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マイクロソフト(株)に対する件

独禁法19条(一般指定10項)

 

平成10年(勧)第21号

勧告審決

 

 

東京都渋谷区笹塚1丁目50番1号
笹塚NAビルディング
マイクロソフト株式会社
右代表者 代表取締役 成毛 真

 公正取引委員会は、平成10年11月20日、右の者に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第48条第1項の規定に基づき勧告を行ったところ、右の者がこれを応諾したので、同条第4項の規定に基づき、次のとおり当該勧告と同趣旨の審決をする。
主文
一 マイクロソフト株式会社は、取引先パーソナルコンピュータ製造販売業者に対し、同製造販売業者が「エクセル」と称する表計算用ソフトウェアをパーソナルコンピュータ本体に搭載又は同梱して出荷する権利を許諾する際に、「ワード」と称するワードプロセッサ用ソフトウェアを併せて搭載又は同梱させている行為、さらに、「エクセル」及び「ワード」をパーソナルコンピュータ本体に搭載又は同梱して出荷する権利を許諾する際に、「アウトルック」と称するスケジュール管理用ソフトウェアを併せて搭載又は同梱させている行為を取りやめなければならない。
二 マイクロソフト株式会社は、取引先パーソナルコンピュータ製造販売業者と締結している「エクセル」、「ワード」及び「アウトルック」を併せてパーソナルコンピュータ本体に搭載又は同梱して出荷する権利を許諾する契約について、このうち1又は2のソフトウェアを搭載又は同梱して出荷する権利を許諾する契約に変更するよう取引先パーソナルコンピュータ製造販売業者から申出を受けた場合には、当該申出に応じなければならない。
三 マイクロソフト株式会社は、今後、取引先パーソナルコンピュータ製造販売業者に対し、同製造販売業者が「エクセル」又は「ワード」をパーソナルコンピュータ本体に搭載又は同梱して出荷する権利を許諾する際に、当該ソフトウェア以外のパーソナルコンピュータ用ソフトウェアを併せて搭載又は同梱させる行為を行ってはならない。
四 マイクロソフト株式会社は、次の事項を取引先パーソナルコンピュータ製造販売業者及び一般消費者に周知徹底させなければならない。この周知徹底の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けなければならない。
1 第一項及び第二項に基づいて採った措置
2 今後、第三項と同様の行為を行わない旨
五 マイクロソフト株式会社は、前四項に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告しなければならない。
事実
当委員会が認定した事実は、次のとおりである。
一1 マイクロソフト株式会社(以下「マイクロソフト社」という。)は、アメリカ合衆国ワシンントン州所在のマイクロソフトコーポレーションが全額出資している法人であり、肩書地に本店を置き、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という。)用ソフトウェアの開発及びライセンスの供与に係る事業を営む者である。
2 マイクロソフト社は、我が国に所在するパソコン製造販売業者との間で、マイクロソフトコーポレーションが契約する基本ソフトウェア等に係るライセンス契約の締結交渉を行うほか、表計算用ソフトウェア(以下「表計算ソフト」という。)である「エクセル」、ワードプロセッサ用ソフトウェア(以下「ワープロソフト」という。)である「ワード」、スケジュール管理用ソフトウェア(以下「スケジュール管理ソフト」という。)である「アウトルック」等の応用ソフトウェアを開発し、ライセンス供与している。
3(一) 応用ソフトウェアのうち、一般消費者の需要が最も大きいのは、表計算ソフト及びワープロソフトであり、スケジュール管理ソフトも近年需要が増大している。
(二) 表計算ソフト、ワープロソフト及びスケジュール管理ソフトは、それぞれ、機能、種類の異なるソフトウェアである。マイクロソフト社は、「エクセル」、「ワード」又は「アウトルック」を、パッケージ製品(ソフトウェアと取扱説明書を一体とした製品をいう。以下同じ。)としては、それぞれ単体でも供給している。
