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㈱飯島工事ほか1名による審決取消請求事件

独禁法3条後段・独禁法7条の2

東京高等裁判所

平成29年(行ケ)第12号

判決

平成30年9月7日

山梨県甲州市塩山藤木1971番地
原告 株式会社飯島工事
(以下「原告飯島工事」という。)
同代表者代表取締役 《氏名》
山梨県山梨市三ヶ所309番地1
原告 株式会社藤プラント建設
(以下「原告藤プラント」といい,原告飯島工事を併せて「原告
ら」という。)
同代表者代表取締役 《氏名》
上記2名訴訟代理人弁護士 金子晃
同 梅津有紀
同 福田恵太
同 島津守
同 栗田祐太郎
東京都千代田区霞が関1丁目1番1号
被告 公正取引委員会
同代表者委員長 杉本和行
同指定代理人 横手哲二
同 榎本勤也
同 堤優子
同 津田和孝
同 黒江那津子
同 西川康一

主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求の趣旨
1 被告が,原告飯島工事に対する公正取引委員会平成23年(判)第24号及び同第47号排除措置命令及び課徴金納付命令審判事件について,平成29年6月15日付けでした審決を取り消す。
2 被告が,原告藤プラントに対する公正取引委員会平成23年(判)第26号及び同第49号排除措置命令及び課徴金納付命令審判事件について,平成29年6月15日付けでした審決を取り消す。
第2 事案の概要
1 被告は,原告らを含む山梨県山梨市又は甲州市(以下「塩山地区」という。)に本店を置く建設業者30社(以下「30社」という。)が,平成18年4月1日から平成22年3月23日までの間(以下「本件対象期間」という。),共同して,山梨県が発注する塩山地区における土木一式工事(以下「本件土木一式工事」という。)について,受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し,受注予定者が受注することができるようにすることにしていた行為(以下「本件違反行為」という。)が,公共の利益に反して,本件土木一式工事の取引分野における競争を実質的に制限するものであり,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第100号)附則2条の規定によりなお従前の例によるものとされる同法による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)2条6項の規定する不当な取引制限に該当し,同法3条の規定に違反するとともに,当該不当な取引制限が同法7条の2第1項1号の規定する役務の対価に係るものであるとして,原告らに対し,平成23年4月15日付けで各排除措置命令及び各課徴金納付命令(原告飯島工事に対しては1237万円,原告藤プラントに対しては926万円。以下「本件各課徴金納付命令」という。)をした。
本件は,原告らが,被告に対し,同法52条の規定に基づき,これらの命令の取消しを求める旨の審判請求をしたところ,被告が,原告らの請求をいずれも棄却する旨の審決(以下「本件審決」という。)をしたことから,原告らが,被告に対し,本件審決の取消しを求めた事案である。
2 前提事実(当事者間に争いがない事実,本件審決に係る審判(以下「本件審判」という。)の記録(以下「本件記録」という。)上明らかな事実及び被告が本件審決で証拠により認定した事実で原告らもそれを立証する実質的な証拠の欠缺を主張していない事実)
⑴ 当事者
ア 原告ら
原告らは,いずれも塩山地区に本店を置く建設業者である。原告らを含む30社の商号及び本店の所在地は,別紙1及び4(本件審決の引用する審決案の別紙1及び4と同じ。なお,以下,本件判決の別紙の番号は,同審決案の別紙の番号と同じ番号を使用することとする。)のとおりである。
イ 社団法人山梨県建設業協会塩山支部(以下「塩山支部」という。)
塩山支部は,塩山地区に本店又は営業所等を有する建設業者を会員としており,原告飯島工事は遅くとも平成18年4月以降に,原告藤プラントは平成19年6月頃以降に,それぞれ塩山支部の会員となっていた。
ウ 社団法人山梨県土地改良協会峡東支部(以下「土地協会峡東支部」という。)
土地協会峡東支部は,山梨県農政部峡東農務事務所管内に本店を置く建設業者を会員としており,原告飯島工事は遅くとも平成18年4月以降に,原告藤プラントは平成21年4月頃以降に,それぞれ土地協会峡東支部の会員となっていた。
エ 塩山地区治山林道協会(以下「治山協会」といい,塩山支部,土地協会峡東支部と併せて「塩山支部等」という。)
治山協会は,山梨県森林環境部峡東林務環境事務所管内に本店を置く建設業者を会員としてお り,原告らは,遅くとも平成18年4月以降に治山協会の会員となっていた。
⑵ 山梨県の土木一式工事の発注方法
ア 入札参加資格
山梨県は,本件対象期間において,同県が発注する土木一式工事の指名競争入札又は一般競争入札への参加を希望する事業者に対し,これらの入札に参加するために必要な資格の審査を行った上で,当該入札への参加資格を有すると認定した事業者を,工事施工能力の審査結果に基づき,A,B,C又はDのいずれかの等級に格付をして,入札参加有資格者名簿に登載していた(以下,A及びBの各等級に格付がされている事業者を,それぞれ「A等級業者」,「B等級業者」という。)。30社は,本件対象期間中,A等級業者又はB等級業者に格付がされていた。
山梨県が発注する土木一式工事は,予定価格に応じて区分され,個々の工事の発注に際しては,当該区分に対応した等級に格付がされている事業者に入札参加資格があるものとされ,土木一式工事のうち予定価格が概ね3億円以上の工事については,特定建設工事共同企業体(A等級業者のみ又はA等級業者及びB等級業者のみで構成される。以下「JV」という。)の施工対象工事とされていた。
イ 指名競争入札
山梨県は,本件対象期間における本件土木一式工事のうち,予定価格が1億円未満のものの一部について,指名競争入札の方法により発注し,そのほとんど全てにおいて,塩山地区に本店を置くA等級業者又はB等級業者の中から参加者を指名していた。
ウ 一般競争入札
山梨県は,本件対象期間における本件土木一式工事のうち,指名競争入札の方法によらない場合は,一般競争入札の方法により発注し,その大部分において,塩山地区又は山梨県笛吹市の区域に本店を置くA等級業者又はB等級業者であることを入札参加の条件としていた(以下の総合評価落札方式による場合も同じ。)。
エ 総合評価落札方式を用いた一般競争入札
(ア) 総合評価落札方式
山梨県は,一般競争入札の方法により発注する土木一式工事の一部について,平成19年頃から,総合評価落札方式を導入した。総合評価落札方式には,幾つかの種類があったが,いずれにおいても,入札価格が予定価格の範囲内にある入札者について,あらかじめ定められた評価項目ごとの評価点を合計した後,各入札者の評価点の合計点数の比に応じて加算点を算出し,それに標準点(100点)を加えた数値を入札価格で除し,これに1億を乗じて得た評価値が最も高い者を落札者とするものとされていた。
(イ) 評価項目
総合評価落札方式の評価項目は,①企業の施工実績,②地域精通度,③地域貢献度,④配置予定技術者の能力及び⑤施工計画があり,「簡易型」ではこれら全てが,「特別簡易型(Ⅱ)」では①から④までが,「特別簡易型」及び「特別簡易型(Ⅰ)」では①から③までが,それぞれ各評価項目とされていた。
(ウ) 評価点の算出方法
評価点は,入札参加申請の際に申請者から併せて提出される施工計画書等の資料に基づき,発注業務を担当する部署において,評価項目ごとに算出することとされていた。
(エ) 評価項目等の公表
山梨県は,総合評価落札方式における評価項目,評価の方法,最高評価点及び評価値の算出方法について,「山梨県建設工事総合評価実施要領」に記載し,公表していた。
⑶ 本件対象期間における受注状況
本件対象期間に発注された本件土木一式工事は,別紙9のとおり316物件(以下「316物件」という。また,以下においては,個別の工事については同別紙の「一連番号」欄記載の番号に従って「物件47」などと表記する。)であり,いずれも30社又は30社のいずれかで構成されるJVが受注した。
316物件のうち,指名競争入札の方法により発注された工事のほとんど全てにおいて,入札参 加者は30社の中から指名されていた。
316物件のうち,一般競争入札の方法により発注された工事について,塩山地区以外に本店を 置く事業者が入札に参加した工事は,17件にとどまった。
316物件のうち,入札参加者が1社又は1JVのみであったのは,4物件であった(以下,316物件から当該4物件を除いたものを「312物件」という。)。
⑷ 原告らの売上額及び課徴金の計算
ア 本件各課徴金納付命令における本件違反行為の実行としての事業活動を行った日から当該実行としての事業活動がなくなる日までの期間(以下「本件実行期間」という。)において原告らが受注した本件土木一式工事の売上額を私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令(昭和52年政令第317号)6条1項及び2項の規定に基づき算定すると,各工事の対価の額の合計は,原告飯島工事については別紙10の18の「課徴金算定の基礎となる売上額(円)」欄記載のとおり合計3億0936万0450円となり,原告藤プラントについては別紙10の20の上記の欄記載のとおり合計2億3160万1300円となる。
イ また,上記アの各課徴金算定の基礎となる売上額を前提に,原告らが国庫に納付すべき課徴金の額を計算すると,原告らは,本件実行期間を通じ,いずれも資本金の額が3億円以下の会社で,建設業に属する事業を主たる事業として営んでいた者であり,独占禁止法7条の2第5項1号の規定に該当する事業者であるから,同条1項及び5項の規定により,それぞれ,上記の各売上額の金額に100分の4を乗じて得た額から,同条23項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて算出することとなるので,上記課徴金の金額は,原告飯島工事が1237万円,原告藤プラントが926万円となる。
