公正取引委員会審決等データベース

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地方公共団体等が発注する東海旅客鉄道株式会社が管理する線路の跨線橋点検業務における入札等の参加業者らに対する件

3条後段

令和07年(措)第15号

排除措置命令

令和7年(措)第15号
排 除 措 置 命 令 書

東京都台東区上野七丁目11番1号
 日本交通技術株式会社
  同代表者 代表取締役 《 氏 名 》

名古屋市中村区名駅五丁目33番10号
 ジェイアール東海コンサルタンツ株式会社
  同代表者 代表取締役 《 氏 名 》

岐阜市薮田南三丁目1番21号
 大日コンサルタント株式会社
  同代表者 代表取締役 《 氏 名 》

東京都渋谷区本町一丁目13番3号
 株式会社トーニチコンサルタント
  同代表者 代表取締役 《 氏 名 》

三重県松阪市大口町102番地2
 丸栄調査設計株式会社
  同代表者 代表取締役 《 氏 名 》

名古屋市中村区名駅一丁目1番4号
 東海旅客鉄道株式会社
  同代表者 代表取締役 《 氏 名 》

公正取引委員会は、上記の者らに対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第7条第2項の規定に基づき、次のとおり命令する。
なお、主文、理由、別紙1及び別紙2中の用語のうち、別紙2「用語」欄に掲げるものの定義は、別紙2「定義」欄に記載のとおりである。
主    文
1 日本交通技術株式会社(以下「日本交通技術」という。)、ジェイアール東海コンサルタンツ株式会社(以下「ジェイアール東海コンサルタンツ」という。)、大日コンサルタント株式会社(以下「大日コンサルタント」という。)、株式会社トーニチコンサルタント(以下「トーニチコンサルタント」という。)及び丸栄調査設計株式会社(以下「丸栄調査設計」という。)の5社(以下「5社」という。)並びに東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」という。)の6社(以下「名宛人6社」という。)は、それぞれ、次の事項を、取締役会において決議しなければならない(丸栄調査設計にあっては、取締役による決定をしなければならない。)。
⑴ 別紙1記載の業務(以下「特定跨線橋点検等業務」という。)について、名宛人6社が、遅くとも令和3年2月19日以降共同して行っていた、受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を既に取りやめていることを確認すること。
⑵ 今後、相互の間(ジェイアール東海コンサルタンツとJR東海の間を除く。)において、又は他の事業者と共同して、特定跨線橋点検等業務について、受注予定者を決定しないこと。
2 名宛人6社は、それぞれ、前項に基づいて採った措置を、名宛人6社のうち自社を除く5社(ジェイアール東海コンサルタンツ及びJR東海にあっては、日本交通技術、大日コンサルタント、トーニチコンサルタント及び丸栄調査設計)及び特定地方公共団体等に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
3 名宛人6社は、今後、それぞれ、相互の間(ジェイアール東海コンサルタンツとJR東海の間を除く。)において、又は他の事業者と共同して、特定跨線橋点検等業務について、受注予定者を決定してはならない。
4 5社は、それぞれ、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については、前項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず、かつ、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
⑴ 跨線橋の点検業務の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底
⑵ 跨線橋の点検業務の受注に関する独占禁止法の遵守についての、当該業務又は当該業務の営業に関わる役員及び従業員に対する定期的な研修の実施並びに法務担当者等による定期的な監査
5 JR東海は、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については、第3項で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず、かつ、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
⑴ 点検関連業務に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成並びに点検関連業務に従事する自社の役員及び従業員に対する周知徹底
⑵ 点検関連業務に関する独占禁止法の遵守についての、点検関連業務に従事する役員及び従業員に対する定期的な研修の実施並びに法務担当者等による定期的な監査
6 5社は、それぞれ、第1項、第2項及び第4項に基づいて採った措置を、JR東海は、第1項、第2項及び前項に基づいて採った措置を、速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

