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鹿島道路株式会社による排除措置命令等取消請求控訴事件

独禁法3条後段、独禁法7条2
東京高等裁判所第3特別部

令和05年(行コ)第153号

判決

令和5年11月29日

東京都文京区後楽一丁目7番27号
 控訴人       鹿島道路株式会社
 同代表者代表取締役 ≪X1≫
 同訴訟代理人弁護士 中藤 力
 同         森本哲也
 同         外崎友隆
 同         海藤忠大
東京都千代田区霞が関一丁目1番1号
 被控訴人      公正取引委員会
 同代表者委員長   古谷一之
 同指定代理人    山口正行
 同         近藤智士
 同         岩下生知
 同         奥村正和
 同         高取勇介
 同         堤 優子
 同         新田高広
 同         池田宏祥
 同         久野慎介
 同         深澤尚人
 同         津田和孝
 同         徳永壮亮

令和5年11月29日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 
令和5年(行コ)第153号排除措置命令等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和2年(行ウ)第31号)
令和5年9月27日口頭弁論終結
判 決
当事者の表示   別紙当事者目録記載のとおり
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対し令和元年7月30日付けでした排除措置命令(公正取引委員会令和元年(措)第6号)を取り消す。
3 被控訴人が控訴人に対し令和元年7月30日付けでした課徴金納付命令(公正取引委員会令和元年(納)第8号)を取り消す。
第2 事案の概要(以下、略称は、原判決の例による。)
1 被控訴人は、アスファルト合材の製造販売業を営む控訴人に対し、控訴人及び同業他社8社が遅くとも平成23年3月以降、控訴人、同業他社8社又は構成員を控訴人及び同業他社8社のいずれかとする共同企業体(JV)が販売する全てのアスファルト合材の販売価格の引上げを共同して行っていく旨の合意(本件合意)をすることにより、独禁法2条6項所定の「不当な取引制限」をし、平成24年1月28日から平成27年1月27日までの3年間の実行期間(本件実行期間)におけるアスファルト合材に係る控訴人の売上額は580億1572万8845円であったとして、控訴人に対し、令和元年法律第45号による改正前の独禁法(改正前独禁法)7条2項に基づく本件排除措置命令及び改正前独禁法7条の2第1項に基づく本件課徴金納付命令(課徴金額58億0157万円)の本件各命令を行った。
本件は、控訴人が、本件合意をしていないなどと主張して本件各命令の取消しを求め、また、仮に上記合意をしたとしても控訴人の上記売上額の一部(合計50億4358万3046円)には本件合意に基づく拘束が及んでいないと主張して本件課徴金納付命令のうち52億9721万円(上記一部を除いた売上額529億7214万5799円に基づく課徴金額)を超える部分の取消しを求める事案である。
2 原判決が、控訴人の請求をいずれも棄却したところ、控訴人は、これを不服として控訴した。
3 前提事実、争点及びこれに関する当事者の主張は、原判決「事実及び理由」欄の第2の2及び3(2頁8行目から19頁21行目まで)に記載のとおりであるからこれを引用する。ただし、7頁3行目から4行目にかけての「本件排除措置命令」の次に「(乙1)」を、7行目の「本件課徴金納付命令」の次に「(乙2)」をそれぞれ加える。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、控訴人の被控訴人に対する本件請求は、いずれも理由がないと判断する。その理由は、当審における控訴人の主張をも踏まえ、後記2のとおり原判決を補正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の第3の1ないし8(19頁23行目から57頁12行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 原判決の補正
