《納入業者(26)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は主に札幌市及び道南エリアである。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約14%又は約15%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査29の1)
(4) 《納入業者(26)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて16拠点であった。
《納入業者(26)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。
また,平成24年3月末まで《納入業者(26)》の《略》支店長であった者は,同社には,《略》支店より売上高の多い支店等はあったが,《略》支店の《金額》円前後の売上高がなくなった場合,他の支店等でその分の売上げを増加して補填することは困難であり,《略》支店は同社にとって重要な営業拠点であったとする。(査29の1,査318)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(26)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,平成24年3月末まで《納入業者(26)》の《略》支店長であった者は,同社の《略》支店において原告への売上げをカバーできるような新規取引先は見つかっていないとする。(査29の1,査318)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(26)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査29の1)
第27 《納入業者(27)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(27)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に昆布巻,煮豆,佃煮等を納入していた。同社は,昭和50年頃に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は平成21年6月22日までは《金額》円,同月23日以降は《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査30の1及び2,査270)
(2) 《納入業者(27)》の平成20年から平成22年まで(いずれも8月1日に始まり翌年7月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約11%ないし約13%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査30の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(27)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(27)》の代表取締役は,同社は,北海道内で原告と同規模のスーパーとの取引はほとんどなく,これらのスーパーには既に同業他社が食い込んでいるために,そこに割って入るのは極めて困難であり,また,《納入業者(27)》は,北海道以外に販路がないことから,仮に原告との取引がなくなった場合,同社の総売上高の1割以上を失うこととなり,資金繰りが悪化し,倒産に追い込まれるであろうとする。(査30の1,査270)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(27)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査30の1)
第28 《納入業者(28)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(28)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果を納入していた。同社は,遅くとも平成3年9月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査31)
(2) 《納入業者(28)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8%ないし約13%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査31)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(28)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(28)》の専務取締役は,①平成20年以降,原告に対する売上高と同程度の売上高を確保できるような新規の取引先は見つからない,②既存の取引先との間の売上高を伸ばすことで原告に対する売上高をカバーできるような取引先もいなかったとする。(査31,査94)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(28)》は,取引重要性等の設問に対し,「いいえ」を選択しているが,同社の専務取締役は,原告との取引が停止した場合,同社は倒産してしまうほど,同社にとって原告は重要な取引先であり,取引関係を継続する必要があるとする。(査31,査94)
第29 《納入業者(29)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(29)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に冷凍食品,調味料及びレトルト食品を納入していた。同社は,平成6年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査32の1)
(2) 《納入業者(29)》の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.6%又は約0.7%であった。(査32の1)
(3) 《納入業者(29)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》事業部(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同事業部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約11%又は約12%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査32の1)
(4) 《納入業者(29)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》事業部を含めて11拠点であった。
《納入業者(29)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査32の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(29)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(29)》の《略》部長は,①同社は,既に《グループ名》のスーパーと《事業者B》とそれぞれ取引をしているところ,原告や他のアークスグループの会社との取引に相当する量や額を,アークスグループ以外の小売業者との取引で補うことはかなり困難である,②《納入業者(29)》は,地場の小売業者とも取引しているが,これらの小売業者との取引においても原告や他のアークスグループの小売業者との取引に相当する量や額を補うことも容易ではないとする。(査32の1,査320)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(29)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査32の1)
第30 《納入業者(30)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(30)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に肉加工品を納入していた。同社は,平成14年7月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査33の1,査33の2)
(2) 《納入業者(30)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.8%ないし約1.9%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第15位ないし第25位であった。(査33の1)
(3) 《納入業者(30)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》グループ(営業区域は北海道内全域である。平成22年3月までは《略》支店である。)によるものであるところ,各事業年度における同グループの年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約6.7%ないし約18%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位又は第4位であった。(査33の1)
(4) 《納入業者(30)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》グループを含めて7拠点又は8拠点であった。
《納入業者(30)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。
また,《納入業者(30)》の《略》本部《略》部長兼《略》グループリーダーは,同社の《略》本部に属する《略》グループが原告を含む小売業者に対する販売を担当しているところ,同本部は,同社にとって非常に重要な部署であり,同本部が担当する原告との取引は,同社にとって重要かつ必要なものであるとする。(査33の1,査322)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(30)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査33の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(30)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査33の1)
第31 《納入業者(31)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(31)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に米穀,製粉及びレトルト食品を納入していた。同社は,平成6年に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査34)
(2) 《納入業者(31)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約2.2%ないし約3.1%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査34)
(3) 《納入業者(31)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は同社の《略》支店(営業区域は主に札幌市である。)及び《略》営業所(なお,同営業所は函館市を管轄していたところ,平成21年8月末に閉鎖され,《略》支店に併合された。)によるものであるところ,各事業年度における《略》支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約20%ないし約33%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査34)
(4) 《納入業者(31)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて10拠点又は12拠点であった。
《納入業者(31)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査34)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(31)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(31)》の常務取締役兼《略》支店長は,①原告は同社の取引先の中で2番目に取引額が大きく,同社の売上げのうちの約10%の売上げを占める同社の《略》支店においては,原告との取引額が一番大きく,同支店における原告に対する取引依存度は30%を超えていることから,原告との取引を継続することが必要である,②仮に原告との取引がなくなった場合,同社として他の取引先で補えるよう努力をするものの,既存の取引先との取引量を増加することは困難であり,原告に代わる新たな取引先を見つけることは現実的には不可能であるとする。(査34,査324)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(31)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査34)
第32 《納入業者(32)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(32)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主にパンを納入していた。同社は,平成18年9月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査35の1及び2)
(2) 《納入業者(32)》の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり翌年2月末日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約4.5%ないし約5.9%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位又は第6位であった。
なお,原告は,同社の取引先事業者数が約《取引先数》社であることは知らないとするが,査35の1の別表「直近の4事業年度の取引先事業者数」によれば,同社の取引先事業者数は,直近の事業年度において約《取引先数》社ないし約《取引先数》社であるから,同社の取引先事業者数は,約《取引先数》社と認めるのが相当である。(査35の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(32)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査35の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(32)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査35の1)
第33 《納入業者(33)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(33)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に衣料品を納入していた。同社は,昭和50年頃に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査36の1及び2)
(2) 《納入業者(33)》の平成21年から平成23年まで(いずれも6月1日に始まり翌年5月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約0.2%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第44位又は第45位であった。なお,平成23年6月1日に始まり平成24年5月31日に終わる事業年度における取引先事業者数は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における原告の順位は,本件証拠上,明らかではない。(査36の1)
(3) 《納入業者(33)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高はいずれも約《金額》円,原告に対する取引依存度は約17%又は約22%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査36の1及び2)
(4) 《納入業者(33)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて6拠点であった。
《納入業者(33)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査36の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(33)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査36の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(33)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査36の1)
第34 《納入業者(34)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(34)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に漬物を納入していた。同社は,平成12年9月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査37の1)