⑸ 本件審決における認定及び判断の概要
ア 独占禁止法2条6項の規定する不当な取引制限について
原告らを含む30社は,遅くとも平成18年4月1日頃までに(30社のうち1社については平成19年5月15日までに),本件土木一式工事について,受注価格の低落防止を図るため,塩山支部等において本件土木一式工事の入札参加情報を集約し,受注希望者が1社又は1JVの場合は,その1社及び1JVを受注予定者とし,受注予定者が複数の場合は,当該工事の施工場所,過去に受注した工事との継続性,塩山支部等の支部長の助言等を勘案して,受注希望者間の話合いにより受注予定者を決定するとともに,受注すべき価格は受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注することができるように協力する旨の合意(以下「本件合意」という。)をしていたと認められる。
本件合意は,本件土木一式工事に係る入札市場において,30社が共同して,相互にその事業活動を拘束し,競争を実質的に制限したものであるから,独占禁止法2条6項の規定する不当な取引制限に該当する。
イ 独占禁止法7条の2第1項の規定する当該役務について
本件において,独占禁止法7条の2第1項の規定する課徴金制度の対象となる当該役務とは,本件合意の対象とされた工事であって,本件合意に基づく受注調整等の結果,具体的競争制限効果が発生するに至ったものをいうところ(最高裁平成22年(行ヒ)第278号同24年2月20日第一小法廷判決・民集66巻2号796号参照),本件における30社による受注予定者の決定と協力の状況,本件対象期間中の本件土木一式工事の受注状況,平均落札率,本件合意の内容に添った受注調整の状況,30社の代表者の供述内容,本件合意の目的などに照らすと,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事については,当該工事について本件合意に基づく受注調整が行われたとは認められない特段の事情(以下「本件特段の事情」という。)がない限り,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的競争制限効果が発生したものと推認するのが相当であり,原告らについて,上記の本件特段の事情は認められない。したがって,本件対象期間において原告らが受注した本件土木一式工事(原告飯島工事については別紙10の18,原告藤プラントについては別紙10の20の各「一連番号」,「工事名」欄記載の工事。以下「本件対象工事」という。)は,本件合意に基づく受注調整が行われたものとして,本件各課徴金納付命令の対象となる。
3 争点及び争点に関する当事者の主張
⑴ 本件審決における本件合意の存在の認定についてそれを立証する実質的な証拠があるか
(原告らの主張)
本件合意の存在を立証する実質的な証拠はない。
ア 本件審決が事実認定の根拠として掲げる証拠等
本件審決は,本件合意の存在を認定することができる理由として,①平成19年5月11日に《旅館名略》で開催された塩山支部の月例役員会(以下「平成19年5月11日の役員会」という。)において株式会社廣川工業所(以下「廣川工業所」という。)の《B》社長が「本件合意に基づいて受注調整が行われていることが公正取引委員会等の外部に漏れることを防ぐため,今後は調整会議等の受注調整のための話合いの出席者を各社の社長又はその兄弟若しくは息子に限定する」旨の発言(以下「本件《B》発言」という。)をし,実際に入札参加情報が塩山支部等に集約されていたこと(査43,査92,査99,査110から査114まで),②証拠上,別紙9の「別紙12」欄に○印が付された44物件(以下「44物件」という。)において受注調整が行われたことが認められ,別紙9の「別紙13」欄に○印が付された60物件(以下「60物件」 という。)において受注調整に関わる行為が行われたことが認められること,③312物件は,いずれも30社又は30社のいずれかで構成されるJVが受注しており,その落札率の平均が96.3%であることなどを挙げている。
イ 本件《B》発言について
査110から査112までは,平成19年5月11日に《旅館名略》で塩山支部の月例役員会が開催されたことを示す証拠にすぎない。査114は同月14日に開催された月例総会の案内文書であり,月例役員会とは関係がない。査113の《B》社長のメモは「仕事に関する会議は本人以外は認めない ただし親子は認める」と記載されているだけで,受注調整が外部に漏れることを防ぐなどといった記載はないから,本件《B》発言があったことを認める証拠にはなり得ない。査43の天川工業株式会社(以下「天川工業」という。)の《M1》社長の手帳写しの記載は,同月11日の月例役員会の日程及び場所の予定がメモされた後に続いて記載されており,同記載は同日より前に書かれたものと認めるのが自然であり,同日の月例役員会における本件《B》発言をメモしたものと考えることはできない。また,同メモの「調整会議」とは,受注調整のことではなく,1社入札を防ぐための確認という意味であった。査92及び査99は,宮原土建株式会社(以下「宮原土建」という。)の《AH》社長と株式会社坂本組(以下「坂本組」という。)の《U1》社長の供述調書であるが,いずれも信用性が乏しいものであり,これらの証拠に基づいて本件《B》発言を認めることはできない。
ウ 入札参加情報の集約について
本件審決は,原告らが「自社が受注を希望する場合には,塩山支部等の執行部や塩山支部等の事務員に問い合わせる,又は個別に入札参加者と連絡を取るなどして,他社の受注希望の有無を確認し」たとの事実を認定しているが,全く証拠に基づかない認定である。原告らは,入札への参加を希望する工事があった場合にその旨を塩山支部等に届け出ていたが,これは,山梨県からの1社入札を避けるようにとの要請に対応するためにしたものであり,受注調整のためではない。そもそも,「原告らが事務員に問い合わせる」などしていたという事実は,審査官が主張立証していなかった事実である。また,本件審決が認定した「原告らが入札参加者の取りまとめ表を閲覧して入札参加者を把握していた事実」を認めるに足りる証拠は全くない。かえって,原告らの代表者は,いずれも,本件審判において,塩山支部で入札参加者を取りまとめた表など見たことはなく,他の入札参加者が事前に分かることはない旨供述している。山梨県の担当者が,原告飯島工事に対し,「近年,入札1件当たりの参加者が減少傾向にあ」るとしてアンケートへの回答を求めるメールを送っていたことは,事実であり(審F共1),公共工事を受注して事業活動を行っている原告らとしては,山梨県の意図を忖度して,1社入札とならないように協力しようとの考えに至るのは自然なことである。原告らが入札参加情報を塩山支部等に集約していたのは,1社入札を避けたいとの山梨県の意向を受けてこれに協力しようとしていたにすぎず,集約された入札参加者の情報を確認し,受注調整に利用したという事実は,証拠からは認められない。
エ 44物件及び60物件について
本件審決は,要するに,受注調整が行われたことから本件合意の存在が推認されるとするものであるが,後記のとおり,本件審決は,一方では,各工事において受注調整が行われたとの事実を認定するに当たり,本件合意の存在から推認することができるとしているから,循環論法に陥っており,およそ認めることはできない。
オ 受注状況及び落札率について
塩山地区を現場とする本件土木一式工事について,塩山地区に事業所を置く30社がそのほとんどを落札するのは当然のことである。また,談合が行われたのであれば,落札率は100%に近い99%前後の数字となるから,平均96.3%の落札率は,談合が行われたことを推認させるものではなく,むしろ競争が行われたことを推認させるものである。国土交通省は,低入札価格調査を行う基準価格を70%から90%と設定しており,落札率が90%を下回る場合には調査の対象とする運用をしており,96.3%は談合の存在を疑わせるような高い落札率ではない。本件違反行為終了後である平成22年4月1日から平成24年3月31日までの2年間の,塩山地区を施工場所とする山梨県県土整備部,同県森林架橋部及び同県農政部によって発注された土木一式工事のうち,税込み予定価格が3000万円以上の工事の平均落札率が95.9%であったことに鑑みれば,むしろこれとほとんど変わらない96.3%という落札率は基本合意の存在を裏付けるものとはならず,逆に,312物件においても談合が行われていなかったことを裏付ける数字としての意味を持つものである。
(被告の主張)
本件では,本件合意の存在を立証する実質的な証拠がある。
ア 本件《B》発言について
本件《B》発言の経緯やこれに関する事実を具体的に述べる宮原土建の《AH》社長(査92)及び坂本組の《U1》社長(査99)の各供述は,《B》社長自身のメモ(査113),平成19年5月11日の役員会に出席していた天川工業の《M1》社長の手帳のメモ(査43)などと符合し,客観的な証拠によって裏付けられており,全体として信用性が高い。
イ 入札情報の集約について
塩山支部等で事務を担当していた《G》事務員及び《Q》事務員は,入札参加者について問い合わせを受けて回答していた旨各供述している (査102・7頁,査104・7頁)。他社の受注希望の有無についても,株式会社タナベエンジニアリング(以下「タナベエンジニアリング」という。)の《D》社長が,塩山支部の執行部や事務員に照会していた旨供述している(査55・3頁)。30社が入札参加者取りまとめ表を閲覧するなどしていたことは,本件審決が証拠として掲記した各供述調書や,これを裏付ける客観的証拠により合理的に認定することができる。原告らは,入札参加情報の集約は山梨県から1社入札を避けるよう要請があったからであると主張するが,審F共1をもって,山梨県が1社入札を避けたいとの意向を表明したものと認めることはできない。なお,30社中本件審決及びこれと同時にされた各審決の被審人である23社(以下「23社」という。)の代表者の多くは,真に受注を目指して入札に参加するのではなく,形ばかりの入札参加によって1社入札を避けるようにしていた旨供述(原告飯島工事代表者20,21頁,天川工業代表者20頁)しているが,このような行動は,入札参加者減少の要因を隠蔽する結果となるから,山梨県の意図を忖度したことにはならず,原告らの主張は不合理である。