⑴ 23頁5行目の「客観的証拠」の次に「(平成25年5月27日以降に開催された9社会に関するものとして、乙278~281、284~286)」を加え、20行目の「販売数量」を「製造数量」に改め、23行目の「というものであり、」の次に「9社もの多数の担当者が、定期的かつ頻繁に一堂に会する機会を設けて報告し合うにしては、」を加える。
⑵ 26頁1行目の「3頁」の次に「、同旨の供述として、乙68〔≪F1≫供述調書・8~13頁」を、10行目の「出席するようになったこと」の次に「、欠席した者に対しても必要な情報は伝達されていたこと(前記(ア)参照)」をそれぞれ加え、11行目の「本件各9社会」から12行目の「できないこと」までを「本件各9社会において控訴人を含む9社間で情報を共有し、合意を形成するのに支障があったとは認め難いこと」に改め、14行目の「開催前に」の次に「4社の」を、27頁14行目の「行っていないという」の次に「毎年ほぼ同じ時期に同じような内容を繰り返していた」をそれぞれ加え、28頁16行目から17行目にかけての「その役員は」から18行目の「あるから」までを「少なくとも担当の役員は9社会に出席していないとしてもそこで合意された内容について報告を受けないということはあり得ず、その責任を免れるとも考え難いから」に改める。
⑶ 33頁18行目の「許容されていた(」の次に「乙18号証〔≪X5≫供述調書〕14,15頁、乙84号証〔≪X2≫供述調書〕8頁、」を加え、36頁21行目の「他社の値上げ活動の状況を」を「控訴人はトン当たり450円、他社は450円から500円の値上げ状況であり、各社の値上げ額は同年4月に掲げた1200円の値上げ幅を確実に取り込む動きになっているなどと9社会の内容を詳細かつ」に改め、37頁2行目の「あれば、」の次に「その後9社会の趣旨目的に変更があったなどの事情があればともかく、そうした事情も見当たらない以上、」を加え、5行目から6行目にかけて及び38頁14行目の各「当該9社会の開催直後に」を「多数回にわたり、いずれも当該9社会の開催後、これに対応して遅滞なく」にいずれも改め、37頁18行目の「認められる」を「認められるほか、前記全国製品事業部長会議の議事録(乙276)が自身に回覧された事実を認める一方、そこに記載された≪X3≫の報告については聞いておらず、途中で退席した可能性がある、回覧時も自身の発言しかチェックしていないなどと不合理な弁解をしている」に、19行目から20行目にかけての「証人≪X5≫18~19頁」を「証人≪X5≫18~22頁、36~37頁」に、38頁2行目の「本件通達等」から3行目の「いえない」までを「本件通達等の内容と本件各9社会の内容とが詳細において一致していないからといって、本件通達等が本件各9社会の報告を踏まえて発出されたことを否定すべき事情とはいい難い。かえって、本件各9社会においては、おおむね会計年度末を控えた時期に開催された会合で次年度の販売価格の引上げ幅等の方針を定め、これに続く会合でその達成状況を報告し、未達である場合にはその実現に向けた取組みの継続を確認するという経過を繰り返しているところ、例えば、控訴人における平成25年2月6日付け及び同年10月4日付けの各業務連絡(前記ア(ア)c、d)の内容は、こうした本件9社会の経過が忠実に反映されているとみるほかなく、これらが本件9社会とは無関係に控訴人独自の判断で行われたなどとみるのは困難というほかない」にそれぞれ改める。
⑷ 43頁7行目から8行目にかけての「(原告もこれを争っていない。)」を削る。
⑸ 46頁10行目の「原告の本店」を「各社の本店」に、50頁2行目の「本件基本合意」を「本件合意」にそれぞれ改める。
⑹ 51頁12行目の「不服の申立てに」を「これを争う場合の」に改める。
⑺ 54頁15行目の「むしろ」を「8社における上記と同様のJV工場への伝達については、認定事実⑷イ(ア)、(イ)のとおりであって」に改める。
3 その他控訴人が当審において主張する点を踏まえても、上記引用に係る原判決の認定判断(前記2の補正後のもの)は左右されない。
4 結論
よって、控訴人の本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。

令和5年11月29日

裁判長裁判官 𠮷田徹
裁判官 橋本英史
裁判官 森脇江津子

注釈 《 》部分は、公正取引委員会事務総局において原文に匿名化等の処理をしたものである。

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