公正取引委員会審決等データベース

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食品ごまの製造販売業者に対する件

独禁法第3条後段

令和07年(措)第9号

排除措置命令

東京都品川区北品川五丁目1番18号
 かどや製油株式会社
  同代表者 代表取締役 《 氏 名 》

愛知県蒲郡市港町2番5号
 竹本油脂株式会社
  同代表者 代表取締役 《 氏 名 》

公正取引委員会は、上記の者らに対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき、次のとおり命令する。

主    文
1 かどや製油株式会社(以下「かどや製油」という。)及び竹本油脂株式会社(以下「竹本油脂」という。)の2社(以下「2社」という。)は、それぞれ、次の事項を、取締役会において決議しなければならない。
(1) フンドーキン醤油株式会社(以下「フンドーキン醤油」という。)向けに販売される食品ごま(以下「特定食品ごま」という。)について、遅くとも令和5年9月12日までに2社が共同して行った、フンドーキン醤油に対する販売価格(以下「フンドーキン醤油渡し価格」という。)を引き上げる旨の合意が消滅していることを確認すること。
(2) 今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格を決定せず、自主的に決めること。
(3) 今後、相互に、又は他の事業者と、特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格に関する情報交換を行わないこと。
2 2社は、それぞれ、前項に基づいて採った措置を、相互に通知するとともに、フンドーキン醤油及び自社の特定食品ごまの取引先である販売業者に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 2社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格を決定してはならない。
4 2社は、今後、それぞれ、相互に、又は他の事業者と、特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格に関する情報交換を行ってはならない。
5 2社は、それぞれ、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については、前2項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず、かつ、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(1) 食品ごまの販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底
(2) 食品ごまの販売活動に関する独占禁止法の遵守についての、当該販売活動に従事する自社の役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査
6 2社は、それぞれ、第1項、第2項及び前項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 関連事実
(1) 名宛人の概要
ア かどや製油は、肩書地に本店を置き、食品ごまの製造販売業を営む者である。
イ 竹本油脂は、肩書地に本店を置き、食品ごまを他の事業者に委託して製造させ販売する事業を営む者である。
(2) 特定食品ごまの取引形態等
ア 2社は、それぞれ、販売業者を通じて、フンドーキン醤油に対し、特定食品ごまを販売していた。
イ 2社は、それぞれ、特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格について、直接又は販売業者を通じてフンドーキン醤油と交渉して定め、当該価格から販売業者の口銭を差し引いたものを自らの販売価格としていた。
ウ 2社の特定食品ごまの販売金額の合計は、特定食品ごまの総販売金額のほとんど全てを占めていた。
2 合意の成立等
(1) 2社は、令和4年10月28日、2社の営業担当者がフンドーキン醤油が主催する会合において面談を実施し、食品ごま及びごま油の原材料であるごまの価格高騰等に対応するために、特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格及びフンドーキン醤油向けに販売されるごま油(以下「特定ごま油」という。)のフンドーキン醤油渡し価格をそれぞれ引き上げる必要がある旨並びに当該各引上げについて2社が協調して行う必要がある旨の認識を共有した。
(2) その上で、2社は、令和5年2月以降、2社の営業担当者が電話連絡の方法により特定ごま油のフンドーキン醤油渡し価格の引上げに関する情報交換を行うことにより、同年6月1日以降、当該価格を引き上げていた。
(3) さらに、2社は、令和5年7月以降、2社の営業担当者が電話連絡の方法により特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格の引上げに関する情報交換を行うことにより、遅くとも同年9月12日までに、特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格を共同して引き上げることを合意した。
3 実施状況
2社は、前記2⑶の合意に基づき、令和5年10月1日以降、特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格を引き上げていた。
4 合意の消滅
令和6年3月13日、前記2⑵の特定ごま油のフンドーキン醤油渡し価格の引上げに関する情報交換に係る事件について、公正取引委員会が2社の本店等に独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ、2社は、同日以降、前記2⑶の合意に基づく行為を行っていない。このため、同日以降、同合意は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば、2社は、共同して、特定食品ごまのフンドーキン醤油渡し価格を引き上げる旨を合意することにより、公共の利益に反して、特定食品ごまの販売分野における競争を実質的に制限していたものであって、この行為は、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また、前記の違反行為は既になくなっているが、2社は、いずれも、独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり、違反行為が自主的に取りやめられたものではないこと等の諸事情を総合的に勘案すれば、特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって、2社に対し、独占禁止法第7条第2項の規定に基づき、主文のとおり命令する。

令和7年5月14日

委員長 古  谷  一  之

委 員 三  村  晶  子

委 員 青  木  玲  子

委 員 𠮷  田  安  志

委 員 泉  水  文  雄

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