ウ 44物件及び60物件について
44物件について本件合意の内容に添った受注調整が行われていたこと,60物件について本件合意の内容に添った受注調整に関わる行為が行われていたことは,本件審決掲記の証拠から合理的に認定することができる。本件合意の存在に添った受注調整やこれに関する行為が行われていたことが本件合意の存在を認定する有力な根拠事実になることは明らかである。
また,本件審決は,44物件及び60物件に係る事実を本件合意の存在を認定する根拠の1つとしたが,これらの事実のみから本件合意の存在を認定したものではない。循環論法に陥っているとの原告らの主張に理由がないことは,後記のとおりである。
エ 受注状況及び平均落札率について
312物件のうちにはアウトサイダーが入札に参加した物件が存在するところ,結果的にいずれの物件も本件合意の参加者と目される30社又は30社のいずれかで構成されるJVが受注していたという事実は,塩山地区においては,アウトサイダーの存在を特段気にすることもなく,30社による受注調整が容易な環境にあったことをうかがわせるものであり,これと平均落札率が高く維持されていたことを併せ考えれば,本件合意の存在を認定する有意な事実の1つということができる。
312物件には,総合評価落札方式の工事が相当数含まれているところ,総合評価落札方式の工事について受注調整を行う場合,他の入札参加者より評価点が低いと予想される受注予定者は,自らの入札価格を通常の一般競争入札と比べ,相対的に低価格とせざるを得ないから,受注予定者を話合いによって決めていれば100%近い落札率になったはずであるということはできない。むしろ,総合評価落札方式が採用されていても,なお96.3%という高い平均落札率が認められることは,本件合意の存在を認定する根拠の1つとなり得るものである。なお,国土交通省による低入札価格調査基準は,所定の計算式によって算出され,あらゆる工事について90%となるものではないし,低入札価格調査の基準となる落札率を90%と仮定しても,96.3%は相当に高い平均落札率というべきである。本件について行われた独占禁止法47条1項4号の規定に基づく立入検査後において,塩山地区の特定土木一式工事の平均落札率が上記の立入検査前のそれと有意な差がなかったとしても,そのことから直ちに,同立入検査前の本件合意の存在を推認できなくなるものではない。なお,上記の立入検査後,すなわち,本件違反行為後においても,平均落札率に有意な差がないという事実は,地域性や継続性等の優位性を持たない事業者が,入札参加に消極的な態度を執るなどして競争性が高まっておらず,本件違反行為の効果が残存していることの現れとみることができる。
⑵ 本件審決における本件対象工事が独占禁止法7条の2第1項の規定する課徴金の対象となる当該役務に当たるとの認定についてそれを立証する実質的な証拠があるか
ア 本件審決が採用した判断方法の適否について
(原告らの主張)
(ア) 本件審決は,独占禁止法7条の2第1項の規定する課徴金の対象となる当該役務とは,本件においては,本件合意の対象とされた工事であって,本件合意に基づく受注調整等の結果,具体的な競争制限効果が発生するに至ったものをいうとした上で,本件対象期間中の本件土木一式工事につき,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事については,当該工事について本件合意に基づく受注調整が行われたとは認められない特段の事情(本件特段の事情)がない限り,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したものと推認するのが相当であると判断した。
すなわち,本件審決は,44物件について受注調整が行われたこと,60物件について本件合意の内容に添った受注調整に関わる行為が行われたことが認められるから,本件合意を認定するためには312物件全てについて受注調整が行われた事実を認定する必要はないとして,課徴金の対象とした312物件の工事のうち,わずか7分の1程度の数の工事についての受注調整の事実と,5分の1足らずの数の工事についての受注調整に関わる行為が行われたとの事実から,本件合意の存在を推認し,更に本件合意の対象となる工事全てについて受注調整が行われたことを推認した。
(イ) しかし,全体のわずか7分の1又はせいぜい3分の1程度の数の工事(両者を併せても104の工事でしかなく,全体の3分の1程度にすぎない。)について受注調整又はそれに関わる行為が行われたとの事実から本件合意の存在を推認し,そのことから再び戻ってその余の各工事全てについても受注調整が行われたことを推認するというのは循環論法であり,このような判断手法はあまりにも乱暴である。少なくとも,44物件又は60物件のいずれにも掲げられていない工事については,受注調整が行われたとの事実を認定する実質的な証拠はないというべきであるから,課徴金の算定の対象とする工事からは除外されるべきである。談合事件において課徴金納付命令の対象となる「当該商品又は役務」とは,基本合意の対象となっているだけでは足りず,事業者が基本合意に基づいて,受注調整行為を行って,受注予定者として決定され,そのとおり受注するなど,受注調整の手続に上程されることによって具体的な競争制限効果が発生するに至った商品又は役務と解される。したがって,原告らに課徴金を課すのであれば,その対象とした売上げに係る工事について,それぞれ受注調整が行われて競争制限効果が生じたことを具体的に認定するべきであり,本件審決のように循環論法によって,基本合意と受注調整を相互に推認し合うような手法を採るべきではない。
(被告の主張)
(ア) 本件審決は,44物件及び60物件に係る事実関係のみから本件合意の存在を推認したのではなく,44物件及び60物件に係る事実関係のみから312物件全体について本件合意に基づく受注調整が行われたと推認したものでもない。
(イ) 本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事については,本件特段の事情がない限り,当該工事について本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したものと推認されるのであり,この場合に受注予定者が決定された具体的経緯が認定されることや,受注調整がされたことを裏付ける直接証拠が存在することは必ずしも要しない。
イ 物件102
(原告飯島工事の主張)
(ア) 物件102について,個別の受注調整が行われたと認める実質的な証拠はない。しかも,審査官が個別の受注調整が行われたと主張する別紙9の「83物件」欄に○印が付された83物件(以下「83物件」という。)にも,受注調整に関係する行為が行われたと主張する別紙9の「36物件」欄に○印が付された36物件(以下「36物件」という。)にも含まれておらず,かつ,本件審決が受注調整が行われたと認めた44物件にも,受注調整に関する行為が行われたと認めた60物件にも含まれていない。
(イ) 個別の受注調整が行われたと認定することができない以上,課徴金の算定の基礎となる売上げとして物件102を計上すべきでなく,また,これを本件合意の存在を推認する事情として用いることもできない。
(被告の主張)
(ア) 物件102は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたと推認することができ,本件特段の事情は存在しないから,本件審決が,物件102につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定したのは合理的である。
(イ) 個別の物件全てについて受注予定者が決定された具体的経緯が認定されることや,受注調整がされたことを裏付ける直接証拠が存在する必要はない。
ウ 物件189
(原告飯島工事の主張)
(ア) 本件審決は,物件189につき,受注調整に関わる行為が行われた60物件の1つとした。
審査官は,物件189の入札公告に株式会社内田組(以下「内田組」という。)が「37,000,000以上」と書き込んだことから(査107の22),物件189に関し,原告飯島工事が内田組に対して入札価格を指定する連絡をする受注調整が行われた旨主張していたが,原告飯島工事が物件189を3680万円で落札したのに,内田組が書き込んだメモ(査107の22)には,これと異なる数字(37,000,000)が書かれていることについて合理的な説明ができていない。物件189に関し,価格の連絡がされて受注調整が行われていたというのであれば,内田組が書き込んだメモと全く同じ金額で原告飯島工事が落札したとの事実を立証するか,原告飯島工事が内田組に価格の連絡をしたことそのものの立証(手紙,ファクシミリ送信文書,メール等)をしなければ,立証としては足りないはずである。それにもかかわらず,本件審決は,具体的な理由を述べることもなく,強引な憶測で,物件189につき,受注調整に関わる行為が行われたと認定し,60物件の1つとしたが,失当である。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)(イ)と同旨。
(被告の主張)
(ア) 本件審決は,査107の22のメモにより,物件189が「入札参加者が塩山支部等に対し,自社の名称を記載した入札公告等をファクシミリで送信するなどして入札に参加する旨を届け出ていた工事」であると認定し,これを60物件の1つとしたが,かかる認定は合理的である。
物件189について,内田組は,入札公告に「(37,000,000)以上」とメモしている(査107の22)が,原告飯島工事の落札価格である3680万円からみて,同原告が内田組に入札を依頼した同社の入札価格とみて何ら矛盾はない。
