公正取引委員会審決等データベース

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佐賀県有明海漁業協同組合に対する件

審査規則22条1項

令和4年(査)第5号

審査官の処分に対する異議申立てに関する決定

佐賀県佐賀市西与賀町大字厘外821番地4
異議申立人    佐賀県有明海漁業協同組合
同代表者代表理事  ≪B1≫
同代理人弁護士  平 山 賢太郎

令和4年(査)第5号佐賀県有明海漁業協同組合に対する件(以下「本件審査事件」という。)について、異議申立人から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第47条第1項及び同条第2項の規定に基づく審査官の処分に対し、公正取引委員会の審査に関する規則(以下「審査規則」という。)第22条第1項の規定に基づく異議の申立てがあったので、当委員会は、次のとおり決定する。

主文
本件異議の申立てを却下する。

理由
1 本件審査事件に関し、令和5年6月29日、公正取引委員会審査官≪氏名略≫が異議申立人に対して行った報告命令(同月30日に送達。以下「本件報告命令」という。)に基づき、異議申立人が同年10月2日付けで提出した報告書(同月4日到達。以下「本件報告書」という。)について、審査官は、報告内容の訂正を求めるなどし、同年11月8日にも異議申立人の職員に架電した(以下「本件架電」という。)ところ、同月13日、異議申立人から、当委員会に対し、審査規則第22条第1項の規定に基づき、別添上申書のとおり異議の申立てがなされた。
2(1) しかしながら、本件異議の申立ての対象とされている「処分」(独占禁止法第47条第1項第1号、第2項)、すなわち、本件報告命令は、令和5年6月30日に異議申立人に対して行われたものであり、同年11月13日になされた本件異議の申立ては、「処分を受けた日から一週間以内」(審査規則第22条第1項)に申し立てられたものではないから不適法である。
(2) また、異議申立人は、審査官による本件架電の際に、異議申立人に対する威迫行為があった旨主張するが、その際の審査官の発言の趣旨は、本件報告書における報告内容の不分明な点について、速やかな説明を求めるものにすぎず、その申し向けた言辞についてみても、到底威迫行為と評価されるものではないから、異議申立人の主張は理由がない。
3 以上のとおり、異議申立人による本件異議の申立ては不適法であり、かつ、その理由もないので、主文のとおり決定する。

令和5年11月22日

公正取引委員会

別添

上申書

令和5年11月10日

公正取引委員会御中

佐賀県有明海漁業協同組合
平山法律事務所
電話  ≪番号略≫
FAX ≪番号略≫
代理人弁護士 平山 賢太郎

独占禁止法47条1項1号に規定する処分に対する異議の申立て

当職は、上記の者の代理人として、審査官が独占禁止法47条2項の規定に基づいてした同条1項1号に規定する報告命令に対して、別紙のとおり、公正取引委員会の審査に関する規則22条1項の規定に基づき異議を申し立てます。

別紙

佐賀県有明海漁業協同組合は貴会の令和4年(査)第5号事件について審査を受けておりますところ、貴会の審査に対して誠実に協力し貴会に真相を解明していただくことをその対応方針としております。

貴会審査官は、令和5年6月29日付け報告命令により、申立人に対して同命令書様式記載の事項の報告を命じました。
その後、貴会審査官は申立人に対して報告内容の訂正を電子メール等により求めていたところ、同年11月8日にも申立人職員に対して架電にて報告書の訂正を求め、これに対して同職員が

「代理人の先生に確認していただいたところ、説明に理解できない点があると先生から指摘があったので、いま訂正して変更しています」「先生の確認をいただいたらすぐに提出します」

旨の説明をしたところ、上記審査官は、

「理解しやすいとかしにくいとかより、早急に回答いただきたい」

旨申し向けて同職員を威迫しました。

報告命令に対する報告は誤りを含まないことが重要であり、虚偽報告等は刑事罰による制裁の対象とされています。報告命令が求める報告の内容が複雑であることにより、また報告書作成作業の過程における過誤により、誤記等が生じることはありますが、申立人はその都度誠実に訂正作業を行っております。

しかし、上記審査官による上記言動は、虚偽の内容を含む可能性がある報告であっても、また虚偽があると解釈され得るような理解困難な内容の報告であっても、「理解しやすいとかしにくいとかより、早急に」提出するよう申立人を威迫し、もって、虚偽報告を理由として刑事罰の追及を受ける事態へと申立人及び同職員をことさら追い込もうとする行為です。かかる言動は適正手続を逸脱するものであり、許容されるべきものではありません。

申立人においては、本上申書提出の前日には報告内容の内部決裁手続に入り、報告書提出の準備を整えていたところですが、報告命令制度は、威迫行為まで用いて申告人らを刑事罰のリスクへ追い込むために用いられるべき制度ではありませんので、この報告命令は正当性を欠く違法なものであったと思料し、本書面をもって異議を申し立てます。

なお、申立人は、当該報告命令が合法なものであることが異議申立て、裁決取消の訴え等を経て確認された場合にはすすんで報告を行いたいと考えておりますので、その旨申し添えます。
以 上


注釈 《 》部分は、公正取引委員会事務総局において原文に匿名化等の処理をしたものである。

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