(2) 《納入業者(34)》の平成21年から平成23年まで(いずれも5月1日に始まり翌年4月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.0%ないし約9.3%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。
《納入業者(34)》は,高取引依存度認識設問に対し,「いいえ」を選択しているが,同社の代表取締役社長は,その理由について,同回答は平成20年1月1日時点での同社の認識であるが,原告の店舗のうち,同社の商品を取り扱う店舗が平成20年1月時点での4店舗から平成20年度中頃以降は40店舗まで拡大したため,これ以降,前記認識は変化したとする。(査37の1,査493)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(34)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(34)》の代表取締役社長は,原告との取引を失った場合,新規取引先の獲得や既存の取引先との売上増を図るのは非常に困難であったため,原告との取引を失った分の売上高を補うことは不可能であったとする。(査37の1,査493)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(34)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では無回答であったが,その後,前記回答をした。(査37の1及び2,査493)。
第35 《納入業者(35)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(35)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に調味料を納入していた。同社は,平成19年2月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査38の1及び2)
(2) 《納入業者(35)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.3%又は約0.4%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第49位ないし第57位であった。(査38の1)
(3) 《納入業者(35)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に道央エリア及び道東エリア〔帯広,釧路〕である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約14%又は約15%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査38の1)
(4) 《納入業者(35)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査38の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(35)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査38の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(35)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査38の1)
第36 《納入業者(36)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(36)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に精肉を主に納入していた。同社は,平成9年8月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査39の1)
(2) 《納入業者(36)》の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約7%又は約10%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第1位又は第4位であった。(査39の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(36)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。(査39の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(36)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査39の1)
第37 《納入業者(37)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(37)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に玉子焼き,太巻芯及び茶碗蒸しを納入していた。同社は,平成12年12月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査40の1及び2)
(2) 《納入業者(37)》の平成21年から平成23年まで(いずれも6月1日に始まり翌年5月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.7%ないし約5.5%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第3位であった。
なお,原告は,前記の取引依存度は,同社の改定された報告書(査40の2)に記載されたものであるが,当初の報告書(査40の1)の記載から改定した理由が明らかでないなどと主張するが,その記載内容から設問の読み間違いによる記載間違い等を改定したことは明らかであり,原告の主張を採用することはできない。(査40の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(37)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査40の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(37)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査40の1)
第38 《納入業者(38)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(38)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に野菜全般を納入していた。同社は,平成7年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査41)
(2) 《納入業者(38)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約0.4%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第42位ないし第48位であった。(査41)
(3) 《納入業者(38)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は主に北海道内である。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約15%又は約19%,取引依存度における原告の順位はいずれも《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査41)
(4) 《納入業者(38)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて13拠点であった。
《納入業者(38)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査41)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(38)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査41)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(38)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査41)
第39 《納入業者(39)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(39)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に焼き海苔及び茶を納入していた。同社は,昭和56年8月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円又は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査42の1及び2)
(2) 《納入業者(39)》の平成20年から平成23年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約11%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査42の1)
(3) 《納入業者(39)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業部(営業区域は主に札幌・小樽・室蘭・美唄地区である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業部の年間総売上高はいずれも約《金額》円,原告に対する取引依存度は約15%又は約16%であった。(査42の1)
(4) 《納入業者(39)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業部を含めて5拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》営業部であった。
《納入業者(39)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査42の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(39)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査42の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(39)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査42の1)
第40 《納入業者(40)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(40)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に惣菜を納入していた。同社は,平成13年9月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査43の1)
(2) 《納入業者(40)》の平成21年及び平成22年(いずれも12月1日に始まり翌年11月30日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.5%又は約0.6%であった。(査43の1)
(3) 《納入業者(40)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約9.0%又は約9.2%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。
なお,原告は,前記順位である《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第4位について,当初の報告書(査43の1)の順位第5位から改定した理由が明らかでないなどと主張する。しかしながら,当初の報告書(査43の1)の別表8-1「直近の4事業年度の営業拠点の売上高上位5社等」の第40期における売上高等を比較すれば,原告の売上げ《金額》円は,第4位の会社の売上高《金額》円を上回るのであって,原告の前記順位が上位第4位であることは明らかであるから,原告の主張を採用することはできない。(査43の1及び2)
(4) 《納入業者(40)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて6拠点であっ た。
《納入業者(40)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査43の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(40)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査43の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(40)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査43の1)
第41 《納入業者(41)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(41)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に納豆,練製品及び乳製品を納入していた。同社は,平成8年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査44の1及び2)
(2) 《納入業者(41)》の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約21%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査44の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(41)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査44の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(41)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査44の1)
第42 《納入業者(42)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(42)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に加工食品,菓子及び和日配を納入していた。同社は,平成14年11月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査45の1及び2)
(2) 《納入業者(42)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約19%ないし約21%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査45の1及び2)
(3) 《納入業者(42)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》本部(営業区域は主に道央圏,室蘭地区及び道南地区である。)によるものであるところ,各事業年度における同本部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約23%ないし約25%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査45の1及び2)
(4) 《納入業者(42)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》本部を含めて2拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》本部であった。
《納入業者(42)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査45の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(42)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査45の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(42)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査45の1)
第43 《納入業者(43)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(43)》は,《所在地略》に所在し,水産物等の販売,貿易,加工業,運送業,倉庫業等を営む株式会社であり,原告に対して主に鮮魚及び惣菜を納入していた。同社は,平成元年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査46)
(2) 《納入業者(43)》の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.4%又は約0.5%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第46位又は第50位であった。(査46)
(3) 《納入業者(43)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は主に北海道内である。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約6.9%又は約8.2%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査46)