(イ) その余の主張は,物件102の(被告の主張)と同旨。
エ 物件192
(原告飯島工事の主張)
(ア) 審査官は,物件192につき落札率が94.6%であったことが不自然に高いとの指摘のみを して,受注調整が行われたと主張していたが,具体的な受注調整に係る事実の主張を全く欠くものといわざるを得ず,これをもって個別の受注調整を認定することはできない。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)(イ)と同旨。
(被告の主張) 
(ア) 本件審決は,査107の24のファクシミリにより送信された文書により,物件192が「入札参加者が塩山支部等に対し,自社の名称を記載した入札公告等をファクシミリで送信するなどして入札に参加する旨を届け出ていた工事」であると認定し,これを60物件の1つとしたが,かかる認定は合理的である。
(イ) その余の主張は,物件102の(被告の主張)と同旨。
オ 物件230
(原告飯島工事の主張)
(ア) 審査官は,物件230に関し,個別の受注調整が行われた旨主張していたが,その根拠は,信用性のない有限会社山梨技建(以下「山梨技建」という。)の《AG1》社長の供述調書(査86)と,物件230の落札率が97.3%であったということのみであった。しかし,山梨県の発注する公共工事は予定価格の設定自体が業者にとって極めて厳しいものであるため,落札率はいずれの工事についても比較的高めの数字となってしまうもので,落札率が97.3%であることは,受注調整が行われたことを推認させる事実とはならない。物件230は83物件に含まれていたが,本件審決では,受注調整が行われたとは認められず,受注調整に関わる行動を示す証拠もみられないと判断された。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)(イ)と同旨。
(被告の主張)
(ア) 山梨技建の《AG1》社長の供述の内容(査86)は,塩山支部等において受注調整のために入札参加情報を集約していた事実等に添うもので信用性が高く,また,物件230の落札率(97.3%)は312物件の平均落札率(96.3%)よりも高い。
(イ) その余の主張は,物件102の(被告の主張)と同旨。
カ 物件290
(原告飯島工事の主張)
(ア) 物件290につき,個別の受注調整が行われたと認める実質的な証拠はない。しかも,物件290は,本件審決が受注調整が行われたと認めた44物件にも,受注調整に関する行為が行われたと認めた60物件にも含まれていない。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)(イ)と同旨。
(被告の主張)
(ア) 山梨技建の《AG1》社長が,受注調整に関与した物件の1つとして物件290を挙げていること(査86)は,物件290につき本件合意に基づく受注調整が行われたとの認定に添うものである。
(イ) その余の主張は,物件102の(被告の主張)と同旨。
キ 物件301
(原告飯島工事の主張)
(ア) 物件301に関して個別の受注調整が行われたとの審査官の主張の主たる根拠は,物件268を宮原土建が受注することの見返りに,原告飯島工事が物件301を受注したとするものであったが,原告飯島工事は,物件268の入札が行われていた時期には,物件301の工事が行われることを知らなかったから,審査官の主張は客観的事実と整合しない不合理なものである。原告飯島工事は,物件301の入札がいまだ公告されていない時に,その見返りとする約束をすることなど不可能である旨指摘していたが,審査官の最終意見においても,「半年足らず先に公表される工事であれば,地元の建設業者がこれを予想することは比較的容易と思料される」などと曖昧な表現で勝手な憶測を述べただけであった。
本件審決は,このような曖昧な審査官の主張を漫然と採用し,受注調整が行われた44物件の1つとした。しかし,物件268の受注予定者を決めるに際して原告飯島工事に係る物件301のほかに他社に係る見返りとされたとされる物件276についても,その入札が行われる時に,物件301の工事の予定は公表されていなかったもので,あるかないかもわからない工事について,「受注予定者となることを見返りとする約束」など成り立たないから,かかる事実認定は乱暴といわざるを得ず,実質的な証拠があるとはいえない。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)(イ)と同旨。
(被告の主張)
(ア) 本件審決は,物件301につき,受注調整が行われたと認められる44物件の1つであるとしたが,かかる認定は合理的である。
天川工業の《M1》社長の手帳の記載内容(査190),宮原土建の《AH》社長の供述(査93)などからすれば,上記の手帳の記載は,《M1》社長において,物件268,物件276及び物件301の3件の工事に関して,他の入札参加予定者らと受注調整を行った経過等を記載したものと認められ,そのうち物件301については,原告飯島工事が受注予定者となり,他の入札参加者の協力を得て同原告が受注したものであることが認められる。山梨県は事前に入札予定を公表していたから,事業者において今後の入札の見込みを立てることは可能であり,物件268等が発注された時点で物件301の入札公告が行われていなかったことは,同認定を左右するに足りるものではない。本件のように組織的,継続的に行われる入札談合事案において,受注を譲るに当たり将来の見返りを約束することなど,いわゆる貸し借りによって個別物件の受注予定者が調整されることは,将来の工事物件の発注が具体的に予定されていなくてもあり得ることである(査97・5頁)。塩山地区には,山梨県から公表される情報に基づいて将来行われる入札に関して受注希望を表明する事業者もいたこと(査56)からすれば,本件審決の認定は実質的な証拠に基づく合理的なものである。このように物件301について受注調整が行われたことは,原告飯島工事の《AE》社長が,物件301について受注希望を他の入札参加者に伝えたという供述(査75・4から5頁)とも符合する。
(イ) 以上のとおり,物件301について受注調整が行われたと認められるところ,物件301は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件特段の事情は存在しないから,本件審決が,物件301につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定したのは合理的である。
ク 物件47
(原告藤プラントの主張)
(ア) 本件審決は,物件47につき,受注調整に関わる行為が行われた60物件の1つとした。
本件審決は,査121及び査122により,物件47について,受注調整に関わる行為が行われたと認定したが,これらの証拠は,原告藤プラントとは何の関係もないタナベエンジニアリングの《D》社長の手帳と山梨技建の《AG1》社長の手帳であり,かかる証拠により,原告藤プラントが物件47について個別調整を行ったと認めることはできない。
(イ) 個別の受注調整が行われたと認定することができない以上,これを本件合意の存在を推認する事情として用いることもできない。
(被告の主張)
(ア) 本件審決は,査121(《D》社長の手帳)に入札参加者9社のうち原告藤プラントを除く8社しか記載されていないこと,査122(《AG1》社長の手帳)に「岩波,藤プラに仕事横取りされる」旨記載されていることから,物件47を「入札参加者等において,入札前に受注予定者を把握し,手帳等に記載していた工事」であると認定し,これを60物件の1つとしたが,かかる認定は合理的である。
(イ) なお,物件47は,課徴金の計算の基礎とした工事(本件対象工事)ではないから,必ずしも本件合意に基づく受注調整が行われたとの立証を要するものではない。
ケ 物件111
(原告藤プラントの主張)
(ア) 本件審決は,物件111につき,受注調整が行われたと認められる44物件の1つとした。
審査官は,原告藤プラントが物件111の競争参加資格確認通知書(査156)に自社の入札価格のほか物件111の予定価格及び他の入札参加者全体の入札価格を記載したことについて,開札後に当該工事の予定価格や落札できなかった他の入札参加者全体の入札価格を同通知書に書き込む合理的な理由はなく,この書込みは入札前に物件111の個別の受注調整が行われたことを推認させるものであると主張し,本件審決も同様に判断している。
しかし,仮に物件111につき受注調整が行われたのであれば,原告藤プラントが全入札参加業者の入札価格をメモしておくのは,むしろ不自然,不合理である。本件審決は,個別の受注調整の方法について,受注予定者が入札予定価格を他の入札参加業者に知らせ,他の入札参加業者がこれより高い価格で入札する方法によって行われたとしているが,そうであれば原告藤プラントは,他の入札参加業者の入札価格を知ることはできず,入札前に全入札参加業者の入札価格をメモしておくことは不可能である。したがって,受注調整が行われたことの証拠であるとして示されている査156のメモは,かえって,原告藤プラントが事前の価格連絡を他の業者とすることなどなく,正当な競争によって物件111を落札したことを明らかにするものである。したがって,原告藤プラントが物件111について個別調整を行ったと認めることはできない。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)(イ)と同旨。
(被告の主張)
(ア) 本件審決は,物件111につき,受注調整が行われたと認められる44物件の1つであると認定したが,かかる認定は合理的である。