(三) 表計算ソフトについては、マイクロソフト社が基本ソフトウェアである「ウィンドウズ3・1」の供給を開始した平成5年ころから、同社の「エクセル」が、一般消費者の人気を得て、表計算ソフトの市場において市場占拠率は第1位であった。
(四) ワープロソフトについては、マイクロソフト社は、平成3年12月、日本語ワープロソフトである「ワード」の供給を開始したが、「ワード」は、英文用ワープロソフトとして開発されたマイクロソフトコーポレーションの「WORD」を基に開発されたため、日本語特有のかな漢字変換機能が十分ではない等の理由から、「ワード」の供給開始後も、株式会社ジャストシステムが日本語ワープロソフトとして先行して供給していた「一太郎」に対する一般消費者の人気が高く、平成6年当時は、「一太郎」が、ワープロソフトの市場において市場占拠率は第1位であった。
(五) スケジュール管理ソフトについては、平成8年までは、ロータス株式会社が供給している「オーガナイザー」が、スケジュール管理ソフトの市場において市場占拠率は第1位であった。
4(一) パソコン製造販売業者は、表計算ソフト、ワープロソフト等の中心的な応用ソフトウェアをパソコン本体に搭載又は同梱して販売する場合があり、平成9年に出荷されたパソコンのうち、表計算ソフト及びワープロソフトが搭載又は同梱されて出荷されたものの割合は約4割となっている。この際、パソコン製造販売業者は、パソコン製造に係るコストが増加すること等の理由から、通常、同種のソフトウェアを重複してパソコン本体に搭載又は同梱して出荷することは行っていない。
(二) 一般消費者がパソコンを購入する場合、搭載又は同梱されている表計算ソフト又はワープロソフトが選択の基準の一つとなっている。
パソコン本体に搭載又は同梱されたソフトウェアについて、いわゆるバージョンアップ(同一のソフトウェアが改良されることをいう。以下同じ。)が行われた場合、一般消費者は、当該ソフトウェアのパッケージ製品を購入することが多い。
二1(一) マイクロソフト社は、前記一3(四)記載の状況を受け、遅くとも平成4年ころ以降、我が国のワープロソフトの市場において、「ワード」の市場占拠率を高めることに力を注いでいた。
(二) 主要なパソコン製造販売業者の1つである富士通株式会社(以下「富士通」という。)は、平成6年11月、ワープロソフトとして「一太郎」を搭載したパソコンを発売したところ、同機は一般消費者の人気を博し、さらに、平成7年2月には、ワープロソフトとして「一太郎」、表計算ソフトとして「ロータス1−2−3」を搭載したパソコンを発売した。
2(一) マイクロソフト社は、当初、パソコン製造販売業者が自社の応用ソフトウェアをパソコン本体に搭載して出荷することに否定的であったが、「ワード」に競合する「一太郎」のみがパソコン本体に搭載されて販売されることは、「ワード」の市場占拠率を高める上で重大な障害となるものと危惧し、パソコン製造販売業者の出荷するパソコンについて、表計算ソフトの市場において有力な「エクセル」とともに「ワード」を搭載させることとし、「ワード」のパソコン製造販売業者向けの供給を拡大することとした。
(二) マイクロソフト社は、平成7年1月ころ、富士通に対し、「エクセル」と「ワード」を併せてパソコン本体に搭載して出荷する権利を許諾する契約の締結を申し入れた。この申入れに対し、富士通は、当時表計算ソフトとして最も人気があった「エクセル」と当時ワープロソフトとして最も人気があった「一太郎」を併せて搭載したパソコンを発売することを希望し、「エクセル」のみをパソコン本体に搭載して出荷する権利を許諾する契約の締結を要請した。
しかしながら、マイクロソフト社は、この要請を拒絶し、「エクセル」をパソコン本体に搭載するためには「ワード」を併せて搭載せざるを得ないと考えた富士通に対し、「ワード」を併せてパソコン本体に搭載して出荷する権利を許諾する契約を締結することを受け入れさせ、平成7年3月1日付けで、富士通との間で、「エクセル」と「ワード」を併せてパソコン本体に搭載して出荷する権利を許諾する契約(以下単に「プレインストール契約」という。)を締結した。
この契約の締結により、富士通は、平成7年3月、「エクセル」と「ワード」を併せて搭載したパソコンを発売した。
(三) マイクロソフト社は、平成7年8月ころ、主要なパソコン製造販売業者の1つである日本電気株式会社(以下「日本電気」という。)に対し、プレインストール契約を締結することを提案した。日本電気は、当時搭載する表計算ソフトとワープロソフトの種類を検討していたところ、マイクロソフト社が「エクセル」と「ワード」とを分離してパソコン本体に搭載して出荷する権利を許諾しないであろうと考えたこと等から、この提案を受け入れ、マイクロソフト社との間で、プレインストール契約を締結した。