(4) 《納入業者(43)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて8拠点又は9拠点であった。同社の《略》支店支店長は,平成19年度から平成22年度までの各年度における同支店の年間売上高は約《金額》円前後であり,営業拠点の中で4番目の売上高である旨供述している。
《納入業者(43)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。
同社の《略》支店支店長は,①同支店は,原告を含む北海道内の大手小売業者と継続して安定した取引を行っていることから,同社の営業拠点の中でも売上高の変動が少ない優良な支店である,②同社は過去には全国各地に支店,営業所を置いていたが順次それを各地区の重要支店に集約したため,今残っている営業拠点は全て同社にとって重要な拠点であるところ,同社の《略》支店は,大きな売上高を安定して確保できることから,同社にとって重要な営業拠点であるとする。
また,同社の《略》支店支店長は,同支店の原告に対する年間売上高は約《金額》円であるところ,仮に原告との取引を失った場合,新規取引先の獲得は困難であり,既存の取引先に対する売上増を図ることも困難であることから,同支店において原告との取引で失った分をカバーすることはできないとする。(査46,査333)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(43)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査46)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(43)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査46)
第44 《納入業者(44)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(44)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に鶏卵を納入していた。同社は,昭和60年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査47の1及び2)
(2) 《納入業者(44)》の平成20年から平成22年まで(いずれも8月1日に始まり翌年7月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約12%又は約14%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査47の1)
(3) 《納入業者(44)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約16%ないし約18%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査47の1)
(4) 《納入業者(44)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて2拠点又は3拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》営業所であった。
《納入業者(44)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査47の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(44)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(44)》の《略》課長は,北海道内に所在する食品スーパーの店舗数は原告を中心企業とするアークスグループと《事業者B》で相当数を占めているところ,《納入業者(44)》は既に両社と取引があるので,仮に同社が原告との取引を継続することができなくなった場合,既存のスーパーの中で原告と同程度の規模の取引が見込める取引先を見つけることは困難であり,原告以外の取引先の売上げを伸ばして補うことも簡単なことではないとする。(査47の1,査334)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(44)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査47の1及び2)
第45 《納入業者(45)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(45)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む有限会社であり,原告に対して主に菓子を納入していた。同社は,平成5年に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査48の1)
(2) 《納入業者(45)》の平成20年から平成22年まで(いずれも8月1日に始まり翌年7月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約24%又は約30%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査48の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(45)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(45)》の代表取締役は,同社の原告に対する取引依存度は24%ないし34%であるところ,これほどの規模の売上げのある取引先は原告のみであり,同社の原告以外の取引先で,原告に対する売上げと同程度の売上げを確保することはほぼ不可能であるとする。(査48の1,査336)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(45)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査48の1及び2)
第46 《納入業者(46)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(46)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に菓子を納入していた。同社は,昭和58年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査49の1及び2)
(2) 《納入業者(46)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約0.3%であった。(査49の1)
(3) 《納入業者(46)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は北海道全域〔函館,帯広及び釧路エリアを除く。〕である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約14%又は約16%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査49の1及び2)
(4) 《納入業者(46)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて35拠点であった。
《納入業者(46)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。
また,《納入業者(46)》の《略》課長は,①同社の全体的にみれば,原告は大きな取引先ではないものの,同社の《略》営業所の平成23年度の原告に対する取引依存度は14.1%と高い割合を占めている,②北海道において原告と同程度の売上規模に代わる新たな取引先となり得る小売業者や既存の取引先を見つけ出すことは困難であるとする。(査49の1及び2,査337)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(46)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査49の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(46)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査49の1及び2)
第47 《納入業者(47)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(47)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主にパン及び菓子を納入していた。同社は,平成元年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査50の1)
(2) 《納入業者(47)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約4.5%ないし約4.7%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第5位であった。(査50の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(47)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(47)》の専務取締役は,①同社が取引を行っていない小売業者とは既に競合他社が取引していることから《納入業者(47)》がそこに割って入ることは困難であり,既存の取引先も競合他社と取引をしており,他社の分を《納入業者(47)》に切り替えてもらうためには相当低い価格条件を提示しなければならず,仮に原告との取引がなくなった場合,原告との取引額をカバーすることは困難である,②同社はメーカーであり,製造コストの低減のために製造ラインの稼働率を高めることが重要であるところ,原告に対する売上額がなくなったら,製造コストに影響が生じる,③原告は大型店舗を展開しており,1店舗当たりの取引額が大きいので,北海道全域で同社の商品を販売するためには,札幌地区で多数の店舗を展開する原告と取引することは不可欠であることから,原告との取引は,重要である,④仮に原告との取引がなくなった場合,同社にとって非常に大きな影響が出るとする。(査50の1,査339)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(47)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査50の1)
第48 《納入業者(48)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(48)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主にウインナー,味付食肉及びソーセージを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査51の1及び2)
(2) 《納入業者(48)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.9%又は約10%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第2位であった(ただし,平成23年度における取引先事業者数は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における原告の順位は,本件証拠上,明らかではない。)。(査51の1及び3)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(48)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(48)》の《略》課長は,同社は,原告以外の規模の大きな小売業者とは既に取引しており,それなりの規模を有する小売業者とも取引をしているところ,小規模な小売業者とは債権回収に不安があることから積極的に取引を行っていないし,同社は,製造工場を北海道内に置いているため,北海道外の取引先と取引するためには,北海道で販売するよりも輸送費といったコストが掛かることから,仮に原告との取引がなくなった場合,原告に対する売上げをカバーすることは困難であるとする。(査51の1〔なお,本件審決別紙5・第48・3の査50の1は,査51の1の誤りである。〕,査494)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(48)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。同社の《略》課長は,原告との取引がなくなった場合,同社の利益に影響がある一方で,原告との取引をカバーできる取引先を見つけられないので,同社が今後事業を行っていくためには,原告との取引を継続していかなければならないからであるとする。(査51の1〔なお,本件審決別紙5・第48・4の査50の1は,査51の1の誤りである。〕,査494)
第49 《納入業者(49)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(49)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に洋日配,乳製品,和日配及びアイスクリームを納入していた。同社は,昭和36年11月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査52の1)
(2) 《納入業者(49)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約4.0%ないし約4.4%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位ないし第7位であった。(査52の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(49)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(49)》の《略》部長は,同社は北海道全域を営業区域としているところ,平成20年以降,原告に対する売上げと同額かそれ以上の売上げを確保できるような新規取引先と取引したり,既存の取引先に対する売上げの増加分が原告に対する売上げと同額以上になったりした事例はないので,原告に対する売上げがなくなった場合,ほかでカバーすることは容易ではないとする。(査52の1,査343)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(49)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査52の1及び2)
第50 《納入業者(50)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(50)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主にハム及びソーセージを納入していた。同社は,平成20年10月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査53の1及び2)
(2) 《納入業者(50)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.8%ないし約9.8%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査53の1)
(3) 《納入業者(50)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》課(営業区域は北海道全域〔精肉部門及び日配部門を担当〕である。)及び《略》課(営業区域は北海道全域〔惣菜部門を担当〕である。)によるものであった。(査53の1)
(4) 《納入業者(50)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》課及び《略》課を含めて6拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》課であった。
《納入業者(50)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査53の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(50)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(50)》の《略》部長兼《略》課長は,北海道地区においては,《事業者C》,《事業者B》及び原告が大規模な小売業者の「3強」として位置付けられており,この3強との取引は1社たりとも軽視できないものであるが,3強の中でも,売上高に占める食品の構成比は,《事業者C》が約50%にすぎないのに対し,原告が約90%であることから,食品を取り扱う《納入業者(50)》にとって原告は《事業者C》以上に太い取引をできる取引先であり,《納入業者(50)》の3強に対する売上げの中では《事業者B》に対するものが一番大きいが,《事業者B》との取引において原告の売上分を補填するほど取引を拡大することは困難であり,原告との売上分を補填できるほどの取引先を新たに見つけることは一層困難であるとする。(査53の1,査344)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(50)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査53の1及び2)
第51 《納入業者(51)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(51)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果を納入していた。同社は,平成18年6月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査54の1及び2)