原告藤プラントによる競争参加資格確認通知書(査156)への書込みは,入札前に他の入札参加予定者を把握し,これらの者が入札すべき価格を算定し,その結果を記載したものと認められる。本件審決は,30社の入札価格等の連絡の方法につき,受注予定者となった者は,他の入札参加者にその入札すべき価格を連絡していた旨の認定をしている。このような連絡方法をとったとすれば,他の入札参加者に依頼して入札してもらうべき価格を原告藤プラントがメモしておくことは何ら不自然でも不合理でもない。物件111について受注調整が行われたことは,原告藤プラントの《V2》社長が物件111について入札参加業者に協力してもらった旨供述していること(査82)とも符合する。工事の入札結果は,落札者決定後速やかにポータルサイトに掲載され,全ての入札参加者の名称及び入札金額が明らかにされている(査36)のであるから,今後の入札の参考にするのであれば,メモをするのではなく,上記の入札結果を印刷する方が合理的である。
(イ) その余の主張は,物件301の(被告の主張)(イ)と同旨。
コ 物件121
(原告藤プラントの主張)
(ア) 物件121につき,個別の受注調整が行われたと認める実質的な証拠はない。しかも,物件121は,審査官が83物件に含まれるとしていたものであるが,本件審決が受注調整が行われたと認めた44物件にも,受注調整に関する行為が行われたと認めた60物件にも含まれていない。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)(イ)と同旨。
(被告の主張)
(ア) 原告藤プラントの《V2》社長が,物件121について入札参加業者に協力してもらった旨の供述をしていること(査82)は,物件121につき本件合意に基づく受注調整が行われたとの認定に添うものである。
(イ) その余の主張は,物件102の(被告の主張)と同旨。
サ 物件139
(原告藤プラントの主張)
(ア) 本件審決は,物件139につき,受注調整が行われたと認められる44物件の1つとした。
物件139を落札した原告藤プラントは,受注調整の話合いを一切行っていないし,審査官においてもその旨の主張立証はしていない。特に,物件139は,原告藤プラントが電線共同溝工事を今後の同社の注力すべき事業の1つとするためにその経験及び実績を積むため,ギリギリの競争をして予定価格の75%という低い落札額で落札して獲得したものであり,談合が行われた工事でないことは,その落札率の低さを見ただけでも一目瞭然である。
本件審決は,物件139につき,受注調整が行われたことが明らかな44物件の1つと認定したが,そこでは,原告藤プラントの上記の主張を採用しない理由が何ら述べられておらず,実質的な証拠もなく,甚しい論理の飛躍をもって,誤った事実認定をしたものである上,明らかな理由不備の瑕疵がある。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)(イ)と同旨。
(被告の主張)
(ア) 本件審決は,物件139につき,受注調整が行われたと認められる44物件の1つであると認定したが,かかる認定は合理的である。
物件139の入札に参加した株式会社佐藤建設工業(以下「佐藤建設工業」という。)は,山梨県山梨市に本店を置くA等級業者及びB等級業者のうち自社及び自社の近隣に所在する事業者の落札した工事並びに同市内を施工場所とする「甲府山梨線」及び「電線共同溝」工事の落札者についてまとめた一覧表(査158)を作成していた。同一覧表の物件139に関する記載内容や,原告藤プラントが物件139の入札に参加する旨を塩山支部等に届け出ていたこと(査107の7)などからすれば,同一覧表の記載は,佐藤建設工業において,物件139の受注調整の結果,原告藤プラントが物件139の受注予定者となり,佐藤建設工業は受注を希望しないことにした旨を記載したものと認められ,原告藤プラントが物件139の受注予定者となり,佐藤建設工業は原告藤プラントの受注に協力したものである。本件審決は,これらの証拠から,物件139に関して行われた受注調整において,入札参加の届出をして受注希望を表明した原告藤プラントの関与を合理的に認定している。
また,物件139について受注調整が行われたことは,山梨技建の《AG1》社長が,物件139の施工場所で施工される工事について,原告藤プラントなどが譲らずに話がつかないことがよくあった旨供述していること(査85)とも符合する。
(イ) その余の主張は,物件301の(被告の主張)(イ)と同旨。なお,物件139の落札率が低く,また,受注予定者が1社に絞り込めずに2社以上で競争が行われたとしても,個別の受注調整に基づく具体的な競争制限効果が否定されるわけではないことは,本件審決が説示したとおりである。
シ 物件200
(原告藤プラントの主張)
(ア) 本件審決は,物件200につき,受注調整に関わる行為が行われた60物件の1つとした。
本件審決は,査107の33により,物件200につき,受注調整に関わる行為が行われたと認定したが,同証拠は,原告藤プラントが入札に参加する旨を塩山支部等に届け出たファクシミリ文書であり,これは1社入札を避けるために入札参加情報を集約していたものであって,受注調整に関する行為が行われたことの証拠となるものではない。
また,審査官は,物件200につき,受注調整が行われたことが明らかであるとする83物件の1つとしたが,本件審決は受注調整が行われたとは認めなかった。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)イと同旨。
(被告の主張)
(ア) 本件審決は,査107の33により,物件200が「入札参加者が塩山支部等に対し,自社の名称を記載した入札公告等をファクシミリで送信するなどして入札に参加する旨を届け出ていた工事」であると認定し,これを60物件の1つとしたが,かかる認定は合理的である。
物件200が上記のような工事に当たることは査107の33から明らかであり,物件200につき,受注調整が行われたことは,原告藤プラントの《V2》社長が,同物件について入札参加業者に協力してもらったと供述していること(査82・3頁)とも符合する。
入札参加情報を集約していたのは1社入札を避けるためであった旨の原告藤プラントの主張及 びこれに添う23社の代表者らの供述は,山梨県から1社入札を避けるようにとの要請を受けた時期や経緯,入札参加者取りまとめ表の作成目的,使用又は管理の態様,情報集約のルールについて塩山支部等から会員に対していつどのように説明がされ,会員の了解を得たのかなど,主要な点に関する内容が曖昧であり,客観的な裏付けを欠くものであるから,採用することができない。
(イ) その余の主張は,物件102の(被告の主張)と同旨。
ス 物件219
(原告藤プラントの主張)
物件102の(原告飯島工事の主張)と同旨。
(被告の主張)
物件102の(被告の主張)と同旨。
セ 物件312
(原告藤プラントの主張)
(ア) 本件審決は,物件312につき,受注調整が行われたと認められる44物件の1つとした。
しかし,物件312は,原告藤プラントが,予定価格の73.5%という極めて低い落札率で落札したものであり,この落札価格の低さだけを見ても,正当な競争が行われた結果であることは明らかである。原告藤プラントは,物件312について,1社入札を避けるための通例となっていたとおりに,入札に参加する旨を塩山支部等に届け出たが,それだけで競争制限効果が具体的に発生するものではなく,原告藤プラントは,何らの話合いに関わっていない。審査官は,天川工業が株式会社高野建設(以下「高野建設」という。)に自社の入札予定価格を知らせたという限りの主張しかしておらず,原告藤プラントとしては,上記の両社の間で話合いがあったとしても,何らの関与をしておらず,これは,原告藤プラントがした正当な競争の結果には何ら影響を与えるものではない。本件審決は,物件312につき,受注調整が行われたと認められる44物件に含まれるとしたが,そのように認定した理由においても,原告藤プラントが受注調整を行った又は関わったとの事実は一切認定されていない。以上によれば,本件審決が,物件312につき,受注調整が行われたと認定したことにつき,実質的な証拠はない。
(イ) その余の主張は,物件102の(原告飯島工事の主張)(イ)と同旨。
(被告の主張)
(ア) 本件審決は,物件312につき,受注調整が行われたと認められる44物件の1つであると認定したが,かかる認定は合理的である。
物件312の入札に参加した天川工業は,入札前に「入札参加資格確認資料作成要領(簡易型)」と称する資料(査218)を作成しているが,同資料の記載内容や原告藤プラントら物件312の入札参加者が記載された入札参加者取りまとめ表(査106の3)などからすれば,天川工業作成の上記資料は,同社において,他の入札参加者として少なくとも高野建設及び原告藤プラントがおり,原告藤プラントは受注を希望しており低い価格で入札すると見込まれることを把握し,上記2社から各社の評価点に関する情報の提供を受けるなどして,高野建設の入札すべき価格を算定するとともに,原告藤プラントの入札価格を予想して,その結果を記載したものと認められ,天川工業が物件312の受注予定者となり,高野建設に対してその入札すべき価格を伝え,同社は天川工業から伝えられた価格で入札することで同社の受注に協力した(ただし,原告藤プラントが落札した。)ものであることが認められる。
他方で,原告藤プラントは,塩山支部等に入札参加の届出をしていたことが認められ(査106の3),他の入札参加者に受注希望を表明したことがうかがわれる(査218)のであるから,原告藤プラントが物件312の受注調整に関わっていないということはできない。
その上で,原告藤プラントが天川工業と落札を競って物件312を落札したのだとしても,本件合意に基づく受注調整によって,受注を目指して入札に参加する者の絞り込みが行われ,他の事業者が高値で入札するなどして協力したのであれば(同物件における高野建設の入札率は99.8%),人為的に競争が制限された状況を生じさせたものということができ,競争単位の減少による具体的な競争制限効果が発生したものと認められる。したがって,物件312の売上げが,原告藤プラントに対する課徴金の計算の基礎に参入されるべきは当然のことである。
(イ) その余の主張は,物件301の(被告の主張)(イ)と同旨。なお,物件312の落札率が低く,また,受注予定者が1社に絞り込めずに2社以上で競争が行われたとしても,個別の受注調整に基づく具体的な競争制限効果が否定されるわけではないことは,本件審決が説示したとおりである。
