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独禁法8条1項4号及び5号(一般指定の1該当)
昭和53年(勧)第4号
名古屋市瑞穂区川澄町2丁目20番地
中部日本コーヒー商工組合
右代表者 代表理事 加藤 秀信
公正取引委員会は、昭和53年3月29日、右の者に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第48条第1項の規定に基づき勧告を行ったところ、右の者がこれを応諾したので、同条第4項の規定に基づき、次のとおり当該勧告と同趣旨の審決をする。
主文
一 中部日本コーヒー商工組合は、住田物産株式会社ほか3社に対して昭和52年6月上旬から同年7月下旬までの間に順次行った、名古屋喫茶事業協同組合にコーヒー生豆を供給しないようにとの申入れを撤回しなければならない。
二 同組合は、昭和52年8月3日に行った、組合員は名古屋喫茶事業協同組合にコーヒー生豆の販売等を行わない旨の決定を破棄しなければならない。
三 同組合は、組合員に、前2項に基づいて採った措置を周知徹底させるとともに、前項の決定事項を遵守する旨の誓約書を返還しなければならない。
四 同組合は、前3項に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告しなければならない。
事実
当委員会が認定した事実は、次のとおりである。
一(一) 中部日本コーヒー商工組合(以下「中部コーヒー組合」という。)は、昭和40年3月26日、中小企業団体の組織に関する法律に基づいて事業協同組合から組織変更したもので、肩書地に事務所を置き、岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県の区域(以下「東海地区」という。)を地区とし、地区内において荒びきコーヒーの製造及び販売業を営む者を組合員とするものである。
(二) 中部コーヒー組合は、会議として、総会及び理事会を置くほか、理事及び監事が出席して開催する役員会を設け、役員会で組合の業務の執行に関する事項を協議決定している。
(三) 中部コーヒー組合の組合員数は、昭和53年2月末日現在、54名であり、これら組合員の東海地区におけるコーヒー生豆の購入量の合計は、同地区内における同商品の総購入量の大部分を占めている。
しかして、住田物産株式会社、石光商事株式会社、日本珈琲貿易株式会社及びワタル株式会社の4社(以下「コーヒー生豆4社」という。)は、東海地区においてコーヒー生豆の販売業を営むもののすべてであるところ、いずれも、同地区内においては、同商品の大部分を中部コーヒー組合の組合員に販売している。
二(一) 中部コーヒー組合は、名古屋喫茶事業協同組合(以下「名古屋喫茶組合」という。)が組合員のために荒びきコーヒーの製造及び販売事業等を行おうとしていることを知り、昭和52年6月1日、名古屋市中区所在の名古屋中小企業福祉会館会議室で開催した役員会において、名古屋喫茶組合の前記事業について対策を協議した結果、右事業を阻止するため、コーヒー生豆4社に対し、名古屋喫茶組合にコーヒー生豆を供給しないよう申し入れることを決定した。
中部コーヒー組合は、右決定に基づき、昭和52年6月上旬から同年7月下旬までの間に順次、コーヒー生豆4杜に対して申入れを行い、それぞれから、名古屋喫茶組合にコーヒー生豆を供給しない旨の回答を得た。
なお、石光商事株式会社は、この申入れを受けたため、自社のコ−ヒ一生豆の販売先である福井市所在の株式会社モリカワをして同社が名古屋喫茶組合と締結していたコーヒー生豆の売買契約を破棄させた。
(二) 更に、中部コーヒー組合は、昭和52年8月3日、前記名古屋中小企業福祉会館会議室で臨時総会を開催し、名古屋喫茶組合の前記事業の阻止策の徹底を期するため、組合員は、名古屋喫茶組合に対し、コーヒー生豆の販売等を行わないことを決定し、その後、これを遵守する旨の誓約書をほとんどすべての組合員に提出させた。
(三) しかして、コーヒー生豆4社及び中部コーヒー組合の組合員は、名古屋喫茶組合にコーヒー生豆等を販売していない。
法令の適用
右の事実に法令を適用した結果は、次のとおりである。
中部コーヒー組合は、独占禁止法第2条第2項に規定する事業者団体に該当するところ、同組合は、コーヒー生豆4杜をして名古屋喫茶組合に不当にコーヒー生豆を供給させないようにしているものであり、これは、コーヒー生豆4社に不公正な取引方法(昭和28年公正取引委員会告示第11号)の1に該当する行為をさせるようにしているものであって、同法第8条第1第5号の規定に違反するものであり、また、中部コーヒー組合は、組合員が名古屋喫茶組合と取引すること等を禁止することにより、組合員の機能又は活動を不当に制限しているものであって、これは、同項第4号の規定に違反するものである。
昭和53年5月2日
委員長 橋口 収
委員 熊田 淳一郎
委員 野口 一郎
委員 後藤 英輔
委員 早川 晴雄