(2) 《納入業者(51)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約16%又は約19%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査54の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(51)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(51)》の常務取締役兼《略》営業所長は,仮に原告との取引がなくなった場合,新規取引先を開拓したり,既存の取引先との取引額を上げていったりする必要があるが,同社の営業担当は2名しかいないため,原告の取引額に相当する分を他で補填することは容易ではないとする。(査54の1,査345)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(51)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査54の1及び3)
第52 《納入業者(52)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(52)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主にもずく加工品,めかぶ加工品等を納入していた。同社は,平成18年10月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査55の1)
(2) 《納入業者(52)》の平成20年から平成22年まで(いずれも8月1日に始まり翌年7月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約1.4%ないし約1.7%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第13位又は第17位であった。なお,平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度における取引先事業者数は約《取引先数》社であるところ,取引依存度における原告の順位は,本件証拠上,明らかではない。(査55の1及び2)
(3) 《納入業者(52)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は札幌を中心に北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約11%ないし約17%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査55の1及び2)
(4) 《納入業者(52)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて3拠点ないし9拠点であった。
《納入業者(52)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査55の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(52)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。(査55の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(52)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査55の1及び2)
第53《納入業者(53)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(53)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に精肉を納入していた。同社は,平成6年に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査56)
(2) 《納入業者(53)》の平成21年から平成23年まで(いずれも1月1日に始まり同年12月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約2.5%ないし約3.6%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位又は第6位であった。
同社の《略》部マネジャーは,①同社の取引先数は約《取引先数》社で推移しているところ,同社の《略》社前後に対する取引依存度が0.1%前後という状況であり,その中において同社の原告に対する取引依存度は,他の取引先に対する取引依存度に比して高いという認識であり,また,②同社の取引先の構成比は,卸売業者が全体の約6割,スーパーが2,3割,残りが飲食店等であるところ,スーパーだけで見た場合,同社の取引額における原告の順位は,常に上位第1位であったとする。(査56,査496)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(53)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査56)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(53)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査56)
第54 《納入業者(54)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(54)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に精肉及び惣菜を納入していた。同社は,平成2年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査57)
(2) 《納入業者(54)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約5.4%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査57)
(3) 《納入業者(54)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業部(営業区域は主に札幌市及び小樽市である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業部の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約30%ないし約34%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査57)
(4) 《納入業者(54)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業部を含めて27拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》営業部であった。
《納入業者(54)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,「はい」を選択している。
また,《納入業者(54)》の《略》本部長は,同社の《略》営業部は,同社の営業拠点の中で一番の売上高を上げており,同営業部の売上高を他の営業拠点で補うことは難しいこと,同営業部が管轄する札幌市やその近郊は,安定した売上高が見込まれることなどから,同社にとって同営業部は重要な営業拠点であるとする。(査57,査346)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(54)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(54)》の《略》本部長は,①同社は,その営業区域である北海道及び東北地方に所在する大中規模の小売業者のほとんどと既に取引しているため,原告に代わり得る規模の新規取引先はなく,複数の新規取引先に対する売上高で原告に対する売上高と同程度の額を賄うことはできない,②同社は,北海道の区域内における食品スーパーの中で原告とともに上位3位以内に入る《事業者B》及び《事業者C》とは既に取引を行っているところ,例えば,《事業者B》が仕入れる食肉における《納入業者(54)》のシェアは3割弱であることから,今後《事業者B》に対する売上高を増やすことは可能であると考えているが,原告に対する売上高と同程度の売上高を補うためには《事業者B》に対する取引依存度を約5割から6割程度まで伸ばす必要があり,そこまで売上高を伸ばすことはほぼ不可能である,③東北地区でも同様に,原告に対する売上高と同規模の売上高分を増加させることはほぼ不可能である,④小売業者は,納入業者に何かあったときに商品を仕入れることができなくなる,競争原理が働かなくなるといったリスクを回避するため,納入業者を1社に絞らず,必ず複数社と取引することから,《納入業者(54)》にとって大幅なシェアの拡大は難しく,また,納入業者間の競争も激しいために,同社のシェアの拡大は容易でないとする。(査57,査346)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(54)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査57)
第55 《納入業者(55)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(55)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に鶏肉を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は平成22年10月4日までは約《金額》円,同月5日以降は約《金額》円であり,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査58の1及び2)
(2) 《納入業者(55)》の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約1.8%又は約1.9%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第11位又は第12位であった。(査58の1及び2)
(3) 《納入業者(55)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に札幌,旭川,北見,苫小牧及び函館である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約14%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第1位又は第2位であった。(査58の1及び2)
(4) 《納入業者(55)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて12拠点であった。
《納入業者(55)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査58の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(55)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(55)》の《略》部長は,新規取引先の獲得も既存の取引先に対する売上増も困難であることから,同社の原告に対する約《金額》円の売上高を他の取引先で補うことは困難であるとする。(査58の1,査498)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(55)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査58の1)
第56 《納入業者(56)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(56)》は,《所在地略》に所在する畜産業を営む株式会社であり,原告に対して主に鶏卵,惣菜及び調味料を納入していた。同社は,平成元年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査59の1ないし3)
(2) 《納入業者(56)》の平成20年から平成22年まで(いずれも9月1日に始まり翌年8月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約7.4%ないし約8.1%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査59の1ないし3)
(3) 《納入業者(56)》の原告に対する前記(2)の年間売上高の約80%又は約81%に当たる約《金額》円ないし約《金額》円は同社の《略》支店(営業区域は主に札幌及び小樽である。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約12%又は約13%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。また,同社の原告に対する前記(2)の売上高の約19%又は約20%に当たる約《金額》円ないし約《金額》円は同社の《略》営業所(営業区域は主に室蘭,苫小牧及び千歳である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約22%ないし約29%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査59の1ないし3)
(4) 《納入業者(56)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店及び《略》営業所を含めて8拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》支店であった。
《納入業者(56)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査59の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(56)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(56)》の《略》本部長は,①仮に原告との取引を失った場合,他の小売業者に切り替える必要があるが,原告に対する納入価格と同額というわけにはいかず,かなりディスカウントしなければならないし,他の小売業者にも既存の仕入先があるため,大口の取引を同社に切り替えてもらうのは難しい,②原告に代わり得る取引先としては,《事業者C》,《事業者B》が挙げられるが,《納入業者(56)》は既にこれらの小売業者と取引を行っているところ,前者に対しては既にかなりのシェアを持っているため取引量を伸ばすには限界があり,原告に対する売上高を補うことはできないし,《事業者B》には他社がメインで鶏卵を納入しているが,年間契約をしているため,《納入業者(56)》が価格面で良い条件を出すことで取引量を大幅に増やすことは難しいとする。(査59の3,査348)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(56)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査59の1)
第57 《納入業者(57)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(57)》は,《所在地略》に所在する農業協同組合連合会であり,原告に対して主に米を納入していた。同連合会は,平成2年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同連合会の出資金は平成22年12月31日までは約《金額》円,平成23年1月1日以降は約《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査60の1)
(2) 《納入業者(57)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約0.2%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第100位ないし第127位であった。
なお,原告は,同社の改定された報告書(査60の2)の第21期の取引依存度における原告の順位上位約第101位は,当初の報告書(査60の1)の順位上位第98位から改定した理由が明らかでないなどと主張するが,直接取引に係る売上高に限定して算定し直したことによる改定と認められるから,原告の前記主張は理由がない。(査60の1及び2)
(3) 《納入業者(57)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同連合会の《略》支店(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約5.7%ないし約6.8%であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査60の1)
(4) 《納入業者(57)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて19拠点又は20拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,《略》支店であった。
《納入業者(57)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査60の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(57)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(57)》の《略》次長は,同連合会の原告に対する年間売上高のうち約9割を米穀が占めており,同連合会の一般消費者が各家庭で消費する米穀の取引先に対する売上高の中で原告に対するものが最大であるところ,同連合会は北海道内のほとんどの食品スーパーに米穀を納入しているため,仮に原告との取引がなくなった場合に,取引のある販売先との取引を増加させて,原告の取引分を補うことは無理であり,原告との取引額を代替できるような販売先を新たに見つけることは困難であるとする。(査60の1,査351)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(57)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査60の1)