第3 当裁判所の判断
1 争点⑴(本件審決における本件合意の存在の認定についてそれを立証する実質的な証拠があるか)について
⑴ 原告らは,本件審決における本件合意の存在の認定について,それを立証する実質的な証拠はないとして,独占禁止法82条1項1号の規定する取消事由があると主張する。
しかし,本件審決においては,①30社は,本件土木一式工事について,塩山支部等において入札参加情報を集約し,入札前に当該工事の入札参加者を把握していたが,これは受注調整のためであったこと,②30社は,塩山支部の役員会等において,受注調整が発覚しないようにするために受注調整の話合いの出席者を各社の代表者等に限定することを検討したり,本件土木一式工事の入札に参加する旨及び当該工事の受注を希望する旨を塩山支部等に連絡する際のルールについて確認するなどしていたこと,③本件対象期間に発注された本件土木一式工事のうち,少なくとも,44物件について,本件合意の内容に添った受注調整が行われ,60物件について,本件合意の内容に添った受注調整に関わる行為が行われたことを裏付ける客観的な証拠が存在すること,④本件対象期間に発注された本件土木一式工事のほとんど全てを占める312物件の平均落札率は,96.3%という相当高いものであること,⑤30社の代表者のうち約半数が,審査官に対し,本件土木一式工事における受注調整の方法について,本件合意の内容に添う供述をしていることを根拠として,原告らを含む30社は,遅くとも平成18年4月1日頃までに(30社のうち1社については平成19年5月15日までに),本件土木一式工事について,受注価格の低落防止を図るため,塩山支部等において本件土木一式工事の入札参加情報を集約し,受注希望者が1社又は1JVの場合は,その1社及び1JVを受注予定者とし,受注予定者が複数の場合は,当該工事の施工場所,過去に受注した工事との継続性,塩山支部等の支部長の助言等を勘案して,受注希望者間の話合いにより受注予定者を決定するとともに,受注すべき価格は受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注することができるように協力する旨の合意(本件合意)をしていたと認定されたが,本件審判で取り調べられた本件審決が引用する審決案に掲記の各証拠によれば,被告が上記①ないし⑤の事実を認定したことは合理的であり,上記①ないし⑤の諸事情を総合すれば,本件合意が成立していたと認定したことも合理的であるというべきであるから,本件審決による本件合意の存在の認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
⑵ア これに対し,原告らは,上記⑴①に関し,入札参加情報の集約は受注調整のためであったとの本件審決における認定につき,入札参加情報を集約していたのは,山梨県から1社入札を避けるようにとの要請を受けたことによるものであると主張し,公正取引委員会平成23年(判)第8号ないし同第52号の各審判請求事件において,23社の代表者らがこれに添う供述をしている。
しかし,①証拠(審F共1)によれば,山梨県の担当者が,原告飯島工事に対し,「近年,入札1件当たりの参加者が減少傾向にあ」るとしてアンケートへの回答を求めるメールを送っていた事実が認められるが,そのメールの内容に照らし,これが山梨県から1社入札を避けるようにとの要請を受けたことの裏付けとなるものとはいえないこと,②本件記録を精査しても,山梨県からの要請を受けたとされる一社入札を避けるとの目的で入札に参加した業者の存在が見当たらないことに照らせば,上記の23社の代表者らの供述は,的確な裏付けを欠くものといわざるを得ず,原告らの主張は採用することができない。
イ 原告らは,上記⑴②に関し,平成19年5月11日の役員会において廣川工業所の《B》社長が「本件合意に基づいて受注調整が行われていることが公正取引委員会等の外部に漏れることを防ぐため,今後は調整会議等の受注調整のための話合いの出席者を各社の社長又はその兄弟若しくは息子に限定する」旨の発言(本件《B》発言)をしたとの本件審決における認定につき,本件審決が指摘した証拠から本件《B》発言を認めることはできないと主張する。
しかし,証拠(査92,99)によれば,宮原土建の《AH》社長及び坂本組の《U1》社長は,本件審決の上記の認定に添う供述をしていることが認められるところ,①証拠(査110ないし112)によれば,平成19年5月11日に《旅館名略》で塩山支部の月例役員会が開催された事実が認められること,②証拠(査113)によれば,《B》社長が作成した同日の役員会に関するメモには「仕事に関する会議は本人以外は認めない ただし親子は認める」と記載されている事実が認められるが,通常の仕事に関する会議で上記のとおりに出席者を限定する理由は特段認められないから,上記の「仕事に関する会議」とは「受注調整のための話合い」を指すと認めるのが合理的であることに照らせば,上記の《AH》社長及び《U1》社長の各供述は的確な裏付けがあるものとして信用することができ,かかる供述に基づく本件審決の上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められるから,原告らの主張は採用することができない。
ウ 原告らは,上記⑴③に関し,44物件について,本件合意の内容に添った受注調整が行われ,60物件について,本件合意の内容に添った受注調整に関わる行為が行われたとの本件審決における認定につき,これを争い,また,上記のように認定したことを理由に本件合意の存在を認定した上で,そのことを理由に312物件につき受注調整が行われたと認定したのは,循環論法であり,かかる認定は認められないと主張する。
しかし,44物件及び60物件として挙げられたもののうち,原告らのいずれかが落札した工事について,これが44物件又は60物件に該当するということができることは,後記2⑶以下で認定するとおりであり,また,それ以外の44物件につき,受注調整が行われたとの本件審決の認定については,本件審決が引用する審決案の別紙12に掲記されている各証拠及びこれに基づく説示に照らし,同認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められ,さらに,それ以外の60物件につき,受注調整に関わる行為が行われたとの本件審決の認定についても,本件審決が引用する審決案の別紙13に掲記の各証拠に照らし,同認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
また,原告らが,本件審決における認定は循環論法であると指摘する点については,本件審決においては,上記⑴のとおり,44物件及び60物件に係る事実が本件合意の存在を認定する根拠の1つとされているが,これらの事実のみから本件合意の存在が認定されたものではないから,原告らの指摘は当たらない。
以上によれば,原告らの主張は採用することができない。
エ 原告らは,上記⑴④に関し,312物件の平均落札率は96.3%という相当高いものであるとの本件審決における認定につき,上記の数値は談合の存在を疑わせるような高いものではないと主張する。
しかし,被告が指摘するとおり,312物件には,総合評価落札方式の工事が相当数含まれていることなどに照らせば,その平均落札率である96.3%が相当高いものであるとの認定は合理的であり,原告らの主張は採用することはできない。
⑶ そして,本件合意は,その内容に照らし,本件土木一式工事に係る入札市場において,30社が共同して,相互にその事業活動を拘束し,このことにより,公共の利益に反して,上記の取引分野における競争を実質的に制限したものであると認められるから,独占禁止法2条6項の規定する不当な取引制限に該当するものということができる。
2 争点⑵(本件審決における本件対象工事が独占禁止法7条の2第1項の規定する課徴金の対象となる当該役務に当たるとの認定についてそれを立証する実質的な証拠があるか)について
⑴ 原告らは,本件審決における本件対象工事が課徴金の対象となる当該役務に当たるとの認定について,それを立証する実質的な証拠はないとして,独占禁止法82条1項1号の規定する取消事由があると主張するので,以下,検討する。
⑵ 本件審決が採用した判断方法の適否について
ア 本件審決においては,①30社は,塩山支部等において,受注調整のために,あらかじめ30社の入札参加及び受注希望に関する情報を取りまとめ,塩山支部等において入札参加者取りまとめ表を作成し,受注希望者が複数の場合には受注希望者間で話合い等をし,時には塩山支部等の執行部の助言を勘案するなどして,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう協力し合っていたものであり,受注調整を組織的に行っていたこと,②本件対象期間に発注された本件土木一式工事のうち,9割以上の工事において,30社のみが入札に参加していたことから,30社は,本件土木一式工事の全てを対象に受注調整を行うことが容易な立場にあり,実際に,本件対象期間に発注された本件土木一式工事の全てを30社又は30社のいずれかで構成されるJVが受注しており,うち入札者が複数あった312物件の平均落札率も96パーセントを超える相当高いものであったこと,③312物件のうち,44物件及び60物件の合計104件の工事について,30社が本件合意の内容に添った受注調整を行ったこと,又は本件合意の内容に添った受注調整に関わる行為を行ったことが認められ,これらの工事は,発注方法,発注担当部署,工事内容及び発注時期において特段の偏りはみられないこと,④30社の代表者のうち,本件合意への参加を認める旨の供述をする者が約半数いるが,これらの者の中に,本件土木一式工事に該当する特定の工事について本件合意に基づく本件受注調整が行われなかった旨を供述している者はいないこと,⑤本件合意の目的が受注価格の低落防止にあることに照らすと,本件土木一式工事の全てを受注調整の対象とするのが合理的であることを根拠として,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事については,当該工事について本件合意に基づく受注調整が行われたとは認められない特段の事情(本件特段の事情)のない限り,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したものと推認するのが相当であると認定されたが,本件審判で取り調べられた本件審決が引用する審決案に掲記の各証拠によれば,被告が上記①ないし⑤の事実を認定したことは合理的であり,上記①ないし⑤の諸事情を総合すれば,本件審決が採用した上記の推認の方法は合理的であるというべきである。
