公正取引委員会審決等データベース

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独立行政法人国立病院機構が発注する九州エリアに所在する病院が調達する医薬品の入札参加業者らに対する件

独禁法第7条の2

令和5年(納)第1号

課徴金納付命令

納付命令番号 納付義務者 納付すべき課徴金の額
(万円)
備考
(関係審決)
令和5年(納)第1号 株式会社アステム 大分市西大道二丁目3番8号 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫ 1億9119万円
令和5年(納)第2号 株式会社翔薬 福岡市博多区山王二丁目3番 5号 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫ 1億3328万円
令和5年(納)第3号 九州東邦株式会社 福岡市東区箱崎ふ頭三丁目4 番46号 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫ 1億2759万円
令和5年(納)第4号 富田薬品株式会社 熊本市中央区九品寺六丁目2 番35号 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫ 1億2445万円
令和5年(納)第5号 アルフレッサ株式会社 東京都千代田区内神田一丁目 12番1号 代表取締役 ≪ 氏 名 ≫ 5077万円

大分市西大道二丁目3番8号
株式会社アステム
同代表者 代表取締役 《氏名》

公正取引委員会は、上記の者に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条の2第1項の規定に基づき、次のとおり命令する。

主    文
株式会社アステム(以下「アステム」という。)は、課徴金として金1億9119万円を令和5年10月25日までに国庫に納付しなければならない。

理    由
1 課徴金に係る違反行為
アステムは、別添1令和5年(措)第1号排除措置命令書(写し)記載のとおり、他の事業者と共同して、別紙1記載の医薬品(以下「特定医薬品」という。)について、特定医薬品を医薬品の製造販売業者等で区分した医薬品群ごとに受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し、受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、本件医薬品(31病院(別表記載の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県及び鹿児島県に所在する独立行政法人国立病院機構又は独立行政法人労働者健康安全機構が運営する31病院をいう。)が調達する医薬品であって、平成28年5月20日から令和元年6月3日までの間の入札公告及び当該入札公告に基づく入札説明書により指定された医薬品をいう。以下同じ。)の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって、この行為は、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、独占禁止法第3条の規定に違反するものであり、かつ、独占禁止法第7条の2第1項に規定する商品の対価に係るものである。
2 課徴金の計算の基礎
(1) ア アステムは、特定医薬品の卸売業を営んでいた。
イ  アステムが前記1の違反行為の実行としての事業活動を行った日は、特定医薬品に係る納入期間の最初の日である平成28年9月1日であると認められる。また、アステムは、令和元年11月27日以降、当該違反行為を取りやめており、同月26日にその実行としての事業活動はなくなっているものと認められる。したがって、アステムについては、当該違反行為の実行としての事業活動を行った日から当該違反行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間が3年を超えるため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第45号。以下「改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によることとされる改正法による改正前の独占禁止法(以下「改正前の独占禁止法」という。)第7条の2第1項の規定により、実行期間は、平成28年11月27日から令和元年11月26日までの3年間となる。
ウ 前記実行期間における特定医薬品に係るアステムの売上額は、改正法附則第6条第1項のなお従前の例によることとする規定により、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第260号)による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令第5条第1項の規定に基づき算定すべきところ、当該規定に基づき算定すると、別紙2記載の医薬品群に含まれる医薬品に係る136億5679万3913円である。
(2)  アステムは、独占禁止法第7条の4第3項第1号の規定により、公正取引委員会による調査開始日である令和3年11月9日以後、課徴金の減免に係る事実の報告及び資料の提出に関する規則(令和2年公正取引委員会規則第3号。以下「課徴金減免規則」という。)第8条に規定する期日までに、課徴金減免規則第7条及び第9条に定めるところにより、単独で、公正取引委員会に前記1の違反行為に係る事実の報告及び資料の提出(既に公正取引委員会によって把握されている事実に係るものを除く。)を行っている。また、アステムは、当該事実の報告及び資料の提出を行った日以後において当該違反行為をしていた者でない。また、当該違反行為について、独占禁止法第7条の4第1項第1号又は第2項第1号から第3号までの規定による事実の報告及び資料の提出を行った者の数は5に満たないところ、これらの規定による事実の報告及び資料の提出を行った者の数と、同条第3項第1号の規定による事実の報告及び資料の提出を行った者(以下「調査開始日以後の申請事業者」という。)であってアステムより先に課徴金減免規則第7条第1項に規定する報告書の提出を行った者の数を合計した数は5に満たず、かつ、調査開始日以後の申請事業者であってアステムより先に同項に規定する報告書の提出を行った者の数を合計した数は3に満たない。したがって、アステムは、独占禁止法第7条の4第3項第1号及び第3号に該当する者であり、同項の規定の適用を受ける事業者であるから、アステムが同項の規定により減額を受ける額は、減算前課徴金額に100分の10を乗じて得た額となる。
(3)  アステムは、公正取引委員会との間で、独占禁止法第7条の5第1項の規定に基づき、別添2合意書(抜粋)のとおり合意し、同合意書第1条に掲げる行為を行った。したがって、アステムが、独占禁止法第7条の5第3項の規定により、合意の内容に応じ、独占禁止法第7条の4第3項の規定により減額を受ける額に加えて減額を受ける額は、減算前課徴金額に100分の20を乗じて得た額となる。
(4)  アステムが国庫に納付しなければならない課徴金の額は、改正法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によることとされる改正前の独占禁止法第7条の2第1項の規定により、前記136億5679万3913円に100分の2を乗じて得た額から、独占禁止法第7条の4第3項及び第7条の5第3項の規定により当該額に100分の30を乗じて得た額を減額し、独占禁止法第7条の8第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて算出された1億9119万円である。

よって、アステムに対し、独占禁止法第7条の2第1項の規定に基づき、主文のとおり命令する。

令和5年3月24日

委員長  古  谷  一  之
委 員  山  本  和  史
委 員  三  村  晶  子
委 員  青  木  玲  子
委 員  𠮷  田  安  志

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