第58 《納入業者(58)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(58)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に鮮魚を納入していた。同社は,平成元年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査61の1及び2)
(2) 《納入業者(58)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約15%ないし約17%,取引依存度における原告の順位はいずれも上位第2位であった。(査61の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(58)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(58)》の専務取締役は,①原告との取引がなくなった場合,北海道の内外を問わず,大手小売業者は納入業者の数を絞っている状況であるため,簡単には取引口座を開いてもらえない,②北海道内においては鮮魚店などの小規模小売業者がほとんどいなくなってしまったため,取引先は大中規模の食品スーパーなどに限られるところ,原告との取引量を賄えるだけの規模を持つ小売業者は《事業者B》と《事業者C》だけであるが,《納入業者(58)》は《事業者C》とは既に取引をしている,③既存の取引先の売上げを伸ばすことについては,《納入業者(58)》の最大の取引先が販売する水産物における同社のシェアは約6割に達しており,これを更に伸ばすことには限界があり,伸び代がある他の取引先だけでは原告に対する売上高と同程度の売上高を賄うことはできないとする。(査61の1,査353)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(58)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査61の1)
第59 《納入業者(59)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1)《納入業者(59)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に米穀を納入していた。同社は,昭和62年5月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査62の1)
(2)《納入業者(59)》の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約17%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査62の1)
(3)《納入業者(59)》の原告に対する前記(2)の年間売上高の約78%又は約80%に当たる約《金額》円又は約《金額》円は同社の本社(営業区域は主に札幌市である。)によるものであるところ,各事業年度における本社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約22%又は約23%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。また,同社の原告に対する前記(2)の売上高の約14%又は約15%に当たる約《金額》円は同社の《略》支店(営業区域は主に室蘭市である。)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約26%又は約28%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査62の1及び2)
(4)《納入業者(59)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,本社及び《略》支店を含めて6拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,本社であった。
《納入業者(59)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査62の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(59)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(59)》の《略》部長は,①同社は北海道内で米を取り扱っている食品スーパーやドラッグストアなどとはほとんど取引を行っており,これらの小売業者は特定の納入業者からの仕入れに偏らないようにバランスを考えて複数の納入業者から仕入れているため,既に同社が取引を行っている小売業者との取引額を増やすことは難しい状況にある,②同社が現在取引を行っていない食品スーパー等の小売業者は《事業者B》くらいであるが,《事業者B》については既に既存の納入業者が取引を行っており,そこに《納入業者(59)》が入っていくためには納入価格をかなり引き下げる必要があり,原告向けの銘柄と《事業者B》が求める銘柄が必ずしも同じではないことから,《事業者B》が求める銘柄を《納入業者(59)》が安定的に供給できるかという問題があり,同社が原告との取引額を他の取引先で埋め合わせることは容易ではないとする。(査62の1,査355)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(59)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査62の1及び2)
第60 《納入業者(60)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(60)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主にアイスクリームを納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査63の1)
(2) 《納入業者(60)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約5.5%ないし約9.1%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査63の1及び2,査500)
(3) 《納入業者(60)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の本社(営業区域は主に札幌市である。)によるものであった。(査63の1)
(4) 《納入業者(60)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,本社を含めて4拠点であった。
《納入業者(60)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査63の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(60)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《事業者F》は,平成25年4月1日に《旧会社名略》が《納入業者(60)》など数社の《系列名》系列の販売会社などを合併し,前記の商号に変更したが,同社《略》グループ長は,①同社平成20年度から平成23年度までの原告と《納入業者(60)》との取引状況については,小売業者と既存の取引先との間には長年の付き合いがあり,強い信頼関係があることから,小売業者と既存の取引先との関係を崩していくのは非常に難しく,既存の取引先である小売業者に対する売上げの増加を図ろうとした場合も他の納入業者のシェアを崩すことから,仮に原告に対する売上高を失ったとしたら,その売上げを新規取引先の獲得又は既存の取引先との取引額の増加で補うことは短期的にみると非常に難しく,長期的にみても難しかったとする。(査63の1,査500)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(60)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査63の1)
第61 《納入業者(61)》
原告は,《納入業者(61)》の報告書(査64)は,変更後のものであり,変更前の回答内容が不明であるから,信用性が低いなどと主張する。しかしながら,同社の報告書(査64)は,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正箇所を確認の上,変更しない部分とを併せて報告書全体を改定したことがうかがわれ,当該作成経緯により,直ちに信用性を欠くものとはいえないから,原告の主張を採用することはできない。
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(61)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に練製品を納入していた。同社は,平成21年10月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査64)
(2) 《納入業者(61)》の平成21年から平成23年まで(いずれも5月21日に始まり翌年5月20日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約1.0%ないし約1.5%であった。(査64)
(3) 《納入業者(61)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》事業部によるものであるところ,各事業年度における同事業部の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.9%ないし約6.6%,取引依存度における原告の順位は上位第3位又は第5位であった。(査64)
(4) 《納入業者(61)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。
また,《納入業者(61)》の《略》事業部《略》支店長は,《略》事業部の売上げは同社全体の中で約4分の1を占めており,同社にとって重要な営業拠点であるとする。(査64,査357)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(61)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(61)》の《略》事業部《略》支店長は,①事業者数の多い関東方面では,規模の大きな取引先を一つ失ったとしても他の取引先でカバーすることは可能であるが,北海道内では大手の取引先の数が限られることから原告との取引量を他の取引先で補うことは不可能である,②原告のような大手との取引がなくなることは経営に与える影響が大きくなる,③同社は本社のある《所在地略》と北海道に工場を持ち,基本的に北海道内で販売する商品は《略》工場で製造しているところ,仮に原告との取引がなくなった場合には,《略》工場の稼働率にも影響して,同工場で働くパートタイマーの数を縮小せざるを得なくなるなど,雇用面にまで影響が及んでしまうとする。(査64,査357)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(61)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査64)
第62 《納入業者(62)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(62)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に菓子を納入していた。同社は,平成21年5月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査65の1及び2)
(2) 《納入業者(62)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.1%ないし約9.3%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査65の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(62)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(62)》の代表取締役社長は,同社は北海道の主だったスーパー等の小売店には既に商品を取り扱ってもらっているところ,各小売業者の店舗の和菓子等の売場スペースは限られており,現在の売場スペースには同社の商品のほか既に競合他社の商品も並べられているため,原告との年間売上高を他の小売店で補うことは難しいとする。(査65の1,査358)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(62)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査65の1及び2)
第63 《納入業者(63)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(63)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に味付ジンギスカンを納入していた。同社は,平成12年11月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査66の1及び2)
(2) 《納入業者(63)》の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.2%又は約3.5%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査66の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(63)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査66の2)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(63)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査66の1)
第64 《納入業者(64)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(64)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果を納入していた。同社は,平成7年9月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査67の1)
(2) 《納入業者(64)》の平成20年8月1日に始まり平成21年7月31日に終わる事業年度から平成22年8月1日に始まり平成23年7月31日に終わる事業年度の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約33%又は約35%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査67の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(64)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。(査67の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(64)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査67の1及び2)
第65 《納入業者(65)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(65)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に惣菜及び鮮魚を納入していた。同社は,平成13年9月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査68の1及び2)
(2) 《納入業者(65)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約0.3%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第28位ないし第45位であった。(査68の1)
(3) 《納入業者(65)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》事業所(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同事業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約13%又は約14%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査68の1)
(4) 《納入業者(65)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》事業所を含めて50拠点であった。
《納入業者(65)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。