イ これに対し,原告らは,本件審決が全体のわずか7分の1又はせいぜい3分の1程度の数の工事について受注調整又はそれに関わる行為が行われたとの事実から本件合意の存在を推認し,そのことから再び戻ってその余の各工事全てについても受注調整が行われたことを推認するとしているのは循環論法であり,このような判断手法はあまりにも乱暴であるとした上で,少なくとも,44物件又は60物件のいずれにも掲げられていない工事については,受注調整が行われたとの事実の認定についてそれを立証する実質的な証拠はないというべきであるから,課徴金の算定の対象とする工事からは除外されるべきであると主張する。
しかし,上記アのとおり,本件審決においては,44物件及び60物件に係る事実関係のみから本件合意の存在が推認されたのではなく,44物件及び60物件に係る事実関係のみから312物件全体について本件合意に基づく受注調整が行われたと推認されたものでもないから,循環論法であるとの原告らの指摘は当たらない。そして,上記アの①ないし⑤の諸事情を総合すれば,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事については,本件特段の事情がない限り,当該工事について本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したものと推認するのは合理的であるというべきであるから,原告らの主張は採用することができない。
⑶ 物件102について
本件審決においては,物件102につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,上記⑵で説示したところによれば,物件102は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
⑷ 物件189について
ア 本件審決においては,物件189につき,「入札参加者が塩山支部等に対し,自社の名称を記載した入札公告等をファクシミリで送信するなどして入札に参加する旨を届け出ていた工事」として60物件の1つと認定されたが,証拠(査107の22)によれば,物件189につき,内田組が自社の名称や「応札参加します。」との文言等を記入した入札公告を治山協会にファクシミリで送信するなどして入札に参加する旨を届け出ていた事実が認められるから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
イ また,本件審決においては,物件189につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,上記⑵で説示したところによれば,物件189は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
これに対し,原告飯島工事は,同原告が物件189を3680万円で落札したのに,内田組が書き込んだメモ(査107の22)には,これと異なる数字(37,000,000)が書かれていることについて,合理的な説明ができていないと主張するが,内田組は,入札公告に「¥37,600,000_(37,000,000)以上」とメモしているのであり,原告飯島工事の落札価格が3680万円であることに照らせば,かかる記載は同原告が内田組に入札を依頼した同社の入札価格とみて矛盾はないから,原告飯島工事の主張は採用することができない。
⑸ 物件192について
ア 本件審決においては,物件192につき,「入札参加者が塩山支部等に対し,自社の名称を記載した入札公告等をファクシミリで送信するなどして入札に参加する旨を届け出ていた工事」として60物件の1つと認定されたが,証拠(査107の24)によれば,物件192につき,佐藤建設工業が自社の名称を記入した競争参加資格確認通知書を塩山支部にファクシミリで送信するなどして入札に参加する旨を届け出ていた事実が認められるから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
イ また,本件審決においては,物件192につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,上記⑵で説示したところによれば,物件192は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
⑹ 物件230について
本件審決においては,物件230につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制 限効果が発生したと認定されたが,物件230については,受注調整が行われたことを裏付ける山梨技建の《AG1》社長の供述(査86)があるほか,上記⑵で説示したところによれば,物件230は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
⑺ 物件290について
本件審決においては,物件290につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制 限効果が発生したと認定されが,物件290については,受注調整が行われたことを裏付ける山梨技建の《AG1》社長の供述(査86)があるほか,上記⑵で説示したところによれば,物件290は,本件土木一式工事に該当し,かつ30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
⑻ 物件301について
ア 本件審決においては,物件301につき,物件268,物件276及び物件301の入札の概要(査18),天川工業の《M1》社長の手帳の記載内容(査190),宮原土建の《AH》社長の供述(査93)などに基づいて,受注調整が行われたと認められる44物件の1つと認定されたが,証拠(査18)から認められる物件268,物件276及び物件301の入札広告が行われた日,入札参加者,落札者及び落札率,証拠(査190)から認められる物件268及び物件276に関する受注調整の経緯,証拠(査93)により認められる物件301の受注予定者が原告飯島工事となった経緯に関する宮原土建の《AH》社長の供述内容によれば,原告飯島工事は,宮原土建が物件268を受注することの見返りとして,物件301を受注したと認められるから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
これに対し,原告飯島工事は,物件268及び物件274の入札が行われていた時期には,物件301の工事が行われることを知らなかったから,物件301を見返りとする約束をすることは不可能であると主張するが,本件のように組織的,継続的に行われる入札談合事案においては,受注を譲るに当たって将来の見返りを約束することなど,いわゆる貸し借りによって個別物件の受注予定者が調整されることは,将来の工事物件の発注が具体的に予定されていなくてもあり得ることであると推認されるから,原告飯島工事の主張は採用することができない。
イ また,本件審決においては,物件301につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,上記アのとおり,物件301について受注調整が行われたと認められるところ,上記⑵で説示したところによれば,物件301は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
⑼ 物件47について
ア 本件審決については,物件47につき,「入札参加者等において,入札前に受注予定者を把握し,手帳等に記載していた工事」として60物件の1つと認定されたが,証拠(査121,査122)によれば,タナベエンジニアリングの《D》社長の手帳に物件47に関する入札参加者9社のうち原告藤プラントを除く8社が記載されていること,山梨技建の《AG1》社長の手帳に「岩波,藤プラに仕事横取りされる」旨の記載があることがそれぞれ認められるから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
イ なお,本件審決は,物件47につき,課徴金の対象となる独占禁止法7条の2第1項の規定する当該役務に当たるとの認定はしていない。
⑽ 物件111について
ア 本件審決においては,物件111につき,その入札の概要(査18),競争参加資格確認通知書(査156)の書込みの内容,原告藤プラントの《Ⅴ2》社長の供述の内容(査82)などに基づいて,受注調整が行われたと認められる44物件の1つと認定されたが,証拠(査18)から認められる物件111の予定価格,入札参加者及びその入札価格の内容と,原告藤プラントが競争参加資格確認通知書(査156)に書き込んだ予定価格,入札参加者及びその入札価格の内容とが一致することからすれば,原告藤プラントは,物件111につき,入札前に他の入札参加予定者を把握し,これらの者が入札すべき価格を算定し,これを各入札参加予定者に通知したものと認められるから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
