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8条1号
令和07年(措)第14号
令和7年(措)第14号
排 除 措 置 命 令 書
長野市高田655番地6
長野県石油商業組合北信支部
同代表者 支部長 《 氏 名 》
公正取引委員会は、上記の者に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第8条の2第2項の規定に基づき、次のとおり命令する。
なお、主文、理由、別紙1及び別紙2中の用語のうち、別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は、別紙2「定義」欄に記載のとおりである。
主 文
1 長野県石油商業組合北信支部(以下「北信支部」という。)は、次の事項を、役員会において決議しなければならない。
⑴ 北信支部に所属する長野県石油商業組合の組合員(以下「支部員」という。)が販売する、別紙1記載の揮発油(以下「特定揮発油」という。)について、その販売価格の改定額及び改定時期(以下「改定額等」という。)を決定し、支部員に対し、当該決定に基づいて特定揮発油の販売価格の改定を実施させる旨の基本方針が消滅していることを確認すること
⑵ 今後、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額等を決定せず、当該改定額等は支部員がそれぞれ自主的に決めること
2 北信支部は、前項に基づいて採った措置を、支部員に通知するとともに、特定揮発油の需要者に周知しなければならない。これらの通知及び周知の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 北信支部は、今後、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額等を決定してはならない。
4 北信支部は、第1項及び第2項に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
理 由
第1 事実
1 関連事実
⑴ 名宛人の概要
ア 北信支部は、昭和38年4月18日に中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)に基づいて設立された長野県石油商業組合の一支部であり、肩書地に事務所を置き、北信地区において石油製品の販売業を営む長野県石油商業組合の組合員で構成されており、支部員数は、令和7年2月5日現在71名である。
イ 北信支部は、長野県石油商業組合の事務を処理するほか、支部員から支部会費を徴収し、同組合とは別に事業計画及び予算を策定して、揮発油の市況対策を行うなど独自の事業活動を行い、支部員の共通の利益の増進を図っている。
ウ 北信支部は、役員として支部長、副支部長及び地区長を置くとともに、意思決定機関として総会及び役員会を置いている。
エ 北信支部の支部長(以下「支部長」という。)は、北信支部を代表する立場として、北信支部の業務全般を統括している。
オ 北信支部は、北信地区を九つの地区に分け、北信支部の副支部長(以下「副支部長」という。)に1又は複数の地区の事務を、また、北信支部の地区長(以下「地区長」という。)に各地区の事務を、それぞれ処理させている。
⑵ 特定揮発油の販売シェア
支部員の特定揮発油の販売金額の合計は、特定揮発油の総販売金額の過半を占めていた。
2 支部員が販売する特定揮発油の販売価格の改定額等を制限する基本方針及び実施方法
北信支部は、かねてから、北信支部内において、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額等の調整を行っていたところ、遅くとも令和6年12月16日頃以降、支部員間での価格競争を回避し、支部員の利益を確保するため、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額等を決定し、支部員に対し、当該決定に基づいて特定揮発油の販売価格の改定を実施させる旨の基本方針の下に
⑴ 支部長が、燃料油補助金の減額状況や石油元売会社による揮発油の仕切価格の変動状況等を踏まえ、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額等を決定する
⑵ 前記⑴の決定内容について、支部長が副支部長に連絡し、副支部長は自身が担当する地区の地区長に連絡し、地区長は自身が担当する地区の支部員に連絡するなどして、支部員に周知する
ことにより、支部員に対し、前記⑴の決定に基づいて特定揮発油の販売価格の改定を実施させていた。
3 実施状況
支部員は、おおむね、前記2⑴の決定に基づき、特定揮発油の販売価格を改定していた。
4 前記2の基本方針の消滅
令和7年2月5日、長野市内の給油所間で揮発油の販売価格が調整されている疑いがある旨の報道が行われ、これを契機として、支部長は、前記2の基本方針の下で行っていた特定揮発油の販売価格の改定額等の決定及びその決定内容の支部員に対する周知を取りやめることとし、同日以降、これを副支部長らに通知した。そして、同日以降、北信支部は、前記2の基本方針に基づく行為を行っていない。このため、同日以降、前記2の基本方針は事実上消滅しているものと認められる。
第2 法令の適用
前記事実によれば、北信支部は、独占禁止法第2条第2項に規定する事業者団体に該当するところ、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額等を決定し、支部員に対し、当該決定に基づいて特定揮発油の販売価格の改定を実施させる旨の基本方針により、特定揮発油の販売分野における競争を実質的に制限していたものであって、この行為は、独占禁止法第8条第1号に該当し、独占禁止法第8条の規定に違反するものである。このため、北信支部は、独占禁止法第8条の2第2項において準用する独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者である。また、違反行為が行われなくなったことが報道を契機としたものであること等の諸事情を総合的に勘案すれば、特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって、北信支部に対し、独占禁止法第8条の2第2項の規定に基づき、主文のとおり命令する。
令和7年11月26日
委員長 茶谷 栄治
委 員 三村 晶子
委 員 青木 玲子
委 員 吉田 安志
委 員 泉水 文雄