また,《納入業者(65)》の《略》事業所所長は,同社全体の売上げにおける《略》事業所の売上割合は約2.4%であり,拠点としての売上げはそれほど大きいものではないが,同社には全国各地に同社の商品を届けるという会社の方針があり,この方針からして同事業所をなくすことは考えられず,北海道内での営業や商品の物流を同事業所以外の他の営業拠点で行うことも現実には難しいことから,同社としては,同事業所を今後も必要不可欠な営業拠点と捉えているとする。(査68の1及び2,査363)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(65)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。
また,《納入業者(65)》の《略》事業所所長は,①北海道内において同社の商品を販売できるような《事業者B》,《事業者C》などの主だった小売業者や飲食店とは既に取引を行っており,ここ数年をみても新たに北海道内で事業を開始したそれなりの規模の小売業者や飲食店はないことから,原告との取引額をこれまで取引を行っていない新たな取引先でカバーすることは非常に困難である,②《納入業者(65)》の既存の取引先との取引額を増やすことで原告との取引額をカバーすることは,何年か時間を掛ければ可能かもしれないが,簡単なことではないとする。(査68の1,査363)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(65)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査68の1及び2)
第66 《納入業者(66)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(66)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に日用品を納入していた。同社は,平成12年6月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査69)
(2) 《納入業者(66)》の平成20年から平成22年まで(いずれも9月1日に始まり翌年8月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約72%ないし約75%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査69)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(66)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(66)》の代表取締役は,①同社の販売スタイルは,取引先である小売業者の店舗に同社所有の什器を設置させてもらい,その什器に同社の商品を陳列するものであるところ,既存の取引先については,既に設置されている什器を退けるだけの売上増の見込みがなければ,追加の什器の設置は認められないし,小売業者は店長同士の横のつながりがあるため,本社からの指示がない限り,前任の店長が作った売場構成を後任の店長はなかなか変えてくれないことから,既存の取引先との取引を増やすことで原告との取引額を補うことはできない,②同社では取引を行っていない小売業者に営業を行っているが,原告との取引額を補えるような大手小売業者は取引してくれないことから,原告との取引額を新規取引先の開拓で補うこともほぼ不可能に近いとする。(査69,査365)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(66)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査69)
第67 《納入業者(67)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(67)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に納豆,こんにゃく,豆腐,油揚げ及びところてんを納入していた。同社は,昭和36年に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査70)
(2) 《納入業者(67)》の平成20年から平成22年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,原告に対する取引依存度は約24%又は約25%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査70)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(67)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(67)》の《略》次長は,①原告に代わり得る小売業者として,《事業者C》,《事業者B》が挙げられるが,《納入業者(67)》は原告を含めたアークスグループをメインに取引しており,《事業者C》を含めた《グループ名》系の会社については,競合他社がメインで取引しており,自然とアークス系は《納入業者(67)》,《グループ名》系は競合他社と取引先に色分けができてしまっていて,《納入業者(67)》が《グループ名》系の会社との取引量を現状より大幅に増やせるということはないし,《事業者B》については,《事業者B》のグループ会社の一つから《納入業者(67)》の競合商品の一部を仕入れているため,《事業者B》との取引量を大幅に増やせるということもない,②《納入業者(67)》が取引を行っていない北海道内の小売業者の中で原告ほどの店舗数を有している小売業者はないため,新規取引先を見つけて原告に対する売上高をカバーすることもできないとする。(査70,査366)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(67)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査70)
第68 《納入業者(68)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1)《納入業者(68)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果を納入していた。同社は,平成元年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査71)
(2)《納入業者(68)》の平成20年から平成22年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約23%ないし約25%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第1位であった。(査71)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(68)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査71)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(68)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査71)
第69 《納入業者(69)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(69)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に鮮魚を納入していた。同社は,平成2年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査72の1及び2)
(2) 《納入業者(69)》の平成20年から平成22年まで(いずれも10月1日に始まり翌年9月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約14%又は約15%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第2位であった。(査72の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(69)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(69)》の代表取締役は,同社の主な営業地域である札幌市において,原告は非常に有力なスーパーマーケットであり,平成20年以降で考えてみると,同社では原告との取引額と同じかそれ以上の取引額を確保できるような取引先を探すことは困難であり,実際にこれまでそのような取引先と新たに取引を開始したことはないとする。(査72の1,査369)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(69)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査72の1及び2)
第70 《納入業者(70)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(70)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に鮮魚を納入していた。同社は,平成20年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は平成21年9月27日までは《金額》円,同月28日以降平成23年9月29日までは《金額》円,同月30日以降は《金額》円であり,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査73)
(2) 《納入業者(70)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約1.8%ないし約2.1%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位であった。(査73)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(70)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(70)》の《略》本部長は,「日本の食文化の魚離れ」によって全体的に日本国内での魚の需要が落ち込んできているところに,原告に対する安定した売上高を新規の取引先や既存の取引先で代替することは現実的にはほぼ不可能であるとする。(査73,査371)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(70)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査73)
第71 《納入業者(71)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(71)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果物を納入していた。同社は,平成元年3月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査74の1)
(2) 《納入業者(71)》の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり翌年2月28日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約33%ないし約36%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査74の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(71)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(71)》の代表取締役社長は,①北海道内において原告に代わり得る小売業者として《事業者C》,《事業者B》が挙げられるところ,《納入業者(71)》はこれら2社とは取引を行っていないが,これら2社も既存の取引先とのつながりがあるので,《納入業者(71)》が売込みを行っても,そう簡単に取引を開始してくれるわけではなく,これら2社の既存の取引先の納入価格よりも2,3割程度は価格を安くしないと食い込むことはできないと思うが,そうすると,《納入業者(71)》の経営が持たない,②同社の既存の取引先の中で原告に対する年間売上高をカバーできるほどの規模を持つ小売業者はいないとする。(査74の1,査373)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(71)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では無回答であったが,その後,前記回答をした。(査74の1及び2)
第72 《納入業者(72)》
《納入業者(72)》は,平成20年9月1日,《所在地略》に所在する《旧会社名略》(以下「《旧会社名略》」という。)から分割により設立された。《旧会社名略》は,原告に対して主に鮮魚を納入していた。《納入業者(72)》は,《旧会社名略》が昭和36年5月に開始した原告との取引を承継した。(査75の1,査519)
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(72)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査75の1及び2,査519)
(2) 《納入業者(72)》の平成21年から平成23年まで(いずれも5月1日に始まり翌年4月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約19%ないし約23%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査75の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(72)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査75の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(72)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では無回答であったが,その後,前記回答をした。(査75の1及び2)
第73 《納入業者(73)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(73)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に調理麺を納入していた。同社は,平成21年8月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査76の1及び2)
(2) 《納入業者(73)》の平成21年及び平成22年(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,原告に対する取引依存度は約6.3%又は約7.0%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査76の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(73)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(73)》の専務取締役は,同社の原告に対する年間売上高に相当する売上高を新規の取引先や既存の取引先でカバーすることは難しく,平成21年以降,同社では,実際に,原告に対する年間売上高と同程度の売上高を確保できるような新規の取引先は確保できなかったし,既存の取引先に対する売上高を伸ばすことで原告に対する売上高と同程度の売上高を確保できるような取引先もなかったとする。(査76の3,査375)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(73)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査76の1)
第74 《納入業者(74)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(74)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果を納入していた。同社は,昭和57年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査77の1及び2)
(2) 《納入業者(74)》の平成21年から平成23年まで(いずれも5月1日に始まり翌年4月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約11%又は約13%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位又は第3位であった。(査77の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(74)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(74)》の代表取締役社長は,仮に原告との取引が停止した場合,原告に対する売上高を埋めること自体は何とかなるかもしれないが,適正な利益を確保しつつ,原告に対する売上高を埋め合わせることは困難であり,実際に,平成20年以降に,原告と同程度の売上高を確保できる新規取引先を見つけることはできなかったし,既存の取引先の中で原告と同程度の売上高をカバーできるほど,売上高を伸ばすことができた取引先もいなかったとする。(査77の1,査377)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(74)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査77の1及び2)