これに対し,原告藤プラントは,本件審決は,個別の受注調整の方法について,落札予定者が入札予定価格を他の参加業者に知らせ,他の参加業者がこれより高い価格によって入札する方法によって行われたとしているところ,そうであれば,原告藤プラントは,他の入札参加業者の入札価格を知ることはできず,入札前に全入札参加業者の入札価格をメモしておくことは不可能であると主張するが,本件審決においては,30社の入札価格等の連絡の方法として,受注予定者となった者は,他の入札参加者が入札すべき価格を連絡することもあった旨の認定がされているのであって,原告藤プラントの主張は採用することはできない。
イ また,本件審決においては,物件111につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,上記アのとおり,物件111について受注調整が行われたと認められるところ,上記⑵で説示したところによれば,物件111は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
⑾ 物件121について
本件審決においては,物件121につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,物件121については,受注調整が行われたことを裏付ける原告藤プラントの《V2》社長の供述(査82)があるほか,上記⑵で説示したところによれば,物件121は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
⑿ 物件139について
ア 本件審決においては,物件139につき,その入札の概要(査18),佐藤建設工業作成の一覧表(査158),「一般競争入札」公告(査107の7),山梨技建の《AG1》社長の供述(査85)などに基づいて,受注調整が行われたと認められる44物件の1つと認定されたが,証拠(査107の7)によれば,原告藤プラントが物件139の入札に参加する旨を塩山支部に届け出ていたことが認められること,佐藤建設工業が作成した一覧表(査158)には,物件139の受注調整の結果,原告藤プラントが受注予定者となり,佐藤建設工業は受注を希望しないこととしたと理解できる記載があること,証拠(査18)によれば,物件139の入札者(落札率)は,原告藤プラント(75%),坂本組(77.6%),山梨技建(78.7%),昭和建設株式会社(98.1%),内田組(98.1%)及び佐藤建設工業(98.5%)であったことが認められることからすれば,物件139では,原告藤プラントも参加する形で受注調整が行われ,受注予定者が絞り込まれたが,最終的に受注予定者を1社に決めることができなかった中で,原告藤プラントが落札したものと認められ,このような場合でも,受注調整が行われ,その結果,原告藤プラントが落札したと認めるのが相当であるから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定についてはそれを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
イ また,本件審決においては,物件139につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,上記アのとおり,物件139について受注調整が行われたと認められるところ,上記⑵で説示したところによれば,物件139は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
これに対し,原告らは,物件139につき,原告藤プラントの落札率が75%と低いことを問題としているところ,上記アで認定したとおり,物件139では,受注予定者を1社に絞り込むことができず,3社の競争となったことから落札率が低下したものと認められるが,受注調整の結果として入札参加者の6社のうち3社が参加を取りやめた中で行われたものと認められるから,物件139の入札は完全な自由競争の下で行われたのではなく,原告藤プラントが参加した受注調整の結果が及んだ状態で,3社の競争の下で行われたものであることを踏まえて考えると,本件審決が競争制限効果があったと認定したのは合理的であるから,原告藤プラントの主張は採用することができない。
⒀ 物件200について
ア 本件審決においては,物件200につき,「入札参加者が塩山支部等に対し,自社の名称を記載した入札公告等をファクシミリで送信するなどして入札に参加する旨を届け出ていた工事」として60物件の1つと認定されたが,証拠(査107の33)によれば,物件200につき,原告藤プラントが,自社の名称を記載した入札公告を土地協会峡東支部にファクシミリで送信するなどして入札に参加する旨を届け出ていた事実が認められ,受注調整が行われたことを裏付ける原告藤プラントの《V2》社長の供述(査82)もあるから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
イ また,本件審決においては,物件200につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,上記⑵で説示したところによれば,物件200は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
これに対し,原告藤プラントは,上記のファクシミリにより送信した文書の趣旨は,1社入札を避けるために入札参加情報を集約していたもので,受注調整に関する行為が行われたことの証拠となるものではないと主張するが,前記1⑵アで説示したとおり,原告藤プラントの主張は採用することができない。
⒁ 物件219について
本件審決においては,物件219につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,上記⑵で説示したところによれば,物件219は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
⒂ 物件312について
ア 本件審決においては,物件312につき,その入札の概要(査18),入札参加者取りまとめ表(査106の3),天川工業の《M1》社長の手帳(査214),佐藤建設工業の《AI》社長の手帳(査215),天川工業作成に係る「入札参加資格確認資料作成要領(簡易型)」と称する資料(査218),総合評価落札方式工事一覧(査297)などに基づいて,受注調整が行われたと認められる44物件の1つと認定されたが,証拠(査106の3,査218)によれば,原告藤プラントが物件312の入札に参加する旨を塩山支部に届け出ていたことが認められること,証拠(査106の3,査218)によれば,天川工業は,物件312につき,他の入札参加者として少なくとも高野建設及び原告藤プラントがおり,原告藤プラントは受注を希望しており低い価格で入札すると見込まれることを把握し,上記2社から各社の評価点に関する情報の提供を受けるなどして,高野建設の入札すべき価格を算定するとともに,原告藤プラントの入札価格を予想し,天川工業と高野建設の間では,天川工業が受注予定者となり,高野建設に対してその入札すべき価格を伝え,同社は天川工業から伝えられた価格で入札することで同社の受注に協力することとしたこと,証拠(査18)によれば,物件312の入札者(落札率)は,原告藤プラント(73.5%),天川工業(78.9%),佐藤建設工業(98.2%)及び高野建設(99.8%)であったことが認められることからすれば,物件312では,原告藤プラントも参加する形で受注調整が行われ,受注予定者が絞り込まれたが,最終的に受注予定者を1社に決めることができなかった中で,原告藤プラントが落札したものと認められ,このような場合でも,受注調整が行われ,その結果,原告藤プラントが落札したと認めるのが相当であるから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
イ また,本件審決においては,物件312につき,本件合意に基づく受注調整が行われ,具体的な競争制限効果が発生したと認定されたが,上記アのとおり,物件312について受注調整が行われたと認められるところ,上記⑵で説示したところによれば,物件312は,本件土木一式工事に該当し,かつ,30社のいずれかが入札に参加して受注した工事であるから,本件合意に基づく受注調整が行われたものと推認することができ,本件記録を精査しても,本件特段の事情の存在は認められないから,本件審決における上記の認定は合理的であり,当該認定については,それを立証する実質的な証拠があるものと認められる。
これに対し,原告らは,物件312につき,原告藤プラントの落札率が73.5%と低いことを問題としているところ,上記アで認定したとおり,物件312では,受注予定者を1社に絞り込むことができず,2社の競争となったことから落札率が低下したものと認められるが,受注調整の結果として入札参加者の4社のうち2社が参加を取りやめた中で行われているものと認められるから,物件312の入札は完全な自由競争の下で行われたのではなく,原告藤プラントが参加した受注調整の結果が及んだ状態で,2社の競争の下で行われたものであることを踏まえて考えると,本件審決が競争制限効果があったと認定したのは合理的であるから,原告藤プラントの主張は採用することができない。
⒃ 以上のとおり,本件対象工事は,いずれも,独占禁止法7条の2第1項の規定する当該役務に該当すると認められるから,これらが本件各課徴金納付命令の対象となるとした本件審決の判断に誤りはない。
3 以上によれば,本件審決における事実の認定については,いずれもそれを立証する実質的な証拠があるものというべきであり,本件審決に原告ら主張の違法はなく,本件審決は適法というべきである。
第4 結論
よって,原告らの本訴請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。

注釈 《 》部分は,公正取引委員会事務総局において原文に匿名化等の処理をしたものである。

平成30年9月7日

裁判長裁判官 八木一洋     
裁判官 柴﨑哲夫     
裁判官 片山憲一     
裁判官 平田直人     
裁判官 杉山順一

【別紙省略】

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