公正取引委員会審決等データベース

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国,地方公共団体等が発注する群馬県の区域に所在する施設を対象にした機械警備業務の競争入札等の参加業者に対する件

独禁法3条後段

令和4年(措)第1号

排除措置命令

宇都宮市不動前一丁目3番14号
 北関東綜合警備保障株式会社
  同代表者 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫

前橋市大渡町二丁目1番地の5
 ALSOK群馬株式会社
  同代表者 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫

群馬県太田市植木野町300番地1
 株式会社シムックス
  同代表者 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫

群馬県高崎市江木町1525番地
 国際警備株式会社
  同代表者 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫

前橋市問屋町一丁目10番地3
 ケービックス株式会社
  同代表者 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫

前橋市総社町桜が丘1225番地2
 東朋産業株式会社
  同代表者 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫

公正取引委員会は,上記の者らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき,次のとおり命令する。
なお,主文,理由及び別紙1中の用語のうち,別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は,別紙2「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 北関東綜合警備保障株式会社(以下「北関東綜合警備保障」という。),ALSOK群馬株式会社(以下「ALSOK群馬」という。),株式会社シムックス(以下「シムックス」という。),国際警備株式会社(以下「国際警備」という。),ケービックス株式会社(以下「ケービックス」という。)及び東朋産業株式会社(以下「東朋産業」という。)の6社(以下「6社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
(1) 別紙1記載の業務(以下「特定機械警備業務」という。)について,6社及びセコム上信越株式会社(以下「セコム上信越」という。)の7社(以下「7社」という。)が,遅くとも平成29年1月1日以降共同して行っていた,受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(2) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定機械警備業務について,受注予定者を決定せず,自主的に受注活動を行うこと。
2 6社は,それぞれ,前項に基づいて採った措置を,自社を除く5社,国,地方公共団体等に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 6社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定機械警備業務について,受注予定者を決定してはならない。
4 シムックスは,次の(1)及び(2)の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については,前項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず,かつ,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 官公需等からの受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成及び自社の従業員に対する周知徹底
(2) 官公需等からの受注に関する独占禁止法の遵守についての,特定機械警備業務の営業に関わる自社の役員及び従業員に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
5 シムックスは,第1項,第2項及び前項に基づいて採った措置を,北関東綜合警備保障,ALSOK群馬,国際警備,ケービックス及び東朋産業は,第1項及び第2項に基づいて採った措置を,それぞれ,速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 関連事実
(1) 名宛人等の概要
ア 6社は,それぞれ,肩書地に本店を置き,警備業法(昭和47年法律第117号)の規定に基づき,ALSOK群馬,シムックス,国際警備,ケービックス及び東朋産業は群馬県公安委員会から,北関東綜合警備保障は栃木県公安委員会から警備業の認定を受け,警備業を営む者である。
なお,6社のうちALSOK群馬は,令和元年10月1日付けで,商号を群馬綜合ガードシステム株式会社から現商号に変更したものである。
イ 名宛人以外のセコム上信越は,新潟市中央区新光町1番地10に本店を置き,警備業法の規定に基づき新潟県公安委員会から警備業の認定を受け,警備業を営む者である。
(2) 特定機械警備業務の発注方法等
ア 国,地方公共団体等は,特定機械警備業務について,競争入札等の方法により発注していた。
イ 国,地方公共団体等は,特定機械警備業務の競争入札等のほとんど全てにおいて,7社又は7社のうち複数社を含む者を参加者に選定していた。
2 合意及び実施方法
7社は,遅くとも平成29年1月1日以降,特定機械警備業務について,受注価格の低落防止等を図るため
(1) ア 施設ごとに既存業者(競争入札等が行われる時点で当該施設の機械警備業務の委託を受けている者をいう。)を受注予定者とする
イ 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
(2) ア 受注予定者が提示する入札価格等は,受注予定者が定める
イ 受注予定者以外の者は,受注予定者が連絡した価格以上の入札価格等を提示する
などにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
3 実施状況
7社は,前記2により,特定機械警備業務の大部分を受注していた。
4 前記2の行為の取りやめ
(1) セコム上信越は,遅くとも令和2年6月23日以降,前記2の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を行っていない。
(2) 令和2年9月30日,本件について,公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ,6社は,同日以降,前記2の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
第2 法令の適用
前記事実によれば,7社は,共同して,特定機械警備業務について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,特定機械警備業務の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,この行為は,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また,前記の違反行為は既になくなっているが,6社は,いずれも,独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり,違反行為が長期間にわたって行われていたこと,違反行為の取りやめが公正取引委員会の立入検査を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって,6社に対し,独占禁止法第7条第2項の規定に基づき,主文のとおり命令する。

令和4年2月25日

委員長 古  谷  一  之
委 員 山  本  和  史
委 員 三  村  晶  子
委 員 青  木  玲  子
委 員 小  島  吉  晴

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