第75 《納入業者(75)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(75)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に鮮魚類を納入していた。同社は,平成12年9月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査78)
(2) 《納入業者(75)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約5.3%ないし約6.6%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査78)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(75)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。
また,《納入業者(75)》の《略》課長は,同社の販売先は小口取引の事業者が多く,仮に原告との取引を失った場合,原告に代わり得る新規の取引先を見つけること,既存の取引先で原告への販売額と同程度の売上げを増やすことはいずれも困難であるとする。(査78,査379)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(75)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査78)
第76 《納入業者(76)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(76)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に日用品を納入していた。同社は,平成元年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査79の1及び2)
(2) 《納入業者(76)》の平成20年から平成22年まで(いずれも7月1日に始まり翌年6月30日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.5%ないし約4.6%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第6位であった。(査79の1)
(3) 《納入業者(76)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に札幌市,苫小牧市,千歳市及び函館市である。)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.8%ないし約14%であった。(査79の1)
(4) 《納入業者(76)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて3拠点であった。
《納入業者(76)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査79の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(76)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査79の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(76)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査79の1)
第77 《納入業者(77)》
《旧会社名略》(以下「《旧会社名略》」という。)の販売部門として昭和61年3月3日に設立された《納入業者(78)》(以下「《納入業者(78)》」といい,《納入業者(78)》を指す。)は,本件対象期間中の平成23年3月1日に《旧会社名略》が吸収合併し,消滅した。同時に,《旧会社名略》は,商号を《納入業者(77)》(以下「《納入業者(77)》」といい,《納入業者(77)》を指す。)に変更し,《納入業者(77)》は,同日以降,《納入業者(78)》と原告との取引を承継した。公正取引委員会の報告命令に対する《納入業者(77)》の報告書(査80の1及び2)における回答は,平成20年1月1日から平成23年2月28日までについては《納入業者(78)》に係る回答,同年3月1日以降については《納入業者(77)》に係る回答とする。(査80の1ないし3)
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(77)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主にもやし,カイワレ及び茶碗蒸しを納入していた。同社は,平成23年3月に原告との取引を《納入業者(78)》から承継した。本件対象期間における《納入業者(77)》の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円であった。(査80の1及び2)
(2) 《納入業者(77)》の平成22年7月1日に始まり平成23年6月30日に終わる事業年度において,当該事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円であった。また,報告書によると,当該事業年度における原告に対する取引依存度は約1.6%,取引依存度における原告の順位は第6位であった。
しかし,同売上高は,合併後である平成23年3月1日から同年6月30日までの4か月分のものであるのに対し,総売上高は12か月分のものであることからすると,原告に対する取引依存度は報告書記載の約1.6%ではなく,より高いものであったとみられる。このため,報告書記載の取引依存度における原告の順位についても,実際とは異なるとみられる。
なお,原告に対する売上高を単純に3倍すると,取引依存度は,おおむね4.7%となり,《納入業者(78)》における取引依存度とおおむね一致し,取引依存度における原告の順位も上昇するとみられる。また,《納入業者(77)》の上記事業年度における取引先数は,吸収合併した《納入業者(78)》の平成22年3月1日に始まり平成23年2月28日に終わる事業年度における取引先数《取引先数》社を下回ることはないものと認められる。(査80の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(77)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査80の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(77)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査80の1)
第78 《納入業者(78)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(78)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社である。同社は,昭和46年頃に原告との取引を開始し,平成23年2月28日まで,原告に対して主にもやし,カイワレ及び茶碗蒸しを主に納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高はいずれも約《金額》円であった。(査80の1ないし3)
(2) 《納入業者(78)》の平成21年及び平成22年(いずれも3月1日に始まり平成23年2月28日に終わる。)の2事業年度において,原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約5.8%又は約6.0%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社又は《取引先数》社中の上位第3位又は第4位であった。(査80の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(78)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査80の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(78)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査80の1)
第79 《納入業者(79)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(79)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に加工食品及び低温食品を納入していた。同社は,昭和40年代に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円であった。同社の平成21年(1月1日に始まり同年12月31日に終わる。),平成22年(1月1日に始まり平成23年3月末日に終わる。)及び平成23年(4月1日に始まり平成24年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であった。
なお,《納入業者(79)》は,本件対象期間中である平成23年7月に,商号を《旧会社名略》から《納入業者(79)》株式会社に変更した。また,同年10月1日,《納入業者(80)》を吸収合併した。(査81の1ないし3,査385)
(2) 各事業年度における原告に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約0.7%,約0.6%,約0.5%であった。(査81の1及び2)
(3) 《納入業者(79)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は北海道全域である。)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約12%,約10%,約9%であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第3位であった。(査81の1及び2)
(4) 《納入業者(79)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支社を含めて35拠点又は42拠点であった。
《納入業者(79)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査81の1及び2)
また,《納入業者(79)》の《略》支社《略》部長は,①《略》支社の売上高は同社の他の支社と比べて決して高くはないが,北海道を営業区域としている同社の支社は《略》支社のみであり,仮に同支社がなくなった場合,同支社の北海道における年間約《金額》円の売上高を他地域の支社等の売上高を純増させることでカバーすることは非常に困難である,②同社は全国企業として事業を行っているため,北海道を含め全国で販売しているという実績が必要と考えている,③《略》支社は,今後も売上高の維持,拡大が見込まれる支社の一つであることから,同支社は同社にとって重要な営業拠点であるとする。
さらに,同《略》部長は,①同社では支社ごとに独立採算制を採っており,《略》支社において原告との取引がなくなった場合に他の支社からその分を補填すれば済むというわけではない,②《略》支社では,平成20年以降,原告との取引をカバーできるような新規取引先が見つかったり,既存の取引先との売上高が原告に対する売上高と同等又はそれ以上増加したりしたこともないので,原告は同支社にとって他では代え難い最重要取引先であり,仮に原告との取引がなくなった場合,同支社の事業経営上大きな支障を来すほどの重要かつ必要な取引先であるとする。(査81の1,査384)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(79)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(79)》の《略》支社《略》は,①新規取引先の獲得には時間が掛かり,また,新規取引先は既に競合他社と取引している場合が多いので,時間を掛けたとしても獲得できないことが多々あり,既存の取引先からの売上高増を図るのも,大きい売上高のある取引先は,《納入業者(79)》のような食品卸売業者数社と取引し,これらの事業者に価格面などの取引条件を競わせて納入させているので難しい,②平成22年4月に,それまで《略》支社の帳合先であった《事業者G》が,原告の決定により《納入業者(21)》の帳合先に変更され,同支社は《事業者G》の商品の売上高約《金額》円を失うことになったが,いまだこの金額に相当する売上高を回復できていないことから,仮に原告との売上高約《金額》円を失った場合に同支社がこれを回復するのは不可能であるとする。(査81の1,査385)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(79)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査81の1)
第80 《納入業者(80)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(80)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に調味料,麺類及び嗜好飲料を納入していた。同社は,平成17年4月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円であった。同社の平成21年度及び平成22年度(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)並びに平成23年(4月1日に始まり同年9月末日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であった。
なお,《納入業者(80)》は,本件対象期間中の平成23年10月1日をもって《納入業者(79)》に吸収合併された。(査82の1ないし3)
(2) 各事業年度における原告に対する年間売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約0.5%,約0.4%,約0.4%であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第46位ないし第59位であった(ただし,平成23年4月1日に始まり同年9月末日に終わる事業年度における取引先事業者数は,本件証拠上,明らかではない。)(査82の1及び2)
(3) 《納入業者(80)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は主に札幌エリアである。)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高はそれぞれ,約《金額》円,約《金額》円,約《金額》円であり,原告に対する取引依存度はそれぞれ,約7.3%,約6.6%,約5.9%であり,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位であった。なお,平成23年4月1日に始まり同年9月末日に終わる事業年度の取引依存度における原告の順位は,本件証拠上,明らかではない。(査82の1及び2)
(4) 《納入業者(80)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支社を含めて37拠点又は38拠点であった。
《納入業者(80)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。
また,《納入業者(80)》の《略》支社支社長であった者は,①同社の《略》支社は,同社の支社の中では売上げが多いほうではなかったが,継続して《金額》円を超える売上げ獲得している安定した支社であり,その売上げを他の支社で補填することは困難である,②全国卸の看板を掲げる同社としては,全国の各地区で同社の商品を取引先に売っていかなければならないので,同社にとって《略》支社は重要な営業拠点であったとする。(査82の1,査387)
さらに,《納入業者(80)》の《略》支社支社長であった者は,①どの商品をどこからどれだけの量を仕入れるかを決めるのは,飽くまで小売業者であるので,いくら同社が多くの取引を望み,積極的な営業を行っても,小売業者の方針により,同社の思うように取引できるものではない,②同社は,北海道地区における,原告,《事業者C》,《事業者B》の「3大スーパー」のうち原告と最も多くの取引をしているところ,平成20年度から平成22年度までにおいては,《略》支社における原告に対する取引依存度が7%前後となる大きな売上げを上げており,全国卸の看板を掲げている《納入業者(80)》としては,全国各地区で主要な小売業者との取引を落とすことはできないことから,引き続き,北海道地区の原告との取引を維持し,拡大していく必要があったとする。(査82の1,査387)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(80)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査82の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(80)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査82の1)
第81 《納入業者(81)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(81)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果を納入していた。同社は,平成15年に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査83の1)
(2) 《納入業者(81)》の平成21年及び平成22年(いずれも10月1日に始まり翌年9月30日に終わる。)の2事業年度おいて,各事業年度における原告に対する年間売上高はいずれも約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約1.7%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第7位又は第9位であった。(査83の1)
