公正取引委員会審決等データベース

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高知県が発注する地質調査業務の入札参加業者に対する件

独禁法3条後段

令和05年(措)第5号

排除措置命令

名宛人 別表1の名宛人目録記載のとおり

公正取引委員会は、上記の者らに対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき、次のとおり命令する。
なお、理由中の用語のうち、別紙「用語」欄に掲げるものの定義は、別紙「定義」欄に記載のとおりである。

主    文
1 別表1の名宛人目録記載の13名(以下「13名」という。)のうち、別表1の(1)記載の12社は、それぞれ、次の事項を、取締役会において決議しなければならない(会社法(平成17年法律第86号)第2条第7号に規定する取締役会設置会社でない場合にあっては、取締役による決定をしなければならない。)。
(1) 高知県が指名競争入札の方法により業種を地質調査業務として発注する業務(以下「高知県発注の特定地質調査業務」という。)について、13名及び別表2記載の1社の14名(以下「14名」という。)が、遅くとも平成29年4月3日以降共同して行っていた、受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(2) 今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、高知県が業種を地質調査業務として発注する業務について、受注予定者を決定せず、各自がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと。
2 13名のうち、別表1の(2)記載の事業者は、前項(1)及び(2)の事項を確認しなければならない。
3 13名は、それぞれ、第1項又は前項に基づいて採った措置を、自らを除く12名及び高知県に通知し、かつ、自らの従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
4 13名は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、高知県が業種を地質調査業務として発注する業務について、受注予定者を決定してはならない。
5 13名は、それぞれ、第1項又は第2項及び第3項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 関連事実
(1) 名宛人等の概要
ア 13名のうち、別表1の(1)記載の12社は、それぞれ、同表「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き、地質調査業を営む者である。
イ 13名のうち、別表1の(2)記載の事業者は、同表「主たる事務所の所在地」欄記載の地に主たる事務所を置き、地質調査業を営む者である。
ウ 名宛人以外の別表2記載の事業者は、同表「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き、地質調査業を営む者である。
(2) 高知県発注の特定地質調査業務の発注方法等
ア 高知県は、地質調査業務を含む建設工事に係る委託業務の競争入札に参加する者に必要な資格(以下「参加資格」という。)を定め、建設工事に係る委託業務の業種ごとに、参加資格を有する事業者(以下「有資格者」という。)を名簿に登録していた。
イ 高知県は、平成29年4月3日から令和2年11月11日までの間、高知県発注の特定地質調査業務の全てについて、有資格者の中から入札の参加者を指名していた。
ウ 14名は、いずれも平成29年4月3日から令和2年11月11日までの間、有資格者であった。
2 合意及び実施方法
14名は、遅くとも平成29年4月3日以降、高知県発注の特定地質調査業務について、受注価格の低落防止等を図るため
(1)ア 指名業者のうち、指名を受けた旨の連絡を幹事会社に行った者の中から受注予定者を決定する
イ 受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
(2)ア 発注された業務の予定価格(予定価格が事前に公表されていない場合は、幹事会社等が推測して算出した価格。以下同じ。)を、予定価格等に応じてあらかじめ定めた区分に当てはめ、指名業者のうち、当該区分において指名を受けた回数を基にあらかじめ定めた一定の算定方式により算出した点数が最も多い者を受注予定者とする
イ 予定価格が一定の金額に満たないなど前記アであらかじめ定めた区分に該当しない業務にあっては、受注を希望する者(以下「受注希望者」という。)が1名のときはその者を受注予定者とし、受注希望者が複数名のときは受注希望者間の話合いにより受注予定者を決定する
ウ(ア) 高知県に対し、提案書・見積書等を提出して設計協力を行い、協力した内容が業務の設計書において採用された者(以下「設計協力者」という。)がいる場合は、前記ア及びイによらず、設計協力者が1名のときはその者を受注予定者とし、設計協力者が複数名のときは設計協力者間の話合いにより受注予定者を決定する
(イ) 過去に発注された業務との継続性があり、当該過去に発注された業務を受注した者がいる場合は、前記ア及びイによらず、その者を受注予定者とする
エ 受注すべき価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
などにより、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
3 実施状況
14名は、前記2により、高知県発注の特定地質調査業務の大部分を受注していた。  
4 前記2の行為の取りやめ
名宛人以外の別表2記載の事業者が前記2⑴の合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめることを表明したことを契機として、14名は、事実上当該行為を継続することができなくなり、令和2年11月12日以降、当該行為を取りやめている。
第2 法令の適用
前記事実によれば、14名は、共同して、高知県発注の特定地質調査業務について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、高知県発注の特定地質調査業務の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって、この行為は、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また、前記の違反行為は既になくなっているが、13名については、いずれも、独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり、違反行為が長期間にわたって行われていたこと等の諸事情を総合的に勘案すれば、特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって、13名に対し、独占禁止法第7条第2項の規定に基づき、主文のとおり命令する。

令和5年9月28日

委員長 古  谷  一  之
委 員 三  村  晶  子
委 員 青  木  玲  子
委 員 𠮷  田  安  志
委 員 泉  水  文  雄

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