公正取引委員会審決等データベース

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愛知県又は岐阜県に所在する病院が発注する医事業務の入札等の参加業者に対する件

独禁法3条後段

令和4年(措)第6号

排除措置命令

東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
株式会社ニチイ学館
同代表者 代表取締役 《 氏 名 》

公正取引委員会は、上記の者に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき、次のとおり命令する。
なお、主文、理由、別紙1及び別紙2中の用語のうち、別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は、別紙2「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 株式会社ニチイ学館(以下「ニチイ学館」という。)は、次の事項を、取締役会において決議しなければならない。
(1) 別紙1記載の医事業務(以下「特定医事業務」という。)について、ニチイ学館及び株式会社ソラスト(以下「ソラスト」という。)の2社(以下「2社」という。)が、遅くとも平成27年3月9日以降共同して行っていた、受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を行っていないことを確認すること。
(2) 今後、他の事業者と共同して、特定医事業務について、受注予定者を決定せず、自主的に受注活動を行うこと。
2 ニチイ学館は、前項に基づいて採った措置を、ソラスト及び別紙1「病院名」欄記載の病院(自衛隊岐阜病院を除く。)の開設者又は管理者に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 ニチイ学館は、今後、他の事業者と共同して、特定医事業務について、受注予定者を決定してはならない。
4 ニチイ学館は、第1項及び第2項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1  関連事実
(1) 名宛人等の概要
ア ニチイ学館は、肩書地に本店を置き、愛知県及び岐阜県の区域において、医事業務の受託事業等を営む者である。
イ 名宛人以外のソラストは、東京都港区港南一丁目7番18号に本店を置き、愛知県及び岐阜県の区域において、医事業務の受託事業等を営む者である。
(2) 特定医事業務の発注方法
別紙1「病院名」欄に記載の病院の開設者又は管理者は、特定医事業務について、入札等の方法により発注していた。
2  合意及び実施方法
2社は、遅くとも平成27年3月9日以降、特定医事業務について、既存の取引の維持及び受注価格の低落防止を図るため
(1) ア 入札等において、2社が競合することが見込まれる状況となった場合に、受注予定者を決定する
イ 受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
(2) ア 既存業者(病院の開設者又は管理者が入札等を実施する時点で、当該病院の特定医事業務を受注している者をいう。)を受注予定者とする
イ 受注予定者が提示する入札価格又は見積価格(以下「入札価格等」という。)は、受注予定者が定める
ウ 受注予定者以外の者は、入札等に参加しない若しくは入札等を辞退する又は受注予定者が定めた入札価格等よりも高い入札価格等を提示する
ことにより、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
3  実施状況
2社は、前記2により、特定医事業務の大部分を受注していた。
4  前記2の行為が行われていないこと
ソラストは、平成31年1月11日までに、課徴金の減免に係る事実の報告及び資料の提出に関する規則(令和2年公正取引委員会規則第3号)による改正前の課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第7号)第1条第1項の規定に基づき、公正取引委員会に対して様式第1号による報告書を提出するとともに、自社の医事業務の営業担当者に対して前記2(1)の合意に基づく行為を実施しないよう指示を行ったところ、同日以降、同合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為は行われていないと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば、2社は、共同して、特定医事業務について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、特定医事業務の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって、この行為は、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また、前記の違反行為は既になくなっているが、ニチイ学館については、独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり、違反行為が長期間にわたって行われていたこと等の諸事情を総合的に勘案すれば、特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって、ニチイ学館に対し、独占禁止法第7条第2項の規定に基づき、主文のとおり命令する。

令和4年10月17日

委員長  古  谷  一  之
委 員  山  本  和  史
委 員  三  村  晶  子
委 員  青  木  玲  子
委 員  𠮷  田  安  志

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