(3) 《納入業者(81)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支社(営業区域は主に北海道)によるものであるところ,各事業年度における同支社の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約4.4%又は約4.6%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第5位又は第7位であった。(査83の1)
(4) 《納入業者(81)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支社を含めて13拠点であった。
《納入業者(81)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査83の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(81)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査83の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(81)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査83の1)
第82 《納入業者(82)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(82)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に佃煮を納入していた。同社は,平成14年11月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査84の1)
(2) 《納入業者(82)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約14%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第2位であった。(査84の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(82)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(82)》の《略》部長は,同社は,《事業者B》,《事業者C》を含めた北海道内のほとんどの小売業者と直接又は間接に取引を行っており,《納入業者(82)》と取引していない小売業者の中で原告ほどの大きなパイを持つところはないとする。(査84の1,査388)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(82)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査84の1)
第83 《納入業者(83)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(83)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に衣料品を納入していた。同社は,平成10年5月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査85の1及び2)
(2) 《納入業者(83)》の平成21年及び平成22年(いずれも2月1日に始まり平成23年1月31日に終わる。)並びに平成23年(4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.2%又は約0.3%であった。(査85の1及び2)
(3) 《納入業者(83)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》営業所(営業区域は主に北海道及び東北)によるものであるところ,各事業年度における同営業所の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.7%ないし約5.7%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社ないし約《取引先数》社中の上位第6位ないし第10位であった。(査85の1及び2)
(4) 《納入業者(83)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》営業所を含めて4拠点又は5拠点であった。
《納入業者(83)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査85の1及び2)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(83)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,新規取引先発見不可を選択している。(査85の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(83)》は取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査85の1)
第84 《納入業者(84)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(84)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に漬物を納入していた。同社は,平成15年6月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査86)
(2) 《納入業者(84)》の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり翌年2月末日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約3.1%ないし約3.7%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第4位であった。(査86)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(84)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査86)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(84)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査86)
第85 《納入業者(85)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(85)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に牛乳及び乳製品を納入していた。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査87の1)
(2) 《納入業者(85)》の平成21年及び平成22年(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の2事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約0.3%又は約0.4%であった。(査87の1)
(3) 《納入業者(85)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は北海道全域)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約2.6%又は約3.1%,取引依存度における原告の順位はいずれも約《取引先数》社中の上位第8位又は第9位であった。(査87の1)
(4) 《納入業者(85)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて6拠点であった。
《納入業者(85)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査87の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(85)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査87の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(85)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査87の1)
第86 《納入業者(86)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(86)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主に精肉及び惣菜を納入していた。同社は,平成8年6月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円であった。(査88の1)
(2) 《納入業者(86)》の平成21年から平成23年まで(いずれも3月1日に始まり翌年2月末日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度はいずれも約0.4%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第52位ないし第58位であった。(査88の1)
(3) 《納入業者(86)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》支店(営業区域は北海道全域)によるものであるところ,各事業年度における同支店の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約13%又は約14%,取引依存度における原告の順位は《取引先数》社ないし《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査88の1)
(4) 《納入業者(86)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》支店を含めて21拠点又は26拠点であった。
《納入業者(86)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択しを選択している。
また,《納入業者(86)》の《略》支店支店長は,同社の支店の中で《略》支店の売上げは中位に位置するが,北海道では唯一の営業拠点であるため,同社においては欠かせない重要な支店であるとする。(査88の1,査391)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(86)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(86)》の《略》支店支店長は,同社は北海道内3強と呼ばれる,原告,《事業者B》,《事業者C》のほか多数の取引先と取引しているところ,各取引先に対する営業を努力しているが,売上げが増加したとしても前年度実績を少し超えるくらいなので,仮に原告との取引がなくなった場合,原告との取引を他で代替することは難しく,《事業者B》や《事業者C》に対しても《納入業者(86)》は既に取引しているため,両者の取引を増やして原告の取引量を補うことは無理であるとする。(査88の1,査391)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(86)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査88の1,査88の2)
第87 《納入業者(87)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(87)》は,《所在地略》に所在する卸売業を営む株式会社であり,原告に対して主に青果を納入していた。同社は,昭和61年9月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査89の1)
(2) 《納入業者(87)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約1.3%ないし約1.7%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第7位ないし第14位であった。(査89の1)
(3) 《納入業者(87)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の《略》事務所(営業区域は主に北海道)によるものであるところ,各事業年度における同事務所の年間総売上高は約《金額》円又は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約34%ないし約37%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中のいずれも上位第1位であった。(査89の1)
(4) 《納入業者(87)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,《略》事務所を含めて3拠点又は4拠点であった。
《納入業者(87)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査89の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(87)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。(査89の1)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(87)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。なお,同社は,当初の報告書では「いいえ」と回答していたが,その後,設問の読み間違いによる記載間違い等があったとして,訂正した。(査89の1及び2)
第88 《納入業者(88)》
1 原告の市場における地位
本判決第7・1(1)のとおり
2 取引依存度等
(1) 《納入業者(88)》は,《所在地略》に所在する製造業を営む株式会社であり,原告に対して主にパン及び和洋菓子類を納入していた。同社は,昭和51年11月に原告との取引を開始した。本件対象期間における同社の資本金は約《金額》円,年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円であった。(査90の1及び2)
(2) 《納入業者(88)》の平成21年から平成23年まで(いずれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。)の3事業年度において,各事業年度における原告に対する年間売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約6.2%ないし約7.3%,取引依存度における原告の順位は約《取引先数》社又は約《取引先数》社中の上位第4位又は第5位であった。(査90の1及び2)
(3) 《納入業者(88)》の原告に対する前記(2)の年間売上高は全て同社の本社(営業区域は主に札幌市,岩見沢市,恵庭市,千歳市,石狩市,北広島市,小樽市及び石狩郡当別町)及び《略》営業所(営業区域は主に苫小牧市)によるものである(なお,《略》営業所については,平成22年10月に本社に併合された。)。各事業年度における本社の年間総売上高は約《金額》円ないし約《金額》円,原告に対する取引依存度は約8.6%ないし約11%,取引依存度における原告の順位は上位第2位又は第3位であった。また,平成21年度における《略》営業所の年間総売上高は約《金額》円,原告に対する取引依存度は約6.5%であった。(査90の1及び2)
(4) 《納入業者(88)》の前記(2)の各事業年度における営業拠点は,本社及び《略》営業所を含めて5拠点又は6拠点あるところ,これらのうち,前記各事業年度の年間総売上高が最も多い営業拠点は,本社であった。
《納入業者(88)》は,営業拠点重要性認識設問及び営業拠点取引必要性認識設問に対し,いずれも「はい」を選択している。(査90の1)
3 取引先変更可能性等
《納入業者(88)》は,取引先代替非容易認識設問に対し,「はい」を選択し,その理由の選択肢のうち,①新規取引先発見不可,②他取引先取引増加不可を選択している。
また,《納入業者(88)》の《略》課長は,①同社は北海道内に店舗を展開するほとんどの食品スーパーとの間で既に取引を行っており,全国展開している飲食店や個人の飲食店との間でも取引を行っていることから,原告に対する売上高を新規の取引先を開拓することで補うのは困難である,②《納入業者(88)》では平成21年度に《事業者H》(以下「《事業者H》」という。)との間で新規に取引を開始することができ,原告に対する売上高以上の売上高を上げることができたが,これは《事業者H》が《納入業者(88)》と業務提携している《事業者I》のグループ会社の一つと取引していたため,《事業者H》が北海道内で展開する店舗については,《納入業者(88)》が商品を納入することができるようになったという特殊事情によるものであり,通常はこれだけの規模の売上高の新規取引を開始できることはない,③《納入業者(88)》がいまだ取引を行っていない全国展開している小売業者や飲食店はあるものの,これらの事業者は全国展開しているメーカーとの取引を望むため,《納入業者(88)》のように全国展開していないメーカーが新規に取引を開始することは難しい,④既存の取引先についても同業他社との競争が激しいこと,小売業者には複数メーカーの商品を店頭に置きたい意向があるため,ヒット商品を開発しない限り,シェアを拡大することは難しいことから,既存の取引先に対する取引額を増加させることで原告に対する売上高を補うことは難しいとする。(査90の1,査393)
4 その他取引の必要性,重要性に関する具体的事実
《納入業者(88)》は,取引重要性等の設問に対し,「はい」を選択している。(査90の1)

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