理    由
第1 事実
1 関連事実
⑴ 名宛人の概要
ア 5社は、それぞれ、肩書地に本店を置き、富山県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県又は滋賀県の区域において、特定跨線橋点検等業務を行う者である。
なお、5社のうちジェイアール東海コンサルタンツは、JR東海の完全子会社である。
イ JR東海は、肩書地に本店を置き、鉄道事業を営む者である。
⑵ 特定跨線橋点検等業務の発注方法等
ア 国土交通省は、平成26年3月31日、道路法施行規則(昭和27年建設省令第25号)を改正し、道路法(昭和27年法律第180号)第42条第2項及び道路法施行令(昭和27年政令第479号)第35条の2第2項が定める道路の維持・修繕に関する技術的基準その他必要な事項として、跨線道路橋について、近接目視により、5年に1回の頻度で点検を行うことを基本とする旨を定めた(同規則第4条の5の6第1号)。これにより、道路法第18条第1項に規定される道路管理者は、5年に1回の頻度で跨線道路橋の点検を行うことが義務付けられた。
イ 前記アを契機として、特定地方公共団体等は、平成26年以降、跨線道路橋の点検業務を始めとした特定跨線橋点検等業務を発注していた。
ウ 前記アを受けて、国土交通省道路局は、平成26年11月、JR東海に対し、跨線道路橋の点検が円滑に進むために協力するよう要請した。
エ JR東海は、前記ウの要請等を踏まえ、所定の期間内に跨線道路橋の点検が確実に実施されることを目的として、5社に対して跨線道路橋の点検業務が受注されない事態が生じないよう協力を求めた。
オ JR東海は、特定地方公共団体等に対し、跨線橋の点検業務を行う事業者を、JR東海が設定した条件を満たしている5社の中から選定するよう求めていた。
カ 前記エ及びオによって、遅くとも令和3年2月19日から令和6年10月21日までの間、5社の全部又は一部の者が、全ての特定跨線橋点検等業務の競争入札等に参加していた。
2 合意及び実施方法
名宛人6社は、遅くとも令和3年2月19日以降、特定跨線橋点検等業務について
⑴ア 5社の中から受注予定者を決定する
イ 5社のうち受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に、
⑵ア JR東海が、5社に、点検リストを提供する
イ 5社は、前記アの点検リストに記載された各跨線橋に対応する欄に自社のイニシャルを記載して返送するなどして、自社が受注を希望する特定跨線橋点検等業務に係る跨線橋をJR東海に伝える
ウ JR東海は、前記イで5社から伝えられた受注希望を取りまとめ、当該希望を反映した点検リストを5社に提供する
ことなどにより、受注予定者を決定し、
エ 受注予定者が提示する入札価格等は受注予定者が定める
オ 5社のうち受注予定者以外の者は、競争入札等に参加しない若しくは競争入札等を辞退する又は受注予定者が定めた入札価格等よりも高い入札価格等を提示する
ことにより、受注予定者が受注できるようにしていた。
3 実施状況
5社は、前記2により、特定跨線橋点検等業務のほとんど全てを受注していた。
4 前記2の行為の取りやめ
 令和6年10月22日、本件について、公正取引委員会が独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ、同日以降、前記2⑴の合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為は取りやめられている。
第2 法令の適用
前記事実によれば、名宛人6社は、共同して、特定跨線橋点検等業務について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、特定跨線橋点検等業務の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって、この行為は、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
また、前記の違反行為は既になくなっているが、名宛人6社については、いずれも、独占禁止法第7条第2項第1号に該当する者であり、違反行為が自主的に取りやめられたものではないこと等の諸事情を総合的に勘案すれば、特に排除措置を命ずる必要があると認められる。
よって、名宛人6社に対し、独占禁止法第7条第2項の規定に基づき、主文のとおり命令する。

令和7年12月19日

委員長 茶谷 栄治
委 員 三村 晶子
委 員 青木 玲子
委 員 吉田 安志
委 員 泉水 文雄

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