この契約の締結により、日本電気は、平成7年11月、「エクセル」と「ワード」を併せて搭載したパソコンを発売した。
(四) マイクロソフト社は、平成8年1月以降、「エクセル」及び「ワード」のいわゆるバージョンアップに伴い、富士通及び日本電気との間で、プレインストール契約を更新するとともに、その他のパソコン製造販売業者との間で、順次、プレインストール契約を締結した。
マイクロソフト社は、この契約の締結交渉の際に、一部のパソコン製造販売業者から「エクセル」のみを対象とした契約を締結することを要請されたが、これを拒絶し、プレインストール契約を受け入れさせた。
マイクロソフト社とプレインストール契約を締結したこれらパソコン製造販売業者は、平成8年2月以降、「エクセル」と「ワード」を併せて搭載したパソコンを販売した。
(五) マイクロソフト社は、平成8年7月、一部のパソコン販売業者から「エクセル」のみを対象とした契約を締結することを要請されたが、これを拒絶した。
(六) マイクロソフト社は、平成8年8月、パソコン製造販売業者である日本アイ・ビー・エム株式会社(以下「日本アイ・ビー・エム」という。)から契約締結業務について委託を受けている同社の子会社との間で、また、平成8年10月には、パソコン製造販売業者であるコンパック株式会社(以下「コンパック」という。なお、同社は、平成10年1月1日、コンパックコンピュータ株式会社に商号変更している。)との間で、それぞれ、「エクセル」と「ワード」を併せてパソコン本体に同梱して出荷する権利を許諾する契約を締結した。
この契約の締結により、日本アイ・ビー・エムは平成8年9月、コンパックは平成8年10月、それぞれ、「エクセル」と「ワード」を併せて同梱したパソコンを発売した。
3(一) マイクロソフト社は、平成9年3月、「アウトルック」と称するスケジュール管理ソフトの供給を開始したところ、これに先立ち、「アウトルック」の供給を拡大するために、パソコン製造販売業者に対し、「エクセル」及び「ワード」に加えて「アウトルック」を併せてパソコン本体に搭載又は同梱させることを企図し、平成8年12月以降、「エクセル」及び「ワード」のいわゆるバージョンアップに伴う契約更新の際に、パソコン製造販売業者に対し、「エクセル」、「ワード」及び「アウトルック」を併せてパソコン本体に搭載又は同梱して出荷する権利を許諾する契約を締結することを提案し、平成9年3月以降、パソコン製造販売業者との間で、プレインストール契約等を更改し、あるいは、新たに締結した。
(二) マイクロソフト社は、この契約交渉の際に、一部のパソコン製造販売業者から、従来どおり「エクセル」及び「ワード」のみを対象とした契約を締結することを要請されたが、これを拒絶し、契約交渉を行ったパソコン製造販売業者すべてに、「エクセル」、「ワード」及び「アウトルック」を併せてパソコン本体に搭載又は同梱して出荷する権利を許諾する契約の締結を受け入れさせた。
(三) この契約の更改又は締結により、パソコン製造販売業者は、平成9年3月以降、「エクセル」、「ワード」及び「アウトルック」を併せて搭載又は同梱したパソコンを発売した。
4 マイクロソフト社の前記行為に伴い、平成7年以降、ワープロソフトの市場における「ワード」の市場占拠率が拡大し、平成9年度には第1位を占めるに至っている。また、平成9年度には、スケジュール管理ソフトの市場において、「アウトルック」が第1位を占めるに至っている。
法令の適用
右の事実に法令を適用した結果は、次のとおりである。
マイクロソフト社は、取引先パソコン製造販売業者等に対し、不当に、表計算ソフトの供給に併せてワープロソフトを自己から購入させ、さらに、取引先パソコン製造販売業者に対し、不当に、表計算ソフト及びワープロソフトの供給に併せてスケジュール管理ソフトを自己から購入させているものであって、これは、不公正な取引方法(昭和57年公正取引委員会告示第15号)の第10項に該当し、独占禁止法第19条の規定に違反するものである。
よって、主文のとおり審決する。

平成10年12月14日

委員長 根來 泰周
委員 柴田 章平
委員 糸田 省吾
委員 黒河内 久美

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